220 (94) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
コ マツ エイ ジ小松永二(昭和34
博士(医学) 乙第1440号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
膵頭部癌の術前免疫能および膵頭十二指腸切除,術中照射療法併用後の免疫能 の検討 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 重田 華氏,香川 無論 文 内 容 の 要 旨
目的 膵頭部癌は極めて予後不良な疾患で,治療方針の決 定には進行度のみならず宿主側の要因,特に免疫能の 面からも検討する必要がある.また術後免疫能の低下 はその再発予後に大きく影響するとされているが,膵 癌の術後特に術中照射後の免疫能の変化はいまだ明ら かにされていない.本研究は,膵頭部癌の進行度別免 疫能および治療法別術後免疫能の推移を明らかにし, 治療方針決定の一助とするとともに膵頭部論集学的治 療成績の向上に資することを目的とした. 対象および方法 1)膵頭部癌21例を対象とし膵癌取扱い規約に従い各Stageに分類した.また早期胃癌6例を対照とし
た.以上につき,(1)PPD皮内反応,(2)PHA幼若 化反応,(3)リンパ球数,(4)リンパ球サブセットを 測定した.尚,リンパ球サブセットはFlow cytometry によるTwo color解析にて, T ce11, cytotoxic T ce11, suppressor T cell, helper T cell, natural killer ce11 を測定した. 2)膵頭部癌に対して拡大郭清を伴う膵頭十二指腸 切除術(以下拡大PD)施行例8例,拡大PDに術中照 射を併施した(以下拡大PD+10RT)4例を対象とし, 早期胃癌に対する幽門側胃切除術6例を対照とした. これらにつき術前,術後2,7,21病日に(1)と同様の 免疫学的パラメーターを測定した. 結果 1)Stage 2膵癌では各免疫学的パラメーターの値は 対照胃癌と差がみられなかったのに対して,Stage 3膵 癌では胃癌に比しhelper T ce11は有意に増加し, cytotoxic T cellも増加傾向であった.しかしながら Stage 4膵癌ではこれらの増加は認めずStage 3膵癌よ り低下傾向で,PPD皮内反応は有意に低下していた. 2)術後免疫能の推移は胃切除群では顕著な変動が なかったのに対し,拡大PD群では, PPD皮内反応は 7,21病日で有意に低下し,helper T cellも2忌日で 有意に低下したが,他のパラメーターの推移に差はみ られなかった.これに対して拡大PD+10RT群では, PHA幼若化能も21隔日で他の2群より有意に低く, 2病日のリンパ六出は胃切除群より有意に低く,7病 日のTcellは他の2群より有意に低かった.さらに cytotoxic T cellは他の2群では著変はないのに対し て,その低下は顕著で2,7,21病日とも有意に低かっ た. 考察および結論 以上により,Stage 3膵癌では免疫能低下はみられず むしろ賦活状態にあるのに対し,Stage 4膵癌ではその 低下が明らかに認められた.また拡大PD術後早期に は免疫能が低下し,さらに術中照射を併施する事によ りその低下はより高度かつ遷延することが明らかに なった.一般に癌術後早期の免疫能の低下が再発予後 におよぼす影響は多くの研究により明らかにされてお り,膵癌においても治療成績不良の一因であると考え られる.したがって,今後は膵癌に対して拡大郭清や 術中照射など,局所制御を追求するのみだけではなく, 症例ごとの免疫能を考慮した対応が必要と考えられ る. 一826一221