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交通需要が年々増加しており,都市内の至るところ

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Academic year: 2022

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(1)メトロマニラにおける沿道SPMの観測と交通シミュレーション* A Study on the Air Pollution and Microscopic Road Traffic Simulation in Metro Manila*. 屋井鉄雄**・岩倉成志***・平田輝満****・白濱好文**** By Tetsuo YAI**・Seiji IWAKURA***・Teru HIRATA***・Yoshi SHIRAHAMA***. 局地気象シミュレーション. 1.はじめに 大規模都市開発が進むメトロマニラでは,道路系. バックグランド濃度. RAMS-TIT RAMS-TIT. 交通需要が年々増加しており,都市内の至るところ. 大気拡散 大気拡散 モデル モデル. CBD内の汚染排出量. で交通渋滞が見られる.また,環境汚染源の中で自. 成長シナリオ 成長シナリオ 政策オプション 政策オプション. 動車の排気ガスが占める割合が非常に大きく,交通 量の増加に伴った大気環境の悪化が現在問題となっ. 交通・環境マイクロシミュレ-ション. 局地気象. 都市活動連関 都市活動連関 モデル モデル. 交通マイクロシ 交通マイクロシ ミュレーション ミュレーション. 土地利用. 交通需要量. ている.メトロマニラの主要な公共交通機関である 汚染源分布. 汚染物質の 排出量. ・車両改善 ・車両改善 ・交通運用 ・交通運用 ・TDM ・TDM. ジプニーや大型バスは,整備不良やエンジン年式が 古いため触媒機能が低下しており,人体への健康影. 排気熱 排気熱. 交通需要. 響が危惧されるSPMの主要発生源と考えられている.. 交通発生量・集中量. マクロな土地利用・交 通シミュレーション. このような地域での道路交通から生じる大気汚染 低減策を検討するために,筆者らは図1に示すマク ロな土地利用・交通需要シミュレーションモデル, ミクロな交通流・SPM排出シミュレーションモデル, 局地気象シミュレーションモデルを統合して解析す. 図1. 環境改善政策シミュレーションのフレーム. ネットワークデータ. 沿道大気環境調査 ・沿道SPM濃度 ・気象条件 ・交通量. ・OD交通量データ ・ネットワーク構造 ・観測歩行者数 ・沿道土地利用. るシステムの構築を目指した.すなわち,マクロシ. 排出量推定プログラム. ミュレーション部(土井健司香川大教授が構築)の 都市活動連関モデルによってメトロマニラ全域の土. 環境意識調査 ・交通行動 ・環境満足度 ・施策選好 ・呼吸器系疾患. 環境意識構造 ・大気環境 ・交通利便性 ・健康被害. 交通環境シミュレーション. 地利用と交通需要を推定する.この推定値を交通・ 環境マイクロシミュレーション部に受け渡し,交通 流の動的な変化とSPM排出量の変化を推定する.ま. *キーワーズ:SPM、交通シミュレーション、気象解析、. 施策評価 交通流 ・平均速度 ・所要時間 ・交通量. 図2. 排出. +. ・SPM総排出量 ・沿道SPM濃度. 車両性能向上施策 道路システム改善施策 交通量抑制施策. 乗車環境 沿道環境 居住環境. 交通・環境マイクロシミュレーションの研究内容. メトロマニラ ** 正員、工博、東京工業大学大学院土木工学専攻 (東京都目黒区大岡山2‑12‑1、 TEL03‑5476‑2693、FAX03‑5734‑3578) *** 正員、工博、芝浦工業大学土木工学科 (東京都港区芝浦3‑9‑14、 TEL03‑5476‑3049、FAX03‑5476‑3166). た,大気汚染濃度は大気の状態によって希釈や濃縮 が起き,都市域の複雑な風系場によっても変化する. このため,局地気象シミュレーションモデル(神田 学東工大助教授が構築)を開発し,上述した自動車 からのSPMの排出量との連携を図ることとした. なお,本稿ではメトロマニラ・マカティ地区を対. **** 学生員、工修、東京工業大学大学院土木工学専攻. 象として, SPMの実測調査を実施し,自動車を起. ***** 学生員、東京工業大学大学院人間環境システム専攻. 源とするSPMの削減に向けた各種の交通政策を交通.

(2) ミクロシミュレーションによって評価をおこなった. 車種別 SPM 排出原単位の推定結果. 表1. 結果を中心に述べることとする. g/台 台 km. 2.マカティ地区の大気環境. Car. Bus. Jeepny. 1.21-1.37. 0.343 – 0.773. Plume model. 0.0222. Puff model. 0.0500. 2.43. 4.05. 平均で 150g である.他国に比べると環境基準のハ. World Bank(1992). 0.0977. 0.866. 1.37. ードルはいくぶん低いと言える.例えば,日本では. Tokyo(1996). 0.0222. 0.165 Truck. 0.585. (1)マカティ地区における SPM 濃度 SPM に対するフィリピンの環境基準は,24 時間. 100g,タイは 120g,インドは 75〜150g(土地利用. のかを見てみよう.マカティ地区の中でも人通りの 多い Makati Avenue と Ayala Avenue,EDSA の SPM 濃度は,平均 130g で,特に朝と夕方で 150 gを超 える高い濃度となっている.時折,200g を超える 非常に高い SPM 濃度が観測されているが,ジープ ニ−などのディーゼルエンジン車で特にメンテナン スが不十分な車が通過すると,高い濃度を示す.. 20 分後. 降雨後. 0.4 0.75 1.5. 3.5 7.5. particle size (μm) 1 時間後. 以上の観測結果から,マカティ地区の大気環境の 改善が急務であることがわかる.このような高濃度 の SPM が発生する主な原因は,メンテナンスが不 十分なジープニ−やバスなどのディーゼルエンジン 車である. (2)ジープニーやバスから排出される SPM 世界銀行は,フィリピンの車種別の排出原単位を, 自動車が 0.098g/km,ジープニーが 0.87g/km,バス が 1.37g/km と 1992 年に報告している.一方,日本 の排出原単位(1996 年値)は,自動車が 0.022g/km, ジープニーと同規模のトラックが 0.17g/km,バス が 0.59g/km である.フィリピンは,自動車,ジー プニーで約4倍,バスで2倍の排出がある. 著者らは,大気拡散モデルを利用して,沿道で測 定した SPM 濃度から排出原単位を推定する方法を 開発した.大気拡散モデルとして,Puff モデルと Plume モデルを用いた.Puff モデルは風速1m/s 以 下に適用し,Plume モデルは風速 1m/s 以上に適用 される.Makati Medical Center 前の Ayala Avenue で おこなった観測データを用いて,車種別の排出原単 位を推定した結果を表1に示す.Puff モデルを用い た推定結果は,自動車が 0.050g/km,ジープニーが 2.43g/km,バスが 4.05g/km となった.Plume モデル を用いた推定結果は,自動車が 0.022g/km,ジープ. 0.4 0.75 1.5. 3.5 7.5. particle size (μm). 0.4 0.75 1.5. 24 時間後. 0.4 0.75 1.5. 3.5 7.5. particle size (μm). Ayala Avenue in front of the Sky Plaza 図3. 3.5 7.5. particle size (μm). particle volume. それでは,マカティ地区の大気濃度はどの程度な. particle volume. によって異なる),マレーシアで 150g である.. 3 Dec. 1999. 降雨後の粒形別 SPM 排出量. ニーが 0343〜0.773g/km,バスが 1.21〜1.37g/km と なった.沿道の濃度データから排出原単位を推定す る本方法は,まだ研究途上であるが,世界銀行の報 告と類似した傾向が出ている. いずれにせよジープニーやバスの SPM 排出量が 大変高く,これらの公共交通の排出量を削減するこ とが SPM 濃度を低下させる上で,大きなキーポイ ントとなることがわかる.道路空間で排出された SPM は,大気を浮遊して広域に拡散すると言われ るが,道路沿いの歩行者への影響は非常に大きい. (3)気象条件と SPM 濃度との関係 前節までで述べたように,温度や風速の変化など の気象条件が SPM 濃度に影響する.もう一つの特 性である雨はどの様に影響するであろうか.フィリ.

(3) ピンの雨量は世界的にみても多いと言われる.雨が. 朝ピーク帯. 降ると,大気汚染物質が雨によって流され,空気が. 裏道においても、高濃度のリ ンクが分布 EDSAには一部200μg/m3以 上のリンクも見られる. きれいになるというイメージをいだきがちであるが, そのイメージは正しいのであろうか.図4は,雨が 止んだ直後からの SPM の粒径分布の変化を表した ものである.時間とともに粒径の大きな粒子ほど, 粒子数が増加する傾向にある.この理由として,粗 日中オフピーク帯. 大粒子は,雨によるエアロゾル除去の効果が粗大粒. EDSA,South Super Highway (以下SSH)を中心に、 幹線道路に高濃度リンクが分布. 子ほど大きく,微小粒子ではその効果がほとんどな いことがあげられる.また,雨が止んだ後は,自動 車の排出ガスにより SPM が供給され,降雨によっ. 図4. て減少した粗大粒子が空気中に堆積していくと考え られる.微小粒子も供給されるが,降雨による変化. 350. がほとんどないため,粒子数は安定していると考え. 3.交通・環境シミュレーションシステムの構築 (1)システムの概要 交通マイクロシミュレーション PARAMICS を活 用し,マカティ地区および周辺の道路ネットワーク を構築し,MMUTIS データを利用して交通流を再. SPM(kg/h). い微小な粒子は変化しないことがわかる.. morning-peak. off-peak. 300. られる.降雨の多いマニラであるが,その影響で除 去されるのは粗大粒子であり,健康への悪影響が強. Paramaics による沿道 SPM 濃度の推定. 250 200 150 100 50 0. Base. 専用レーン SPMフィル 外部流入 設置 ター 規制. 図5. 車検制度. 各種政策の分析結果. 現するとともに,排出ガスによる環境影響を分析す. 動を表現するように,車種別に加速度,最高速度を. るプログラムを作成した.このシステムを用いて,. MMUTIS のデータをもとに車両運転挙動プログラ. 住民・沿道歩行者・公共交通利用者の各視点から,. ムの改良を行った.また,高級住宅地(Village)で. 交通政策による交通流及び大気環境に対する効果の. は住民以外の通行が制限されており,周囲の交通に. 評価を行った.. 影響を与える原因の1つとなっている.Village の. 道路ネットワークはメトロマニラの地図と現地調 査それぞれを参考に作成し,レーン数,道路構造,. 特徴である a)通り抜け交通の排除,b)車両速度を低 下させる構造を表現するように設定を変更した.. 信号現示などは現地観測に基づいて作成している.. アウトプットは,平均速度,交通密度,所要時. ネットワークはおよそ4km四方で,ネットワーク. 間などの交通流と,各道路リンクの道路端から 3 m. 上のノード数は 462,リンク数 1243,総リンク長は. 地点の SPM 濃度である.. 341.85km で,ゾーン数は 23 となっている. 先述したように,OD 交通量データは,メトロマ. (2)交通流の現況再現性 現況再現性をマカティ内主要幹線道路6地点の. ニ ラ 首 都 圏 全 体 を 対 象 と し た MMUTIS デ ー タ. 朝ピーク時間帯10分間断面通過交通量の計算値と,. (384zone)の OD 交通量をマカティ CBD 内(23zone). 観測交通量とをよって比較した.重相関係数は 0.9. 及び,CBD 周辺地域(7zone)の OD 交通量に集約し,. であり,概ね良好に再現されていることがわかる.. かつ時間帯別 OD 交通量に独自に修正した.. 幾分過小推計になっている地点が見受けられるが,. マニラでは,頻繁な車線変更やバス,ジプニー. シミュレーションの再現精度としては,感度分析や. の2重停車などわが国とは異なる走行環境にある.. 日交通量の変動からも許容範囲であると考える.ま. このため,本システムではバス・ジプニーの運転挙. た,主要幹線道路4路線において,平均走行速度を.

(4) 観測値とシミュレーションによる計算値とで比較し た結果,比較的観測値データよりも計算値の平均速 度が高い結果となっているが,重相関係数は約 0.8 で,概ね良好に再現されている. (3)各種交通施策の分析結果 下記の4種の交通施策の分析した. a)バス・ジプニーへの SPM フィルター搭載義務化: SPM 排出量が,バスとジプニーとで 80%カットされ たと仮定し計算を行った. b)バス・ジプニー専用レーン設置:Ayala, EDSA,. 図6. RAMS-TIT の 積 雲 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン. SPM濃度は,大気状態によって,濃度が変化する.. South Super Highway の主要幹線道路において外側. 接地境界層(地表の影響を受ける層)と呼ばれる空. 1レーンをバス・ジプニー専用レーンとした. 気中の浮き蓋があり,太陽放射によって地表面温度. c)MAKATI 内 流 入 規 制 : 流 入 規 制 が 実 施 さ れ ,. が高くなると熱対流が発生し,浮き蓋が上昇する.. MAKATI 外部を起点にもつ交通量が 20%減少させた.. 結果的に,午後になると,SPM濃度が薄くなるとい. d)車検制度導入:SPM 車種別排出係数を東京都の車. う自然の仕組みがある.大気汚染の分析には,気象. 種別排出係数の値と同一と仮定して計算を行った.. 条件を考慮したシミュレーションシステムの開発が. 車両側の規制によって,大きな効果があげられ る様子が図5からみてとれる. (4)歩行者の健康被害 Ayala Avenue の歩道の SPM 濃度の計測結果から. 大変重要であると言える. 1.で述べたように,本稿で紹介した交通・環 境マイクロシミュレーションシステムは,神田学東 工大助教授によって開発されたRAMS−TITとのリ. 歩行者の健康被害について検討する.観測結果より. ンクを図っている.このRAMS-TITによって,接地. 道路際から 2m の SPM 濃度は約 125μg/m,7m の. 境界層の層厚変化の影響と複雑な局地風の変化の影. SPM 濃度は約 100μg/m であった.5 mで約 20%減. 響をシミュレートできる.図6に示すように道路上. じられるものの,歩道上の SPM 濃度は自動車から. から一定の汚染物質の排出がされた場合,マニラ湾. の排出の影響を大きく受けている.道路際から 20. の局地風の微妙な圧力バランスによって,マニラ湾. mほど離れると,50%にまで減じられるが,それ以. とラグナ湖の間に風速収束線が存在することが把握. 上の距離での変化は非常に少ない.. できている.. Ayala Avenue における一日の歩行者量と SPM 濃 度を観測した.歩行者量は一時間あたり 1500 人程 度で 14 時がピークである.一方,SPM 濃度は午後. 5.おわりに マカティでは高いSPM濃度が観測されており、S. になるに従って後述する接地境界層の層厚の影響で,. PM濃度の削減のための対策が必要である。特にジ. 低下する.この観測結果に,平均歩行距離 208 m,. ープニーやバスからのSPM排出量が多く、これら. 平均歩行速度 66m/min.,そして平均呼吸量 6 リッ. の車両に対するメンテナンスの強化などの対策を行. トル/min.を仮定すると,10 時台の歩行者の総暴露. うことが必要である。さらに,マニラのような降雨. 量は 3g,午後の総暴露量は約1 g となる.午前中. が多い特有な都市気象をもつ都市では,交通シミュ. の歩行者への影響が相対的に大きい結果となった.. レーションと気象シミュレーションとのリンケージ. SPM の分析を行う際には,このような歩行者交通. が不可欠である.. 量との関係を分析することが重要であり,前節で解 説したシミュレーションシステムもこのような歩行 参考文献. 者への影響を評価できるようにしている.. 1)「メトロマニラの環境保全」シンポジウム発表論文集, 日. 4.局地気象シミュレーション. 本学術振興会,2001.

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