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海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumにおける感光架橋技術を用いたピレノイド構成因子の探索

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Academic year: 2021

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海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumにおける感

光架橋技術を用いたピレノイド構成因子の探索

著者

森島 菜摘

(2)

2016年度修士論文要旨

海洋性珪藻

Phaeodactylum tricornutum

における感光架橋技術を

用いたピレノイド構成因子の探索

関西学院大学大学院理工学研究科

生命科学専攻 松田研究室 森島 菜摘

【研究目的】海洋性珪藻は、海水中で光合成を効率よく行うため、CO2 や HCO3-といった溶存無機炭素を能 動的に取り込み蓄積するCO2 濃縮機構 (CO2-concentrating mechanism: CCM) を有する。多くの真核藻類 の葉緑体には、ピレノイドと呼ばれる、炭酸固定化酵素 (ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/ oxygenase: RubisCO) を蓄積するタンパク質ボディが存在する。ピレノイドは CCM で濃縮した無機炭素の固定部位とし て重要であると考えられるが、単離が困難であるため、その生化学的構造は不明である。これまでに海洋性珪 藻Phaeodactylum tricornutum のピレノイドには RubisCO の他に、2 つの炭酸脱水酵素 (carbonic anhydrase: CA)、RubisCO 活性化酵素 (CalvinBenson Bassham cycle protein X: 核コード PtCbbX)、及び カルビン回路律速因子のfructose-1,6-bisphosphate aldolase が局在することが分かっているが、光化学系や カルビン回路の調節因子など、光合成機能に関わる未知の重要因子も存在すると考えられる。本研究は、感光 架橋技術を用いてタンパク質複合体を安定に固定し、RubisCO と相互作用する因子を探索することにより、 ピレノイドの生化学的構造を解明することを目的とした。架橋にはフォトアミノ酸 (pAA) を用いた。pAA は、 天然のアミノ酸の構造アナログであるため、in vivo で翻訳時にタンパク質に取り込まれる。pAA の架橋範囲 は約1.5 Å と極めて狭いため、生体内で相互作用する因子を特異的に架橋できると考えられる。

【実験方法】対数増殖期 (OD730 =0.2~0.4) まで培養したP. tricornutum を OD730 が 1.2 になるように濃 縮し、pAA として photo-leucine と photo-methionine を終濃度がそれぞれ 2 mM と 1 mM になるように添 加した。赤色+青色光下 (50 μmol m-2s-1) で 6~24 時間培養して pAA を取り込ませ、45 分間 UV 照射し、 感光架橋を行った。25~55%のスクロースを 5%毎に重層した密度勾配液を作製し、その上に感光標識した細 胞の破砕液を重層し、21136×g、4 時間、4℃で遠心した。遠心管の底部から 200 μL ずつ分画し、SDS-PAGE を行い、RubisCO 大サブユニット(RbcL)を認識する抗 RbcL 抗血清を用いてウエスタンブロットを行った。 ウエスタンブロットによりRbcL のバンドが見られた画分に対してトリプシン処理を行い、得られたペプチド 断片を電場分離型フーリエ変換liquidchromatography-mass spectrometry (LC/MS) を用いて解析した。 LC/MS 解析により得られたタンパク質のうち、葉緑体局在が予測されるものをピレノイド局在候補因子とし た。ピレノイド局在候補因子の局在解析のため、候補遺伝子にenhanced green fluorescence protein 遺伝子 (egfp) を連結したコンストラクトを作製し、分子銃を用いて野生型 P. tricornutum に形質転換した。GFP 蛍 光を有する形質転換体を選抜し、共焦点レーザー顕微鏡を用いた局在解析、吸光光度計を用いた生育曲線の作 製及び、クラーク型酸素電極を用いた酸素発生速度測定を行った。

【実験結果と考察】抗RbcL 抗体を用いたウエスタンブロットおよび密度勾配遠心により、感光架橋を行った 細胞では、RbcL が非架橋の細胞よりも高分子側にシフトしていることを確認した。このことから RubisCO と

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ピレノイド局在候補タンパク質との架橋により安定なタンパク質複合体が形成されたと考えられる。密度勾配 遠心によって得られたRbcL を含む画分を LC/MS にて解析した結果、14 個の葉緑体局在と予測されるピレ ノイド因子候補が得られた。各候補因子にGFP を付加した融合タンパク質を珪藻で発現させ、局在解析を行 った結果、機能未知タンパク質Pt45465 は、葉緑体内でピレノイドを包み込むように局在することが明らか になった。また、光合成パラメーターとして最大酸素発生速度 (Pmax) 及び Pmax の半分の速度を得るのに 必要なDIC 濃度 (K0.5) をそれぞれ算出した結果、WT と Pt45465 過剰発現株の間に Air 環境では大きな 変化は得られなかったが、High CO2 環境において、K0.5 が低下し DIC との親和性が約 2 倍上がることが 分かった。ピレノイドには、これまでの知見から膜や殻のような構造物はないと考えられていたが、本研究で 同定したPt45465 はピレノイドを包みこむ外殻タンパク質であり、CCM の機能に必須な新規因子であるこ とが示唆された。

参照

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