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海洋性中心目珪藻Thalassiosira pseudonanaにおけ る無機炭素輸送体の探索

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Academic year: 2022

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海洋性中心目珪藻Thalassiosira pseudonanaにおけ る無機炭素輸送体の探索

著者 中井 悠太

URL http://hdl.handle.net/10236/00027085

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2017 年度 修士論文要旨

海洋性中心目珪藻 Thalassiosira pseudonana における

無機炭素輸送体の探索

関西学院大学大学院理工学部理工学研究科 生命科学専攻 松田研究室 中井 悠太

海洋性珪藻は、地球全体の炭素固定量の約 20%を担う重要な一次生産者である。また、現在の大気圧環 境下における溶存 CO2 濃度は珪藻にとって不十分である。そこで海洋性珪藻は、無機炭素不足を解消する ために、溶存無機炭素 (Dissolved inorganic carbon, DIC) を能動的に細胞内に取り込み、RubisCO周辺のCO2

濃度を高める無機炭素濃縮機構 (CO2-concentrating mechanism, CCM) を発達させた。このCCMの働きによ り、珪藻は無機炭素に対して高い親和性を示す。珪藻では、無機炭素輸送体と炭酸脱水酵素 (carbonic

anhydrase; CA) を用いて無機炭素を濃縮する Biophysical CCM が機能している。無機炭素輸送体は、DIC を

細胞内に取り込みを支える重要な因子である。海洋性羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutum では細胞膜及び 葉緑体 4 重膜上の無機炭素輸送体が DIC を取り込み、葉緑体内部の CA によって HCO3- が CO2 に変換

され、 RubisCO に供給されると考えられている。一方、海洋性中心目珪藻 Thalassiosira pseudonana では、

細胞外に局在する CA (δ-CA1、ζ-CA1) が HCO3- から膜透過性を持つ CO2 に変換し、細胞膜を透過させる ことで無機炭素の取り込みを行う。取り込まれた CO2 は、細胞内の CA によって HCO3- に変換され、 P.

tricornutum と同様に葉緑体 4 重膜上の無機炭素輸送体が DIC を取り込み、葉緑体内部の CA によって

HCO3- が CO2 に変換され、 RubisCO に供給されると考えられている。 T. pseudonana の CCM は、細胞 内外の CA と葉緑体 4 重膜上の無機炭素輸送体によって支えられている。現時点で、T. pseudonana の CA の局在は明らかになって来ているが、無機炭素輸送体についてはほとんど分かっていない。本研究では、T.

pseudonana における無機炭素輸送体候補の細胞内局在及び機能を解析し、海洋性珪藻の炭素獲得機構を解

明することを目的とした。T. pseudonana における無機炭素輸送体候補の細胞内局在及び機能解析をするた めに、 BLAST検索で T. pseudonana における無機炭素輸送体のオルソログを探索した。その結果、無機炭 素輸送体候補として Formate nitrite transporter (FNT) ファミリー 1 つ (TpFNT) と Solute carrier (SLC) 4 フ ァミリー 3 つ (TpSLC4-1, 2, 3) が得られた。次に、各候補の輸送基質を予測するために、各候補の系統樹 を作成した。その結果、 TpFNT や TpSLC4-2 は HCO3- を輸送し、 TpSLC4-1 はホウ酸 (H3BO3) を輸送 することが予測された。また、各候補の細胞内局在を明らかにするために、それぞれの全長アミノ酸配列と

EGFP を連結したタンパク質の局在を解析した。その結果、細胞膜上に TpSLC4-1、葉緑体の 4 重膜の外側

2 枚 Chloroplast endoplasmic reticulum (CER) のいずれかに TpSLC4-3、 内側 2 枚 Chloroplast envelope

(CE) のいずれかに TpFNT と TpSLC4-2 が局在することが分かった。また、CO2濃度の変化による mRNA

蓄積量を比較したところ、全ての遺伝子が定常的に発現した。さらに、 CE 局在の TpSLC4-2 に Enhanced green fluorescent protein (EGFP) 連結タンパク質 (TpSLC4-2:EGFP) 発現クローンを過剰発現体として扱い、

過剰発現による生育の影響を調べたが、野生株 (Wild type, WT) との顕著な差は得られなかった。また、こ れらの過剰発現体の光合成活性も調べたが、WT との顕著な差は得られなかった。さらに、膜不透過性の CA 阻害剤 acetazoleamide (AZA) を用いて、細胞外 CA を特異的に阻害することで、細胞外や細胞膜上の 因子の影響をなくした上で、光合成活性を調べたが、 WT との顕著な差は得られなかった。葉緑体包膜局 在型輸送体は、細胞外 CA や細胞膜及び 4 枚の葉緑体包膜の無機炭素輸送の影響を受けるため、CE 局在 の TpSLC4-2 を過剰発現しても差が見られなかったと考えられる。

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