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微小変位領域における転がり摩擦に関する基礎的研究

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Academic year: 2021

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Title

微小変位領域における転がり摩擦に関する基礎的研究( 内容

の要旨(Summary) )

Author(s)

遠藤, 弘樹

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 乙第036号

Issue Date

2002-06-19

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1708

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文是 目 遠 藤 弘 樹 (岐阜県) 博 士(工学) 乙 第 36 号 平成14年 6月19日 生産開発システム工学専攻 微小変位領域における転がり摩擦に関する基礎的研究 (F血nt&1StudyonRollingFricti皿 intheBegionofXicro-Displacenent) 学位論文審査委貞 (主査) 教 授 丸 井 悦 男 (副査)教 授 藤 井 洋 教 授 長谷川 典彦 (副査) 教 授 堂 田 邦 明

論文内容の要旨

ビデオ,音響装置など民生機器の軽薄短小化,情報機器の高性能化などに関連した電子, 光学関連分野の進歩には,目を見張るものがある.しかし,この進歩も生産技術の裏付け, とくに,部品の小型,高精度化に対応する超精密生産機械の発達なくしては成立たない. 当然の結果として,このような超精密生産機械を構成する機械要素に対する精度の要求は 厳しいものになり,代表的な機械要素である位置決め装置では,ナノメータオーダーの位 置決め精度要求が発生している. この超精密位置決め装置を転がり接触要素を用いて構築するために,多くの研究が行わ れ,実現の可能性が示されるとともに,静止している転動体が連続的な転がり運動が発生 する以前に示す,微小な転がり遷移変位領域におけるばね特性を積極的に利用すべきであ ることが明らかにされている.しかし,転がり摩擦に関する基礎的な研究は,幾何学的に みて理想的な形状の接触要素を対象としたものが多く,実際に用いられる研削面等の表面 粗さを有する転走面において,転動体が示す転がり遷移変位領域におけるばね特性に関し ては,未だ十分な調査が行われているとは言難い現状にある.そこで,本研究では,最も 単純な転がり接触要素を取上げ,研削仕上げされた鋼製転走面(レール)上を転がる銅製 軸受用ころに関して,転がり遷移変位領域における転がり摩擦特性を論じている. 第1章では,超精密位置決め機構の研究開発動向を調査し,転がり接触要素の重要性と 将来性を見出した.その上で,転がり接触に関する現在までの研究動向を概観し,本研究 の目的と意義を明らかにしている. 第2章では,供試接触要素である円筒と平面の組合せについて転がり摩擦特性の試験を 可能とする試験装置の開発経緯について詳細に記述している.純粋な転がり現象を観察す

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ることができるように,可動部は供試転動体の転がり接触部以外に接触部を持たず,転動 体に10nNオーダーの接線力を印加したときに発生する〃mオーダー以下の微小変位を 効率的に測定しうる試験装置の構造,および,測定方法を含めた総合的な試験精度の検証 結果を示している. 第3章では,銅製転走面上で静止状態にある軸受用ころが,連続的な転がり運動を発生 するまでの遷移状態において示す遷移変位領域の非線形ばね特性に注目し,この遷移変位

領域内で行われる微小往復運動により,才「変位線図上に描かれるヒステリシスループの

面積と傾きに着目して,転動体の直径,転走面の表面粗さおよび負荷荷重が転がり摩擦に 及ぼす影響を調べている. 第4章では,研削仕上げされた銅製レール表面に存在する方向性の強い粗さ突起に注目 して,軸受用ころの転がり摩擦特性を説明しうる接触モデルの提案を行っているJ軸受用 ころに作用する転がり摩擦力と,連続的な転がり運動を発生するまでに必要な遷移変位を, 接触モデルに基づいて導出し,実験値と解析値の比較検討を行っている. 第5章では,第4章で提案した接触モデルにおいて,銅製レールと軸受用ころの接触の 基本となる単一の突起と軸受用ころの転がり接触特性を検討した..銅製レール表面に存在 する微視的な表面粗さ突起を模擬する円筒棒と直交して接触する軸受用ころに作用する 転がり摩擦力を測定して実験的な検討を進めるとともに,転がり摩擦力の発生メカニズム についても考察を試みている. 第6章では,∴転がり遷移変位領域におけるばね特性の非線形性が,転がり接触要素を採 用した位置決め機構の位置決め精度を阻害する要因となっていることから,銅製レール上

を転がる軸軍用ころの転がり遷移ばね特性の線形性を支配する要因を明らかにし,線形性

を改善するための提案を行っている. 第7章では,転がり軸受を採用した位置決め機構の位置決め精度向上と相反する課題で ある,機構全体の減衰能の向上について検討を行っている.転がり遷移変位領域における ばね特性の非線形性は,減衰能を向上させるためには有効である.そこで,第6章とは逆 に,銅製レール上を転がる軸受用ころの転がり遷移ばね特性の非線形性をより強くするた めの手法を考案し,減衰能の発生機構を明らかにしている. 第8章では,第2牽から第7章までに得られた結果を総括するとともに,転がり接触要 素を超精密位置決め機構に適用するための,今後の課題・展望等について述べている.

論文審査結果の要旨

ビデオ,音響装置など民生機器の軽薄短小化,情報機器の高度化などに関連した電子, 光学関連分野の進歩は,部品の小型,高精度化に対応する超精密生産機械の発達なくして は成立たない.このような超精密生産機械を構成する機械要素に対する精度の要求は厳し いものになり,代表的な機硬要素である位置決め装置では,ナノメータオーダーの位置決 め精度要求が発生している.

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-84-この超精密位置決め装置を転がり接触要素を用いて構築する試みが,最近なされるよう になった.静止している転動体が連続的な転がり運動を開始する前に示す微小な転がり遷 移変位領域i羊おけるばね特性を積極的に利用する方法である.本論文では,転がり遷移領 域における転がり摩擦特性を解明し,転がり接触要素を超精密位置決め機構に適用する際 に必要となる基礎的な知見を得ることを目的としている.一明らかにされた主な成果は,以 下のようである. (転がり摩擦試験装置の開発) 供試接触要素である円筒と平面の組合せについて転がり遷移変位領域における転がり 摩擦特性の解明を可能とする試験装置の開発経緯について詳細に記述している.純粋な転 がり現象を解明するには,可動部に供試転動体の転がり接触部以外の金属接触部がなく, 転動体に10nNオーダーの接線力を印加したときに発生する〟mオーダー以下の微小変 位を効率的に測定しうる試験装置の構造,および,測定方法を含めた総合的な試験精度の 検証結果を示している. (遷移変位領域における転がり摩擦) 鋼製転走面上で静止状態にある軸受用ころが,連続的な転がり運動を発生するまでの遷 移状態において示す遷移変位領域の非線形ばね特性を評価している.遷移変位領域内で行 われる微小往復運動時に,転がり摩擦力一変位線図上に描かれるヒステリシスループの面 積と傾きに着目して,基本的な転がり摩擦の性質を実験的に明らかにし,転動体の直径, 転走面の表面粗さおよび負荷荷重の影響を調べている. (転がり接触のモデル化) 研削仕上げされた銅製レール表面上に存在する方向性の強い粗さ突起に注目して,転が り摩擦特性を説明しうる接触モデルの提案を行っている.この接触モデルにより,軸受用 ころに作用する転がり摩擦九連続的な転がり運動を発生するまでに必要な遷移変位を算 出し,実験値との比較検討を行っている. (単一突起上を転がる場合の転がり摩擦) 次に前述の転がり接触モデルにおいて,鋼製レールと軸受用ころの接触の基本要素とな る単一の表面粗さ突起と軸受用ころの転がり接触特性を検討している.鋼製レール表面に 存在する微視的な突起を模擬する円筒棒と直交して接触する軸受用ころに作用する転が り摩擦力を測定して実験的な検討を進めるとともに,転がり摩擦力発生のメカニズムにつ いても考察を試みている. (ぱね特性の非線形性の改善) 転がり遷移変位領域におけるばね特性の非線形性は,転がり接触要素を採用した超精密 位置決め機構の位置決め精度を阻害する要因となる.銅製レール上を転がる軸受用ころの

転がり遷移ばね特性の線形性を支配する要因を明らかにし,線形性を改善するための提案

を行っている.L (減衰能の改善) 減衰能低下は,転がり接触要素を利用した超精密位置決め機構の位置決め精度の向上と

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-85-相反する課題である.このような位置決め機構の減衰能の向上についても検討を加えてい る.転がり遷移変位領域におけるばね特性の非線形性は,減衰能を向上させるためには有 効である.鋼製レール上を転がる直径が異なる転動体が銅製レール上を転がると,転がり 遷移変位領域におけるばね特性の非線形性がより●強くなる.このことにより,転動体を利 用した超精密位置決め機構の減衰能を向上させうることを明らかにしている. 以上に詳しく述べたように,本論文では転がり接触要素を利用した超精密位置決め装置 を実現する上で必要となる転がり遷移変位領域における転がり摩擦の性質を詳細に検討 し,さらに実機において重要となるばね特性の非線形性の改善,位置決め装置の制定時間 短縮にかかわる減衰能向上のための手段についても検討を加えており,この論文の有用性 は極めて高い.従って,審査の結果,この論文を学位論文に催するものと判定した.

最終試験結果の要旨

この論文の主要部分は,審査付き論文として公表済みの7編の論文である.この論文が 学位論文として完成された内容を有することを確認した.

参照

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