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尼崎の森中央緑地における鳥類の生息状況 共生のひろば 11号 兵庫県立 人と自然の博物館(ひとはく)

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191 共生のひろば 2016 年3月 

尼崎の森中央緑地における鳥類の生息状況

田中良典・谷山竜一・水野竜佑・江原共百生・加瀬雄大(環境学園専門学校)

【緒言】

兵庫県尼崎南部の埋立地に創出された「尼崎の森中央緑地」(以下、中央緑地)では、大阪臨海部の自

然環境の再生をはかり、背後に広がる六甲山・北摂山系などの内陸の生態系とつながる広域拠点とな

る森を目指している。ここでは「鳥類による種子散布型の森づくり」を進めているが、鳥の利用実態

の情報は決して多くない。本研究では、植生の異なるエリアごとに鳥類群集も異なると仮説を立て、

調査を行った。加えて日本全国のスズメが減少傾向にあると報告されている(三上 2009)ことから、中

央緑地での現状を把握するためにスズメ調査を行った。

【方法】

鳥類調査は、2015年6月30日から11月27日の間の21日間、高木区・芝生区・低木区に設けた

調査ルート(130m)を10分で歩き、確認された鳥の種名・確認位置を調査用紙と地図に記録した。種

名は目視と鳴き声により現場で同定した。スズメ調査は10月9日から11月30日の間に6日、低木

区でのみ行った。その際、おおよその群れサイズ・位置・行動を観察するとともに、捕食者に対する

スズメの反応を記録した。

【結果】

調査で確認した3区合わせての合計個体数は3,160羽となった(個体数割合:スズメ72%、ドバト7%、

ヒヨドリ6%)。各区の個体数は低木区が2,428羽と最も多く、次いで高木区が698羽、芝生区が34

羽であった。種数は低木で21種、高木で20種、芝生で8種となった。各区で個体数が多かった種は、

高木区でドバト(206羽)とヒヨドリ(184羽)、芝生区でハクセキレイ(13羽)、低木区でスズメ(2,214羽)

であった。特にスズメは低木区の中での個体数割合が91%と大多数を占めていた。低木区でのスズメ

調査では、10月に約500羽、11月に約200羽確認された。低木区には、低木とイネ科草本の生えて

いる場所と生えていない場所があったが、スズメの群れが多くいたのは前者であった。また猛禽類が

中央緑地の上空に出現した際は、スズメが草本の中に隠れることが常であった。

【考察】

本研究により各区を利用する主な鳥は、低木区がスズメ、高木区がドバトとヒヨドリであり、芝生

区は種数・個体数ともに少なく、鳥にほとんど利用されていないことがわかった。3 区のうち個体数

が最も多かったのが低木区であり、その多くがスズメであった。このことから、中央緑地の植生タイ

プの違いが鳥類群集に影響していることが示唆された。中央緑地では「鳥類による種子散布型の森」

を目指しているが、樹木の種子散布に適している鳥はヒヨドリとの報告がある(唐沢 1978)。高木区で

はヒヨドリが優占しており、今後も鳥による樹木(エノキ・ムクノキなど)の種子散布が期待できる。

低木区ではスズメが優占しており、現状では鳥による樹木の種子散布は期待できない。それでもスズ

メがイネ科草本の生えた場所に多く分布していたことから、スズメが草本の種子散布に貢献している

可能性はある。中央緑地での森づくりが始まって高木区が9年目、低木区が4年目である。今後もこ

のまま順調に進めば、低木区の低木が高木に成育して、樹木の種子散布に適したヒヨドリなどが増え、

鳥類群集が変化すると予想される。一方、3 区合わせての合計個体数が最も多かったスズメは、主に

低木区に生息していた。今後も森づくりが進み、低木区が現在の高木区のような樹林に近づけば、草

本類がなくなり、やがてスズメが好まない生息場所になると予想される。仮に中央緑地からスズメが

いなくなれば、スズメの捕食者である猛禽類(チョウゲンボウ、オオタカなど)も利用しなくなる可

能性がある。生物多様性の観点からみれば、低木区も重要な環境のひとつであろう。以上のことから、

森づくりを進める中で、現在の高木区だけでなく低木区も残していくことが不可欠であり、その結果、

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