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労働力不足と中小企業の対応--香川県の中小企業を事例に---香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第65巻 第 3号 1992年12月 61-109

労働力不足と中小企業の対応

一 一 香 川 県 の 中 小 企 業 を 事 例 に 一 一

山 下 隆 資

I は じ め に 今回の景気拡大(いわゆる「平成景気J)は,昭和61年 11月を底として始まっ たが,当初は, 60年秋以降の急激な円高による外需減少の影響を受け,回復の 足どりは弱かった。しかし, 62年夏頃から,設備投資,住宅建設,個人消費を 中心とする国内需要が堅調な伸びを示し,景気の拡大テンポは次第に早まって いった。 そして, 63年に入ると,内需主導型の経済成長が一段と鮮明になり,企業の 雇用意欲も増大することとなり,労働力需給は,それまでの緩和基調から引き 締まり基調に変化し,企業の人手不足感が急速に広がって行った。 労働力需給状況を反映する有効求人倍率の推移をみると,今回の景気回復の 始まった 61 年 10~12 月期の有効求人倍率は 0..61 倍で,求職超過の厳しい雇用 情勢であった(第l図参照)。 だが,その後,景気回復にともなって求人倍率は徐々に上昇しはじめ, 63年 7~9 月期にはようやく l 引 O 倍を越え,求人超過の状況となれ平成 3 年 1~3 月期には1..46倍となり,第一次石油危機以降最も高い数字を示すこととなっ

た そして,このような労働市場での労働力需給の引き締まり基調を反映して, 企業の労働力不足感が次第に広がっていった。日本銀行「企業短期経済観測調 査」の雇用人員判断D..L (f過剰」と答えた企業割合一「不足」と答えた企業割 合,%ポイント)をみると,主要企業(原則として資本金10億円以上の上場企

(2)

~62 香川大学経済論叢 218 業 ) で は , 昭 和63年 11月 に マ イ ナ ス lとなり I不 足 」 と す る 企 業 割 合 が 「 過 剰」 と す る 企 業 割 合 を 超 え る こ と と な っ た 。 また, こ の 労 働 力 不 足 感 は , 中 小 企業ほど強く,中小企業では, 62年11月 に マ イ ナ ス に 転 じ , そ の 後 不 足 超 過 幅 が 拡 大 し , 平 成

2

年11月 に は マ イ ナ ス 47と な り , 調 査 開 始 以 来 最 高 の 水 準 と な っ た ( 第2図参照)。 第1図 求人倍率, 完全失業率の推移(季節調終1ti白) (倍,%)Ll J 谷 山 谷 山 谷 山 谷

;

:

L

111日IW 1 IJ!IWI Il lI!JN 1 I!IHNI IIUllV 1 lIIlIN'"rnWI [JlIllVl IIH!W 1 IIIlIlV 1 Ill!JlVI HIH!VIIl由lVJUIlWJIIlllNJllml! VlUlilNllllllNIIIIIIN 49- -50- -51一一52- -53- -54- -55- -56← 57- -58 守59- -60-日61- -62- -63 乎成. -2-ー3ー J( 資料出所:労働省「職業安定業務統計J,総務庁統計局「労働力調査」 (1) なお,労働力不足の状況は,企業規模別ばかりでなく,産業別,職種別,年齢別,地域 別においても大きなばらつきがある。例えば,産業別にみると,建設業,製造業,卸売・ 小売業,飲食庖などでの労働力不足が深刻であり,職種別にみると,建設業関連では鉄筋 工,型わくエ,とび工,製造業では技能工・生産工,卸売・小売業,飲食庖での販売,サー ビス業でのサービスなどの不足率が高い(1労働白書(平成3年版).1, 33~34頁参照)。ま た,年齢階級別の有効求人倍率(平成2年)をみると, r29歳以下JL86倍, r30~44歳」 2.39倍, r45~54歳J 1..49倍となっているが, r55歳以上」では

o

40倍となっており, r55 歳以上」の高年齢者にとっては,依然として求職超過の状態で,厳しい雇用情勢となって いる。さらに,地域別の有効求人倍率(平成2年)をみると,北関東2..33倍,東海227倍, 北陸1..92倍などでは全国平均140倍を大きく上回っているが,九州では0..93倍,北海道で は

o

65倍となっており,全国平均をかなり下回っている(労働省編『日本の労働政策(平 成4年版)1,194~195頁参照)。

(3)

jl

219 労働力不足と中小金業の対応 FO 企業の雇用人員判断の推移 (DI.=過剰l企業割合一不足企業割合) 資料出所:日本銀行「企業知期経済観測調資」 中小企業における労働不足の広がりは,企業経営そのものにも深刻な影響を 与えることとなった。中小企業庁「雇用問題実態調査j (平成元年 12月)によ れば,中小企業における労働力不足の影響として「人員の増加が困難で事業の 拡大ができないj,,-受注をこなしきれない」とする企業が続出し,これを業種 別にみると,-事業を拡大できない」とするものは,運輸・通信業,卸小売業, サービス業で多く,-受注をこなしきれない」とするものは,運輸・通信業,製 造業で多くなっている。 また,中小企業金融公庫「中小企業動向調査」によれば,昭和 63 年 7~9 月 以降,中小企業にとって経営上の最大の問題点として「人手不足(求人難)jを あげるものがトップの座をしめるようになった(第

1

表参照)。そして,東京商 工リサーチ「企業倒産状況」によれば, 3 K的色彩の強い建設業や製造業の中 小企業の一部では,労働力不足による企業倒産もでている。 圏内経済のこのような状況のもとで,地方における中小企業の労働力不足も きわめて深刻となっている。小論で、は,香川県内の中小企業が,-構造的な労働 力不足」といわれるなかで,どのような「生き残り戦略」を展開しているのか, (2 ) 中小企業庁編『中小企業白書(平成 2年版)J,38~39頁。 (3 ) 関 満博他編『入手不足と中小企業J,34頁。

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~64~ 香川大学経済論叢 220 第1表 中小企業の経営上の問題 (%) 停売上滞げ 製品安不 足能 力料原 材高 経増費加の 合理化不 足 悪回 収化 借入難 求人難 公 害 確用保地難 その他 1988年 1 ~ 3月 23 4 11 0 7.4 5 1 13.8 7.7 1.2

o

4 12.3

o

5 1 5 4.7 4 -~ 6月 22 1 15 7 7 6 4 7 14 3 7 6

o

9

o

6 15 2

o

6 2 1 4 6 7 ~-9月 20 4 13 6 8 3 3 9 14 0 6 6 1 0

o

5 21 1

o

4 1 9 3 9 10~12月 18 4 12 9 8 1 4 0 14.1 6 0

o

8

o

5 24 0

o

6 2.1 4.7 1989年 1 ~ 3月 16 3 10 1 8.5 4 4 14 9 6.0

o

5 0.4 29 4

o

6 1 6 3 9 4~6 月 18.8 7.2 7 6 5 9 13..8 5 7

o

7

o

2 31 4

o

5 13 3 2 7 ~~ 9月 17 2 6.3 6 2 11.5 4 6

o

7

o

4 39.6

o

4 1 4 3 2 10~12月 14 7 5 4 6.5 4 8 13 6 4 4 0.5

o

4 40 9

o

7 1 4 3 1 1990年 1 ~~ 3月 14 7 4.4 5 7 6.2 17 8 4 5

o

7

o

4 37.3

o

4 1 4 3 1 4~6 月 13 8 4 1 5 7 4 3 18 0 4.6 0.5 0.3 39 6

o

5 1.9 3 1 i~9 月 9.9 2.3 5.5 7 9 27.6 2 7

o

4

o

3 37 3 0.4 1 2 2.1 10~12月 10.4 2.3 5 2 5 5 27 9 3 3

o

4

o

4 37.7

o

4 1.3 2 4 1991年 1 ~3 月 117 2 2 5.4 4 4 27 i 3.1

o

4

o

6 37 3 0.4 1 4 2.1 4~~ 6月 15.0 2. i 4 6 2 8 27 2 4 2 0.5

o

7 35.0

o

4 1.5 2.4 7~9 月 20 8 2 9 4 1 2 4 23 7 4.2 0.4

o

9 34 2

o

3 1 0 2 1 10~12月 31 7 3 3 3.3 1 8 20..9 3 8

o

5 0.6 27 9 0.4 1 1 2 3 資料出所: 中小企業金融公庫「中小企業動向調査」 具体的な事例をみていきたい。幸いにして筆者は,香川雇用促進センターの助 力を得て,平成3年10月から 12月にかけて,県下の中小企業18社(企業の従 業員規模 45~401 人)で,面接調査を実施することができた。紙面の都合上, ここではそのうちの 10社の事例を取り上げ,労働力不足に悩む地方の中小企業 の姿とその対応策を紹介し,今後の課題をさぐってみることにする。 II 香川県の労働市場 県内の労働力不足の実態を知るために,まずはじめに,今回の景気拡大期に おける県内の労働力需給の動向からながめてみることにする。

(5)

221 労働力不足と中小企業の対応 65 1 求人・求職者の動向 まず,昭和 61年度以降の県内の新規求人(新規学卒及びパートタイムを除く) の推移をみる。第 2表で示されているように, 61年度の新規求人数は前年度に 比べ 2..6%増,有効求人数は 0.5%増となっており,ともに増加率は前年度より も鈍化している。これは,四国横断自動車道,新高松空港工事等の進展により 建設業での求人が増加したものの, 60年秋以降の円高不況の影響により,製造 業での求人が減少したこと,また,卸売・小売業・飲食庄での求人が減少した ことなどの影響によるものである。 しかし, 62年度になると新規求人数は前年度比 10.3%増, 63年度は 12..8% 増と,景気の拡大を反映し,全国平均よりも若干下回るものの

2

桁台の大幅 増となっている。これは,県内でも設備投資,公共投資,住宅建設,個人消費 が堅調に推移したことや, 63年春に瀬戸大橋が完成し,それに伴う観光関連産 業の進展などによって,企業の求人意欲が一段と強まったことによる。 そして,平成元年度から

2

年度にかけては,増加率は大きく鈍化したものの, それぞれ前年度比 2..3%,4..5%と増加している。このように増加率が鈍化した 理由としては,平成元年度に関していえば,卸売・小売業・飲食庖,建設業, 農林・水産業などでの求人の減少が影響しており,また 2年度に関しては, 運輸・通信業,公務,農林・水産業での求人の減少や,卸売・小売業・飲食庖 第2表 求人の推移(新規学卒及びパートタイムを除く) 香川県 新 規 求 人 数 月間有効求人数 実 数 対前年比 実 数 対前年比 人 % 人 % 昭和60年度 5,109 4 3 14,372 3..1 61 5,244 2..6 14,451

o

5 62 5,782 10.3 16,197 12.1 63 6,521 12 8 17,614 8.7 平成元年度 6,674 2..3 18,589 5..5 2 6,972 4 5 19.525 5..0 3 6,729 -3..5 19,079 -2..3 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」

(6)

66- 香川大学経済論叢 第3表 産 業 別 新 規 求 人 状 況 昭和61年度 62 農 林

.

水 産 業 354 390 鉱 業 81 60 建 設 業 8,293 8,584 製 造 業 22,725 24,430 第 二 次 産 業 計 31,099 33,074 電気・ガス・熱供給・水道業 84 41 運 輸

.

通 信 業 4,258 4,682 卸売・小売業・飲食庖 13,846 15,593 金融・保険・不動産業 1,501 1,527 サ ビ ス 業 11,222 13,694 公 務 560 377 第 三 次 産 業 計 31,471 35,914 d仁h1h 計 62,924 69.378 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」 (注) パートタイムを除く 63 平成元年度 463 314 137 110 10,373 10.062 27,737 29,030 38,247 39,202 117 87 5,412 5,940 17,108 16.698 1,326 1,270 15,034 15,977 549 604 39.546 40.576 78,256 80.092 での求人の伸び率の縮小が影響している(第3表参照)。 222 香 川 県 2 3 283 231 129 171 10.964 10,255 30,791 28,418 41,884 38,844 101 83 5,799 5,721 17.031 16,014 1,350 1,241 16.684 18,135 537 476 41.502 41,670 83.669 80,745 平成3年度になると,景気減速基調により,新規求人は,サービス業,鉱業 などの一部の産業では増加したものの,他の産業ではほぼ全面的に減少し,そ の結果,前年度比3“5 %減となり,昭和59年以来7年ぶりの減少となった。同 様に,有効求人の方も前年度比2.3%減で 7年ぶりの減少となっている。 次に,第4表で,求職者の動向をみると,昭和61年度の新規求職申し込み件 数は,前年度に比べ0.6%減少している。そして, 62年度以降も,景気拡大に よる雇用改善を反映し,毎年減少が続いている。特に63年度は前年比10.6% 減,平成元年度は前年度比1L6%減となっており, 2桁の大幅減少となってい る。 また,有効求職者についてみると, 61年度は前年度に比べ3 1 %増加してい る。だが,翌62年度からは減少に転じ, 63年度,平成元年度はそれぞれ前年度 比15..1%減, 1L2%減となり, 2桁の減少となっている。そして, 3年度も,

(7)

-67-労働力不足と中小企業の対応 223 求職者の推移(新規学卒及びパ トタイムを除く) 香川県 新 規 求 職 者 数 月間有効求職者数 実 数 対前年比 実 数 対前年比 人 % 人 % 昭和60年度 3,586 3 7 13,999 -8 8 61 3,565 -0 6 14,429 3 1 62 3,442 3..5 14,065 2 5 63 3,

o

n

-10 6 11,944 -15..1 平成元年度 2,721 一116 10,610 -11 2 2 2,527 7 1 10,013 5..6 3 2,458 2 7 9,733 -2..8 第4表 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」 前年度比 28%の減少となっている。 景気が下降しているにもかかわらず, 求人倍率の動向 2 の推移をみ 次に,第

5

表で,求人倍率(新規学卒及び、パートタイムを除く) ることにする。 まず,新規求人倍率をみると, 61年度は 1“47倍であったが,その後,求人数 の増加と求職者の減少により,毎年上昇を続けている。そして, 63年度には 2 倍を超え,平成 2年度には 2..76倍となり,昭和 48年度 (2..53倍)を上回るこ れまでの最高水準となった。なお,平成 3年度は,前年度を 0..02ポイント下回っ たものの, 2..74倍という前年度に次いで、の高い水準となっている。 また,有効求人倍率の推移をみると, 61年度は 1..00倍で前年度より 0..03ポ イント低くなったものの, 62年度からは上昇に向かい,平成 2年度には 1,95 3年度には 1,96倍となり,昭和 49年度 (285倍)に次ぐ高い水準となっ {音, ている。 なお,香川県の有効求人倍率は,全国都道府県のなかでも,最も高いグルー プに属している。例えば,平成4年 1月現在の有効求人倍率(学卒を除きパー トを含む。季節調整値。)は,全国平均で 1..28倍となっているが,倍率の高い 順にならべてみると,①岐阜 (2れ45倍),②長野 (2刷32倍),③愛知 (2..32倍), 7 t t f t s e -長 V B i z e t t s R B R E i t s t f g 予 a s t f a e ! t e s a l l e t -h a B f t g ' B S O S g き e f

(8)

-68 香川大学経済論叢 第5表 求人佑ー率の推移(新規学卒及びパートタイムを除く) 香川県 新人規倍率求 対増前減差年 有人効倍率求 対増減前差年 倍 ポイント fl'i ポイン卜 昭和60年度 1 42

o

10 1 03 0..12 61 1 47

o

05 1 00 -0 03 62 1 68

o

21 1 15

o

15 63 2 12

o

44 1 47

o

32 平成元年度 2 45

o

33 1 75

o

28 2 2 76

o

31 1..95

o

20 3 2 74 -0 02 1..96

o

01 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」 224 ④福井 (2 25倍), ~香川 (2 20倍),⑥富山 (2 18倍),⑦山梨 (212倍), ⑧群馬 (210倍),⑨栃木 (L98倍),⑩島根 (L92倍)の順となっている。 3 中高年齢者の職業紹介状況 次に,中高年齢者の労働力需給の状況をながめてみよう。 第6表で,県内の中高年齢者 (45齢以上)を対象とした職業紹介状況(各年 10月調査)をみると,有効求人倍率は,昭和62年には

o

40倍という低い水準 であった。だが,景気拡大に伴う労働不足のなかで徐々に上昇しはじめ,平成 2年にはL17倍となり, 3年にはOゎ03ポイント下回ったもののL14倍となっ ている。 第B表 中高年齢者の年齢別求人倍率(常用,各年10月) 香川県 昭和61年 62 63 平成元年 2 3 45歳以上計

o

42 0.50

o

71

o

94 1 17 1 14 45~49歳 1 30 1 3i 1.99 2 56 3.00 2..77 50~54歳

o

67 0..78 1 18 1 77 2.24 2..36 55~59歳

..20

o

28 0..42

o

57 0..76

.81 60~64歳 0..12

o

13

o

20

o

26 0..36 0..36 65歳以上

o

33 0..28 0.57

o

90 1 37 LOO 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」

(9)

225 労働力不足と中小企業の対応 -69-これを年齢階層別にみると, '45~49 歳」では,すでに 61 年に 1..30 倍で求人 超過となっており, '50~54 歳」でも, 63年に1倍を超え,雇用環境の改善が 著しく進んだといってよい。しかし, '55~59 歳J ,及び '60~64 歳」では,平 成3年現在でも,それぞれ0..81倍, 0 36倍という求職超過の状態となってい る。 このように,労働力不足の時代」とはいえ,年齢聞にミスマッチがあり, 55 歳以上の高齢者層の雇用環境はきわめて厳しい状況となっている。 なお, '65歳以上」では,求職者の数が少ないこともあって,平成2年には有 効求人倍率がL37倍にまで上昇したが 3年には1.00倍に下落している。 4.. 新規学卒者の職業紹介状況 今回の景気拡大のなかでは,特に若年層の労働力不足が叫ばれているが,続 いて,県下の新規学卒の労働市場をながめてみることにする。 (l) 中学校卒業者 香川県「学校基本調査」によれば,県内の中学卒業者数は,平成元年3月卒 業の16,876人をピークにそれ以降は減少に向かい,平成4年3月卒業は,県職 業安定課の推計によれば,ピ}ク時に比べ1,595人 (9“4%)減の 15,166人と 第7表 中学卒業者の求人・就職状況 年 次 卒業者数 求職者数 求 人 数 昭和60年 14.829 215 542 61 15.194 172 594 62 16,073 139 381 63 16.648 140 433 平成元年 16.876 176 558 2 16,504 193 803 3 15,774 113 784 4 15.166 150 842 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」 (注) 卒業者数は「学校基本調査」による。 就職者数 215 172 138 140 176 193 111 150 平成4年3月卒は,県職業安定課による推計。 香川県 うち県内へ 求人倍率 県内就職率 204 2..52 94..9 166 3 45 96.5 134 2 74 97 1 131 3“09 93..6 172 3..17 97 7 183 4.16 94.8 103 6.94 92 8 144 5..61 96.0

(10)

5 4 -70- 香川大学経済論議 226 見込まれている(第7表参照)。 そして,求職者数は,昭和60年から 62年にかけて, 215人から 139人へと減 少しているが,その後は増加に向かい,平成2年には193人となっている。だ が,その後は再び減少し,平成4年には,わずか150人となっている。 一方,企業からの求人をみると,昭和60年の542人から翌年の61年には594 人へと大きく増加している。しかし62年には,円高不況の影響により前年度比 35心9%減の381人となっている。その後は,景気の回復にともなって企業の求 人意欲も高まり, 62年の433人から平成4年の842人へと大きく増加してい る。 そして,求人倍率は昭和62年の2..74倍から徐々に上昇し,平成3年 に は ふ 94倍という高い水準に達している。だが,翌4年には前年に比べ1..33ポイント 低い5..61

f

音となっている。 なお,中学卒業者の県内就職率は高く,平成4年の県内就職者は144人,県 外就職者は6人で,県内就職率は96..0%となっている。

(

2

)

高等学校卒業者 県下の高等学校卒業者数は,第8表で示されているように,昭和60年には 10,457人であったが,それ以降毎年増加し,平成4年には15,281人となってい 第8表 高校卒業者の求人・就職状況 年 次 卒業者数 求職者数 求 人 数 昭和60年 10,457 3,332 11,318 61 12,918 3,928 10.862 62 13,027 3,523 9.789 63 1.3,181 3,475 10.161 平成元年 13,574 3,724 13,702 2 14,340 3.863 18.119 3 14,815 4,119 22'.839 4 15,281 3,957 26,193 資料出所:県職業安定課「職業安定業務年報」 (注) 卒業者数は「学校基本調査」による。 就職者数 3.332 3.928 3.519 3.475 3,724 3.863 4.111 3.957 平成4年3月卒は,県職業安定課による推計。 うち県内へ 2.766 3,230 2.949 2.991 3,104 3,260 3,409 3.199 香川県 求人倍率 県内就職率 3 40 83 0 2..77 82.2 2 78 83.8 2.92 86.1 3..68 83 4 4..69 84.4 5 55 82 9 6.62 80ρ8

(11)

227 労働力不足と中小企業の対応 -71-る。 そして,求職者数についてみると,年によって変動があり,最も少ないのは 昭和 60年の 3,332人で,最も多いのは平成 3年の 4,119人となっている。 一方,求人数についてみると,昭和 60年の 11,318人から 62年の 9,789人へ と円高不況により一時的に減少したが, 63年以降は景気の拡大によって急激に 増加している。つまり,平成元年の求人数は前年度比 34..8%増の 13,702人, 2 年は前年度比 322%増の 18,119人, 3年は前年度比 26..1%増の 22,839人とな り,平成 4年は増加率がやや鈍化したものの 26,193人となっている。 その結果,求人倍率も,昭和 61年に 2..77倍であったものが,その後毎年上 昇し,平成元年には 3..68倍となり,さらに 2年 4..69倍, 3年 5..55倍, 4年 6.. 62倍へと急上昇し,中小企業にとっては,新規高卒労働力の確保はきわめて困 難な状況となっている。 なお,高校卒業者の県内就職率は,若者の大都市への流出の影響もあって, 昭和 63年の 86..1%をピークに毎年少しず、つ低下し,平成 4年は 80.8%となっ ている。 III 労働力不足に対する個別企業の対応 前節では,主として昭和 61年以降の香川県下の労働市場の状況についてなが めてきた。県下でも景気拡大にともなう労働市場の逼迫により,特に,中小企 業では労働力不足が深刻化し r納期・工期の遅れJ,r顧客へのサービスの質の 低下J,r現従業員の残業・休日出勤の増加J,r受注の抑制」などといった経営 上の問題が生じている。以下では,県下の個別企業の立場からみた労働力不足 の状況と,それに対する個別企業の具体的対応策を紹介し,労働力不足に悩む 中小企業の実態を明らかにしたい。 すでに述べたように,筆者は,平成 3年 10月から 12月にかけて,労働力不 足に悩む県下の中小企業 18社(主として製造業)を訪問し,面接調査を実施す ることができた。調査にあたっては,前もって質問事項(各企業における労働 力不足の実態,労働力不足の原因,労働力確保・定着・育成のための対応策等)

(12)

-72 香川大学経済論叢 228 をお知らせし,人事担当責任者(各企業の課長クラス以上)から直接回答・説 明を得ることができた。以下は,それぞぞ、れの企業の人事 をとりまとめたものである(紙面の都合上,ここでは18社のうち 10社の事例 を取り上げることにした)。 A社の事例(製造及び卸業) 村 会 社 の 概 要 1.業 種:婦人服,婦人セータ一等の製造と卸 2 従業員構成:正社員:118人(男子 36人,女子82人) ノfート 29人(女性のみ) 仁 〉 労働力不足の状況 当在は,毎シーズン,婦人服,婦人セーターなどのオリジナルデザインの商 品開発を手掛けているが,ファション感覚が優れいて,能力のある専門職(商 品企画,デザ、イナー,パタンナー)の人が数名不足している。 さらに,生産部門の技能工も不足している。 6ヶ月前に新設した工場では約 10名ぐらい技能工が不足しており,現在,中途採用を積極的に進めているが, 経験者の応募が少なく,やむなし未経験者の中高年者を採用している。しか し,中高年未経験者に技術を修得させるのには,相当の時間がかかり大変であ る。 技能工の養成は,新規学卒者を採用し,技能教育をしていくことが最も望ま しいが,新規学卒者で,生産部門を希望する人はきわめて少ない。豊かな時代 に育った若年者は,売手市場ということもあって,生産の仕事を避ける傾向が

j

強い。 人手不足の対策として,機械化(最新自動化機械)やグラフイツクデザイン システム, CADなどコンピュータ化して合理化をはかっているが,感性と技術 を要する部門では,在籍社員の残業時聞を増やさざるをえない状況となってい る。 (当労働力不足の原因

(13)

229 労働力不足と中小企業の対応 -73ー 「なぜ人が集まらないのか」ということについては,次のような要因が考え られる。 まず第1は,専門職の場合,地元に専門学校が少ない。 Uターンをねらって いるが,東京,大阪などの主要都市に学校,企業ともに集中しており,

U

ター ン希望者も少ない。また,業界における当社の知名度も不足している。 第

2

は,生産部門は縫製業のイメージが悪く,これまで,他業種にくらべ, 賃金,休日など待遇面で遅れていた。 第3は,職場に中高年齢者が多く,それが業界全体のイメージとなっており, 若年層が集まらない。 第

4

は,生産部門で若年層がコツコツ技術を積み上げて,技術を身につける という意識が少なくなったと思われる。新卒採用依頼で学校訪問しでも,就職 担当の先生から r地道で根気のいる生産従事希望者は少ない」と言われている。 第

5

は,既婚の女子パート社員の雇用に関しては,税制問題がある。人の集 まらない直接の理由ではないが,扶養家族にとどまりたいと考えている人がお り,これがネックとなって,多くの人員を確保できないことがある。 なお,社員の定着に関していえば,男子の定着率は比較的良いが,女子の場 合,若年層は結婚,出産があり,勤務年数は短くなっている。また,中高年齢 層の多い職場に,若年層が少人数入っても,考えや話が合わないらしく,退職 していく場合がしばしばある。 (四) 人材確保・定着・育成への対応策 最近実施した改善,対応策とレては次のようなものがある。

1

れ 人材確保のための対策について 人材確保のために,全国求人誌の専門学校版,専門学校発行求人誌,地元新 聞柾発行求人誌,新聞広告,イメージアップチラシ広告など,あらゆるメディ アを活用している。 また,東京,大阪,神戸などの専門学校を訪問し,まず,先生や就職担当の 方に当社を見ていただくようにお願いしている。当社を訪問された方は,好感 を持って帰られているようである。

(14)

74~ 香川大学経済論叢 230 さらに,本人自身が納得して入社していただくことが,定着する要件である と考えているので,専門学校生や高校生にも,会社訪問をお願いしている。 2.. 職場環境の改善について まず,職場を,都市型アーバンファクトリーに改造した。ファクトリーイメー ジを白に統一して,内装も機械もカラーも白系にした。フロア,壁面も新装し, 照明も

1

2

0

0

ルックスの明るさにして,空間にはグリーンを配備した。また, 機械装置を消音装備するなど快適な職場環境に改造した。 次に,ニューオフィスシステムに改装した。つまり,オフィスや企画室など を全面改装し,机,椅子,キャビネット,カウンターすべて新システムに入れ 替えた。また,展示場,ロビーなども全面改装し,スペースも広くして,楽し く仕事が出来る雰囲気にした。 さらに,あらゆる部門にハイテクコンピューターを導入した。例えば,企画 室にはグラフイツクシステムのコンピューターを導入し,デザイナーにも好評 で,企画提案も早くなり合理化にもつながっている。また,生産部門では,CAD や最新鋭コンピューター自動編機を導入した。 3 福利厚生等に関する改善について まず,福利厚生施設の改善として,①社員食堂の壁,床,照明を全面改装し, テーブル,イスも新しい感覚のものに新規入れ替えをした。また,リフレッシュ ルームを新設し,社員の憩いの場をつくった。②従来の独身寮は共同生活的な 寮であったが,入寮者の希望は単独で生活できるワンルームマンションを好む 傾向にあり,ワンルームマンションに改造した。③当社のグループでテニスコー トを新設した。これは,人工芝に砂をまぜ、た新しいタイプの全天候型オムニコー トである。クラブハウスは,電車を改造したユニークなもので,ハウスの中に は,ロッカー,シャワー,洗面台の他にコミュニケーションルームも備えてい る。 この他の福利厚生に関するものとしては,①海外への社員旅行として,香港 とアメリカ西海岸とに分かれて

1

週間の快適な旅をした。②当社のグループに 野球グランドがこ面あり,現在,野球部が大いに活躍しているが,今度,新し

(15)

231 労働力不足と中小企業の対応 -75-くバレー部が活動を開始し,会社が全面的に援助している。③社員の福利の増 進のために財形,住宅資金貸付制度を実施している。 4引 賃金体系の見直しについて 賃金体系の見直しが必要であると考え,現在,賃金研究所の指導により,能 力を適性に評価しかっ反映する,社員にわかりやすい賃金体系に改正中である。

5

.

週休

2

日制の拡大について これまでは,月 l回の週休 2日制であったが,平成 3年 1月から月 2回にし た。 6 人材育成や自己啓発等について 人材の育成については,まず,①社内教育として

1

年聞を通じて,毎月, 日本生産性本部の講師を招いて,職階別・部門別に社員教育を実施している。 また,技能職に対しても,外部研究所の講師を招いて,研修教育をしている。 ②専門職については,感性を磨くために,ヨーロッパやアメリカなどに派遣す る海外研修制度を実施している。③資格取得のための研修費用や受験料を援助 するとともに,取得後には,資格手当を支給している。 7 高年齢者や女性の活用について 高年齢者や女性の能力を活用するために,①定年を

5

5

歳から

6

0

歳に引き上 げ,その後も意欲のある人は,継続して勤務できる定年退職者再雇用制度を導 入した。②女子パート社員の活性化を図るために,研修やコミュニケーション を積極的におこない,勤務時間に問題の無くなった人は,正社員に登用するこ とにし

7

こ。 なお,現在検討中の対応策としては次のようなものがある。①最近の若年層 は,給与よりも休日を優先する傾向がある。したがって,労働時間の短縮と完 全週休2日制を導入する。②省力化・合理化のため,さらに新鋭機器を導入す る。③職場に女性が多く,女性の役職をさらに昇格させることによって,女性 活用を促進させる。また女性活用のため,育児休業制度を導入したい。④現業 的な社名なので,イメージアップや意識改革のために,

C

I

導入を検討中である。 ⑤日系外国人労働者などの雇用を検討中である。⑥定年退職者の再雇用のみな

(16)

76← 香川大学経済論叢 232 らず,高齢者の新規採用も,積極的に進めていきたいと考えている。 B社の事例(製造業) (サ会社の概要 L 業 種:通信ケーブル,光ファイパーケーブル等の製造 2.. 従 業 員 構 成 田 正 社 員 76人(男子 67人,女子 9人) ノfート他 6人(男子3人,女子3人) 仁) 労働力不足の状況 ここ 2~3 年の好景気による大手企業の採用枠の拡大と若者のメーカー離 れ,及び初任給の高騰により,新規高卒男子の採用がきわめて困難な状態となっ ている。現在,当社では,製造技能工が5名程度不足しているが,この不足分 については,在籍社員の残業や休日出勤によって何とかカバーしている。 一方,高専・大学卒の技術要員(特に電気・機械)は慢性的に不足している。 当社は,電線メーカーとしての既存の通信分野に加え,光ケープ。ル分野への事 業展開を図っており,新技術開発が至上命題となっている時だけに,技術要員 の不足の影響は大きい。 なお,先般の採用試験(平成4年 3月高校卒業見込)では,男子 6名,女子 6名,計12名の採用内定ができた。

C

三) 労働力不足の原因 「なぜ人が集まらないのか」については次のような要因が考えられる。 まず第

1

は,当社が立地しているこの臨海工業団地には,求人力の大きい大

!

手・中小企業が集中している。また,初任給が異常なくらい上昇しており,初 任給の企業間・業種問格差が拡大している。 第2は,若者のメーカー離れが進み,たとえ実態が3K (汚い,きつい,危 険)でなくとも,メーカーというだけで,最初から若者に敬遠されている。 第3は,会社の知名度が低いことである。当社は,大阪から工場を移転して きて

1

0

年しか経過しておらず,また,電線という素材型企業であるため,一般 用庭にもなじみが薄く,学生にもあまり知られていない。

(17)

233 労働力不足と中小企業の対応 -77-なお,従業員の定着率に関して言えば,幸いにして,当社の定着率は極めて 高く,中途退職は殆どないといってよい。 個) 人材確保・定着・育成への対応、策 人材の確保・定着・育成については,当社は次のような取り組みをおこなっ ている。 1 新規学卒者採用計画について 高卒者採用については,求人案内を出す高校を拡大するとともに,進路指導 の先生方に当社の事業内容等を詳しく説明し,

3

K

企業でないことを学生に

PR

してもらっている。また,機会あるごとに先生や学生の工場見学をお願い し,理解度を深めてもらうよう努力している。 高専・短大・大卒者の採用については,

s

新聞社発行の就職ガイダンス誌を 有効活用し,都会地での就職セミナーにも積極的に参画して,技術系学生を主 体に必要人数の確保に努力している。 2.. 中途採用計画について 新規学卒者の採用が困難なこともあって,中途採用にも力を入れている。そ の方法としては,①地元公共職業安定所を窓口とい他地区の公共職業安定所 にも求人申し込みをしている。②人材銀行に登録し,特に,工業系大学卒技術 者の斡旋を依頼している。③就職情報誌に求人広告を出している。④地元のS 新聞や,

A

新聞,

Y

新聞などにも求人広告を掲載している。⑤さらに,正社員・ ノfートを問わず,必要の都度,東讃地区に絞って,上記各新聞への折込広告を 出している。また, Uターン者に的を絞って折込広告を行う場合もある。 3.. 高齢者・パート・アルバイト等の活用について 当社では,正規従業員の不足に対応するため,次のような方法での人材活用 もおこなっている。①シルバ一人材センターを通じ,現在,男子7名,女子4 名の人材を派遣してもらっている。男子は,主として工場内の軽作業や守衛を 担当し,女子は清掃・炊事を担当している。②パート労働者を

4

名採用してい るが,業務多忙時期に,軽作業を担当している。③

T

大学の男子学生を対象に, 夜間と春休み・夏休みにアルバイトを依頼している(現在,

5

名登録済み)。受

(18)

-78 香川大学経済論議 234 け入れ体勢としては,アルバイト学生で出来る仕事を細分化して常時残してお くようにしている。 4.. 企業 PR活動について 企業の PR活動としては,①地元主催の「源内まつり」,「志度ワイワイまつり」 等,地域イベントに積極的に協賛し,地元との密着化を推進している。②新聞 に,当社のイメージアップを狙った PR広告(毎月

1

回)を出すとともに iコ ミュニティタウン志度J,i県民グラ、ア」その他地元各紙にも PR広告を定期的に 掲載している。③会社案内を活用して,当社は

3K

企 業 で は な し い か に 魅 力 的な会柾であるかを訴えて,イメージアップを図っている。

5

休日・休暇の見直しについて 休日・休暇等の労働条件を改善するために,①従来の隔週土曜日を,本年 7 月より,完全週休 2日制に移行させ,年間休日を 110日とした。②夏期連続休 暇制度として,盆をはさんだ前後2班体制(半数出勤体制)で,有給休暇と指 定休日を利用した9日間の連続休暇を実施している。③年次有給休暇の消化促 進をはかるために,作業工程の狂いや生産性を落とさないことを前提に,有給 休暇の計画的取得に努めている。そのため,有給休暇の平均取得率は約 80%と なっている。 6 給与の見直しについて 給与の見直しとしては,①初任給の世間相場が高騰しており,当社もやむを えず新規学卒者の採用可能な水準に初任給を引き上げた。そして,在職者賃金 もそれにみあって一部底上げした。②法定の時間外労働の割増率は 125%であ 1 るが,当社は早くから 135%支給している。

7

福利厚生面の充実について 福利厚生面の充実に関しては,①近隣にフィットネス・クラブがあるので, 法人会員として加入し,利用券を社員に配布し利用を促進している。社員には 非常に好評である。②談話室を,社員食堂に隣接して設置した。このことによ り,始業前,昼食後,休憩時間等を利用して,社員のコミュニケーションが促 進され,職場ムードが改善された。③各種親睦行事として,社内の同好会形式

(19)

235 労働力不足と中小企業の対応 79 で,定期的にゴルフ,ボーリング,ソフトボール,釣り等の大会を行ったり, 全員参加の花見,ピクニック,バーベキューパーティ等も実施している。また, 毎年社員旅行を実施し,時には,海外旅行も組み合わせている。④社員の健康 管理を最優先に,人間ドック・成人病検診を毎年

1

回実施している。 8 人材の育成について 人材の育成については,①中間管理職を対象に,通信講座による,管理者講 座を受講させている。受講料は会社負担とし,毎月 1回の共同研究会も実施し ている。②社外研修として,社外で開催されるセミナー,講演会,新入社員研 修会その他先進企業の見学,技術提携企業への派遣等を実施している。③社員 の問題意識を高めるために,組織活性化委員会,合理化委員会,作り方委員会, 品質委員会などをつくり,積極的に参加させている。 9 今後の計画について 入手不足の状況は,今後ますます厳しさを増すであろうから,当社としては, ハード面では,機械の自動化・無人化を推進し,職場環境の改善と併せて社員 の労働負荷の軽減を図って行きたい。 また,ソフト面においては,経営の基本理念である「人間尊重」を前面に打 ち出し,組織の活性化と社員のモラール向上に努め,人材確保・定着・育成の 一助としたい。 C社の事例(製造業) 付 会 社 の 概 要 1..業 種:調理冷凍食品の製造 2.. 従業員構成:正社員 255人(男子 153人,女子102人) 準社員 88人 (斗労働力不足の状況 まず,新規高校卒業者の採用状況についてであるが,これまで採用人数にム ラがあり,採用ゼロの年もあった。現在は,地元高校出身の先輩が多数入社し ている関係もあり,男子の求人数は,ほぽ充足されているといえる。だが,女

(20)

236 香川大学経済論叢 ハ υ 8 子については応募者数が不足気味であり,必ずしも充足されていない。 中途採用者については,採用条件の幅を広げているが,不足要員の補充まで には至っていない。 準在員(パート)については,積極的に採用を増やし,女子準在員の構成比 むしろ しかし,退職者の補充程度が精一杯で, を上げたいと努力しているが, 男子社員の比率が年々高まる傾向にある。 このような状況のもとで,現在,製造部門で10名程度労働力が不足している。 2直勤務での製造ラインで,若い男子労働力が不足しており,頭を悩ま している。 特に, 次に,労働力不足が会社業務に与えている影響は,①当社では,多品種生産 をおこなっているが,販売好調な商品部門へ人員が傾注され,他の商品の生産 が出来なくなっている。②2直勤務の男子が不足している為,他の生産ライン との要員ノてランスを欠き,生産量の減少をもたらしている。 労働力不足の原因 ( 三j ということに関しては,次のような要因が考 えられる。①通勤可能範囲の小さな近隣地区内で,やや突出した良い条件で, ノfート労働者を大量に採用している企業がある。②求人情報過多の中で, 「なぜ人が採用できないのか」 なお 当社に関心を向けさせるような媒体や方法を見つけることができていない。③ 求職者の欲求の中身が,賃金,労働時間,休日など千差万別であるが, 職者の多様なi要求に合わせられるような社肉体勢が出来ていない。④製造工場 この求 3Kのイメージがある。面接時に,当社のイメージを聞くと, ということで, という間違ったイメージ 「冷凍食品を作るので寒い所・冷える所で作業する」 まだ手作業が主体 を持っている者が多い。⑤食品産業は機械化が遅れており, であるが,特に,若年層はこの手作業を嫌う傾向がある。 人材確保・定着・育成のための対応策 個) 人の採用について I 人の採用にあたっては,多様な手段を活用して求人活動をおこなっている。 例えば,職業安定所への求人票の提出,新聞折込チラシ,地区有線放送,

CATV

(21)

237 労働力不足と中小企業の対応 -81ー 人材銀行, Uターンセンター,各種求人紙,従業員の口コミ宣伝など,多様な 手段を連動して活用している。 また,入社前の職場見学を重要視し,実施している。これまでは,口頭で作 業内容を説明するだけであったが,それだけではイメージが浮かばず,考えて いた作業と異なると言って早期退職する人がいた。そこで,入社前の労働条件 説明時に職場見学を実施し,事前に自分自身の目で良く見てもらっている。入 社前の職場見学実施以降は,早期の退職者が減少した。 2 正社員の労働条件の改善について 個人の年間休日数を 104日(会社休日 86日,個人別指定休日 18日)として いる。このため,年間所定内労働時間は 2,088時間で, 1週平均では, 40,04時 間となっている。また,有給休暇は,入社初年度は8日, 1年後:は11日付与し ている。なお,平成 2年度の有給休暇の平均付与日数は 18,,2日で,平均取得日 数は 16,,7日となっている(取得率 91.8%)。 3 準社員(パート)の労働条件の改善について 準社員の勤務時間は,本人の希望する勤務可能時聞を尊重して決定している。 現在 3時聞から 8時間までの 12種類ある(時間帯別を加味すると 18種類あ る)。 準社員の賃金は,時間給であるが,①6時間以上勤務の場合は,社会保険加 入の関係から,

6

時間未満の場合にくらべ,

1

時間当たり

5

0

円の差をつけてい る。②皆勤手当や勤務奨励給(

3

ヶ月白から付与し,勤務月数に応じ上昇する, 当社独特の制度)を実施している。@仕事のよく出来る一部の社員には,特別 手当として

rA

手当」を支給している。④一部の定められた職務に従事してい る者に対しては r職務手当」を支給している。⑤食事を,会社支給としている。 4" 高齢者の活用について 当社の定年は 60歳であるが,定年後は準社員として,労働時間又は労働日数 を短くして雇用している。現在, 60歳以上の者を 4名,用務職として雇用して いる(女子1名は65歳)。賃金は,在職老齢年金との関連で,現在年金8割受 給のレベノレとしている。社会保険加入を前提にすれば,賃金を上げれば年金受

(22)

-82- 香川大学経済論叢 238 給率が低下する為,能力ある者の待遇を上げることに対し,ジレンマがある。 最近この人達より,働いても総所得の増加は見込めず,年金生活に切り替えの 為,退職したい旨の通知があった(兼業農家の為,他にも収入の道がある)。

5

福利厚生関係について 社員の福利増進をはかるために,次のような対策を実施している。①各種社 会保険に加入しているが,健康保険料に関しては,会社の方の負担を多くし, 会社負担60%,個人負担40%としている。②適格年金は,昭和50年10月より 発足した。また,厚生年金基金については,平成3年10月に,当社グノレープの 厚生年金基金が発足し,加盟している。③法定外災害補償を行っているし,ま た,高度障害及び死亡保険にも加入している。④社員の健康管理として,中途 採用者についても,入社前に健康診断をしており,この時点で病気が発見され ることがある。また,年間2固定期健康診断を実施し,再検査までは会社が費 用を負担している。この他,特殊健康診断として心電図を,一定の条件の人に 実施している。希望者には,インフルエンザ,胃の透視も,一部会社が補助し, 実施している。⑤社内のクラブ活動として,運動部(軟式野球,卓球,綱引, 釣,ソフトボール,バレーボール,バドミントンの7クラブ)と文化部(囲碁 将棋,カラオケの2クラブ)があり,会社が一部補助している。⑥社内レクレー ション行事として,旅行,運動会,忘年会,他全土工場見学,ボーリング大会, 料理講習会,茶話会,鏡聞きなどを実施している。⑦社内分譲として,冷凍食 品,清涼飲料,調味料,食料品,お酒,進物品,晴好品,時計,カバン,衣料 品,羽毛布団,その他を関連グループ会社の協力により,タイムリーに販売し ており,社員に大変好評である。⑧社内表彰として,成人式(記念品の贈呈), 勤続5年表彰(記念品の贈呈),勤続15年表彰(現金贈呈)などを実施してい る。⑨このほか,石油販売会社と,ガソリンを安く購入する契約を結び,支払 いは給与天引きによる後払いとしている。また,財形貯蓄をはじめ,各種生命 保険,損害保険等も,給与からの天引きによる便宜をはかっている。 6.. 社員の教育訓練について 当社では,毎月月末の1日の生産を休み, ミーティングデーと称して活動し

(23)

239 労働力不足と中小企業の対応 83-ている。内容は全従業員対象の教養講座,研修,啓発活動,職場改善の討議, 提案活動,表彰,職場コミュニケーションの充実等に当てている。 また,当社では次のような社員研修を計画的に実施している。①新人研修(基 本研修 1ヶ月,仮配属研修 2ヶ月)。②一般従業員研修(一般教養研修,実務研 修,知識研修)。③管理監督者研修(社外研修機関のものに参加)。 D社の事例(製造業) (寸会担の概要

1

業 種:金属加工及びその塗装 2. 従業員構成:正社員 68人(男子55人,女子 13人) 出向者の受け入れ 22人(男子のみ) 仁) 労働力不足の状況 当社は,配電盤,制御盤のパネル,ボックス,変圧器ケース等の金属加工お よびその塗装を業務としている。労働力不足となっているのは,板金,製缶の 組立仕上げ工が 7~8 名,塗装部門の塗装吹き付け工が 2~3 名である。 そして,この労働力不足により,会社の業務に次のような影響がでている。 まず第lは,納期に支障をもたらし,在職社員の超過勤務時聞が多くなって いる。取引先の要求納期に間に合わないために,平日は毎日残業し,土曜,祝 日の休日も出勤している。残業の多い者は,超過勤務が月 50~60 時間にも達し ている。 第 2は,新しい得意先の開拓ができなくなっている。現在の取引先以外から の新しい取引要望もあるが,人手不足のため,それを応えることができず,業 績の拡大ができていない。 (三) 労働力不足の原因 まず rなぜ人が集まらないか」ということについては,次のような要因が考 えられる。 その第

l

は,金属加工・鉄工業は

3K

色が強い職場である。当社も,作業場 では,溶接,グラインダーを使用するため火花が散り,煙がたつ。また,機械・

(24)

84 香川大学経済論議ー 240 金属の音が高く,環境イメージが悪く,危険を感じる。一方,塗装作業におい てはシンナーの臭いがし,作業服に塗料がつく。また,立ち作業も多い。 第2は,当地域には,近年第三次産業の会社が増加し,若年層はそちらに吸 収されている。瀬戸大橋の架橋と相まって幹線道路が整備され,沿線には外食 産業,スーパー,商屈などが進出して来ている。また大型の観光レジャー施設 も建設され,各企業とも従業員募集を行っている。若い人は汗をかく製造業よ り,汗をかかない第三次産業部門への就業希望が強い。 第3は,近隣に造船,鉄工関係の同業種企業が多く,しかも,そちらの方が 高賃金となっている。好景気と人手不足のため,中途採用者の賃金がかなり高 騰しており,特に,造船所の下請企業の溶接作業者の賃金は,一般企業の年功 的給与とは異なる職務給主体の高い時間給を採用している。そのため,若い人 は高い賃金にひかれ,そちらを希望する者が多い。 次に rなぜ人が定着しないか」ということについては,以下のような理由が 考えられる。 まず第lは,職場の作業環境が必ずしも良くなく,改善もむつかしい業種で ある。当社で、作っている大型変圧器ケース,配電盤ボックスなどの金属加工製 品が大きいため,工場の建物も高く広い関係から,冷暖房設備がしにくい。そ のため夏は暑く,冬は寒い。また,グラインダー,機械の音が大きく,溶接の 火花・煙が出る。 第 2は,若者には,他業種が良く見え,かつ現在は,転職が容易である。彼 らにとっては,作業環境の悪いところで,体を動かし汗をかく仕事より,冷暖 房のある第三次産業での,手のよごれない仕事の方が魅力的にみえる。しかも, 好況による入手不足で,彼らは,どのような業種にでも容易に転職できる。 第

3

は,家業手伝いのために退職する者が多い。従業員の家族が自営(個人 企業)の場合,現在いる従業員や親族が何等かの理由で退職したとき,人手不 足のために補充ができない。そのため,当社に勤務している社員が退職し,家 業(個人企業)を応援するといったケースも多い。 なお,現在社員の定着率は次第によい方向に向かっている。その理由として

(25)

241 労働力不足と中小企業の対応 -85 は,①賃金・作業環境など順次改善している。②採用時に,会社の労働条件, 仕事の内容など十分説明し,納得のうえで採用している,などが考えられる。 (四) 労働力確保・定着のための改善・対応策

1

募集方法について 常時,職業安定所を通じ,求人募集を行っている。社内に求人募集要項を掲 示し,また,関係会社・知人にも就職希望者の紹介を依頼している。 2 応募者の理解を深めるための対策について 採用にあたっては,何よりも応募者の理解を深めることが大切で、あり,その ために,①応募者から応募の動機・理由,希望する業務,賃金,経歴などを聞 いた上で,工場全域の見学と,当社が募集している数種類の作業内容(塗装・ 製缶・板金など)を具体的に説明している。特に,本人が適性(職)と思われる 業務については,細かく説明している。②当柾の労働時間,給与,賞与などの 賃金制度,休暇制度,定年制度,退職金を含めた生涯賃金,作業服・給食・ス ポーツなどの厚生関係等についても説明している。③また,当社の取引関係, 製品の内容などについても説明している。 3 職務分担の見直しによる職務再設計について 高度な技術熟練を必要とする作業と単純作業の区分けをし,新規採用者と熟 練者とを組み合わせて配置することにした。これまでは,熟練者が,設計書を 見ながら,機械部品加工,組立(主は溶接),仕上(主はグライン夕、一仕上げ) と,一連の作業工程を一人で育っていた。しかし,生産量の増加と入手不足に 伴い,熟練者の採用がきわめて困難となり,また,新規採用者は,ほとんど未 経験者ばかりとなった。そこで,熟練者が高度な作業を担当し,未経験者には 単純作業を分担させ,熟練者が未熟練者をマン・ツー・マンで教育訓練しなが ら作業を行うことにした。 また,作業を分析し,女性のできる作業を摘出した。これまで,製缶(変圧 器ケース),板金(配電盤のパネル,ボックス)の組み立て,仕上げ作業等は, 男性が行っていた。しかし,検討を重ね,女性にも出来る作業を摘出・創出す ることにした。その結果,加工部品・完成品の寸法検査や,組み立て(溶接),

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-86- 香川大学経済論青空 242 仕上げ(グラインダー仕上げ),機械加工(穴明け)で,図面を見なくてもでき る補助的作業を,女性に担当させることにした。 さらに,塗装職場では異業務のだき合わせによる女性向け作業を創出した。 例えば, (イ)伝票発行・材料計画などの工場事務(1日の内の1/3),('ロ)塗装皮 膜の検査(1日の1/3),け部品の塗装加工(1日の1/3) の作業は,従前, 別々の男性が行っていたが,以上異なる三つの業務を一人分として,現在は女 性が担当している。 このように,女性を活用することにより,職場の雰囲気がなごやかになるこ と,熟練者が部下を指導教育する場合の人の扱い方の訓練になることなどを期 待している。 4.. 職場環境の整備について 職場環境の改善として,次のようなことを実施した。①これまで,生産量の 増加に伴い作業場と製品・材料置場が混在し,雑然としていた。そこで,作業 環境をよくするために,工場を増設し,そこへ製品置場,材料置場を移転させ, 整理・整頓することにした。②工場全体の冷暖房ができないため,主要な場所 に,夏はスポットクーラー,冬はストーブを設置している。③床の塗装コンク リートの床にグリーン色を塗装した。鉄粉,ちりなどのよごれがよくわかり, 作業後は,清掃に心掛けるようになった。また美観的にもよくなった。 5.. 福利厚生の充実について 福利厚生に関しては,①従業員の増加に伴い,食堂・ロッカールームが手狭 になり,時間待ち交替をしていたので,食堂・ロッカールームを新設し,この 問題を解決した。②現業部門の従業員には作業服を貸与しているが,特に,女 子従業員には,ピンク,ブルー,草色など自分の好きな色を,カタログから自 由に選択させている。その結果,明るい色の作業服が増え,職場の雰囲気もは なやかになった。 6 人事労務部門と所属長との連携によるフォローについて 所属長は,常に個々人の出勤状況を把握し,理由のよく分からない連続欠勤 の場合は,家まで電話し確認するようにしている。

(27)

243 労働力不足と中小企業の対応 -87← また,新入社員が早く適性な作業につける様,人事労務担当者が所属長と連 携を取り,現場作業の内容を深意深く観察している。

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今後の計画について 今後,ますます人材確保が困難になると思われるので,省力化・効率化のた めの設備(NCマシン,塗装ロボット,溶接ロボット,自動回転棚等)の導入を, 現在検討している。 E社の事例(製造業) (一)会担の概要

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業 種:総合水処理プラントメーカー 2.. 従業員構成:社員 308人(男子 274人,女子 34人) (斗労働力不足の状況 当社は,総合水処理プラントメーカーであるが,主力工場の坂出工場で,技 能工が数名不足している(特に,若年層で,溶接,旋盤等の技能を修得してい る者が不足している)。また,東京,大阪の営業所では,営業職員が 2~3 名不 足している。 なお,当社には,全額出資の関連会社が3社あり,互いに業務上なんらかの 関連性がある。そこで当社を含めた 4社間で人事交流を実施し,要員数の調整 をおこない,入手不足のピーク時に一定の対応をしている。 次に,労働力不足が,会社の業務に及ぼしている影響としては,①業務のピー ク時(官公庁向けの出荷が多いため, 2~3 月の年度末がピークになる)には, 外注に頼らざるをえない。②人手不足による人件費の高騰で,製品のコストアッ プが発生している。③営業職員の不足により,営業活動が充分にできない,と いった点が生じている。 また,労働力不足の影響を長期的にみると,技能工の新規採用ができないと, 職場に若年後輩層がいなくなり,先輩社員の労働意欲にマイナスの影響が出て くる恐れがある。さらに,若い営業職員の不足により将来の営業活動の拡大が 困難になると予想される。当社の製品は,個人ユーザーが対象でなく,企業・

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~88 香川大学経済論叢 244 団体であり,しかも機械の仕組みと役割を十分に理解して,他社と異なる優位 性を説明しないと受注には結びつかない。場合によっは,ユーザーの方が,製 品内容に詳しいこともある。したがって,有能な営業マンを計画的に採用し養 成していかなければ,将来の営業活動の拡大が期待できなしユ。 (三) 労働力不足の原因 「なぜ人が集まらないのか」という要因としては,まず第

1

に,会社の知名 度が低いという点が指摘できる。当社は,坂出でスタートし,昭和 46年に東京 へ進出したが,これまで,会社の知名度を上げるための努力を,それほどして こなかった。 第

2

点としては,採用方法が,マンネリ化していることがあげられる。当業 界では,縁故による採用の傾向があり,当社も,不況の時期(昭和 54年噴)か ら,人の採用に関しては,長い間消極的姿勢をとってきた。また,好況となっ ても,特に県外地区では,新聞広告による募集のみで,他の方法による求人活 動を行わなかった。専門の求人担当者が不足していたことも,採用方法がマン ネリ化した1つの原因になっていると考えられる。 第3点は,取扱「製品」の特殊性から,営業手法が分からないという求職者 側の不安がある。すでに述べたように,営業には専門知識が必要で(いわゆる カタログ販売とは異なる),かつ

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件で

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0

数億円というような受注もある。採 用にあたっては,当社の扱っている「製品」を見てもらっているが,担当者が 十分説明したつもりでも,営業に不安を感じ,辞退されるケースが多い。 なお,当社の社員の定着率はきわめて良い。 個) 人材確保・定着・育成のための対応策 L 採用に際しての対策について 採用に際しては,まず会社の業務内容をよく理解してもらうことが大切であ ると考えている。そこで,①坂出工場では,技能工・技術者の採用に際して, 機械の現物を見せて詳しく業務内容を説明している。②直接工場見学できない 県外地区では,ビデオで業務の内容を説明している。 2.. 休日増による年間労働時間の短縮について

(29)

245 労働力不足と中小企業ーの対応 -89ー 当社の,平成3年の年間休日数は 114日である。さらに,毎年休日数を増や すことによって,平成7年には年間総労働時間を 1,800時間にもって行く予定 である。また,有給休暇の計画的取得制度も実施している。 3.. 賃金体系の見直しについて これまでの年功給を職能給・能力給の体系に,また,手当重視の体系から基 本給中心の体系に見直すための検討を開始した。しかし,急激な賃金体系の変 更は,社員の生活に大きな影響を及ぼすので, 4年計画で実施を予定している。 4. 会社の知名度を上げるための対策について 会社の知名度を上げるために,①地元新聞社発行の求人誌,業界誌, TV

マーシャノレ,行事協賛の新聞広告などを,活用している。②東京,大阪地区で は,合同求人セミナーにも参加している。③会社の制服の色も斬新なものに変 え,デザインのよいカタカナで社名を入れた。④瀬戸大橋祭りに毎年参加して いる。今年は rユニーク」賞を受賞したが,これは新入社員の意気盛んな点、が, アピールしたものと思われる。 5 自己申告制度の実施について 当社では,社内の人事異動のみならず,関連会社間でも人事異動をおこなっ ている。そして,この人事異動の資料とするため,自己申告制度を実施してい る。これは,全社員を対象とし,勤務地のみならず職場全般にわたって記入さ せている。特に職場内の問題については,自己申告とは別表で,所属長を経由 せず,直接人事担当者へ届けられる仕組みをとっている。これは,できるだけ 「本音」を雷ってもらうことにねらいがあり,人事異動の際大いに参考になっ ている。 6 福利厚生面での対策について 福利厚生面の対策としては,①寮をワンルームマンションにした(坂出,東 京はすでに実施したが,他は段階的に実施する予定である)。②スポーツ行事を 実施している(バレーボールなど月

1

回実施,時には,エアロビクスも実施し ている)。③社員旅行を実施している。現在は圏内旅行が中心で,行き先は,他 の支庖との交流を深め易い地点を選んでいる。このほか,④育児休業制度,介

(30)

~90 香川大学経済論叢 246 護休業制度も実施している。

7

リ 教育・研修について 当社では,社員の教育・研修をきわめて重要視している。そして,①社外研 修として,講演会やセミ、ナーへの参加,先進企業見学,展示会の見学等を実施 している。また,②社内研修として,在内・社外講師による技術・技能講習, 安全衛生講習,

TQC

,新任管理職講習,中堅一般社員講習,新入社員講習など を実施している。さらに,③通信講座を活用して,新任管理職を対象に管理者 講座,中堅一般社員を対象に先端技術・基礎技術講座などを受講させている。 受講料は,全額または半額会社負担としている。 このほか,社員の自己啓発をはかるために,資格験受験援助制度として,業 務上必要な国家試験等の取得に対し,講習会への参加費用や受験費用の一部を 会社が負担している。

8

業務改善,提案制度の推進と

QC

サークノレ活動の実施について 商品開発提案,業務改善提案に対し、て表彰を行っている。また,関連会社を 含めた業務改善発表会

(

Q

C

大会)を,年

1

回実施し,全社員の問題意識の向上 を図っている。 F社の事例(製造業)

H

会社の概要 L 業 種:自動油圧裁断機及び裁断システムラインの設計・製作・販 士 冗 2" 従 業 員 構 成 位 員 85人(男子 79人,女子 6人) 仁 〉 労働力不足の状況 当社は,軟素材の裁断・加工システムの専門メーカーであるが,現在,

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3

名 程度の労働力が不足している。その職種別内訳は,機械設計技術者5名,電気 設計技術者3名,工程管理技術者l名,総務担当事務職1名,営業職3名であ る。 そして,この労働力不足が,会社の業務に与えている影響としては,①受注

(31)

247 労働力不足と中小企業の対応 -91← 機械の大部分 (90%)がオーダーメードなので,設計が遅れ気味となっている。 また,②新製品開発の設計にも,大きな支障をきたしている。③会社が急激に 成長し,事務管理部門の仕事量も大幅に増えているが,この部門の人手不足に より,毎日の業務処理に影響がでてきている。④当社の電気設計部門は,これ までも外注依存率が高かったが,さらに外住依存率が高まり,そのため,納期 の遅れが生じている。 (司労働力不足の原因 「なぜ人が集まらないのか」という要因については,次のようなことが考え られる。 まず第1は,会社の知名度が低いということである。当社は,軟素材の裁断 機メーカーとして全国的に営業を展開し,国際見本市では,大阪,東京におい て毎年新製品を出品して,ユーザーとのコミュニケーションを図り,業界内で はかなりの知名度をあげている。しかし,一般の人々に対しては,企業 PRなど を行っていないので,それほど会社名が知られていない。 第2は,若者が,製造業に対して3 Kイメージを強くもっており,若者のメー カー離れをおこしていることである。しかし,当社の機械加工・組立等の現場 は,決して3 Kの職場ではなく,若者のこのような「誤解」が残念である。 第3は,当地区は,高松市や西讃地区と比較して,地理的なハンディがある。 若い人は,流行に敏感で,都市化の進んだ高松方面の会社に勤務することを望 んでいる。 第 4は,求職者の絶対数そのものが,少ないことである。現在,あらゆる産 業の業績が好調で,各社が人材確保に力を入れているため,求職者の絶対数が 減少している。そして,少ない求職者を各社が奪い合うというかたちとなって いる。 第5は,労働条件,特に週休2日制導入の遅れである。当社は,これまで, 第

2

土曜日のみを休日としていた。しかし,このままでは若年労働者の確保は ますます困難となるし,また,現従業員の労働条件の改善ということもあって, 現在,社内で合理化推進チームを作り,各種改善を行い,完全週休

2

日制実現

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-92 香川大学経済論議ー 248 に向けて準備をしている。 なお,当社の人材定着率は,ほぼ100%に近い。家族的な雰囲気で,やりがい・ 生きがい・働きがいが満たされるよう十分留意しており,-明るく働きがいのあ る職場の実現」を目標に努力している。 個) 人材確保・定着・育成対策について L 人材の確保対策について 人の採用に関しては,次のような対策をたて実施している。①即戦力となる 中途採用者を採用するために,盆・正月に求人広告を新聞の折込みに入れ,

U

ターン希望者をねらっている。しかし,高松方面への就職希望者が多いのか, 採用ができない。②昨年は求人情報専門のR社,今年はS新聞社での求人情報 の提供に力を入れたが,会社の知名度が低いため,いま一つ効果が出ていない。 ③会社の知名度を上げるために 7月に毎週土曜日 16時 45分より,県内 Sテ レビ放送局の求人ネットワークで,求人情報を放映した。⑤学生に対する入社 案内・会社概要を,先輩のメッセージや今後の展望を中心に記載した漫画風の ものにし,現在作成中である。

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山 女子および高齢者の活用について 女子能力の積極的活用をめざして,今年

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名採用してみた。現在,設計部 において

CAD

システムのオペレーターとして活躍しているが,女性の戦力で 寸分対応、できることを認識した。今後とも,女性の活用をはかっていきたい。 また,高齢者の能力を活用するために,定年後も,健康であれば引き続き再 雇用することにしている(定年年齢は60歳)。現在 7名の再雇用者がいるが, 経験豊富なため,貴重な戦力となっている。 3ド プライベートショーの実施について 得意先,仕入先,官庁関係,従業員の家族,地元の人々を招待して,本年7 月 3 日 ~7 月 6 日まで,本社工場にて,新製品発表会を実施した。多くの人に, 会社ならびに機械製品を見ていただき,会社のことを理解していただくうえで 大成功であった。これからは,地域社会と密着し,地域社会の発展に貢献して ゆきたいと考えている。そうすることによって,地域の人々の会社に対する理

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