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終末期医療に対する住民意識とその背景に基づく、へき地在宅医療資源の有効活用に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)研究のテーマ. 終末期医療に対する住民意識とその背景に基づくへき地在宅医療資源の有効活用に関する. 研究. 申請者名. 関市国民健康保険津保川診療所. 廣田俊夫. 助成対象年度. 2014 年前期「在宅医療研究への助成」.

(2) Ⅰ.緒言 これまでのへき地における医療・福祉の特徴としては、限られた資源を地域住民同士の 社会的・非社会的互助が補完することで、豊かな医療・福祉ケアを形成していたというこ とが上げられる。しかし、急速な少子高齢化の進行と市町村合併で拍車のかかった人口流 出により、地域住民の結びつきにおける世代交代が停止し、へき地特有の支え合い社会が 機能不全に陥っている。 他方、人口減と財政難、およびへき地医療を担う医療従事者の不足から、市町村合併を 機に診療所群の統合再編が行われ、限られた医療資源をさらに広大な地域に適用せざるを 得ない状況になってきた。 本研究のフィールドである岐阜県の山間部にある武儀地区・上之保地区は、平成 17 年 に関市に吸収合併され、2 地区の診療所の統合再編も行われている。個々の地域は受診行 動や終末期の医療に対して地域特有の異なった文化を形成している。今後は、1 つに再編 される予定の診療所が、これら両方の文化に適応しつつ、医療を安定的に提供しなければ ならない。しかし、診療所の統合再編により人的・経済的な合理化による医療供給能力の 低下は否めず、在宅医療、特に在宅看取りを行なうには、遠隔地にある病床や介護病床と 連携しつつ行政や福祉と密接な連携の中で、診療所の持てる力を効率よく運用する必要が ある。 このような背景から、本研究ではへき地診療所による終末期の在宅医療の量と質を向上 させるために、住民の人生の終末期に自宅や地域で生活を続けることの意識調査を実施し、 終末期医療に対する希望とその背景及び課題、終末期医療に対する思想や文化を明らかに することで、限られた医療資源を有効に配分し、活用できる方策を見いだすことを目的と する。. Ⅱ.研究方法 1.対象の選定 対象地域は関市国民健康保険津保川診療所の診療圏である、関市武儀地区と上之保地区 (平成 26 年 3 月現在、武儀地区:人口 3,619 人、65 歳以上 1,379 人、上之保地区:人口 1,861 人、うち 65 歳以上 804 人)で、両地区に居住する 50 才以上(2016 年 10 月末時点) 全住民のうち医療施設および介護施設に入院・入所中、あるいはその他の理由にて長期不 在者を除いた 3,269 人を対象とした。地域自治会への調査説明を経て、自治会との協力体 制で 2014 年 11 月 1 日に無記名自記式質問紙調査票の個別配布を行った。回収は郵送によ り行い、12 月 1 日地域住民全戸に対して回答の再依頼を行った。 2.調査項目 調査項目は調査目的である、住民の人生の終末期の希望や意識、終末期医療に対する思.

(3) 想や文化を明らかにするため、イ)最期を自宅で過ごしたいと願う人、願わない人の頻度、 理由、その背景、ロ)最期の人生の過ごし方についての希望、ハ)最期の人生を自宅で過 ごしたいと考えている人に対する家族・子息の支援状態、を質問の要点とした。 平成 25 年に厚生労働省による「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(終末 期医療に関する意識調査等検討会)1) の質問事項を参考に、当該地域に独自性のある項目 を加えた質問とし、項目としては、Ⅰ.対象の属性(年齢、性別、家族形態、居住形態、 学歴) 、Ⅱ.経済状況、健康状況、Ⅲ.地域とのつながり、Ⅳ.入院や見取りの経験(入院歴、 看取り経験、居宅での看取り経験)、Ⅴ.看取りや在宅医療の希望、Ⅵ.ケース別の在宅医療 の希望、について尋ねた。ケース別の項目は平成 25 年に実施された「人生の最終段階にお ける医療に関する意識調査」1) において調査項目となった「様々な状況において希望する 治療方針」と本研究との比較分析が実施できるように同様の質問項目で実施した。ケース は、以下の 5 パターンである。なおケース 5 のみ独自の項目としている。 ケース1:末期がんであるが、食事はよくとれ、痛みもなく、意識や判断力は健康な ときと同様の場合 ケース2:末期がんで、食事や呼吸が不自由であるが、痛みはなく、意識や判断力は 健康なときと同様の場合 ケース3:重度の心臓病で、身の回りの手助けが必要であるが、意識や判断力は健康 なときと同様の場合 ケース4:認知症が進行し、身の回りの手助けが必要な場合 ケース5:脳卒中や老衰、交通事故により身の回りの手助けは必要だが、意識や判断 力は健康なときと同様の場合 3.分析方法 調査結果は、年齢 3 区分(50~64 歳、65~74 歳、75 歳以上)別に基本属性と、経験、 在宅医療の希望との関連をみるとともに、厚生労働省の調査結果と比較集計し、在宅看取 りについての普遍的問題のみならず、特にへき地における地域特有の問題・課題、地域間 相違を明らかにする。 Ⅲ.研究結果 3,269 名の配布者数に対して 1,686 人から回収を得た (回収率 51.5%) 1,686 人のうち、 年齢不明および性別不明を除く 1,399 人(男性 632 人、女性 767 人)を分析対象とした。 1.対象の属性(表1) 回答者の年齢分布は、50~64 歳 450 人(32.2%) 、65~74 歳 389 人(27.8%) 、75 歳以上 580 人(40.0%)であった。居住年数は 50 年以上が 823 人(58.8%) 、30 年以上 50 年未満が 352 人(25.2%)で、回答者の 80%以上が 30 年以上居住している。また、同居家族は 158(11.3%) が単独世帯、配偶者のいない子と同居が 215(15.4%)で、全体の 29.9%が夫婦のみ世帯で.

(4) ある。同居者は 76.5%が夫または妻であるが、息子が 37.7%とそれに次ぐ。婚姻状況は 76.1% が配偶者ありである。学歴は中学校卒業および高校卒業で 82.4%を占める。.

(5) 2.経済状況、健康状況(表2) 経済状況は、全体として「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしてい る」と回答した人が 791 人(56.5%)で、どの年代においても 50%程度がこの回答となってい る。健康状況は「良い」 「まあ良い」と回答した人が 80%程度である。. 3.地域とのつながり(表3) 近所とのつきあいの程度および人数、ならびに地縁団体・地縁活動の程度については表 3 の通りである。92%がそれなりの近所づきあいをしており、うち半数以上にかなり親密 な近所づきあいが見られる。それに平行して、地縁団体や地縁活動も同程度に活発な様子 がうかがわれる。 4.入院や見取りの経験(表4) 近親者の病死や看取りの経験については表 4 に示す。60%以上が近親者の病死を体験し ているが、自宅での看取りは 17.9%である。.

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(7) 5.看取りや在宅医療の希望(表5) 自らの終末期における医療について、何らかの話をしたことのある者は約半数、その決 定については家族などの決定を最も尊重する者は 73.7%である。 終末期を居宅で過ごすために必要なサービス・支援について、64.5%が訪問診療の必要 性を認めている。 急変時に入院病床が確保されていることも重要度が高い(55.2%)。 44.7% が訪問看護の必要性を、47.0%が訪問介護の必要性を感じている。非公的な支援では、圧 倒的に家族の支えが必要と回答している(58.2%)。 家族を在宅で看取る場合において必要だと考えるサービスについては、介護の負担を軽 減する具体的な支援のみならず、職場の理解、病状の相談窓口の必要性、近所の声かけと 行った精神的な支えが必要とされている。 施設選定については、利用料金が安価であることが 63.7%と最も高率で、次に医療機関 との連携(51.7%)、続いて自宅や子息の住居からの距離が重要視されている。.

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(9) 6.ケース別の在宅医療の希望 疾病の種類にかかわらず、ADL(Activity of Daily Life)の良好なであれば、居宅での 療養を希望する割合が高いが、介護が必要な状況になると施設指向が高くなる。特に末期 がんで介護の必要な状況では医療機関の希望が 49.2%、認知症の場合は介護施設の希望が 43.5%で、他の状況と比較し高い率となる(図1) 。. 図1. 人生の最終段階を過ごしたい場所 n=1,399. ①末期がんであるが、食事はよくとれ、痛みもなく、 意識や判断力は健康なときと同様の場合. 32.2. ②末期がんで、食事や呼吸が不自由であるが、痛み はなく、意識や判断力は健康なときと同様の場合. 49.2. ③重度の心臓病で、身の回りの手助けが必要であ るが、意識や判断力は健康なときと同様の場合. ④認知症が進行し身の回りの手助けが必要な場合. ⑤脳卒中や老衰、交通事故により身の回りの手助 けは必要だが、意識や判断力は健康なときと同様の 場合 医療機関. 10.9. 52.0. 10.9. 46.5. 28.7. 37.7 介護施設. (%). 21.2. 43.5. 32.7 居宅. 4.8. 31.7. 8.1. 27.6. 22.2. 22.7. 4.7. 5.6. 6.9. 無回答. 在宅療養を希望しない理由はどの状況であっても、 「家族などへの負担」が最も多い。次 いで「病院に対する安心感」 、「病状悪化時への不安」の順に多い(図2)。 ケース別の療養場所の希望で最も居宅の割合が低かったケース4(認知症)を「近所の方 とのつきあいの程度」と「近所づきあいの人数」とのクロス集計をみると日常的なつきあ あいのある群と近所づきあいの人数の多い群のほうが居宅を希望する割合が高めであった (図3、図4)。.

(10) 図2 居宅が困難な理由(複数回答) (人). n=645. 0 1.この地域では一般的ではない. 2.家族などが賛成しない. 200. 400. 600. 800. 32. 44 ①末期がん健康な ときと同様の場合. 269. 3.症状が悪化したときが心配. 4.家族などに介護の負担をかけた くない. 671. ②末期がんで、食 事や呼吸が不自 由 ③重度の心臓病. 81. 5.経済的に負担. ④認知症. 230. 6.病院の方が安心. ⑤脳卒中や老衰、 交通事故. 7.その他. 20. 156. 8.無回答. 図3 つきあいの程度と療養場所の希望(ケース4) n=1,399 全 体. 28.7. 互いに相談したり、日用品の貸し借りをするなど、生 活面で協力しあっている人もいる. 29.0. 日常的に立ち話する程度のつきあいはしている. 27.6. あいさつ程度の最小限のつきあいしかしていない. つきあいは全くしていない. 医療機関. (%) 43.5. 40.2. 介護施設. 24.0. 48.3. 35.7. 11.1. 22.2. 20.7. 39.3. 44.4. 11.1. 居宅. 17.9. 33.3. 無回答. 5.6. 6.8. 3.4. 7.1.

(11) 図4 近所づきあいの人数と療養場所の希望(ケース4) n=1,399 全 体. 28.7. 近所のかなり多くの人と面識・交流がある(おおむ ね20人以上). 28.7. ある程度の人との面識・交流がある(おおむね5~ 19人程度). 27.9. 近所のごく少数の人とだけ面識・交流がある(おお むね4 人以下). 43.5. 41.2. 47.7. 31.0. 38.6. 隣の人が誰かも知らない 0. 医療機関. (%) 22.2. 24.8. 5.3. 19.0. 24.0. 80.0. 介護施設. 5.6. 6.4. 20.0. 居宅. 5.4. 0. 無回答. Ⅳ.考察 1.回収状況について;調査に対する関心の高さ 今回の全回収率 51.5%は、平成 25 年の厚生労働省による「人生の最終段階における医 療に関する意識調査」1) の一般国民における回収率 43.6%に比較して高値である。身近に ある診療所の行った意識調査であることが全体的な関心度の高さとして表れたものと思わ れる。なぜなら、地区別の回収率の比較によると、他医療機関が集中する旧関市街地から 遠距離になる地区ほど回収率が高いからである。 (地区別回収率;下之保地区回収率 41.6%、 中之保地区回収率 46.7%、富之保地区回収率 48.5%、上之保地区回収率 60.5%)主催し た診療所への地理的依存度の高さと調査への関心の高さの関連性をうかがわせる。 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」において年齢階級別回収率を見ると、 高齢である程回収率が高い。今回の調査対象年齢を 50 才以上に設定したことも調査への 高い関心を示した理由であると思われる。 2.集計結果と平成 25 年の厚生労働省による「人生の最終段階における医療に関する意 識調査」との比較 以下に、平成 25 年の厚生労働省による「人生の最終段階における医療に関する意識調 査」1)(以下、厚労省の調査)と比較をすることで考察を行う。 (1) 調査対象者属性の特徴; 分析対象における男女比は、厚労省の調査とほぼ同様である。 婚姻の状況については、配偶者の有無は厚労省の調査とほぼ同様であるが、未婚の割 合が一般国民の 15.7%に対し 2.2%と少なく、死別の割合がそれぞれ 7.0%および 15.7%.

(12) と多くなっている。 同居人の有無は一般国民の「同居人あり」85.8%、 「なし」12.7%、調査結果の「あり」 87.7%、 「なし」11.3%とほぼ同様である。しかし、その種類については一般国民の、 「妻 又は夫」76.0%、 「父母」22.2%、 「息子」34.2%、 「娘」29.2%、 「息子の妻」3.7%、 「娘 の夫」1.0%、「兄弟姉妹」6.6%、「孫」5.2%、「その他の親」族 3.5%、「その他」1.7% に対して、本調査結果では「娘」29.2%、 「息子の妻」17.6%、 「娘の夫」3.3%、 「孫」16.3% と、2〜3 世代家族あるいは娘との同居が一般国民に比較して多い。他方、 「兄弟姉妹」2.0%、 「その他の親族」1.1%との同居が少ない。 調査回答者の最終学歴は、一般国民では「中学」 ・ 「高校」を合わせて 52.5%であるの に対して、調査結果では 82.4%と調査集団では最終学歴が中学・高校卒業である者が多 い。 いわゆるソーシャルキャピタルについての質問は、株式会社日本総合研究所が 2007 年 8 月に実施した「ソーシャル・キャピタルに関するアンケート調査」2) の調査内容を 参考に、今回の調査で厚労省の調査とは別に設定した設問である。この調査における 50 才以上の回答者が 16.4%で、本調査は 50 才以上を対象にしていることから単純な比較は 困難であるが、これによると、 「親密な近所づきあい」をする者が 8.4%、 「ある程度親密」 が 28.6%、 「必要最低限」 が 56.9%であるのに対して、 本調査ではそれぞれ 48.0%、44.1%、 6.0%である。また同調査では「20 人以上のつきあい」が 8.8%、 「5〜19 人程度のつきあ い」 が 39.2%、 「4 人以下」 が 43.6%であるのに対して、 本調査ではそれぞれ 44.1%、42.2%、 12.2%である。調査地域内では広範囲にわたる親密な近所づきあいが行われている可能性 がある。また、近所との濃密な関係性が、いわゆるへき地特有に保存されている、ないし は調査年齢層に依存して保存されている可能性がある。 地縁・地域活動について、上記の日本総合研究所の調査では、地域行事の頻度につい ての質問に対しして、 「毎月のように」が 1.27%、 「年に数回」が 62.0%、 「年に 1 回ぐら い」が 22.7%、 「数年に 1 回がそれ以下」が 3.5%、 「わからない」が 10.6%なのに対し て、当調査では「非常に盛ん」が 19.1%、 「ある程度は行われている」が 72.5%、 「ほと んど行われていない」が 4.5%、「存在しない」が 0.2%、 「わからない」が 2.6%である。 地縁・地域活動の頻度および認知度ともに調査地域の 50 才以上では高いことがうかがわ れる。 経済状況については、地域にある診療所が主催する調査であり調査に対する陰性感情 を回避する理由から、直接的に年収額を調査する質問設定を控えた。従って厚労省との調.

(13) 査結果を単純比較することは出来ないが、「年収 100 万円未満」、 「年収 100〜300 万円」 、 「年収 300〜500 万円」 、 「年収 500〜1000 万円」 、 「年収 1000 万円以上」のそれぞれが 2.7%、27.8%、29.6%、26.5%、5.8%であるのに対して、本調査では「非常に苦しく心 配」が 7.1%、 「ゆとりがなく多少心配」が 22.1%、 「ゆとりはないが心配ない」が 56.5%、 「ゆとりがあり心配ない」が 11.9%である。生活に不安を感じる経済状況を年収 300 万 円未満とすると、厚労省の調査では 32.3%、本調査では 29.2%とほぼ類似した結果とな っている。 一般国民における最近 5 年間における自身の入院は 20.1%、 本調査では 22.7%である。 一般国民において自身の健康状態についての設問がないことと全調査数の年齢分布が異 なることから単純比較は困難であるが、おおむね自身の健康状態と健康観は類似している と思われる。 厚労省の調査によると、一般国民で最近 5 年間における近親者の入院や近親者との死 別はそれぞれ 58.7%、54.1%であるのに対して、本調査での最近 5 年間の近親者の病気・ 怪我の経験は 60.9%、死別の経験が 60%である。先に述べた自信の健康状態や健康観と 同じく、近親者の健康状態や死別の経験においても一般国民とおおむね同様の経験を持っ ていることが分かる。最近 5 年間の居宅での看取りの経験が本調査では 17.9%に認めら れる。平成 25 年の人口動態調査において、自宅を死亡の場所としているものが 12.9%で ある。一人の在宅看取りを複数の経験として回答されているため、比較をすることが出来 ず、一般国民に比較して調査地域における在宅看取りの多少については議論できない。 自身の終末期医療について、家族内でどの程度話し合ったかについては、一般国民で 「詳しく」あるいは「一応話した」が 49.9%で、本調査とほぼ同様である。また、 「自己 決定できない場合の治療方針の決定」については、一般国民では「家族などの自分を分か っている人」あるいは「家族などの話し合いに委ねる」と応えたのが 78.6%、本調査で は 73.7%と、比較的類似している。 「医師や医療ケアチームに委ねる」が一般国民で 10.4%、 本調査で 14.7%と、医師・医療ケアチームに意思決定を委ねる割合が多い。地域診療所 が主催した調査であることが影響しているかも知れない。 以上の如く一般国民と本調査対象者との属性を比較した場合、調査対象者の年齢分布 や家族構成が地域特異的に異なっているにもかかわらず、その他の属性ではおおむね類似 した集団であることが分かる。.

(14) (2) 様々な状況に置ける在宅医療の希望について、一般国民と本調査対象者の比較; イ). 自身が癌患者である場合の希望. 居宅で過ごすことを願う割合が、一般国民では ADL が保たれている場合に 71.7%、ADL が低下した場合において 37.4%であるのに対して、本調査ではそれぞれ 52.0%と 31.7% と、調査地域において居宅で過ごすことを希望する者が少ない。本調査結果と、一般国民 が ADL の低下した場合癌患者である場合に希望する治療方針と比較すると、化学療法や放 射線治療を希望する割合が 20.7%対 28.6%、肺炎治療が 41.0%対 57.8%、水分補給の点 滴が 39.9%対 61.1%である。中心静脈栄養やその他の栄養法および人工呼吸や心肺蘇生 を拒否する一般国民が 60〜70%であ。意見の分かれる治療内容とおおむね拒否的な希望 の高い治療内容が一致している。意見の分かれる治療方針について、調査地域の方が選択 に消極的であることは、居宅における療養を選択する割合が一般国民に比較して低いこと と矛盾するように思われる。 調査地域の居宅での生活を困難だと考える理由に、いずれの癌患者である場合において も介護者の負担と病状悪化時の不安、病院における安心感が挙げられていた。住民はへき 地特有の介護資源の乏しさおよび病院へのアクセス困難を感じている可能性が示唆され る。 ロ). 自身が重症慢性心不全である場合の希望. 一般国民の 23.5%に対して、本調査住民では 27.6%が居宅で過ごすことを希望してい る。先に述べた癌患者の場合より急変の可能性が高いと思われる病状で、病院へのアクセ スの悪いへき地住民が一般国民と同程度に重症心不全でも居宅による療養を希望してい ることは興味深い。なぜなら、居宅で過ごすことが困難だと考える理由は、先の癌患者で ある場合とほぼ同様だからである。また、治療方針についても、意見の分かれる肺炎治療 や水分補給のための点滴については、むしろ在宅での治療希望は調査地域の方が低く、拒 否的な中心静脈栄養や他の栄養投与、人工呼吸や心肺蘇生対する拒否希望は同様である。 調査地域においては、より積極的治療を希望しない背景が一般国民に比較して低いことが、 病院へのアクセス不良に対する不安や少ない介護資源に対する不安を相殺することで、一 般国民と同様の居宅療養志向結果となった可能性がある。 ハ). 認知症で要介護状態である場合の希望. 前述の癌や心不全の場合に比較して、一般国民の介護施設希望 59.2%に対して本調査 では 43.5%と介護施設希望が低く、一般国民における居宅希望の 11.8%と本調査の 22.2%と、居宅希望が高くなっている。他方、居宅での生活が困難だと考える理由で 66.4%が介護者の負担を挙げている。癌や心不全に比較して重症の認知症での介護負担を 重く捉えている様子がうかがわれると同時に、それとは矛盾する居宅療養の希望が高い。 希望する治療方針においても、肺炎や水分補給の点滴を希望する割合が、一般国民と調査 対象地域のいずれでも低下し、中心静脈栄養等拒否希望の強い治療方針の拒絶が増加して いる。.

(15) 地縁・地域との繋がりが原因して施設を避け居宅で生活したいと考える志向と、介護者 への負担を心配すること、および多世代世帯が多いこと、これら複合要因が総合的に判断 された結果として、調査地域において一般国民に比較して居宅志向が高い結果となってい るのかもしれない。 ニ). 脳卒中・老衰・交通事故による要介護状態である場合の希望. 当該の状態においては厚労省の調査にはない項目である。要介護4,5状態が長期化す る例として設問の設定を行った。交通事故後の要介護状態としては類似の質問が厚労省の 調査にもみられる。この場合の一般国民における居宅療養の希望が 10.3%であるのに対 して、本調査では 22.7%と居宅療養志向が多い。 しかし、居宅療養を困難だと考える理由や治療方針については、他のイ)〜ハ)の状況 設定と同様である。 以上の各状況設定から考えると、一般国民に比較して本調査対象者において、全体とし て、若干ではあるが居宅療養志向が高いように思われる。しかし、治療方針については内 容の大小はあるものの、意見の分かれるところ、拒否希望の高いところといった大まかな 方針についての希望が同様の傾向が見られる。すなわち、一般的に希望される治療方針に 対して、地域特有の病院へのアクセスや介護資源不足、家族構成といった事情が影響しな がら、結果として一般国民より若干に高い居宅療養志向という結果となった可能性が示唆 される。 (3) 終末期を居宅で過ごすための資源や施設を選ぶ基準について; 上記(2)で述べた如くの総合的判断として居宅志向という結果は、表 5 の終末期を居 宅で過ごすために必要なサービス・支援についての回答に表れている。最多数の 64.5% が訪問診療の必要性を認めつつ、同時に急変時の入院先が確保されていることについて 55.2%と過半数が必要と感じている。一般診療所が前線となって訪問診療を提供しつつ、 後方支援として病院病床を活用するという在宅療養の形が、国、行政、医師会を中心に進 められている。住民もこれに類似した希望を持っており、国策として進められている在宅 医療は住民の希望に合致していることを示唆している。あるいは国策として進められてい る内容が、地域住民にうまく浸透している結果とも考えられる。 また、そうした在宅療養について実際の手助けとしての訪問看護や訪問介護の必要性に ついてもそれぞれ 44.7%、47.0%と半数に近い希望がある。それ以上に 58.2%の家族の 支えに期待する意見がある。多世代世帯が一般国民よりも多い調査地域の特性が表れてい る可能性がある。 すなわち、調査地域においてはこれまで地域の繋がり・家族の支えといった地域固有の 地域力にまだまだ期待することが出来るし、住民もそれに期待している。しかし、それら は今後高齢化・過疎化で脆弱化しつつあることは否定できず、看護・介護サービスでそれ.

(16) らを支援・補完しながら、後方支援の病床と密接に連携した訪問診療を展開していくこと が、へき地住民が希望するところの終末期における在宅医療であると結論できる。 参考文献 1). 人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書. 厚生労働省 平成 25 年. http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/dl/sais yu_iryou09.pdf 2). ソーシャル・キャピタルに関するアンケート調査. 株式会社日本総合研究所. http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou015/hou015.html. なお、本研究は公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 の助成による研究である。.

(17) 感想: 山間へき地において終末期の在宅医療についての希望調査が行われた例は、調査した限 りでは発見されなかった。本調査によって、山間へき地の在宅医療志向とその理由、およ び在宅医療を志向しない理由についても明らかにすることが出来た。とりわけ、調査主体 である地域診療所が、住民志向の医療提供という医療の基本になる部分を明白にすること が出来たのは、今後の診療所運営や在宅医療の提供を考えると、極めて意義深い。 へき地の医療志向とその理由を、平成 25 年の一般国民を対象にした終末期医療の希望 調査と比較検討することが出来た。これにより、地域特有な問題のみならず、国策として 進められている在宅医療の推進計画において、問題点や課題、整備する必要のある医療・ 福祉資源について、国策としての普遍的な部分と、地域特異的な課題を峻別することが出 来た。例えば、へき地というアクセスに関するハンディキャップを補うために、入院可能 な医療機関を確保した在宅医療が強く求められている点である。これには、現在整備が進 められている地域包括病棟との病診連携が重要であると感じる。そして、診療所が関わっ ている地域の優位性、地域の宝とも言うべき豊かな地域社会の繋がりを明らかにすること も出来た。過疎化により弱体化していると考えていた地縁・血縁による物質的・精神的支 えが、依然として機能し期待されている。こうした調査結果を地域自治体行政と共有する ことで、地域医療についての普遍的議論のみならず地域特異的議論が可能となり、地域診 療所が地域志向型在宅医療についての提案を行う土台作りをすることが出来た。 調査地域は限られた山間へき地の限られた調査対象に行われた、大規模とは言えない意 識調査であるが、小さい地域であるからこそ 50 歳以上ではあるが住民全体を対象にする ことが出来た。得られた結果は調査地域特異的な結果ではなく、へき地を取り巻く全国的 な課題に合致した内容ではないかとも考える。そういう意味では、当調査結果は、全国の 様々な事情下にあるへき地を抱える自治体やへき地診療所が、各々の直面する在宅医療を 中心とした医療問題に向き合う基礎資料にもなり得るのではないかと考える。 さらには、調査における自治会との連携や行政との協議を通して、これまでの医療の提 供者としての診療所の役割を超えた地域との繋がりを創ることが出来た。調査を通して、 診療所が考える在宅医療の形に期待する住民の声を聞くことが出来た。 以上のごとくに示唆に富む調査を行う事が出来たのは望外の喜びである。関係各位、お よび多忙を極める診療業務の中で惜しみない協力をしてくれた診療所職員に心より感謝申 し上げる。.

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参照

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○ 交付要綱5(1)に定めるとおり、事業により取得し、又は効用の増加し た財産で価格が単価 50 万円(民間医療機関にあっては

4/1 ~ ICU 30.1 万円、 HCU 21.1 万円、 その他 5.2 万円. ※ 療養病床である休止病床は

(A)3〜5 年間 2,000 万円以上 5,000 万円以下. (B)3〜5 年間 500 万円以上

年収 ~400万円 600~700万円 妻職業 専業主婦/派遣 専業主婦/フルタイム 住居 社宅/持家集合 賃貸集合 居住域 浦安市/印西市

定期活動:14 ヶ所 324 件 収入2,404,492 円 支出 1,657,153 円( 28 年度13 ヶ所313 件2,118,012 円 支出 1,449,432 円). 単発活動:18 件 収入 181,272 円 支出115,800 円

定期活動:11 カ所 134 件 収入 200,440 円 支出 57,681 円(27 年度 12 カ所 108 件 収入 139,020 円 支出 49,500 円). 単発活動:43 件 182,380 円 支出 6,754 円(27 年度

事業の財源は、運営費交付金(平成 30 年度 4,025 百万円)及び自己収入(平成 30 年度 1,554 百万円)となっている。.

環境*うるおい応援」 「まちづくり*あんしん応援」 「北区*まるごと応援」 「北区役所新庁舎 建設」の