中小企業の海外知識移転における制約要因と課題
‑ リサイクル・ カー トリッジ ・メーカーの北米工場の事例を中心に一 金 字 烈
Ⅰ 目的
本稿は中小企業の海外直接投資(ForeignDirect Investment)に焦点 を合 わせ、海外‑の知識移転 の問題 と課題 を考察す るものである。海外での 工場設営に伴 う知識移転の場合、本社の様 々な リソース (resources)、特 に、 自社 に とって競 争優位 にあるリソースをも移転す ることになる。
そ して これ らの リソー スが、競争相手に とって 簡単に真似 のできない暗黙知 (tacitknowledge) の固ま りであればあるほ ど、知識移転の問題 は 現地工場 の稼動率向上 とオペ レーシ ョン効率に 直結す る重要な要因であるだけではな く、海外 工場の競争優位獲得のために も重要な課題 とな る。
暗黙知の場合、文書化や コー ド化 による移転 が難 しいため、移転 に伴 う情報処理や相互作用 が増 え、その移転 には多大なコス トと時間がか かる。特 に、豊富な海外事業経験のある人材が 少ない中小企業に とって、暗黙知の海外移転に は多 くの制約要因が立 ちはだか る。 しか し、 こ れ らの暗黙知 を形式知 に転換 した り、機械 に組 み込んだ り、あるいは部品や工程 レベルのアー キテクチャをモジュラー型に変更することによっ て、暗黙知の移転 にかかわる情報処理の量や相 互作用の必要性 を大幅 に軽減 し、海外工場の早 期効率運営 を実現す ることも可能である。
一方、今 まで国際技術移転論では、技術の海 外移転に関連 して、移転方法論や移転チャネル、
立地選択の問題 な ど、いわば産業 クラスタの集 積や利用、そ してそのマ クロ的な傾 向の分析が 多かった。 しか し、個 々の企業戦略 とい う観点
で、 よ り動態的な移転プ ロセスに焦点 を合わせ ている研究はそれ ほ ど多 くない。 しか も、多 く の研究が主にMNCs(MultinationalCorporations) を対象 としてお り、中小企業に対す る研究はそ れ ほ ど多 くない。
本稿 は、 リサイ クル ・カー トリッジ向けの ト ナーお よび リサイ クル ・カー トリッジを生産 し ているA社の北米工場設立のケースを取 り上げ、
中小企業の海外知識移転の制約要因 と、知識 の 効果的移転のための課題 を考察す る。
Ⅱ 知識 とその海外移転
1 企業の競争力 として知識資源の重要性
経営学において、企業の競争優位 (competitive advantage)の源 泉 を、物理 的資産 か ら情報 な
どの知識資源 に求める傾 向が一段 と強 くなって い る (伊 丹敬 之,1984;Prahalad and Hamel, 1990;一条邦訳,1995;Quinn,1992)。 特 に、
野 中が組織 を、知識 を創造す る束 として とらえ た以 降(Nonaka,1994;野 中 ・竹 内,1996)、企 業 における知識 の共有 と蓄積 、そ して意図的な 知識創造が、イ ノベー シ ョンにつなが り、競争 優位 の源泉になるとい うフ レー ムワー クが、多 くの論者 によって受 け入れ られ 、ナ レッジ ・マ ネ ジメン ト (knowledgemanagement)とい う言 葉 ま で生 み 出す よ うに な った(Huber,1991; Grant,1996)。
知識 は、マニュアル化、言語化、標準化 でき る知識体系、すなわち、形式知 (explicitknowledge)
と、人 に体化 され た ノウハ ウ、感 、のれ ん、
技能 な ど、簡 単 に言葉 で表せ な く、対 面接 触 (face to face)を通 じてのみ共有 ・伝授 可能 な 知識 、す なわ ち暗黙知 (tacitknowledge)に分 類す ることがで きる。
特 に、暗黙知 にお けるコー ド化 の難 しさや暖 昧性 (ambiguity)な どの属性(polanyi,1966;邦 訳, 1980;Lippman and Rumelt, 1982,Zander and Kogut,1995;Grant,1996;Szulanski,1996) は、個人の経験、場の共有や共同体験 、そ して 文脈 の解釈 で しか移転 され ない とい う性質 を有 す るため、企業が これ らの暗黙知 を継承 ・拡散 してい くのには相 当の相互作用 と時間をかける 必要がある。 また、暗黙知はマニ ュアル化 、言 語化 、標準化 がで きないため、競争相手 も短時 間で真似 ができない。 よって、企業の競争優位 をもた らす 中核経営資源 としての役割 をも担 う ことにな る。 この暗黙知 に対す る真似 の難 しさ が(Barney,2002;邦訳,2003)1、企 業 間の知識 移転 と内部化 を妨 げるだけではな く、企業 内部 の知識移転 に も多大な努力 とコス トを伴 う要因 となる。特 に、国 をまたが る海外拠点‑の知識 移転は様 々な制約要素が複雑 に絡んでいるため、
その移転 は一層の難 しさを露呈す ることになる。
2
知識 と組織ルーチ ン一方、企業の 日々のオペ レー シ ョンに注 目し た場合、企業 に競争優位 を もた らす知識 の実体 をどのよ うに とらえることができるのか。Nelson and Winterは、組 織ル ー チ ンを、 「組織 または 個人 にお ける有効 な成果 をスムーズに引き出す 繰 り返 しの行為のパ ター ン」 と定義 し、そ こに は製品を生産す るために必要な特定の技術的ルー チ ン、在庫管理 のルーチ ン、投資 ・研究開発 ・ 広告 ・多角化や海外投資な どの戦略策定にかか わ るルーチ ンな ど幅広い範 囲がある とい う。 こ
れ らのルーチ ンについては、顕著な差異 はない ものの、実際 に生産活動 にかかわ る低位 のルー チ ン (low‑orderroutine)と、 なぜ その よ う技 術が選択 され たのか とい う問題 にかかわ る高位 のル ー チ ン(higher‑order routine)に分 類す る こ とが可能 とい う(NelsonandWinter,1982,p.97)。
低位 のル ー チ ンは、生 産 に関す るHow to、 つま りオペ レー シ ョン方法 にかかわ るもので、
言い換 えれ ば生産方法や操作方法 に関す る知識 である。 この低位 のルーチ ンはマニ ュアルや作 業標準の形式で、工場稼動 のために必要 とされ る最低限オペ レー シ ョン方法 を機械 的に適用す ることで、ある程度 スムー ズに移転す ることが 可能であると言える。 これ に対 して、高位のルー チ ンは意思決定 に関す る知識 であ り、生産活動 にかかわる新 しいルーチ ンを生み 出す原動力 と なるのである(山 口,2003)2。
山 口は、高位 のルーチ ンの移転 こそ、海外 工 場 の知識 レベル の向上 と知識創造 を可能 にす る 要素である とい う。す なわ ち、高位 のルーチ ン こそ、海外 工場 が 自らの学習 を促進 し、新 しい 知識 を作 り出す ために欠かせ ない知識 であ り、
高位 のルーチ ンの移転が、海外 工場 が果たす役 割 を進化 させ る とい うことを指摘 してい る。 そ して海外 工場のルーチ ンの獲得 は、マザー工場 と海外工場 がそれ ぞれ の視 点か ら様 々な問題 を 解決す るために、マザー工場 と海外工場の双方 において、多様 な情報 のチ ャネル と情報交換 の 中でルーチンの移転が行 なわれ ると考 えている。
また、マザー工場 と海外工場 に派遣 されてい る スタッフ、あるいは派遣 された経験のあるスタッ フの存在 がルーチ ン獲得 に非常に重要な役割 を 果た してい る とい う(山 口,2003)。
以上の よ うに、企業 にお ける組織ルーチ ンは 知識体系 とも言い換 えるこ とがで きよ う。つ ま り海外 工場‑の知識移転 は、単純反復的なオペ レー シ ョン的な知識体系 (低位 のルーチ ン) と、
1例えば、資源ベースの経営戦略論、RBV (Resource‑BasedView)では、VRIOフレームワークを提示し、価値があ り、希少で模倣の難 しいリソース (Value,Rareness,lnimitability,Organization)の存在と活用こそ、競争優位の源泉 であるととらえている。
2 山口は暗黙知と高位のルーチンをほぼ同義でとらえている。山口(2003)0 30 国際経営論集 No.34 2007
現 在 の オペ レー シ ョン を進 化 させ る知 識 体 系 (高位 のル ーチ ン) に大 き く分類す る こ とが で きる。特 に、オペ レー シ ョンを進化 させ る知識 体系は、相互作用 、文脈 と状況 の解釈 、そ して 対面接触 で しか体得 で きない場 合が多いため、
高位 のルーチ ンの移転 には暗黙知 の属性 が複 雑 に絡んでい る と言 える。ただ し、本稿 の関心は、
高位 のルー チ ンの移転 に伴 う、暗黙知 の移転 の 制約要因 と課題 は何 か を考察す る ことで ある。
3
海外知識移転 の関連 要素Winterは知識移転 に影響 を与 える次元 として、
(丑その知識 が暗黙知 か、形 式知 か、②知識 の次 元 が シンプル か、複雑 か (例 えば、複雑 な知識 を描写す るためには大量の情報 が必要 であ る)、
③ その知識 が大 きなシステ ムに組 み込 まれ てい るのか (systemic)、それ とも独立的 (independent) か (システ ム知識 は、他 の知識ベ クター との関 連性 で描写 され るのに対 して、独 立的な知識 は、
それ 自体 で完結す る)、 を取 り上 げてい る。 特 に、知識 の性 質 が システ ム的 な場合 、他 の知識 ベ クター との相互依存性 と関連性 の 中で実行 さ れ るので、システ ム知識 は、 しば しば暗黙知化
し、そ して複雑化す る傾 向にあ り、それ らの暗 黙知 を移転す るた めには、相互作業の場 を設 け
ることが非常 に重要 で ある(Winter,1987)0 また、Levenhagen,Tomas,and Poracは、累積 的な知識 開発 を知識ベ クター(knowledgevector) の コンセ プ トで表 し、 これ らのベ クター にあ る 知識 は累積 的 に発展す る ものの、ベ クター が交 差す る (intersect)時 に知識創 造 が起 き る とい う。ベ クター の交差 とは、相互 に関連性 のない 分野が収赦 し、累積 的 な統合 と融合 が行 われ る こ とを表 した もの で あ る(Levenhagen,Tomas, and Porac,1990;Garud and Nayyar,1995)3。
彼 らの論拠 に よる と、他 のベ クター との統合 が 新 しい知識 の創 造に よ り適 してい ることになる。
Levenhagen,Tomas,and Porac指摘 は、 意 図 的な相 互作用 の場 を設 けるこ とに よ り、知識創 造 が活発 に起 きる とい う野 中の主張 とも通 じる ものが あ る (野 中 ・遠 山,2006,第 1 ・2 ・3 章)4。 つ ま り、異 な るベ クター の収敦 とは、野 中の言葉 を借 りる と、身体 ・五感 を駆使 し、直 接経験 を通 じた暗黙知 の獲得 、共有 、創 出 (共 感) の共 同化 (暗黙知か ら暗黙知) のプ ロセ ス で もある と言 える(野 中 ・遠 山,2006,pp.10‑ll)。
この共 同化 を促進す る重要 な要素 は個人 間の相 互作用 で ある。 そ して この相互作用 のプ ロセ ス を通 じて簡 単に移転 し難い暗黙知 を体感 ・共感 ・ 実感 しなが ら、体得 してい くのであ る。
しか し、国 をまたが る異 国間で相互作用 の場 を持つ こ とは容易 な こ とではないた め、海外‑
の暗黙知 の移転 には多 くの コス トと時間がかか ることにな る。
subramaniam and Venkatramanは 、 合 計90社 に及 びMNCsの超 国籍 の製 品開発 に関す る調査 を通 じて、超 国籍 の製 品開発 お よび展 開 を成功 裏 に行 える組織力 は、 当該海 外 市場 に対す る暗 黙知 の移転能力 に大 き く依存 してい る とい う。
特 に、以前海外経験 があったか、また は海外マ ネ ジャー と頻繁 に コ ミュニケー シ ョンを とって い るメンバーで構成 され る、国 をまたが るチー ム (cross‑nationalteams)が、超 国籍 の製 品開 発 と展 開において よ り高い成果 を上 げてい る と い う(subramaniam andVenkatraman,2001)。
これ らの研究か ら、知識 の海外移転 の程度 は、
概 ね次の3つ の点 に整理 され うる。 第1は、知 識 の属性 であ る。 その知識 が暗黙知 で、かつ他 の システ ム と複雑 に絡 んでいれ ばい るほ ど、移 転 に必要 な情報や情報処理 の量 が多 くな り、移 転 を難 しくす る。
第2は コ ミュニケー シ ョン能 力であ る。 円滑 な コ ミュニケー シ ョン能力 を確 保 していれ ばい るほ ど、相互作用 の機 会 が増 え るので、暗黙知 の移転 は一層容易 とな る。
3Levenhagen,Tomas,andPorac(1990)は入手不可能のため、
4知識創造における相互作業の場の重要性 について詳 しい。
GarudandNayyar(1995)に基づ く。
図表
1
暗黙 知 の海 外移 転 と活用出所 :Subramaniam andVenkatraman,2001.
第3は、移転す る側お よび移転 され る海外現 地会社の知識吸収能力である。Subramaniam and venkatramanは、 情報 処理 システ ムの仮説 を援 用 し、海外の暗黙知が超 国籍 の製 品開発 に活用 され る程度 は、獲得 され た海外情報の暗黙知 の 程度 と、情報処理 メカニズムの豊富 さとのフイッ ト (Bt)にかかわ ってい る とい う。 ここでい う フイ ッ トとい うのは、組織 が獲得 した情報 をい かにそれぞれ の文脈 に合わせ て適応す るか、ま たは意味生成す るか (makingsense)の ことで、
唆味な情報 を、豊 富な情報処理 メカニズムを通 じて、 どの程度的確 な情報 に解釈 、または変換 し うるか とい うもので あ る(Subramaniam,and Venkatraman,2001)。
また、暗黙知 は、海外マネ ジャー と、対面接 触 (facetofaceconduct)を頻繁 に とることが できるメカニズムを採用 してい るな らば、 よ り 容易に移転 され るという(DaR andLengel,1986;
Kraussand Fussell,1991)。 特 に、海 外経験 を もってい るメンバーで構成 され るチー ムは、特 定国の特殊 な情報 の解釈や それ を効果的に活用 す る能力 に優れてい るため、新知識 を生み 出す 原動力 となる(CohenandLevinthal,1990)。
結局、知識移転 の程度 は、移転す る側お よび 32 国際経営論集 No.34 2007
移転 され る現地の知識 吸収能力だけではな く、
マネ ジメン ト・システム と深 くかかわってお り、
移転す る側 の組織化能力 と、移転 され る現地側 の受 け入れ体制 に よって、知識移転 の レベル が 決 ま る と言 える。 この ことは、産業お よび製 品 属性 は もとよ り、本 国本社 の状況 に加 え、受入 国にお ける組織 、人事、労務 な どのマネ ジメン ト・システ ムに移転方法が合致 しなけれ ばな ら ない ことを物語 ってい る とも言 えよ う。
4 日本企業の海外生産 システムの移転 と暗黙知
一方 、 日本企業 は、暗黙知 の共有 と拡散 に よ る組織的知識創造力 を通 じて、高い国際競争力 を形成 してお り(野 中 ・竹 内,1996)、そのため、
暗黙知の国際移転 を どの よ うに行 なってい くか が、 日本企業の国際化 に大 きな課題 となってい る(安室,1986,1992;吉原 ・林 ・安室,1998)0 また、林が指摘 してい るよ うに、 日本企業の海 外技術移転 の形態 は、OJTや研修比重が非常 に 高い と言 われ る。 日本企業 がOJTや研修 を多 く 活用 してい ることは、欧米 に比べ、マニ ュアル 化 に遅れ てい るか らだ けで はな く(林,1995)、 日本企業が生産現場 において多 くの暗黙知 を活
図表
2
日本 的生産 システム の国際移 転 モデル の適用 ・適応 (ハ イ ブ リッ ド)度評価 大 分 類 小分類 (自動車組立、 自動車部品、家電、半導体の4産業合計平均) 作業組織 とその 職務 区分(3.7)、賃金体系(2.4)、ジ ョブ .ローテシ ヨン(2.6)、教育 .訓練 管理運営(2.9) (2.9)、昇進(3.1)、作業長(2.9)生産管理(3.3) 生産設備(4.3)、品質管理(3.4)、メンテナ ンス(2.6)、操業管理(3.0) 部品調達(3.0) ローカル .コンテ ン ト(2.7)、部品調達先(3.9)、部品調達方法(2.5) 参画意識(3.2) 小集 団活動(2.5)、情報共有化(3.6)、一体感(3.5)
労使 関係(3.6) 雇用政策(3.4)、雇用保険(3.4)、労働組合(4.4)、苦情処理(3.3) 親子会社 関係(3.6) 日本人比率(3.7)、現地会社 の権限(3.6)、現地経営者 の地位(3.6)
出所 :安保 ・坂垣 ・上山 ・河村 ・公文,1991、67ページ。ただ し、修正抜粋。
用 し、 しか も、 これ らの暗黙知 を海外の生産拠 点に移転す ることが、生産 システム全体の移転 に非常に重要な部分 を占めてい るか らであると 言 える。
ここでは 日本企業が、海外 に生産 システムを 移転す る際に、なぜ暗黙知の移転が重要なのか、
そ してそれ は、 日本企業が生産 システムを海外 に移転す る際に どの よ うな課題 を突 きつ けてい るのかについて考察す る。
Womack,Roos,and Jonesは、 日本 的生産 シ ステ ムを リー ン生産方式 ととらえ、 「手作 りと 大量生産の利点を兼ね備 え、両者 の欠点 (手作 りの場合の コス ト高、大量生産 における融通性 の欠如)」を克服 しよ うとす るもの として評価 してい る。 しか し、そ こには組織のあ らゆるレ ベル にお ける多能工の存在 とそのチーム化が必 要であるため、それ らが 日本的生産 システムの 海外‑移転 を非常に難 しくす る要因 となってい る と指摘す る(Womack,Roos,andJones,1990;
邦訳,1990)0
また、Kenny andFloridaも、 日本的生産 シス テ ム を革 新 伝 達 型 生 産 (innovation‑mediated production)とみ な してい る。 そ してそれ を支
えているのは、生産 システムにお ける従業員の
肉体的労働 だけではな く、知的労働 を統合す る 組織慣行 にある といい、 このよ うな組織慣行 が 日本的生産 システムの海外移転 を難 しくす る要 因 で あ る指 摘 して い る (Kenny and Florida, 1993)。
一方、安保 らは 日本的生産 システムの国際移 転モデルの適用 ・適応度評価 に関 して、アメ リ カでそのまま 「適用」 された部分 と、修正 され 適応 された部分が混合 したハイブ リッ ト型 にな る といい、 次 の よ うな項 目を取 り上 げてい る (安保 ・坂垣 ・上山 ・河村 ・公文,1991)。適用 ・ 適応度評価の うち、全産業平均 (3.3)を下回っ てい る大分 類 と して は、 「作 業組 織 」 とそ の
「管理運営」(2.9)、 「部 品調達」(3.0)、 「参画 意識」 (3.2)となってお り、 「作業組織」 とそ の 「管理運営」の適用 ・適応が一番低い ことが 分かる。特に、 「作業組織」 とその 「管理運営」
において も、賃金体系 (2.4)、 ジ ョブ ・ローテ シ ョン (2.6)、教育 ・訓練 (2.9)、作業長 (2.9) な どが平均 をかな り下回 り、適用 ・適応度が非 常に低い ことを見せ ている。
次に小分類 として全産業平均 (3.3)を下回っ てい る項 目は、メンテナ ンス (2.6)、操業管理 (3.0)、 ローカル ・コンテ ン ト (2.7)、部 品調
達方 法 (2.5)、 小集 団活動 (2.5)とな ってい る。特 にメンテナ ンスと小集団活動が低 い こと が浮 き彫 りになってい るが、その要因は後述す るごとく、 日本的生産 システムにお ける 「自働 化」と 「継続 的な工程改善」 に求 めることがで きよ う。
安保 らの調査で平均 を下回 ってい る項 目を見 る と、生産方法や操作方法 にかかわ る問題 (低 位 のルーチ ン) よ りも、新 しいルーチ ンを生み 出す次元やマネジメン ト・システ ムの移転 にか かわ る項 目が多い ことが分 か る。 この ことは、
言 い換 えれ ば、 日本 の生産 システムは、熟練 の 形成 を前提 と した多能工 と知的労働 、そ してマ ネ ジメン ト・システムが融合 して成 り立ってい るものである言 えるのではなかろ うか。
また、 Ll=」は、 トヨタ生産 システムを完成 さ せ た大野(大野,1978)氏 の考 え方 に基づ き、日 本的生産 システムを 「ジャス ト・イ ン ・タイム」
と 「自働 化」 の融 合 と考 える。 「ジャス ト ・イ ン ・タイム」 と 「自働化」の関係 は、生産 シス テ ム全 体 を動 かす 考 えが、 「ジャス ト ・イ ン ・ タイム」であ り、個 々の要素の改善 を支 える考 え方が 「自働化」 とい うことになる。 そ して、
日本的生産 システムの国際移転は、「ジャス ト・
イ ン ・タイム」 とい うシステム全体 に対す る考 え方 と、その実行 の方法 において 「自働化」と い う個 々の要素の継続 的な レベル ア ップの考 え 方 を移転 しなけれ ばな らない。 さらに 「自働化」 は問題 の発生に対処す るための工程改善 を継続 的 に行 な うことであるため、作業従事者 は、一 定の技能以上の熟練 を身 につ ける必要がある と い うのである(山 口,1996)。
日本 の生産 システムの海外移転 に関す る以上 の研究 は、暗黙知 の要素 を多 く含む高位 のルー チ ンは、継続 的な工程改善 を行 な う作業組織お よび生産管理 の要素 を移転 しなけれ ば獲得でき ない ことを表 してい る。 特 に、 「ジャス ト ・イ ン ・タイム」 と 「自働化」の進 め方は、生産 シ ステム運営上の ノ ウハ ウ部分が多 く、言語 に よ る説 明が難 しいた め、研修 、人的交流 、小集 団 活動 な ど相互作業 の場 に頼 る傾 向が多 くな る。
34 国際経営論集 No.34 2007
この ことは言い換 えれ ば、 自働 生産設備 の移転 が完 了した として も、生産工程 にお ける真 の知 識移転 はまだ始 まっていない と言 えるか も しれ
ない。
日本 の生産 システムにお ける暗黙知の要素が 大いに介在す るこ とを うけ、
山
Uは、マザー工 場制の重要性 を強調 し、マザー工場制 は暗黙知 を伝達す る制度であるとい う。マザー工場 とは、親会社 にお ける技術移転 のセ ンター として、海 外か らの人材 を受 け入れ 、訓練 を行 ない、海外 で運営 しやす い製造技術や ノウハ ウを開発す る な ど、技術移転戦略の中心 を担 う大規模 な組織 単位 として とらえ られ る。 そ して、マザー工場 システ ムは、暗黙知の移転 に際 して、暗黙知 を 形式知 に転換す る機能 を果 たす だけではな く、
暗黙知 を暗黙知のまま海外 工場 に移転す る機能 を も果たす。 また、マザー工場制 を取 っていな い企業の場合 において も、 日本 の従業員が持つ 暗黙知 を技術や生産設備 とい う形式知 に変 える か、または暗黙知 のままでの移転 は、技術者 の 派遣 、 日本 での研修 な どを頻繁 に活用 してい る
とい う(山 口,1996)。
以上、 日本企業の知識移転 は相互作用の場 を 積極 的に共有す ることに よ り、暗黙知の共有 と 創造 を図 る傾 向が強いが、一方 では、 自働化 、 形式知化 、そ して製 品や生産工程 のモ ジュラー 化 を通 じて、海外知識移転 に必要 な情報処理 の 量 と必要性 を減少 させ る方法 も積極的 に模 索 し てい る と言 える。
5
製品アーキテクチ ャと知識移転上記 で 日本 の生産 システ ムにお ける暗黙知の 多用 と、そのため 日本 の生産 システ ムの海外移 転 には人的交流 を中心 とした相互作用 の場が非 常に重要である と指摘 した。 しか し、一方では 製 品や生産工程 のモ ジュラー化 に よって、暗黙 知 の形式知化や 、生産 システム 自体 の移転 を容 易にす ることも可能である。 ここでは、製品アー キテ クチ ャの基本概念 とその属性 、そ して知識 移転 との関連性 について概 略 してお く。
一 般 に 、 製 品 ・工 程 の ア ー キ テ ク チ ャ (architecture)とは、 「どの よ うに して製 品 を 構成部品や工程 に分割 し、そ こに製品機能 を配 分 し、それ によって必要 となる部品 ・工程間の イ ンター フ ィー ス (interface)をいかに設計 ・ 調整す るか」に関す る基本的設計思想 の ことで ある(藤本,2001)。 代表的な分 け方 と しては、
「モ ジュラー型」 と 「イ ンテ グラ型」 の区別 、 または 「オープン型」 と 「クローズ型」の区別 (LJlrich,1995;Baldwin and Kin,2000;藤 本 , 2001;安藤,2004)があ ると言われ る。
「モ ジ ュ ラー ・ア ー キテ クチ ャ (modular architecture)」製 品 とは、機能 と部品 (module) との関係 が1対1に近 く、シンプルな形 になっ ているものを指す。各部品はそれぞれ 自己完結 的な機能があ り、 1つひ とつの部品に非常に独 立性 の高い機能が与 え られてい る。 そ して、構 成要素間は、事前に標準化 されてお り、部品間 の擦 り合せ はほ とん ど必要 としないため、各構 成要素間の機能的 ・構造的相互依存性 は非常に 低い。
これ に対 して、 「イ ンテ グラル ・アー キテ ク チ ャ (integralarchitecture)」製 品 とは、機 能 郡 と部品郡 との関係 が錯綜 し、各要素間の機能 的 ・構造的相互依存関係 が高 く、全ての部品が 相互に微妙 に調整 しあって、 トー タル ・システ
ム としての最適化が可能である。
さらに、 「複数企業 間の連携 関係 」 とい う軸 を加味す ると、 「オープン型」 と 「クローズ型」
があ り、も う1つのアーキテクチャ分類 となる。
「オープ ・アーキテ クチ ャ (open architecture)」 の製品 とは、基本的にモ ジュラーの製品であっ て、なおかつイ ンター フェースが企業 を超 えて 業界 レベルで標準化 した製品の ことを指す。 し たがって、企業 を超 えた寄せ集 め設計が可能 と な り、異なる企業か ら素性 のよい部品を集 めて 連結すれば、複雑 な 「擦 り合わせ」な しに、直
ちに機能性 の高い製 品が生み出 され る。
最後に、「クローズ ・アーキテ クチャ (closed
architecture)」の製 品 とは、モ ジュール間のイ ンター フェース設計ルールが基本的に 1社内に 閉 じてお り、イ ンター フェースの設計や機能設 計な どの基本設計部分は、 1社 で完結 している
ものを指す5。
しか し、製品システム全体を 「モジュラー型」 か、 「イ ンテ グラル型」 か とい う二項対立的 に
とらえること自体が正確ではない ことに注意 さ れたい。製品構成要素全てが、構造的に、機能 的に独立 していた り、全てが強い相互依存関係 にあることは少ないため、製 品アーキテ クチ ャ は、本来製品機能 ヒエ ラル キー と製品構造 ヒエ ラルキーの間 (さらに工程 ヒエ ラルキー との間) で規定 され るもの として とらえるべ きである。
す なわち、その製品がモ ジュラー的であるか、
イ ンテ グラル的であるかは製 品 システム全体 よ りも、個 々の部 品ない し部品ユニ ッ ト・レベル によって異なるのである(韓 ・近能,2001,p.230)。
一方、藤本は、20世紀後半の 日本企業は、イ ンテ グラル型 ・クローズ型 アー キテ クチャ製品 で国際競争力を持つ傾 向が強かった と指摘す る。
戦後 日本のメーカーが得意 としてきた、いわゆ る濃密 な コミュニケー シ ョン、緊密 なコーデ ィ ネーシ ョン等の強みが活 きやす いのが、イ ンテ グラル ・アー キテ クチャ系の製 品であるとい う (藤本,2001)。 す なわち、極 めて暗黙知的な要 素が強 く、 しか もそれがシステ ム的に複雑 に組 み込まれてい る産業 ほ ど、 日本企業は強み を発 揮 してきた と言 える。
この ことは、 日本企業は熟練 と多能工化 を通 じて、擦 り合わせ得意の生産 システムを進化 さ せ、優位性 を発揮 してきた。そ して全工程プ ロ セスにお ける擦 り合わせの進化は、工程お よび 部品間の微調整 を得意 とす る暗黙知の形成 を さ らに促進す る結果 となった と言 える。特に、 自 動車のよ うにイ ンテ グラル型製 品の場合、累積 的な進化 、つま り経路依存性 (path‑dependent) が強いため、技術及び品質 にお ける優位性 を発 揮す ることができるのである。 また、 この経路
5アーキテ クチ ャの基本概念の説明については、藤本(2001)に基づ く。
依存性 による優位性 を持続す るためには、 「組 織的学習能力」を構築す ることであ り、そのた め 日本企業 は、 「組織的学習能力」を刺激す る マネ ジメン ト・システムの構築 に多大な工夫 を
してきた と言 えよ う。
さらにアーキテ クチャの属性 は、国際的技術 移転や生産活動の配置にも影響 を及ぼ している。
椙 山はカーオーデ ィオ‑ M社 の事例で、 コア機 能で、 日本で集 中的に開発 されていたチューナ、
カセ ッ トやCDな どのデ ッキをモ ジュラー化 に す ることによって、商品グループお よび要素部 品グループ との事前調整や 日常 レベルでのコミュ ニケーションが不要 となったとい う。さらにチュー ナパ ックのモ ジュラー化 によって、設計 自体が 容易 とな り、海外 に移管 しやす くなった。つま り、モ ジュラー化 によって、①情報のシステム 依存性 の削減 と国際間の調整お よび能力移転の 効率化、②組織学習を焦点化す ることによって、
新 しい立地特殊的な価値の獲得、 とい う効果が 生み出 された とい うのである(椙 山,2001)0
このことは、製品および生産工程のモジュラー 化 を推進 した ことで、部品設計が容易 とな り、
開発の現地化が促進 され、結果的に製 品開発活 動の国際分業のあ り方 を大き く変 えていること を表 している。 また、製 品アーキテ クチャ属性 の変更を通 じて、企業はその国際調整や分業を よ り自由に行 な うことが可能 とな り、製品アー キテ クチャの属性 が製 品や知識 の移転方法にも 大 きな影響 を及 ぼす可能性 を示唆 しているので ある。
6 中小企業の知識移転 における制約要因
以上の先行研究 に基づ き、中小企業の海外知 識移転 を想定 した場合、特に浮 き彫 りに され る だろ う制約要因 と課題 を整理す る。そ して次章 の事例 を通 じてその確認 を試み る。
第1に、 コミュニケーシ ョン能力 とマネジメ ン ト・システムの移転 ・適応能力である。特 に 文脈で しか理解で きない暗黙知の場合 、巧みな 外国語行使力だけではな く、いかに国際間のメ 36 国際経営論集 No.34 2007
ンバーがその よ うな文脈 の場 を設 けるかが重要 である。そのために長期間にわたる現地スタ ッ フや本国スタッフによる人的交流だけではな く、
高位 のルーチ ンを適応 させ てい くための意味生 成 (sense‑making)、 自働 化 を支 える継続 的改 善 といったマネ ジメン ト・システムを どこまで 移転 ・適応 させ うるかが課題 である。
第2に、アーキテ クチャのデザイ ン能力であ る。椙 山の研究が示唆 してい るよ うに、擦 り合 わせの必要な部品をモジュラー化す ることによっ て、設計 自体が容易 とな り、開発 の現地化や海 外移管が しやす くなる。つま り、 コア機能や部 品のモジュラー化、または生産工程のモジュラー といったアーキテ クチャのデザイ ン能力の優劣 が、海外知識移転の程度 と成果 を左右す る重要 な変数 の 1つであると言 える。
第 3は 、 暗 黙 知 を形 式 知 に変 え る表 出化 (externalization)能力である。 表 出化 は個人の 知である暗黙知 を、言語やイ メー ジ、モデル な ど何 らかの表現手段 を媒介 して形式知化 し、集 団の知 として発展 させてい くプ ロセスである。
例 えば、熟練労働者 の技能 をマニュアル に落 と し込んだ り、新製 品の コンセプ トを創造 した り す ることが表 出化 であ り、暗黙知 よ りもはるか に多 くの人に知識 を効率的に伝 えることができ る。 このプ ロセスでは対話 とい う共同作業が非 常に重要であ り、それ を通 じて個人が もつ暗黙 知 が言語化 され概念化 され てい くのである(野 中 ・遠 山,2006,p.ll)。
表出化の能力は知識 の移転方法やチャネルの 選定の問題 も重要であるが、本 国において暗黙 知 をいかに形式知 に変換 してい くか とい う、本 国における知識共有 と拡散 のための仕組み も海 外知識移転 には重要な影響 を及ぼ してい ること を示唆 している。
第4は工程 自働化能力である。工程 自働化は、
従業員が持つ暗黙知 を技術や生産設備 とい う形 式知 に落 とし込む か(山 口,1996)、または生産 工程 を擦 り合せの不要なモ ジュラー型 に変更す ることと表裏一体の関係 にあると言 える。製 品 や生産工程がモジュラー型 となれば、製品や生
産工程間の分業や組織 間の擦 り合せの必要性 が 減 り、情報処理 の必要性 も少 な くな る(韓 ・近 能,2001)た め、モ ジュ ラー型 アー キテ クチ ャ の知識 は移転 しやす くなると言 える。
第5は、移転 され る現地の知識吸収能力であ る。知識移転の効率性 は、現地の知識吸収能力 と深 く関わ ってい る。Gupta and Govindarajan は、ターゲ ッ ト事業所 にお ける知識 の吸収能力 (absorptive capability ofthe targetunit)は、
① 獲 得 され る知識 との親 密 性 (familiarity of incoming knowledge)、②事業所 間の同質性 と関 連 して い る とい う指 摘 して い る(Gupta and Govindarajan,2000)。 す なわち、海外‑の知識 移転 レベルの選択は現地の知識吸収能力、言い 換 えれば現地 にな じみのある知識 、そ して本国 と現地 との文化的 ・マネ ジメン トの同質性 の程 度 に深 く関わってい る と言 える。
以上、知識移転お よびアーキテ クチャに関す る先行研究に基づ き知識移転 と関連す る要素 と
して 5つ を抽 出 した。 次章ではA社 の事例 を通 じて、中小企業の海外知識移転における制約要 因 と課題 について考察 してい く。
Ⅲ リサイ クル ・カー トリッジ ・メー カー ・
A
社の北米進出 と知識移転1 A社の概要
A社 は、 レーザープ リンター用お よび複写機 用 トナーの開発 ・製造 と、プ リンター用 トナー カー トリッジの リサイ クル利用 を主要事業 とし てい る。全体売上の約85%が リサイ クル ・カー
トリッジ用 トナーで、約15%が リサイクル ・カー トリッジで 占め られてい る。 1982年創業 し、現 在 は資本金3億8,408万 円、従業員124名 、売上 高62億 円(いずれ も2006年3月末時点)の中堅 メー カーで、特に リサイクル ・カー トリッジ用 トナー 市場においては世界 トップクラスのシェアをもっ
6使用済みの トナーカー トリッジに充填す る トナーの開発
てお り、顧客 よ り高品質の トナー ・メーカー と して高い評価 を得ている。
日本国内よ りも北米 とヨー ロッパ に強い販売 力 をもち、 リサイ クル ・カー トリッジ用 トナー の売上の約60%は海外売上である。海外売上比 重が高い理 由は、 リサイ クル ・カー トリッジ市 場はニ ッチであるが、グローバル な市場であ り、
しか も、 リサイ クル ・カー トリッジは 日本 よ り も環境意識 の高い北米や ヨー ロ ッパ市場の需要 が高いか らである。
A社は トナー ・メーカーであるが、プ リンター ・ メーカーの下請 けや系列会社 ではないのが、特 徴的である。A社 は、 リサイ クル ・カー トリッ ジ用 トナーの開発 と製造 に特化 しているため6、 当然多種多様なカー トリッジ (仕様の異なる様々 なメーカーのカー トリッジ) に汎用的に対応す る高品質 ・低 コス トの トナー開発力が事業成長 のカギを握 ってい る。 そのため コア ・テ クノロ ジー として、 トナーの主原料である樹脂の改良 技術か ら トナーの帯電制御技術 、 トナーに含有 され る着色剤 ・wAX等 の分散技術 、 また ミク ロン単位 の粒子 を均一に丸 くす る表面処理技術 な どを保有 ・駆使 してい る。
さらに昨今の 「世界的環境意識 の高ま り」は、
様 々な産業 ・製 品分野において リユース ・リサ イ クル率 を向上 させ、 リサイ クル ・カー トリッ ジ ・メーカーであるA社には事業上の機会 となっ ている。カー トリッジに対す る需要の高ま りに 対応す るために、A社 は 日本か ら北米向け輸 出 を、現地生産に切 り替えることに したのである。
2
北米工場設立 と北米工場の概要A社 がア メ リカ ・オ レゴン州 に現地 工場 を設 立 し、稼動 しは じめたのは、2002年10月である。
オ レゴン工場 を設 立す る以前 よ り、アメ リカに は営業部門を設置 していたが、アメ リカ市場 に お ける取引先が増加 した ことと、生産か ら供給
製造 と、この使用済みカー トリッジを直接回収 し、 トナー の充填 までを行 なってか ら再販売す る リサイ クル ・カー トリッジ、の2つの事業にA杜 は特化 してい る。
までの リー ドタイ ムの短縮や 関税の節約 、そ し て為替 リスクの軽減 な どの 目的か ら北米工場設 立に踏み切 った。 オ レゴンを選択 した理 由は、
土地、光熱費が安いだけではな く、税金優遇策 や治安が よく労働力 も豊富だ とい うことな どが 取 り上げ られ るが、同業界は設備集約型の産業 であるため、人件費 よ りも光熱費の安 さ、安定 供給が立地選定において非常に重視 された。他 には、 日本か ら近 く、 日本企業が多 く進 出 して いることもオ レゴン立地選択の重要な理由であっ た とい う。
中小企業の海外直接投資は、系列関係 にある 発注先企業の海外進 出に同伴す るケースが非常 に多い。 しか し、A社 は販売チ ャネル を先 に開 拓 し、そ して リー ドタイムの短縮や現地需要‑
の対応 といった よ り積極的な意図によって海外 進出が決定 された ことが特徴的である。
2002年10月オ レゴン工場設立以来、営業 ・製 造 ・品質管理 ・管理部門の30名体制で運営 され てお り、オ レゴン工場の月間生産数量はモ ノク ロ トナーのみで90t(5品種)である。 ちなみに、
日本国内の製造拠点である岡山工場の月間生産 トナー数量はモ ノクロとカラーを合わせて約400 t生産 (モ ノクロは約30品種弱)に及んでいる。
オ レゴン工場 は、開発部門を持たな く、積極 的な新製品の生産 とい うよ りも、市場販売後の 製 品仕様が固まったモ ノクロ トナーに特化 して いる。一部岡山か らの指示書 を発行 し新製 品な どの試作 を行な うことはあるが、基本的には技 術 ・開発部門を持たず生産のみに専念 している。
すなわち、新製 品開発 の全ては 日本で行 ない、
オ レゴン工場は生産のみ を行なってい るのであ る。ただ し、 日本 とは異な り、細部 にわたる生 産 ライ ンであるため、オ レゴン工場でのみ生産 可能 なモ ノクロ トナー もある。
カラー トナー を生産 していない理 由は、技術 的理 由 と、生産計画の理 由か らである。カ ラー の生産工程 には、モ ノクロにはない、 トナー球 形化処理が必要 になるが、オ レゴン工場 にはこ れ らの設備 がない。 また、岡山工場でカラー生 産のキャパ シテ ィを確保す るためにモ ノクロ生 38 国際経営論集 No.34 2007
産拠点 としてオ レゴン工場 を立ち上げた ことも あ り、カラー生産は当分検討 していない とい う。
この ことか らA社 のオ レゴン工場 は、標準品の 需要増加 に備 えた生産拠点 としての性格が強 く、
オペ レー シ ョン方法にかかわる低位 のルーチ ン の移転が当分の課題 である と言 える。
3
トナーおよび リサイクル ・カー トリッジの アーキテクチ ャ属性トナーはその特徴上、ユニ ッ ト別‑の分解 は 不可能であ り、原材料‑の分解 になって しま う ため、工程 によるアーキテ クチャを把握す るこ とが有益であろ う。基本工程 は以下の通 りであ る。
① 混練 :原材料 を加熱溶解 しょく混ぜ あわ せ る
② 粉砕 :混練物 を トナー として適切 な数 ミ クロンの大きさに砕 く (機械粉砕、エアー 粉砕 な ど)。
このよ うな ミクロン単位 の製品特性 があるた め、生産工程 にお ける 目で見た品質管理 は不可 能で、生産設備 の稼動状況 を含 めた工程品質管 理が非常に重要である。特 に後述す るごとく、
規格確立の難 しさか ら、継続的な品質改善 と工 程改善が重要である。 カラーな どの新製品は、
生産工程や原料の配合 な どの改良が特 に多い。
また、原料の配合 な どに よ り機械 の処理量に影 響があるため、品質の向上 もちろん、生産の効 率化や設備の稼働率ア ップによる原価削減には、
製造現場か らの 「情報」 も非常に重要になる。
これ らの理 由もあ り、 トナー 自体の生産や技術 開発 に関 しては、 「この レベル な ら市場販売可 能」 とい う厳格 な基準があるわけではない。今 はほぼ全工程が 自働化 され てい るとはいえ、各 工程間の機能的 ・構造的相互依存関係 が高 く、
全工程 において、擦 り合わせが重要なイ ンテグ ラル ・アーキテ クチ ャとしての属性 を強 くもっ ていると言 える。
一方、使用済みカー トリッジ‑ トナー を充填 するリサイクル ・カー トリッジの生産には、カー トリッジの構成部品な どの特性やプ リンター 自 体の特性 の理解 と対応 が必要である。基本的に トナーは複数カー トリッジ‑充填可能 な汎用性 が必要 となる。 トナーカー トリッジの国際規格 は特にないが、プ リンターの一部品としてのカー トリッジになるので、製 品のユニ ッ トはプ リン ター構造 に依存す る。
特に リサイ クル用 トナーは、カー トリッジの 他の構成部品 との相性や消耗度合い影響 されて お り、 リサイ クル品のメ リッ トを出すためには 多種多様 なカー トリッジ‑の汎用性 が重要 とな る。そのため、技術開発の現場において 「規格」
の確立が難 しい状況である。 この ことは言い換 えれば、 トナー とカー トリッジとのインターフェー スのルールが基本的にプ リンター ・メーカーに よって別々であり、 トナーの仕様やインターフェー スの設計方法はプ リンター ・メーカー内で完結 してい ると言 える。 したがって、 リサイ クル ・ カー トリッジの生産 (使用済みカー トリッジに
トナーの充填事業)は、イ ンテ グラル ・クロー ズ型アーキテ クチャ としての属性 をもってい る ものの、A社 は汎用性 を強化 し、モ ジュラー ・ クローズ型アーキテ クチャとしてその属性 を変 更 しつつあると言 えるのである。
モ ノクロ トナー生産拠点 としてのオ レゴン工 場の位置づけ、そ して トナー生産 における上記 の特性 もあ り、工場稼動 に合わせ、岡山で運用 していた、製造規格書 (製造方法) と製 品規格 書 を英訳 しオ レゴン工場 に持 ち込んだ。 ちなみ に、生産設備 は一部 日本か ら輸出できない もの を現地で購入 したが、基本的には 日本で製作 し、
オ レゴン工場でセ ッテ ィング した。生産設備 に 関 しては、オ レゴン工場向けの生産設備 に特別 な工夫 を したわけではないが、岡山、オ レゴン に限 らず、最近導入 した装置は 自動化が進んで いる とい う。 しか し、 日本国内で、オ レゴンに 導入す る設備 と同 じ環境下での試作 を行 な うな
ど、初期稼動 リスクの削減 に徹 していた。
いずれ に しろ、生産工程 に限ってはほぼ全 日
働 であ り、機械稼動 ‑生産開始 となるため、操 業方法にかかわ る低位 のルーチ ンの移転 には大 きな制約や問題 はなかった と言 える。 しか し上 記の安保 らの分類 を利用す ると、作業組織 とそ の管理運営が大 きな課題 として浮 き彫 りになっ ていたのである。
4 知識 とその移転
図表3は、オ レゴンに現地工場 を設 立 し、操 業す るにあたって、 日本か ら移転 した知識 を類 型化 し、その移転方法 を記入 した ものである。
形式知については、工程管理のマニュアル化、
お よび工場運営に必要な規程類 な どの管理体制 を移転 した。 しか し、初期従業員の定着が悪かっ たために、スムーズな移転が出来なかった。マ ニュアル作成のみではな く、給与や職務技術書 (job description)な ど文化的な背景‑の理解 が 少なかった ことや、現地工場 における受 け入れ 体制が出来ていなかった ことが、従業員の定着 の悪 さをもた らす要因 と考 え られ る。
暗黙知については、工場立ち上げ時に岡山工 場のスタ ッフをオ レゴン工場 に派遣 し、また、
工場長 も 日本人が現地 に赴任 していた ものの、
工場立ち上げの経験 と、特 にアメ リカでの生活 (文化 の理解度)経験 がなかったために、効果 的な知識移転が出来なかった。海外勤務経験や 違 う文化 の人的交流の経験がなかった ことも、
作業組織 とその管理運営、そ して操業管理の定 着が遅れた要因の 1つであると考 え られ る。
図表 4はオ レゴン工場設立に伴い、知識移転 のフロー を概略的に表 した。図表 4の よ うに、
現在の知識移転段階は、 日本か ら移転 された知 識 の拡散段階にあ り、現地での新知識 の創造段 階には至っていない。上記で指摘 した よ うに作 業組織 とその管理運営、そ して操業管理の定着 の遅延 が大 きな要因の 1つである。
この背景 としては生産設備 の稼動やオペ レー シ ョン問題 よ りも、 コミュニケーシ ョンやマネ ジメント・システムの導入 に伴 う錯綜 と困難 を 取 り上げることができる。経営層 にお ける意思
図表
3
知識 の タイ プ と移 転方法移転方法 移転 に伴 う問題点 効率的な移転のための改善策 知識創造のためオ レゴン工場のの取 り組み
形式知 工程 管 理 のマ ニ ユ 従 業 員 の 定 着 の悪 現地 に則 した、給 この段階には達 アル 化 、 管理 規 定 さ (受 け入 れ 体 制 与体 系や規程 な ど
集 、自働化 .機械化 が不十分 であった) の必要
暗黙知 スー パ ー バ イ ザ ー 文化理解度や コミユ 日本 とア メ リカ間 派 遣 、 日本側 専 門 ニ ケ‑ シ ヨン能 力 の連携 、職務分掌
疎通は綿密 に取 られているが、担 当者同士には 言葉の壁 によるコ ミュニケー シ ョンに問題 があ る。現状では、岡山工場 とオ レゴン工場の担 当 者が直接情報交換す ることができないため、オ レゴン工場で英語 を話す 日本人スタッフが窓 口 とな り、コミュニケーションを図っている。よっ て コミュニケー シ ョンの頻度 と密度が充分では な く、特 に、製造や技術 ・品質管理部門におい て踏み込んだ議論 に至 りに くい ことが 日本の知 識 が円滑に移転 しない一番 の要因 として考 え ら れ る。
しか し、オ レゴン工場でも工場の拡張に伴い、
組織体制の変更、 日本 とアメ リカ間の連携 を 目 的 とした職務分掌の徹底 に取 り組 んでお り、業 務 フローの文書化 とオープン化 (誰が何 をや っ ているのか とい う見 える化) をも進 めている。
また月一回の経営会議、電話会議、テ レビ会議 な どによるコミュニケーシ ョン充実を図るな ど、
自律的な改善 と形式知や暗黙知の共有 と拡散 に よ うや く取 り組む よ うになった。 この よ うに 日 本側 か ら経営層 の積極的な関与はあるものの、
今後は現地の 自立 した経営や工場運営が課題 と なっている。
結局、製造部門に とってアメ リカ工場で必要 なことは、規格通 りに製品を作 ることではな く、
トナーやカー トリッジの特性 を理解 し、品質向 上や生産効率化 のための提案があがるよ うにな 40 国際経営論集 No.34 2007
ることであ り、そのために現地での 自立 した改 善を通 じた知識 の共有 と拡散、その積み重ねに よる知識 の創造が必要であることはい うまで も ない。
5 A社の事例 に見る中小企業の海外知識移転 の制約要因 と課題
知識移転 に関す る先行研 究の レビューを通 じ て、中小企業の海外知識移転 に伴 う制約要因 と 課題 として、 コ ミュニケー シ ョン能力 とマネジ メン ト・システムの移転 ・適応能力、アーキテ クチャのデザイ ン能力、暗黙知 を形式知 に変 え る表 出化 (externalization)能 力 、 工程 自働 化 能力、現地の知識吸収能力の5つを取 り上げた。
この 5つ の分析視点に基づ き、以下、A社 のオ レゴン工場‑の知識移転の現状 を診断 し、知識 移転 に伴 う制約要因 と課題 を考察す る。
第 1に、 コ ミュニケー シ ョン能力 とマネ ジメ ン ト・システムの移転 ・適応能力である。
文脈で しか解釈や習得のできない暗黙知の場 合、巧みな外国語行使力だけではな く、いかに その よ うな文脈の場 を設 けるかが重要である。
しか し、A社 の場合 、まず熟練 スタ ッフが英語 が話せないことか ら、通訳 を通 してコミュニケー シ ョンを図ってい る。 こ うした通訳 を介 した コ ミュニケーシ ョンでは、文脈のコミュニケ‑シ ョ
図表
4
知識 移 転 フ ロー現地での知識 の
ンを図 ることは とて も難 しい。 また、製造や技 術 ・品質管理部 門において踏み込んだ議論 がで きないため、暗黙知の移転 を妨 げ る大 きな要因 の 1つ となってい る。
賃金体系、 ジ ョブ ・ローテ シ ョン、 職 務技 術書な ど、文化的な背景‑の理解 が少 なかった ことや、現地工場 にお ける受 け入れ体制 が出来 ていなかった ことな どが、従業員 の定着 を妨 げ る要因 となった。 したが って、今 は低位 のルー チ ンを移転す る段階にある と言 えるが、今後、
高位 のルーチ ンを移転 してい くためには、意味 生成 (sense‑making)を含 めたマネ ジメン ト ・ システムの移転 が一層 必要である と言 える. こ の コ ミュニケー シ ョン とマネ ジメン ト・システ ムの移転 ・適応能力 の確保 は、今後A社 のオ レ ゴン工場 が知識創造の段階‑進化 していけるか どうかを うらな う最重要課題 で もあると言 える。
第 2に、アー キテ クチ ャのデザイ ン能力 にお いてA社 は非 常 に高い能力 を持 ってい る と言 え る。A社 は標 準 品で工程 の安定 したモ ノクロ ト ナーのみ をオ レゴン工場 で生産 してお り、生産 工程 の 自働化や 、オ レゴン工場で導入す る設備 と同 じ環境下での試作 を 日本国内で行 な うな ど、
・ ‑j
l̲̲̲ー̲同時進行̲ー̲̲̲.̲̲̲̲̲̲̲̲l: .
最低限の現地 工場 の
工程 間の擦 り合 わせ の必要性 を最小化 し、初期 の稼働 率ア ップには十分 な対応 を とっていた。
特 にA社 の多様 なカー トリッジに汎用的 に使 わ れ る トナーの開発力は、 リサイクル ・カー トリッ ジのアー キテ クチ ャをモ ジュラー化 に変更 しつ つ あ り、A社 の強み を成 してい る。
第3は、暗黙知 を形式知 に変 える表 出化能力 はかな り低 く、その取 り組み も不十分 である と 言 える。 工程管理 、お よび工場運営 に必要な規 程類 な どの管理体制 はマニュアル化 して移転 し た。 しか し、生産 ・品質管理 、工程管理 な どの 暗黙知は、文化の理解度お よび コミュニケーシ ョ ン能力の低 さのため、メタファーな どを通 じた 形式知化 の転換 には大 きな課題 を残 してい る。
今後 、 日本本社お よび岡山工場 にお ける表 出化 の取 り組み を強化 し、 日本側 が もつ暗黙知 を言 語化 ・概念化 してい く努力が一層必要であろ う。
第4に、工程 自働化能力はかな り高 く、特 に 操業 にかかわ る低位 のルーチ ンの移転 も円滑に 行 なってきた と評価 で きる。課題 は機械設備 な どのハー ドの面ではな く、 自働化 を支 える人的 要素であ り、継続 的な工程改善 と能率向上 をい かに組織的 に取 り組 んでい くかであろ う。
第5に、オ レゴン工場の知識吸収能力の面 を 見 る と、獲得 され る知識 との親密性や事業所間 の同質性 の問題 は ともか く、受 け入れ体制 自体 が全 く不十分であった ことが知識移転 を妨 げ る 大 きな原因の1つ であった。今後、円滑な知識 移転 のためには、現地 スタ ッフがいかに高い知 識や スキル を体得 してい くかの問題 もさること なが ら、作業組織 とその管理運営、そ して生産 管理 を含 めたマネ ジメン ト・システ ムの受 け入 れ の体制 をいかに整 えてい くかが一層重要な課 題 である と言 える。
Ⅳ 結論
以上、先行研究、 リサイクル ・カー トリッジ ・ メー カー・A社 のオ レゴン工場設 立お よび知識 移転事例 を通 して、中小企業 にお ける海外知識 移転の制約要因 と課題 を考察 した。特 に中小企 業の海外知識移転 において浮 き彫 りに され る制 約要因 として、 コ ミュニケー シ ョン能力 とマネ ジメン ト・システ ムの移転 ・適応能力 、アー キ テ クチ ャのデザイ ン能力、暗黙知 を形式知 に変 える表 出化能力、工程 自働化能力、現地の知識 吸収能力 の 5つ を提起 し、A社 の移転状況 を見 て きた。
今 までの考察か ら知識や技術移転の程度 は、
自働化 ・機械化、またはマニュアル化、文書化 、 規定化 な ど生産現場 のオペ レー シ ョンにかかわ る問題 よ りも、ジ ョブ ・ローテ シ ョン、 メンテ ナ ンス、改善活動 、労務や賃金体系な どマネ ジ メン ト・システムにかかわ るルーチ ンに よ り大 き く依存 してい る と考 え られ る。 この ことは現 地国においてマネ ジメン ト・システムに対す る 好意的な受 け入れ体制が整 っていなけれ ば、設 備 な どのハー ド面や生産現場のルーチ ンをい く ら整備 ・移転 して も、暗黙知 に関連す る高位 の ルーチ ンの移転 はなかなか進展 しない ことを示 唆 してい るものだ と言 えるのである。
今後、中小企業 の海外進 出は今 よ りもはるか に多 くなる と予測 され る。今 まで海外技術移転 や知識移転 の研 究 は、MNCsをは じめ とす る大 42 国際経営論集 No.34 2007
企業 に偏 り、中小企業 を対象 とした研 究は少 な か った と言 える。 その意味で本稿 は多 くの課題 と未熟 さを残 してい るが、 これ らの点は今後の 課題 として取 り組みつつ、 中小企業の海外知識 移転 に関す る研究 につ なげていきたい。
謝辞 :本稿 の事例研 究 にあた って、A社管理部 の池 田篤氏 には3回 もイ ンタ ビュー調査 に応 じて頂 くな ど、多忙 ななか多大な ご 協力 を頂いた。 この場 を借 りて氏 に深 く お礼 申 し上 げたい。
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