• 検索結果がありません。

大人の学習と乳幼児の発達を保障する地域づくり —共同の保育をつくりだす— [ PDF

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大人の学習と乳幼児の発達を保障する地域づくり —共同の保育をつくりだす— [ PDF"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)大人の学習と乳幼児の発達を保障する地域づくり ―共同の保育をつくりだす― キーワード:地域子育て支援、保育内容、共同の保育実践、関係性、学習 発達・社会システム専攻                                        東内 瑠里子 <本論の構成>. 的生活習慣や遊びや教育活動を創出する展開について検.  はじめに. 討することにある。特に若い親世代が、親同士や保育者. 第 1 章 子どもの発達と子育ての今日的課題. との学習の展開の中で、子育ての地域離れや、密室化し. 第1節. 乳幼児の生活文化の崩壊と保育所保育の果. た家庭での親子関係の歪みを克服し、それによって乳幼.     たす役割. 児がどのような実生活によって発達を保障されているか. 第2節 子育て支援論の一元化と子育てにおける地域. について分析した。.     意識の喪失.  幼児教育の実践上の課題として、①乳幼児の「生活の. 第 2 章 大人の社会力形成と保育における教育の課題. 教育化」の問題i、②乳幼児の発達の捉え方「保育内容」.  第 1 節 60 年代子育て支援概念の形成. の問題がある。しかし、教育化されるべき乳幼児の生活.  第 2 節 共同の保育実践における教育の課題. 文化が家庭保育において崩壊しており、幼稚園や保育所.  第 3 節 保育実践プロセスの認識の共有化. における集団保育の保育内容を工夫するだけでは、乳幼. 第 3 章 保育における大人の生活文化創造の教育実践. 児の発達を捉えられない状況がある。.  第 1 節 実践分析の視点と研究方法.  先行研究では、①子育てや保育の主体としての親個人. 第2節. 地域産業の衰退と家庭の生活不安に向き合. や保育者個人のみを強調し、主体としての自覚化過程を.     う教育実践. 捉えたもの、②保育内容の機能、子育て支援のネットワ. 第3節. ーク機能など、子育てにおける機能面にのみ着目したも. 共同体意識の形成と伝統文化継承による教.     育実践. のが多い。だがこれらの議論は、子育ての機能性や役割. 第 4 章 地域の生活文化に根ざす大人の生活の再構築. 分担を強調してしまい、大人同士の関係を、子どもの発.   第 1 節 生活文化の多様性と認識の共有化. 達に関わる主体・客体、提供者・消費者と分断し、結局.   第 2 節 保育の生活的価値に着目する子育て支援. は子どもの実生活の中での多様な影響に対して包括でき. 第4節. 大人の生活体験による発達を捉える視点の育. ない。つまり大人自身が、子育ての中で実際の多様な人. 成. 間関係の関わりを通し、生活の問題を社会の問題として. おわりに. どのように捉え、克服していくかの学習の展開の議論が. 参考文献・参考資料. 欠落している。  さらに社会教育研究分野では、子どもの発達を保障す. <概 要>. る大人の学習の必要性は提起されても、その学習のねら. Ⅰ.研究目的. いや内容、展開については、抽象的且つ理論上のものに.  本論の目的は、託児機能や早期教育ばかりが注目され. 留まっている。. る「幼児教育」が、地域生活を捉えた大人の学習として.  現実では、子育てや乳幼児の発達を豊かにするべき幼. の「子育て支援」によって、親と保育者と地域住民によ. 児教育が、女性の就労と子育ての委託化、密室化した家. る子育ての一環として位置づき、乳幼児の健康的な基本. 庭での親子関係の歪みによって、託児機能・早期教育ば.

(2) かりが注目されている。そのことで保育の市場化・商品.  次にこの生活認識の共有化を重視した子育て支援の学. 化の動向を助長し、子どもの発達が親自身の自己の評価. 習実践を評価しつつ、親の多様な地域生活課題とそれに. として捉えられ、逆に育児困難や子どもの発達の問題を. 対する子育て支援実践、さらに保育所の運営形態による. さらに硬直化させている現状があるのではないか。 また、. 違いについて明らかにするために、地域の生活文化・運. 乳幼児の基本的生活習慣を含めた生活時間や生活様式は、. 営形態において異なった 2 つの保育実践を聞き取り調. 年々大人のそれに同調しており、さらに大人自身に、乳. 査・参与観察を行った。調査対象は、①福岡県・川崎町、. 幼児の発達を「できる・できない」の評価ではなく、そ. 私立認可保育所「すみれ保育園」、②沖縄県・読谷村、. の子ども自身の発達段階に沿った視点で捉える力量にも. 私立認可外保育所「こひつじ園」である。①の地域は、. 問題がある。90 年代以降のエンゼルプランに代表され. 地域産業である炭鉱の衰退によって、福岡県内で生活保. る保育政策や子育てサークルの動向は、多様な大人の生. 護世帯が最も多く、市町村民所得も最下位である。全国. 活自体を画一的に捉え、地域の生活文化を軽視し、機能. 的にも経済的に貧しい地域にあり、失業した親の子育て. 的・効率的な生活、わずらわしい人間関係を重視しない. を多く支援している。②の地域は、伝統文化継承によっ. 子育てを助長している。加えて、行政や公民館、子育て. て地域住民の関係性が豊かに育まれている、共同体意識. サークル、家庭教育支援事業などで実施されている親や. の強い地域にある。字ごとの自治活動によって、子ども. 地域住民を対象とした子育ての学習が、大人の地域生活. を地域の子どもとして、地域住民全体で育もうとする意. を大人自身がどのように創り出すかの学習まではいたっ. 識も高い。iiその中で共同体の煩わし関係を避け、地域. ていない。. において孤立化した親に対する、子育て支援を行ってい る。. Ⅱ.研究方法 本研究は、保育所が展開している「地域子育て支援. Ⅲ.研究結果. 活動」を対象とし実践分析を行った。1999 年改訂保育. 本研究で明らかになったことは、①子育て支援の学. 指針は、保育所を「地域の子育て支援センター」として. 習は、子育ての方法・技術だけではなく、親の地域生活. 位置づけ、子育て支援を保育実践に結びつけ、親と保育. 課題を内容とする必要があること②子育て支援の学習の. 者が保育実践をつくりあげる筋道を見出したところに着. ねらいは、特に若い親世代が感じる子育てにおける主体. 目したためである。さらに実践分析の視点として、大人. 性を拒む他者評価を、生活認識の共有化によって克服す. 同士の学習によって、発達を捉える視点としての保育内. るものであること③このような大人の学習は、乳幼児が. 容に対する、保育の「生活的価値」への認識をどのよう. 自分の思いを表現しやすい発達環境をつくり、乳幼児の. に深めているかに着目した。. 言葉による自己表現や自己認識の発達を保障することに. まず、保育実践プロセスの認識の共有化から、生活 認識の共有化をねらいとした親と保育者の学習によって、. つながる、という 3 点である。 まず①子育て支援の学習の内容についてであるが、. 保育実践を創り上げている共同保育所、大阪・熊取町「ア. 保育実践が生活の中でよりリアルに乳幼児の発達を捉え、. トム共同保育所」の保育実践(以下、アトム実践)を分. 乳幼児一人一人の生活の中での発達にそって展開される. 析した。調査期間は、1998 年 2 月∼2001 年 11 月まで. ためには、保育者が親の生活を画一的に捉えるのではな. 様々な活動に関わり、聞き取り調査・参与観察を行った。. く、親と保育者が生活現実を伝え合い、互いの生活認識. 特に 2001 年 2 月から 11 月まで職員会議や懇談会にお. を学習することが必要である。よって、子育て支援にお. ける学習活動の参与観察、またはビデオ撮影による観察. ける学習内容は、地域生活課題に向けたものであり、地. を継続的に実施した。. 域生活の主体に根ざすこと=親の生活に根ざすことから.

(3) 展開することが必要なのである。そのことによって、保. ながるからである。. 育内容は、地域の生活文化に根づくものとなり、乳幼児 の発達も、生活文化の中で育まれるものとなる。 次に②子育て支援の学習のねらいについて、特に、 今日の若い親世代(20-40 歳)に限定すると、1960-1980. i. 年代のマスコミやマスメディアの普及、学校的価値の肥. 達課題とその保障―」 『教育学研究』 第 56 巻第 3 号 1989. 大化、いじめの増加などの影響を生育過程で受けている. 年 9 月 241−250 頁等参照。. ことから、他者に対する評価が、「できる・できない」. ii. と一元化された価値意識に偏っていると思われる。その 指標が子どもの発達を捉える視点へも反映されている。 さらに画一化された生活認識の中で、同時代の子育て世 代同士が同様の問題を抱えても、それを個人的な問題と して共有化されにくい。共同の保育実践は、それを克服 するものであり、 実践分析によって明らかになったのは、 親の他者評価への不安を払拭し、大人同士の相互の関係 性をつくるため、学習を通して深めた生活認識の共有化 の重要性である。なぜならその学習過程の中で、親はわ ずらわしい関係性を大切にしてこなかったこと、子ども に影響を与えていた大人中心の生活事体を見直し、地域 を子どもの発達環境として再構築する主体となる力を獲 得するからである。その学習は、地域生活課題克服を通 した、大人の生活体験の取り戻しであり、広く行われて いるような事業としての自然体験や遊び体験等ではない。 大人が生活現実の困難さを生活課題として受け止め、そ れを克服する学習を通した生活体験なのである。 最後に③乳幼児の言葉による自己表現や自己認識の 発達については、乳幼児の発達を捉える主体である大人 自身が「できる・できない」を脱却した発達概念を、大 人自身の生活現実や生活認識からリアルに捉え、乳幼児 の発達を捉える力量を学習によって獲得することである。 そのことによって、日常生活の中に子どもが自分の思い を声に出して、相手にぶつけられる安心感のある保育環 境・発達環境の創出が可能である。乳幼児は安心した関 係性の中で自分の思いを言葉によって自覚化し、またそ の関わりの中で他者と自己の違いを確認し、自己認識や 認識能力を形成する過程が発達上重要なのである。なぜ なら学力の基盤となる言葉、そして認識能力の獲得につ. 岸井勇雄「生涯学習における幼稚園教育―幼児期の発. 南里悦史『地域生涯学習研究 第 3 号』参照。.

(4)

参照

関連したドキュメント

狭さが、取り違えの要因となっており、笑話の内容にあわせて、笑いの対象となる人物がふさわしく選択されて居ることに注目す

2Tは、、王人公のイメージをより鮮明にするため、視点をそこ C木の棒を杖にして、とぼと

教育・保育における合理的配慮

つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

討することに意義があると思われる︒ 具体的措置を考えておく必要があると思う︒

第一五条 か︑と思われる︒ もとづいて適用される場合と異なり︑