第6巻第2号(1954)
微生物に於けるピルビン酸代謝に関する研究
(第一報)酵母CarboxylaseによるビクミンBl定量港−■ OcnoA・P】璽TERS、\法一について
山 中
啓StudiesonthepyrIuVate metabolism by microorganisms.
Ⅰ.On thevitamin BlaSSay by yeast carboxylase (OcHOA・PETERS’method). 205
By KeiYAMANAKA
(Laborator・y OfTechnicalMicrobiology).
(ReceivedJuly30,1954)
INTROI)UCTION
l),2)
8) Cocarboxylase(以下 CO−Ca.と略称)は1932年にAuHAGENにより見出され,厳に1937年 4〉
メ5)LoHMANN及びScHUSTERにより上れがビクミンBlのピロ燐酸塩である事が明らかに.された.
ここに初てビタミンBl(.以下VuBlと/略称)とCar・boxylaseの関聯性が明確K.されたわけである. このⅤ・Blの定量港としては従来の動物試験港,化学的定量法(チオクローム洪;ヂアゾ法等)の外 6 )∴ ∴巨∵Jl乙仰/り/怖・〃わ′ざ、ゴ′′什山′ハり〃廿、・∫ハソ…ヾれ・.S/ハ・♪/り′・り什JJゴざ(///′・〝JイJ/ざ、S/可申ゾり川r用ぶ
α鋸グ■β〝g,邦血糊蜘お劫闇那加瀦制,Pγqか−0ダニグ∂α仁子g㌢・査■祝研クβク加ぷβCgか弼等)の生育に基くBioassay があるが・動こ微生物の示す反応即ち酵素作用に及ぼすⅤ・・Blの聯用を利用する方法がある・ この方法としで先ず提案されたのがATK‡N,SCHULTZ&FREY(1937)の酵母の酒椅際酵に 於けるセ”Blの促進作用に基いた幣酵洪である..即ち酵母に.よるdextrose(後に.g1ucose)の醗酵 に微量のⅤ・Blカ洋進卵を示すのでその際発生するCO曳ガスをWar’burg検圧計にて測定するので ある.この改良法(1939)では0..005八一0一025γのⅤいBlを検出出来るが,Ⅴ.Bl無添加のガス発生量大 13)で後に・DEUTSCH(1944)が述べている如くその近縁物質の影響が大きく,且つ理論的な詭明に欠け
ている∴ 14)次にOcHOA・・PETERS(1938)の方法がある.これほⅤ.BlがCarboxylaseの作用を促進する審 15)
を発見したOcHOA(1938)の結果に基き,アルカリ沈滞酵母と.coこ・Ca.により行われるピルビン酸
の分解作用に・及ぼすⅤ.Blの影響を発生するCO2ガスより測定し,Ⅴ。Blと同時に.co−Ca.をも測定 せんとする方法である. り盟Eこの甥象に・就いてはWEIL−MALHERBE(1939)は添加したⅤ.BlがCO−Ca.に合成されると推論 17)
したが,この仮説ほ・WESTENBRINK(1939)により否定され,これはApo−Carboxylase試料中
に・存在するphosphataseにLより添加CO−Ca.が分解されるが,Ⅴ.Bl添加によりこのphosphatase作用を阻止するためであって,Ⅴ.Blによるこの促進作用は見掛上の購清作用である審を明らかにし
た.MATERIALS AND M.ET且ODS
2 香川鼎立顔料大学学術報告 前振婁15分で充分である事を確め,振婁方式ほ舜形,回転数ほ100回/分とした.
Ⅱ 酵母の寵療
パン酵母(オリエンタルパン野 ギ′−ノ㌣野卑くアサヒビ〔ル吹田工場,キリンビール 尾崎ユ場),及びウイスキー酵母(帝屋山崎工場)′を末々水洗,早搾後窒温にて亜時間内に途風乾燥 して粉砕しもたものを使用した.その水分は何れも10∼12%であり,着色広口瓶にて室温,デシグー クー申CaC12上に.保存した.その酵素カは約山ケ月安定であった。Ⅱ 測 定 方 法
co・・Ca.除去用の洗源液として珠用した叩gCQ8帝略そL(Dまゝ:では溶解度低く使用出来ないので.H2SO4=及びNaHCO叔にて沈滞しキCO9ガスを冷却して通じて全部を溶解させCO2の逃失を防ぐ
ため,水冷して貯蔵した..対称として用いたNa2HPO4=,MgSO4その他の沈滞液も同様氷冷して保存 し,これら洗源液は何れも1L宛作製した.OcHOAPETERS法笹よれば,パン酵母をM/10Na2HPO4=にて3臥 蒸溜承掟て1回洗源,遠心
分離する操作を加えて,CO・CaL.及びⅤ.Biを可及脚こ・陵哀したCar・bo女ylase力を示さぬ沈澱酵母 をApo−Carboxylase源として,之に・Vl・Bユ,CO−Ca・rを添加してピルビン酸の分解を行はし卑,生するCO9ガスをWarburgmanometerに・て測定するのである.
著者も上記に.準じて行ったが,洗源操作ほ原意の半畳とし,酵母500mgをとり,25mlの沈潜液に て行った.即ち,酵母に洗腰液を加えて沈澱操作を一ド定時問行った後,これを還;心分離し1て洗液の上 澄を傾鴻して捨て,沈澱した酵・母に斬らたに洗漑液を加えて同一・操作を繰り返す、最後に洗源液と同 量の蒸溜水を加えて概押して遠心分離し,この洗源沈澱酵母に5mlのphosphate/buffer(PH芦6..2, M/10)を加えて均一になる棟ガラス棒に・て「挽拝↓たものを洗淋酵母suspen申Ohとして実験に・供し た.且つ添加するMgC12,CO・・Ca.,Ⅴ・Bl等の溶液ほ原報の水溶液を廃してP王‡〒6.2の Phosphate buffer溶液とする方がよ、り安全である、事を知った.= 酵母の洗源は毎回之を行い,Ⅴ.・、Bl,CO・Ca.ピ ルビン酸ほ三日日毎乾杯畳して作製し,溶液は氷室に併存・した∴叉前二者の秤量を事後畳天秤によつ た 反応温度ほ28Oc,実験温度ほ28.00c土D.030cであった。CO2のよみは何れも30分倦のみを表示し た Warburgmanometerの反応組表は次の如くである.. Main:Washed yeastsuspension/B(100mg as yeast) MgC12−S/B(0.,1mg・aS Mg十†)
CO・Ca.,Ⅴ小Bl・S/B
+Phosphatebuffer(PH=6.2,M/10)
Side arm:
Na.−pyruVate−S/B(5mgas pyruvic acid)
Total volume 1.Oml O..1ml 0..2ml l.7ml RESULTS
l 酵母の洗聴法の検討
原報に.基きアルカリ洗源を行ったが,入手し得る何れの酵母にても望ましい結果が全く得られなか ったゝめ,これに層々検討を加えてみた. 即ち比較的co−Ca.及びⅤ.Blの多いと.。されている麦酒酵母(朝日麦酒会敢)を乾燥して実験に供し,用いた洗源液はNa2HPO4=M/10,MgCO80..01M,0.025M,0.04Mである.
207 欝6∴巻第2骨(1954) 沈潜方洪ほ次の二つに就き夫々行うた.
a) 常 港 沈 滞
酵母を遠心管(内容50c.c..)に.とり,洗瀬液を添加して4分間ガラス棒にて挽絆し,遠心分離して
洗液を捨てる..この操件を3回繰返しセ巌後に・凄潜水にて水洗1回行い遠心分離しで洗潤酵母を得
るb) 乳 鉢 沈 滞
酵母を乳鉢中にとり,水冷し乍ら洗雅称こ・て1q分間乳鉢申にて−よくすり乍ら横枠し遠心分離する・
上澄液を棄てこれに再び洗淋液を加えて乳鉢申撹絆の操作を行い,後水洗を1回行う
この両者共洗掛こ要すこる金時問を一局となる様に習然した.常放では75′・}80分であり,乳鉢放では
60分であった.倫何れも酵母は500mg孝探り,洗源液ほ毎回25mlを用いた
この両者の洗淋効果の優劣を比較するた軌何れもピルビン酸を基質としてCO−Ca・・40†添加のものと無添加のものと.に就き,CO2の30分借を示したものが第1衣である..(60分偲ほ省略)
TableⅠ..Effectof Washing,.(BrIeWer’syeast)
CO2(pl,28。00C,30min。) with co−Ca.(40γ) Without co・・Ca Method of Washing Ⅵ7asIling Liquor Na2HPO4(M/10) この結果を要約すると次の如くである.i) OcHOA−PETERSによるM/10−Na2HPO4=沈潜法にてほCarboxylase力を少ぐする事が出来
るも,CO・Ca..に対する感度が非常に低下するK,反し,MgCO8液にてほ乳鉢洪に於て0…04MでCarbo・ Ⅹylase力を少くし,且つCO・・Ca.に対する感度も比較的高く保つ審が出来る小 この効果は単に・P−Hの みによらない事ほ同・−・PHのM/10−phosphate buffer・を用いて乳鉢洗源淡を行ったものは全然洗瀬 効果を認める事が出来なかった点より富明出来る..(この際対称の10分借で450串l) ii) 洗源方法に就いては,MgCO8洗瀬で常港ほCO−Ca.の除去が困難であるが,乳鉢法に於て 大体可能でである小 iii) Mg・CO8の洗腰効果は濃度を高めた方が好結果が得られた..(0‖04M拉しと.は完全に溶解しに くいため行わなかったい)Ⅱ MgCO8洗源効果の時間的検討
0..04MMgCO8液の乳鉢沈潜方法の優秀性及び安定性を見出したので,更に.これもこ.就き細部の時 間的検討を行った..使用した乾腰酵母はパン酵母(オリ「卑クル会敢)であり,反応条件其の他は上記 の通りである.侍沈滞時間ほ,5分3回,7、分2回,7分3回,10分2回,の各々に就き,水洗ほ2分1臥 及び
2回に就きその洗派効果をしらべたのが第韮a表である2的 香川廃立顔料大学学衛報告
Tablel【a.Effect of Times and Dur・ationof the Waミ血in盆Of DriedYea・St∵upOnits
(Baker,s yeast)
Carboxvlase
H20 i 51 3l ニーl ・−・l 535耕】 0.0揚場 ⊥34い7 109小2 164.0 129.9 126い3 164‖5 269,6 146..3 35/7 91.4舶 109.2東胡*Represents theincr・eaSed amount ofCO2by theadditionofco−Ca.andV..Bl
** CO2eVOeVedis15min
この結果i) 洗戦時間:−5分3回,7分2回,10各1回でほ何れも不充分であり,.7分3回,10分2回が
沈滞効果よく大体理想的である.即ち,数多く短時間の洗源を行うよりも・一・回の洗源時間を長くする 方がよく,金沈滞時間より見れば,10∼15分では不充分であり,20分で充分であると思われる..然し て金洗源操作に資する藤間は,融資群に於ては71′一花分を要し,後者群に於てほ55∼60分であるた め,この時間を短縮し,効果を増大し,且っ操作を簡便ならしめるために.は,10分2回の乳鉢沈滞港 がこの範囲内では妥当と考える.ii) 沈滞液:一水,MgSO4液(M/10,PH=6。0)は何れも全く沈滞効果がない.それ故MgCO8
によるこの効果は,PHに.よるものでも叉Mgイオンに.よるものでもないと推定される.Ⅱ 水洗の検討
水洗は遠心分離後沈澱酵母申に含まれる残存洗源液を除去するために行うものであるから,これを 省略する事ほ出来ないが,水洗回数を増やすと,aCtivityの損失も考えられる薦,こ.の水洗を−L回 とし1分,2分,3分に就いて行ったが,その間には何等認むべき差異がなかったTableⅡb.・Effect of the Method of Washing by Water uf)On Yea岳t Car・boxylase
(Baker’s yeastい)
(Washeddried yeastinmor・tar・2tim色s withO.04MMgCO8for・10inin.fI6spectively,
and then once with water・)第6巻第2骨
209
CO2(FLl,at28こObe,i血30min.)Duration of Water Washing
(min.) Effect df co−Ca…′(50r.)and
V.Bl(50†つ嶋 contT・01 e n 1 2 3
0 N
0 1 2 3 ︻′ 4 3 3 ︻b 1 2 1* Sameas血entionediilTab..ⅡA
皿 定量用標準曲線の作製
以上の検討を経て決定した洗源条件は下記の如くである.酵母を0..04MこMgCO8にて氷冷し乍ら10分間乳鉢中庭て充分撹拝復遠心分離し七痍源液を除く痍
件を2同行い..後如こて2分1回の洗源を行い。これをbuff6r液に懸濁したものをApo−Ca士Ibox− ylase漁として廟う。この方汝に従い∴パン酵母,衰酒酵高波てⅤ.Bl及びCOこCa.の定畳用標車曲 線を作製した..(第l,Ⅱ図)Fig‖ tVitaminB150rand
Fig‖甘..Co−Ca工boxylase50†and i) 発生したCO9ほ何れCo−Carboxylase VitaminBl もcarboxylaseに基くもの
(Bake工・’s yeast) であって,基質と.してピル ビン酸を与え.ない時にほ, _−〝一・−−・一−い…’● ̄ co−Ca.50γ及びⅤ.執50†を添 加しても全くガスめ轟生を認 めなかった ii) Ⅴ..Blのみに.てはC O2発生を認めず,Ⅴ.B150γ 添加にてCO960分値は麦酒酵 母1..〃1,パン酵母0′〉3〃1であ 山「訂→紘 る iii) 標準曲線よりみて, ー・一C“qrboり′∠45e(y) 5 10 20 −・一∨β′(ざ) 表酒酵母よりパン酵母が優れている審を見出した.
又蓮笹,この0..04MMgCO8洗源港にて得られる酵母はapo−Carboxylase渡として使用出来る
事を確認した†.ウイスキー酵母に就し、て
ウィスキp酵母(蒔屋サントリー・会社)を同儲把.乾燥酵毎として検討した.未沈滞のCaf・boxyl包Se 力はウィスキー酵母が最も強く,次いで麦酒酵母,パン酵母の順セあり,沈潜操作を加えた結央の一 部を第斑表に示す.Table阻.Effect of the Method of Washi痩upon Y由st Cai・bo史ylase
(Whisky yeast.)香川県立典科大学学術報告 210 CO望(FLl,at28.OOC,in30min)
Wasbing
Effect of co−Ca (50γ)and VBl (50」r)ヰ Duration (.min.) Control Metbod Liquo工 Na2HPO4(M/10)1 NoI・mal 311 395* Same as mentionedin Tab∴Ⅱa.
即ち,余りにもCarboxylase力強く,何れの洗源港に.てもcontrolの値を小さくする事が出来
なかった..故にこの酵母は定量洪に.は不適当と.考えられる.Ⅶ 洗源酵母取扱いに就いて
上浜により調整した沈滞酵母をWarburgmanometerに・加え.る操作KL於いて若干検討した。即
ち・二ここに・得られたApo−Carboxylaseほ添力口CO−Ca・と直ちにHolo−Carboxy1年Seとして作用す るか否かを調べる風前振盗時間を享5分,30倉上120分に就き,更に反応弾こノ 前に)反応液を準冷して30分,、60分間保持した後6?aCtivityをも併せ検討した結果ほ属ⅠⅤい表の如 、 くである.TableIV.,Influences of theMannerofIncubationl・(Baker.,s yeast”)
co2(pl,at28い00C..in30min.)i) 実験2及び3に見られ
るように,280Cの前振愚ほ30 分以上の長時間に於てはacti− Vityの減少を釆たす ii) 実験5に示すように, 洗瀬酵母を長時間(60分)冷 蔵庫に保存する事ほ,例え低 Exp一.No‥ Duration of p工」e−OSCi− 1ation(min.) Con七三・01 十CO−C乱50γ ヰ・CO−Ca.50㍗十 Ⅴ一B150γ 14.4156岬3 温でも筒activityの減少が
見られるため,作製後すぐ使用するのがよい小然し実験4の如く,反応組成全部(ピルビン酸の卑除く)を冷辟庫に30分保った場
合ほactivityの減少が見られ、なかった. iii) 倫Warbur・gVeSSelえの添加順により生ずる差ほ僅少であった.Ⅶ 賦活イオンの影響
寸十十+十十 Car.boxylaseに対する金属イオンの蹴落作用は,Mn>Mg>Ca…・”である事が知られているので
これに就いて若干の検討をした..用いた塩類は何れも塩化物であり,再結晶を繰返したものである. 伺CaC12ほCa(OH)2をHClにて中和して作製した.Table V..Effeet of Activators
upon the Yeast Carboxylase。
CO2(/Ll,at 28..00C,in 30
min.)十十十+・十+ * Mg100r,Mn3r,Ca960r
Were added.211、、 第6巻第∴2骨り(1954)
Ⅷ 涛加物の効果
Ⅴ.Bl及びCO−CalI定量に際して.その部分的構成成分であるところのビリミヂン〔:Ⅰつ及びチアブ ール〔■旺〕或いはグルタチオン等がⅤ.B1棟の効果をもつか否かを検討した結果は第Ⅵ衰の如くであ る.用いたⅤ..Bl部分ほ次の如きものである. CH8 N=C”NH2.HC,lI 1
H8C−C C−CH20H
l1 11 N−C.HPyrimdine
=C−CHふCH20H L −S H TbizoleTableⅥ.InfluenceofV.BlinditsRelatedSubstances upon theYeastCar・bo女ylase・
CO2(〃1,at28.00C,in30min.) Subs雫apces 3.3 1.32.5 2∈∋9.4 1.4 1.0 2.3 135.9 ユ.31.5 14フ.2 152..2 140‖1 280.6 29ユ.3 2.7 102..4 196.3 ContIOI CO・・Ca.50γ CO・Ca.50γ +Ⅴ.B150γ TIliazole50γ Pyrimidine 50r Glutathione2mg. CO−Ca‖50†+Thiazole50γ CO−Ca。50r+Thiazole100γ CO・・Ca.507・・+Pyrimidine50r CO−Ca.50γヰ・PyrimidinelOO† CO−Ca.50γ+Pyr,、50γ+Thiazい50† CO−Ca.50?+Ⅴ、.B150†ヰ・Tlliaz.50γ CO−Caり50†+Ⅴ..Bユ 50γ・十Pyr巾100† Glut.2mgり十Ⅴ.B150γ Glut.2mg.+co・C乱50γ Glut。2mg.+ co−Ca小50r+Ⅴ“B150r 以上の結果より,
i)Thi年ZOle,Pyrimidine,Glutathione 等は何れもそれのみにてほCO・Caり 力を示さず,Ⅴ・
Bl作用も示さない.ii) Thiazole。と.PyrimidineとをCO・・Ca..に.添加しても,Ⅴ.Bl作用を示さない.この点は,
Ⅴ..Bl定量洪として化学的定量法より優れた特徴であろう. DISCUSSION OcHOA−PETERS港の原報わ、患ゝNa2HPO4流派漁ほ.我々の入手し得る酵母には仝く邁用出来ない 審を認め,その改良を試みたのであるが,これは酵母の生理的条件,菌株その他の種々なる差異より 生ずる影響あろう と推論したのであって,今試みに.既往報告申の同株な方迭に就いて得られたCarboxyla声eのactivityを表にしてみると第Ⅶ奉の如ぐであり,感度よく且つaCtivityの大で
ある例と共に,叉非常によくない例もある事を知るのである.香川県立顔料大学車術報告 212 そ一言、・で礫帝Car・boxyla琴9を得るための嘩乍なるノ串に?い、て順を追い述べ多事とす卑”
Ⅰ) 酵母の乾燥
各報告に見られる廟母は,パシ酵軌上面及び下面麦酒酵母であり,これの乾燥のための操作の記
述は少く,成いぼ墓嬰な因子ではない知れぬが,次の如ぐである・ 2。,窒温で迭風乾曝するもの:TAUBER(1938),LIPSCHITZ,PoTTER,ELVEHJEM(1938) 25、
GREEN,HERBERT,SuBRAHMANYAN(1941), 26) 300Cと指定したもの:STERN,HoFER(1937),27)2S) 380Cと指定したもの:TAUBE壬i,(1937),(1938)
要ほ酵素力のぬ失を少くLて:,乾燥を迅かに行う事が望ましいのであって,乾燥温度としては高温
をさけ塵温程度でよい〟甘) 酵母より Apo−Carboxyla眉eの調製法
酵母を沈潜して−Apo−Car・boxylaseを得る方洪については,Oc蝉OA・PETE王‡β(1938)はその
洗渦時間についての記載なく不明瞭である.洗減液として使用されるものは大部分がNa2HPO4液で
あり,その他に.KH9PO4=軌アルカリ性のphosphatebuffar等が凧、られているl・叉洗液方法と
しては手に.よる投弾(ガラス棒)或いは振塩韓を用いる方法が揺られている.これらの中,比較的近
似な方漁を行ったもののみを一・括したのが第Ⅷ衣である.
TableⅧ.Pr・eparationof Yeast App−Car’boxylase
by sever’alAuthor.sCondition of TeaCtion
Method of Washing Washing by
Wateエー
Autl10r
213 第6巻第2骨(1954) 2mi血inl■00m temp. once wit壬150ml 34) GOOD王IARr(1940) 17) W】∃STENBRINE (1939) Baker,$ Br占wer,畠 oncein5min. at 300C 3times with50ml.in 4min.at−16′}200C
9nCeln Smim ap300c
2timesinlOmin at 300c
29) $1) 滑PErERS■Ro$SITER(1939)椒STERN,HoFFアR(193フ)prefered 馬)その他には所謂エチオチマrゼの調製港である.ところの長時間水及びphospatebufferに・て 3J;) 臥すrる方法即ち,AuHAG品(1932),AxMACHER,BERGSTERMANN(1934),LIPSCHITZ, 1β)
PoTTER,ELVEHJEM(1938)があり,叉アセトン硫安分別沈澱洪によるWEIL:MAI,HEkBE(1939)
25)アンモ・・エア性硫安囁ヰる今別沈磯放ではG甲甲,HERB甲T,S,UBRAHM皐NYAN(1941),その他
:17、 メタノール,鮮酸によ∵るScIiOENEBECK(1934)カ
これらほ何れも相似た方法であるが,各々の酵母によりその方法を異にする寄が理解され, 3 i)GooDHART(1940)によれば,酵鱒に・より洗聯方洪を変えないと.activityのないものを作る審に
なると儲督し,叉ST鱒叫HoF(1937)ほ上面酵母をアルカリ洗淋するとCO−Ca∴を添如ても下
25),44) 面酵母の時の如きCO2発生はなかったと報じている.更にGREEN等(194・0.1941)及びKuB9WITZ 43 ) 等(1941)∴に.よ頼£,Carboxyl竿Se、は酸性笹鱒て,Apo一部分とCO−Ca・と・が結合し,アルカリ性に・て 41) 解離すると・報告している.叉TAUBER(1938)は乾燥酵母よりCO−Ca・の除去は困難ではないが,沈滞によりparboxyl鱒Seの他のaCtivatorのすべてを除く畢ほ困難であり,叉水洗のみにてはCO−Ca・
4$ の根本的な除去は不可能である一と報告しl∵Ku■BPWIT写,r叩丁年N亭(1941)はアルカカリ性燐酸液処 理に・於て酵母蛋白は変性しないと報告してい皐小 、以ヰや各結果より,酸性での洗漱が貧く 測されるのであって,著者のMgCO8に蔓る準源故にも適用されるものと確論している・即らMgCO凱0瑚のPHはその溶解CO2のため射酸性′(P王‡=6・4∼
後のPHほ顔アルカリ性に傾くのであって,遠心分離後の上澄洗液のPHは.,パン酵母,ピー・ル酵母の 場今何れも第・一周眉,7.0∼7.4,夢二回目7“4∼7い6,滞三回冒7..6′}7‖8水洗後6.4′−6・・6であった・・反之,Na2HPO4(PH=8い3)に・於ては芦々,7.7∼7.8.8..0,8・・2′}8・3.
りMgCP8液に・よるGO−Ca.Lの除去効果を説明づける番が可能であり,且つNa9HPO4液がCO−Ca・を 除去出来ても,入手し得る酵母で望ましい結果が得られない革も訟明し得るであろう.然してMgC?8 は.co−Cal・の解離と周時に, れる.Ⅱ) 反応条件
上述の条件のみについて実験を行って釆たのであるが,数多くの報告も大体−・致しており,PH= 4)29)
6小2,28Ocの反応が大部分である.LoHMANN,ScHUSTER(1937),PETERS,RosITER(1938)、に 39,40) よれば・反応ガス腱ほ虐克とN2との間に於て差異はないと報告している 42) ′36) 26) LIpscHITZ,et al.(1938),GREEN,et al,(1941)等は300Cを,KuBOWITZ,LUTTGENs(194
1)ほ200Cを報告している.
m) 反応組成
19〉
香川県立農科大学学術報告 214
4) り今迄のMgのみでなく,‘Mg,Mn,Caの混液を用いる方法が提案され,LoHMANN等(1937)はMg 44)
よりもMnの方がより activateする事を認め,叉GREEN等(1940)は.ニ価のカチオシであるこMIi,Mg,Fe,Ca,Cd,Zn,Coほ.こあ系湛・aCtiveであるが,一個及び三億のカチオンほ不活性であ
25)り,叉硫安分別Car・boxylase申にほMgせ0.1豆%含むが,Ca,Mn,Ni,Cr,Cu,甘e,は含まない
と報告Lている.著者の結果(第V表)も同僚Mnゐ事がMgよりもよりactiveである事を示してい
る.以上の報告及び笑凝結果より,MnほCarboxylaseの正常な構成々分セはないが,清規された酵
素系に必要なものと虚像して」、る−.即も,Mgほ定性紬こは他み二個金属と叉定量的紅ほMhと置換
由承るものであろう.
Ⅴ)Inetlbation時間
41) 洗源酵母を反応系に・添加してincubIattする療に償療な報告ほTAU甲R(1938)である・即ちWarburgVeSSelに入れた後・300Cで105分間上離b;クを陶廠の僚振麗し’た後,占top?OCkを閉台
てニ1紛間市振婁㌧てから反応を開始さす方港を疎らセいる.300C,120香南の振滋により,CO一也∴浸準準酵母吏よく作東(結合?)して,∴、反応細始彼の速度か大とな畠が,藩L別完に條つと.,Cよrもbx⊥
ylよseac血ityを殆んど央うと瀾告しでいる、二こ・の点より,瀧漸酵母と・cdや小との結合に一よるcaibo立ylaseの生成た一億の藤間を質するものである否か,成い富ま.∴土、の暗面内に他の因子あ影響
を受けるもわセあるか凄かが想像されるので,′検討した結果は,第∬表紅示じた如く,TAJ這ER 見解と異り,酵素力の減少のみが恵められ,少く共前振召計ま30分以和さた..更にGREEN等(1941)は混合液をVeSSel中10分間窒温にJ放置した後にbuffer,水を加える
43) 方洛を提案し,Ku由wITZ,Lt圧T(通NS(1b41)は00C甘こて30分間放ぬした嶺に反応を開始させる方
法をとっている.これらの■方改も■前記の問題と関聯する事でもあるが∴他の数多くの研究者ほ何れも 朗)▲r 酵母沈滞後直ちに使用すべき審を報沓しそおり,例えば,GooDIIART(194Q)ほ.,そゐ左ctiVityを失わしめないためにほ,酵母の沈潜疲直ち甘と魔王引と)かゝるべきであ・るといっている.
叉洗源酵母,CO・・Ca“Mg等の添加順と
の再結合(各成)の機構ほ周睡由でな:く,その速度と範囲ほ適合順序,三構成成分の比例関係,塩類
25,44) 濃度,反応嘘虔等に女覿されるとGREEN等(1941)ほ述べ,最大めactivityを得るためゐ添加順序は酵素,Mg(轟くはMn),CO:ca・.の順セあると述べ七いる
しかしMgCO8洗源港により得られる洗源酵母については,添加順及びMg(Mn)を童窒又は側堂
に入れるかとの点に於ける差はhegli蛮bleJさあったが,調製した洗瀬野母は直ちに償用すべきであ
る事を第Ⅱ表の結果よ り,酵母SuSpenSionのみを00Cに保存する:番はactivityの減少を釆たすので好ましくなく,その際には,CO・Ca..Mg(Mn)を添加しておけば,00Cで少く共30分近くほ変化がみられないから臨機の
処置法と.して認めてもよいと考えている \Ⅶ 酵母の選択
用いた三鯨の酵母では,MgCO8沈澱故にて定盈港に最も適しているものほノミン酵母であり,麦洒
酵毎に比して洩准操作も可成り行い易い上に,実際上入手し易’く取扱いも簡単であるので実用的であ
ろうと考えているⅦ) Ⅴ月1類縁物質の影響
Ⅴ,Bl類縁物質と,して稜々なSampleが入手出来なかったが,Thiazole,及びPyrimidineについ欝6巻欝2骨(1954) 2土5 てⅤ,Blの効果の有無を検討トキネ芋.熟牒珊粧示す如くl, もこれら単独に・添加しても,叉両者を同時に.添加しても,ノ更にCO・Ca.笹添加して:もⅤ.Blの定盈には 全く影響を与えなかった. CoNCLむSION
l.OcHOA−P王主TERS淡を検討し,M/10Na2HPO4=沈潜の代りに,0。04M,MgCO8に・よる乳鉢沈
滞の安金である事を指摘した..、1・・十 2・このMgCO$の洗源効果につき,若干検討した結界,こ甲鱒果ほPH及びMgに・よるものでな
′ヾ く,MgCO8そのものに・基くものであり,且っ他に之と顛似の新帝を掩っものを見如し待なかちた.
この効果を説明するために・,Carboxylaseの特性を記嘩レた文献を引用して論議した.3.定畳病棟準曲線を作成し,Ⅴ.Bl常緑物質が仝く影感を与えない事を恵あこ 充分東泉淡と.して
採用出来る事を確めた..4・・使用酵・母ほパン酵母が最もよく,その取扱い漁及び反応条件等を文献を引用トて,比較検討し
た.終に臨み終始御懇篤なる御指導を賜った恩師京都大学農学部片桐英邪教授に.深甚の謝意を述べると
共に,酵母を提供して戴いた各工場に対−し御礼申上げる.R畠s um占
1.AnewmethodofV.BlaSSaybyyeastcarboxylasehasbeendiscribedル 2。Itwaspointedoutthatactiveapo・・Carboxlaseprepatationwa毎占a占ilyobtainedfr・OTndriedyeastbywashinginm9rtar,WhenMgCO8WaS employed for’WaShing1iquor instead ofNa2HPO4=Whichhad hithertp beenused. }\’
3.TheadequateconcentrationofMgCq8WaS fQund、tObe>0,04M,争nd datailsof the method of determination of V.Bland co−Car’boxylase∴Were descr坤ed..Theresリ.1t obtained by OcHOAandPETERS,COnCerningStimulationof co・Carboxyla$e by V.,Bl
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andMgwereconfirmed.
REFERlミNCES l)N即BERO,G。etal:Biochem.Z小,36,68(1911),3l,170(1911二),32,323(1911),36,60,76,(1911), 37,170(−1911),43,170,亜1,494(1912),ヰ?ノ鱒5; 158(1914),61,171,1朗=(1914),62,489(1914). 2)NEUB月RG,G,KERI‡S,J.:ZりGまγ〟〝g5♪砂5わJ・,】,114(1912). 3)AuEA¢8y,E..ノZ..印γ5わJ‖Cカβ沼.,204,149(1932). 仏ば.,209,29(1932) βわc鹿沼.Z−.,258,330(1933). β鋸JJ〃jわc cゐi∽.,52,鋸7(1932) 4)Lo王IMAⅣ封,K.,ScIIUSでER,Rヱ…:β加鹿沼りZ・.,294,188(1937). 5)LoⅡMA¶y,K.∴A乃gβ肌Cゐβ沼.,50,221(1937)“ 6)ビタミソB】研究委員会編:ビタミソBl 藤田秋治:微生物とビタミy(1949).香川県立農科大学学術報告 216 白石正英:薬学,2,380(1948)〃 7)Scヱ血TZ,A′′,血EIy,L;FR血d∴雨.さ