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グローバル化社会の光と影

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(1)

グローバル化社 会 の光 と影

‑ヒトの役割からみた景観図式‑

海老津 栄 一

要 旨

グ ローバル化社会 は、先進 国、途上 国 とを問わず 、地球 上 のあ らゆ る国や そ こで暮 らす人 々は もちろんの こ と、企業や資源 、環境 、気候 風 土な どに も種 々の影響 を与 えてい る。本稿 で は企業の 社会性 に注 目 す る。 つ ま り企業 の上位概念 として社会 を位 置づ け、 グ ローバル化 さ れ た社 会 が どの よ うな特徴 をもち、企業や 人 々 とどの よ うなかかわ り を もつ のか に焦点 をあててみ るこ とにす る。

グ ローバル化行動 の固有 の特性 をその生成過程 お よびその後 の発展 過程 か ら探 る。 具体的 には表 と陰 の論理 が入 り混 ってい る様 子 がみ え て くる。特 に資本 の論理 に も とづ く企業行動 が グ ローバル社 会 のなか で、 当初予定 していた 目的達成 の他 に、強 い影響力 を駆使 しなが ら次 第 に波及効果 を作 り出す ことが可能 にな る。 しか もその波及効果 は直 接 の利 害 関係 者 だ けでな く、広 い意 味 での グ ローバル な環境 にまで影 響 を及 ぼす。 この過程 が詳述 され る。

社会 の グ ローバル化行動 には、企業や 消費者 、住 民のみ な らず 、 自 然環境や資源 な ども関係す る。 そ の関係 は、左 か ら右 あ るい は上か ら 下 とい う一方 的 な関係 で あ りなが ら、 同時 に右 か ら左 、 あ るいは下か ら上 とい う一方 的な関係 で もあ り、結果 としては双方 向の関係 にな る0 環つ ま り"わ"を意識す るこ との重要性 が強調 され る。最終 的 には、社 会 を構成 す る基本 単位 、つま り〝個 "がそれ ぞれ 固有 の役割 を果 た し、

そ して相互 に連動す るこ とが行動 の原 点 にな る と結論 づ け られ る。

(2)

その行動ではグローバル化社会の環 (わ) としての ヒ トの動 きが極 めて重要な働 きをす る。 ダイナ ミックな好循環 をグローバル化社会 に 組み込むためには、 自然 と社会 との調和や クローズ ドとオープンな仕 組みの共存 を初 め として、 さま ざまな多様性 を取 り込む勇気 を共有す ることが肝要 となる。杉林ではな く雑木林の よ うな景観 のほ うが、不 思議な魅力があ り、生命力 のあるしか も持続可能 な仕組み をもつ こと になる。

キー ワー ド :多様性、相補性、協働 、環境、循環、資源

は じめに

個人、企業、社会、国家のいずれ を とって も、そのたたずまいを他人 にわか るよ うに形容す るときに使 われ る1つの基準があるよ うに思 う。 それは閉鎖‑

開放 とい う軸である。

閉鎖に限定 してみ ると、閉 じこも りぎみの個人、何 とな く雰囲気 の暗い職場 や企業、 ヒ トの出入 りの少ない地域、秘密 のベール に閉 ざされた国が この領域

に入 る。 しか もこの仕分 けは分か りに くい現実 を説 明す るときに役立つ

しか し地球規模 での生態系を概観 してみ ると、気流や海流 に国境 はな く、そ れぞれ越境 して流れてい る。人間の作 った国境がなければ、税 関 とい う関所 が ないので ヒ トも地球の どこにで も自由に行 き来できるはずである。 しか し現実 はそ うはいかない。

わが国は、"天然資源の乏 しい国"とい うキャッチフ レーズのもと、原料輸入、

加 工、製品輸 出 とい う図式 を徹頭徹尾踏襲 してきた。 いわゆる貿易立国 として の位置づけである。

大 きな くくりで 自由主義経済社会 とい う表現 を借 りれば、必要 なモ ノや情報 な どを需要 と供給 との均衡 を保 ちなが らそれ らのモ ノや情報 な どを交換す るこ

とによって、相互互恵が実現す る。つま り"遣 り繰 り"の実現である。

(3)

企業の存在 を国 とい う単位 でみ ると、 さま ざまな分類 がな されている。 国内 あるいは ローカル企業、国 と国 との関係 で ビジネスを展 開す る国際企業、複数 の国にまたがって経営 を営んでい る多国籍企業、そ して本稿 の主題 である地球 全体 を意識 した グローバル企業、 さらには国籍 を超越 した超 国籍企業 な どであ

る。

グローバル (global)に限定 してみ る と、 日本語 では球形つ ま り"球"とな る グローバル企業 を無理 に 日本語 にす ると球企業、 グローバル化社会 は球化社会 となる。 グローバル化社会の理念では、資源 の地球的規模 での共有、共用 が可 能 になるはずである。 また地球的規模 でその住人であるヒ トの公平性 が実現す るはず である。 しか し現実はそ うなっていないばか りでな く、不公平感 が一層 高まっているよ うに思 う。

本稿 ではグローバル化社会 に固有の企業 とヒ トとの関係 を、やや大げ さな言 い方 をすれば特定の国を離れ、地球 とい う視点か ら眺め直す ことにす る。企業 本位主義 が地球 にもた らしている、また もた らしつつ ある諸現象 を表 と裏の両 方か ら探 り、今われわれ に とって緊急かつ重要 な解決課題 が何 かを探 ることに

したい。

分析 を進 める うえでのキー概念の1つは多様性である。その背景にグローバ ル化 が 自己開放行動 をその行動前提 の 1つに してい るにもかかわ らず、実際に は ヒ トも社会 も国 も自分 に都合の良い閉鎖社会 を意識的、無意識的に構築 しよ うとしているふ しがある。 閉鎖社会 は、モ ノカルチャー を作 り出す。 またその 結果 として一様性 を促す。多様性概念が生命多様性 に もつなが り、今の時代 に 欠かせ ない重要なキー概念であるにもかかわ らず、である.

ローバル化の理念 と現実

その基本理念

いま小 さな村社会で生計 をたててい るそば屋 さんを想定 してみ よ う。客は大 半がムラの住 民である。たまに近在 の ヒ トや他 の町か らの旅 人が来 る程度 であ る 典型的なローカル のお店である。夫婦で営んでい るそのそば屋 さんが、材

(4)

料仕入れ、仕込み、独特のダシ、客対応 な どいずれ を とって も非の打ち所がな く、次第 にムラ一番 のそば屋 さんになった。

評判 を聞きつ けた客が他の町か らも次第 に食べに来 るよ うになった。夫婦だ けのお店では対応不可能にな り、従業員 を雇 い能力 のあるスタ ッフには店長職 を与 え、多店舗展開す るよ うになった。材料の調達 も地場 では間に合 わず、他 地域か らも仕入れ るよ うになった。 コカ コー ラの原液 のよ うな秘密 のダシは さ

らに評判 にな り、ま もな く全国展開す るよ うになった。

やや乱暴 なこの事例 をコマの早回 しでみ ると、①顧客の満足 を確保 しその顧 客が次の顧客 を紹介す る、②そば粉の供給者 である農家 も高品質 を維持 しない と競合者 と伍 していけないので、真剣 に工夫 を重ねる、③従業員 も増 えて くる ので地域 に とっては雇用確保や増大 につ なが る、④そばのみな らず食後の散歩 を とお して関連商店 の商品売上げや喫茶店の客 も増大す る、⑤外国籍 の留学生 がアルバイ トで勤め始 め、卒業後国に戻 って母国でお店 をもつ若者 が現れ る、

⑥新店舗では看板や店舗設計、厨房品調達、備 品消耗品の準備、チ ラシ広告、‑

な どの関連業態が活性化す る。

ミスター ドーナ ッツやマク ドナル ドな どをイ メー ジすれ ば、おお よその流れ は理解 できよ う。 この段階では、"幸せ を売 る"ことにかん して優等生的な行動 が期待できる 少 な くとも不幸になる要素は見当た らない。 ローカルの企業が 海外 に進 出す るときも、同様 である 基本理念の部分では、"消費者 が求 めて いる商品を提供す ることによって顧客の満足度 を高 める"ことが企業経営 に共 通の理念 になってい る、 と考 えることができよ う。

グローバル企業が、地球的規模 で よ り安 くよ り品質の良い原材料の調達や よ り廉価 な人件費の確保 が可能であれば、製造 コス ト全般 の低減や生産性 向上 に つながる国での生産活動が可能 となる 国際比較 を した うえでの判断ができる ので、国内生産 に比べ る と経営効率 は高 くなる (バーガー). そ こでは一物一 価 に近い価格設定が可能 になる

またグローバル化 は、製 品のみな らず文化 について も他 国‑の浸透 を促す。

特 に生活製品 と共 にローカル な国が意識す る しないにかかわ らず入 り込 んで く るグローバルな国の先進性の高い文化 は、脱 ローカル化 を進め転移(displacement) 機会 を増幅す る。 わが国でみ られ るよ うに、箸文化 の他 にフォー ク、スプー ン

(5)

文化 との両価性 をもっ こともある。音楽や絵画の よ うな芸術 は一般的にこの方 法で浸透 して くる。一種 の コスモポ リタニズムを生みだす きっかけになる (ト

ム リンノン)0

さらに大事な指摘は、グローバル化はローカルな要素に影響 を与え同時にロー カル な要素はグローバル にも影響 を及 ぼ し、両者 の相互影響や相互共有の進展 が期待 できる、 とい う点である (‑ル ドニマ ッグルー)。一方か ら他方‑の一 方 向の流れではな く、逆流 もあるとい う点では、ある意味で緊張感 を伴 う新 し

い分析視点があるよ うにも思 える。

一方、グローバル化 を冷静に分析す ると 「社会的相互作用の超大陸的なフロー とパ ターンの規模 と範 囲が広がってい るだけでな く、そのイ ンパ ク トも強まっ てい ること

を意味す る (‑ル ドニマ ッグルー)。 さま ざまな組織 が遠 隔地 の コ ミュニティと結合 し、世界 のそれ ぞれの地域 と大陸 を越 えて権力 関係 を広 げ てい るとも考 え られ る。相互関係 が深まってい る一方 で、新 しい敵対 関係や対 立関係 が起 こって くる。調和の とれた世界社会が出現 しつつ あるとか、広い範 囲で統合が進むなかで文化 と文明の収欽現象が起 こ りつつある、 とい うわけで は必ず しもない。

グローバ リゼーション登場の背景 と真の動機

グローバ リゼーシ ョンのルーツは、17世紀 当初 にオ ランダ、イギ リス、フラ ンスな どの ヨー ロッパ諸国がイン ドや東南アジア との間に独 占的特許 を獲得 し、

貿易 を通 じた植 民地経営 を国家戦略 として展 開 した ときにまで さかのぼる (井 上)。市場統合のプ ロセ スであ り、その走 りは大英帝国にみ られ、一方 か ら他 方‑の労働や資本 、サー ビス移動 まで含 んでい る、 とい う見方 が されてい る

(スーザン ・ジ ョージ)。その意味でグローバ リゼーシ ョンが根本的に何 か新 し い ことを作 り出 した とい うことではない とい う指摘 も無視 できない。

またスーザ ンはスイス‑ス ウェーデ ン合弁の巨大企業、ABBの元 トップでマ スメデ ィアに頻繁 に登場 したパーシー ・パーネ ヴィックの定義 を紹介 し、用語 としてのグローバ リゼー シ ョンの使用 を差 し控 えてい るとまで言 ってい る。つ ま りその定義 とは、

私のグループ企業に とって、そ うしたい時に、そ うしたい場所 に投資 し、つ

(6)

くりたい ものをつ くり、買いたい と思 うところか ら買い、売 りたい と思 うとこ ろに売 り、 しか も労働法規や社会的協定による制限の影響ができるかぎ り少 な

くてすむ よ うな、 自由を享受す ること、

である (スーザ ン ・ジ ョー ジ)。 自己都 合の域 をまった くと言 っていいほ ど脱 していない。

20世紀後半それ も21世紀近 くの時代 になると、アメ リカの独 りよが りな行動 を批判す る論調 が生まれて くる (ウォル フ レン)。 そ して21世紀 に入 る と中国 がその仲間に入って くる (キング ;ミッシェル、他)。

この私利私欲充足型 で市場統合型 のグローバ リゼーシ ョンに拍車 をかけたの が、第二次世界大戦後の2つの技術革新である 1つは輸送や コミュニケーシ ョ ンの技術変革であ り、 も う1つは財やサー ビス、資本 な どの流通 にかかわるIT 通信革新である 共 にコス ト削減、関税障壁 の無意味化 を実現す るのに限 りな

く貢献 した。かつて 日本の企業がニュー ヨーク ・マンハ ッタンの ビル を買収す ることが続 き、"第二の真珠湾"と、話題 をさらった ことがある。最近 では中国 やマ レーシアの不動産投資会社がわが国の リゾー ト地に 目をつ け、投資先 を探

している (日経 ビジネスa)。

そ してスーザ ン ・ジ ョージは、皮 肉っぼ く、グローバ リゼーシ ョンを以下の よ うに定義づ けている。

つねに巨大 な多国籍企業によって先導 された り後押 しされた りしているもの である。富 と権力 を社会的上下関係 の上の方 に集 中 してい くための機械 、それ もあ らゆる領域 において一番おい しい ところをとって、残 りを捨て去るための 機械 のよ うなものである

市場 を占有 あるいはそれ に近い立場 で私有化す るにあたって、 革新的なIT の利用や通信 ・運輸手段の利用は、時間 と空間の違 いを超 えるための必須 の要 件 になる。逆の言い方 をすれば、 この2つの技術 を的確 に利用すれば、 どこの 国であろ うともどこの国の企業であろ うとも、距離 を意識せず に仮想 の空間で

ビジネスを展開す ることが可能 となる

革新的ではな く革命的技術 を うま く利用すれば、そ してお金 に糸 目をっ けず にモ ノを入手できるとい う条件 をつければ、グローバル企業が一時的に世界市 場 を独 占す ることも、現実味を帯びて くる。マイ クロソフ ト社、ア ップル社 の

(7)

製品浸透 の動 きをみ るだけで も納得が

そ して この革新的lTを駆使す ることで、資源提供側 と資源利用側 とのギャ ッ プは一層拡大す る。 富む ものはます ます富み、貧 しい ものはます ます貧 しくな るとい う、貧富ギャップ拡大の構 図ができあがる。安い労働 賃金 の国‑生産拠 点 を移す先進 国企業 の行動 は、その典型 で ある。partner(協力企業) とい う 名 の、実は硬直的な元請 け一下請 け構造ができあがる。相互補完 とい うよりは、

どち らか とい うとmas亡er‑S】aveの、それ も固定的な関係 が制度 として確 立 して しま う オーダー メイ ドのパ ソコンを受注後1週間で顧客の もとに届 けるシス テムは、各国に散在 してい る組み立て協力家内工場が支 えてい る。その実態は バーチ ャル な工場であ り、現代版 sweatshopのイ メージを祈祷 とさせ る。

第一次産 品のなかの食料 について も、供給側 あるいは生産側 と需要側 あるい は消費側 との均衡 が くずれてきている 需要に見合 う供給が恒常的に行 われれ ば、問題 は発生 しない。 しか し需要 >供給の構造が定着 しつつ あるのが現状で ある。かつての原油 と同 じ構造 である わが国では、食料植 民地化が進 んでき ている (青沼)0

資本 の論理 あるいは経済の論理 、貨幣の論理 にもとづ く企業行動 は、資源有 効利用や付加価値増殖行動 をとお した恒常的な業績 向上が主た る 目標 になる。

顧客取込み、市場創造や拡大、原価低減行動、他社 との提携行動 などは、グロー バル企業戦略の常套手段でもある。その行動原理は、Winnertakesall.である。

やや 限定的な言い方 をすれ ば、zero‑sum gameあるい はwin‑losegameで もあ る。

自分だけが勝者 になるよ うなゲームは、必ず敗者がいることを前提 に したゲー ムである。 これ を地球的規模で展開す る企業の行動原理 は、 どの よ うになって いるのであろ うか。少 な くとも ドラッカーのい う企業の社会性 を垣間見 ること はできない (ドラッカー)。

多国籍企業の企業規模か らみたその"大き さ"を見てお こ う。1990年代 をつ う じて、多国籍企業 は世界貿易の70%を扱 ってい る 複数 の国に子会社 をもつ企 業の数 は、1970年 に7,000社 だったのが36年後 の2006年 には78,000社 にまで拡 大 してい る。 また国家を含む世界上位100の経済単位 では、企業数が42、国家数 が58になっている (ステ イ‑ガ‑ a)。経済規模でみ る限 り、国の大 きさを超 え

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る企業 がほぼ

4 0 %

に達す る とい うこ とが明 らか になってい る。

グ ローバル企業 の一極化推進行動 とその見直 し

先 に と りあげた王立 メル ボル ン大学のステ イ‑ガ‑ bは、 グ ローバル に影響 を及 ぼ してい る個別 要素 について分析 し、一極化 が進 んでい る と指摘す る。 そ の要素 は経済、政治、文化 、生態系 、イデオ ロギー の5分野 に及 んでい る。言 語 につ いてみ る と

、1 5 0 0

年 当時

、1 4, 5 0 0

あった言語種 が

2 0 0 7

年 には

3 , 0 0 0

種 ‑ と約

8 0 0

/.減 になって い る また地球上 の人 口は

6 0

億 人 を突破 し、一部 のゲ ッシ 類 を除いて人類 は地球上で最 も多い晴乳動物 になってい る その結果深刻 な食 糧危機 を招 いてい る 小 が大 を制す る事例 として、世 界人 口の

6%

を 占めてい るアメ リカが地球上 の天然資源 の

3 0 ‑ 4 0 %

を消費 してい るこ とが指摘 され る (ス テ イ‑ ガ‑b)。 生物多様性 は確 実 に減少 して きてい る。一極化 の動 きは、他 で

もみ られ る

食 ではマ ク ドナル ド (リッツア) が、飲料 では コカ コー ラが、晴好 品ではス ターバ ックスが、小売業 では ウォル マー ト (フィ ッシュマ ン) が、スポー ツ具 ではナイ キ (クライ ン) が、衣服 ではベ ネ トンが、娯楽 ではデ ィズニー が、家 具ではイケヤ (ユ ングブルー ト) が、圧倒 的強 さで世界 をまた にか け市場拡大

を展 開 してい る わが国ではユニク ロが グ ローバル な展 開 を してい る。

ここで列挙 した巨大企業 は、いずれ も地球全体‑の影響度 の高い企業 で ある。

いずれ も本 国はい うに及 ばず 、数多 くの外 国の市 民 に愛 され てい る。 しか し同 時 にグローバル企業 には、幾つか重大 な批判 も次 の よ うに よせ られ てい る。

・株 主価値最優先す るた めの株価操作 (ロー ウェンス タイ ン)

・金融危機 回避 のための財 政政策 (ジェイ ムス)

・グローバル 自由主義 が もた らす グ レシャムの法則 (グ レイ)

・グローバル資本 主義 に よる民主主義 の終蔦 (Hertz)

・国家 ぐるみ の グ ローバ リズム (ステ イグ リッツa)

・不平等 を軽視す るグ ローバ リズム (ステ イグ リッツb)

・メタポ リックシン ドロー ム を誘発す るアメ リカ戦略 (青沼)

・解決 できない難 問に変装 した数 々の巨大 ビジネ スチ ャンス (フ リー ドマ ンa)

・障壁 フラ ッ ト化 に よる競争 のオー プ ン化 が もた らす商 品独 占化 (フ リー ドマ

(9)

ン b)

アメ リカ中心の資本主義社会が展開す る過度の環境破壊 ・汚染や資源食 い尽 くし行動 に対す るこのよ うな分析評価 は今後 も続 くであろ う。 しか し同時に最 近み られ る萌芽現象 として、研 究者 のみな らず実務家か らも自分たちの"誤 り"

を認 めた うえで、処方等が提示 され ることが起 こってい る。 1つは経済学者 ラ イ シュによる企業法人格廃止 と善良なる市民によって制御 され る経済の提言 で ある。 も う1つは投資信託会社 の経営者であるボー グルが、アメ リカのイメー ジを株式会社 アメ リカ、投資会社 アメ リカ、 ミューチ ュアル ファン ドアメ リカ と名づ け、行動規範や価値基準が著 しく低下 してい る、 と指摘す る。 そ して新 たな処方等 を、伝統的な価値観つま り信頼重視 の経営の復活 にお く。倫理 なき アメ リカ資本主義 を徹底的に批判す る。

グローバル企業 に限 らず企業行動一般 には、 "法律 に違反 しない範 囲内であ れ ば、倫理的 に問題 があった として も許 され る"とい う暗黙の了解 があるのか もしれない。 その意味で、資源 た とえそれが再生不可能 な資源 であっても、市 場拡大や利益確保 のためであれば、資源使用 を最優先す る、 とい う資源獲得最 優先行動 が 日常的に展開 され ることになる。

このよ うにみて くると、グローバル化社会 にお ける企業行動 は、規模 の大小 に関わ らず、IT活用 と運輸通信手段 を活用す ることによって、"何で も可"の状 況が整 ってきてい るといえよ う。 ここではその行動原理 の前提条件 が、現在で は時代 にそ ぐわな くなってきてい ることを3点指摘 してお こ う まず第一は、

資源 が無尽蔵 に地球の どこかにある、 とい う潜在意識 である。第二は民主制資 本主義の もとでは、 自由競争の原理がかな りの程度作用 してい る とい うことの 現状認識 である。第三は公益にかんす る意識 が私益 ほ どの高 さを示 していない

ことである。

第‑は資源浪費型 ない し資源非循環型、資源単独利用型 の経営か ら資源節約 型 ない し資源循環型、資源共同利用型 の経営に向けて大き く舵 を切 り換 えなけ れ ばな らない。 また資源 の再生が可能 な範囲内で資源 を利用す る とい う、"資 源再生可能範 囲経営"も話題 にな りつつ ある。 定常型社会 の発想 もこの部類 に 入れて よいのか もしれない (広井)。いまこそ発想 の転換 が求 め られてい よ う。

第二は 自由に何 を してもよい 自由はな く、制約 された枠 のなかでの 自由であ

(10)

ることを認識す ることの必要性 である。他 との連携やネ ッ トワーキングを意識 す ることによって 自己の不 自由はある程度緩和 され る。 1つの判断基準は資源 の循環が可能 な範囲内での 自由、あるいは地球的規模 での連携 、連動、連帯を とることによって使用が許 され る範囲内での 自由 と考 えては どうであろ うか。

第三は財 の保有形態 と関係す る。貴重な私有財産は大切 に、慎重に管理す る。

ところが公有財産や公共財 になると、私有財 と同 じ基準で判断 した り管理 した りす ることが希薄になる傾 向がある。公共財 にかん してよく話題 になる事例は、

"コモンズの悲劇 (TragedyoftheCommons)"である。

共有の土地つま りコモ ンズ(commons)を保有 してい る地 区で、ある牧畜業者 が 自分の利益 をよ り多 く得 るために、所有 している牛 を他 の同業者 よ りも多 く 放牧す る。その結果、共有地に牛が過剰 に放牧 され ることにな り、牧草が不足 す る。結果 として私利 のために放牧 した牧畜業者 のみな らず関係 している業者 全体が被害 を受 ける。個 々の利益追求が全体の不利益 を招 く、 とい う訓話であ

る。

この考 えは"公"のつ くところあるいは所有の特定化が困難 な資源 について共 通に応用可能である。代表例は、公海、公園、公民館、公共図書館 な どである。

1つ例 をあげよ う。資源保有の立場か らいえば、公海上の魚 を私利 のために獲 り尽 くす行為 は、民法や商法上の違反 にはな らないに しても、生態系 を破壊 し 資源循環 を途 中で断ち切 る行為であ り、資源保護 の視点か ら違反行為 になるこ

とは明 らかであろ う。

同様 に大気、土壌、海洋、湖沼、河川、森林、地下水 な どもコモ ンズの対象 にすべきであろ う。地球資源 とい う視点か らは外す ことのできない重要なテー マであ り、 グローバル社会の避 けて通れない検討課題 である。

以上で述べた資源利用 にかんす る"愚かな"地球人の3つの罪 は、生物多様性 とい う視点か らも、断罪 され ることが望ま しい。それは地球それ 自体、 自然体 系の循環 のなかで存在 している星であ り、 しか もその存在 は相互依存 を前提 と

して初 めてな りたつ図式だか らである。

生態系は生物の多様性の程度 によってその安定度が決まる。20世紀の地球で は経済効率中心の非循環型開発が進み、生物多様性 は無視 された。大気が汚れ、

大きなオゾンホールが有害な紫外線 を地上に送 り続 け、土壌 は化学物質で汚染

(11)

され、海や湖 、河川 に至 るまで浄化不能状態になってい る。環境破壊 は人類 の 生存 を脅かす水準 にまで至ってい る (サ リム)0

多様性 は 自然界のみな らず、人間社会 に とっても重要な意味 をもつ。ペイ ジ の分析 によれ ば、 ウェブ上のプラ ッ トフォームで、下記 の 4つの条件 が整 った ときた とえそれが一般人の意見 (コンテンツ)であっても専門家のそれに勝 る、

とい う。その 4つ とは、①問題がある程度 の難 しさを含 んでい る、②解答者 の 観点や問題発見力 (ヒュー リステ ィック)が多様 である、③解答者 の集 団が よ り大 きな集 団の中か ら選 ばれている、④解答者 の数 が十分 にある、である。い ずれ も多様性 を意識 してお り、非専門家 とい う意味では ウイキペデ ィアもこの 流れのなかで説明できるか もしれない。

リコーでもグローバル な発想や多様 な価値理解 を深 めるために、女性管理職 を対象 に した多様性 (ダイバー シテ ィ)推進 プ ログラム を研修 に組 み入れ た (日経産業新聞)。その背景には多様性がイ ノベーシ ョンや活力の源泉 になる と い う判断がある。

相手 を打 ち負かす ことのないグー ムー それ をゲーム とい うか ど うかは別 とし て‑ が有力 な経営戦略の 1つの候補 になるか もしれ ない。 それ は競争優位性 の 確保 にエネル ギー を使 い果たす よ うな レッ ドオーシャン戦略 とは異 な り、競争 のない世界や市場 を創造す るブルーオー シャン戦略である (チャンカ ン、 ら)。

ブルーオー シャンでは、既存 の複数の要素 を組み合わせた り、既存の思考 を変 えて非常識的な視点か ら見直 した りす ることに よって、新 しいマーケ ッ トが生 まれ る。

企業のグ ローバル化行動 を冷静に傭轍す ると、大 きく 2つの異 なった戦略 に 集約す ることが可能 であろ う。1つは 自由競争原理 を行動規範 にお き、地球的 規模での競争 を展開 し続 ける市場獲得一拡大行動の世界戦略である (Dunning;

Yip)。別の言い方 をすれ ば、覇権主義 にもとづ く顧客囲い込み行動 である。 も う1つは、市場創造 あるいは市場連携行動 に重 きをお く世界戦略である。 どち らか とい うと、"弾力性 を備 えた"共生型 ともいえる行動 を得意 とす る。 これま での分析結果か らみ えて くるのは、一人勝 ちを指 向す る覇権主義ではな く、共 に協働 し合いなが ら競創す る協創主義であるといって もよいか も しれ ない。覇 権主義は どち らか とい うと、経済や貨幣価値 中心の20世紀型 グローバル化行動

(12)

であるのに対 して、協創主義は資源節約 を意識 した機能や役割価値 中心の21世 紀型 グローバル化行動 である、 とい う位置づ けが可能である。

協創主義 を基盤 に した市場創造 あるいは市場連携行動の世界戦略の有力 な候 補 として、2つ あげることができよ う。 1つ は協働型創造 (セ ンゲ)、 も う1 つは脱成長 とポス ト開発 を基盤 に した好循環 (ラ トクー シュ)である。両者 に 共通す る説 明因子 は、多様性 と相補性 である とい う理解 は ど うで あろ うか。

locali7Jingglobalizatior]のイメージであるo 特 にラ トクーシュのポス ト開発 では、

オル タナテ ィブ社会の構築が課題 となる

ローバ

ル化行動特性

グローバル化オープン性の虚実

企業経営には ローカルであろ うとグローバルであろ うと、その行動規範 の1 つ に内向き中心なのかそれ とも外向き中心なのか とい う、対環境問題がある。

内向きは基本的に防御型 にな り、外 向きは攻撃型 になる。城 を守 るためにはエ ネル ギーや資源 の流失 を限 りな く抑 える龍城戦略が効 を奏す る。要塞型 と言い 換 えることもできよ う。

一方攻撃型 は城 を出て戦 うことになるので、要塞型 に比べて危険度 は格段 に 高 くなる。その反面、主体性や 自主性がパ ワー源 にな り、成功時の成果 は要塞 型 に比べてはるかに高 くなる。いわゆるハイ リスク ・ハイ リター ンのパ ター ン

である

グローバル化では、国の外 に向かって行動す るので、その基本行動 は開放系 になる。それ に比べて関税障壁 のよ うな要塞 を設置す ることは、それが ヒ トで あれ、モ ノであれ、カネであれ、情報であれ、来 るモ ノを拒 まず 、出るモ ノを 抑 える ある意味"虫のいい"話 しになる。少 な くとも健全 な経営行動 にはな り 得 ない。

一般的にはグローバル化社会では、出入 り自由が原則になるといわれている。

つま り国境の垣根 は限 りなく低いのが原則 となる。 ときにシーム レス、ボーダー

(13)

レス とい う言 い方 をす ることもある。 フ リー ドマ ンbは この現象 を"フラッ ト 化す る世界"とよんでい る。

また本来 であれば秘密裏 に展 開 され る企業の基本戦略や基礎研究 も、21世紀 に入 りその様相 を一変 させている。つま りテーマが単独 で開発 できるほ ど単純 ではな く、開発投資額 も資本金 の何割 にも達す ることがあるので、異業地社 の み な らず 同業 他 社 との 間 で も共 同 開発 す る こ とが一 般 的 に な りつ つ あ る (senge;Chesbrough)。 また"豊 か さ2倍 、資源 消費半分"を 目標 に掲 げ るファ クター4の考え方 も地球資源管理の視点か ら注 目してよいであろ う (ワイ ツゼ ッ カー)。 さらにイ ノベー シ ョン中心の技術資源 の場合 、開発 内容 を相互 にオー プンにす ることによって成長機会 を加速 させ ることが期待 されている。一種 の 資源共有の流れである。 か くしてオープンイ ノベー シ ョンは、シ ョウケース化

され る。

同業他社 間のイ ノベー シ ョン共同開発では、俄烈 な競争 が展開 され ることに なる。 た とえいずれかの側 で創業者利得が得 られた として も、その期間が何年 にも及ぶ ことはな く早晩キャ ッチア ップ されて しま う 競争 しなが ら協働す る 路 を選ぶ ことによ り、成果獲得時間が短縮 され、 しか も単独では気づかない部 分 にも刺激 を受 けることになる。

しか しオープンではあって も1つ重要 な指摘 を しておかなけれ ばな らない。

それ は開発時点ではパー トナー として参画 しておきなが ら、商品化が実現 し市 場 に出回 り出 した ときに起 こる。資金パ ワーにものをいわせ、相手 よ りもかな り廉価 な価格で提供す ることによ り、市場全体 を根 こそぎ奪 って しま う、 とい う動 きである。顧客に とっては、同一品質の商品がかな り安価で手 に入 ること になる。国際市場 では、類似 品の投入 も考 え られ る。 そ こでは信頼性 が問われ る。大 きな くくりの経営行動でい えば、認知力 の問題 になる。

本来 、英語 のcompetitionは Lcom一十 一petere= to strivetogetherafter something,coincide,agree,besuitableを意味す る つ ま りぴ った り合 う、一 致、合意す るまで努力 し合 うこと、を意味す る。言 い換 えるとcollaborationと 同義 なのである この場合、 win‑lose gameではな く、win‑wingame になる。

また成果 もWinnertakesall.ではな く、Winnersshareeach other.になる 相 互 に補完 し合いなが らあるいは補強 し合いなが ら、成果 を高めてい くことが可

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能 となる。そ こでは相補性が働いている。

堤 (わ)のもつ意味

環境は ̀環の境"のことを意味す る。環 とは四方を囲われた区域のことである。

したがって どこまでを囲まれた と認識す るかが課題 となる。 また環 は"まわる"

ことをも表 してい るOつま り循環の ことで もある, まわ りなが ら周囲 との間で の識別 を している とい う理解 も可能であろ う。

経営活動 に 目を向けると、 コー ラスあるいは演奏のよ うに異なった要素同士 の連動が問題 になる。 2つの連動 を考 えてみ よ う。第一は生産 と消費 との連動 である。その行動主体はそれぞれ生産者、消費者 となる。 グローバル化社会で は、国を超 えて生産者 と消費者 とが関係づ けあ う。両者 の間にはお互いに生態 系のなかでの関係 があ り、限 られた範囲内で相互関係が設定 され る。

わがままな生産者や消費者 を想 定す ると、お互いに必要最小限の接 点で連動 す る。具体的には貨幣 を媒介す る範囲内に限った商品やサー ビスの供 与 と享受 が連動対象 となる。 どこまでの範囲を認識す るかが問題 になる。 この場合、利 益に直接結びつかなければ、認識の対象 にせず に放置す ることになる。人間 と

自然 との関係 で も同 じ論理が作用す る。森林の伐採 についてみ ると、人間の側 のわがままな論理で、木 の再生 を怠 った。 そのつ けが今、われわれ に回ってき てい る。正の連鎖ではない負 の連鎖が作動 を開始 している。保水能力の激減、

酸素生成力の減衰、昆虫、鳥、動物 との共生機会減少、砂漠化 の拡大、な どで ある。景観 は著 しく後退 している。森林崩壊が負 の連鎖のス ピー ドをあげてい ることは事実であろ う (白井)0

互恵精神 のある生産者 と消費者 との出会いは、た とえ限 られた範 囲内での連 動であっても、決 して固定ではな く創意工夫す ることによって よ り広 い範囲の

システムを対象 に変動す る。新たな喜び を両者 ともに共有できる。

第二は経済(economy)、環童 (environment)または生態(ecology)、社 会(society) との三者連動である。それぞれ を三角形の頂点において相互連携す る。三者 は

トレー ドオ フの関係 ではな く、肝心な ところではぎ りぎ りの線 でつながってい る。お互いに相手 を犠牲に して 自分の利益だけを手に入れ る行動は とらない。

利 己的な行動は 自分‑のフィー ドバ ック時点で、価値が増幅 しないばか りでな

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く、3つの変数すべてが相互支援 しな くなる。つま り経済が生み出す利益、環 境 または生態が提供す る天然資源、社会 が基盤 としてもつ人間の地域共同体は お互いに支 え合い、他 の支援 を受 けなが ら共生 してい る。 これ を三重の基本線 (triplebottom line)とい う(senge) お互いが過度 に 自己主張せず に どの よ うな 配分で支 えあえば全体 としての成果が よ り高ま るか、が課題 となる。個別認識 の水準 と全体認識 の水準 との連動性が問われ る。言い換 えれ ば、三者連動 は人 間社会 と自然社会 との共鳴行動 のよ うで もある (松野)。

いずれの場合 も循環 を意識す ると、 よ り複雑で よ り多様 で よ り異質 な部分 を もつ循環 を実現す るために、継続的な協働学習が欠かせ ない。 関係者 がそれぞ れ"吾、唯、足 るを知 り"その足 るの部分 を相互 に共有す ることによ り、 さらに 大 きな認識力 を得 ることが肝心 となろ う。 その ことは さらに上位 の大 きな異 な りに遭遇 し、知 る部分 を高めてい く力 を養 うことになる。 ローカル はもとよ り グローバル な空間での企業行動では、一層のダイナ ミックな行動が求 め られ る。

ダーニングも世界の宗教 と文化 との関係 を分析 していて、人類 の智恵 の普遍性 について触れている。そ して智恵は足 るを知 る必要があると述べている。

複雑性 の もつ性格 について 一言、追加 しておきたい。英語 ではcomplexityで ある われ われの知 っている意味では劣等感 となる (リュ‑イ ン)。社会や 自 然現象 につ て優越感 をもっ ことは生きもの としての謙虚 さがな く、 自分 の支 配下にお こ うとす る意識 となって結実す る。そ うではな く、まず現実の諸現象 を謙虚 に受 け止 め学習 を試行錯誤 に繰 り返 しなが ら、複雑 な状態の理解度 を高 めることに集 中 しては どうであろ う。複雑性 は不透 明性や不確実性 とも連動す る (Stacey)。現状 を打破 し新 しい息吹 を未来 に吹 き込むためには、"分 か らな い部分"っ ま り知識 の劣等部分 を手元 にた ぐりよせ 、その構造や機能 を明 らか にす るきっかけ作 りもまた重要であるよ うに思 う。

言行を支える、協働 し合 う認知力

人間行動 では通常、言行一致が望まれ る。 しか しどの レベル の一致であるか を問題 にす る と、必ず しも望ま しい現象 ではない ことが分か る。 それは安易 に 実現可能な一致では、グローバル化社会 に何 らかの貢献 をす るヒ トとしての役 割 を果た していない ことになるか らである。 ここでの提案 は、た とえ低位均衡

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であって もそれ を上位 の均衡 に進展 させ るために、一時的に不均衡 を誘 導す る こ とである。言葉 >行動であれば、言葉 が行動 を上回っているので、言葉 に見 合 う行動 を意図的に実践す る。行動力の上昇 を他人 の支援 を受 けるこ とによっ て、試み ることも有力 な選択肢 の 1つ にな る。一方、言葉 <行動 であれ ば、行 動 が言葉 を上回ってい るので、行動 に見合 った論理 の組み立てを試 み る。論理 の組み立てが苦手 な場合 、有能 な仲間の支援 を選択肢 の1つ にす る。

ここでい う他 の力 とは、信頼 関係 で結 ばれた仲間の力 の ことで ある 連動 を 前提 とした協働や共鳴行動 には、相手 を裏切 らない相互信頼 関係 の存在 が欠 か せ ない (LoLia,Hardy) 契約 に もとづいた取 引関係 だけでは、不 十分 で ある。

believe,trust,reliabilityの よ うな関係者 間の粋 を築 くこ とが言行 を よ り上位 で 均衡 させ る必須 の要件 となる(Lawrence,etal.;Nooteboom)。

環や協働 あるいは共鳴行動 では、信頼 が基本 になる。Prahalad&Krishnanは 新 しい ことに挑戦す るいわばイ ノベー シ ョンの原則 として、 2つ掲 げてい る。

1つ は焦点 を個人 中心 にす るこ と、 であ るoN=1と表記す る 内容 は、限定 された時間における独 自の個客経験(oneconsumerexperienceatatime)である。

も う1つ は、焦点 を資源 の保有 ではな く資源 ‑のアクセ スにお く R=Gで表 記す る 内容 は、多様 な売 り手 ときにはグ ローバル な売 り手 の資源 (resources nlOm multiplevendorsandoftenfrom globe)である.

グローバル資源 、 しか も所有ではな く利用 を意識 してい る点でわれ われ の意 識 と同一である。 また資源利用 では信頼 がその根底 に流れていなけれ ばな らな い ことを考慮す る と、その内容の理解度や質の変化 、組み合 わせ の多様度 な ど と共 に、 よ り難易度 の高い資源活用が射程距離 に入 る。言動一致お よびそれ に 続 く不一致行動 では、継続的な新規学習活動 が適度 な緊張感 を伴 い しか も質の 高い認識力 を自己創 出す る。多様性 については、生物多様性 か ら学ぶ ことも有 力 な分析 アプ ローチの1つ になるだろ う (Takacs)

善循環の構築要件

梅原 は循環 を生 と死 との関係 で とらえてい る 肉体 は死んで も遺伝子や魂 は 不死であるとい う考 えであるo一般的には輪廻、転生 の2つの言葉 で循環 が説 明 され る。

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循環 には単純一複雑 の他 に、縮小一 拡大、悪一 善循環 な どの概念分割が可能 である。 グローバル化社会では、企業のみな らず個人 に とって も環境 との接点 や接触点が無限に増大す る。 当然の こととして、循環が複雑 になるにつれ要素 間の因果 関係 はあいまいになる。

もの ごとの善悪 を判断す る基準は、周囲に迷惑 をかけず に活 き活 き とした運 動 を展開す ることができるか どうかであると考 え られ よ う。 しか もその際、運 動結果が どうなるか事前 には予想 がつかない こともまた、行動 を促すひ とつの

きっかけになるかも しれ ない。

WestleyらはGetLingtoMaybeの著 のなかで、複雑性 が可能性 を意味 し、結 果は予測できな くて もよい、思考は行動の一形態である、社会 を変 えるために

自分が変わる、な どの刺激的なフ レーズを数多 く提示 して くれてい る。

これ らのフ レーズを異 なった表現 に置 き換 えてみ る と、雑木林、湖、

、牧 場、住宅、工場、道路、車、学校 、会社、喫茶店の よ うな異なった機能 をもつ 要素が、自然界 と社会界 との棲み分けをしなが ら、全体 としてなん とな く収まっ てい る様子 と相似であることに気づ く 言い換 えると、多様 な要素が複雑 に入 り混 じってひ とつの景観 を構成 してい る(Marten)。近 くで見 る とピカ ソの絵 の よ うに訳が分か らな くても一定の距離 をおいて眺めてみ ると、全体 として調和 が とれている ともいえる。

多様性 は循環の質 を高め持続可能性 を確実にす るために必要な特性 である。

質では同質 よ りも異質、空間では狭域 よ りも広域 、時間では短時間 よ りも長時 間が多様性 を多 く採 り込むO最 も多様性 の高いモデル は、異質性一広域一長 時 間 とい う組み合わせ になる。 しか しこれはあくまで も一般的 とい う条件がつ く。

環境への理解や認識力の程度が どの程度であるかによって、同一のスケール であっても全 く異なった判断が され る。た とえばマイクロソフ ト社のビル ・ゲー ツの多様度吸収程度 と筆者のそれ とでは、かな り大 きな差 になることが予想 さ れ る。つま り主観的な能力や価値水準が環境理解 を大き く左右す ることになる。

善循環 の構築要件 は、個別要素の 自主性 とよ り広い空間での関係性 とが微妙 に相互に連結 し合 っていること、状況 に応 じて個別要素の新陳代謝が起 こって いること、常に進化の機会 を探索 してい ること、役割 が固定 していない こと、

な どであろ う。

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おわ りに

一般 に利便性が増 し、安定や安心、安全度合いが確保 され ると、個 人の思考 能力は次第 に低下 して くる。脳 は休眠状態 に入 る。近代科学は不可能 を可能 に す ること、分か らない ことを分かるよ うにす ることで、学問の進歩発展 にこよ な く貢献 してきた。 グローバル化社会がその近代的な基盤整備 を請 け負 ってい る ともいえる

しか しその反面、次のよ うな問題点を露呈す るよ うになってきた。社会の仕 組みのブラックボ ックス化 の浸透、過剰 な生産活動 とモ ノを大切 に しない消費 活動か ら導 き出 され る大量廃棄、創意工夫 を必要 としない 日常生活、契約 した 取引の範 囲内ですむ選択肢の制限化、情報の中間加 工化 によるメニューの固定 化、顧客満足内容 の無意識化 、繰 り返 し判断機会の増加 による結果 として空 し

さの伴 う多忙化、マスメデ ィアによる消化不良の多様なメニュー と利用者のフォ アグラ化 、思考停止や消化力低下を促す情報 内容の幼稚化 、かまな くても食べ られ るよ うな食べ物の過剰 な事前加工化、な どな どである。

その一方でお膳立て して もらう既成 のメニューではな く、 自分 のための個性 的な手作 りのメニュー も登場 してきている。相手任せ の行動 の見直 しや 自分の 好みに合 わせたモ ノづ くりのよ うに、依存度 の高い仕組み を少 しだけ後退 させ ることか ら始 めては ど うであろ うか。三次元のCADを使 った衣類 の設計では、

利用者側 が 自分の好みに応 じて、作 る方法 もサー ビス化 されてい る。以下で、

幾つか提案 してみたい。

・できるところか ら共有機会 を探索 し、提案す る。違 った景色が少 しずつみ え て くる。

・中央 を作 らず周縁 あるいは周辺か らの参画 を試み る。次第 に周縁が中央の役 割 を果たす。いわば "多" 中心の動 きである。

・群盲象 をなぜてみて、その結果 を広場で公開す る。随か ら始 めてみ る

・足漕 ぎのタイ タニ ック号 を作 り、実際に操作 してみ る。

・周囲 との関係 をgiveandtakeではな く、giveandgivenに して、 自分の行動 をオープン化す る。そ して主語 を第一人称、第二人称の2つ にす る

・できるところか ら始 め、次第 にその環 を広 げてい く

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・環 同士の連結、連動 を意識 し、エネル ギーの共有化や共用化 を進 める。

・自分で設定 した枠 を、協働 をとお して設定 し直す。景観 図の修正 を図 る。

・学習 を繰 り返 し、闇値 の範囲やテ ィ ッピングポイ ン トを無理 しない程度 に微 増 させ る。

・地域性 とグローバル性 との性格 を併せ もつ。

・グローバルな意識 をローカルな個人 レベルに内包す る 先に提示 したlocalizing globahzationに加 えて、globalizinglocalizaHonを意識 のなかに組み込む。

・グローバル化社会 あるいは循環型社会‑の貢献度 をオープンにす るための認 証機能 をもつ (レイ ンボープ ラン推進協議会)。 その機能推進者 は当事者 同 士で もよい し、第三者機 関をたてて もよい。

これ らのランダムな項 目のいずれか らで もよい。旗振 り役 の個人行動 をでき るところか ら始 める。 この個人は ヒ トと置 き換 えて もよい。次第 に仲間を増や し、その範囲を拡大 して く。連動、共鳴が始まる。幸い、革新的技術 開発 が グローバル化社会 に参画す る一人ひ とりに等 しく機会 を提供 して くれ る。

景観 図に完成 品はない。気づいた ところか ら提案 し作 り出 してみ る。 明確 な最 終 ゴール は必ず しもな くてもよい。 レゴのよ うに少 し形がみ えてきた ところで、

その先 をどうす るかを試行錯誤的に考 える。 あ らか じめすべての要素 を規範的 に決 めてお く必要性 はない。 ア リの歩みのよ うに、できる ところか ら挑戦 して み るo 自分の得意分野か ら始 める。社会のもつ陰の部分 にもメスを入れ る。景 観は ヒ トによって異なるのは当然である。異 なった景観 同士 を見比べ、 よい と

ころを組み込み景観 の質 を高めることも可能である。

グローバル化社会イ コール グローバル企業ではない。 グローバル化社会 にふ さわ しい機能 を備 えた企業がグローバル企業なのである.またグローバル化社 会 にふ さわ しい役割 とは何かを自問 自答す る個人は、その社会の推進主体 にな

る。

あらゆる現象には表の部分 と裏の部分がある。そ してその部分は ときに リバー スす る。つま り表が裏 にな り、裏が表 になる。持続可能な生命体でい えば、生 が死であ り、死が新たな生 を作 り出す。片側 だけでは生の持続 は困難 である。

お互いに相手 を必要 とす る関係 にある。 この ことを念頭 にお くことが ローカル

(20)

に生 きてい よ うとグローバル に生きてい よ うと当為の条件 として必要 になる。

『フ ラ ッ ト化 す る世 界 』の著者 で あ る フ リー ドマ ンbは、Americanized globalizationは不要である、と述べている (日経 ビジネスb)。同じようにJapanized globalizationも不要 である どの国がきて も同 じである。 われ われ に とって今

こそ必要なのは、individualizedglobalizationなのではないだろ うかoglobalization の ところに、society,region,organizationをもって きて も同 じである。 個性 を もった個人すなわちindividualityは "グローバル化"を内包 している、 と考 える ことによって、狭除な世界か ら解放 され るであろ う。

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