MINITABアシスタントホワイトペーパー 本書は、Minitab 統計ソフトウェアのアシスタントで使用される方法およびデータチェック を開発するため、Minitabの統計専門家によって行われた調査に関する一連の文書の1つで す。
カイ二乗検定
概要
実際には、連続データの収集が不可能な場合や難しい場合、品質の専門家は工程を評価する ためのカテゴリデータの収集が必要となることがあります。たとえば、製品は不良/良好な どの2つのカテゴリや、最高、良い、普通、不適当などの3つ以上のカテゴリに分類される場 合があります。別の例として、ある財務部門では、請求書の延滞日数を追跡して、15日以 下、16~30日、31~45日、46日以上のカテゴリに分類します。その結果、各カテゴリ内の項 目数が変数の対象となります。 カイ二乗検定は汎用性があるため、カテゴリデータを伴う多くの用途で使用されます。アシ スタントでは、次の用途にカイ二乗検定を使用します。 多項分布の適合度検定 この検定を使用して、データが過去の分布と同じ分布に従うかどうかを判断できま す。分布は、各結果カテゴリ内の項目のパーセントを定義する履歴パーセントまた は目標パーセントのグループの多項分布として定義されます。カイ二乗検定は、あ るパーセントがそれぞれの履歴パーセントまたはターゲットパーセントと有意な違 いがあるかどうかをまとめて検定します。 3グループ以上における不良%の同等性の検定 この検定を使用して、異なるグループの不良率間に差があるかどうかを判断できま す。各グループは、対象特性に関して、異なる作業者、異なる工場または異なる時 間など製造された製品の違いによって異なります。カイ二乗検定は、不良率が他の 不良率と有意に異なるかどうかをまとめて検定します。 2つのカテゴリ変数間の関連性検定 この検定を使用して、カテゴリ結果変数(Y)が別のカテゴリ予測変数(X)と関連 しているかどうかを判断できます。カイ二乗検定は、結果変数と予測変数間に関連 性があるかどうかをまとめて検定します。アシスタントでは、2つ以上の個別値(2 つ以上のサンプル)を含む予測変数(X)で関連性のカイ二乗検定を実行できま す。 カイ二乗検定統計量の詳細は、「付録A」を参照してください。仮説検定を伴う方法では、検定の仮定が満たされ、検定に適切な検出力があり、データの分 析に使用される近似で有効な結果が得られることを確認することを推奨します。カイ二乗検 定の場合、仮定はデータ収集に固有であるためデータチェックでは対応しません。 Minitabは近似法の検出力と妥当性に焦点を絞っています。アシスタントはこれらの近似法 を使用して、データで次のチェックを行い、レポートカードに結果を表示します。 サンプルサイズ 検定の妥当性 区間の妥当性 本書では、これらのデータチェックが実際にどのようにカイ二乗検定に関連するかを調査 し、アシスタントのデータチェックのガイドラインをどのように定めたかについて説明しま す。
データチェック
サンプルサイズ
通常、仮説の統計検定を実施する主な目的は、「差がない」という帰無仮説を棄却する証拠 を集めることです。サンプルが小さすぎる場合、検定の検出力は実際に存在する不良率間の 差を検出するには不十分で、タイプIIの誤りになる可能性があります。そのため、実質的に 重要な差を高い確率で検出するのに十分な大きさのサンプルサイズであるかどうかが極めて 重要です。 サンプルサイズのデータチェックは、検定の検出力に基づきます。この計算では、実際の母 数と帰無仮説値間の有意な差をユーザーが指定する必要があります。カイ二乗適合度と関連 性のカイ二乗検定でこの実質的な差を判断して表すことは非常に難しいため、アシスタント では3つ以上のサンプルがあるカイ二乗不良率検定のサンプルサイズのみをチェックしま す。目的
データから帰無仮説に対する十分な証拠が得られない場合、サンプルサイズが、対象とする 特性の実際の差を、高い確率で検出する上で十分な大きさであるかを判断します。サンプル サイズ計画の目的は、重要な差を、高い確率で検出するのに十分な大きさのサンプルサイズ を確保することですが、無意味な差が、高い確率で統計的に有意になってしまう程にはサン プルサイズを大きくしないようにする必要があります。方法
検出力とサンプルサイズの分析は、「付録B」に示す計算式に基づきます。結果
データから帰無仮説に対する十分な証拠が得られず、具体的な差が指定されていない場合、 アシスタントはサンプルサイズに基づいて80%と90%の確率で検出できる実質的な差を計算し ます。さらに、対象となる特性の具体的な差をユーザーが指定した場合、アシスタントはそ の差を検出する確率が80%と90%になるサンプルサイズを計算します。 検出力とサンプルサイズをチェックするときに、3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良率検 定のアシスタントレポートカードに次のステータスインジケータが表示されます。 ステータス 状態 検定で不良%間の差が見つかるため、検出力は問題ではありません。 または 十分な検出力があります。検定で、不良率間の差は見つかりませんでしたが、サンプルサイズ は、目的の差を検出する確率が90%以上あり、十分な大きさです。 検出力が十分と思われます。検定で、不良率間の差は見つりませんでしたが、サンプルサイズは 目的の差を確率が80%~90%で検出するのに十分な大きさです。90%の検出力を達成するために必 要なサンプルサイズが報告されています。ステータス 状態 検出力が不十分と思われます。検定で、不良率間の差が見つかりませんでした。このサンプルサ イズでは目的の差を検出する確率が60%~80%です。80%の検出力と90%の検出力を達成するために 必要なサンプルサイズが報告されています。 検出力が不十分(< 60%)です。検定で、不良率間の差が見つかりませんでした。80%の検出力と 90%の検出力を達成するために必要なサンプルサイズが報告されています。 検定で不良率間の差が見つかりませんでした。検出する不良率間の具体的な差が指定されていな かったので、サンプルサイズとαに基づいて計算された80%と90%の確率で検出できる差がレポー トに示されます。
検定の妥当性
𝜒2検定統計量は、カイ二乗分布に近似的にのみ従います。サンプルサイズが大きくなると 近似は改善されます。このセクションでは、正確な結果に必要な最小サンプルサイズを判断 するために使用される近似を評価します。 検定統計量に対するカイ二乗近似は、タイプI過誤率(α)での小さい期待セル度数の影響 を調査することで評価されます。検定の妥当性の評価にタイプIの誤りを使用することで、 次の条件を満たす規則を定めます。 帰無仮説が正しいのに帰無仮説を棄却する確率は、小さく、目的のタイプI過誤率に 近い値です。 帰無分布の裾を適正に近似できます。これは正確なp値を計算する上で重要です。 標準の手法を使用して、期待度数が小さいセルを、そのセルの度数が5以下と定義しまし た。 帰無仮説での比率を定義する2つのモデルを作成しました。比率擾乱モデルと等比率モデル です。詳細は、「付録C」を参照してください。この両方のモデルは、本書の後半で参照す るシミュレーションで使用されます。これらのモデルは各カイ二乗検定で使用されますが、 1つの例外があります。比率擾乱モデルは、3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良%検定には 適用されません。 検定の妥当性のデータチェックは、アシスタントのすべてのカイ二乗検定に適用されます。 各データチェックを次に説明します。カイ二乗適合度
目的
タイプI過誤率での小さい期待度数の大きさと度数の影響を調査することで、検定統計量に 対するカイ二乗近似を評価します。方法
比率擾乱モデルまたは等比率モデル(「付録C」を参照)による比率を使用して、サイズnの サンプルを多項分布から抽出します。各条件で、0.05の目標有意水準を使用してカイ二乗適合度検定を10,000回実行しました。各検定では、実際のタイプI過誤率を不合格になった検定数 反復数(10000) で 計算しました。許容できるタイプIの過誤率の範囲を[0.03 – 0.07]と定義し、その範囲内の タイプI過誤率を使用して最小サンプルサイズを記録しました。
結果
シミュレーション結果では、小さい目標セル度数のパーセントが50%以下の場合、1.25未満 の目標セル度数でp値が不正確になる可能性があることが示されました。また、小さい目標 セル度数のパーセントが50%より大きい場合、2.5未満の目標セル度数でp値が不正確になる 可能性があります。詳細は、「付録D」を参照してください。 カイ二乗適合度検定の妥当性をチェックするときに、アシスタントレポートカードに次のス テータスインジケータが表示されます。 ステータス 状態 小さい目標セル度数のパーセントが50%以下の場合、最小目標セル度数が1.25以上です。 または 小さい目標セル度数のパーセントが50%以上の場合、最小目標セル度数が2.5以上です。 十分な目標数を得ることができる大きさのサンプルがあります。検定のp値は正確です。 上記の状態ではない場合。関連性のカイ二乗検定
目的
タイプI過誤率での小さい期待度数の大きさと度数の影響を調査することで、検定統計量に 対するカイ二乗近似を評価します。方法
比率擾乱モデルまたは等比率モデル(「付録C」を参照)で定義された比率を使用して、サ イズ𝑛𝑖のサンプルが多項分布から抽出されます。簡単にするため、𝑛𝑖 = 𝑛 ∀𝑖を選択しまし た。各条件で、0.05の目標有意水準を使用して関連性のカイ二乗適合度検定を10,000回実行 しました。各検定では、実際のタイプI過誤率を不合格になった検定数 反復数(10000) で計算しました。許容でき るタイプIの過誤率の範囲を[0.03 – 0.07]と定義し、その範囲内のタイプIの過誤率を使用 して最小サンプルサイズを記録しました。結果
最小期待セル度数は、X値の数と小さい期待セル度数の割合によって変わることがわかりま した。 比率擾乱モデルでは、小さい期待セル度数のパーセントが50%以下で、X値の数が2ま たは3の場合最小期待セル度数は2以下で、X値の数が4、5または6の場合、最小期待 セル度数は1以下です。さらに、小さい期待セル度数のパーセントが50%より大きく、X値の数が2または3の場合最小期待セル度数は3以下で、X値の数が4、5または6 の場合、最小期待セル度数は1.5以下です。 等比率モデルでは、X値の数が2または3の場合の最小期待セル度数は2以下で、X値の 数が4、5または6の場合の最小期待セル度数は1.5以下です。 詳細は、「付録E」を参照してください。 関連性のカイ二乗検定の妥当性をチェックするときに、アシスタントレポートカードに次の ステータスインジケータが表示されます。 ステータス X変数値の数 状態 2または3 小さい期待セル度数(5以下)のパーセントが50%以下の場合、最小期 待セル度数が2以上です。 小さい期待セル度数(5以下)のパーセントが50%より大きい場合、最 小期待セル度数が1以上です。 4、5、または6 小さい期待セル度数(5以下)のパーセントが50%以下の場合、最小期 待セル度数が1以上です。 小さい期待セル度数(5以下)のパーセントが50%より大きい場合、最 小期待セル度数が2(便宜上1.5を2に四捨五入)以上です。 すべての場合 上記の状態ではない場合。
3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良率検定
目的
タイプI過誤率での小さい期待度数の大きさと度数の影響を調査することで、検定統計量に 対するカイ二乗近似を評価します。方法
モデルp = 𝑝𝑖 = 𝑝𝑗 ∀𝑖, 𝑗を定義しました。ここで、p = 0.001、0.005、0.01、0.025、および 0.25です。上記の𝑝𝑖の値を使用して、二項分布からサイズ𝑛𝑖のサンプルが抽出されます。簡 単にするため、𝑛𝑖 = 𝑛 ∀𝑖を選択しました。各条件で、0.05の目標有意水準を使用してカイ二 乗不良率検定を10,000回実行しました。各検定では、実際のタイプI過誤率を 不合格になった検定数 反復数(10000) で計算しました。許容できるタイプI過誤率の範囲を[0.03 – 0.07]と定義 し、その範囲内のタイプIの過誤率を使用して最小サンプルサイズを記録しました。結果
X値の数が3~6の場合、区間[0.03, 0.07]の検定で1.5以上の不良品と良品の最小期待数によ りタイプI過誤率が得られます。X値の数が7~12の場合、区間[0.03, 0.07]の検定で1以上の 不良品と良品の最小期待数によりタイプI過誤率が得られます。 詳細は、「付録F」を参照してください。3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良%検定の妥当性をチェックするときに、アシスタントレ ポートカードに次のステータスインジケータが表示されます。 ステータス X値の数 状態 3~6 不良品と良品の最小期待数が1.5以上です。 7~12 不良品と良品の最小期待数が1以上です。 すべての場合 上記の状態ではない場合。
区間の妥当性
3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良率とカイ二乗適合度検定の比較区間は、正規近似に基 づきます。さらに、カイ二乗適合度検定の個別信頼区間は、正規近似に基づきます。このセ クションでは、正規近似の妥当性を評価します。ほとんどの統計学教科書に記載されている 一般的な規則によると、観測度数が5以上の場合に近似信頼区間が正確になります。 区間の妥当性のデータチェックは、3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良%とカイ二乗適合度 検定に適用されます。3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良率
目的
近似信頼区間が正確になるように、各サンプルで観測された不良品と良品の最小数に対する 一般的な規則を評価します。方法
比較管理チャートで使用される区間を最初に定義します。区間のエンドポイントは、ほぼ∝ の全体過誤率で、重ならないすべての区間が異なる母集団の不良%を示すように定義されま す。使用する計算式は、「付録G」を参照してください。 比較区間は、対応のある比較信頼区間に基づきます。詳細は、『一元配置分散分析 (ANOVA)』アシスタントホワイトペーパーの「比較区間」セクションを参照してくださ い。各ペア(pi – pj)に対して正規近似信頼区間を用い、次に、Bonferroniの多重比較手 順を使用して、実験全体の過誤率を制御します。そのため、比較区間での正規近似の効果を 理解するには、対応のある比較手順でいずれかの区間のみの妥当性を評価する必要がありま す。結果
正規近似の妥当性を評価するには、不良率間の差で近似が1つの間隔にどのように影響する かのみを調査する必要があります。そのため、2サンプル不良率用に設定された一般的な規 則検定を使用できます。詳細は、『2サンプル不良率検定』アシスタントホワイトペーパーの「2サンプル不良率検定方法」を参照してください。2サンプル不良率検定のシミュレーシ ョンの結果、不良率間の差での近似信頼区間の精度は、サンプルが十分に大きい(各サンプ ルで観測される不良品数と良品数が5以上)場合に一般に信頼できることが示されました。 3つ以上のサンプルでのカイ二乗不良%検定の区間をチェックするときに、アシスタントレポ ートカードに次のステータスインジケータが表示されます。 ステータス 状態 すべてのサンプルに5つ以上の不良品および良品があります。比較区間は正確です。 上記の状態ではない場合。
カイ二乗適合度
目的
近似信頼区間が正確になるように、各サンプルで観測された不良品と良品の最小数に対する 一般的な規則を評価します。方法
アシスタントのカイ二乗適合度検定には、比較区間と個別信頼区間が含まれています。比率 に標準の正規近似区間を利用し、Bonferroni補正(Goodman、1965)を使用して多重区間を 補正します。Bonferroni同時区間は次のように計算されます。 𝑝𝑖下限 = 𝑝𝑖− 𝑍𝛼/2𝑘√pi(1 − pi) N 𝑝𝑖上限 = 𝑝𝑖+ 𝑍𝛼/2𝑘√ pi(1 − pi) N 区間のエンドポイントは、ほぼ∝の全体過誤率で、目標比率値を含まないすべての区間が対 応する目標比率とは異なる実際の比率を示すように定義されます。個別区間はBonferroni区 間と同じ形式を利用しますが、 𝑍𝛼/2を使用して多重区間を補正することはありません。結果
上記の両方の手法は、アシスタントの2サンプル不良%検定で定義された方法と似た方法に従 います。そのため、この検定用に設定された正規近似の妥当性規則と同様の規則を使用でき ます。詳細は、『2サンプル不良%検定』アシスタントホワイトペーパーの「2サンプル不良% 検定方法」を参照してください。そのホワイトペーパーでは、サンプル数が5未満の場合、 比較区間と個別信頼区間は正確でない可能性があるという結論に達しています。カイ二乗適合度検定の区間の妥当性をチェックするときに、アシスタントレポートカードに 次のステータスインジケータが表示されます。
ステータス 状態
すべてのサンプル数が5以上です。この区間は正確です。
参考文献
Agresti, A. (1996). An introduction to categorical data analysis. New York, NY: Wiley.
Read, T. & Cressie, N. (1988). Goodness-of-fit statistics for discrete multivariate data. New York, NY: Springer-Verlag.
Fienberg, S. (1980). The analysis of cross-classified categorical data. Cambridge, MA: MIT Press.
Goodman, L. (1965). On simultaneous confidence intervals for multinomial proportions. Technometrics, 7, 247-254.
付録A: カイ二乗検定統計量
アシスタントでは、次の形式のカイ二乗検定統計量を使用します。 𝑥2 = ∑ (𝑂𝑖𝑗−𝐸𝑖𝑗)2 𝐸𝑖𝑗 𝑖𝑗 ここで 𝑂𝑖𝑗 =次の表で定義されている観測度数。 場合 𝑶𝒊𝒋 多項分布の適合度検定 i番目の結果の観測度数は𝑂𝑖1として定義されます。 3つ以上の不良率の同等性検定 i番目のサンプルの不良品および良品の観測度数はそれぞ れ𝑂𝑖1および𝑂𝑖2 として定義されます。 2つのカテゴリ変数間の関連性検定 X変数のi番目の値およびY変数のj番目の値の観測度数は 𝑂𝑖𝑗として定義されます。 𝐸𝑖𝑗 =次の表で定義されている期待度数。 場合 𝑬𝒊𝒋 多項分布の適合度検定 𝐸𝑖1 = 𝑛𝑝𝑖 𝑖 = 1, … , 𝑘(k =結果数) 𝑛 =サンプルサイズ 𝑝𝑖 =比率の経験値 ∑ 𝑝𝑖= 1 𝑖 3つ以上の不良率の同等性検定 𝐸𝑖1 = 𝑛𝑖𝑝(不良品の場合) 𝐸𝑖2 = 𝑛𝑖(1 − 𝑝)(良品の場合) 𝑖 = 1, … , 𝑘(k =サンプル数) 𝑛𝑖 = i番目のサンプルサイズ 𝑝 =全体の不良率 2つのカテゴリ変数間の関連性検定 𝐸𝑖𝑗 = (𝑛𝑖.𝑛.𝑗) 𝑛.. 𝑖 = 1, … , 𝑚(m =X値の数) 𝑗 = 1, … , 𝑘(k =Y値の数) 𝑛𝑖. =X変数のi番目の値の合計数 𝑛.𝑗 =Y変数のj番目の値の合計数 𝑛.. =全体のサンプルサイズ付録B: 3つ以上のサンプルでのカイ
二乗不良率検定の検出力
非心カイ二乗分布を使用して、𝑝𝑖 = 𝑝𝑗= 𝑝 ∀𝑖, 𝑗の検定の検出力を計算します。非心パラメ ータは、𝑛𝑖と𝑝𝑖∀𝑖によって異なります。 ここで 𝑛𝑖 = i番目のサンプルのサンプルサイズ 各𝑝𝑖は、比率の差= 𝛿で計算された対立比率(この付録の次のセクション「対立比率の計 算」を参照)を表します。 カイ二乗分布の非心パラメータを次のように計算します。 𝜒2 = ∑ (𝑂𝑖𝑗−𝐸𝑖𝑗)2 𝐸𝑖𝑗 𝑖𝑗 ここで 𝑂𝑖1= 𝑛𝑖𝑝𝑖 𝑂𝑖2=𝑛𝑖(1− 𝑝𝑖) また、検定の検出力を次のように計算します。 Prob(𝑋 ≥ 𝑥1−𝛼 | 𝜒2) ここで 𝑋 =非心パラメータ𝜒2を使用した非心カイ二乗分布の確率変数。 𝑥1−𝛼 = 非心カイ二乗分布の1 − 𝛼で評価された逆累積分布関数。対立比率の計算
対立比率を次のように定義しました。 𝑝𝑖 = 𝑝𝑐+ 𝑛𝑗 𝑛𝑖+ 𝑛𝑗 𝛿 𝑝𝑗 = 𝑝𝑐− 𝑛𝑖 𝑛𝑖+ 𝑛𝑗 𝛿 𝑝𝑚 = 𝑝𝑐∀𝑚 ≠ 𝑖, 𝑗 0 < 𝛿 < 1 ここで 𝑝𝑐 = 1 𝑁𝑇 ∑ 𝑛𝑖𝑝̂𝑖 𝑘 𝑖=1 𝑝̂ = i番目のサンプルのサンプル不良品率。 𝑖 NT =観測値の総数。𝑛𝑖 = i番目のサンプルのサンプルサイズ。 一部の差(δ)では、𝑝𝑖 > 1または𝑝𝑗< 0であるため、次の規則を定めました。 𝑝𝑗 < 0の場合 𝑝𝑖 = 𝛿 𝑝𝑗= 0 𝑝𝑚= 𝛿 2 ∀𝑚 ≠ 𝑖, 𝑗 𝑝𝑖 > 1の場合 𝑝𝑖 = 1 𝑝𝑗= 1 − 𝛿 𝑝𝑚= 1 − 𝛿 2 ∀𝑚 ≠ 𝑖, 𝑗 𝑛𝑖の2つの最小値を使用すると検出力は最小になり、𝑛𝑖の2つの最大値を使用すると検出力は 最大になります。
付録C: 比率擾乱モデルと等比率モ
デル
比率擾乱モデル
Read and Cressie(1988)の方法に従い、帰無仮説での比率のグループを次のように定義し ました。 k - 1(k =各サンプルの比率数)に近い𝛿 を選択し、小さい𝑝𝑖のセットを次のように定義し ます。 𝑝𝑖 =(1 − 𝛿 𝑘 − 1) 𝑘 (𝑖 = 1, … , 𝑟) 残りの𝑝𝑖を次のように定義します。 𝑝𝑖 =( 1− ∑𝑟𝑖=1𝑝𝑖) (𝑘−𝑟) (𝑖 = 𝑟 + 1, … , 𝑘) シミュレーションで𝛿に使用した値を表1に示します。 表1は結果が小さい𝑝𝑖になるシミュレーションで使用された𝛿 k 𝜹 𝒑𝒊=𝟏,…,𝒓 3 1.95 0.008 4 2.95 0.004 5 3.90 0.005 6 4.90 0.003 各kでr = 1、…、k – 1と変動させ、小さい𝑝𝑖′s. セットのサイズを変更しました。たとえ ば、k = 3の場合、表2に示す2つのモデルが取得されました。 表2 比率擾乱モデルを使用したk = 3の𝑝𝑖の値 r p1 p2 p3 1 0.008 0.496 0.496 2 0.008 0.008 0.984
等比率モデル
期待セル度数の100%が小さいモデルを取得するため、次のように定義された等比率モデルを 使用します。𝑝𝑖 =1 𝑘∀ 𝑖
非常に小さいサンプルサイズでこのモデルを使用することで、すべての期待セル度数が小さ いと見なされます。等比率モデルで、実際には発生しない可能性が高い小さい期待セル度数 を実現するには、非常に小さいサンプルサイズが必要です。
付録D: カイ二乗適合度検定の妥当
性
比率擾乱モデルでは、図1に示すように、小さい期待セル度数の%値に対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るために必要な、最小期待セル度数をプロットしました。 図1 小さい期待セル度数のパーセントに対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るた めに必要な最小期待セル度数 図1では、小さい期待セル度数のパーセントが50%未満の場合、最小期待セル度数は1.25以下 です。すべての最小期待セル度数は2以下です。これらのシミュレーション結果に基づき、 アシスタントレポートカードで使用する規則は控え目です。 次に、等比率モデルを使用して同じシミュレーションを実行し、帰無分布を定義しました。 等比率モデルを使用したシミュレーションの結果を表4に要約します。 表4 区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るための最小期待セル度数 k 最小期待セル度数 3 2.5 4 1.25 5 1k 最小期待セル度数
6 1.4
上記のように、等比率モデルは期待セル度数の100%が小さくなります。表4にはすべての最 小期待セル度数が2.5以下であることが示されており、アシスタントレポートカードで使用 するルールに適合します。
付録E: 関連性のカイ二乗検定の妥
当性
比率擾乱モデルでは、図2に示すように、X値の数ごとに小さい期待セル度数の%に対する区 間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るために必要な、最小期待セル度数をプロットしまし た。 図2 小さい期待セル度数のパーセントに対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るた めに必要な最小期待セル度数 最小期待セル度数は、X値の数と小さい期待セル度数のパーセントによって変わることが図2 に示されています。 図2には、小さい期待セル度数のパーセントが50%より小さい範囲では、X値の数が2または3 の場合は最小期待セル度数は2以下、X値の数が4、5、または6の場合は1以下であることが示 されています。さらに、小さい期待セル度数のパーセントが50%より大きい範囲では、X値の 数が2または3の場合は最小期待セル度数は3以下、X値の数が4、5、または6の場合は最小期 待セル度数は1.5以下です。 等比率モデルでは、図3に示すように、X値の数(m)とY値の数(k)に対する最小期待セル 度数をプロットしました。図3 X値の数(m)とY値の数(k)に対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るために 必要な最小期待セル度数
図3では、X値の数が2または3の場合の最小期待セル度数は2以下で、X値の数が4、5、または 6の場合の最小期待セル度数は1.5以下であることが示されています。これらのシミュレーシ ョン結果に基づき、アシスタントレポートカードで使用する規則は控え目です。
付録F: 3つ以上のサンプルでのカ
イ二乗不良率検定の妥当性
各pと各m = 3、4、5、…、12で、最小期待セル度数をプロットしました。結果は図4と図5に 示されています。 図4 X値の数(m = 3~6)に対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るために必要な 最小期待セル度数図5 X値の数(m = 7~12)に対する区間[0.03, 0.07]のタイプI過誤率を得るために必要な 最小期待セル度数
X値の数が3、4、5、または6の場合、区間[0.03, 0.07]の検定で1.5以上の期待セル度数によ りタイプI過誤率が得られます。X値の数が7、8、9、…、12の場合、区間[0.03, 0.07]の検 定で1以上の期待セル度数によりタイプI過誤率が得られます。
付録G: 3つ以上のサンプルでのカ
イ二乗不良%の比較区間
𝑝𝑖 の下限と上限は次のように定義されます。 𝑝𝑖下限 = 𝑝𝑖− 𝑍𝛼/𝑐𝑋𝑖 𝑝𝑖上限 = 𝑝𝑖+ 𝑍𝛼/𝑐𝑋𝑖 ここで c =比較数= k (k - 1) /2 ここで、kはサンプル数です。 𝑍𝛼/𝑐 =平均が0で標準偏差が1の正規分布の(1 – 𝛼 2𝑐)百分位数 Xi = ((k – 1)∑j≠i bij − ∑∑1≤j<𝑙≤𝑘 bjl) / ((k – 1)(k – 2)) ここで bij= √pi(1 − pn i) i + pj(1 − pj) nj© 2015, 2017 Minitab Inc. All rights reserved.
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