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著者 片山 義博

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Academic year: 2021

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【図書紹介】『共通価値 文明の衝突を超えて』シ セラ・ボク著 小野原雅夫監訳・宮川弘美訳 法政 大学出版局、二〇〇八年

著者 片山 義博

出版者 法政哲学会

雑誌名 法政哲学

巻 5

ページ 63‑63

発行年 2009‑06

URL http://doi.org/10.15002/00008009

(2)

本書は、近代思想が高らかに提唱した自由、平等、連帯といった普遍的価値にさまざまな懐疑が向けられる現状において、共通価値を唱える一一との意義を示そうとしたものである。確かにいわゆる普遍的な価値は、単なるお神輿として実質的には抑圧や排除を肯定してしまうことがある。著者は二○○○年の国連ミレニアム宣言において圧政的な元首も調印した事実を指摘している。しかしここから直ちに共通の価値はいらないという一一とはならない。なぜなら著者の言うようにこうした主張が残虐な行為に無抵抗であることを助長している現実があるからだ。従って共通の価値は必要なのである。問題は、それを普遍主義にも相対主義にも陥らない形で提示できるかどうかである。著者は、それを、あらゆる社会に広くいきわたっており、強制力をもたず、紛争解決のための対話や議論の地盤を提供するにとどまるミーーマリズムな価値という形で提示する。そして「相互扶助と報恩という積極的正義」、「暴力、欺臓、裏切りに関する消極的命令」、「なにが正しいかについてのある一定の基本的手続きと基準」の三つの価値を挙げる。 【図書紹介】『共通価値文明の衝突を超えて』シセラ・ボク箸小野原雅夫監訳・宮川弘美訳法政大学出版局、二○○八年片山義博 著者は、共通価値に対するさまざまな反論(懐疑主義的反論、多様性を重視する立場からの反論など)にていねいに答える形で共通価値を提唱することの意義を説得的に述べていくが、その中の最後の反論については考えさせられた・例に出しているlルワンダでの紛争のようなl危機的状況において、善意の援助がかえって紛争を激化させているという意図と結果の乖離の問題である。著者は、こうした困難な問題についても、誠実に答えようとしている。評者は、普遍主義と相対主義の対立については、自由や平等といった普遍的な価値を認めたうえでその内実を多様性百己と他者の対立や媒介〉の尊重という面からl承認をめぐる闘争としてl吟味していくべきだと考えているが、著者が示しているようなミーーマリズムな共通価値をI最低限共有されるような価値として11多様性の地盤として訴えかけ、そのうえで対話や議論を通じた紛争解決の道を探るべきという主張も、十分納得のできるものであった。また、エラスムスによる戦争の悲惨さの考察と、カント永久平和のための条件の考察について、紛争が激化している現代だからこそ現実的だというのは説得力があった。とてもていねいに訳されており、読みやすかった。

原著m一いいの一四国・〆o・ミミ・ヨミ馬Pご二言1吋ごC二二房・臣『弓『①閉・凶『昼、□一一一○コ)凶Cつ四・

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