(1)(2)S1-1 Reduced Port Laparoscopic
Cholecystectomyの手技と成績
獨協医科大学越谷病院 外科
菅又 嘉剛、多賀谷信美、山口 夏希、箱﨑 悠平、
嶋田まゆか、松永 慶廉、立岡 哲平、平野 康介、
齋藤 一幸、大矢 雅敏
【はじめに】胆嚢疾患に対し、Reduced port surgeryとしてSingle-incision
cholecystectomy(SIC)を260例、Needlescopic cholecystectomy(NC)
を192例の計452例に施行した。術前に癌が強く疑われる症例以外は本手
技で望んでおり、我々の手術手技と成績について報告する。
【方法】SICは臍部からの5mmポート3本の手袋法で施行している。
Endo-Grabで胆嚢を把持挙上し、屈曲鉗子で胆嚢頸部を受動し、超音波凝
固切開装置を用いて胆嚢管および胆嚢動脈を剥離同定する。NCは12-3-3-3mmの4ポートで、2〜3mmの細径鉗子と3.3mm内視鏡を使用した。
【結果】SICでportの追加が17例(6.5%)、開腹移行が4例(1.5%)、NCで
5mm portへ交換が8例(4.2%)に認められた。術中偶発症として気胸を2
例(0.4%)、胆管損傷(右肝管)を1例(0.2%)に経験した。急性炎症、萎縮
胆嚢、上腹部手術既往、病的肥満例などは、適応外の条件とはならなかっ
た。
【結語】Reduced Port Surgeryは、狭い切開創からの手技の困難性や鉗子
の操作性、画質の低下は免れないものの、術式の定型化により高い完遂率
が得られた。
S1-2 発症早期に行う急性胆嚢炎に対する
Reduced port surgeryの有用性
西陣病院 外科
小泉 範明、小林 博喜、髙木 剛、福本 兼久
【はじめに】当院では2mmの細径鉗子を併用した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出
術を非炎症性胆嚢良性疾患に対して定型化して施行しているが、Tokyo
Guideline 2013 (TG13)が改訂されて以来、急性胆嚢炎に対する緊急手
術としても本術式を積極的に施行するようになった。今回、過去に行った
急性胆嚢炎に対する単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の治療成績について検討
した。
【対象・方法】2011年1月から2016年3月までに単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出
術を行った急性胆嚢炎症例55例を対象とした。発症後72時間以内に緊急
手術を行った群(E群)とそれ以外(非E群)に分け、それぞれの治療成績に
ついて比較検討した。
【結果】患者の平均年齢は69.9歳、重症度は軽症30例、中等症25例であっ
た。E群は21例、非E群が34例であった。手術時間の平均はE群127分、非
E群167分とE群で有意に短く(p=0.005)、平均出血量はE群154g、非E群
319gでE群で有意に少なかった(p=0.01)。ポート追加はE群で19.0%、非
E群35.5%、開腹移行率はE群で9.5%、非E群26.5%、術後合併症の頻度
はE群14.3%、非E群23.5%といずれも非E群に多い傾向を認めた。術後
在院日数はE群7日、非E群8.5日であった。
【考察・まとめ】E群の治療成績は比較的良好であり、TG13の推奨症例に
対しては本術式は適切な治療法と考えられた。一方、非E群では慎重に適
応を判断するとともにポート追加や開腹移行のタイミングを逸しないこ
とが重要である。
S1-3 当科における単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術
安全性に関する検討
国家公務員共済組合連合会 斗南病院 外科
佐藤 大介、北城 秀司、川原田 陽、鈴木 善法、
才川 大介、山本 和幸、河合 典子、森 大樹、
花城 清俊、奥芝 俊一
【背景】一般認知度の高まりと共に単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(SPA-C)へ
の患者needsは増大している。当院ではほぼ全ての胆嚢疾患を適応に含
め、患者希望と術中所見で施行を決定している。しかし、炎症・肥満症例
など適応を躊躇する場合もある。当院のSPA-C 300例を後ろ向きに解析
し困難症例におけるSPA-Cの安全性を検証した。
【結果】対象はSPA-C完遂例中、他領域手術併施を除く297例。手術手技は
臍部を1.5-2.5cmの縦切開、トロッカーを直接臍創内に穿刺するmultiple
trocar法を基本としている。対照疾患は胆嚢炎急性期4例、保存的加療
後14例。279例が胆石、胆嚢腫瘍など無炎症症例。患者背景は年齢中央
値57.3歳(21-86)、男女比120:177。BMI中央値23.9(13.2-38.2)、術前
CRP最大値は中央値0.1(0-25.2)であった。Clavien-Dindo 分類Ⅲ以上の
合併症は4例で認めた。CRP、BMI、腹部手術既往有無によって解析する
と、CRP>1、BMI>25で有意に手術時間が延長し(p=0.0014、 p=0.0003)、
CRP>1で有意に出血量が増加した(p=0.0064)。合併症の発生にはいずれ
も有意差認められなかった。
【結語】手術時間の延長や出血量の増加はみられるものの、炎症・肥満症例
においても、SPA-Cは安全に施行可能と考えられる。
S1-4 2人で行う単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術に
おける硬性鏡と湾曲可変型鉗子の操作
メディカルトピア草加病院 外科
谷田 孝、金平 永二、中木 正文、亀井 文
【背景】我々はx-GateⓇ
とBJニードルⓇ
を用いて行う単孔式腹腔鏡下胆嚢
摘出術(以下SILC)を標準術式としており、良好な成績を報告してきた。
SILCは2人で行い、助手は左手で硬性鏡を、右手で湾曲可変型鉗子を操作
する特徴がある。今回は助手の器具操作法に関する検討を行い報告する。
【方法】患者は開脚位、術者は脚間に立ち、助手は患者左側尾側、ナースは
左側頭側に立つ。臍にx-GateⓇ
を装着し、BJニードルⓇ
は右側腹部から挿
入する。Calot's三角を展開して胆嚢管、胆嚢動脈を切離した後、底部より
剥離し、摘出する。助手は左手で5mm30°硬性鏡を操作し、背側剥離の際
は左手1本でライトガイドを倒す。右手では底部を把持した湾曲可変型鉗
子を操作する。
【結果】2012年2月より2016年3月までのSILC症例は266例であった。手
術時間は25〜170分(平均60.3分)、平均出血量は7.8ml、術後合併症はSSI
が1例、腹壁瘢痕ヘルニアが2例で、術後平均在院日数は2.9日であった。
助手の操作は左手でライトガイドを動かすことに慣れれば、問題なく行え
た。
【考察】SILCの利点は2人で行えること、器具の干渉を回避できることで
あると考える。助手は片手でのライトガイド操作に習熟すれば、特別な技
術は必要なかった。ただし、軟性鏡では困難と思われた。手技は円滑・迅
速であり、安全に施行可能であった。
(3)S1-5 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術時間に
影響する因子の検討
四谷メディカルキューブ きずの小さな手術センター
北川美智子、梅澤 昭子、宇野 耕平、若松高太郎、
関 洋介、笠間 和典、黒川 良望
【目的】単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(T–LC)における手術時間と、BMIや炎
症の因子との関係を検討する。
【方法】2011年3月から2016年5月までに施行したT–LC268例中、初期の
50例を除いた218例を対象とし、胆嚢床の炎症所見、胆嚢および胆嚢管周
囲の炎症所見、BMI、手術時間を検討した。手術時間はskin to skinで計
測した。T–LCの適応は患者の希望があり、経静脈的胆道造影にて胆嚢陽
性で急性胆嚢炎既往のない症例とした。手術は臍部および右季肋部の細
径ポートのいわゆる単孔+1で施行した。
【結 果 】218例 の 内 訳 は 男 性32人、 女 性186人、 平 均 手 術 時 間(分 )は
64.59、平均BMIは20.95であった。BMI<20の89例とBMI≧20の129例の
手術時間はそれぞれ61.96、66.41で有意差を認めた(P=0.024)。胆嚢床
の炎症あり14例と、なし204例における手術時間はそれぞれ77.6、64.05
で差はなかったが、胆嚢および胆嚢管周囲の炎症の有無では、胆嚢に炎症
あり22例79.82、なし197例63.03、(P=0.002)、胆嚢管周囲に炎症あり69
例76.72、なし150例 59.44分、P<0.01となり、有意差を認めた。
【結語】BMI≧20、胆嚢および胆嚢管周囲の炎症は、T–LCの手術時間に影
響を及ぼす因子になると思われた。
S1-6 単孔式胆嚢摘出術(RPS)の
スタンダード化について
福岡輝栄会病院 外科
山本 純也
【はじめに】単孔式胆嚢摘出術(RPS)は整容性に優れた低侵襲手術である。
キズが目立たないだけでなく、術後癒着や創出血などのリスクも少なく、
肥満患者に対してもとても有効である。当院では胆嚢摘出術全症例にア
クセスポートを用いたRPS(マルチチャンネルポート法)を標準術式とし
ている。
【手術手技】臍部切開は1.5-2cmを基準とし、45cmのロングスコープ(30°
斜視)とロング胆嚢把持鉗子を用いている。ポート配置は、右下よりス
コープ、左下よりロング胆嚢把持鉗子、右上より可変弯曲型把持鉗子、左
上より電極付洗浄吸引器を挿入する。術者は右手にて可変弯曲型把持鉗
子を、左手にて電極付洗浄吸引器や超音波凝固切開装置を用いて胆嚢剥離
操作を行う。手術方針として、まず臍部からアプローチし、必要に応じて
ニードル型鉗子やポートを追加するようにしている。
【結果】胆嚢摘出術750例中726例(完遂率96.8%)にRPSを施行しえた。(純
単孔338例、ニードル型鉗子使用388例、ポート追加17例、開腹移行7例)
【考察】RPSの適応基準は基本的に胆嚢疾患全症例である。手術を行うタ
イミングが特に重要であり、急性胆嚢炎重症例に対してはPTGBD等を行
い、炎症が落ち着いてから手術を行っている。またRPSは安全に行うこと
が第一であり、単孔にこだわり過ぎないことも大切である。RPSは従来法
と比べて手術成績に大きな差はなく、胆嚢摘出術の標準術式の一つとして
良いのではないかと考える。
S2-1 5mm flexible scopeを安全、有効に
使うためのポート開発
(先端平坦型 E・Z トロッカー)
高知赤十字病院 外科・呼吸器外科
山井 礼道、吉田 千尋、桑原 道郎、
大西 一久、浜口 伸正
フレキシブルスコープは画像システムの向上、教育システムの向上、
reduced port surgery(以降RPS)の導入によって、使用頻度は年々増加し
ている。当院でもTANKO、RPSの増加によって、5mm フレキシブルス
コープの使用頻度が増加し、同時にフレキシブルスコープの修理費も増加
している。破損の一番大きな原因は可動部の損傷で、2013-2015年におけ
る可動部の平均修理費は2,688,705円となる。可動部の破損原因に 5mm
portの先端が鋭となっていることや曲がった状態でスコープを引き抜く
ことで、鋭になっている部分と可動部が接触し、損傷されることが推測さ
れる。スコピストは数ヶ月ごとに交代する初期研修医や若手医師が担当
することも多く、取り扱い注意事項の伝達による注意喚起での破損減少に
も限界が感じられた。また、先端が斜めになっているポートは 斜めになっ
ている部位でフレキシブルスコープを動かすと、斜め方向での可動は最
大域まで可動できるが、一方、その対側に可動しようとすると最大域まで
は可動できない。10mm blunt portは先端が平坦となっているが、5mm
portでは先端が平坦となったportが少なく。以上の点から、5mm E・Z
トロッカーの先端が平坦となったポートを作成し、倫理委員会の承認を得
て、単孔式腹腔鏡下虫垂切除術で応用したので報告する。少数例での臨床
経験ではあるが、今後更なる検討を重ねていきたい。
S2-2 オプティカル法のための
細径トロッカーの研究開発
(1)
慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科、
(2)
慶應義塾大学医学部 腫瘍センター
和田 則仁(1)
、矢作 直久(2)
、北川 雄光(1,2)
【背景】ファーストポート挿入時にオプティカル法を用いる場合、12mmな
いし5mmポートを使用する必要がある。また気腹針はブラインド操作で
腹壁に刺入するため内臓を損傷するリスクや腹膜前腔に送気することが
懸念される。我々はReduce port surgery(RPS)において有用な内視鏡装
着可能な細径トロッカーを開発したので報告する。
【方法】外径2.3mmのトロッカーに細径内視鏡を装着し液晶モニターに表
示された画像を見ながら、ブタの腹壁に刺入した。腹腔内に到達したこと
を確認した後、10mmHgで気腹を行った。
【結果】2頭のブタに対して計10回の刺入を行い、すべて内臓を損傷する
ことなく安全に気腹が可能であった。
【結語】本細径トロッカーはRPSの際ファーストポート造設に有用性が期
待された。またこれまでブラインドで行われていた様々な刺入手技にも
応用が可能と考えられ、今後さらに開発を進める予定である。
(4)S2-3 RPSにおいて簡便に縫合結紮手技が
行えるpre-loop knot法の開発
(1)
東京慈恵会医科大学附属柏病院 外科、
(2)
東京慈恵会医科大学 消化器外科
藤岡 秀一(1)
、三澤 健之(1)
、北村 博顕(1)
、
斎藤 良太(1)
、秋葉 直志(1)
、矢永 勝彦(2)
【背景、目的】RPSにおける結紮手技は鉗子の交差による操作制限のた
め煩雑である。一方、緩まない結紮にするためには結紮の最終過程で
square knotにする必要がある。今回これらの問題を解決するため、RPS
でも簡便に行える、Pre-loop knot法(以下、本法)を新規に開発した。
【方法】本法ではlong tail上に4つのループを作成し、1、2番目のループ内
にshort tailを通す。4つのループに持針器を通し、針近傍を把持した状態
でトロッカーより腹腔内に挿入する。縫合後、long tailをループ内に引き
抜きknotを締め込む。次にshort tailを引きながらknotを押し込むと4つ
のループの中央でlong tailが180度折れ曲がり、square knotの形に変形
し、結紮が完成する。本法では縫合糸を引く、knotを押し込む、の2つの
操作の組み合わせで結紮が完了できる。
【結果】腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下肝部分切除術において本法を用いた
計18回の縫合結紮手技(内訳:単結節縫合11回、Z縫合7回)を行った。全
例で問題なく結紮が行え、結紮に要した時間は平均56±12秒であった。
【結語】本法では操作鉗子と補助鉗子のみで簡単に結紮を行え、RPSにおい
て有用な方法であると考える。
S2-4 FJ(Free Jaw) ClipとF loop Plus、
その開発の問題点と克服
福井赤十字病院 外科
藤井 秀則
【はじめに】医工連携にはマッチング、公的資金の使い方や知的財産の問
題など数々の課題もあるが最近ではそれらを克服するために学会や医師
会などで多くの機会が設けられている。また池井戸潤原作の「下町ロケッ
ト2ガウディ計画」に出てくる人工心臓弁を開発する繊維メーカー「桜田経
編」とその子会社「サクラダ」のモデルは福井市の福井経編興業で、医療機
器開発や知的財産、PMDAのことなどが取り上げられ、医工連携は社会的
にも認知されてきている。しかし、地方の病院勤務医師にとってアイデア
を製品化しある程度売り上げるには多くの問題がある。今回は開発機器
を通して実際の問題点など開発の裏側を報告する。
【手術機器開発】福井県鯖江市の眼鏡枠は全国シェアの96%を占め、
CHARMANT社は機能性とデザインに優れ精密で耐久性のある商品を作
り、最近では手術器具の分野にもその技術を活かしてきている。
【結果】我々は、Reduced port surgery に有用な腹腔内での臓器把持用の
機器FJ(Free Jaw) Clipと腹腔内の糸を体外に引き出すための機器F loop
Plusを共同開発した。いずれも発案から販売までわずか9か月と短期間で
あった。
【結語】地元の優れたもの作り企業との機器開発はお互いに顔の知れた連
携ができ現場の近さからスピード感のある開発が可能であった。我々の
ケースが機器開発に少しでも役に立てばと考えている。
S2-5 音声認識電動内視鏡ホルダを用いた
Reduced port surgeryによる
腹腔鏡下胆嚢摘出術
JCHO 下関医療センター 消化器外科
近藤 潤也
【はじめに】我々の施設では、2015年に音声認識で作動する電動内視鏡ホ
ルダ (ViKY EP System)を採用し、reduced port surgeryによる腹腔鏡下
胆嚢摘出術にも導入してきた。本器具を使用することで、腹腔鏡下胆嚢摘
出術はソロサージェリーにて完遂可能であり、外科医不足を補う有益な
ツールとなり得る。
【手技】ViKY EP Systemとは、手術台のサイドレールに固定した専用アー
ムに保持されたドライバによって電動で上下、左右、近接・遠景の動作が
可能となるスコープホルダーで、事前に術者の音声を登録することで、音
声指示を認識し、スコープのワイヤレス操作を可能とする器具である。
当施設で合計4例の腹腔鏡下胆嚢摘出術症例に使用し、いずれもソロサー
ジェリーにて完遂し得た。術者は2名の外科医が経験し、手術時間の平均
は112.3分(99-118分)、出血量の平均は3.8g(0-5g)、ViKY EP Systemを
使用することに起因する合併症等は認めなかった。
【考察】本器具の利点としては、手ブレのない画像を確保できること、術者
の意図する視野を捉えられること、遠景でもクリアな画像を確保できるこ
とでカメラが曇りにくいこと等が挙げられた。また、課題としては、迅速
な展開を要する場面では手動操作に及ばないことや若手外科医がカメラ
助手をすることで術野展開を勉強するといった教育効果が得られない点
が挙げられた。
S2-6 単孔式腹腔鏡下S状結腸切除における
自動縫合器挿入方法の工夫
順天堂大学医学部附属浦安病院 外科・低侵襲外科
勝野剛太郎、福永 正氣、福永 哲、永仮 邦彦、
飯田 義人、吉川征一郎、大内 昌和、神田 聡、
石橋 雄次、平崎 憲範
【背景・目的】比較的導入しやすい単孔式腹腔鏡下S状結腸切除において、
自動縫合器での腸管切離は難易度が高い。着脱式クランプ鉗子や自動縫
合器の右側ポートよりの挿入は、剥離・郭清の作業と比較して左右の動き
が大きくなるため術者左手およびカメラポートと干渉してトラブルにな
りやすい。今回、私たちが行っているセッティングの工夫を提示する。
【基本セッティング】アクセスプラットフォームとして主にEZアクセス、
腸管切離デバイスはiDriveを使用。
【手技・方法】直腸の十分な授動後、切離予定部位の間膜処理までは基本
セッティングのままで対応を行う。 間膜処理後、術者左手5mmポートを
12mmポートに変更する。そのまま左手12mmポートから着脱式鉗子を
挿入し腸管クランプを行う。クランプ鉗子は屈曲角度が大きく、自動縫
合器より本体の干渉が少ないため、左側からの挿入であれば容易に装着
可能。直腸洗浄後、プラットフォームを反時計回りに90度回転し、追加の
12mmポートが6時方向に位置するようにセッティング。これで他のポー
トとの干渉が軽減されるので、結腸授動が十分に完了していれば比較的ス
ムースに予定切離ラインへの自動縫合器挿入が可能となる。
【成績】大腸癌に対するSPS全280症例のうち、S状結腸癌症例は95例。吻
合の際の術中トラブルや縫合不全の経験はない。
【結語】単孔式腹腔鏡下S状結腸切除における自動縫合器挿入・切離の難易
度はセッテイングの工夫で改善する。
(5)S2-7 新規大型プラットフォーム
E・Z Access楕円型 (FF1010D用)の
開発と有用性
産業医科大学 第1外科
柴尾 和徳、佐藤 永洋、荒瀬 光一、井上 譲、
勝木 健文、田村 利尚、杉山 良太、佐藤 典弘、
鳥越 貴行、平田 敬治
臍部は腹直筋の影響により開創部が縦長になるため、より横方向に広く開
創可能で十分なトロッカー間隔を確保できる楕円型プラットフォームは
Reduced port surgery (RPS)において有用である。これまでにわれわれ
はE・Z Access楕円型 (EZ Access FF0707D用:八光)を開発し、皮切が
1.5cmから3cmまでの胆嚢摘出術などで有用であることを報告してきた。
しかしながらより大きな切開創を必要とするRPS用の楕円型デバイスは
これまでなかったため、皮切3cmから6cmに対応する楕円型デバイスE・
Z Access楕円型 (FF1010D用)とその専用開創器LAPPROTECTOR楕円
型(FF1010D)を(株)八光と共同開発した。LAPPROTECTORはシリコン
ゴム膜とワイヤーフレームからなる開創器であるが、従来のものはシリコ
ンゴム膜が薄く、時に鉗子が接触し、破損することがあった。そのため、
今回はシリコンゴムを2倍厚く、ワイヤーフレームを2倍太くすることで
開創力と耐久性を向上させた。対象と方法:当科で腹腔鏡下手術を施行
した2症例を対象に臍部3.5 cm縦切開でAlexis wound retractor(Applied
medical)、 FF1010(正 円 型 )、 FF1010D(楕 円 型 )を そ れ ぞ れ 装 着 し、
開創部の横径を測定し比較した。結果:Wound retractor、 FF1010、
FF1010Dの開創部横径はそれぞれ22mm、 26mm、 38mmでFF1010Dが
最大となった。結語: E・Z Access 楕円型 (FF1010D用)は、比較的大き
な皮切を要するRPSにおいて有用である。
S2-8 Needle手術器具の把持力向上に関する
先端形状の工夫
山本英博クリニック 呼吸器外科
山本 英博
現時点におけるNeedle-surgery用の手術器具は、一般の内視鏡手術器
具に比較し種類が少ない。手術操作に合わせたNeedle-surgery手術器具
が乏しい状況である。演者は、新規に開発したNeedle-surgery手術器具
の演題で2000年にCarl Storz賞を拝受した。この器具で1万件以上の胸腔
鏡下胸部交感神経節切除術を行った。この臨床応用の間も手術器具の先
端形状に工夫・改良を加え本会に報告してきた。Needle-surgery手術器
具は細径であるがために、構造を複雑にしようとすると剛性・強度・金属
疲労・磨滅が問題となり実用に耐えられなくなる。特に手術操作におい
て、組織の把持を行う際に細径器具は把持部分の面積が小さいため、把持
力が乏しいことが問題となる。これらの課題を意識したうえで、今回は
細径手術器具の先端形状の変更を行った。外径2.8ミリと細径であるが、
構造的に3軸とした手術器具を作成した。演者が従来使用していた細径手
術器具に比較し組織の牽引把持力の改善が得られ、手術の操作性が高まっ
た。本手術器具の使用実例を供覧し、手術成績を報告する。
S2-9 Reduced Port Surgeryの
トレーニングに対する
アンケート結果の解析
(1)
九州大学病院 先端医工学診療部、
(2)
九州大学大学院 先端医療医学
富川 盛雅(1)
、植村 宗則(1)
、大内田研宙(1)
、
赤星朋比古(2)
、橋爪 誠(2)
【は じ め に 】九 州 大 学 病 院 で は 全 国 の 外 科 医 を 対 象 にReduced Port
Surgery(RPS)に対するアドバンストトレーニングも実施している。受講
者に対するアンケートよりRPSトレーニングのニーズの洗い出し、さらに
トレーニングの指針について考察した。
【方法】2004年1月より現在までにRPSトレーニングは9回開催され、のべ
102名が参加した。午前中はRPSの特性を理解し手術を上手く行うための
コツを学ぶ講義、およびドライボックスによるトレーニングを行い、午後
からは動物を用いた実践的トレーニングを行った。セミナー終了後、受講
者に対するアンケートを実施した。
【結果】セミナー全体の進行、講義内容、ボックストレーニング内容、動物
トレーニング内容に対し、それぞれ97%、100%、73%、91%の受講者が
“大変よい”もしくは“よい”と回答した。RPS特有のテクニックに対する
理解がすすみ導入に対する不安が解消されたという意見も見られた一方、
受講料やトレーニング時間に対する要望も多かった。
【結論】RPSトレーニングに対するニーズは多い一方で、とくにボックス
トレーニング内容の改善や運営上の工夫を要することが示唆された。
S3-1 大腸癌に対するReduced port surgery
(1)
帝京大学医学部附属溝口病院 外科、
(2)
福井県立病院 外科
平能 康充(1)
、服部 昌和(2)
、道傳 研司(2)
、
平沼知加志(2)
、島田 麻里(2)
、橋爪 泰夫(2)
【はじめに】大腸疾患に対するReduced port surgeryでは、一般的には細
径鉗子やinternal organ retractorなどを使用し従来法の術野展開に近づ
ける試みがなされることが多い。当科では、術野展開は術者の左手の鉗
子のみで行いトラクションのいらないエネルギーデバイスを使用したone
hand surgeryを多用し手術を施行している。当科における本術式の手技
を供覧するとともに、大腸癌に対するReduced port surgeryの成績に関
して報告する。
【方法】結腸癌症例では、臍部に約2.5cmの縦切開を置きEZアクセスにト
ロカールを3本挿入し手術を施行(Pure TANKO)。直腸癌に対しては、右
下腹部にトロカールを挿入(TANKO+1)。手術創を可能な限り減じるこ
と、癌の手術のとしての質を担保すること、 Solo Surgeryで基本的には行
うことという3つのこだわりをもって手術を行っている。
【結果】2015年12月までに施行したRPS症例675例での検討では、手術の
平均切開創長は2.8cm。開腹移行症例のうち手術手技に関した移行は8例
(1.2%)のみであった。また、 Stage1〜3結腸癌症例344例での平均観察期
間29か月での再発が21例(6.1%)であった。
【まとめ】大腸癌に対するRPSは優れた整容性を有しつつ癌の手術として
も安全に施行可能である。
(6)S3-2 下部直腸癌に対するTAMIS/TME併用
RPSの試み
東邦大学医療センター大森病院 消化器外科
小池 淳一、船橋 公彦、塩川 洋之、牛込 充則、
金子 奉暁、鈴木 孝之、栗原 聰元、甲田 貴丸、
吉田 公彦、金子 真弘
【はじめに】下部直腸癌に対するRPSは、限られた方向から狭い骨盤内操
作になる為に難易度が高く、適応外とする施設も多い。今回、会陰操作を
TAMIS—TMEで行い、腹腔操作をRPSで行ったので報告する。
【対象】2013年10月からこれまでに10例でTAMIS—TMEを行った。
【肛門操作】直視下で内外括約筋間切離を全周性に行った後、前壁は直腸尿
道筋、後壁は尾骨直腸靭帯切離後EZアクセスを装着し、後壁側から壁側
骨盤筋膜の内側の疎性結合織に達し、左右に剥離層を広げ頭側に進む。側
方向は骨盤内臓神経をlandmarkとしながら剥離を進めると、岬角近傍ま
でのTMEが可能である。男性の前壁はNeurovascular Bandle(NVB)の
損傷を避けるために前立腺正中でまず剥離を進め、Denonvillier's fascia
の直腸側で左右にハの字状に剥離を行いながらダグラス窩の腹膜反転部
に到達することが可能である。
【腹腔操作】stoma marking創のマルチポートに5mmポートをプラスし
て開始する。前壁、後壁は容易に肛門側の剥離層と連続が可能となり、側
方向は下腹神経に注意しながら切開創を連続させることで腫瘍の摘出が
完了する。
【結果】R0手術は100%で、手術時間中央値は447m、出血量中央値は
97ml、術後鎮痛注射剤は1例(同時LADG)、術後排尿障害2例、術後平均在
院日数は18日であった。
【まとめ】下部直腸癌に対するTAMIS-TMEによるISRは安全で腹腔操作が
軽減でき有用と考えられた。
S3-3 恥骨上小切開を用いた大腸がんに対する
単孔式手術
立川綜合病院 外科
蛭川 浩史
【目的】Reduced port surgery(RPS)では整容性のため臍を切開する場合
がほとんどである。しかし当科では臍切開を小さくする事でより低侵襲
性を追究できるのではないかと考え、臍切開創を縮小すべく2014年より
恥骨上小切開を用いたRPSを導入し、これまで7例に恥骨上切開を用いた
単孔式手術を行った。当科の成績を報告する。
【手術手技】恥骨上3cmに3−4cmの横切開をおく。筋膜は横切開し、筋層
は正中で開排し腹腔内に至る。マルチポートデバイスを装着、2ないし3
本の5mmポートを刺入。腹腔鏡は5mmのフレキシブルスコープを使用。
鉗子は、通常の腹腔鏡用の鉗子を使用した。腔内切離吻合を行い標本を恥
骨上より摘出した。左側では恥骨上切開から切離、アンビルを装着しDST
で吻合した。
【結果】平均年齢は72歳、すべて女性だった。局在はA、2例、S、4例、T、1
例だった。郭清度はすべてD3。手術時間は平均242分だった。1、2、3病
日の平均VASスコアはそれぞれ1.3、1、0.8と疼痛は少なかった。同時期
の臍切開の症例と比較すると、排便までの日数は有意に短かかった。ま
た、第7病日のCRP値は、3.3mg/dlと、1.3mg/dlと有意に低値だった。術
後合併症はなく術後平均在院期間は9.5日だった。
【結語】RPSの低侵襲性の追求のためには、恥骨上小切開を用いた術式も
検討されるべきである。
S3-4 直腸癌に対する経腹経肛門同時開始で行
うTransanal TME
(1)
鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺、
(2)
鹿児島市立病院 消化器外科
盛 真一郎(1)
、喜多 芳昭(1)
、馬場 研二(1)
、
柳 政行(2)
、田辺 寛(1)
、前村 公成(1)
、
夏越 祥次(1)
【背景】直腸癌に対して直腸間膜全切除(TME)が行われるようになって以
来、不完全なTMEが施行された患者では、局所および全身再発のリスクが
増加することが報告されてきた。Transanal TMEは、単孔式で内視鏡手
術用の器具を用いることによって、肛門側から腹腔側に直腸を受動すると
いう新しい術式である。この術式は、手術時間の短縮やTMEの質を改善
する可能性があり、日本でも導入が進んでいる。今回われわれは、直腸癌
に対し、経腹経肛門同時開始にてTransanal TMEを行った症例を経験し
たので報告する。
【対象と方法】対象は2014年11月から2016年4月にTransanal TMEを施行
した20例中、腹腔鏡下手術とTransanal TMEを同時開始で手術を行った9
例(平均年齢66才)。全手術時間、TME終了時間、出血量、TMEの完遂率、
合併症などを検討し、経腹経肛門同時開始によるTransanal TMEの安全
性と有用性を考察した。
【結果】全手術時間は322分(202-403分)、TME終了時間は144分(102-186
分)、出血量は60ml、TMEの完遂率は100%、術中・術後合併症なしなど
であった。
【考察と結語】症例数が少なく、ラーニングカーブの途中であるが、経腹経
肛門同時開始によるTransanal TMEは、手術時間の短縮に寄与する可能
性が高く、安全で、有用な手術方法と思われた。
S3-5 TAPP252の適応拡大と手術成績
メディカルトピア草加病院 外科
亀井 文、金平 永二、中木 正文、谷田 孝
【背景】我々は2013年より成人鼠径ヘルニアに対して、2mmの細径鉗子を
用いて行うreduced port TAPPを施行している。最小創、2mm、5mm、
2mmの創で行う術式をTAPP-252とし、整容性の向上と腹壁破壊の軽減
を目的に施行している。本発表ではTAPP-252の適応拡大にむけた我々の
工夫と手術成績を報告する。
【方法】導入当初は適応をやせた女性に限定していたが、徐々に適応を拡大
し現在では標準的なBMIの男性にも施行している。手術に用いる2mm器
具はNiti-On社と共同で開発した2mm把持鉗子BJニードルⓇ
の他に、2mm
ポートBJポートⓇ
、2mmフック型電気メスBJフックⓇ
、2mmメッシュプッ
シャーBJプッシャーⓇ
、2mmスコープBJスコープⓇ
、2mm持針器BJピコⓇ
、
2mm剪刃BJシザーズⓇ
を駆使して行う。
【結果】2016年4月までに77例のTAPP-252を施行し、うち男性は29人、
女性は48人であった。BMIの最大値は26.2、身長の最大値は170cm、体
重の最大値は74kgであった。手術の平均時間は片側46.4分、両側70.2分
で、周術期の合併症は認めていない。術後1日目の疼痛はVASで1.7であっ
た。経過観察内での再発は認めていない。
【結論】TAPP-252の手技を標準化し、徐々に適応を拡大することによっ
て比較的体の大きな患者にも施行可能となった。
(7)S3-6 臍5mm2本でできる小切開単孔
−立体機動型吊り上げ法と
UFOキャッチャー型回収法−
倉敷成人病センター 産婦人科
羽田 智則、安藤 正明、太田 啓明、海老沢桂子、
尾山 恵亮、小島 龍司、菅野 潔、白根 晃、
柳井しおり、中島 紗織
【緒言】臍輪を越えない小切開単孔式腹腔鏡下手術を紹介する。
【方法】臍輪を超えずに臍底部を縦切開し、5mmポート2本を挿入。ポート
をカメラ用と操作鉗子用とし、付属器手術を6例行った。新たに考案した
立体機動型吊り上げ法で術野を確保した。本法は右側腹部より直針を挿
入し、摘出付属器の周囲に2回牽引糸を穿刺してから結紮して固定性を高
め、左側腹部から穿刺針を出す方法である。左右から組織を牽引でき、か
つ双方を引っ張れば腹側へも牽引が可能であり、従来の一方向への吊り上
げ法と比較して、多方向への牽引が可能である。上部靭帯および子宮広間
膜はエンシールARTⓇ
で焼灼切離した。切離された腫瘍は腹壁側に吊り上
げたままにし、回収袋をダグラス窩に広げ、UFOキャッチャーのような要
領で腫瘍を開いた回収袋に落とし入れた後、回収した。
【結果】従来の単孔式手術は種々のアクセスポートかMultiple Trocar法で
行われていたが、臍の形態によっては臍輪を超える創となり整容面のデ
メリットとなっていた。臍から5mmポート2本の穿刺であれば臍輪を超
えることはなく、12mmポートと同等レベルの創で行えた。エンシール
ARTⓇ
は体腔内で屈曲可能であるため思った方向へ焼灼切断でき、単孔式
手術の自在性が高まった。本方法で可能な手術は限られているが、工夫
により、操作鉗子用ポート1本でも十分に付属器手術が行えた。Reduced
Port Surgeryの新たな一歩となる術式と考える。
S3-7 鼠径ヘルニアに対する
高位腹膜切開アプローチによる
単孔式TAPP手術
上野外科胃腸科病院 外科
田上 和夫、沖野 秀宣、金澤 昌満、上野毅一郎
【背景】鼠径ヘルニアに対する治療は、前方切開法の筋縫合およびメッシュ
法や、TAPPやTEPなどの腹腔鏡法が導入され、大きく変遷してきている。
さらに最近では、より手術創を少なく小さくして低侵襲を目指す単孔式手
術で行う施設も増えている。当院では、ヘルニアタイプの理解が容易、対
側の観察が可能、術野が広く解剖の理解が容易、腹膜閉鎖が容易などの理
由により高位腹膜切開アプローチによる単孔式TAPP を導入し、これまで
に222例246病変に行った。
【方法】手術は臍正中切開、原則Multiple trocar法にて行う。上前腸骨棘の
高さで腹膜を切開して腹膜外腔に入り、外腔の剥離とヘルニア嚢周囲の
剥離を行う。ヘルニア嚢はpre-tied knot法にて体外結紮後切離する。補
強はヘルニア用メッシュを用い吸収性体内固定用組織ステープルにて4〜
5箇所固定する。腹膜はステープルで腹膜断端を重ねるように吸収性体内
固定用組織ステープルを打針して閉鎖する。
【結果】1例にポート追加が必要であった。術中術後で重篤な合併症は認
めなかった。手術時間は片側89.3±28.5分、両側131.4±27.9分、出血量は
少量であった。再発1例(0.4%)、漿液腫13例(5.3%)、血腫2例(0.8%)、
大腿皮神経領域の一時的な知覚鈍麻2例(0.8%)を認めた。
【結語】我々が行っている単孔式TAPP の手術成績は短期間において従来
式と比べて遜色なく、整容性にも優れていると考えられるが、さらなる工
夫や検討が必要であると考えられた。
S3-8 当院における腹腔鏡下ヘルニア手術
(POP-TANKO-Hernia)
(1)
国立宇都宮病院 外科、
(2)
群馬大学大学院 病態総合外科
滝田 純子(1)
、芳賀 紀裕(1)
、増田 典弘(1)
、
尾形 英生(1)
、柴崎 雄太(1)
、桑野 博行(2)
【はじめに】当院では平成26年4月より細径鉗子を併用したTANKO式腹腔
鏡下鼠径ヘルニア手術(POP-TANKO-Hernia)を導入し、全身麻酔の適応
が可能な患者には基本的にこの方法を用いて手術を行っている。
【術式】①患者は手術台に対し右斜めとし、左手入れの体位で固定する。②
臍部縦切開にてEZ access Mini-miniを装着、5mm portを2本挿入し、そ
のうち一方から5mmフレキシブルカメラを挿入、他方を術者の右手鉗子
用として使用する。③左側腹部よりEndo-Relief (持針器型)を刺入し術
者左手のworking portとして使用(これを+1 puncture (POP) と定義)す
る。④腹膜の縫合は3−0のモノフィラメント糸を用いた連続縫合で行う。
特徴としてエネルギーデバイスは右手でしか使用できない一方で、フレキ
シブルスコープを使用することによりtriangulationを保った視野を確保
できる。また、持針器型のEndo-Reliefを使用することで針の保持は容易
に行え、かつ剥離にも問題はない。
【結果】現在まで110症例に対して上記の手技で手術を行い、完遂している
が、手術時間・合併症・術後在院日数については、POP-TANKO法と従来
法の間で有意な差を認めなかった。
【考察】POP-TANKO法は手術手技に習熟するにしたがって従来法と変わ
らない手術結果を得ることができる。今回はこの手技を動画で供覧する
とともに、難治例についても検討したので現状を報告する。
S4-1 脾疾患に対する単孔式脾臓摘出術
大阪医療センター 外科
池田 正孝、関本 貢嗣、植村 守、三宅 正和、
濱 直樹、西川 和宏、宮本 敦史、宮崎 道彦、
平尾 素宏、中森 正二
【はじめに】脾疾患に対する脾臓摘出術は、脾腫のない症例においてはその
低侵襲性ならびに整容性より腹腔鏡手術が標準となっている。近年、手技
の安定化が図られ、さらに整容性を必要とする若年症例に対しては単孔式
手術が行われている。
【方法】2009年から2016年にわれわれが経験した単孔式脾臓摘出術症例
28例を検討した。単孔式脾臓摘出術の適応は術前の画像診断から脾重量
が500g以下と予想される症例で過度の肥満のない症例とした。
【結果】疾患はABO不適合腎移植レシピエントが16例と最多で、ITPが9
例、脾腫瘍2例、遺伝性球状赤血球症1例であった。男性9例、女性19例、
年齢中央値44歳(11〜73歳)、BMI中央値20.6(15.2〜28.4)。手術時間中
央値144分(80〜241)、出血量中央値30ml(0〜1300)、摘出脾重量中央値
205g(78〜410g)であった。BMI22以上の症例7例中開腹移行1例、追加
ポートを必要とした症例が3例、臍部ではなく左側経腹直筋に小切開をお
いた症例が1例あった。BMI22未満の症例21例では4例に追加ポートを必
要とした。追加ポートは脾上極の視野確保、鉗子の干渉鉗子の干渉のため
に必要であった。
【結語】単孔式脾臓摘出術は脾腫のない症例において施行可能と考えるが、
肥満症例や脾上極の視野確保が難しい症例では安全に行うためには追加
ポートが必要である。
(8)S4-2 単孔式腹腔鏡下膵体尾部切除術
(Single Port plus One Port Distal
Pancreatectomy SPOP-DP)の実際
大阪医科大学 一般・消化器外科
朝隈 光弘、清水徹之介、井上 善博、廣川 文鋭、
林 道廣、内山 和久
腹腔鏡下体尾部切除術が保険適応となった2012年以降は良性疾患に適
応を厳密に限って行ってきた。また、当科では2009年より手袋法を用い
た単孔式手術を導入しており、この経験を膵臓内視鏡外科領域にも生か
すべく、腹腔鏡下膵体尾部切除術の臍部に手袋ポートを用いてきた。ま
た、2015年より単孔式+oneポートで膵体尾部切除を11例(脾合切8例、
Warshow2例、脾動静脈温存1例)行っている。
【結果】右半側臥位の開脚位で術者は脚間に立つことを基本としている。
臍部に5mmポート3本の手袋ポートを作成し、5mmポートを1本左季肋部
に使用する。胃の挙上は腹壁よりナイロン糸をもちいてカーテン状に釣
り上げ、膵の離断は腹腔鏡用腸鉗子を用いて離断に先行して膵切断予定線
で腸鉗子をかけ少なくとも10分以上圧迫を行った後にEndoGIA purple
カートリッジで切る。標本は症例によって臍部の創を延長するか恥骨上
横切開をおいて摘出している。
【考察】大腸、胃外科の領域で経験してきた、腹腔鏡手術の標準化から単孔
式手術、ロボット手術の導入などの流れが膵領域にも今後見られると予想
する。しかしながら膵手術は合併症発生時の重大さや、適応を限るために
症例数が限られ経験の蓄積が他領域より遅い、などの問題点がある。それ
でも少しずつでも進むべきであり当科では胆嚢摘出術の定型化を目指し
て進んできた単孔式手術の経験を膵内視鏡分野に還元するように努力し
ている。
S4-3 腹腔鏡下尾側膵切除での
Needlescopic surgery
北里大学医学部 外科
田島 弘、隈元 雄介、西山 亮、
河又 寛、海津 貴史、渡邊 昌彦
【背景】良性・低悪性度腫瘍に対し腹腔鏡下尾側膵切除(LDP)は標準治療
となってきているが、安全性を担保しながらのReduce port surgeryが求
められている。
【目的】我々はLDPを2004年より行い、現在まで60例に施行し、その短期
成績を報告する。細径鉗子と細径リトラクターをLDPに使用した手技を
ビデオで供覧する。
【手術手技】安全な手技を目的に術野展開は、止血時に対応できるようなる
べく術者の両手が視野に使用されないように心がけ、エネルギーデバイス
の軸を意識するようになり、5ポートと心窩部からリトラクターを使用し
定型化している。そこに現在は、3mm鉗子と3mmリトラクターを使用し
Needlescopic surgeryを行っている。ポート配置を臍部12mmと右側腹
部12mm、臍左側に5mmのポートと右季肋部と左側腹部を3mmポートと
し、心窩部に胃や肝臓を挙上するため3mmリトラクターを使用している。
【結果】LDPの短期成績は、手術時間median(range)297.5(140-642)分、
出血量median(range)は175(0-1700)mlであり、ISGPF GradeB以上の
膵液瘻発生は5例(8.3%)と比較的良好な結果であった。
【結語】LDPでは定型化と安全性が重要と考えるが、細径鉗子や細径リト
ラクターを使用したNeedlscopic Surgeryは十分それを担うと考える。
S4-4 単孔式腹腔鏡下肝切除の
安全性と適応拡大
東京医科歯科大学 肝胆膵外科
石川 喜也、伴 大輔、巌 康仁、小野 宏晃、
松村 聡、光法 雄介、藍原 有弘、落合 高徳、
工藤 篤、田邉 稔
【背景】腹腔鏡下肝切除が広く行われるようになり、昨今の保険収載の適応
拡大もあり今後ますます普及が進んでいくと思われる。一方でその難易
度から単孔式手技の導入が倦厭される傾向にあるが、我々は単孔式手技が
適応を選んだ上で十分に施行できることを報告してきた。単孔式手技の
観点から考えると、特に外側区域切除の離断面は臍部からアクセスすると
直線的、かつ平面的な離断面であり単孔式腹腔鏡下手技との親和性が高
い。我々の単孔式腹腔鏡下外側区域切除の手技を供覧する。
【方法】2013年4月から2016年4月までに腹腔鏡下肝切除を74例に行い、
単孔式肝切除を17例(肝外側区域切除を9例、肝部分切除8例 [S3:6例、
S4:1例、S6:1例])に施行した。臍部からマルチアクセスポートを挿入
し、肝切除部の視野を確保するための展開子としてニードルを挿入し腹腔
内組み立て式の綿球を装着する(ドラムスティック法)。
【結果】単孔式腹腔鏡下肝外側区域切除の手術時間中央値231分(154−344
分)、出血量中央値20mL(1−265mL)であった。単孔式腹腔鏡下肝部分切
除の手術時間中央値203分(83−373分)、出血量中央値15 mL(1−140mL)
であった。単孔式肝切除の術後合併症なし。術後在院期間中央値7日(3-9
日)であった。多孔式と比較してすべての手術成績で有意差を認めなかっ
た。
【結語】単孔式肝切除は単孔式腹腔鏡手技に習熟し、適応を選択することで
安全に施行することが可能である。
S4-5 腹腔鏡下肝切除における
Reduced Port Surgery(RPS)の試み
北里大学医学部 外科
中本 修司、海津 貴史、隈元 雄介、田島 弘、
西山 亮、河又 寛、渡邊 昌彦
【背景】当教室は、2016年4月までに222例の腹腔鏡下肝切除(LH)を行っ
た。LHの際、良好な術野確保のため術者・助手ともに両手を使う5portが
基本である。よってLHにおけるRPSの適応はかなり限定的にならざるを
得ない。
【目的】LHにおけるRPSの試みを紹介する。
【方法】以下の3つのRPSを施行:1、術野展開に必要な術者左手および助
手右手に3mm port-3mm鉗子を使用した。難易度の低い部分切除(S3、
S4a、S5、S6)や外側区域切除に限定した。2、5portプラスワンとして挿
入した3mm port-ラチェット付3mm鉗子で、右肝静脈根部をencircleし
たテープを把持してネラトンターニケットとする。右肝静脈根部近傍の
腫瘍に対するS7部分切除の際に施行した。3、Pringle法でテトロンテー
プ(5mm幅)を用いたネラトンターニケットを行う際、10mm径のネラト
ンを皮膚に直刺しするか、12mm portを1か所犠牲にする体外法を行って
いたが、ネラトンを体内に残してテープのみを体外に引き出す体内法に変
更した。テープ引き出し部位から、肝十二指腸間膜までの距離に合わせて
ネラトンの長さを調節することがコツである。
【結果】方法1、2は対象症例がかなり限定されるが、3(ネラトン体内
Pringle法)は、ほとんどすべての症例で施行可能で、安全かつ簡便であっ
た。
【結語】LHにおけるRPSは、症例を選べば安全に施行可能である。
(9)S5-1 当施設における虫垂炎に対する
Reduced Port Surgery
奈良県西和医療センター 外科
池田 直也、上野 正闘、金村 哲宏、
榎本 浩士、中村 広太、上野 浩嗣
【目的・方法】虫垂炎に対する腹腔鏡下手術は標準的な術式の一つとなり
つつあるが、さらに審美性を高めたReduced Port Surgery(RPS)は患者
にとって非常に利点のある手術手技である。当施設では非穿孔性虫垂炎
に対するRPSとして吊り上げ法で行う経臍的単孔式手術手技(TUSILAA)
を独自に開発し報告してきた(Langenbecks Arch Surg;22、 2014)。そ
の後症例数を重ね、今回は2015.12月までに施行したTUSILAA 141例に
つき報告する。当施設では非穿孔性虫垂炎に対しては全例 TUSILAA を
第一選択とし、完遂困難な場合は気腹を行い必要最小限数のポート追加と
している。
【成績】141例の非穿孔性虫垂炎に対する本手技の成績は手術時間82.2
分、術後在院日数4.9日であった。創延長14例、気腹移行14例であっ
た。術中及び術後に問題となる合併症は認めなかった。TUSILAA は下
腹部を吊り上げて術野を確保するため、体型と虫垂の存在位置に大きく
影響を受ける。気腹移行例14例中 BMI25.0以上の症例は7例認め、また
Retrocecal appendicitisは14例中9例に認めた。BMIが25.0以上の7例中
5例にRetrocecal appendicitisを認めた。
【結語】TUSILAAは整容性の観点から患者に喜ばれ、また、コスト軽減に
て病院に利益をもたらし、尚且つCO2やディスポーサブル製品を用いな
いため地球環境にも優しい「三方よし」の手術手技であるが、BMI25.0以
上、且つRetrocecal appendicitisはTUSILAAの適応外とすべきと考える。
S5-2 当科における
単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の成績
市立函館病院 消化器外科
笠島 浩行
【はじめに】急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術(以下、LA)は標準的
術式となりつつあり、当院でも導入しているが、近年、特に若年者を中心
に単孔式腹腔鏡下虫垂切除術(以下、SILA)を導入している。成績につい
て検討する。
【術式の実際】臍部縦切開して3ポート(5mm)を刺したEZアクセスを装着
して手術を行う。
【対象と方法】当科で2012年から2016年4月までに急性虫垂炎にSILAを施
行した27例(ドレーン留置例0)と、同時期のLAをドレーンなしLAND群
119例、洗浄ドレナージを併施LALD群28例に分けて比較した。
【結果】SILA群は平均24.7歳(男18:女9)、LAND群は平均32.1歳(男72:
女47)。LALD群は平均38.8 歳(男21:女8)。手術時間はSILA群48.8分、
LAND群61.1分、LALD群92.9分。出血量はSILA群3.4ml、LAND群7.3ml、
LALD群9.2ml。術後在院日数はSILA群2.7日、LAND群3.9日、LALD群8.5
日。術後合併症はSILA群なし、LAND群4例(表層SSI 2例、麻痺性イレウ
ス2例)、LALD群5例(表層SSI 3例、麻痺性イレウス2例)。
【考察】当院のSILAは標準的LAに比して有意に成績良好であった。
【まとめ】SILAがLANDに劣っていないことから、洗浄ドレナージを要す
る症例ではSILAの適応は考えていないが、術前診断で汎発性腹膜炎のな
い症例ではまずSILAで入り、困難症例や穿孔症例ではポートを追加する
という方針は許容されるのではないかと考える。
S5-3 当院での小児虫垂炎に対する細径鉗子
併用腹腔鏡下虫垂切除術に関する検討
福井赤十字病院 外科
川上 義行、藤井 秀則、大西 竜平、
吉田 誠、吉羽 秀麿、土居 幸司、
青竹 利治、田中 文恵、廣瀬 由紀
当科では平成21年4月より単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を導入、高度炎症
例、小児例に適応を拡大した。今回、小児虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切
除症例について検討した。
【目的】現在当科での小児虫垂炎に対する絶対的手術適応は穿孔性汎発性
腹膜炎症例で、軽度炎症例、膿瘍形成例ではInterval appendectomyが考
慮される。腹腔鏡手術適応は年齢5歳、体重15Kg以上としているが、体格
の小さい小児例において術野展開を容易とするために細径トロッカーを
臍部ポートに併用した。
【方法】腹腔鏡手術では臍部5-6mmポート2本、恥骨上2-3mm細径トロッ
カー1本(細径法)。
【成績】平成21年4月-27年11月の急性虫垂炎症例678例中、小児164例。手
術治療群130例、腹腔鏡手術75例(男38、女37)、開腹術55(34、21)。腹
腔鏡手術群の年齢平均11.7歳、手術時間平均77.7分、在院日数中央値5日
で開腹術の11.3、 49.6、4.0と較べて手術時間はやや延長した。短期合併
症は腹腔内膿瘍、術後イレウス。保存的治療群34例(男13、女21)、年齢
平均10.7歳、在院日数中央値1日。病理所見では壊疽性虫垂炎は腹腔鏡手
術群25 例(33.3%)、開腹術12例(21.8)で高度炎症例にも適応された。
【結論】当院での小児急性虫垂炎に対する手術治療において細径鉗子併用
腹腔鏡手術は、開腹手術と較べて手術時間は延長したが、整容性に優れて
いることより、小児高度炎症性虫垂炎に対する適応拡大において有用な手
技となるものと考えられた。
S5-4 虫垂切除におけるコスト・教育を
意識した術式変遷と治療の標準化
−多孔式から単孔式へ−
(1)
群馬大附属病院 小児外科、
(2)
群馬大大学院 病態総合外科学
大竹紗弥香(1,2)
、内田 康幸(1,2)
、大串健二郎(1,2)
、
鈴木 信(1,2)
、桑野 博行(2)
【はじめに】小児外科領域における鏡視下症例は極端に少なく多岐にわた
るため、技術習得まで長い時間を要する。そのため虫垂切除術は剥離等の
鉗子操作、凝固切開装置の使用法、カメラワーキングなどの鏡視下基本手
技の習得のため重要な疾患と考えるが、整容性の観点から当施設では単孔
式を標準手術としている。手技の標準化に際しては高額な手術材料を用
いた手技の標準化では採算が取れなくなるのが現状であり、教育面および
整容性を考慮したコストダウンのための改良を重ねてきた。
【方法】現在までの手術手技および周術期管理の変遷を比較検討した。
【標準化】穿孔を伴わない本疾患に対しては通常鉗子を用いた単孔式完全
体腔内虫垂切除を基本とし、炎症の程度によって追加鉗子(2〜3mm細径)
を考慮することとしている。虫垂収容に費やす時間を開腹法と同等にす
るべくEZアクセスミニミニを用い、更なるコスト削減のために再利用可
能なポートを使用。間膜処理はリユース可能な超音波凝固装置で、根部処
理はエンドループ1重結紮にて行う。虫垂の回収にはバッグは用いず、ド
レーン留置もしない。術後は早期退院を目的とし、術後3時間経過より水
分摂取開始し、その直近の食事 (常食)を2食分摂取し退院とする。
【結果】ディスポ製品の使用は最小限に抑えられ、早期退院がなされていた。
【考察】単孔式における安全性と質を確保し、教育面および経済性考慮した
術式の標準化が必要である。
(10)S5-5 当科における小児急性虫垂炎に対する
腹腔鏡手術の術式、教育
長崎大学病院 小児外科
山根 裕介、森 くるみ、吉田 拓哉、田浦 康明、
小坂太一郎、高槻 光寿、江口 晋、永安 武
【背景】当科では急性虫垂炎(AA)に対する腹腔鏡下虫垂切除術(LA)を標
準術式としており、2013年から後期研修医に対する教育として単孔式LA
(SILA)および根部体内縫合結紮処理の術式を導入した。安全性の担保と
してボックストレーナーでの縫合トレーニングを必須とした。当科の取
り組みおよび成績を報告する。
【モデル】ボックストレーナーにSILSポートTM
を装着し、3-0マルチフィラ
メント吸収糸15cmでの縫合結紮を行い、手技に要した時間を計測した。
【術式】臍部縦切開1.5〜2cmで開腹した。ラッププロテクター0504SⓇ
と
EZアクセスⓇ
を用いたマルチチャンネルポート法で、5mmポート2本、
3mmポート1本を用いた。虫垂間膜処理は超音波凝固切開装置を使用し、
虫垂根部処理は3-0マルチフィラメント吸収糸による体内縫合結紮を行っ
た。
【対象】2013年4月から2015年12月で、腹部超音波検査(US)で粘膜肥厚
像を認め、蜂窩織炎性以上のAAと判断した症例を対象とした。術者は主
に後期研修医が担当し、小児外科専門医が指導を行った。
【結果】16例(平均10歳)に対しSILAを施行した。手術時間は平均91.6分、
根部処理に有した時間は平均17分であった。モデルで6分を切る術者の
場合は平均13分、6分を超える術者の場合は平均22分であった(p<0.05)。
術後遺残膿瘍などの合併症を認めなかった。
【結語】モデルでのボックストレーニングを行うことで安全にSILAを行う
ことができた。
S5-6 当科における小児急性虫垂炎の治療方針
近畿大学医学部 外科学教室 小児外科部門
前川 昌平、澤井 利夫、吉田 英樹、八木 誠
【目的】当科では①虫垂腫脹のみで腹膜刺激症状の乏しい症例は保存的治
療、②腫瘤形成症例は保存的治療後に待機的に単孔式腹腔鏡下虫垂切除術
(interval appendectomy:IA)、③高度な炎症を伴った虫垂炎や汎発性腹
膜炎症例に対しては緊急で単孔式腹腔鏡手術を基本方針としている。手
術適応のある急性虫垂炎は虫垂切除が望ましいが切除困難な場合には洗
浄ドレナージを施行した後にIAを施行している。IAの有用性について検
討した。
【方法】2006年4月から2016年4月まで当院で経験した汎発性腹膜炎を
伴った虫垂炎ないしは腫瘤形成性虫垂炎26例を対象とした。16例に対し
てIAを施行、10例に対して緊急手術(emergency appendectomy:EA)
を施行しそれぞれ検討した。
【結果】IAの待機期間を除く総入院日数はIA 23.2±10.1日に対しEA 25.3
±13.7日であった。16例中11例はIAが可能であったが5例(31.2%)は再
燃を認めた。EAでは70.0%に合併症を認めた。IA待機中再燃を来たし
た5例中1例は再燃時に単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行、4例は洗浄ドレ
ナージ術を施行した後退院後3ヶ月待機し単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施
行した。虫垂切除術時間はIA 88.3±34.9分、EA 148±45.7分であった。
【結語】IAにより虫垂切除術時間の短縮や術後合併症の軽減が可能であっ
た。IA待機中に再燃を認めた虫垂炎に対し腹腔内洗浄ドレナージ術を先
行することにより単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を全例に施行することがで
きた。
S5-7 当院における急性虫垂炎保存的加療後に
対するReduced Port Surgeryによる
腹腔鏡下虫垂切除術についての検討
(1)
聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科、
(2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 消化器・一般外科、
(3)
聖マリアンナ医科大学東横病院 消化器病センター
根岸 宏行(1)
、牧角 良二(1)
、小倉 佑太(1)
、
福岡 麻子(1)
、朝野 隆之(1)
、花井 彰(1)
、
月川 賢(1)
、國場 幸均(2)
、宮島 伸宜(3)
、
大坪 毅人(1)
【は じ め に 】当 院 で は 急 性 虫 垂 炎 に 対 す る 保 存 的 加 療 後 にInterval
appendectomyを行っており、それに対するReduced Port Surgery(以下
RPS)を導入している。3ポートで行う従来法群(C群)とRPS群との手術成
績を比較し検討する。
【対象】2012年1月から2015年12月までに急性虫垂炎に対し保存的加療
後に待機的に腹腔鏡下虫垂切除術を施行した66例について、C群とRPS群
とに分けて検討した。
【結果】C群では平均年齢は51.2歳、男:女=30:23であった。平均手術
時間は87分、平均出血量は13mlであった。一方、RPS群では平均年齢は
31.1歳、男:女=3:10であった。平均手術時間は77分、平均出血量は6ml
であった。両群とも術後合併症は認めなかった。年齢(p<0.01)および男
女比(p<0.05)、出血量(p<0.05)において有意差を認めた。手術時間、術
後合併症については有意差を認めなかった。
【まとめ】RPSは整容性について優れた手術であり、有意に平均年齢が低
く、女性に多く施行されていた。急性虫垂炎保存的加療後に対するRPSに
よる腹腔鏡下虫垂切除術について、安全に施行することが可能であること
が示唆された。
(11)sponsored symposium
スポンサードシンポジウム
(12)SS1-1 RPSによる小腸切除術の治療戦略
〜小腸NETに対するリンパ節郭清術の
経験を通して〜
(1)
鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科、
(2)
鹿児島市立病院 外科
馬場 研二(1)
、盛 真一郎(1)
、喜多 芳昭(1)
、
田辺 寛(1)
、伊地知徹也(1)
、柳 政行(2)
、
前村 公成(1)
、夏越 祥次(1)
小腸は腹腔内遊離臓器であり、体外への挙上が容易であるため、小腸切
除術はReduced port surgery(以下RPS)は良い適応と考える。当科では
2009年9月よりRPSにより小腸切除術を導入し、これまで小腸憩室症6例
など計10例に施行した。いずれもリンパ節郭清を伴わない小腸部分切除
で、単孔式または2孔式で合併症なく安全に施行可能であった。今回われ
われは、小腸NETに対するリンパ節郭清を伴う小腸切除術の経験を通じ、
RPSによる小腸切除術の治療戦略を考察する。症例は70代男性。4cm大
の腹部腫瘤の精査で当科紹介。小腸ダブルバルーン内視鏡にて回盲部よ
り25cmの回腸から口側約200cmにかけて多発する粘膜下腫瘍を認め、
生検でNETの診断。最も口側の病変に点墨でマーキング施行。腹部腫
瘤はリンパ節転移と診断し、手術の方針となった。臍にGelpointを装着
し、左側腹部と恥骨上に5mmポートを挿入するRPSで手術を施行した。
回腸の腸間膜付着部及び上行結腸を後腹膜より剥離した。中枢側は#203
を鏡視下でサンプリング郭清したが、小腸間膜内リンパ節が上腸間膜動
脈の第4/5番目の回腸枝を巻き込んでいたため、血管処理は直視下とし、
Gelpointより体外へ挙上した。ICG静注し、蛍光内視鏡で残存腸管の血流
を確認した後に血管処理、回腸を190cm切除し吻合した。術後合併症な
く経過良好であった。リンパ節郭清を伴う小腸切除術は、ポート数を増や
すことで操作性が向上しRPSでも施行可能になると思われた。
SS1-2 通常ポートLAGの技術・手技でできる
胃癌Reduced Port Surgery
愛知県がんセンター中央病院 消化器外科
三澤 一成、伊藤 誠二、伊藤 友一、夏目 誠治、
木下 敬史、千田 嘉毅、安部 哲也、小森 康司、
清水 泰博、木下 平
【はじめに】胆石症や大腸癌に対するReduced Port Surgery(RPS)が広く
行われる一方、胃癌に対するRPSは術野展開や術中操作の煩雑性などから
一般に普及しているとは言えない。当院では使用器具やポート配置の工
夫により、すでに定型化された通常ポート腹腔鏡下胃切除術(LAG)と同
様の鉗子数と手技で施行可能な胃癌RPSを考案し行ってきた。
【方法】臍の横切開またはジグザグ切開にGelPOINTを装着、軟性鏡を挿入
しホルダー(ロックアーム)で固定。術者(患者右)は臍のenergy deviceと
右腹壁の2.4mm細径鉗子(EndoRelief)、助手(患者左)は臍の彎曲鉗子と
左腹壁細径鉗子を使用する。現時点では臍からの鉗子が膵上縁に無理な
く届く女性や太っていない男性を良い適応としている。
【結 果 】胃 癌 症 例54例 に 対 しRPS (TG:10例、 PG:2例、 DG:36例、
PPG:6例)を行った。手術時間中央値309分、出血量2.5g。患者背景に差
はあるが同時期の通常LAGと比較し遜色のない成績であった。
【考察】通常LAGとほぼ同様のポート配置で4本の鉗子を使用し、同様の
術野展開と手技ですべての術式が施行可能である。術者の両手の鉗子を
単一切開創から挿入しないため操作に難渋することはなく、軟性鏡とホ
ルダーの使用は器具間の干渉回避と術中視野の安定に有用である。また
2.4mm細径鉗子の刺入部は術後疼痛や瘢痕がほぼない。本術式は通常
LAGの根治性と安全性、単孔式手術と同等の疼痛軽減と整容性を両立で
きる胃癌RPSといえる。
SS1-3 単孔式胃切除術の経験
〜solo surgeryに向けた取り組み〜
大阪赤十字病院 外科
川田 洋憲、金谷誠一郎、伊藤 剛、岡田 俊裕、
三浦 晋、下池 典広、赤川 進、有本 明
【背景】単孔式胃切除術は整容性には優れているものの、手技的困難性と根
治性の問題からごく一部の限られた施設でのみ行われている。最も大き
な問題は、小さな創部から全ての器具を挿入する必要があるため、助手お
よびスコピストと協調して視野展開を行うことが難しくなることである。
当院では、助手、スコピストを廃し、オーガンリトラクターとスコープホ
ルダーを用いて視野展開を行う、solo surgeryによる単孔式胃切除術の試
みを行っている。今回、その初期成績を報告する。
【手技】臍部に2.5cmの縦切開をおきアクセスポートを挿入。オーガンリ
トラクターのクリップ先端に糸をつけておきこれを側腹部から体外に導
出しておき、体腔内で誘導することで好きな方向に挟んだ臓器を牽引する
ことができる。オーガンリトラクター2個と術者左手の鉗子で術野を展開
する。
【結果】2015年12月から現在までに胃癌に対する幽門側胃切除術(SIDG)
2例、GISTに対するLift&Cut法による胃部分切除術1例を単孔式に行っ
た。術後は全例において合併症なく経過し、SIDGは平均9.5日後、GIST症
例は5日後に軽快退院となった。
【結論】依然課題はあるものの、solo surgeryによる単孔式胃切除術は一つ
の選択肢になり得ると考える。
SS1-4 TANKOとNEEDLEのsynergyで
定型化するReduced Port Gastrectomy
石川県立中央病院 消化器外科
稲木 紀幸、辻 敏克、崎村 祐介、磯和 賢秀
【はじめに】胃癌手術へのReduced Port Surgery (RPS)の導入は、技術的
要求と若手外科医の教育が課題とされる。われわれは、TANKOの整容
性を限りなく尊重しつつ、NEEDLE鉗子でアシストするNeedle Assisted
Single Incisional Laparoscopic Gastrectomy: (NASILG)を確立し、良
好な成績を得ているので紹介する。
【適応と手術手技】早期胃癌、内臓脂肪が少なく小柄な体型が好ましい。患
者希望に応じ、十分な説明と同意のもとに適応拡大はあり得る。臍2.5cm
切開しラッププロテクターミニを挿入し、12mm ポートを均等に2 本(長
&短)を挿入したEZアクセスを装着して気腹する。ニードル鉗子(2.1mm)
用の穿刺ポート(2.2mm)を右側腹部に1 本、左側腹部に2 本刺入する。
術者は終始患者右側に立ち、左手にニードル鉗子、右手にエネルギーデバ
イス、ステープラー等を(臍アクセスポートより)挿入し操作を行う。助手
は終始患者左側に立ち2本のニードル鉗子で従来の手術と同様の展開を行
う。スコピストは終始患者脚間に立ち、術者右手と同じアクセスポートよ
りカメラを挿入する。
【結語】適応を選択したNASILGは、安全性、根治性と低侵襲性が融合した
胃癌に対するRPS として確立され得る。技術的・教育的観点からも容認
され、胃癌に対するRPS の標準的手技となり得る。