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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

カイコ人工染色体作製の試みとカイコDNA複製関連遺 伝子の機能解析

日野, 真人

http://hdl.handle.net/2324/4060213

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

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氏 名 :日野 真人

論文題名 :An Attempt to Construct Silkworm Artificial Chromosome and

Characterization of DNA Replication Related-Genes in the Silkworm, Bombyx mori

(カイコ人工染色体作製の試みとカイコDNA複製関連遺伝子の機能解析)

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

カイコは、モデル生物であるとともに有用な産業昆虫の一つであり、有用組換えタンパク質の大 量生産用宿主としても用いられている。組換えタンパク質の高付加価値化、例えば、タンパク質糖 鎖修飾のヒト型化も、技術的にはカイコ遺伝子組換えにより可能であると考えられている。そのた めには内在・外来遺伝子の削除・導入・発現制御を行う必要があるが、特に大量の外来遺伝子の導 入は、既存の染色体挿入を基盤とした技術では限界があると考えられる。この問題を解決する手段 として、人工染色体が利用可能であると考えられるが、カイコにおいて人工染色体は実用化されて いない。そこで、本研究では、宿主染色体とは独立の発現制御を受け、大量の外来遺伝子の発現を 自由自在に制御できるカイコ人工染色体の開発を試みた。また、カイコ人工染色体を構築・制御す る上で、DNA 複製に関する情報が必要になるため、今までほとんど行われてこなかったカイコに おけるDNA複製関連遺伝子の機能解析も行なった。

カイコ細胞内でカイコ人工染色体が安定に維持されるためには、導入された人工染色体が細胞周 期ごとに複製され、細胞分裂中に娘細胞に適切に分配される必要がある。他の生物において DNA に結合することで DNA 複製を誘導することができる DNA 複製因子が報告されているため、カイ コにおいても同様の戦略で、カイコ人工染色体の細胞周期ごとの複製を誘導することができるので はないかと考えた。まず、カイコ DNA 複製誘導因子を同定するために、5日間の遺伝子ノックダ ウンを行いカイコ DNA 複製において重要な役割を果たす遺伝子を見い出した。その後、遺伝子の DNA複製誘導能力を確認したところ、BmCdc6、BmOrc1、BmCdt1においてDNA複製誘導能力 が確認された。これらの結果を参考に、カイコ人工染色体を構築し、カイコ卵へインジェクション して維持されるか否かを確かめたが、カイコ成虫個体内での人工染色体の維持は確認されなかった。

作製したカイコ人工染色体には動原体領域がない点、発現プロモーターとしてバキュロウイルス由 来のものを使用した点が、カイコ人工染色体が維持されなかった原因として考えられるため、動原 体として作用する領域を含み、カイコ内在プロモーターに変更したカイコ人工染色体を作製する必 要がある。

前述の実験において、origin recognition complex (ORC)の構成因子であるOrc1がDNA複製誘 導能力を持つことが確認された。そこで、Orc の役割を明らかにしカイコ人工染色体の複製の制御 に役立てるために、カイコにおける BmOrc とBmHP1 の相互作用をinsect two-hybrid analysis と co-immunoprecipitation assay を 用 い て 明 ら か に し た 。 カ イ コ 培 養 細 胞 で は 、BmOrc2 と BmHP1a/BmHP1bが相互作用しており、特にBmOrc2のPXVXLモチーフがその相互作用に寄与 していた。ヒトやショウジョウバエ、アフリカツメガエルではOrc1とHP1が直接相互作用するこ とが報告されているが、ショウジョウバエで HP1 と相互作用すると報告されている Orc1の N 末 端が BmOrc1では保存されておらず今回の実験で BmOrc1とBmHP1 との間の相互作用は確認さ

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れなかった。カイコではOrc2が、他生物で他のOrcが果たす役割を担っている可能性がある。

また、カイコDNA複製機構を明らかにするため、DNAポリメラーゼ、クランプ、クランプロー ダーの遺伝子ノックダウン実験を行い、これら遺伝子の機能阻害が細胞周期に与える影響を評価し た。DNA ポリメラーゼのノックダウン後すぐに細胞周期に変化が現れ S 期で停滞・遅延するが、

クランプやクランプローダーのノックダウンが細胞周期に影響を与えるには DNA ポリメラーゼよ りも長い期間機能阻害を行う必要があることが明らかとなった。さらに、BmCtf18がDNA複製に 関わることが示唆された。

本研究により、カイコ人工染色体作製に利用可能なカイコ DNA 複製因子を同定することができ た。また、カイコ DNA 複製機構の解明を進めたことにより、人工染色体複製の制御に寄与する有 用な情報を得ることができた。

参照

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