香 川 大 学 経 済 論 叢 第67巻 第 l号 1994年 7月 49-70
通信販売における商品特性
I
は じ め に関
義 雄
馬 測 キ ノ ヱ
生産,流通,販売,消費および廃棄のどの視点から商品を見るかによって商 品特性は異なZ
。商品の有用性,収益性,および低公害性は商品の3要件とし て受け入れられており,商品はハードとしての品質だけでなく,ソフトとしてω
のサービスも含めたシステムが商品であると見なされている。著者らは既に, 衣料品の庖舗での購入と通信販売での購入における消費者満足の価値レベルの 構造の違いを研究し,実際の商品だけでなく消費者意識の面から商品特性を見 (3) ることが必要であることを指摘した。佐々木らは,商品特性は商品が固有に持っ ているのではなく,消費者が商品をどのように意識するかによって決まるもの であると述べてい札このように商品特性は多面的であるため,商品研究は理 化学的なアプローチから心理学的なアプローチまで,多様な研究領域から成り 立っている。著者らは商品研究の多様さを認識しつつ,購買時点での庖舗属性 の重視点に焦点を絞り,衣料品の商品特性を明らかにし,商品特性について新 しい視点を見出す研究をこれまで行ってきた。この研究途上において,通信販 (1) 貿田園弘「最新商品研究入門」第1章 阿 部 昭 二 編 著 中央経済社, 1988年 5月, 1-8 ページ。 (2 ) 水 野 良 象 「 商 品 学 読 本 第 2版」東洋経済新報社, 1990年, 18ページ。 ( 3) 馬淵キノエ,関義雄,川本和明「カタログ販売の消費者満足・不満足の内容分析」商品 研究,第43巻, 1992, 17-30ページ。 (4 ) 佐々木土師二,長尾治明「購買態度からみた商品特性」関西大学社会学部紀要,第 8巻, 第1号, 1977, 203-240ページ。 (5) (a)関義雄,馬測キノエ,川本和明「底舗属性の重視度から見た衣料品の特性」商品研究, 第43巻, 1992, 31-40ページ。 (b)関義雄,馬淵キノエ,川本和明「庖舗属性の重視度から 見た衣料品の通信カタログ@販売の特徴」商品研究,第44巻, 1993, 19-28ページ。売では庖員や庖の雰囲気など商品以外の庖舗属性に影響されず商品選択が行わ れているので,商品特性がより明確に把握すきる可能性があること, および通 信販売では実際の商品ではなく商品の写真などから商品選択が行われており, このイメージとしての商品は商品学において興味深いテーマであることが明ら かとなった。 通信販売は近年急成長しており,新しい小売業態として消費者に受け入れら れてい
2
。通信販売で、の商品特性を商品と消費者意識の両面から解明できれば, 新しい商品研究の分野を切り開くだけでなく,商品流通を取り巻く環境の変化 を明らかにできるものと期待される。そこで,本研究は通信販売での商品の特 徴と消費者意識の特徴を明らかにすることを目的とした。 II 通信販売における取り扱い商品の特徴 国民生活センターの1987年の通信販売実態調査報告書によると広告表示商 品の出現頻度は家具・寝具・インテリア,衣料,宝飾・アクセサリー,靴・鞄 等身の回り品,食品の順で多いことが報告されている。日本通信販売協会の 1992年の会社概要調査報告)では,取り扱っている会社数が多い商品は服飾雑 貨・アクセサリー・靴・鞄,宝石・貴金属・時計・メガネ,婦人衣料品の順と なっている。売上高構成比で見た場合,衣料品,家具・家電・家庭用品,食料 品の順となっている。京阪神地区および岡山県に居住する主婦を対象にした調 査において,下着類・靴下,寝具・寝装具,および婦人服の利用比率が高いこ とが報告されている。日経産業消費研究所の1990年の利用実態調査では,通信 カタログ販売で買ったことのある商品として下着・ストッキング・パジャマな どが最も多く,次いで家具・インテリア・寝具, カジュアノレウェア, ワイシャ (6) (a)坂井清昭,ブレーン, N.o3, 1993, 24ページ。 (b)日 本 通 信 販 売 協 会 第11回会社概 要調査報告書 レポート/日本の通信販売1992J 1993年12月。 (7) 全国消費生活相談員協会編「通信販売実態調査」国民生活センター, 1987年 3月。 (8 ) 脚注 (6b) 参照。 (9 ) 近藤公彦「通信販売利用者の特性に関する実証的研究」岡山商大経営研究所報,第11 号, 1990年10月, 68ページ。 (10) 日経産業消費研究所「通信カタログ販売利用実態調査J1990年8月。51 通信販売における商品特性 -51ー ツ・ブラウスの順となっている。また,今後通信カタロク、販売で買ってみたい 商品としてカジュアlレウェア,地方の食品産物,下着・ストッキング・パジャ マなど,および家具・インテリア・寝具が上位を占めている。通信販売で主に 取り扱われている商品と消費者が主に利用している商品とは少し異なるが,下 着・ストッキング・パジャマ,家具・インテリア・寝具,カジュアルウェアや ワイシャツ・ブラウスなどの実用衣料,レコード・テープ,アクセサリーなど が通信販売に適した商品と思われる。 著者らはすでに庖舗属性の重視度から見た衣料品の商品特性についての研究 から,外出着,実用衣料,および下着では購買者の重視点が異なることを明ら かにした。外出着では,商品選択のしやすさと商品の品質が重視され,実用衣 料では商品の選択と利便性,下着類では商品の品質と利便性が重視された。さ らに,この重視点の違いと小売業態(通信販売,専門庖・ブティック,百貨庖, スーパーマーケット,近くの衣料品庖)との関係を研究し,外出着では品揃え の豊富さと品質に対する信頼性の高さから専門庖および百貨屈での購入が中心 であり,実用衣料はスーパーマーケットで主に購入され,下着類は商品の品質 に対する信頼性の高さから通信販売での購入がスーパーマーケットでの購入に 次いで高いシェアを有していた。特に,年齢の違いが大きく,若い人は通信販 売を利用するのに対し, 30歳後半以上の世代はスーパーマーケットでの購入が 中心であることが明らかとなった。このように商品によって,通信販売をよく 利用する商品とそうでない商品に別れることは,商品の特性を考えるうえで重 要な示唆を与えているものと思われる。そこでまず,香川県に在住の
1
,3
2
1
名 の女性を対象にアンケート調査を行い,通信販売をよく利用して購入している 商品とそうでない商品の比較を行った。 商品として,婦人用の外出着と実用衣料,紳士用の衣料,子供用の衣料,下 着,靴下・ストッキングについて検討を行った。通信販売での利用度は下着と (11) 脚注 (5a) 参照。 (12) 本研究の調査データは香川県高松市とその郡部(市外局番が 0878の地域)および小豆 郡に在住する女性1,321名を対象とした。詳しいサンプJレの属性は脚注 (5a) を参照。靴下・ストッキングが最も高く,次いで婦人用の実用衣料となっている。一方, 婦人用の外出着の利用度は低しこの分野での通信販売の利用には大きな抵抗 があることが示唆される。(第
1
表)次に,上記の商品を今後,通信販売でト買っ てもよいかどうかをたずねた。結果を第 2表に示す。表から明らかなように下 着,靴下・ストッキングが高く婦人用の外出着および紳士用の衣料の利用意向 が低くなっている。これらは日経産業消費研究所の結果と類似している。第 l
表商品別通信販売の利用度
利用度(%) 利用度(%) 婦人用の外出着 8,,6 子供用の衣料 16..5 婦人用の実用衣料 29..8 下着 34.5 紳士用の衣料 12.9 新t
下・ストッキング 33..5第
2
表商品別通信販売の利用意向
利用意向(%) 利用意向(%) 婦人用の外出着 8.2 子供用の衣料 20.8 婦人用の実用衣料 36.1 下着 49.9 紳士用の衣料 12.6 新t
下・ストッキング 54.7 皿 通信販売に対する消費者意識 1“ 通信販売における不安の構造 「不安」は,商品・サービスの購買時において消費者が知覚するリスクとして これまで数多くの研究がなされている。それは,知覚リスクが購買時における 意思決定を左右する重要な概念だからである。 Cunninghamは知覚リスクを構 成する主要な次元として,不確実性と結果をあげている。結果の内容について(13) Scott M. Cunningham, ‘'The Major Dimensions of Perceived Risk
ぺ
“
RiskTaking and Information in Consumer Behavior", in Donard F.Cox, ed.., Harvard Univer. sity, 1967, p..8353 通信販売における商品特性 53-は,研究者によって様々な分類がなされているが,主要なタイプとして機能的 リスク,身体的リスク,経済的リスク,社会的リスク,心理的リスク,および 時間的リスクがある。一般に消費者の知覚リスクは,消費者特性,商品特性, 購買状況,および文化などで変化するが,消費者特性は,その消費者の過去の 買物経験,知識,および自信などと関連している。 通信販売における知覚リスクについては, Spenceらは,通信販売での購買と 庖舗販売での購買における知覚リスクを
2
0
品目の商品・サービスで調べた結 果,全品目で通信販売での購買が庖舗での購買よりも知覚リスクが高いと報告 している。 Coxはテレフォン・ショッピングにおいて知覚リスクと購買決定と の関連を調べ,その中で,下着や靴下の知覚リスクが低いのに対し,紳士用ス ポーツシャツや婦人用のブラウス・セーターの知覚リスクが高いことを報告し た。 Kwonらは消費者が通信販売で衣料品を購入する時の知覚リスクの次元と して,社会的リスク,買い物指向,機能的リスク,時間的リスク,および財政 的リスクがあり,利用・非利用を決定する因子として最も重要な因子は財政的 リスクで,次いで社会的リスクであると報告している。著者らは,消費者満足・ 不満足を通信販売と庖舗販売と言う購買システムの枠組みの中で分析し,通信 販売の満足・不満足の構造が鹿舗販売に比べて単純であることを見出した。こ のように,通信販売における知覚リスクに関する研究は少ない。そこで,本研(14) Schiffman G Leon and Kanuk L Leslie,“Consumer Behavior Forth Ed..", Prentice Hall, 1991, p.. 181
(15) Homer E Spence, James F Engel, Roger 0..Blackwell,“Perceived Risk in Mail -Order and Retail Store Buyingぺ.Joumalof Marketing Research, Vol.7, 1970, pp 364-69
(16) Donald F. Cox and Stuart U Rich,
Making
ぺJ
ournalof Marketing Research, VoL 1, No 4, 1964, pp..32-39 (17η) Yo∞
on-白守-He伐eKwon凡1,Soae L Paek,王Maria Arzeni,O
ぱfAppar芭1;Pe臼rc白ei灼vedRisks, Shopping Orientations, Demographics and Motiva -tions
ヘ
Clothingand Textiles ResearchJ.oumal, Vol.10, 1991, pp. 13-19..経済的リスクとは,高価格商品を買った時の損失,底舗購入商品との比較による損失, 返金などに関するリスクであり,社会的リスクは,イメージの不一致,ファッション性,
フィット性に関するリスクである。 (18) 脚注 (3)参照。
究では通信販売で外出着を購入する場合の不安(リスク)について検討を行つ た。 消費者が通信販売で衣料品を購入しなかった理由を見ると,第
3
表に示すよ うに,第l位が「商品が見られないから不安」で72引1%,第2位が「庖で買え るから」で4
4
.
.
9
%
,第3
位が「返品が面倒だから」で3
6
.
6
%
,第4
位は「注文 など手続きが面倒」で27..2%であった。通信販売を利用しない理由は,日経産第
3
表
通信販売を利用しない理由
利用しない理由%
商品が見られないから不安72.1
庖で買えるから44.9
返品が面倒だから36.6
注文など手続きが面倒27.2
信用できる会社かわからない24.6
すぐ間に合わない18.2
気に入った商品がなかった16.1
利用の機会がなかった14.9
留守中配達されると困る5.8
値段が割安でなかった5.5
その他3.3
全体
269.2
(19) rあなたはこの1年聞に通信販売を利用して衣料品を購入したことがありますか」とい う 質 問 に 対 し て 以 前 は あ る が こ の1年聞はない」および「利用したことがない」と回 答した人に対して r利用しなかったのはなぜですか」という質問をした。選択肢として 11項目を用意し,その中からいくつでも選んでもらった。なお,選択肢は日経産業消費研 究所の調査,総理府の世論調査,消費者インタビューおよび自由記述法で得られた項目か ら 11項目を選んだ。55 通信販売における商品特性 -55-目 的 業消費研究所の調査でも I実際に商品を手にとって見られなしりが
77%
と最も 多い。また, Kwonらの調査でも,第1位が「試着できない」で91“2%,第2 位は「品質が確かめられないJ,I触って調べられない」で,それぞれ73..5%と なっている。 以上の結果から,消費者の通信販売での購入を阻害する要因として消費者の 通信販売に対する「不安」および商品の入手に至るまでの手続きに対する「面 倒くささ」意識が重要な要因であることが明らかとなった。この結果は消費者 の通信販売に対する不安は商品に関する不安だけでなく通信販売という独自の 購買システムに関する不安があり,消費者の知覚リスクについても購買システ第
4
表
外出着購入時の不安
質問項目 平均値 標準偏差 ぴったりフィットするかどうか 4.24 0.71 カタログと商品のイメージの一致 4.20 0.74 品質がよいかどうか 4刷14 0..77 返品・交換がスムーズかどうか 3..66 0.96 会社が信用できるかどうか 3..58 0.97 アフターサービスがよいかどうか 3.55 0..88 お客への対応がよいかどうか 3.19 0.90 指定した時間に届くかどうか 3.03 0.98 配達が早いかどうか 2.86 0.99 商品が正確に届くかどうか 2.80 1. 08 通販で買ったことが他人に分かるかどうか 2.48 工.05 全体としてどの程度不安ですか 3刷60 0.82 (20) 脚 注 (10)参照。 (21) 脚 注 (17)参照。ムの中で明らかにすることの必要性を示唆している。 前述したように通信販売における衣料品の利用度および利用意向は商品聞で 大きく異なり,特に,外出着の利用度および利用意向が極めて低い比率となっ た。そこで,これが商品特性に基づくのか通信販売国有のシステムに基づくの かを明らかにするために,通信カタログ販売で外出着を購入する時,どのよう な不安を感じているのかを調べた。 外出着の購入において11項目に対する不安の程度について質問を行った。質 問は「非常に不安」を i5 J, iまったく不安でない」を i1 J とし, 5段階の 尺度上で不安の程度を聞いた。質問項目と平均値を第 4表に示す。数値の高い ほど不安の程度が高いことを示している。第
4
表から明らかなように,通信カ タログ販売での外出着の購入においては「ぴったりフィットするかどうか」や 「カタログと商品のイメージの一致」のような商品に関する不安が極めて高い ことを示している。 次に,外出着購入における 11項目の不安について主成分分析を行い,第5表第
5
表 外 出 着 購 入 時 の 不 安 の 主 成 分 分 析 質問項目第 l因 子 第
2
因子
共 通 性 配 達 が 早 い か ど う か 0.853 0.011 0.729 指 定 し た 時 間 に 届 く か ど う か 0.784 0.055 0.618 商 品 が 正 確 に 届 く か ど う か 0.770 0.113 0.606 お 客 へ の 対 応 が よ い か ど う か 0.603 0.413 0.533 通 販 で 買 っ た こ と が 他 人 に 分 か る 0.578 0.004 0.334 会 社 が 信 用 で き る か ど う か 0.513 0.388 0.413 返 品 ・ 交 換 が ス ム ー ズ か ど う か 0.507 0..517 0.523 ア フ タ ー サ ー ビ ス が よ い か ど う か 0.457 0.593 0.560 品 質 が よ い か ど う か 0.096 0.833 0.703 カ タ ロ グ と 商 品 の イ メ ー ジ の 一 致 0.025 0.741 0.549 ぴ っ た り フ ィ ッ ト す る か ど う か一
0.023 0.830 0.689 国 有 値 4.35 1. 90寄与率(%)
39.6 17 .357 通信販売における商品特性 -57ー に示すように
2
主成分が抽出された。第2
因子までの累積寄与率は56.9%
で あった。第1
因子の因子負荷量の大きな項目を見ると,-配達が早いかどうかJ, 「指定した時間に届くかどうかJ,,-商品が正確に届くかどうかj,,-お客への対 応がよいかどうかj,,-通販で買ったことが他人に分かるj,および「会社が信用 できるかどうか」など通信販売のシステムに関する項目から成り立っている。 一方,第2因子は「ぴったりフィットするかどうかj,,-カタログと商品のイメー ジが一致j,,-品質がよいかどうかj,および「アフターサービスがよいかどうか」 から成り立っており,これらは商品に関する項目である。従って,通信販売に おける不安は通信販売のシステムに関する不安と商品に関する不安に分かれる ことが明らかとなった。そこで,この2
つの因子の不安の大きさを比較するた め,第1
因子に高い負荷をもっ6
項目の不安度の平均値と第2
因子の5
項目の 平均値を求めた。その結果,第1
因子の平均値は2
.
.
9
9
,第2
因子の平均値は3
.
.
9
6
となった。外出着を購入する場合,消費者は購買システムより商品に関する不 安を強く持っている。 2.. 年齢および利用経験の違いと不安の構造 一般に購買行動は性および年齢で大きく異なることが指摘されている。例えω
即時 ば,神山進らの衣料品の購入に関する知覚リスクについての研究において,知 覚されたファッション・リスクとして,-ふさわしさ」懸念因子,-品質・性能」 懸念因子,-着こなし」懸念因子,-自己顕示」懸念因子,-流行d性」懸念因子の5
因子が見出されている。また,消費者ト特性として,性,年齢および社会心理 的特性の知覚されたファッション・リスクへの影響を調べた結果,女性は男性 よりもリスクが高く,しかも若年齢層に顕著であったと報告している。 通信販売で外出着購入時における消費者の不安に対する影響要因としては, 消費者の年齢,経験,知識,関与などが考えられる。しかし,経験,知識,関 (22) 神山進,高木修「知覚されたファッション・リスクに関する研究(第1報)一知覚された ファッション・リスクの構造」日本衣服学会誌,第31巻, 1号, 1987年, 32-39ページ。 (23) 神山進,高木修「知覚されたファッション・リスクに関する研究(第2報)ーファッショ ン・リスクの知覚に影響する個人的要因」日本家政学会誌,第31巻, 1号, 1987年, 40-46 ページ。与は分析するための尺度が十分確立されていない。しかも,これらは年齢およ び利用度と相互に関連する。通信販売の利用度と年齢の関連について, Reynols は知覚リスクに注目し,通信販売の利用と年齢,官険心,自信などの関連を調 べた結果,若い人に通信販売の利用者が多く,若い人のリスクをおそれない官 険的傾向の強さをその理由としてあげている。そこで,本研究では具体的数値 で得られる年齢および利用度をとりあげ,これらが通信販売に対する不安にど のように影響するのかを検討した。
ω
まず,通信販売における衣料品の利用度と年齢の関係を見ると,第6表に示 すように,利用度は年齢と有意に関連し,若い世代の利用度が高かった。 (x2=
216..4, P,く001)最も利用度が高いのは25-29歳で,利用経験者(f3回以上J+
第6
表
通 信 販 売 利 用 度 ( 年 令 別 )(
%
)
年齢区分 3回以上 1 - 2回 この1年はない ない 20歳以下 (N= 25) 36,,0 36,,0 8,,0 20"。
20-24歳 (N= 35) 31..4 42,,9 14,,3 11ぃ4 25-29歳 (N= 87) 40,,2 36.8 14..9 8.0 - ・ ・ . . . ・ . 30-34歳 (N=145) 37“2 29" 7 17 ,2 15,,9 35-39歳 (N=167) 22.2 29,3 25,,7 22,,8 40-44歳 (N=189) 23,,3 33,,9 14.3 28.6 45-49歳 (N=142) 13..4 28,,2 19帥7 38.7 50-59歳 (N=276) 13.4 27.9 13..0 45,,7 60歳以上 (N=254) 5“5 17,,7 17.3 59.4X
2 =216.4 Pく, 001(24) Fred 0 Reynolds,., “An Analysis of Catalog, Buying Behavior
ヘ
Journal of Mar. keting, 38, July, 1974, pp,,47-51 知覚リスクに直接関連する項目として,年齢,冒険指向,自信のほか,所得,時間意識, 買物環境,価格意識と利用度の関連などを調べた。その結果,通信販売の利用者は比較的 若い人,冒険的な人,自信が強い人が多いことがわかった。 (25) 通信販売の利用度の質問はあなたは,この1年聞に通信販売を利用して衣料品を購 入したことがありますか」に対し, r 3回以上あるJ,r 1 ~ 2回あるJ,r以前はあるが, この1年はないJ,r利用したことがない」の4つの選択肢を用意した。5
9
通信販売における商品特性 59-r1-2
回J+rこの1
年はない J)は92%
と,ほとんどの人が経験している。 一方,最も利用度が低いのは6
0
歳以上であるが,それで、も利用経験者は4L6%
である。また,3
回以上の利用者が, 34 歳以下では 30~40% となっている。以 上のことから,利用度は年齢により異なること,若い世代の方が利用度が高い ことが明らかになった。25-29
歳は消費者として経験が一応確立されたプロ消 費者と考えられるが,その世代の利用度が90%
を超えていることは,通信販売 はもはや特別な消費者が利用する特殊な販売形態ではないことを示している。 通信販売での消費者の不安に対する年齢および利用度の影響を明らかにする ために,まず,年齢区分をどのような区分にすれば不安に明確な差異が生じる かを検討した。調査では年齢は5歳間隔で9カテゴリーで回答を求めているが, この9
つのカテゴリー・データを,それぞれ1
,0
のダミー変数に変換した後, これらを独立変数とし,不安の2
因子および全体的不安を従属変数とする段階 的回帰分析を行った。その結果,年齢区分は3
4
歳未満,35-49
歳,5
0
歳以上 の3分類が妥当との結論に達した。また,利用度は, r 3回以上」を高頻度利用, r1-2
回」および「この1
年はない」を合わせて低頻度利用 rなし」を未利 用とする3分類とした。 第7表は年齢×利用度別の平均値を示している。「販売システム不安」と「商品 不安」を比較すると4
9
歳以下では「商品不安」が高く,5
0
歳以上では「販売シ ステム不安」が高い。つまり,4
9
歳以下の不安は,通信販売で購入すること自 第7表 カタログ販売で外出着購入時の不安 年 齢x利用度 34歳以下 高動度低頻度未利用 利用 利用 N=109 N=I44 N=39 販売システム不安 -.40 -..29 ー 引08 商品不安 -11 ..23 .49 35-49歳 50歳 以 上 高 頻 度 低 頻 度 未 利 用 高 劃 度 低 頻 度 未 利 用 利 用 利 用 利 用 利 開 「 N=1∞
N=251 N=147 N=51 N=202 N=277 -..48 - 26 ..06 -..36 .18 ..63 ー 32 08 ..28 -..48 -.18 - 則04 全体的不安 3..30 3 58 3..90 3..17 3..48 3..84 3..31 359 3..89 ( 注 販 売 シ ス テ ム 不 安 」 、 「商品不安」は図子得点の平均値であり、 「全体的不安Jは素点の平均値である。体よりも,通信販売で取り扱う商品に抵抗を感じている。例えば,商品のイメー ジが一致するのかどうか,品質がよいかどうか,ぴったりフィットするかどう か,などである。一方, 50歳以上では,通信販売固有のシステム自体に抵抗を 感じている。例えば,会社が信用できるのか,商品が果たして正確に届くのか, 配達が早いのか,指定時間に届くのか,お客への対応がよいかどうか,などで ある。これは若い世代にとって,通信販売はすでに信頼できる販売形態のーっ として認知されているが, 50歳以上では通信販売は十分認知されていないこと を示している。 次に,通信販売に対して年齢と利用度の
2
要因が相互にどのように関連し, 不安に影響するのかを2
元配置分散分析により検討した。独立変数は,年齢が 3水準 (34歳以下, 35-49歳, 50歳以上),利用度が 3水準(高頻度利用,低 頻度利用,未利用)である。従属変数は不安の2
因子および全体的不安である。 第8表は分散分析の結果を示している。なお,第l図および第2図は理解を容ω
易にするためグラフ化したものである。第8表に示すように,年齢の主効果は, 「販売システム不安」が (F=1871 P くれ 01), r商品不安」が (F=13..33 P<
,0
1)で2
因子とも有意差が認められた。しかし,既に述べたように「販売第
8
表 不 安 に 及 ぼ す 年 齢 と 利 用 度 の 影 響
2
元配置分散分析 (F値) 販売システム不安 商品不安 全体的不安 **p孟.01*
P;
s
.
05 年齢の 主効果 18.71市 * 13.33 ** 1..84 (26) 1つの要因だげの効果をいう。 利用度の 主効果 26.55 ** ** 19.31 35.86** 年齢x
利用度 の交互作用 2.67 * .26 .1361 通信販売における商品特性
-61-高
lO
低ー
1 未利用 低頻度利用 高頻度利用 第1
図 通 信 販 売 シ ス テ ム の 不 安高
lO
低唱
l 未利用 低頻度利用 高頻度利用 第2
図 商 品 の 不 安 システム不安」と「商品不安」は全く異なった結果を示した。つまり,通信販 売で外出着を購入する場合の不安は,5
0
歳以上では,販売システムに対する不 安が高いのに対し,若い世代では,商品に対する不安が高い。また,利用度の 主効果では r販売システム不安」が(F=
2
6
.
.
5
5
P
く0
1), r商品不安」が(F=
19..31 P,く01)で, 2因子とも有意差が認められた。「販売システム不安」およ び「商品不安」とも利用度が高いほど不安は低く,消費者は通信販売を経験することによって
2
つの不安が共に低減すると思われる。 間 年齢と利用度の交互作用では r販売システム不安」が (F=2.67 Pく..05) と有意差が認められたのに対し r商品不安」は有意差が認められなかった。つ まり r販売システム不安」は50歳以上の高頻度利用者が顕著に不安が低いこ とが特徴的である。これらの結果から, 50歳以上の高頻度利用者は他の層とは 異なった消費者特性を有することが推察される。 以上のように, 50歳以上では販売システムに関する不安が高く, 49歳以下で は商品に対する不安が高いことが明らかとなった。年齢及び利用度は,それぞ れが不安に対する影響要因であったが,販売システムに関する不安も商品に関 する不安も通信販売の経験を重ねることによって低減することが明らかとなっ た。 次に,通信販売の利用経験がどのような具体的不安に影響するのかを明らか にするため,利用度が高い3
4
歳以下の世代に限定して,不安と利用度の関連を 検討した。第9表は,全体的不安および具体的不安11項目を従属変数とし,利 用度を独立変数とする一元配置分散分析により利用者間の平均値の差の検定を Tukeyの多重比較を用いて行った結果を示したものである。利用者間で有意差 が認められたのは,全体的不安および具体的不安項目の「返品・交換j,r会社の信 用j,rアフターサービスJ,「お客の対応」の4項目である。「アフターサービス」は 「高頻度利用者j,r低頻度利用者」および「未利用者」の各利用者聞に有意差が認 められた。「返品・交換」および「お客の対応」は「高頻度利用者」と「低頻度利用者」 の間および「高頻度利用者」と「未利用者」の聞に有意差が認められたが r低頻度利 用者」と「未利用者」の聞には有意差が認められなかった。「会社の信用」は「高頻 度利用者」と「未利用者」の聞に有意差が認められた。 有意差が認められた4つの不安項目はいずれも通信販売システムに関する項 目であった。しかし,通信販売システムに関する項目の中でも r指定時聞に届 (27) 交互作用とは,ある要因の水準の変化が従属変数に及ぽす影響は別の要因の水準にど の程度依存するか,この依存の度合いの尺度である。たとえば,不安の平均値が年齢や利 用度によって影響されるだけでなく,年齢と利用度の特定の組み合わせの時に顕著に影 響されることを意味する。63 通信販売における商品特性 -63 第
9
表外出着購入時の不安(
34
歳以下)利用度別 高頻度 (H) 低頻度(L) 未利用 (N) 有意差 N=109 N=144 N=39 H-L H-N L-N ぴったりフィyトするかどうか 4 29 4 43 4 54 カタログと商品のイメージの一致 4 20 4 38 4 46 品質がよいかどうか 4 16 4 24 4 33 返品。交換がスムーズかどうか 3 15 3 63 4,00 * 会社が信用できるかどうか 3 08 3 45 3,,87 アフターサービスカ宝よい古、どうか 3 27 3 49 3,69 お客への対応がよいかどうか 2,,85 3 16 3,51 大 指定した時間に届くかどうか 2, 78 2 83 2,92 配達が早いかどうか 2 70 2 64 2,72 商品が正確に届くかどうか 2,52 2,64 2 77 通販で貿ったことが他人に分かるか 2 45 2,33 2 33 全体としてどの程度不安ですか 3 30 3 58 3,,90 大 (注)平均値の差の検定はTukeyの多重比較による。 • p<, 05 くj,i配達の早さj,i商 品 が 正 確 に 届 く 」 な ど 物 流 関 連 の 項 目 は 有 意 差 が 認 め られなかった。また,商品に関する項目である「ぴったりフィットj,iイメー ジ の 一 致j,i品 質 の よ さ 」 な ど は 不 安 度 は 高 い が , 利 用 者 間 で 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 こ の 結 果 は , 不 安 に は 利 用 経 験 を 積 め ば 低 減 す る 不 安 と 利 用 経 験 を 積 ん で も 低 減 し な い 不 安 が あ る こ と を 示 し て い る 。 つ ま り , 顧 客 対 応 に 関 連 す る 不 安 は 一 度 利 用 す る と 低 減 す る が , 不 確 実 性 の 大 き い 物 流 関 連 に 対 す る 不 安や商品に関する不安は経験によっても低減しないと思われる。 通 信 販 売 で 外 出 着 購 入 時 に お け る 全 体 的 不 安 は ど の よ う な 不 安 に よ っ て 規 定 されるのかを利用度別に検討した。第10表は全体的不安を従属変数とし, 11の 具体的な不安項目を独立変数とする段階的回帰分析による結果を示している。 全体的不安を規定する最も重要な不安項目は,未利用者では「返品・交換j (回 帰係数.46
)
で あ れ 次 い で 重 要 な 項 目 が 「 会 社 の 信 用j (回帰係数,2
5
)
である。 一方,低頻度利用者では,最も重要な不安項目は i品質のよさj (回帰係数2
9
)
で あ り , 次 い で i返 品 ・ 交 換j (回帰係数 15),i会 社 の 信 用j (回帰係数,14) である。また,高頻度利用者では,最も重要な不安項目は iイ メ ー ジ 一 致j(回第10表 全体的不安を規定する要因 (34歳以下) 高頻度利用者 低頻度利用者 未利用者 不安項目 回帰係数 T検定:Ill:11現知係数 T検 定 最 │ 回 帰 係 数 I検定量 空三主
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回以上の高頻度利用者になると iイメージ一致」や「ぴったり フィット(商品との適合性)Jが重要な要因となっている。また高頻度利用者は, 商品に関する不安以外に物流の不安や社会的・心理的不安あるいは顧客対応の 不安など多様な要因から形成されている。I
V
通信販売の利用意向と商品へのこだわり 前節で述べたように,通信販売を利用して外出着を購入する場合,商品の品65 通信販売における商品特性 -65-質に対する不安が通信販売の利用を妨げており,これが通信販売における外出 着の商品特性となっていた。そこで,外出着以外の商品の通信販売における商 品特性はどのようになっているのか興味深い問題である。著者らは香川県に在 住の大学生ω419名(男::188名,女:231名)を対象にアンケート調査を行い, 21種類の商品について,通信販売の利用経験,利用意向および商品に対するこ だわりについて質問を行った。まず,利用経験では男女でかなり異なり,この 1年間に通信販売を利用した男子学生は 13.8%であり,女子学生の 57..1%に比 べて極めて低い。第11表 (21商品についての男女別利用経験)に示すように 21 種類の商品別に見ても,音響製品や電気製品のような機能商品では男子学生の 方が女子学生よりも利用頻度が少し高いが,衣料品に関しては男子学生は通信 販売をほとんど利用していなし〉。従って,男子学生の場合,通販利用者と非利 用者の違いを明らかにするには通販利用者が少なすぎるため,本研究では女子 第11表 Tシャツ トレーナ一 、プラウス・シャツ ジーンズ ノTンツ 1 スラ yクス・スカート スーツ パジャマ 下策 靴下"ストッキング アクセサリー 靴 音響製品
CD
..テープ"ピデオ 本 電気製品 化粧品 スポーツ・レジャー用品 カノてン・/ぜツク 日用品・雑貨品 インテリアイ、物 生花・鉢植え 川 町 一 性 一 J J J一
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J l r i d -; ; J I J J J J J H リ 圃 ι U 2 9 4 5 ・ 4 3 4 ・7 8 3 ・1 4 R J O -A -1 -4 0 6 ・4 7 0 4 旅 行 ・ 園 田 1 4 叶 ム 1 4 ・ 寸 ム U ︽ 4 R J V 民 J v -q ム ・ 叶 ム 本 山 一 販 一 信 一 通 一 PD 園 口 問 -商 - の-生 -学 一 大 一学生のみを分析対象とした。 また,女子学生の通販利用が極めて少ない
5
つの 商品(音響製品,CD
・テープ・ビデオ,電気製品, スポーツ・レジャー用品, 生花・鉢植え) を分析対象から外した。 まず,利用意向について「今後,通信販売で買ってもよいと思う商品はどれ ですか」と言う質問を行い I買ってもよいj Iどちらとも言えないj I買いたく ないj I買う必要がない」の4
つの選択肢を用意した。分析では「買う必要がな い」を選択した学生は除いた。 こだわりについては「こだわりをもって選びた いと思う商品はどれですか」と言う質問を行い Iこだわるj,Iどちらともいえ ないj,Iこだわらない」の3
つの選択肢を用意した。著者らは「こだわり」 と 第12
表 女子学生の通販利用者と未利用者の利用意向と商品へのこだわり 利用意向 こだわり 利用者 未利用者 利用者 未利用者} Tシャツ 2.74 1. 86女 大 2.21 2.14 トレーナー 2.60 1. 78大 * 2..55 2.29 ブラウス・シャツ 2..78 1. 67** 2.70 2.56 ジーンズ l刷63 1刷16 2..60 2..64 スラックス・スカートなど 2..07 1..40** 2.65 2..67 スーツ 2..22 1.33* 2.80 2.77 パジャマ 2.83 2.33** 2.28 1.97柿 下着 2.80 2.27** 2.44 2.43 靴下・ストッキング 2.89 2.43** 2.15 2.05 アクセサリー 2..40 1.69** 2.91 2.67 * 朝t
2..00 1.24 * 2.92 2.75 本 2..55 1.88* 2.80 2..13帥 化粧品 2.30 1..47 * 3.00 2.65榊 カノfン・ノTック 2..53 1..54 ** 2.86 2.61 * 日用品・雑貨品 2.72 2.20** 2.28 2.29 インテリア小物 2.66 2.09材 2.64 2.44 (注1)数値は,r
買ってもよい」を3,r
どちらとも言えないJを2,r
買いたくないJ をlとした平均値であり,数値が高いほど利用意向は高くなる。こだわり度も同様 に,r
こだわりたい」を3,r
どちらともいえないJを2,r
こだわらない」を1 とした平均値である。 (注 2)利用者と未利用者の平均値の差の検定による有意水準;帥 P<l%, * P<5%。
67 通信販売における商品特性 ~67 は気に入った商品を探索する程度であり,こだわりの高い商品ほど商品に対す る知覚リスクは高いものと考えている。通販利用者と非利用者の通販利用意向 と商品に対するこだわりとの関係を第12表に示す。第12表から明らかなよう に通信販売利用経験を持つ学生は持たない学生に比べて利用意向がほとんどの 商品で高くなっている。これは前節で述べたように利用経験によって通信販売 に対する不安が小さくなっているものと考えられる。一方,こだわり度は通販 利用者と非利用者の違いが多くの商品で認められていない。差が認められた商 品はパジャマ,アクセサリー,本,化粧品,およびカバン・パックで,通販利 用者の方がこれらの商品に対するこだわり度は非利用者より高くなっている。 これは通販利用者が気に入った商品を探す手段として通信販売を利用している ことを示している。 次に16の商品の利用意向とこだわり度の関係について検討を行った。まず, 通販非利用者の利用意向の平均値を
X
軸にこだわり度の平均値をY
軸にとり, それぞれの商品をプロットした結果を第3
図に示す。第3
図から明らかなよう に通販非利用者の利用意向とこわだり度に強い相関関係 (r=~08) が認めら れた。こだわりの強い商品ほど通販を利用したくない傾向となっている。こだ わりの強い商品は,スーツ, くつ,パンツ・スラックスや化粧品であり,これ らは実際の利用度も低い商品である。これらの商品は今後も通販を利用しない ものと思われる。一方,通販の利用比率の高いパジャマ,下着や靴下などはこ だわり度が低く,通販の利用意向が高い商品であり,これらの商品は現在は非 利用者でも今後通販を利用することは十分予想される。商品に対するこだわり と通信販売の利用意向との聞でこれほど強い相関関係が認められたことは,消 費者意識から商品を考えるうえで極めて興味深い結果である。 次に,通販利用者の商品別利用意向とこだわり度の関係についてグラフ化を 行った。その結果を第4図に示す。通信販売の非利用者の利用意向とこだわり 度は強い相関関係にあったのに対し通販利用者では強い相関関係は見られな い。すべての商品が通信販売非利用者よりも右へ(通販利用意向の高い方へ) シフトしている。しかし,その中でもジーンズ,スーツ,パンツ・スラックス,だ
2..5 ジーンズ•
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化 粧 品 マhJ..+l-lIー . . .'/~" インテリア小物 . .ブラウス j カバン,
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第
3
図
通販非利用者の利用意向とこだわり度
および靴は他の商品に比べて取り残された形になっている。 これらの商品は体 にフィットするかどうかが重要な商品特性である。つまり,実際に商品を確か めて試着し納得することが体にフィットするかどうかを判断する決め手となっ ている商品である。 これらの商品は通販利用経験があっても, その経験が今後 の通信販売の利用に結びつかない商品である。 この結果から, フィット性が重 要な商品特性となる商品は今後も通信販売の利用の増加が難しいと予想され る。一方,その他の商品はフィット性がそれほど重要な商品特性とならない商 品であり,今後も通信販売の利用が増加していくものと予想される。 外出着が通信販売に適さない理由として,商品(カタログと商品のイメージ の一致,ぴったりフィットするかどうか)に対する不安が重要な要因であった が,外出着以外の商品においてもフィット性が通信販売の利用を鴎踏させる重69 通信販売における商品特性 -69 こ 2..5
•
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通 販 利 用 意 向第
4
図
通販利用者の利用意向とこだわり度
1.0
3.0 要な商品特性であることが明らかとなった。さらに,フィット性の識別は通信 販売の利用経験を積んでも解決されないことも明らかとなった。今後,フィッ ト性が重要な商品特性である商品の分野で通信販売が成長していくためには, この問題を解決することが不可避であると考えられる。 V お わ り に 通信販売での外出着購入時における不安は,通信販売システムに対する不安 と商品に対する不安に分かれ rぴったりフィットするかどうか」や「カタログ と商品のイメージの一致」のような商品に対する不安の方が販売システムに対 する不安より大きいことが明らかとなった。また,年齢や利用経験とこれらの 不安との関連では,利用経験によって2
つの不安とも低減することが明らかとなった。通信販売はもはや特別な消費者が利用する特殊な販売形態ではなく, 今後も成長が予想される小売業態となっている。 大学生を対象にした 16種類の商品の通信販売利用意向と商品へのこだわり との関連では,利用経験のない学生では利用意向とこだわりとは強い相闘が認 められたが,利用経験を持つ学生では,強い相聞は見られず,こだわり度が低 くてもフィット性が重要な商品では利用意向が低いことが明らかとなった。こ れまで通信販売の利点として利便性が言われてきた。しかし,本研究の結果, フィット性が重要な商品特性となる商品の場合,利便性だけでなくフィット性 も満足させなければ多くの消費者に通信販売が受け入れられず,このフィット 性が通信販売に適している商品とそうでない商品を分けている重要な商品特性 であることが明らかとなった。商品のフィット性は人によって異なっており, 今後,情報化により個々の消費者のフィット性を満足させるオーダー・メイド に近い小売業態が出現すれば,フィット性が重要な商品特性となる商品の流通 も大きく変化するものと予想される。 (付記) 本研究は,平成5年度香川大学経済学部特別研究費で行った研究の一部である。