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日本金属学会誌第 71 巻第 1 号 (2007) 高純度 Al Si 亜共晶合金の組織と引張特性 1 小川俊文 1 木村健治 2, 2 古賀康子 2, 2 春山繁之 1 恵良秀則 2 岸武勝彦 3 1 福岡県工業技術センター 2 九州工業大学 3 大阪産業大学 J. Japan In

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1 Mater. Trans.46(2005) 17711774 に掲載

2 九州工業大学大学院生(Graduate Student, Kyushu Institute of Technology)

高純度 AlSi 亜共晶合金の組織と引張特性

1

小 川 俊 文

1

木 村 健 治

2,

2

古 賀 康 子

2,

2

春 山 繁 之

1

恵 良 秀 則

2

岸 武 勝 彦

3 1福岡県工業技術センター 2九州工業大学 3大阪産業大学

J. Japan Inst. Metals, Vol. 71, No. 1(2007), pp. 120127  2007 The Japan Institute of Metals

Structure and Tensile Properties of HighPurity AlSi HypoEutectic Alloy Toshifumi Ogawa1, Kenji Kimura2,2, Yasuko Koga2,2, Shigeyuki Haruyama1,

Hidenori Era2and Katsuhiko Kishitake3

1Fukuoka Industrial of Technology Center, Kitakyushu 8070831 2Kyushu Institute of Technology, Kitakyushu 8048550 3Osaka Sangyo University, Daitoh 5748530

Structure and tensile properties of a highpurity AlSi hypoeutectic alloy, which was HAlloy of 99.98 mass purity, have been investigated comparing with a conventional one which was LAlloy of 99.89 mass purity. Although the base structure in both of the alloys was composed of proeutectic aphase and eutectic structure, the eutectic structure of HAlloy was finer than that of LAlloy. Coarse crystals of platelike silicon were observed in LAlloy, while was not observed in HAlloy. Based on the results of Brinell Hardness Test on the solidification structure, it was found that there was little difference of the hardness be-tween the both alloys. Tensile tests were also performed in an atmosphere at room temperature. The elongation of HAlloy was twice as large as that of LAlloy, though the tensile strength of LAlloy and HAlloy were almost the same. AlFeSi system compounds were observed at the interface between aphase and eutectic silicon in LAlloy.

(Received August 14, 2006; Accepted October 31, 2006)

Keywords: aluminumsilicon hypoeutectic alloy, purity, eutectic structure, elongation, tensile strength, aluminumironsilicon system compounds 1. 緒 言 近年,自動車等の輸送機器において,軽量化を通して省エ ネルギーと排ガス削減を図るため,アルミニウム合金材料が 積極的に使用されるようになってきた.しかし,いっそうの 軽量化を図るためにこれまで使われていなかった箇所,例え ばボディ部品や足回り部品などの重要保安部品などへアルミ ニウム合金鋳物の適用が進められてきており,より高機能・ 高性能で確固たる信頼性を持ったアルミニウム合金材料が要 求されている.このような期待に応えるため,アルミニウム 合金鋳物の機械的特性に関する研究は,鋳造条件1),冷却速 度2),熱処理35),改良処理6),不純物元素7),組織・鋳造欠 陥8),介在物9),水素や酸素の含有量9,10)の影響などに注目し ていろいろな視点に基づいて行われてきている.しかし,不 純物の低減を積極的に利用したアルミニウム合金鋳物の機械 的特性に関する研究はまだ少ない.また,今後はリサイクル 性が一層強く要求されることから,リサイクルしやすい単純 組成の金属材料の開発が望まれている.筆者らは,アルミニ ウム合金鋳物である AC4CH について主用合金元素である Si と Mg 以外の元素を低減させることで,引張強さを著し く低下させることなく伸びを大幅に向上させることができる 可能性があることを報告した7).しかし,その伸び向上のメ カニズムについては解明されていない.また,AlSi 系合金 の機械的性質は共晶の凝固組織に依存すると言われてい る11).そこで本研究では,高純度 AlSi 亜共晶合金と比較材 として低純度 AlSi 亜共晶合金を溶製し,その凝固組織と引 張特性に及ぼす純度の影響につて検討することにした. 2. 実 験 方 法 純度の異なる 2 種類の AlSi 亜共晶合金(以降,低純度合 金L 合金,高純度合金H 合金とする)を準備した.原材 料として,L 合金には,純度 99.7 massの純アルミニウム を,H 合金には,純度 99.99 massの高純度アルミニウム を用いた.また,両合金とも純度 99.999 massの粒状純シ リコンを用いた.溶解は,コールドクルーシブル溶解炉(富

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Table 1 Chemical composition of alloys. LAlloy HAlloy Cu 0.024 ― Si 11.2 11.1 Mg 0.002 0.004 Zn <0.001 ― Fe 0.074 0.013 Mn 0.001 <0.001 Ni ― ― Ti 0.003 <0.001 Pb ― ― Sn ― ― Cr <0.001 <0.001 Ca 0.001 0.001 Na <0.001 <0.001 P <0.001 <0.001 Sb <0.001 <0.001 Sr <0.001 <0.001 Al bal. bal. (unit: mass)

Fig. 1 Optical microscope images of solidification structure, (a) and (b): LAlloy, (c) and (d): HAlloy.

士電機ファーネス株製)で行った.この溶解炉は水冷銅るつ ぼで材料を高周波溶解するため,るつぼから溶湯への不純物 の混入がない.またチャンバー内を一度ロータリーポンプに より 10-1Pa 台まで真空排気した後,高純度アルゴンガスに 置換して溶解を行ったので,雰囲気から溶湯への不純物混入 もほとんどない.したがって,原材料の純度をほぼ維持した 状態のインゴットを溶製することができる.溶解重量は,る つぼ容積の制約上約 500 g であり,るつぼ中に原材料をすべ て入れてから溶解を行った.溶解条件は最高出力 90 kW, 合計溶解時間は 20 分間とした.出力 OFF 後,溶湯はその まま水冷銅るつぼ中で凝固させた.るつぼ底の形状がすり鉢 状になっているため,インゴットは,中心が引けて凹んだ直 径 60 mm,長さ 90 mm 程度のドングリのような形状である. 各試験片は,インゴット中心の引け巣周辺と外側の急冷部 分を除いた部分,すなわち組織が均質な部分から切り出した. JIS H 5202 で規定されている 11 元素と改良処理元素である Ca, Na, P, Sb, Srについて湿式分析を行いインゴットの純度 を求めた.凝固組織の比較は,光学顕微鏡で観察を行い,X 線回折(XRD)測定と電子線マイクロアナライザー(EPMA) 分析を行った.純度の違いが硬さに影響を及ぼすかを調べる ために硬さ試験を行った.室温大気中において,ひずみ速度 1.4×10-3s-1で引張試験を行った.引張試験後,破断面を エネルギー分散型 X 線検出器付走査型電子顕微鏡(SEM EDS)により観察・分析を行った.また,a 相/共晶 Si 界面 についてエネルギー分散型 X 線検出器付透過型電子顕微鏡 (TEMEDS)を用いて,観察・分析を行った. 3. 実験結果および考察 3.1 成分と純度の比較 溶製したインゴットの成分分析の結果を Table 1 に示す. Si は重量法で,その他の元素は ICP 発光分光分析法(定量限

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Fig. 2 (a) Results of SEM observation and line analyses for aphase in LAlloy. (b) Results of SEM observation and line analyses for coarse crystal of platelike silicon in Lalloy. (B.G. means back ground level.).

界10 mass ppm)で行った.L 合金と H 合金の Si 含有量は ほぼ同じで,両合金とも亜共晶合金であることが確認された. L 合金には,H 合金よりも Cu と Fe が多く含有されてい た.両合金で改良処理元素である Ca が 10 mass ppm 含有さ れていたが,その他の改良処理元素は定量限界であった. Al と Si 以外の元素を不純物元素と考えて純度を見積もると, L 合金99.89 mass,H 合金99.98 massとなり,約一 桁の差があった. 3.2 凝固組織の比較 両 合金 の 凝 固組 織 を Fig. 1 に 示 す. 低 倍 率の 写 真 Fig. 1(a)と(c)を見ると,両合金は,a 相デンドライトと共晶組 織から成っていることがわかる.初晶のa 相デンドライト は,H 合金に比べて L 合金の方が,1 次枝が短くa 相デン ドライト全体が太めであった.このことから,純度が高くな ると 1 次枝がより優先的に成長するためデンドライトセル の成長が小さくなると考えられる.また,高倍率の写真 Fig. 1(b)と(d)からは,H 合金の共晶組織が L 合金の共晶 組織よりも微細であることがわかった.特に,L 合金では板 状 Si 粗大結晶が観察されたが,H 合金では全く観察されな かった.凝固組織は,鋳込み温度や冷却速度などの影響を受 けることが知られている.しかし,L 合金と H 合金は同じ 条件で作製されていることから,これらの条件が両合金間の 凝固組織の違いを引き起こしたとは考えられない.AlSi 合 金の共晶 Si の形態は,様々な改良処理元素によって変化す ることが一般的に知られている12).AC4CH 合金の共晶 Si は Ca を 11 mass添加することで微細化されると報告され ている13).Table 1 からわかるように,L 合金と A 合金はい ずれも Ca を 10 mass含有しているので,共晶 Si の形態は Ca の影響を受けている可能性はある.しかし,両合金に含 有される Ca 量は,同じである.したがって,この含有 Ca が両合金間の共晶組織の違いの原因とは考えられない.Al Si 共晶合金において,微量の P が凝固組織に影響を及ぼす こと,そして板状 Si 粗大結晶の生成核として作用すること が報告されている14).そこで,EPMA により L 合金中の P の分析を行った.Fig. 2 にa 相デンドライトと板状 Si 粗大

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Fig. 3 Results of XRD measurement for LAlloy and HAl-loy.

Fig. 4 Results of mapping analysis by EPMA for LAlloy.

結晶を線分析した結果を示す.a 相における P の強度レベル は一定であるのに対して(Fig. 2(a)),板状 Si 粗大結晶の存 在領域では P の強度レベルがわずかに高くなっており(Fig. 2(b)),板状 Si 粗大結晶の中に,微量の P が存在している ことがわかった.これらのことから,微量の P が L 合金と H 合金間の凝固組織の違いを引き起こした要因の一つとし て考えられる. L 合金と H 合金間の凝固組織の違いを引き起こす要因を さらに明らかにするためには,今回定量限界であった改良処 理元素の確実な定量分析を行うことや改良処理元素と Fe や Cu のような不純物元素との間の相互作用などを検討するこ とが必要である. 次に,L 合金に多く含有されていた不純物元素が,どのよ うな形態で存在しているのか検討を行った.光学顕微鏡観察 では識別しがたい共晶 Si 以外の相が存在するのか明らかに するため,XRD 測定を行った.その結果を Fig. 3 に示す. H合金では,Al と Si 以外のピークは検出されなかった.こ れに対し,L 合金では,Si の第一ピークの高角度側に明瞭 な小ピークが検出され,Al,Si 以外の相が存在しているこ とが示唆された.L 合金では H 合金に比べて Fe と Cu が多

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Fig. 5 Results of tensile test.

Fig. 6 Changes in true stress, s, and work hardening, ds/de, as a function of true strain, e, for LAlloy and HAlloy.

Fig. 7 SEM images of fractured surface, (a) and (b): LAlloy, (c) and (d): HAlloy.

く含有されていることから(Table 1),Al, Si, Fe, Cu の 4 元 素いずれかで構成される化合物相の存在が考えられるが,同 定には至らなかった.そこで,L 合金において Fe と Cu が,どのように分布しているのか明らかにするために, EPMA でマッピング分析を行った.L 合金のマッピング分 析結果を Fig. 4 に示す.反射電子像において,白いコント ラスト領域と Fe および Cu のマップ図が一致していること から,Fe と Cu は何らかの化合物として存在していると考 えられる.また,共晶 Si より大きなサイズの化合物は観察 されなかった.今回溶製した合金は,JIS のアルミニウム合 金鋳物 AC3A に相当する.改良処理されていない AC3A の 砂型凝固組織において,Fe は針または短冊状の AlFeSi 系化合物として晶出することが知られている.EPMA マッ ピング分析の結果を考慮すると,本研究で用いた L 合金に は,Cu を含有した AlFeSi 系化合物が存在していると考 えられる.

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Fig. 8 Results of SEM observation and EDS analysis on hexagonal flatplane in LAlloy.

Fig. 9 Result of TEM observation for LAlloy, (a) bright field image and selected area diffraction pattern, (b) EDS anal-ysis. 3.3 硬さと引張特性に及ぼす純度の影響 硬さと引張特性の間には,相関があることが一般に知られ ている.AlSi 亜共晶合金の硬さに及ぼす純度の影響を調べ るために,L 合金と H 合金においてブリネル硬さ試験を行 った.L 合金の硬さは BHW55,H 合金の硬さは BHW 52 であった.両合金の硬さに著しい違いが見られなかった ことから,AlSi 共晶合金の硬さへの純度の影響は非常に小 さいことがわかった. L 合金と H 合金の引張試験結果を Fig. 5 に示す.ここで 引張強さと伸びは,3 回の試験結果の平均値である.引張強 さは,L 合金193 MPa,H 合金191 MPa で,ほぼ同じ であった.これに対し伸びは,L 合金7.0,H 合金 13.4で,H 合金の伸びは,L 合金の約 2 倍であった.金属 材料の伸びは,硬さの低下にともない大きくなることが知ら れている.しかしながら,本研究の場合,両合金の引張強さ と硬さは,ほぼ同じであるにもかかわらず,伸びは著しく異 なっていた.これらの結果より,AlSi 亜共晶合金は,高純 化によって引張強さをほとんど低下させることなく伸びを大 きく改善できることがわかった. 引張試験結果を基に,真ひずみ(e)真応力(s)の関係,真 ひずみ(e)加工硬化(ds/de)の関係についてまとめたものを Fig. 6 に示す.最高荷重に達したときの加工硬化と真応力 (s)の関係を示すと式( 1 )が成り立つ. ds/de=s ( 1 ) 一方,最高荷重点までのひずみ,すなわちくびれが生じ始め るときのひずみ(均一伸びまでのひずみenecking)と加工硬化 指数(n 値)の関係は,式( 2 )で表される. n=enecking ( 2 ) H 合金では,ds/de の値と s の値が一致するひずみは約 0.14 であり,これが H 合金の加工硬化指数である.一方, L 合金のes 曲線および eds/de 曲線は H 合金とほとんど 一致し,ひずみが大きいところまで外挿すると L 合金の n 値も約 0.14 となって,これら両合金の n 値は同じと見なせ る.すなわち,引張試験において伸びを受け持つa 相の加 工硬化,言い換えると均一伸びに対する不純物の影響は極め て小さいと解釈できる.このことは L 合金の早期破断が a 相ではなく,他の要因によることを示唆している. 3.4 破断面の観察 L 合金と H 合金の引張試験後の破断面を SEM 観察した 結果を Fig. 7 に示す.観察は引張軸方向から行った.Fig. 7(a)と(c)は,破断面全体を観察した低倍率像である.これ より,L 合金の破断面は,H 合金よりもごつごつしている様 子がわかる.また,高倍率像 Fig. 7(b)と(d)から,L 合金の

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Fig. 10 Results of SEMEDS analysis on fracture surface for LAlloy, (a) SEM image, (b) Fe mapping, (c) result of point analy-sis.

破断面は,H 合金よりもフラットな面が多いことがわか る.ここで L 合金破断面のフラットな面を SEMEDS で分 析した.一例として,六角形のフラットな面にフォーカスを 絞って分析した結果を Fig. 8 に示す.Si が約 75,Al が約 25であったことから,六角形のフラットな面は Si 結晶で あると考えられ,検出された Al は,a 相/Si 結晶界面で破壊 後,Si 結晶上に残ったものと推定される.以上のような観 察・分析結果から,L 合金ではa 相/共晶 Si 境界や a 相/Si 結晶境界において,スケールの大きな破壊が多く起こったと 考えられ,L 合金における a 相/共晶 Si 界面の結合力は,H 合金よりも弱いと推測される.筆者らは,以前行った研究 で,高純化された AC4CHT6 材の大きな伸びの一つの要因 として,共晶組織におけるa 相/共晶 Si 界面の結合力の改善 が推測されると考察した.本研究で用いた両合金は,金属組 織の大部分が共晶組織であり,その共晶組織は,合金間でか なりの違いが観られる.前述のa 相自体の伸びに関する考 察と破断面における観察・分析結果も一緒に考慮すると,a 相/共晶 Si 界面やa 相/Si 結晶界面の結合力が,破壊挙動と 伸びに影響を及ぼしていると考えられる. 3.5 a 相/共晶 Si 界面の観察・分析 a 相/共晶 Si 界面の状態が,L 合金と H 合金で違いがある のか明らかにするために,TEM 観察を行った.L 合金のa 相/共晶 Si 界面を観察した一例を Fig. 9(a)に示す.a 相と 共晶 Si の間に,幅が 200~50 nm 程の他の相(X 相)が存在 していた.この X 相の構成元素が何であるかを調べるのに TEMEDS で定性分析を行った.その分析結果を Fig. 9(b) に示す.合金の主成分元素である Al と Si 以外に,不純物元 素である Fe と Cu が検出された.この分析結果を考慮して, Fig. 9(a)に示す X 相のディフラクションパターンを解析し た結果,X 相は Cu を含有したa(AlFeSi)系化合物である と考えられた.これら化合物は他の領域のa 相/共晶 Si 界面 においても数例観察されている.この界面観察の結果と不純 物元素 Fe の含有量の違いから,H 合金に比べて L 合金では, a 相/共晶 Si 界面に AlFeSi 系化合物が多く存在している と考えられ,L 合金ではa 相/共晶 Si 界面での大規模な破壊 が起こりやすくなっているものと推測される. ここで,L 合金において,a 相/共晶 Si 界面に存在する AlFeSi 系化合物相で破壊が起こっているのであれば,破

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断面に AlFeSi 系化合物相の痕跡があると考えられる.そ こ で , 引 張 試 験 後 の 破 断 面 で Fe が 検 出 さ れ る か 否 か , SEMEDS で分析を行った.Fig. 10(a)に示す破断面の任意 領域で Fe のマッピング分析を行った結果を Fig. 10(b)に示 す.これより分析領域のほぼ中央に Fe が多く存在している ことがわかる.さらに,Fe が多く存在している部分で,点 分析を行った.Fig. 10(a)の十字を記した箇所での点分析結 果を Fig. 10(c)に示す.Al と Si のピーク以外に,Si より大 きな Fe のピークと小さな Cu のピークが得られていること から,この箇所には,Cu を含んだ AlFeSi 系化合物相が 存在していると考えられる. 以上のa 相/共晶 Si 界面の観察・分析と破断面における分 析結果より,L 合金ではa 相/共晶 Si 界面に幅がサブミクロ ンオーダーの AlFeSi 系化合物相が多く存在するために大 規模な破壊が起こりやすくなっていると考えられ,このこと が L 合金の早期破断をもたらす主要因の一つと考えられる. 4. 結 論 純度の異なる 2 種類の AlSi 亜共晶合金(H 合金純度 99.98 massおよび L 合金純度 99.89 mass)をコールド クルーシブル溶解炉で溶製し,両合金の凝固組織,硬さ,引 張特性を比較検討して,以下の結果を得ることができた.  L 合金で観察されたような板状 Si 粗大結晶は,H 合 金では観察されなかった.また,L 合金に比べて H 合金の 共晶組織は微細であった.  L 合金と H 合金の硬さに著しい違いは見られず,Al Si 亜共晶合金への純度の影響は非常に小さかった.  AlSi 亜共晶合金は,高純化することで強度を低下さ せずに伸びを大きく改善させることができる.  L 合金では,a 相/共晶 Si 界面に,幅がサブミクロン オーダーの AlFeSi 系化合物が存在していることが明らか になった.  L 合金の引張における早期破断すなわち伸びの低下 は,上記化合物の存在が大きな要因の一つと考えられる. 文 献

1) N. Ohnishi, T. Takaai, Y. Nakayama and K. Ninomiya: J. JILM 46(1996) 365370.

2) M. Koga, T. Takaai, Y. Nakayama, N. Ohnishi, Y. Iizuka, Y. Matsumura and Y. Mitsuishi: J. JILM44(1994) 216221. 3) M. Koga, N. Ohnishi, Y. Iizuka, T. Takaai and Y. Nakayama: J.

JILM43(1993) 297302.

4) M. Koga, T. Takaai, Y. Nakayama, N. Ohnishi, Y. Iizuka, Y. Matsumura and Y. Mitsuishi: J. JILM43(1993) 612617. 5) N. Ohnishi, T. Takaai, Y. Nakayama and M. Ohmori: J. JILM

45(1995) 447452.

6) T. Kobayashi, M. Niinomi, M. Yamaoka, T. Harata and M. F. Hafiz: J. JILM43(1993) 472477.

7) T. Ogawa, S. Haruyama, H. Kaida and S. Morita: J. JIM 67(2003) 452455.

8) S. Haruyama, K. Kaminishi, H. Kaida, T. Ogawa and T. Sekine: Trans. of the Japan Society of Mechanical Engineers70(2004) 258265.

9) The Japan Foundrymen's Society ed.: Study on relation between inclusion in aluminium alloy castings and mechanical properties, (The Japan Foundrymen's Society, 1989) 53 pp. 942. 10) The Japan Foundrymen's Society ed.: Study on relation between

contents of gas in aluminium alloy castings and mechanical proper-ties, (The Japan Foundrymen's Society, 1986) 41 pp. 1165. 11) E. Kato, H. Nomura and N. Oshiro: J. JILM 46(1995) 377382. 12) M. Adachi: J. JILM34(1984) 361373.

13) Japan Foundry Engineering Society ed.: Study on effect of the minute amounts of elements on casting properties of AlSi system alloys, (Japan Foundry Engineering Society, 1999) 82 pp. 84 91.

Fig. 1 Optical microscope images of solidification structure, (a) and (b): LAlloy, (c) and (d): HAlloy.
Fig. 3 Results of XRD measurement for LAlloy and HAl- HAl-loy.
Fig. 5 Results of tensile test.
Fig. 8 Results of SEM observation and EDS analysis on hexagonal flatplane in LAlloy.
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