ファストファッションの今後の展望
1140451 戸田 沙弥
高知工科大学マネジメント学部
１． 概要
アパレル市場はほぼ飽和状態に達していると言われている ことから、アパレル産業自体は成熟産業とされている。加え て、金融危機による消費不況や東日本大震災、欧州の債務危 機による世界経済の下ぶれなど厳しい状況が続いており、ア パレル企業の業績は悪化の一途をたどっていた。しかし、そ んな状況が近年変わりつつある。それが、ファストファッシ ョンといわれる新しい価値の台頭だ。ファストファッション とは、最新のトレンドを素早く採り入れながら，低価格の衣 料品を短期間に大量生産し，販売するファッションブランド やその業態のことを指す。このファストファッションという 新しいビジネスモデルは、急速に日本のアパレル市場に浸透 し、そしてそれぞれの企業規模に合わせて流通スタイルも変 化してきている。多くの論文でも、そのビジネスモデルは注 目され、不振が続くアパレル業界において希望の光と称され ている。 そこで、本研究では本当にこのままの勢いが続いていくの か、デフレを脱却した際にも低価格が売りのファストファッ ションは売れるのかという疑問に焦点を当て、その複雑化し たビジネスモデルの変遷やファストファッションについての 定義を明確にした上で、ファストファッションの問題点・成 功要因を探り、今後の展望を探っていく。２．背景
2008 年に起きたリーマンショック以降、世界中が不況の 波に晒されている。もちろん日本も例外ではない。個人の消 費低迷、デフレの深刻化から不振が続くアパレル業界であっ たが、そんな中、急速に注目を集め、急成長を遂げたビジネ スモデルが登場した。それがファストファッションである。 2000 年半ばから「ファストファッション」という言葉が呼ば れ始め、2009 年には、新語・流行語大賞のトップテンにも選 ばれた。急速に注目を集め、成長を遂げたこのファストファ ッションというビジネスモデルが日本に受け入れられた理由 は何なのか、また順調そうに見えるこのファストファッショ ンというカテゴリーは今後も生き残り続けられるのかを探り たいと考えた。３．目的
本研究は、変化の激しいアパレル業界で「ファストファッ ション」というカテゴリーが日本のアパレル業界において今 後どうなっていくのか仮説を導入するものである。４．研究方法
ファストファッションという言葉の定義をまず明らか にし、本論文で取り扱うファストファッションの範囲を定め る。定義を明確にした上で、ファストファッションに代表さ れるブランドの特徴を採り上げ、成功要因を探る。さらに、 複雑化しているアパレル業界のサプライチェーンについても 焦点を当て、サプライチェーンの複雑化と消費者ニーズとの 関係性を考察していきたいと思う。最後に、ファストファッ ションと消費意識に関するアンケート調査をもとに、ファス トファッションの問題点を探り、その解決策および展望を検 討する。目的
「ファストファッション」というカテゴリーが日本のアパレル業界にお いて今後どうなっていくのか、その展望を探る。先行研究の調査
・・・ ネット検索 流通過程の整理 消費者行動調査 アンケート調査事例分析
ファストファッションの今後の戦略モデルの構築
結論
５．定義の明確化
5.1 ファストファッションの定義
本研究を進めるにあたり、本論文にて取り扱う「ファストフ 図 1 研究のフローチャートァッション」という言葉の定義を明確にしておく必要がある。 なぜなら、ファストファッションという言葉が広く普及し、 多くのメディアに採りあげられる一方で、その言葉の定義は、 書き手によって様々で「ファストファッション」という言葉 の定義が曖昧になっているからである。 ファストファッションとは、流行を採り入れつつ低価格に 抑えた衣料品を、大量生産し、短いサイクルで販売するブラ ンドやその業態のこといい、「安い」「早い」を特徴とするフ ァーストフードになぞらえた造語である。
5.2 SPA とファストファッション
ファストファッションと混同されがちな概念が、SPA であ る。SPA とは、商品の企画から製造、物流、プロモーション、 販売までを一貫して行う小売業態のことである。一貫して行 うことにより、「短サイクル」「低価格」を実現することが出 来るため、ファストファッションを採る企業はこの SPA のビ ジネスモデルを採ることが多い。2 者の大きな違いは、「トレ ンドを採り入れているか」という点である。2 者の関係性を 表すと以下のようになる。 図 3 SPA とファストファッションの関係性 よって本論文では、シンプルで定番の衣料品を取り扱うユ ニクロ、ベーシックなデザインで多少値段の張るＧＡＰは、 ファストファッションに含めない事とする。６．結果
6.1 ファストファッションのサプライチェーン
ファストファッションのサプライチェーンは、前項でも述 べた通り、「短サイクル」「低価格」を実現するため、垂直統 合型の SPA の業態を採ることが多い。近年ファストファッシ ョンを謳っているブランドが増加してきている一方で、その サプライチェーンは実はみな同じではないことが分かった。6.1-1 事例企業
・FOREVER21、ポイント 販売のみを自社で行い、そのプロセスのほとんどを外部に委 託している。そのため、商品化までのスピードは速くコスト も抑制できるというメリットを持つが、類似品の脅威・品質 の徹底が出来ないというデメリットを有する。 このタイプのサプライチェーンを採る企業は、ファッショ ン性と低価格に重点を置いているといえる。つまり、ファス トファッションと言われる企業・ブランドは、このサプライ チェーンに属する。 ・ユニクロ 生産のみを外部に委託する形態を採る代表的な企業がユニク ロである。ユニクロは特異的で、生産を外部に委託すると、 品質の徹底は困難になるのが普通であるが、工場に自社から 指導者を派遣し、指導しているため、品質の徹底も可能であ る。このサプライチェーンのデメリットとして、スピードが 遅くなることに加え、生産ロットを増やさない限りコストも かかってしまう事が挙げられる。 このタイプのサプライチェーンは、自社で行うことによっ て省かれる中間マージンを、品質や機能性向上に投資してい ると考えられる。 ・エルメス・ルイヴィトン 生産から販売に至るまでのプロセスを一貫して行っている、 本来の SPA の定義に当てはまるサプライチェーンである。す べて自社で行うことにより、外部委託に比べ商品化のスピー ドは遅くはなるが、究極の品質徹底を期待できる。このビジ ネスモデルの代表がエルメスやルイヴィトンと言われる事か らも想像できるが、省いた中間マージンを品質・ブランディングに投資していると考えられる。
6.1-2 考察
以上より、①SPA の業態全てが「短サイクル」「低価格」では ない。②SPA の業態全てが、一貫して自社で行っているわけ ではない。という 2 点が分かった。なぜ、そのような違いが 出てくるのか。私は以下の 2 点を仮説として導きだした。 I. 消費者ニーズに合わせて、省いた中間マージンの投資先 が異なる。 II. 市場規模に応じて、自社に最適な SPA の形へと変遷して いった。6.2 アンケート調査結果
マイボスコム株式会社によるファストファッションに関す るアンケート調査（2013 年 09 月 01 日 ～ 09 月 05 日 、回 答 者 11,066 人 ）を 利 用 し 、フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン の 購 入 品 目 や 購 入 頻 度 な ど か ら 、 現 在 の 問 題 点 を 洗 い 出 し て い く 。6.2-1 ファッションへのこだわり
この調査において、「非常にこだわりがある」「まあこだわ りがある」を回答した多くは、女性や若年層で多くなってい るという結果がでた。また、こだわりがあると答えた 7～9 割 が H&M や ZARA を主に利用するとの結果も得られた。 また、第一回の調査時に比べ、ファッションへこだわりを 持つ人が増えていることも読み取れる。この結果より、消費 者ニーズの多様化と個性化が伺える。 図 6 ファッションへのこだわりに関する調査結果6.2-2 ファストファッションブランドの購入品目
「
直 近 1 年 間 に 商 品 を 購 入 し た ブ ラ ン ド に つ い て 、 購 入 し た 商 品 の 種 類 を お 聞 か せ く だ さ い 。」と い う 質 問 に 対 し て 以 下 の よ う な 結 果 が 得 ら れ た 。 図 7 ファストファッションブランドでの直近１年以内の購入 商品 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド で の 直 近 1 年 以 内 購 入 商 品 は「 T シ ャ ツ 」「 下 着 類 」「 パ ン ツ (ジ ー ン ズ 、 チ ノ パ ン な ど )」 が 各 4～ 5 割 、「 シ ャ ツ 、 ブ ラ ウ ス 」 「 靴 下 」「 カ ッ ト ソ ー 、キ ャ ミ ソ ー ル 、チ ュ ニ ッ ク な ど 」が 各 3 割 弱 と な っ て い る 。「 T シ ャ ツ 」「 靴 下 」は 男 性 若 年 層 、「 ワ ン ピ ー ス 」「 ス カ ー ト 」 は 女 性 若 年 層 で 多 く み ら れ る と い う 結 果 も 得 ら れ た 。ま た 、「 カ ッ ト ソ ー 、キ ャ ミ ソ ー ル 、チ ュ ニ ッ ク な ど 」「 ニ ッ ト 、 セ ー タ ー 、 カ ー デ ィ ガ ン 」 は 、 女 性 が 男 性 を 大 き く 上 回 り ま っ て い る 。 最 頻 購 入 ブ ラ ン ド 別 に み る と 、 し ま む ら 主 利 用 者 で は「 下 着 類 」「 靴 下 」が 多 く み ら れ 、ジ ー ユ ー 、GAP、 H&M、 ZARA、 GLOBAL WORK な ど の 主 利 用 者 で は 、 下 着 類 や 靴 下 よ り も「 パ ン ツ (ジ ー ン ズ 、チ ノ パ ン な ど )」 「 シ ャ ツ 、 ブ ラ ウ ス 」「 カ ッ ト ソ ー 、 キ ャ ミ ソ ー ル 、 チ ュ ニ ッ ク な ど 」 な ど の イ ン ナ ー 以 外 の 方 が 、 多 く な っ て い る こ と が 分 か っ た 。 こ の 結 果 よ り 、 主 に フ ァ ッ シ ョ ン の メ イ ン と な る ア ウ タ ー な ど の 衣 料 品 は 購 入 が 少 な い こ と が 言 え る 。 フ ァ ッ シ ョ ン へ の こ だ わ り を 持 つ 人 が 増 え る こ と によ っ て 、 周 り と 同 じ も の を 避 け る 傾 向 も 比 例 し て 強 く な っ て い る か ら で は な い だ ろ う か 。 今 後 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン の 展 望 を 考 え る に あ た り 、 ア ウ タ ー と い っ た メ イ ン と な り う る 衣 料 品 項 目 の 売 上 を 伸 ば す こ と で 他 の フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン と の 差 別 化 を 図 る こ と が で き る の で は な い か と 考 え る 。
6.2-3 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン 購 入 頻 度
図 8 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン で の 商 品 購 入 頻 度 こ の 結 果 を み る と 、「 3,4 カ 月 に 1 回 」「 半 年 に 1 回 」 の 回 答 が 過 半 数 を 占 め 、 １ シ ー ズ ン 毎 に 商 品 を 購 入 し て い る と い え る 。 そ の 時 々 の ト レ ン ド を 押 さ え た 商 品 を 購 入 し て い る と 考 え ら れ 、 商 品 の 購 入 頻 度 を 上 げ る こ と は 難 し い の で は な い か と 考 え ら れ る 。6.2-4 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン 購 入 理 由
こ の 結 果 よ り 、 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン に 求 め る 消 費 者 の ニ ー ズ が 見 え て く る 。や は り 一 番 多 い 回 答 は 、 低 価 格 で あ る と い う こ と 。 次 い で 、 定 番 商 品 で あ る こ と 、 そ し て 自 分 の 趣 味 に 合 う も の が あ る こ と と い う 結 果 と な っ た 。 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン の 主 な 特 徴 で あ る 「 ト レ ン ド を 押 さ え て い る 」 と い う 点 に 関 し て は 意 外 に も 上 位 の 理 由 で は な い 。 本 当 に そ う な の だ と う か 。 そ こ で 、 こ れ ら の 理 由 を ブ ラ ン ド 別 に み る と 、 ユ ニ ク ロ 、し ま む ら 、ジ ー ユ ー 、ア ベ イ ル な ど で は「 価 格 が 割 安 で あ る 」が 各 8～ 9 割 に の ぼ り 、ZARA、GLOBAL WORK、next な ど で は「 自 分 の 趣 味 に 合 う 商 品 が あ る 」、 ア バ ク ロ ン ビ ー &フ ィ ッ チ で は「 商 品 の セ ン ス が 良 い 、 お し ゃ れ 」 が 最 も 多 く な っ て い る 。 し ま む ら は 「 商 品 の 種 類 が 豊 富 」、 H&M、 ZARA な ど で は 「 商 品 の セ ン ス が 良 い 、お し ゃ れ 」、フ ォ ー エ バ ー 21 で は「 ト レ ン ド ・ 流 行 を 取 り 入 れ て い る 」 が 2 位 と な っ て い る 。 そ の 他 、ユ ニ ク ロ で は「 定 番 ア イ テ ム が 買 え る 」「 無 難 」 な ど が 、 他 の 層 よ り 多 く な っ て い る と い う 結 果 が 出 て い る 。 本 論 文 に て は 、 ユ ニ ク ロ は フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン に 含 ま な い た め 、 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 購 入 動 機 と し て 上 位 に あ げ ら れ る の が 、商 品 の 種 類 、 カ ラ ー バ リ エ ー シ ョ ン が 豊 富 で あ る こ と 、 商 品 の セ ン ス 、 そ し て 素 材 や 仕 立 て が い い こ と だ と い え る 。 こ こ で 私 が 注 目 し た の が 、 素 材 や 仕 立 て が よ い と い う 項 目 で あ る 。 低 価 格 を 重 視 し つ つ も 、 素 材 や 仕 立 て を 気 に す る と い う 日 本 人 独 特 の 消 費 特 性 が 伺 え る 。 図 9 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン の 購 入 理 由6.3 衣 料 品 購 入 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 結 果
続 い て 衣 料 品 全 般 に 関 す る 意 識 調 査 に つ い て 考 察 し て い く 。（ 調 査 期 間 は 、 2012 年 06 月 01 日 ～ 06 月 05 日 回 答 者 数 は 11,630 名 ）6.3-1 商 品 群 別 の 購 入 時 重 視 す る 点
図 12 コ ー ト 類 ・ ト ッ プ ス 購 入 時 の 重 視 点 へ 図 13 ボ ト ム ス 購 入 時 の 重 視 点 図 14 イ ン ナ ー 購 入 時 の 重 視 点 図 15 リ ラ ク シ ン グ ウ ェ ア 購 入 時 の 重 視 点図 16 衣 料 雑 貨 購 入 時 の 重 視 点 上 記 の 結 果 よ り 、コ ー ト 類 は 他 の ア イ テ ム に 比 べ 、 「 デ ザ イ ン 」 の 比 率 が 高 く 、 ボ ト ム ス は 「 動 き や す さ 」「 サ イ ズ 」、 イ ン ナ ー は 「 肌 触 り 」「 機 能 性 」、 リ ラ ク シ ン グ ウ ェ ア は「 ゆ っ た り 着 ら れ る も の 」「 肌 触 り 」、そ し て 衣 料 雑 貨 は「 長 持 ち す る 」が 上 位 に 挙 が っ て い る 。 前 項 で の フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド で の 購 入 品 で ア ウ タ ー が 比 較 的 少 な い と い う 結 果 が 出 て い た の は 、 こ の 「 デ ザ イ ン 」 へ の こ だ わ り が 他 の ア イ テ ム に 比 べ 比 率 が 高 い の が 理 由 で は な い か と 考 え ら れ る 。 ま た 「 ブ ラ ン ド 」 と い う 項 目 の 数 値 は 、 衣 類 雑 貨 ア イ テ ム に 次 い で 大 き い の も 、 そ れ を 裏 付 け る 結 果 で は な い だ ろ う か 。 一 方 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド に て 多 く 購 入 さ れ る 下 着 等 の イ ン ナ ー は 、価 格 に 次 い で「 機 能 性 」 や 「 肌 触 り 」 と い っ た 品 質 に こ だ わ り を 持 っ て い る こ と が 分 か る 。 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 特 徴 と し て 「 ト レ ン ド を 押 さ え た 商 品 」「 短 サ イ ク ル 」 「 低 価 格 」 の 3 つ が 挙 げ ら れ る が 、 下 着 類 に 関 し て は ト レ ン ド よ り も 品 質 に 重 点 を 置 く 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。 サ プ ラ イ チ ェ ー ン マ ネ ジ メ ン ト に て 省 か れ た 中 間 マ ー ジ ン は 下 着 類 に お い て は 品 質 に 投 資 す る こ と が 望 ま し い と 考 え る 。
6.4消 費 税 増 税 に 伴 う 消 費 意 識 の 変 化
株 式 会 社 マ ク ロ ミ ル が 全 国 の 20～ 69 歳 の 男 女 を 対 象 に 「 消 費 税 に 関 す る 調 査 」 を 実 施 し た 。 調 査 機 関 は 2013 年 10 月 2 日 ～ 2013 年 10 月 3 日 、有 効 回 答 数 は 1000 名 で あ っ た 。 2014 年 4 月 の 増 税 後 、 ど の 程 度 節 約 す る か の 質 問 に 対 し て 以 下 の よ う な 結 果 が 出 た 。 図 17 消 費 税 増 税 後 の 節 約 意 識 節 約 す る と 答 え た の は 67.7%と 過 半 数 を 占 め る 結 果 と な っ た 。 次 に 節 約 す る と 回 答 し た 人 に 、 何 を 節 約 し た い か を 聞 い て み た 。そ の 結 果 が 以 下 の 図 で あ る 。 図 18 増 税 後 節 約 を 考 え る 品 目洋 服 、フ ァ ッ シ ョ ン 雑 貨 が 63.5%と 3 番 目 に 多 い 結 果 と な っ た 。 日 々 の ち ょ っ と し た 贅 沢 と な る も の を 節 約 す る 傾 向 に あ り 、 そ の 余 波 は フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 を 直 撃 し そ う で あ る 。 増 税 前 と い え ば 、 駆 け 込 み 需 要 を 期 待 す る こ と も 出 来 る が 、 フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 は そ う と は い か な い 結 果 が 出 て い る 。 図 19 増 税 前 に 買 い た い も の ラ ン キ ン グ 洋 服 、 フ ァ ッ シ ョ ン 雑 貨 は 8.2%と い う 数 値 に 留 ま り 、 駆 け 込 み 需 要 に 期 待 は 持 て な い と 考 え ら れ る 。 消 費 税 増 税 後 は 、消 費 者 の 節 約 意 識 が 高 ま る た め 、 低 価 格 が 売 り の フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン は フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 の 中 で も 生 き 残 り 続 け ら れ る の で は な い か と 考 え ら れ る 。
7.フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン の 今 後 の 展 望
こ れ ま で の 結 果 を も と に 、 今 後 の フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 展 望 を 検 討 す る 。商 品 カ テ ゴ リ ー 別 に 品 質 ・ 価 格 を 変 え 幅 広 い 層
を 取 り 込 む
イ ン ナ ー や ア ウ タ ー と い っ た 商 品 カ テ ゴ リ ー ご と に 求 め る ニ ー ズ が 違 う の は 明 ら か で あ る 。 ア ウ タ ー に 関 し て は 、 フ ァ ッ シ ョ ン の メ イ ン と な る フ ァ ッ シ ョ ン ア イ テ ム で あ る た め 、「 人 と 被 り た く な い 」 や 、 ブ ラ ン ド 志 向 の 影 響 で 「 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン と バ レ た く な い 」 と い っ た 心 理 が 働 き 、 あ ま り 売 れ 行 き が よ く な い 傾 向 に あ る 。 イ ン ナ ー は 、「 低 価 格 」「 品 質 ・ 機 能 性 」 と い っ た 部 分 が 重 視 さ れ る た め 、 消 費 者 は フ ァ ッ シ ョ ン 性 が 高 い と 認 知 さ れ て い る H&M や FOREVER21 と い っ た ブ ラ ン ド で は あ ま り 購 入 し な い 。 6.1 の サ プ ラ イ チ ェ ー ン の 構 造 に よ り 省 く こ と が で き た 中 間 マ ー ジ ン を 何 に 投 資 す る か で 、 消 費 者 の ニ ー ズ に 対 応 で き る こ と が 分 か っ た 。 今 後 は 、 ブ ラ ン ド 内 の 全 商 品 に 同 じ サ プ ラ イ チ ェ ー ン を 採 る の で は な く 、 同 じ ブ ラ ン ド 内 で も 商 品 カ テ ゴ リ ー ご と に 違 っ た サ プ ラ イ チ ェ ー ン を 採 用 し 、 多 様 な 消 費 者 ニ ー ズ に 対 応 す る こ と で 、 幅 広 い 層 の 消 費 者 を 取 り 込 む こ と が 可 能 に な る の で は な い か と 考 え る 。男 性 客 の 獲 得
フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 主 な 消 費 者 層 は 若 い 女 性 客 で あ る 。 メ ン ズ の レ ー ベ ル を 取 り 扱 う フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド は ま だ ま だ 少 な い 。 し か し 、 男 性 が フ ァ ッ シ ョ ン に 興 味 が な い と い う 結 果 は 出 て い な い 。 フ ァ ッ シ ョ ン 性 の 高 い H&M や FOREVER21 と い っ た ブ ラ ン ド は 若 い 男 性 客 を 、品 質 に こ だ わ り モ ー ド 感 を 重 視 す る ZARA は 、ス ー ツ な ど 30． 40 代 の 男 性 客 を 取 り 込 む こ と で 今 後 も 成 長 を 遂 げ ら れ る の で は な い か と 考 え る 。シ ニ ア 世 代 向 け の レ ー ベ ル の 創 出
現 在 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 主 な 客 層 は 10.20 代 の 若 い 女 性 で あ る 。彼 女 た ち は い ず れ シ ニ ア 世 代 と な っ て ゆ く 。 今 の シ ニ ア 世 代 に 比 べ 、 フ ァ ッ シ ョ ン に こ だ わ る 傾 向 が 強 く 、 そ れ は 年 齢 を 重 ね て も 変 わ ら な い と 考 え ら れ る 。 シ ニ ア 世 代 は 、 リ タ イ ア に よ り 収 入 が 減 少 す る こ と に よ っ て 、 低 価 格 志 向 が 高 い 。 よ っ て 、 現 在 の フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド の 主 な 消 費 者 層 が い ず れ シ ニ ア 世 代 に な る こ と を 考 え る と 、「 低 価 格 」「 フ ァ ッ シ ョ ン 性 」 を 特 徴 と す る フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン は シ ニ ア 世 代 を 新 た な 客 層 と し て 取 り 込 む こ と は 不 可 能 で は な い と 考 え ら れ る 。 今 後 も 長 く 生 き 残 っ て い く と 考 え る と 、 シ ニ ア 世 代 向 け の 商 品 レ ー ベ ル を 確 立 す る こ と が 必 要 な の で は な い だ ろ う か 。 以 上 3 点 を 実 現 す る こ と で 、 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン は 今 後 も フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 に て 成 功 を 続 け ら れ る の で は な い か と 考 え る 。 フ ァ ス ト フ ァ ッ シ ョ ン だ か ら と い っ て 、「 安 い か ら 品 質 が 悪 い 」と い っ た 概 念 が 徐 々 に 薄 れ る こ と が あ れ ば 、 よ り フ ァ ス ト フ ァ ッ ショ ン ブ ラ ン ド の 未 来 は 明 る く な る で あ ろ う 。
