合成開口レーダの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツの開発

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鳴門教育大学研究紀要 (生活・健康編) 第19巻 2004

合成開口レーダの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツの開発

伊 藤 陽 介 ぺ 森

和加奈**

(キーワード:リモートセンシング,映像レーダ,合成開口, SAR画像,パルス圧縮,レンジドップラ一法)

1

.はじめに

リモートセンシングとは,地球表面や大気で放射,散 乱,反射した種々の電磁波を航空機や人工衛星から計測 し,それを地球資源や地球環境の観測,評価,管理など に役立てる技術の総称である。とくに,センサのプラッ トフォームとして人工衛星を用いた場合,時々刻々と変 化する地球的な規模で発生する現象の把握を可能とし, その観測データの利用は地球温暖化や砂漠化など環境問 題の発見に役立つている。 近年,センサの空間解像度,観測波長域,観測波長分 解能,解析方法などは,益々高度化かつ多様化しつつあ る。その中でも,気象条件に影響されにくく高分解能な 観 測 を 可 能 に す る 合 成 開 口 レ ー ダ (SAR:Synthetic A perture Radar)の利用が 1990年代から本格化している1)。 しかし, SARの原理を理解し, SAR画像を生成する過程 を理解することは一般に困難といわれ,通常, SAR画像 のデータ処理は,専門家によって行われていることが多 い。他方, SARの原理とデータ処理について理解した上 で, SAR画像を各種応用した方がより深い考察を可能と することは明らかである。 本研究では,高等学校までに修得した学習内容に基づ いて SARの原理と SAR画像が得られるまでの処理方法 に関連した教育用コンテンツを開発することを目的とす る。本稿では,教育用コンテンツの全体構成と特徴,開 発環境を述べ,本コンテンツの一部を解説する。さらに, 開発したアニメーションを紹介するとともに,本コンテ ンツの効果と改善点について考察する2)

2

.

合成開口レーダの教育用コンテンツ

2. 1 全体構成 図 2.1は,レンジドップラ一法による SAR画像の再生 処理を示す4)日。本研究では,ここに示されたすべての処 理を解説するのではなく, SAR画像の再生処理を理解す るために必要最小限な概念と処理方法に関する教育用コ ンテンツを開発する。通常,パルス圧縮処理では,受信 信号と参照関数の相関処理を高速化するために高速フー リエ変換 (FFT:Fast Fourier Transfonn)と逆 FFTを用い る。ここでは,相関処理を時間軸で解説した方が容易に パルス圧縮処理を理解できると考え, コンテンツを構成 している。さらに 解説を簡潔にするため,レンジ方向 はアジマス方向に対して直交し 地表面は静止している 場合のみを想定しドッフ。ラー中心周波数は U[Hz]とする。 SARの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツ は,図2.2に示すように 1から6までの項目から構成さ れるWebページとなっている。目次から任意の項目を閲 覧可能であり,前後の項目および目次に進むこともでき る。 図2. 1 レンジドップラ一法 2. 2 特徴と開発環境 本研究の教育用コンテンツは,高等学校科目「数学1, II, illJ および「物理 1, II J の学習内容を修得してい る場合を想定して開発している。また,映像レーダや SARに関する予備知識がなくても理解しやすいもので あることを目指した。 [!│';門教育jぐ了リLi,r,・1ぜL)t!f,.(1:%Hj)敦子IIl持!"I(

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合成開口レーダ入門<目次> 1.映像レーダの概念 2. 合成開口レーダの概要 3.アンテナの性質 4.パルス圧縮の概念 5.レンジ方向の分解能を上げる方法 6. アジマス方向の分解能を上げる方法 図2. 2 教育用コンテンツの全体構成 映像レーダやSARの概念を理解する場合,時間の経過 と受信信号の関係を視覚的にとらえることは不可欠と考 え, Webページ内に静止画とアニメーションを多数導入 している。アニメーションは 一般的に用いられている Webブラウザのフラグインとして普及しているFLASH プレーヤを利用する。そのため FLASH形式のモーショ ングラフィックス・データを作成する開発環境を用い た6).7) また, SAR関係の専門書では,パルス圧縮処理と合成 開口処理に使われる相関処理などの数式展開において結 果のみを表記し,過程が省略されている場合が多い。本 教育用コンテンツでは,紙面の制約がないため,できる だ、け段階を追って数式変形が理解できるように配慮し, 学習者が自ら数式を展開できるようにしている。また, 冒頭に述べた高等学校の学習内容を超えるオイラーの公 式などについては,付随する解説ページを追加し,基礎 的な内容から学べるように工夫している。

3

.

教育用コンテンツ

本節では,図2.2の項目 1,2,および、, 5の解説内容 と,アニメーション化した部分について述べる。 3.

映像レーダシステムの概念 (1) 解説内容 映像レーダシステムは 地表面に向けてアンテナから 位相の揃ったパルス状の電磁波を送信し,地表面から散 乱した電磁波を同じアンテナで時系列的に受信し,映像 化する。ここで,電磁波は,波長が数cmのマイクロ波帯 を利用する。通常,マイクロ波は地表面において四方八 方に散乱するが,とくに,送信アンテナと同じ方向に散 乱する場合を後方散乱という。レーダシステムでは,後 方散乱したマイクロ波のみを観測する。 図3.1

(

a

)

は,マイクロ波パルスが発射されてから地上 の物体で散乱して戻ってくるまでのパルス位置を模式的 に表したものである。破線はアンテナから地表に向かつ て送信されたマイクロ波パルスの波面を,実線は地表物 体で散乱された散乱パルスの波面を示している。数字は 発射されてからの時間を表す。この図では,ビルおよび、 木からの後方散乱はそれぞれ15単位時間後および17単 位時間後に,家からの後方散乱は19単位時間後にアンテ ナに戻ってくる。 図

3

. 1

(

b

)

は,前述した受信信号強度の時間変化を示し, レーダ画像

1

ライン分の観測データを表す。すなわち, 受信信号強度の時間記録がそのまま地表を走査すること になる。プラットフォームの移動に合わせて,パルスの 送信と受信信号の記録を順次繰り返すことにより,地表 面の 2次元画像が得られる。 アンテナ ビル 木 家屋 (a) マイク口波パルスの波面 幽l送信パルス 額 r r)r 受信信号 「 ー ム ー 「 ビルから のエコー 木からの

o

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 時間 (b) 送信パルスと受信信号 図3. 1 映像レーダシステムの模式図 図3.2に映像レーダシステムの幾何学的配置と名称を 示す。アンテナからマイクロ波の照射方向(レーダビー ム)をレンジ方向と呼び,プラットフォームが進行する 方向をアジマス方向と呼ぶ。レンジ方向は,受信したパ ルスの左右の暖昧さを避けるため アジマス方向に対し て横向きでかつ斜め下方とする。

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-60-合成開口レーダの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツの開発 プラットフォームから見たレーダビームの方向を規定 するふ角(仇)とオフナディア角 (90。一札)は,それ ぞれ,水平方向とレーダビームの間の角度と,直下方向 とレーダビームの問の角度を指す。地表面から見たレー ダビームの方向を規定する入射角 (θ)は,入射面から の垂線とレーダビームがなす角度である。また,アンテ ナと地表面との距離をスラントレンジとし,それに対応 する地表面への投影距離をグランドレンジと定義する。 アンテナ スラントレンジ アジマス方向 図3.2 映像レーダシステムの幾何学的配置 地表面の照射には持続時間が数十μsec程度の短いマ イクロ波パルスが用いられる。送信されたパルスは光速 c [m /sec]で伝播し地表面に入射し,入射エネルギーの一 部が散乱される。送信パルスがアンテナと対象物聞を t [sec]で往復する場合,対象物までのスラントレンジ距 離はct/ 2[m]である。 レーダ画像のレンジ方向の分解能は,パルスの大きさ (時間τ[sec],長さ cτ[m])で決まる。地表面の2つの 物体を区別するためには,各物体からのパルスが,少な くともパルス長の半分以上異なる時間に戻って受信され なければならない。そのためにはアンテナからの往復の 距離の差がcて

/

2

以上離れている必要がある。これをスラ ントレンジ分解能と呼ぶ。 光速cは定数であるため, レンジ分解能を高めるため にはパルス幅を小さくする必要がある。しかし,パルス 幅を小さくしすぎると,マイク口波のエネルギーが少な くなり伝播及び散乱時に減衰し ノイズと識別できなく なってしまう。そこで パルスに含まれる情報量を増加 させるためにパルスを構成するマイクロ波周波数を線形 的に変化させ帯域幅

B[

H

z

]

を増加させるチャープ変調さ れたパルスを送信する。受信したパルスをレンジ方向参 照関数と相関処理を行うパルス圧縮によりレンジ分解能 をB倍に高めることができる。 一方,マイク口波の波長を入[m,l アジマス方向のアン テナ長をd[m]とするとき,そのビーム幅s"はアシテナ の性質より入

/

d

と近似できる。図3.3に示すようにプ ラットフォームからのスラントレンジrが増すとともに ビームは扇状に広がり アジマス方向に照射する地表面 i".ωIPMl'15,,=1' λ/d l)i, γシマス分解能((!"IIIIJlとなるr アジマス分解

i

f

巨をI"Jめるために. アシマス hlilJに中日の 広いアンテナを搭載することが考えられるが,一般にア ンテナの大きさには制限があり実現は難しい。そのため, アジマス方向に運動しているプラットフォームと地表面 の物体間の相対距離の変化に起因するドップラー効果を 利用する。このドップラー効果によりアジマス方向に並 べた受信信号にチャープ変調と同様な周波数変化が現れ, アジマス方向参照関数と相関処理を行うパルス圧縮に よって,アジマス分解能を向上させることができる。こ の処理のことを合成開口処理という。 アジマス方向 アジマス分解能 ρ“=r・s" 図3.3 アジマス方向のマイク口波照射領域

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2

)

アニメーション化した部分 図 3.1では,番号付けされたパルスを順に追うことに よって,映像レーダシステムの概念を模式的に示してい る。アンテナで受信される信号は,地表面で散乱したマ イクロ波のうち,アンテナ方向に後方散乱するが,図3.1 のみでは解説できない。そのため,図3.4と図3.5に示 すアニメーションを追加した。 図 3.4 (a),,-,(c)では パルスが伝播していく様子をアニ メーション化するとともに,アンテナの右下に現在の状 態を解説する文を表示し時間的に変化するマイケ口被 パルスの状態を把握しやすいように配慮した。 図3.5(a),,-,(c)は,後方散乱の意味を解説するアニメー ションである。アンテナから送信されたマイクロ波の状 態から,対象物体で散乱したマイクロ波がアンテナで受 信された状態をアニメーション化し 最後に後方散乱の 解説文を表示することで その意味を明確化している。 3.2 合成開口レーダの概要 ( 1) 解説内容 映像レーダにおけるアジマス方向の分解能が低いこと を逆に利用して,合成開口レーダ (SAR)では,地表面 の対象物体から後方散乱したパルスを,アジマス方向に おいて複数回受信し,それらのパルスを合成して高解像 度化を図る。この処理は,アジマス方向に長い仮想的な γシテナがあるとJ7えられるたふ/人 什成│井JII処JlHと11千は れるに)

(4)

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川 一 !

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映像レーダの毅陸 アンテナから電波が発射されまt.J,:. アンテナ . . 対 象 桝 この動画をもう一度見るときは、ブラウザめ更新ボタシ(→議)をクリ'J先てください。 ニ記蕊鼠埠 マイク口波を送信した状態 (a) 7州.(f)融留2覇 防wit:J蹴加担量判開へ3げ電量 調F 級制u議議 議議議う鵬す島民,Al)場メディ?護審議・議議 織 努鈎ぷFさぞf アンテナからマイク口波パルスが発射された状態 (a) 7'MJt.{f)Uf,fJ褒m。色島犠ι。入ω>)句MO へJゆ:rq量 4議議摂むv母 i議議愛~棚会楓λ暗唱菅沼伊噂 。 柚 抑 制 柑 副 s . 帥 耶 嗣 浴 後 四 予 断 " " 白 抽 岬 嗣.. 削 除d.略助副院令官制m 映像レ」ダの製博 議機機織懇 fyJ3 線 機 縁 遠 w、j V 9 議 療 薬 q A γ 2 3 d 漁 激 減 総 務 p p 準 語 対象物体まで緩いた.波tI反射しています. 場 対 象 鰍 この動画をもう一度貝忍ときはブラウザの更新ボタン(→議)をクルっしてください。 綴 ペ サ 臓 時 惜 し を ふーぷ… ムー減税為換す (b) 対象物体においてマイクロ波が散乱した状態 後方散乱のイメーラ図 ダ ン テ ナ PJ み 高 校 浮 い ぞ 義 務 総 務 委 主 義 総 数 紙 幣 ャ ゴ 斗 ¥ ¥ 議 訟 有 i J 地理E函命傷体1こ露軍いた穂波紋?ンチナに向かつて反縦波をtilします。 この動留をもう一度見るときはブラウザの更新ボタン(→遺児クhクしてください。 川 向 山 竜一一一ーでー'li!'fi:tll!'l-て アンテナ

4

暴対象物体 この動画をもう一度更るときはブラウザの更新ボダノ(→議)をヅhクしてください。 ぬペザ損集来線議決 議村敦ピ瓦ザ 地表面に到達したマイク口波パルスが散乱している状態 後方散乱のイメージ劉

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1

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bi射線の黄緑で績かれているのは 度を発射したアンテナ{こ.ってt¥(務分ですe これを後芳書聖書記といいますa

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(b) J議 警 護 h J 選 総 裁 警 川 議 議 機 撃 川 説 明 λ 必 勝 品 加 今7ンテナ広禽かっているのは‘厳然裁のー鶴 :後方敏蕊}です。 (c) 散乱したマイクロ波がアンテナで受信された状態と後方散乱の解説文の表示 図3.5 後方散乱したマイク口波を解説するアニメーション -62-この動画をもう一度見るときは、ブラウザの更新ボダノ(→議)をクI):;J'~凡てください。 ?問機持軍総会、二 ι一一点 山…; ι h 議守T判 け (c) 後方散乱したマイク口波パルスがアンテナに戻っている状態 図3.4 映像レーダシステムの概念を解説するアニメーション

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合成開口レーダの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツの開発 図

3

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に示すように 地表面にある点

P

はプラット フォームが軌道上を距離ρaだけ運動する間,マイクロ波 を照射され続けている。例えば al"'a5においてパルス が送信されたとすると,合成開口処理後は,al"'aSを一 つの大きなアンテナに合成されたと見なすことができる。

ー士~

G1: a" a" a, :a5 アジマス方向 →二二~I.___. 亡トイ一一一ぅ 地表面 図

3.6

合成開口処理 (2) アニメーション化した部分 図

3

.

6

に対応する

Web

ページでは各パルスの状態を それぞれ表示しているが 時間的な動きを明確にするた め,図3.7

(

a

)

" ,

(

c

)

に示す合成開口処理を解説するアニ メーションを追加した。このアニメーションでは,軌道 を左から右に向けてプラットフォームが移動しながら, パルス波を放射状に地表面に照射する。対象物体から後 方散乱信号を受信した場合,それらを蓄積した位置の総 距離が合成関口長となることを表現している。 EÞ 'II'害訴ril.t:i:J1a:!1fiff閉ま冨習慣胃曹園恵開冒頭司・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・E掴竃蹟II~窪 7?1 ,1~(f) 議藁([j 密日正~ お気IZλη也}ヲーIL① ヘル7ω 書F 通 横 索 古 縮 刷 柑 メ 仰 の し ' . 蝉

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鶴議. i 、べ必叫(匂匂叫ぷぺ:鮫唾鮫jc恥 山CU一悶叩…¥s柑s,刷叫T 合成凋O処理の勃画像 軌道{時間層}

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地表通 二 ,'1警十;面 照 時 ミ 可f 叶r事 幸 行 オ ワ 芝 、 七 円 叶 f事ァγ空れ芳I"~、 (a) 対象物体からの後方散乱を受信する前 司書1'-11.・・,... 田・5 7rイル屯〉 繊 集 @表示屯Oお気に入り官官 トル匂 ヘルプω d 需主 i笠Jl鎧誇Jご 可 検 索 公 繍k入り唱雪メ仰をラ 署員遜{持費電} 調島義窃 この動画をもう一度見るときは、././"..'ノv,,<..:w;:.刷 ド 仏 ノ ノ ノ 人 ノ ¥ . ,'-''-'--ν。 v !謡恥M臓麟問示郡E措ω決 … … … … ← 一 … … … …一一向マ一一一W…………マ叫叩叩一マ (b 刷b凶) 対象物体からの後方散乱を受信しながら移動している状態 表示もψ0指罰iι;入叩也ω) 弘 4今 ' 、uん 一4品 事1 〆 検索 J 島知乙入。 暫きれヂィア a開 梶 叫 時Ihtm! 合成関口処理の動溺像 軌道{締罰軽) 議方議主総裁 この計画?をもうー!安売るときは、「う内サヴ〉更新7i\ヲン i→之、)~フ11ッゴ Jで失だきい。 力1頃示され苦し (c) 対象物体を通過した後,合成開口処理位置を表示 図3,7 合成開口処理を解説するアニメーション 3. 3 レンジ方向の解像度を上げる方法 (1 ) 解説内容 3. 1節で解説したように レンジ方向の解像度を上げ るためにパルス圧縮処理が行われる。この処理では,周 波数帯域幅Bの広いパルス信号を送信し,観測後に参照 信号との相関処理によりパルス幅を狭める。そのため, 時間とともに一次関数的に周波数を増加または減少させ るチャープ変調を施す。 ω(r) ω0,

s

をそれぞれ,送信 信号の角周波数,搬送波角周波数,チャープ率[Hz/sec] とすると, ω(r)=ω

0

+

st

(

t

寸)

(3.1) である。{IT.相は,角周波数の時間積分となるため ~ (1) ,)(d,二(1),,'

(~, となる/ここで. ω= 1)/どである〈 i~

L

-j

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-; jJ-S" (,)は

i

J

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耐と{¥Iイ:11からなるため.純手;数を)j!li

(6)

て表現すると, Slr(t)=exp{j(ωot+αt2)}

(-伊豆+~)

(3.2) である。なお,単純化のため振幅は, 1としている。 アンテナから送信されたパルスが地表面に到達し,後 方散乱してアンテナまで戻ってくる時間をむとすると, 受信信号 Src{t)は,送信信号がむだけ遅れたことになるた め Src (t)=exp

[

j

(t-TD)+α{t-TD)2}] =exp{jω。(t-TD)}・exp{jα{t-TD)2} (3.3) である。搬送波周波数帯域は高域フィルタにより除去さ れ,実際に記録される受信信号 Sr(t)は, I τ - -. --τI Sr(t)=exp{jα(t-TD)2}

l

TD 一子 t~TD+2

J

(3.4) となる。 パルス圧縮では,図3.8に示すように受信信号とそれ と 同 じ 形 状 で 複 素 共 役 を と っ た 参 照 信 号 S:t(x)= exp( -jαx2)を用いて,複素数の相関処理を行う。 τ TD

Z

TD T

(a)"受信信号Sr(t) τ x τ 2 O + τ一 つ 山 (b) 参照信号 S:/x) 図3.8 受信信号と参照信号 パルス圧縮された信号をg{t)とするとき,図3.9に示 すように,受信信号と参照信号を相関処理する範囲に基 づいて, 4通りに場合分けを行い, g{t)を求める8)。 (a) t壬TD-τ,および

(

d

)

む+τ <t のとき 互いに関数値が重なる部分がないため,g{t)ニOとなる。 (b) TD-τ<t豆b のとき 相関処理は,g(t)=

-1Sr(t+x) S:/x)dxとなる。積分 した結果, g{t)= τ -T( D+ t)sinc{a (t -TD)τ -TD+ t( )} (3. 5) が得られ,圧縮後の信号では 位相項が消滅し実数値と なる。ここで, sinc{x)=sin(x)/xである。 (c) TD<t豆 匹+τ のとき 相関処理は,g(t)=

s

irSr(t+x)SL(x)dxとなる。積分 した結果, g(t)=(TD-t+τ) sinc {α (t -TD)(TD-t +τ>>

(

3

.

6

)

が得られ,

(

b

)

と同様に圧縮後の信号では,位相項が消滅 し実数値となる。 図3.10にパルス圧縮前と後の信号を示す。圧縮後のパ ルス幅の定義を,最大値を有するピーク幅の半分とする と 式

(

3

.

5

)

より toを求めた結果から,パルスの周波 数帯域幅Bの逆数となる。 Sr(t) TD

S

:

/

χ) x O (a) t壬TD一τ Sr(t) x lτ

b

-

5

-

t

TE

(b) TDτ<t壬TD x 匹+~-t (c) TD<t豆TD+τ Sr(t) TD x (d) TD+τ<t 図3. 9 パルス圧縮処理の場合分け

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-64-合成開口レーダの原理と再生処理に関連した教育用コンテンツの開発 g(t) 圧縮後のパルス幅 唾ー争 ハ u e ' 図3.10 相関処理によるパルスの圧縮 (2) アニメーション化した部分 図3.9は,パルス圧縮処理を場合分けして解説し,図 3.10にパルス圧縮された信号を示しているが,両者の関 E

-

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7Tイル@鎌聾怪〉轟m色tJa費問;入mω "--J,JぐDヘル?を量 殺 弘主;強調議概念欄抑脅すが伊都政..;;ふ喜怒・ぷ嚇 む 修 恥 印 刷 審 制 S ettf'l同高崩Z騨M, 加 印 刷 桝 由 酬 眠 叫 山 岡l 壊 鑓 棚 げ 参照信号との穏随処理によるパルス圧縮 A 〆 総人 種書覇軍信号と受信f霊場が ぴったりと霊おったときに‘栂 謹鵬←恋緩後のパJ以 暗躍処理をすると最も大きtJ {蜜が手専られ埠パルスが鋭<tJ りますu 箆結審需のパルス吋 この重力匿をもう一度見るときは 総べ4 剤費示されまし止 まマイコンe,ωタ (d) 相関処理後,圧縮信号を表示している状態と解説文の表示 図3.ii パルス圧縮のアニメーション 係が把握しにくいという問題があった。そのため,図 3. 11 (a)'"'-'(d)に示すように,受信信号,参照信号,パル ス圧縮された信号の三者を同時に時間軸とともにアニ メーション化し,パルス圧縮処理をビジュアルに理解で きるように配慮している。 (3) 数式展開 本項目では,式 (3.3),(3.4)の相関処理に関連 する積分計算などの解説を必要としている。ここでは, 数式展開の過程を省略したが, Webページに含まれる教 育用コンテンツでは 数式変形を省略せず置換積分によ る積分範囲を表にまとめ,詳細を確認できるようにして いる。

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4

. ま と め

本研究で開発したWebページは教育用コンテンツと いうことを念頭に置き, SARに関する特別な専門知識が なくても理解できるように配慮した。そのため,図を多 く取り入れ,さらにアニメーションの導入を行った。こ れにより,文字と数式を中心とする解説を避けることが でき,表示された動きと解説文を読むことでビジュアル にSARの概念と再生処理を理解できる教育用コンテン ツを開発できた。 とくに, SAR画像の再生処理において中心的な処理と なるパルス圧縮処理については 理解することが難しい といわれている。本Webページに導入した受信信号,参 照関数,パルス圧縮信号の三者を同時にアニメーション 化するという試みは他に類を見ないものであり,パルス 圧縮の概念を理解する場合に広く利用されると期待でき る。 今後,本教育用コンテンツを利用してSARについて学 習している状態において,各項目の理解度を調査するシ ステムを開発し,その結果に基づいて解説がわかりにく い部分や飛躍した解説や図面,アニメーションに改良を 加え,より理解しやすいものに発展させる予定である。

参考文献

1 )飯坂譲二監修,合成開口レーダ画像ハンドブック, 朝倉書店, 1998年.

2

)

森和加奈,合成開口レーダの原理と再生処理に関連 した教育用コンテンツ 鳴門教育大学学校教育学部中 学校教員養成課程 生活・健康系II (技術科)教育専 攻,平成14年度卒業論文, 2003年. 3)森和加奈,伊藤陽介,合成開口レーダの原理と再生 処理に関連した教育用コンテンツ 日本産業技術教育 学会第18回四国支部大会講演要旨集, 2002年, p.13. 4) J. C. Curlander and R. N. McDonough, SYNTHETIC APERTURE RADAR Systems and Signal Processing, John Wiley& Sons, 1991, pp.126-209.

5

)

高木幹雄,下回陽久監修,画像解析ハンドブック, 東京大学出版会, 1991年, pp.151-170. 6) 境 裕 司 , 速 習 Webデザイン FLASH5,技術評論社, 2001年. 7) 青空研究会ホームページ制作部 Dreamweaver4

&

Fireworks 4パーフェクトマスター,秀和システム, 2001年. 8) G. Franceschetti andR. Lanari, Synthetic Aperture Radar Processing, CRC Press, 1999, pp.15-31. (受理日 2003年 9月 30日)

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-66-Development o

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Yosuke ITO* and Wakana MORI**

Remote sensing is useful to discover global issues such as warming and desertification. Synthetic Aperture Radar (SAR) which is a kind of an active sensor can observe earth surface independent of weather conditions. The SAR has been employed for various pu中osessince the 1990s. However, understanding the SAR is particularly difficult for students who leamed natural science in the high school.There are few opportunities to know how to produce SAR images since the SAR data are generally processed by specialists. It is obviously possible to study observation results thoroughly in the case of understanding the SAR data processing in advance. This paper presents educational contents for the pu中oseof understanding a principle of the SAR and its signal processing technique. These contents consist of Web pages induding numerous pictures and animations to darify sophisticated processing technique. The numerical expressions are also described without skipping the transformation process as much as possible in order to be easy to understand. At first, the block diagram and characteristics of the educational contents are shown and the software environment creating and browsing the animations are introduced. In order to show advantages of the developed contents, the three items, 1. Concept of imaging radar, 2. Introduction of SAR, and 5. Resolution enhancement method in range direction, are picked up. The detailed contents in each item are explained and the role of each animation is also described with screen COpIes. The animation which displays the three shapes of received, reference, and compressed signals simultaneously is especially e百ectiveto explain the complex convolution processing in the pulse compression. The educational contents will be improved based on results of the system which investigates the degree of comprehension of each item. Faculty 0111ピalthaml LivingS じ l じ nじじ~Education司NarlltollnivcrsityりIEducatiけn

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