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第 17 回(2013 年) 日本藻類学会 論文賞

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[ 日本藻類学会 論文賞 受賞記念特集 ]

 2014315日におこなわれた日本藻類学会総会にて,第17回(2013年)日本藻類学会論文賞の発表と授与が行われた。

同賞は英文誌Phycological Research vol. 61 (1) - (4)に掲載された原著論文のうち,規定に従い審査員の投票によって選ばれ評 議委員会で了承されたものである。今回は,Yuji Tomaru, Kensuke Toyoda, Kei Kimura, Yoshitake Takao, Kiyonari Sakurada, Natsuko Nakayama and Keizo Nagasaki. Isolation and characterization of a single-stranded RNA virus that infects the marine planktonic diatom Chaetoceros sp. (SS08-C03). Phycological Research 61 (1): 27-36.が受賞された。

   第 17 回(2013 年) 日本藻類学会 論文賞

藻類 Jpn. J. Phycol. (Sôrui) 62: 105-106, July 10, 2014

第 17 回日本藻類学会論文賞を受賞して

外丸裕司  まさか「ウイルス」を扱った論文が,「藻類学会」の論文賞 を受賞するとは。学会にはその学会の王道たる分野があり,そ の王道の最前線の研究を中心に学会は成立しているのだろう。

ウイルス,藻類,プランクトン。いずれの本流からも外れ,境 界領域に位置する藻類ウイルス研究。どの学会に行っても「面 白いね」と言われるものの,どこか異次元の分野として扱われ ているようで,私は何処にいても常にアウェーであることを感 じていた。そんな光のない環境にすっかり順応していた私であ るが,久々に強光を浴びてしまった。正直なところ,こんな奇

跡もあるのだなと思った。このような境界領域的研究を評価し てくださった,学会長をはじめとする藻類学会関係者の方々の 懐の深さを感じた。ここに,厚く御礼申しあげます。

 藻類ウイルスの研究は1990年代から徐々に盛んになり,

2000年代からは加速度的に本分野における知見が集積して いった。私は博士課程で実施していた二枚貝幼生の研究を学 位取得と同時に区切りをつけ,ちょうど2000年から藻類ウイ ルス研究に合流した。その頃はまだ藻類ウイルスの研究は黎明 期と言えるような段階で,それまでに分離されていたウイルス の種類もわずかであった。今回の受賞内容である「珪藻」に 感染するウイルスの存在も,一部の研究者からは疑問視されて いたほどである。珪藻ウイルスの研究は,我々の研究チームで 外丸裕司氏       豊田健介氏       木村圭氏

受賞論文 著者の皆様

高尾祥丈氏        櫻田清成氏         中山奈津子氏       長崎慶三氏 

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田中会長より第一著者の外丸氏に賞状授与

2002年に世界で初めて分離に成功したRhizosorenia setigera に感染するRNAウイルスが基となっている。この時,直感的 に珪藻ウイルスは面白い研究になりそうと感じたのはよいが,

当時は渦鞭毛藻ウイルスとラフィド藻ウイルスの研究を同時に 推進していたため,珪藻ウイルスに投資できる時間はわずかで あった。珪藻ウイルス研究に比較的多くの時間を割けるように なったのは,2005年以降である。まずは,海洋環境中にどん な珪藻ウイルスがいるのか?それを手広く探ることにした。ウ イルスを釣り上げるためには,何をおいても真っ先に宿主であ る珪藻の分離株を作製しなければいけない。宿主株のライブラ リー作製と無菌化,遺伝子情報の構築。あっという間に2年が 過ぎる。ウイルスを分離して基本性状解析(電子顕微鏡による 形態観察,ゲノム性状解析,タンパク質,増殖試験等々)。そ して3年が過ぎる。珪藻ウイルスの生態研究を楽しむための基 盤を構築することができつつあった。今回受賞した論文は,そ んな夢中でウイルスを追いかけていた時期の研究成果の一つで ある。現在では珪藻ウイルス探索は程々にして,モデルとして 扱っている珪藻(Chaetoceros tenuissimus)とウイルス(DNA ウイルス,RNAウイルス)との組合せで,現場~分子レベル でより詳細な解析を行っている。目指すところは,現場で実際 に「珪藻」と「ウイルス」はどんな付き合い方をしているのか,

その生態学的関係を分子の視点で説明することである。何気な く眼前に広がる海であるが,その中で途方もない珪藻とウイル スの攻防があるのだろう。まだまだ興味は尽きない。

(瀬戸内海区水産研究所)

ウイルス粒子のネガティブ像

(矢印)

ウイルス感染したChaetoceros sp. SS08-C03細胞内の様子 M:ミトコンドリア,V:ウイルス様粒子

Chaetoceros sp. SS08-C03

参照

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