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要旨 グレープフルーツや夏みかんなどに含まれる柑橘類フラボノイドであるナリンゲニンは高脂血症を改善する効果があり 肝臓においてもコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制すると言われている 脂肪肝は肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態で 動脈硬化を始めとするさまざまな生活習慣病の原因となる 脂肪肝

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Academic year: 2021

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平成

27 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ

脂肪肝の炎症におけるナリンゲニンの効果の研究

Effect of Naringenin in inflammation of the fatty liver

臨床薬理学研究室 6 年

10P040 曽我 沙也加

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要 旨

グレープフルーツや夏みかんなどに含まれる柑橘類フラボノイドであるナリンゲニンは高 脂血症を改善する効果があり、肝臓においてもコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制す ると言われている。 脂肪肝は肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態で、動脈硬化を始めとするさ まざまな生活習慣病の原因となる。脂肪肝の原因として、アルコールの多飲、糖分・脂質の 過剰摂取があるが、最近、脂肪肝を持つ患者の数十%が、非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH: non-alcoholic steatohepatitis)と呼ばれる疾患へと進行することが明らかになっ た。NASH ではアルコール非依存性に肝実質が広範に線維化し、更に肝硬変や肝細胞癌 を発症する場合も多い。 ナリンゲニンには、肝脂肪の分解を促進する働きがあり、脂肪肝の予防にも効果的である と言われている。本研究では脂肪肝の炎症におけるナリンゲニンの作用について研究した。 肝臓の外観および肝組織の免疫染色の画像から、ナリンゲニンを投与することで脂肪 の沈着が抑制されている。ウエスタンブロット法により、タンパク質の発現量の解析をした。炎 症作用に関連するp-IκBα、INF-γと酸化ストレスを制御する Nrf2 に注目すると、

p-IκBα、INF-γは NASH 群では Normal 群に比べ増加していたが Naringenin による 治療群では減少していた。Nrf2 では Normal 群に比べて NASH 群では減少しているが、 治療群では増加していた。

これらのことから、ナリンゲニンは非アルコール性脂肪性肝炎の炎症に対して有効な作 用を示すと考える。

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キーワード

1.ナリンゲニン 2.脂肪肝 3.肝細胞

4.炎症 5.グレープフルーツ 6.夏みかん

7.抗酸化作用 8.酸化ストレス 9.サイトカイン

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目 次

1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.実験内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3.結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 4.考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

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論 文

1.はじめに 脂肪肝は肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態で、動脈硬化を始めとする さまざまな生活習慣病の原因となる。脂肪肝の原因として、アルコールの多飲、糖分・脂 質の過剰摂取があるが、最近、脂肪肝を持つ患者の数十%が、非アルコール性脂肪性 肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)と呼ばれる疾患へと進行することが明らか になった。NASHではアルコール非依存性に肝実質が広範に線維化し、更に肝硬変や 肝細胞癌を発症する場合も多い。NASH の正確な発症機序は依然として不明である。 脂肪肝の存在下に、炎症とインスリン抵抗性が加わるとNASHに進行するという、2ヒット・ セオリーが提唱されているが、実験的な確証はない。2) 本研究では、マウスを用いてNASH の炎症における柑橘類に含まれるフラボノイドの 一種であるナリンゲニンの効果について研究した。 2. 実験内容 2.1 使用動物

マウスは、Normal 群、NASH 群、Naringenin 治療群の 3 つの実験群に分けた。生後 2 日目の新生児マウスに STZ 20 L(10mg/mL)を背中の皮下注射した。生後 5 週目で 高脂肪食(High Fat Diet 32:HFD32)を 3 か月間摂取させた。ナリンゲニン

(50mg/kg/day)は HFD32 を 2 か月間摂取してから開始され、1 か月間経口投与させた。 飼育期間中、水と飼料は自由摂取とした。 2.2 ウエスタンブロット法 マウスから摘出した肝臓をポリトロンホモジナイザーで処理し、bicinchoninicacid (BCA)法で総タンパクの定量を行った。その後、2×sample buffer を加えてウエスタン ブロッティングの試料とした。各試料中の総タンパクを 10%SDS-polyaclylamidegel electrophoresis (SDS-PAGE) ゲルを用いて 150V、50 分で電気泳動し、12V、60 分 でニトロセルロース膜に転写した。転写後、この膜のバンドを Poncean S で染色し確認 した後、PBS で洗浄し、5%スキンミルクを用いて 1 時間 blocking を行った。

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1 次抗体として IFN-γ(1:1000)、Nrf2(1:1000)、 IκBα(1:1000)及び内部標準である glyceraldehyde-3-phosphate-dehydrogenase (GAPDH) (1:2000)を 4°C の冷蔵室

で一晩反応させた。翌日に二次抗体としてGAPDH 及び IFN-γに anti-mouse

(1:5000)、Nrf2, p-IκBα に anti-rabbit (1:5000)を室温でそれぞれ 1 時間反応させ、 その後、ECLplus を用いて X 線フィルムによる現像を行った。

感光させたバンドはSoicon Image による処理を行い数量化して評価を行った。IFN-γ、

Nrf2、p-IκBα のタンパク発現量を GAPDH と比較した。 2.3 免疫組織化学染色(IHC)

コラーゲン抗体を用いて、免疫組織化学染色(ImmunoHistoChemistry:IHC 染色) を行った。光学顕微鏡にて肝臓の病理変化を観察した。

2.4 Hematoxylin Eosin (HE) 染色

肝臓の一部を10%ホルマリン溶液で固定し、組織片をパラフィン包埋する。パラフィン ブロックを薄切りして組織片をHE 染色し、スライドを作製する。標本は光学顕微鏡を用 いて観察した。 3. 結果 3.1 肝臓の外観 図1 摘出した肝臓の状態 Normal 群のマウスの肝臓は暗赤色をしているが、NASH 群の肝臓は赤みが薄くなって いる。表面に凹凸が確認できる。 Naringenin による治療群の肝臓は NASH 群に比べて赤みが増しており、表面の凹凸 も少なくなっている。

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3.2 ウエスタンブロット法によるタンパク質の発現

各群のマウスから摘出した肝臓から、IFN-γ、Nrf2、のタンパク質の発現を解析した。 IFN-γでは Normal 群に比べて NASH 群では上昇しており、Naringenin 治療群では 減少していることより、NASH 群での炎症を抑制していることがわかる。

Nrf2 では Normal 群に比べて NASH 群では減少しており、Naringenin 治療群では増 加していた。

図2 肝臓のタンパク発現量

Nrf2 GAPDH

Normal NASH Nar

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 N rf 2/ G A PD H

Normal NASH Nar

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 p-I B-/G A PD H IκBα GAPDH

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3.3 IHC 染色

図3 肝臓の IHC 染色

コラーゲン1 抗体を用いて、IHC 染色を行った。Normal 群と NASH 群を比較すると、

NASH 群では褐色部分が確認できる。コラーゲンタンパク質が増加していることがわかる。 治療群ではNASH 群と比較してコラーゲンタンパクの発現が減少していた。 3.4 HE 染色 図4 肝臓の HE 染色 NASH 群に多く見える白い部分が脂肪になっており、治療群ではこれが減少してい た。 4. 考察

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5 肝臓の外観より、NASH 群には脂肪の沈着が見られるが、治療群では改善している。 IHC 染色の画像でもコラーゲンタンパクが減少していることを確認した。 また、IFN-γ、Nrf2、IκBα の発現を解析した。IFN-γは炎症性サイトカインの一つで あり、リン酸化したIκBαはユビキチンリガーゼであるβTRCP 複合体によりユビキチン 化されプロテアソームにおいて分解される.それによりそれまでIκBαと結合することで その活性が抑制されていたNF-κB が核へと移行し炎症性サイトカイン遺伝子の転写を 誘導する。3)この2つのタンパク質の発現がナリンゲニンにより抑制されていた。 Nrf2は高等動物における酸化ストレス適応反応を統一的に制御しており、Nrf2の活性 化が,様々な疾患の予防・治療に有効とされている。4)このNrf2 が NASH 群に比べて治 療群で増加しているため、酸化ストレスが減少されている。 したがって、ナリンゲニンは脂肪肝で脂肪の蓄積を抑制、肝機能の改善、炎症を抑える 効果があると考える。 9.おわりに 今回マウスを用いた実験で天然成分であるナリンゲリンで脂肪肝の脂肪沈着を抑制し、 炎症を抑えることがわかった。NASH は生活習慣病の原因にもなるのであり、ナリンゲニ ンは高脂血症やメタボリックシンドロームにも効果があるとされている。今後も臨床応用を 目指した研究が期待される。

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謝 辞

実験、論文作成についてご指導を賜りました新潟薬科大学臨床薬理学研究室の渡 辺賢一教授、張馬梅蕾助手、Mr. Somasundaram A に御礼申し上げます。

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引 用 文 献

1. 田邉宏樹,ナリンゲニンの血中脂質組成改善作用 Vol.46 No12 2010 フアルマ シア1175 2. 宮崎 徹,肝疾患の予防または治療剤 2013 年 4 月 26 日 3. 岩崎秀典・竹内 理・審良静男,IκB キナーゼ複合体は炎症性サイトカイン遺伝子 mRNA の安定性を regnase-1 の分解を介し制御している 2011 年 11 月 24 日 4. 伊東健,Nrf2酸化ストレス応答系による病態制御 〔生化学第81巻第6号,pp.447 ―455,2009〕

図 2  肝臓のタンパク発現量

参照

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