手術不能群は胸腔内高度浸潤と遠隔転移が各50%と
なり,試験開胸群は約7割が縦隔浸潤により,約3割
が胸壁浸潤による.
5)治療内容と予後
非切除群は9割が2年以内に死亡,患側肺全摘群は
5割が 2年以内に死亡,肺葉切除群は 4割が 3年以内
に死亡している.
6)手術評価と予後
治癒切除群は3年以内に24%,準治癒切除群は3年
以内に44%,相対的非治癒切除群は3年以内に50%,
絶対的非治癒切除群は6カ月以内に75%が死亡した.
7
)
外科的治療の限界
外科処置後,さらに院内他科または他院に転じて治
療を受けたのは約
3
割である.
8) 拡大手術例の提示
胸壁合併切除例,心嚢合併切除例,Sleeve Resection
(気管,主気管支切断形成を併う〕例,等を提示する.
9
)
試験的アプローチ
i.炭酸ガスレーザーの適応
ii.針状鏡による胸腔内観察
iii.片肺全摘術に際しての実験的工夫
終りに,肺癌治療については,外科手術,制癌剤治
療,放射線、治療の
3
者による集学的治療により始めて
効果を得られるものであり,内科,放射線科を始めと
する各科の協同による総合的対策が不可欠である.
2.乳 癌
(第二病院外科〉梶原哲郎
昭和45-58年の14年間に本学第二病院外科で取扱っ
た乳癌291例の治療経験をもとに乳癌治療の現況と問
題点について検討した.
1.診断.マンモグラフィ,エコーなどの補助診断法
の進歩により早期発見や,むやみな生検の必要のない
症例が増加している.しかし,生検に頼らざるを得な
い症例も少なくないのが現状である.当科外来生検例
を検討した結果, 40歳以上の乳腺腫癌には積極的な癌
の検索が必要であり,また慢性乳腺症には慎重な経過
観察が必要であると思われた.
2.術式-乳癌の術式には定型的乳房切断術,拡大根
治術,および縮小手術がある.最近では美容,運動面
から縮小手術が広く取り入れられてきている.しかし,
その適応は腫蕩経, リンパ節転移の程度などから検討
されているが一定ではなく,また歴史は浅く,予後に
関して不明な点が多い.われわれは組織型,脈管侵襲
も予後に深く関与していると考え, これらも考慮すベ
65
きと考えている.また,拡大根治術に対してもその治
療経験からその意義を認めており,積極的に取り入れ
ることが治療成績の向上につながると考えている.
3
.
術後補助療法:乳癌治療成績の向上にとって術
後補助療法は重要である.われわれは昭和45年より次
のプロトコールを作成し,実施した.1)昭和45年1月
-52年5月まではMMC,テガブールの化学療法, 2)
昭和52年6月-57年12月まではこれにpsk,ok-432の
免疫療法を併用した免疫化学療法である.この2群を
累積生存率で比較検討すると, stageト IIでは差はみ
られないが,stage
I
I
I
の5年生存率は化学療法群33_9%,
免疫化学療法群68.1%と免疫化学療法の有効性が示さ
れた.また, T-cell,
PHA
幼若化反応などの細胞性免
疫能の検索にても,免疫療法の効果が示唆された.し
かしながらstage
I
I
I
の予後は満足すべき成績とはし、え
ず,さらに内分泌療法や放射線療法を加えた集学的治
療が必要である.われわれは昭和54-55年のstage
I
I
I
に対し,再発前卵刻を試みた.これにより良好な結果
が得られたが,現在では抗エストロゲン剤による内科
的内分泌療法と,ステロイドレセプターにより適応を
決め行なっている.
以上のような観点から乳癌治療の現況と問題点につ
いて論じるが,最近では所属リンパ節の細胞性免疫能
の検索を行なっており,これら研究もあわせて報告す
る.
3.騨 癒
(消化器外科〉中村光司
近年,種々の画像診断の進歩は目ざましく,他の消
化器癌は早期診断,早期治療により著しく遠隔成績の
向上をみるに至ったが, こと勝癌に関してはいまだ早
期診断の機会は少なく,外科治療の対象となるものは
stage
I
I
I
やstage
I
V
のかなりの進行癌であり,その治
療成績は満足できるものとは言い難い.
従来,牌癌の定型的手術としては,勝頭部癌に対し
ては豚頭十二指腸切除を,勝体尾部癌に対しては勝体
尾部切除を行なってきたが,切除率や根治性を高める
べく, 1978年以降,門脈合併切除や後腹膜の徹底郭清
などの拡大手術を積極的に推進し,その結果,勝頭部
癌では281例中95例33.8%,勝体尾部癌では108例中22
例20.4%の成績をあげることができた.
ちなみに過去16年間の本学消化器病センターの勝癌
切除例の術式の内訳についてみると,勝頭部癌95例の
術式は勝頭十二指腸切除76例(門脈切除28例),勝全摘
19例(門脈切除10例),牌体尾部癌では勝体尾部切除21