幼時における基本的習慣形成の重要性について
-とくに睡眠の習慣をめぐって-長
塚
康
弘
要
旨
本稿 の目的は3つである。第 1は筆者の講義、特 に教育心理学講義の うち基本的習慣 に関す る新 たな資料 を加 え、整理す ることである。第2は今 日多発 し続 ける子 どもをめ ぐる問題行動回避 のた めには、臨床心理学的対処 と並 んで、幼時 における基本的習慣の形成 もまた重要であることを示す ことである。第3は子 どもの親 (多 くは母親)に対 して保育 に関す る指導 を行 う者 と定義 された保 育士が指導 にあたって心得 るべ き基本事項 とは何かを具体的に検討することである。 は じめに最近各方面で問題 にされている子 どもの 「夜ふか しの問題」 を取 り上げ、基本 的習慣 と しての睡眠の習慣づけに力点 をおいてその課韻 と方法 を示す。ついで、 「あいさつ」お よび 「学習」 の習慣づけについて考察する。そ して終わ りにその他の基本的習慣の形成の重要性 を論議する。 これ らの うち、夜ふか しが今心理学的に問題 になっているのは、夜ふか し等 に よって生 じる生体 リズムの狂 いが子 どもの知的 ・情緒的発育の遅れ、-・-朝 の体調不良、そ して不登校や引 きこ もり、 意欲の低下・・--な どの発生の危険性 を高め、 また イライラ感の増強が乳児の ぐず り、幼児 の多動障 害、小 中学生のキ レやすい傾向な どを生み出す ことに もなる と考 え られるか らである。次 にあい さ つは人 と仲 良 くなる、友達 と楽 しくかかわ り、友 だちとの人間関係 をうま く構築で きる習慣 であ り、 学習の習慣 は学校 における体系的学習のつ まづ きを回避 し、学校-の適応 を達成す るために身につ けることが望 ましい習慣 と考 えられるのに、その習慣 が適切 に形成 されないために 日常生活 に困難 をかかえる子 どもが生 じているか らである。 最近 は子 どもをめ ぐる多 くの問題行動が子 どもを加害者 とし、 また被害者 として発生 し、その防 止が社会的課題 となっている。そ して、臨床心理学関係者や教師経験者が多数動員 され、学校等 の 現場や行政等の各種委員会の場で対処が図 られているが、その効果評価 の報 に揺 す ることは少 ない。 言 うまで もな く筆者 はこれ らの対処 も一定の効果 を もた らす もの と考 え、期待 している。 しか し問 題行動-の対処 と同時 に 「問題行動の回避あるいは予防」策 を講ず る途 も検討 しなければな らない のではないか、 とも考 えている。そのための方法 には 「日常生活の さまざまな工夫 に よ りその被 害 を未然 に防 ぎ、健康増進 につなげること」 もあろ う。睡眠、あい さつお よび学習等の基本的習慣 の 形成不全が今 日メデ ィアをに ぎわす問題行動 の成因の一部 になっている とす る論議 もあることを考 えると、従来 に も増 して基本的習慣形成の重要性 を再認識 し、形成の努力 を積極的 に推進す る こと も、遠回 りではあるが、問題行動回避への有効 な碇 をなすのではないか と思われる。 保育 は子 どもの問題行動や障害 な ど負の問題 に対処す ることで満足す るのではな く、子 どもを積 極的に伸 ばす ことに重 きがあるとい う考 えが あるが、 この見解 は臨床心理学的あるいは学校等での 狭琴の教育的対処 に加 えて基本的習慣 の積極的形成 を図る ことが、実 は、子 どもの健康 な人間形成 をもた らす途である とする筆者の考 えに通 じる ものである。 本稿 は実証的研究ではない。引用文献 として示す多 くの専 門家の研究成果 に依拠 して筆者の考 え を綴 ったものである。 -1-暁星論叢第55号(2005) 目 的 本稿 には
3
つの 目的がある。 第 1の 目的は筆者が教育心理学、発達心理学の講義 (新潟 県 ・家庭教育サポー ター養成研修会 における講義 を含む)お よび新潟中央短大第24回保育 研究会の基調講演 (長塚、2004)で述べ た 「基本的習慣」
に関する事項の うち、最近子 ど もの人間形成 にとって重要な課題 として論 じられている睡眠の習慣づけを中心 に幼時にお ける基本的習慣形成 についての新 しい情報 を加 えて講義資料 をまとめることにある。 第2
の目的は幼児 ・児童 (以下 「子 ども」 と呼ぶ) をめ ぐる問題行動や非行 ・犯罪が続 発 し枚挙 に暇がない今 日の状況において、子 どもの しつけ ・教育の基本的原理 と考えられ る基本的習慣の形成の問題 に目を向け、最近の子 どもの生活 にみ られる課題 についての理 解 を深め、積極的 に健常 な子 どもを育むための方法 を探 る作業 をすることである。 現時 に おける幼時の教育の基本 とは睡眠の習慣 を第一 とする 「基本的習慣」
の形成であると考 え、 その現状の課題 と習慣形成の方法 について考察する。 小学生の殺人な どの前代未聞の犯罪の発生、相 も変わらぬい じめ、不登校、虐待、そ し て LD、ADHDの続発 などに、大人たちはた じろ ぐばか りで、事件 に対す る関係者の対応、 対処の仕方 に問題がなかったのか否かについて多様 な論議が反復 され、メディアを賑わす 昨今である。 その ような場合、問題行動の防止 を意図 して行動の分析や治療的方法のあ り方が問われ ることになるが、 これまであまり経験 したことのない出来事 に対 していつ も適切 な村処法 が用意 されているはず もな く、当事者 には混乱が生 じ、困惑することになるように思われ る。問題が発生す ると心のケアの必要性や心の傷-のカウンセ リングな どが喧伝 され、「臨 床心理士の派遣」
を伝 える報道に一件落着 したかの ような錯覚 を抱 くこともある。 問題解決-の近道 を尋ねることは必要である。 「問題行動の原因は何か」、「問題の在 り 処はどこか」、「なぜ事件 は起 きたのか」、「発生の未然防止法は どうか」
など、異常 な、あ るいは病的な行動 に村す る対処法 を求める研究や論議 は不可欠である。 しか し筆者はそれ が過剰 になされるあま り、子 どもの健常 な発達 を促進する しつけ ・教育の方法論 について の考察が稀薄になっているのではないか とも考 えている。玉瀬 (2004)が 「子 どもたちの 日々の生活は活気 に満 ちてお り、子 どもたちは学校生活 を楽 しんでいる。子 どもたちは、 学級での学習や友達 との遊 びに夢中になってお り、学校生活に満足 しなが ら日常生活 を送 っている。 --種 々の調査の結果 を見て も、少 な くとも小学校では八割 を越 える大多数の 子 どもたちにはそ うである」 と述べ ているように、健常 な発達 を示す子 どもの存在 に も配 慮 し、長期的展望の もとに積極的になされるべ き子 どもの健康教育のあ り方の基本的原理 を整理 して問題行動の未然防止 に資する途 を探 ることも.また不可欠であると考 えるのであ る。 -2-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに陸眠の習慣 をめ ぐって-(長塚) 本稿の第
3
の目的は保育士が児童の保護者 に対 してなすべ き指導 とは何か を考察するこ とにある。 保育士 は平成13年11月30日に公布 された児童福祉法の一部 を改正す る法律要項 の定めにより、 「・-・・専門的知識及び技術 をもって、児童の保育及び児童の保護者 に対す る保育に関する指導 を行 うことを業 とする者 をい う」
と定義 され、その資質の向上が不可 欠 とされた。 「乳幼児 に関する相談」
のために来談す るのはほとんど全 てが母親であると考 えられる が、相談の内容は多種多様 であると予想 される。 方法 は法律 には明記 されていないが、具 体的ではないので、指導 も窓意的に行われているのが現状であると思われる。 この ことは 次の無藤 (2004)の論述か らみて も明 らかの ように思われる。 無藤は親の子育てについての悩みの相談窓口の うち幼稚園 ・保育所は地域 に密着 してい るために重要な意義があるが、い くつかの困難があるとし、 「最 もニーズの高い相談内容 は乳幼児に関わることと発達障害 にかかわることであ り、そのいずれ も幼稚園教諭の養成 ・研修内容 に含 まれていない。 また多 くの教師 ・保育士 はカウンセ リングの訓練 を受けて いない--」
と記 している。 法律 に規定 されているように、 「保育所 に勤務する保育士 は、乳幼児 に関する相談 に応 じ、助言 を行 うための知識及び技能の修得、維持 及び向上 に努めなければならない」ので ある。 無藤は、この ような事態 において各種の研修 ・訓練等が実施 されて きてお り、 さら にその拡充 を図る必要があると述べている。 このことは有意義であろう。 保育士や幼稚園 教員は無藤の言 う 「乳幼児 に関わること」や 「発達障害 にかかわること」
についての母親 の相談 にいつで も的確 に応 える準備がなければならないのであるが、その準備のためにも、 親の指導にあたる保育士が 日常的に念頭 に置 くことが望 ましい と思われることは、既述の 「基本的習慣の形成、就中、睡眠、あい さつお よび学習の習慣づけ」
であると考 えられる。 その理由については以下に述べ る。 0方
法
子 どもの教育の基本 は基本的習慣の形成 にあるとす る視点か ら、幼児 ・児童心理学お よ び教育心理学研究者の古典的並 びに最近の文献 を参照 してその課題 と習慣形成の方法 を検 討する。 ここで基本的習慣 とは食事、睡眠、排浬、着衣お よび清潔の5習慣 を基本 とし、 これ ら に本稿で筆者が取 り上げる 「あいさつの習慣」
や 「学習の習慣」
をは じめその他の幾つか の習慣 (児童心理2004年 8月号臨時増刊 において論議 されているもの)をも加 えなければ な らない と考える。食事、睡眠、排涯、着衣お よび清潔の5習慣 を基本 とす るのは、それ らが早 く山下 (1949)によって体系化された ものであ り、最近桜井 (2004)が基本的生活 習慣 と呼んでいる もの も、着衣 を着脱衣 とす るなど呼び名が一部異 なるがほ とん ど同 じ内-3
1暁星論叢第55号(2005) 容であるか らである。 ユ いずれ もこれ らの習慣が幼時 に身に着いていない場合、幼時 においては もとよ り、成人 後 において も学校生活や社会生活 において本 人が種 々の問題行動 を経験 した り、社会的不 適応状態 におかれるこ とが予想 されるか らである。 1 子 どもの教育の基本 は基本的習慣の形成 にあると考 える2つの理 由 1- 1 筆者の持説であるか ら 第-は筆者がかねてか ら 「子 どもの教育の基本 は基本的習慣 の形成 にある」と考 えてい るか らである。筆者 は大学教員 としての最初の6年 間に教育心理学お よび青年心理学の授 業 を担当 し、その後 もこの分野の研究 に関心 を持 ち続 け、最近の6年間は本学 において再 び教育心理学 を主 とす る心理学の講義 を担当 した。現在は学外 の活動 とあわせ応用心理学 研究 に従事 している。 その応用心理学では幼児教育、青少年教育 、適性診断、 カウンセ リング、運転者教育お よびキ ャンペー ンな どの各種活動 において 「人間行動の変容」を意図す る局面が多い。そ の場合教育心理学お よび臨床心理学の方法 による接近 を試みているが、成人あるいはその 年齢段階 に近い人々を対象 とす る場合、行動変容の試みには困難が伴 うのである。 問題 の ある習慣が容易 に変容で きないほ どに形成 されていて、当面の職業労働 を営 む上で要求 さ れる学習 を困難 にす る場合が少な くないのである。 確か に
「
・・・・・・何 (どんな習慣)が必要かがわかった時点か ら努力すれば、事態 は変 えら れる・・-・(括弧内は筆者)」とす る考 え方 (玉瀬、2004)も理解で きるが、成人後 に新 たな 習慣形成 を目指 して行 われる一時的な指導や教育、訓練 には相 当の困難が伴 うのである。 発達早期 における基本的習慣形成の必要性が強 く感 じられるのである0 1例 をあげ よう。 筆者 は応用心理学研究の一環 として、居眠 りや過労 による と推測 され る重大交通事故惹起者や事故頻発運転者 に指導 ・教育 を行 うことがある。 その ような場合 に適性診断結果 な どをもとに睡眠の取 り方や休 日、休憩時間の過 ご し方 について尋 ねると 「身体 を休 めず に過 ご した り、趣味や遊 びに時間を費やす」と回答す る運転者が極 めて多 く、 よほ どの疲 れが感 じられない限 り休養 を取 る習慣がない とい う運転者が多いのである。 運 行 ダイヤな ど会社都合 による労働条件のため に無理 を強い られて睡眠等 を縮減す る事例 も み られるが、ほぼ同 じ条件 の中で習慣的に休養 ・睡眠 をとって長年無事故で過 ごす優 良運 転者 も多数いることを考 える と、早期 に始 まる睡眠習慣 の形成が問われる と感 じられる場 合がある。1-2
基本的習慣の形成 を重要視す る研究者が多いか ら 筆者の ような発達初期 に始 まる基本的習慣形成の必要性 を説 く考 え方 は幼児教育お よび -4-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚 ) 教育心理学の研究 を主 とす る研究者 ・教育者 ・教育実践家の研 究や評論 にほほ共通 に見出 される (山下
、1
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、1
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;足立、2
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3
;桜井、2
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;玉瀬、2
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;富田、2
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4
)
。基本的 習慣が家庭教育 における重要な要件である とす る考 え方 にはこれ までは もとよ り、最近 も 教育関係者お よび研究者の関心が集 まっているのである。 代表的考 え方 を以下 に示す。 (1)山下 (1
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4
9
、1
9
7
1
)
は、かつて、ゲゼルの 「幼児の人格的発達 は5
歳 において一つの まとま りに達す る」
とす る所説の根拠 に基本的習慣の確立があること、お よびプラツツ に 「非行少年 は幼時 に基本的習慣が うま く身についていない」 とす る研究があることを 紹介 し、 「基本的習慣 は、幼児の生活の指導の中で きわめて重要 な意義 をもってお り、 その 自立 を身につけ させ ることが幼児の人格の発達、 とくに社会人 としての独立性の獲 得 につ らなる意味 において きわめて重要である」
と述べた。そ して自らの実証的研究 に 基づ き、形成 されるべ き具体的な習慣 として食事、睡眠、排便、 とい う生理的生活 に関 連のある習慣 と着衣お よび清潔の5
つの習慣 をあげ、基本的習慣 と呼 んだ。そ して乳幼 児期 に習慣が どの ように形成 されるか とい うことは、その人の将来の生活の型 をきめる 重要 な要因であると述べ た (山下、1
9
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3
)
。
(2)発達の最初期 に当たる 「幼児期」 においては 「基本的生活習慣 の獲得」 こそが重要な 発達課題である。 基本的生活習慣 の獲得 によって幼児は 「身辺 自立」が可能 にな り、そ の結果、万能感 をもつ ようになる (桜井2
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4
)
。 (3)子 どもには--特 に重要な生活習慣が三つあ り、 これ らの習慣が身についていると、 概 して学校生活 は楽 しく、少 しのつ まず きには自力で耐 えられる。 その第一は、人に村 す る接 し方である。 --・第二は自分の ことは自分で しょうとす る習慣 である。 --第三 は、 自分か ら何か を始め る習慣である。 ・-・・この三つの習慣 は学校生活 を楽 しく過 ごす 上で、 また さらにその上 に望 ましい学習習慣 を形成す る上で極めて重要 な ものであると 言 える (玉瀬2
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)
。 (4)発達段 階に見合 った生活習慣が身に付 いているとい うことは、社会生活 をす る上で重 要であ り、基本である (富田2
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)
。(
5
)
足立 ・村井(
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は教師向けの月刊誌 を資料 として特集 タイ トルお よび論説 タイ ト ルで頻出す るキーワー ドを分析 した。その結果、2
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年代 に入 ってか ら親の問題が急速 にクローズアップされる と共 に、生活習慣の問題がテーマ として取 り上げ られる件数が 急激 に増加 した ことを報告 した。足立 らは、具体的には 「しつけたいけ ど、 しつけられ ない-草本的習慣づ くりの コツ」
の ようなマニュアル的内容 になっている と述べ ている が、 これは近時 における基本的習慣形成 に対す る関心の高 ま りとその困難 さを示 してい る。 いずれにせ よ基本的習慣が家庭教育 における重要 な課題 であることが明 らかである。 -5-暁星論叢 第55号(2005)
2
基本的習慣の中で特 に重視 すべ き習慣 は何 か .ユ 2- 1 睡眠の習慣 基本的習慣 は、上 に示 した習慣のすべ てが重要であることは言 うまで もない。いずれ も 表1に示す山下の標準 (山下、1
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3)
に従 って クリアされることが望 ま しい。 しか し、 日々 の生活や保育場面 な どの 「保護者 に対す る保育 に関す る指導」が求め られるような場面 に おいては、 「あれ もこれ も大事」
とい う構 えではな く、 とくに念頭 に置いて強調す ること が望 ま しい。では、形成 をはかるべ きこととして勧 めたい習慣 とは何であろうか。 表1 基本的習慣 自立の標準 (山下俊郎) 年 齢 食 事 睡 眠 排 便 着 衣 清 潔 才1:0月 排便を知 らせる 1:6 用、茶わんを持 って飲 むスプー ンの使 便意 を予告 2:0 ひとりで脱 ごうとする 2:6 使 うスプー ンと茶わんを両手 に 夜のおむつ不要 くつ をは く 手 を洗 う 3:0 用、だいたい食事のあいさつ、は しのこぼ さぬ 使 3:6 完全 に自立 昼寝の禁止 小便 自立 ひとりで着 ようとする 4:0 寝 るときのあ 大便 自立、夢中そそ うをしな くなる 前のボタンを 口をゆす ぐ、帽子 をかぶる うがい歯 をみ い さつ かける、パ ンツをは く が く、顔 を洗う、鼻 をかむ 4:6 大便完全 自立(紙の使用) 両そで を通すくつ下 をは く 5:0 す る、ひとりで脱 ぐひもを堅結 び 髪 をとかす 5:6 筆者 は基本的習慣 の中 で特 に重視すべ き習慣 と してまず睡眠の習慣 を選 びたい。その理 由は前橋(
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)
が示 した ように、 睡眠の習慣が身 につかな い子 どもでは朝食 を摂 ら なかった り、 きちん と排 便 を済 ませ ることがで き ないな どの問題が派生的 に生 じるか らで ある。 逆 に言 えば睡眠の習慣が形 成 されることによ り、食 事 と排便の習慣 は自然 に 形成 されることが期待 さ れるか らである。 (1)睡眠の習慣 をめ ぐる 最近の課題 :遅雇 ・遅起 きの問題 睡眠 については古 くか ら 「早起 きは三文の得」
とか 「寝 る子 は育つ」 な どの諺 にみ られるようにその効用が説かれている。 しか し最近では夜型社会 と呼 ばれるほ ど多数の人々に遅寝 の傾向がみ られ、生活 に及ぼす種 々の悪影響が指摘 されている(
NH
K
放送、2
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;大川、2
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。子 どもの教育 に関わるわれわ れの立場 では、子 どもの遅寝が 問題 になる。 巷野(
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3
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、前橋(
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お よび神 山(
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の所説 はこの間題 についての-6-幼時における基本的習慣形成の重要性について-とくに睡眠の習慣をめぐって-(長塚) 警鐘 ともなる もので重要である。 巷野
(
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3)
は 「乳幼児 には、 日没 と共 に眠 り、 日の出 と共 に起 きる とい う生活 の リズ ム を身 につ け させ たい。--遅寝 ・遅起 きは身体 の生理 に適合 しないので、午前 中の生活 に問題 を起 こ しやす い。--・か らだの生理 に合 わせ て、早寝早起 きの習慣 を付 けてい くこ とが健康づ くりの基礎 である」
と述べ てい る。 上 に紹 介 した前橋(
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4)
は次 の ような調査結果 を示 し、育児 の基本 であ る 「早寝」が 大変困難 になって きてい る と述べ た。 表2
生活実態調査 にみ られる睡眠習慣 に関す る問題 (前橋 の論文 の一部 を要約 した もの) 5歳児577人の生活実態調査 によると就床時刻は保育園児が21:44、幼稚園児が21:15で保 育園児は幼稚園児よりも約30分遅寝。22:00以降に就寝する子 どもも38%を占めた。 ・子 どもをなるべ く早 くテレビから離すべ きである。翌 日に精神的疲労症状 を訴える子 どもが いる。 ・朝食をしっか り取 らない子 どもも心配である。保育園児lo)13.4%、幼稚園児の5.40/.が毎朝 欠食である。 ・朝食開始時刻が遅いので、排便を済ませて登園する子 どもが少ない03割にも満たない。 朝食時のマナーの悪 さ、集中力のなさ、岨噂回数の減少、家族 との触れ合いの減少、コミュ ニケーション機能の低下につながる、せめてテレビを消 して食事をする努力が必要であろう。 神 山(
2
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4b)
は就床 時刻が遅 いほ ど学業成績が不 良で ある とい う調査例 を示 し、睡眠 時 間減少 は生活習慣病 の危 険 を高め、老化 をすすめ、免疫機能 を低下 させ 、知的機 能や情 緒面 に も影響す る と指摘 し、夜更 か しを「現在本邦 で蔓延 してい る生活習慣一 夜更 か し-」
と述べ て警鐘 を鳴 ら した。図 1は神 山(
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a)の図 を もとに、筆者が簡略化 した図で るが、 夜ふか しが種 々の心理 、生理的問題 を派生 させ るこ と、特 に子 どもの感情 的 コン トロール 困難 (キ レる子) の発生 を招 く危 険性が ある ことを示 してい る。 (キ レ る 子 ) 図1
夜 ふか しか ら派生 する諸 問題 (神 山、2
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a
を参考 に して作成)-7-暁星論叢第55号(2005) 睡 眠不足 が心 身の健康 に種 々の悪影響 を及 ぼす こ とは経験 的 に も想像 され るが 、大 川(2
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)
は子 どもた ちの心 身 に及 ぼす影響 につ いてつ ぎの ように述べ た。 「夜 ふか しを続 け る こ とは脳 や 身体 の発 育途 中 にあ る乳幼 児 に大 きな影響 を及 ぼす と考 え られ る。 幼児 の認 知能力 に遅 れがみ られ る とい う指摘 もあ る。 --・東 京教 育研 究所 の小 中学生 を対 象 に した調査 に よる と、 イライラ感 の高 い子 どもた ちの半数 以上 は夜0
時以 降 までの夜更 か しを してお り、逆 にイライラ感 の低 い子 どもた ちの夜 更 か しは2
5.
8%
に とど まっていた とい う。夜 更 か しが子 どもた ちの心 身 に少 なか らず悪 い影響 を与 えてい る こ と が うかが える。 夜 更 か しす る子 どもたちで は生体 リズムの乱 れか ら くる コルチ コステ ロイ ドやセ ロ トニ ン不 足 が イライラ感 や キ レやす さの原 因の一つ にな ってい る と考 え られ る」
と。 表3
は 日本小児保健協 会が実施 した平成 12年度幼 児健康調査 結 果 の うち幼児 の睡 眠 ・生 活 リズ ム に関す る調査 部分 の概 要 を ま とめ た もので あ る。今 回 は第3
回の調査 で あ るが、 表3
幼児 の睡 眠 ・生活 リズム につ いての調査 結果資 料 (日本小 児保健協 会 に よる) 就寝時刻 就寝時刻は午後 9時が最 も多 く全体の41%であ り、次いで10時が36%と多かった。昭和55年 値、平成2年値 との比較では、全般に10時および11時就寝が年齢を追って増加 してお り、その 分8時就寝が減少 していた。 10時以降に就寝する子 どもの率 10時以降に就寝する子 どもの率について昭和55年値、平成 2年値 と今回を比べ ると、 1歳 6 ケ月児で25%-38%-55%、 2歳児29%-41%-59%、 3歳児22%-36%-52%、 4歳児13% -23%-39%、5- 6歳児10%-17%-40%と顕著 に増加 してお り、子 どもの生活 リズムが年々 夜型になっていることが注 目される。 これは、大人の生活 リズムに同調 してのことであろうし、 子 どもの心身-の影響が懸念 され、保健指導の際の留意点になる。 起床時刻 起床時刻は、全年齢において午前 7時が ピークであ り、全体では52%、、3歳児以降の年齢で は、49-64%が午前 7時に目覚めている。次いで午前 6時が11%、午前 8時29%、午前 9時以 降に起床するものは 7%であった。平成 2年値 と比べると全体で午前 6時及び午前 7時起床が やや減少 し (午前 6時平成 2年値23%-平成12年債11%、午前 7時55%-52%)、9時以降に起 床するものが 3%から7%にな り、起床時刻について も、やや遅 くなっていることが示 された。 起床時刻は多少遅 くなってきているが、就寝時刻が顕著に遅 く、このため昼寝 を除いた睡眠 時間が短 くなっていることが推測 される。 ー8-幼時 における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚) 昼寝 昼寝 については、 しない ものは1-3歳児ではこの20年間変わ らない。 4歳児 で も昭和 55 年債39%-平成 2年値47%-平成12年債47%、 5- 6歳児51%-61%-64%と平成 2年値 と変 わらない。3時間以上が15%であ り、平成 2年の 9%か ら増加 している。 これ も起床、就寝 の 生活 リズムに影響 を与 えるもの と考える。 昭和55年お よび平成2年の前2回の調査結果 との比較では、全般 に10時お よび11時就寝が 年齢 を追 って増加 してお り、その分
8
時就寝が減少 している。10時以降に就寝す る児童 の 割合 もこれ までの2回の調査 (昭和55年お よび平成2年)に比較す る と顕著 に増加 してお り、子 どもの生活 リズムが年 々夜型 になっていることが注 目される。 これは大人の生活 リ ズムに同調 しての ことであろうし、子 どもの心身-の影響が懸念 され、保健指導の際の留 意点 になる 最近の子 どもの睡眠 をめ ぐる問題 はメデ ィアによって もとり上げ られ、問題の深刻 さを 示 している。 表4
はNHK
「クローズア ップ現代」(2005年1月放送)「子 どもの睡眠が危 な い」
の放送内容 を視聴 した筆者が整理 した ものである。 表4 子 どもの睡眠 をめ ぐるテ レビ放送内容 の概要 番組の冒頭で、午後10時以後 まで起 きている遅寝の子 どもの割合が高 ま り、ここ数年夜更か しの傾向が進んでいるとい う資料 (グラフ)が紹介 されたあと、鈴木みゆ き氏 (聖徳大学短大) がつ ぎの ように述べた。、 「早寝早起 きの習慣が身についていない子 どもは朝 ご飯 を食べ ない、昼 までだ らだ らしてい る。 日本の子 どもの遅寝 は異常である、睡眠覚醒の リズムが きっち りで きていない、 きちん と させ ない と脳の発達 にも悪影響 を及ぼす。夜更か し傾向の強い子 どもでは認知能力が発達 しな い」
と。 瀬川昌也氏 (小児神経学 クリニ ック)は正 しい睡眠の リズムが必要である と説いた。睡眠障 害児の リズムをみると、朝5時に寝 て、昼頃起 きた り、夕方 6時に寝 て真夜 中に起 きるなど、 日によって午後 8時に寝 た り、11時に寝 た り、乱れが多 く睡眠が細切れになって具合が悪い。 正 しい睡眠の リズムを身につけさせ るには親が規則正 しい生活 を続け させ ることが必要で、生 まれた時か ら4歳 までに睡眠覚醒の リズムを身につけさせ るが大切 だ と指摘 した. さもない と 脳が きちん と育つか どうか も心配で、他の子 どもと遊ばない、短いことば しか話 さない、など の障害か起 こる。 「事情で就寝時間が遅 くなる人 もいると思 う.が、規則正 しく夜11時に寝 るとい うのはどうか」
とい う番組司会者の質問に対 して瀬川氏 は 「いけません」 と明言 した。 このほか体温の リズム、T9-暁星論叢第55号 (2005) ホルモ ンなどは陽の光 を受 けることによって一 日の リズムがで きる。子 どもの時 は昼夜 の リズ ムが しっか りしていることが大切 なのである。 9時 に しっか り寝か しつけると言 うことが大切 である、 と述べ た。 上田教授 (猫協医大)は 「セロ トニ ン神経系の発達が十分でない と脳の発達が阻害 され、攻 撃性 を抑 えられない子 どもになるのではないか、 (動物実験の結果 なので確認は必要だが)人 間で も同 じことが起 きるのではないか と推測 される
」
と述べ た。 さらに 「規則正 しい睡眠が取 られない と、セロ トニ ン神経系の発達が妨 げ られ、情緒、はいはいなどの運動系 を介 しての認 知能力の発達、親子関係、社会性、環境順応の発達が妨 げ られる。 セロ トニ ン神経系の発達 の ためには、 「昼間起 きていること」 または「
(
親が子 どもを)いかに起 こ してお くか」が重要で ある。 --夜 しっか り寝 て、昼間 しっか り起 きていること、 この ようなリズムが規則正 しくな っていることが大事 だとい うことを子 どもたちとかかわっている人たちが しっか りと理解 して いることが大切である」
と述べた。 三池輝久教授 (熊本大学小児科)は不登校、睡眠 リズムの乱れのある高校生 に光治療 を行 っ た。覚醒 リズム治療である。高次脳機能 (学習、記憶 を司る脳機能)が落 ち、エ ネルギー低下 状態で、疲れやす くなっていた。慢性的時差ボケ状態である。光刺激 を与 える実験室で午前 中 いっぱい強い光 (5,000ルクス (薄曇 りの 日の昼間の光))を当て、午後 には弱 くし、9時以降 は真 っ暗にして眠 らせた。 この治療の結果、患者の目覚めは改善 され、朝昼の区別がで きると 共に、イライラも消失 した。脳の発育、身体の発育 に及ぼす光刺激の重要性が知 られた。同教 授 は 「早寝 ・早起 きが重要であることを社会 も認識 し、子育てに関係 している人 に認識 してい ただきたい。保育 に関わっている人が認識 し、夜 は 9時 までに眠れるようにす る、昼 間は起 き ているとい う習慣 を4- 5歳 までにやっていただきたい」 と述べた。 早起 きの重要性 については、税所 (2005)も指摘 している。 「朝 は5時起床が理想的、 --起床 ・就寝時間のズ レとともに身体 に変化が生 じ、それ までは珍 しかった自律神経失 調症、哲病 (うつび ょう) などの気分障害が増 えている、--・
5
時は2
つの神経 の力関係 が逆転 し、切 り替わる時間。交感神経の働 きが強 まる と体の活動の準備が整 う」と
。 (2)睡眠の習慣づけの方法 研究者や実践家が示 している睡眠の習慣づ くりの方法 をまとめてみよう。 ①眠る環境 を用意す る 友走 (2004)は寝 る時間になったら子 どもに 「寝 なさい」と命令す るだけではダメであ る、 とい う。 「眠るには、眠るための環境 ・態勢がいる。 寝 る直前 までテレビを見ていて は、す ぐには寝つかれない。寝 る時間が近づいた ら、テ レビを消す、静かな部屋 にす る、 いっ しょに絵本 を読 んでやるなど、眠 りにつ くための具体的な手助けを してや らない とい けない・--」 とい う。子 どもの寝室 にテ レビの音や話 し声が聞 こえると子 どもは安心 して - 10-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚) 眠れない。親の協力が必要なのである。 「日本の就園前の子 どもたちは、夜型の大人の生 活 リズムの中で暮 らしている。 幼稚園や保育所 に通 うようになってか らあわてて子 どもの 生活 リズムを作 ろうとして も、す ぐには適応で きない。子 どもが出かけた先で自分の力 を 発揮で きるか どうかは、家で十分 に寝て しっか り食べ ているか どうかにかか っている
」(
友 走、2004)0
②運動あそびを積極的に取 り入れる 前橋 (2004)も早寝 ・早起 きにはそのための環境や雰囲気作 りが必要であるとい う。午 前中だけでな く、午後3
時以降の運動遊びを充実 させ ることにより疲れ も生 じ、夕方 には 空腹 になるので夕食 に専念で きる し午後8
時頃には眠 くなるという。生活のなかで運動量 が増せば睡眠の リズムが整い、食欲 は旺盛 になる。 (彰早起 きの習慣化 夕食は遅 くとも午後7
時 ごろにとる必要がある。 夜遅 く寝 ることもあるだろうが、朝 は 常 に一定の時刻 に起 きることが大切である。朝の規則正 しいスター トづ くりが何 よりも肝 心である。 ここで も親の協力が求め られる。 モデ リング理論が示す ように、親が早 く起 き て子 どもの よいモデル となるようにすること (前橋、2004))が効果的であると考 えられる。 神山 (2004)は 「まずは早 く起 こして、生体時計の同調 に重要な朝の光 を浴 びさせ ること か ら始めよう。その うえで昼間の活動 を高め、その結果 として早寝 を期待 しよう (文体の 変更は長塚)」と述べ る。 同氏 は 「昨 日まで夜 中の12時に寝ていた子 どもを午後9時に寝か せ ようと思 って もそれは無理である」
と言 うのである。 2-2 あい さつの習慣 基本的習慣の中で睡眠習慣 に次いで重視 したい習慣 は、以下の理由により、あい さつの 習慣である。 (1)あいさつの習慣 をめ ぐる課題 社会生活 における挨拶の意義や重要性 を否定す る人はいない と考 えられる。橋本 (1999) は、 「挨拶は日常無意識的に くり返 している生活習慣の- こまであるが、なお ざ りにすれ ば 『挨拶 もで きない奴』 とか 『挨拶 もしないで行 って しまった』などと言われる。 どうで もいいことの ようであ りなが ら、挨拶はやは り重要であるらしい。挨拶 に相当す る行動様 式 を持 たない民族 はない と言われる」
と述べ た。 橋本 はさ_う に、良好 な人間関係の維持 ・発展の上で挨拶 は人間相互の宥和剤であるとし て次の ように述べ た。`、
「挨拶は基本的に相手の攻撃行動 を宥和するのが最大の目的である らしい。▲-- また互いの心理的連結回路 (接触)が有効 な状態 にあ り、群が保たれている ことを確認する機能がある」と。 筆者が睡眠の習慣 についであいさつの習慣 を幼時 に身につけるべ き重要な習慣 と考 える ェ Eは-暁星論叢第55号(2005) 最大の理由はこの考 えに同意するか らである。 もう一つの理由はこれに続 く橋本 (1999) の見解 も社会病理的な問題行動 を考察す る上でわれわれ心理学研究者 に重要な示唆 を与 え ていると考 えるか らである
。「
--近頃は挨拶 もろ くにで きない子 どもが増 えて きた 。--若い世代 はあい さつの機能 を十分 に認識で きていない--社会全体が ます ます攻撃的に なって きてお り、子 どもの世界ではい じめなどの形でそれがいびつに現 れていることと、 一般的に挨拶の習慣が廃れつつあることとは無関係ではない ように思 う」。 あい さつ をめ ぐる最近の状況については蔵満 (2004)が 「自分か らすすんで挨拶 を しな いだけでな く、--挨拶 されて も自然に挨拶 を返せ ない子 どもも多い。子 ども同士での挨 拶は皆無である」
と言 うように、多 くの子 どもが挨拶 をしない、あるいは挨拶で きないの が実態であるようである。 しか し、 「挨拶 は義務 とか きまりではな く、人 と仲良 くなるた めに人間が発明 した知恵である」(蔵満、2004)と考 えられるので、その社会的お よび心理 的意義 を踏 まえ挨拶の習慣形成 に努める必要があると思われる。桜井(2004)も挨拶 を 「友 達 と楽 しくかかわれる習慣」
の一つ と位置づ け、 「友 だちの話 を真剣 に聞 く、ルールを守 るなどの習慣 とともに、小学生の うちにこれ らの友だちとの関係 をうま く構築で きる習慣 を身につけてお くことが必要である と思われる」と述べている。 それではあいさつの習慣 をどの ように して身につけさせ ることがで きるのだろうか。 こ れについては蔵満 (2004)の指導法が参考 になる。 (2)あい さつの習慣づ けの方法 蔵満 は教師に対 して自然 にあい さつがで きる子 どもは、保護者や地域の人々にもあい さ つがで きる子 どもであると考 え、学校で 自然 なあいさつがで きるように繰 り返 し練習 をさ せている、 とい う。 児童が教師の顔 を見 て もあいさつ をしない ときは、そのつ ど呼んで、 自分か らあい さつするよう指導する、何度言 って もあいさつ を自分か らしない場合には、 あい さつす ることの大切 さを考 えさせ る、 と述べている。 筆者 もこの方法 に賛同す る。 習慣形成 に条件付 けなど学習の原理が重要であるなどと言 う必要はないが、習慣 とは 「同 じ生活の営み を くり返 してい くうちに行動の型が定 まって くること」(
山下、1963)であるか ら、同 じ行動の反復が重要なのである。 蔵満 は 「家庭では、子 どもたちが朝起 きた ら、 自分か ら親の近 くに行 き 『おはようござ い ます』と、挨拶するよう指導 し、保護者 には、学級通信で、子 どもが 自分か ら挨拶する よう指導 していることを知 らせている」 とい う。家庭の協力 を求めるこの方法は有効であ ると思われる。蔵満は、休み時間に廊下ですれ違 う子 どもに対 して とにか く「おはよう」
「こ んにちは」最後は 「さようなら」
と一 日中声 をかけ続 けると言い、挨拶 をすることはプラ スになることはあって も、マイナスになることは何 もない、 と言 う。そ して 「子 どもたち も挨拶 をす ることが気持 ちのいいことだ と分かると自然に声が出て くる」 とい う経験談 を 述べ ている。 これは蔵満の挨拶の指導が子 どもたちにとって挨拶が気持 ちよくやれるよう -12-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚) に、またやろうとい う気持 ちを呼び起 こす ように行 われていることを物語 っていると思わ れる。 挨拶 とい う行動が習慣化 されていける道 を開 くような気持 ちを誘い起 こしているよ うに感 じられる。参考 に したい方法である。 さらに型つけの過程では例外 を作 らないこと が大切 (山下
、1
9
6
3
)
である。2-3
学習の習慣 幼時に子 どもに身につけ させたい習慣の第3
は学習の習慣であるように思われる。 (1)学習の習慣 をめ ぐる課題 一学習の習慣づけを重視する理由 学習め習慣は小学校 に入学する子 ども、すなわち児童期の生活習慣 として重要であると 考 えられる。 小学校 に入学す ることは 「体系的学習」
が始 まることを意味する。 従 って学 習習慣の形成が重要な課題 となる。 玉瀬(
2
0
0
4
)
が指摘 しているように 「子 どもたちの学 校 における最大の悩みは実 は学習のつ まづ き」 と考 えられるか らである。学習習慣がない と学業不振児が生み出 されるとい う論議 もあったが、学習のつ まづ きを回避するために も 学習の習慣づけがはか られなければならないのである。 --玉蘭は 「この間題 を解決する 方法は教師がいかに分か りやすい授業 をし、本質的なことを考 えることに集中させ、勉強 が楽 しい と思わせ るかにかかっている (が、)・--生活習慣の基盤が しっか りして くると、 自然 に学習意欲 も湧いて くる。勉強 にも積極的になれる し、知 らないことを知 る喜びや、 わか らなかったことがわかる楽 しさを味わうこともで きる (括弧内は筆者)
」が、筆者は、 桜井や杉村(
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0
0
4)
が述べ ているように、自発的学習への有効 なアプローチ として宿題 を す る習慣が重要であると考 える。 桜井(
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)
は 「一 日の生活サ イクルの中で、復習、宿題、予習等の家庭学習時間をど う確保 し、それをどう習慣づ けるかが (基本的な生活習慣の中で)最大の関心事 になるも の と思われる (カッコ内は筆者)」と述べ家庭での学習習慣 を重要 な基本的な生活習慣の一 部 として位置づけている。 (2)学習の習慣の形成方法 遊 び、テレビ、ゲーム、マ ンガ ・読書、夕食、入浴 など子 どもにとって誘引性の高い タ スクに引 きつけられる時間を考 えると、帰宅後の子 どもに自発的 ・自主的な学習 を期待す ることは難 しい。従 って学習の習慣づけのために宿題 は不可欠であるように思われる。 宿蓮 をする習慣が家庭学習の基礎であるとい うのは杉村(
2
0
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)
である。 杉村は 「宿題 は毎 日ある、ことが望 ましい。--家庭は自主的に学習す るところだか ら宿題 は不要、 とい う人 もいるが宿題がで きないのに自主的な学習がで きるだろうか」
と述べ る。 この ような 考 えの もとに杉村 は 「宿題 をす ることを重要な生活習慣 として一 日のスケジュールの中に 組み入れ、・・・-自発的に実行で きるようになるまで習慣づける--最初は短い時間で も机 に向か う習慣がで きればよい し、低学年の子 どもには、宿題の結果 をかならず点検 してヤ ー 13-暁星論叢第55号(2005) るようにする。その際、絶対 に叱 らないこと
」
と宿題 の与 え方 を説いている。3
保育者に求め られる基本的留意事項 日々の生活や保育場面 な ど、保育士が保護者の問いに答 えることが求め られるような場 面において、 「あれ もこれ も大事」
とい う構 えではな く、 とくに念頭 に置いて強調 し、形 成 をはかるべ きこ とを勧める習慣 は何であろうか。 すでに述べた 日本小児保健協会の平成12年度幼児健康度調査 によれば、母親が 日常の育 児の相談相手 として求めているのは、全体では 「夫婦で相談す る」
が73%、 「祖父母」が 50%、 「友人」が49%、 「近所の人」が19%で、これに次 ぐのが 「保育士 ・幼稚園の先生」
で、14%だった。 この割合は3歳以降に増加 し、3歳児で14%、4歳児で24%、5- 6歳 児で24%となった。保育士等 は子 どもが集団生活 に入ることによ り身近で相談 しやすい相 手 として登場 した と考 えられる。 保育士 ・幼稚園の先生 は2歳以降で昭和55年債 4-10%、 平成2年値7-19%が このたびの平成12年値では12-24%に上昇 した。 無藤 (2004)が述べた ように保育士が保育所 において母親か ら受 ける悩み相談 として最 も頻度が高い相談内容 は 「乳幼児 に関すること」 と 「発達障害 に関す ること」
であると予 想 される。 保育士 は助言 を行 うための知識お よび技能の修得、維持そ して向上 に努めなけ ればならないのであるが、その内容 として最小限念頭 に置 くことが望 ま しい と思われるこ とは、最近の専門家の指摘や論評 によれば、筆者が本稿で強調 した睡眠の習慣づ けを主 と する基本的習慣の形成であると思われる。 以下ではこれ らの習慣づけを図る際に心得 てお くべ き基本的方法 について記 してお く。3-1
型つけ 上 に子 どもの教育 における重要な課題 は基本的習慣、なかんず く睡眠、あい さつお よび 学習の習慣の形成であることを述べ、特 に重点 を睡眠習慣の形成 においてその問題点 と習 慣づけの方法 を示 した。 基本的習慣 は、上 に示 した3
つの習慣のほかすべ てが重要である ことは言 うまで もない。いずれ も山下の示 した基準 に従 ってすべてクリアされることが望 ましい。習慣形成の条件 として山下は反復、型つけ、練習お よび気持 ち (動機づ け)の4 条件 を示 し、 とくに 「型つけ」
を重視 し、その方法 を次の ように述べ ている。 「ある行動が習慣 になってい くためには、その行動 に含 まれる一つ一つの細かな部分が、 決 まった方式通 りに順序づ けられなければならない。た とえば "鼻 をかむ" とい う行動 を 習慣づける場合、紙 を出 して鼻 にあて、 まず片方の鼻 を押 さえてかみ、 さらにもう一方の 鼻 を押 さえてかむ。そ して鼻の下 をよく拭 き取 る、 とい う一連の動作が この通 りに順序づ けられてい くことが必要である。 そ してこれが一つの型に固まってい くためには、その度 に同 じことを くり返す ことが必要である。型つけの過程では手 を取 って模範 を示 してやる - 14-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚) ことが何 よりも大切である。 例外 は禁物である
」
と。3-2
訓練 前項で、型つけの終わ りに 「例外 は禁物である」
と記 したが、山下 (1979)は しつけ と 同 じに使 われる言葉 として 「訓練」をあげ、訓練の意義 をつ ぎの ように強調 した。 (1) 「してはならないこと」の厳守一消極的訓練-「た とえば、 どんなことがあって も、定め られた時間以外 にはお菓子 を食べ ない、そ し て食べ させ ない、 と言 うように行動 の限界 をきちんと厳格 に守 ること、 これが訓練の確立 である」 とい うように、子 どもに一定の行動の限界 を認識 させ、その限界内で行動す るこ とを身につけさせ ることが大切である。 わが ままといい、甘 ったれ とい うのは、限界のな い無軌道な行動である、 と述べ た。 (2) 「すべ きこと」 の実行-積極的訓練-「どんなに遅 くなって も寝 る前 になす べ きことはさせ る。た とえば どんなに眠 くて も、 歯 は必ず磨 く、 ということを守 らせ るとか、 もっと大 きい子 どもであれば着ていた着物の 始末は きちんとしてか らやすむように必ず させ る」 とい うように、やるべ きことはどんな ことがあって もや らせ るとい う訓練が必要であると言 う。 (3)訓練 における一貫性 日常生活、学習面いずれの場合に も、以上の ような訓練の確立、 とくにその厳格 さお よ び一貫性、いつで も一貫 して同 じ方針で訓練すると言 うことが子 どもに対す る親の態度 と して しっか りと心 に刻み込 まれなければならない態度であると述べ ている。山下 (1979) はひとりっ子研究の第一人者 として、ひとりっ子の親が注意すべ き態度 を列挙 し、 「明 ら かにされたひとりっ子 をめ ぐる問題点 (注意点)は、そちらへ進 んではいけない方向 を示 す羅針盤である」と述べた。 以下の5項 目は山下が列挙 した注意事項 をもとに筆者が加筆 し、子 どもに対す る一般の 母親の態度のあ り方 として参考 に供するものである。 山下が述べ たように 「ひとりっ子の 教育原理は、ひとりっ子でないすべ ての子 どもたちにとって も正 しい、 よい教育の指針 に なる」
と考 えられるか らである。 4 子 どもの教育の基本的指針 (1)過教育 を警戒すること 山下は 「で きるだけ少 な く教育すること、 とい うとおか しな表現か もしれないが、その 意味す る ところは、なるべ く子 どもを先 に立 てて親 は後か らついてい くとい うことであ る」と述べた。なん とか してや りたい、手 を出 したい、なんとかい じりたい とい う気持 ち をお さえて、ただ黙 ってあ とか らついてい くことである、 とい う。 - 15-暁星論叢第55号 (2005) (2)子 どもを自分 自身で活動 させ ること 、 親はともすると、何 をす るにも子 どもの先 に立 って、たたいてみてか ら橋 を渡 らせ る。 だか ら子 どもは、 自分 自身の力で、 自分 自身の活動 によって動 いてい くとい うことがで き ない。 もともと、子 どもは、 自分で、 自分の力で、みずか ら試み、みずか ら考 え、結論 し、 自分の力 を外の世界 に思いっきりぶっつけてみることによって外の世界 をほん とに しるこ とがで きるのである。 「子 どもを先 に立てて、 自分 は引 き過がれ」 なのである。 (3)で きるか ぎり、思 う存分 に精一杯 に子 どもを活動 させ ること これは子 どもに経験 を積 ませ る、経験 を豊かにさせ るとい うことである。 (4)独立性 を養 うこと なんで も自分で させ る、た とえ危 なっか しくて も、 しくじって も、親 は手 を出 さないで、 子 ども自身にや らせ るようにする。子 ども自身に生活 と対決 させ、自分の生活は自分で さ せ る。 す なわち生活の自立 を身につけさせ るようにす る。 これが独立性 を子 どもの うちに 養 う親の態度である。 この構えは、下記の本書の最近の考 え方 にも見 られる。 (5) 「計画的放任
」
を 子 どもの教育 ・しつけの全般 にわたってキチ ンとした見通 しと計画 をもち、 この計画に したがって自由に色 々な経験 をさせ るとい うや り方である。 むやみな放任ではな く、 しっ か りした原理 に貫かれた放任である、 とい う。5
子育てにおける完壁主義 ・指示の し過 ぎの弊害 山下 によって示唆 されたこの よ.うな教育の指針は、最近の本吉 (2004)の子育てにおけ る完壁主義 ・指示の し過 ぎの弊害についての指摘 にも通 じる。 本書は次の ように述べ た。 「子育てに関 して最近 は我が子が苦 しまず、困難 に出会 うことな く何で もで きるよい子 に 育 ってほ しい とい う完ぺ き主義の母親が多 くなって きた、 と感 じてお り、我が子 の行動す べてにおぜ ん立てをし、失敗 しない ように先回 りして しまうケースが多い」と。そ して「大 人が指示命令すれば言われ通 りにで きる子 どもにはなるが、・・・-何の力 も身につかな くな る。後々自主的な判断がで きな くなるなどの弊害 を伴 うことも多い」 とい う。 --・そ して 幼児が 自分で考 えて、 自分の行動 に責任 をもつ ように育つためには、 「子 どもが新 しい体 験 をする時には じめはうま くで きず につ まずいて失敗 して もあえて見守 ることが大切であ る」 と述べ、敢 えて子 どもに失敗 させ る育児法 に効用がある、子 どもの将来 を考 えるなら、 それが本当の親の愛情 なのだ と結んでいる。 子育て支援 に関わる多様 な論議が交 わされる 今 日、半ば古典的 とさえ考 えられる山下の論議お よび子 どもの訓練のための推奨事項 に通 じる本書の提言は傾聴 に値す るもの と考 えられる。 - 16-幼時における基本的習慣形成の重要性 について-とくに睡眠の習慣 をめ ぐって-(長塚 ) 6 結語 生活体の発達の初期 には特定の生得的行動 を発現 させ、成長後 も持続す るように形成す る決定的な時期がある とされる (Hebb,1961)。これは臨界期 (criticalperiod) と呼 ばれる 時期であるが、大川 (2005)に よれば、中枢神経系が急速 に発達す る新生児期 か ら乳幼児 期 にかけて、生体 リズムの発達 に大切 な臨界期があ り、 この時期 に正 しく調整 されない と、 安定的な生体時計 は得 られない、 とされる。本稿では、子 どもの心身の健全 な発達 のため に基本的習慣の うち井上 (2005)が 「近年、各方面で話題 になることが多 くなって きた」 とす る睡眠障害 に関連のある睡眠の習慣づけに力点 をおいて最近の課題 と方法 を示 し、 こ れにあい さつお よび学習の習慣づ けを加 えた基本的習慣 の形成 の重要性 を論議 した。 これ らの うち、夜ふか し ・睡眠不足が心理学的に問題 になるのは、夜ふか し等 による生 体 リズムの狂 いにより、大川 (2005)も述べ ているように、子 どもの 「知的 ・情緒的発育 の遅れ、--朝の体調不良、そ して不登校や引 きこもり、意欲 の低下--などの危険性が 高 まる。 またイライラ感の増強が乳児の ぐず り、幼児の多動障害、小 中学生のキ レやすい 傾向な どを生み出す ことに もなる
」
と考 えられるか らである。 またあい さつは人 と仲良 く なる、友達 と楽 しくかかわ り、友 だち との人間関係 をうま く構築で きる習慣であ り、学習 の習慣 は学校 における体系的学習のつ まづ きを回避 し、学校-の適応 を達成す るために身 につけることが望 ましい習慣 であるので幼時 における習慣づ けが望 ましいことは前述の臨 界期の概念 に照 らして も明 らかである。 本稿 のは じめに述べ た ように最近 は子 どもをめ ぐる多種多様 な問題行動が多発 し、その 防止が社会的課題 となっている。そ して、臨床心理学関係者や教師経験者が多数動員 され、 学校等の現場や行政等 の各種委員会の場で対処が図 られているが、その効果評価 の報 に接 することは少 ない。筆者 はこれ らの対処 も一定の効果 をもた らす もの と考 え、期待 してい るのであるが、問題行動への対処 と同時 に 「問題行動 の事前 の回避 あるいは予防」策 を講 ず る途 も効果 な しとは しないのではないか、 と考 えている。 「日常生活の さまざまな工夫 によ りその被害 を未然 に防 ぎ健康増進 につなげることは十 分可能であると考 えられる。
」これは睡眠障害 に関連 して述べ られたコメ ン ト(井上、2005) であるが、睡眠、あい さつお よび学習等 の基本的習慣 の形成不全が今 日メディアをにぎわ す問題行動の成因の一部 になっていることを考慮す る と、従来 に も増 して基本的習慣形成 の重要性 を再認識 し、井上が示唆 した ように 「日常生活の さまざまな工夫」
として基本的 習慣形成の努力 を積極的に推進す ることも、遠 回 りではあるが、問題行動回避へ の有効 な 礎 をなすのではないか と思 われる。 無藤 は 「教育場面 としての保育は子 どもの問題行動や 障害 に対応 ることで満足す るのではな く、負 の問返 に対処す る以上 に子 どもを積極的 に伸 ばす ことに重 きがある (筆者が一部加筆)」と述べ ているが、 この見解 は臨床心理学的ある いは教育的対処 に加 えて基本的習慣 の積極的形成 を図ることが、実 は、子 どもの健康 な人 一 17-暁星論叢第55号(2005) 間形成 を もた らす途 で あ る とす る筆者 の考 え に通 じる ものであ る。 引用文献 足立知昭 ・村井憲男 2004キー ワー ド検索で探 る親や家庭 の問題 の変遷 発達科学研 究 (宮 城学 院 女子大学付属発達研究所)第4号 35-40 井上雄一 2005不眠 と睡眠の科学 こころの科学 No.118/1-2005特別企画一不 眠 と睡眠の科学-13 頁 日本評論社 蔵満逸司 2004子 どもの成長 に必要な生活習慣 あい さつ 児童心理 2004年8月号臨時増刊 52-56 巷野悟郎 2003睡眠 今村栄一 ・巷野悟郎編著 新 ・小児保健 第7版 診断 と治療社 第7章 120頁 神 山 潤 2004a眠 りを奪 われた子 どもたち 岩波 ブ ックレッ ト