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2000年
鳥 取 県 西 部 地 震 による落 石 災 害 復 旧の事 例 藤村 尚 ・ 山下 祐一*1日和 田 修司*2清
水 俊志*3鳥取大学工学部土木工学科
*1荒谷建設コンサルタント株式会社・*2日本工営株式会社・*3鳥取大学大学院工学研究科
A case study ofsiope repair works against earthquake‐ induced Юckfall damages
due to he Tottod―ken Seibu eaHhquake,2000
Hisashi FUЛWIURA・ Yullichi YAWIASmTA・ Sllutti HIWADA and Shwぃ
SⅢ
MIZU
Depttne
ofC 工Engineering,Faculty ofEngineemg Tottori Un crsity,Aratani C 工Consultant CorporatiOn.Ltd
Nihonkouei.Ltd
Graduate Studcnt Totto Un ersity
Tottori, 680-8552 Japan
E‐mailifttimura@∝tOttori―u.acJp
Abstract:An earthquakc of magnitude 7.3 occurred on Octobcr 6tと , 2000 in the wcstcrn part of Tottori
prefecture, with the focus in thc town of Saihakucho.ふ yfaiOr damages duc to this earthquake wcrc siope
failures,both natural and cut slopes, in western Tottori. In addition, incidents of rock fall also occurrcd
in numcrOus places.This report focuses on the rOck fall damagcs and prcsents casc studies of thrce particular locations in the severcly affected Hinogun areao Civil enginecring countermeasurcs against
rock fall adopted at thc thrce locations arc comparativcly discusscd and the best one is reconimended. Key words Юclc fall damage,collntemcasures agahst rockfall,Wcstem Totto earthquake
1.はじめに 平成12年 10月 6日 午後
1時
30分頃,中国地方 を 中心 に近畿 ,四 国,九州,東海地方等広い範 囲で強 い 地震 が発 生 した。気象庁の報道発表資料 によると,鳥 取県境港市,日野町で震度6強
,鳥取県西他町,溝口 町で震度6弱
,鳥取県米子市,岡山県新見市,哲多町, 香川県土庄 町等で震度5強
を観測したほか,中国 。近 畿 。四国地方 を中心に震度 1∼5弱
を観測した。この地 震 は陸域の浅い地震で,震源 は米子市の南20k141こ位 置し,震源の深さは約 10kntで あった。地震 の規模を示 すマグニチュードは阪神大震災(7,2)を上回る7.3で
あ った. この地震 による中国5県
の被害状況(平成12年
12 月各県被害集計資料)は,負 傷者130人 ,建物の全壊・ 半壊2978棟 ,一部損壊14910棟に達した。鳥取県西部 地震 の斜 面被 害 は,自然斜 面や切 上のり面 の表 層 崩 壊が主体であるが,落石も多く認 められた。主な斜 面崩 壊位置を図-1に
示す.斜面の表層崩壊 については, 豪雨時の斜 面崩壊とよく似た崩壊深さ,崩 壊長さ,崩 壊 図-1地
震 による斜面崩壊位 置幅の形 状を示 している.基盤岩 は主 に花 蘭岩 からなっ ている。[1]
2000年
鳥 取 県 西 部 地 震 後3年
が経 つ が,その 後,2001年芸予灘地震があり,今年 になつて2003年
宮 城県北部地震,各地で津波が起こった2003年
十勝沖 地震 と頻繁 に発生している.そ こで今一度,鳥取県西部 地震を振 り返って被 害などを整理しておく必要を痛感し た。ここでは,斜面被 害のうち落石被 害 に注 目した。落 石は地震や 豪雨時に必ず発 生するとは限らないが,不 安定な状態 にある岩塊 は,あ る規模 以上 の地震 になる と崩壊 しやすい。今 回の地震 では落石 が数 多く発 生し たため,落石対策 工(落石 防止擁壁等)の効果を検討で きる被害状況であった。[2] 本報では,落石被害の大きい鳥取県 日野郡溝 日町 中 祖 地 区,同郡 日野 町小河 内地 区,同郡 日野町根 雨地 区の3箇
所 に注 目し,まず ,そ れぞれの斜面の地質・地 形及 び落石機 構等を把握す る.次に,これ らの被 害地 での復 旧対策工について施 工事例を中心に述べる.2.日
野郡溝 口町の落石状況2.1地
形J地買 写真■ に示す各被災地(A∼C地
ッ様)の崩 壊部分と 地形・地質の概略断面を図…1に示す.3地
点とも,斜面 上位 の標 高 140m∼170mに
落石発 生源 となる玄武岩 熔岩 の急崖が連なっている.また,130m付
近 を境 にし て下方 には崩落土砂や転石等が認 められる,過去の斜 面の形成過程を考えるならば,もともとの落石現象 を繰 り返した斜 面であると判断され,常に地震 等の外力 によ り A地点 写真-1被
災地(日野郡溝 口町内)の位置 落石が発生し斜 面 に残積し,このような地形の発生源 の 危 険性 に加 えて斜 面上でも危 険転石群 が随所 に見 ら れる。[3] それぞれ の現 場 を構成 す る地質 は,新生代新 三期 鮮新世∼第 四期 更新性 の玄武岩熔岩である。この玄武 岩熔岩 は,中生代 白亜紀の花 南岩類 を基盤 としている。 花 開岩 は,主に黒雲母花 蘭岩からなり「′鳥取花 蘭岩」と B地点 C地点 図 …2崩
壊 部 分 と地 質・地 形 の断 面 囲 [2][3][4]修 正・加 筆呼称 される県 内に広く分布 す るものである.しかし,崖 錐堆積物(この崖錐堆積物は転石や礫混じりの上砂より なり,花蘭岩・玄武岩・疑灰角礫岩及 び疑灰岩 を起源 と する崩壊 により供給されたものである)により広 く覆 われ ているため,直接確認 できる部分 は少ない.落石発 生 源 となった急 崖部 を形成 しているのはこの玄武岩 熔岩 であり,板状節理を伴い不安 定な状態で存在している. [4]
2.2落
石発生機構 今 回の鳥取県西部地震 による地震動 により斜面崩壊 が生じたが,そ れぞれの斜 面崩壊 の共通な特徴 として, 標高 140m∼170mの
岩壁 に連続 して分布する玄武岩 熔岩 の急崖部の緩みが主たる原 因であることが挙 げら A地点 鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 34号 B地点 れる。この緩 み は,玄武岩 熔岩 と花 蘭岩 との不整 合 面 からの湧水 により,風化 した花 開岩 の表層侵食 が進 み 上部 の玄武岩 熔岩 は一部でオーバーハングし,このよ うな状況 が玄武岩 熔岩 の緩 みを促 進 していたものと考 えられる。以上のように,斜面崩壊 は,節理の発達 により ブロック化した玄武岩熔岩 が地震 動 により不安 定化し, 崩壊 に至ったと考えられる。崩壊 は,トップリング崩壊で あるが節理 によリブロック化 していることから落石 となつ ている.[5]2.3復
旧対策エ 落石対策には,二つの考え方がある。一方は,落 C地点 C地点 57 A地 点 図-3落
石 対 策 工 の施 工 事 例 [2][3][4]修 正・カロ筆 B地 点 写 真-2災
害 後 に施 され た種 々 の落 石 封 策 工石 の発 生が予想 される斜 面 内の浮石・転石を取り除い た斜 面 に固定する落石予 防工(発生源対策),他 方 は, 斜面から転落或いは落 下してくる落石を斜 面上及び斜 面下部(末端部)に設置した施設で防護する落石防護 工 (待ち受 け対策)である, 落石対策 の基本 的な考 え方 としては,予想 される落 石規模・落石発 生可能性・被 災の頻度やその状況を考 慮 して,落石予 防工や落石 防護 工を設置して落石 によ る災害を最小 限に抑 える必要がある。したがつて,落石 予防工及び落石防護 工の組み合わせ計画となるが,各 工種のもつ構 造 的な機 能 限界や地形等の施 工条件 を 十分認識して工種選 定や配置計画を企てることが必要 である.今回対象 とした復 旧対策 工の施 工事例を図…2, 写真-2に示し,そ の概要及 び工種選定の考え方をそれ ぞれ以下に述べる.[6][7] (1)A地点の復 旧対策[3] ○グランドアンカーエ及び現場吹付 け法枠工 不 陸面にも強度 を持つた連続構 造を保 ち,部分 的な 剥離防止を図れる。 ○ロープネットエ 転石群が比較 的まとまった範 囲で残存することから面 的に必要範 囲を覆い原位置 固定する.
O高
エネルギー吸収柵 工DEM等
の落石シミュレーション解析結果 により斜 面 上で待 ち受 け対策 を講 じる必 要があるため,必要箇所 に配置する。また,木材 を衝 突 面 に取 り付 けた落石 防 護柵 工は斜面上及び岩崖付近末端部の各 工法から漏 れる落石(φ=0.5→
を対象として道沿いに配置し,道の 保全と安全を確保する。o)B地
′点の復 旧対策 工[4] ○岩接着工及び除去工 不安定な崩壊部分を安定した岩盤 に岩塊を固着させ るために施している。 ○落石防護溝 工 当箇所では,比較 的規模 の大きな不安 定岩塊 が未 だ残存しているため,大型 の落石 防護施設が必要 とな る。この場合,十分な崩壊ポケットを確保するか大型 の 重力式擁壁 が必要 となる。当箇所 では,十分な崩 壊ポ ケットを確保 できることから落石 防護 溝 工が用いられて いる。 (3)C地ッ点の復 旧対策工[5] ○グランドアンカーエ及び現場吹付け法枠工 崖 の対策 工法 としては,落石規模 が大きく落石 防護 網工のロックボル トエでは対応できず,切土では切 土量 が膨大となることから,ア ンカー による岩免を安定した岩 盤 に固定させ る工法 と法枠 工 による斜 面との一体化 を 図る。O高
エネルギー吸収柵工 急斜 面 に分布 す る落石 の可能性 のある転石 は最 大 φ=1.5mで
あり,落石エネルギーを考えると落石洞 門 工及 び 高エネル ギー 吸収柵 工が拳 げられる。しかし, 保全対象が 山腹 と農地であることを踏 まえると高エネル ギー吸収柵 工が適切である。3.日
野郡 日野町小河内の落石状況(復旧対策工) 落石位置 は,JR伯
備線「黒坂」駅の西南西約 2.鍬m
の 日野川左岸側道路に面する自然斜面である。(写真… 3)地質 は,溝口町と同じ花 闘岩 である。岩 塊 は若 干表 層が風化 しているものの比較 的新鮮 な岩 盤 であり,中 硬岩状を示 している。花 蘭岩 は斜 面に露 出しており,ブ ロック状の割れ 目が発達している. 落石は道路から32m高
いオーバーハング状の岩塊が, 地震 により剥がれる様 に発生 した(写真-4).落石発生斜 面の形状 は,急崖 状を呈し,そ の下は平均 45°の斜面 勾配である。岩 塊 はこの斜 面を転がり,そのまま道路の 落石 防止擁壁 に衝突した。岩塊の形状は 2.5×1.8X
l.6mで
ある。 落石防止擁壁 は幅lmの
水路コンクリートの上に設置 されていた。落石 防止擁壁の長さは6mで
あり,防護柵 は両端と中央がH形
鋼の支柱からなっている岩塊の落 石 防止擁壁 に衝 突した状況は,現地状 況から次 のよう に説 明できる。地震 により剥離し落 下したが,岩塊 は落 石 防止擁壁の中央支柱 と擁壁コンクリートに衝突した。 写真-3被
災地(日野郡小河 内)の位 置鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 34号 59 岩塊 は,中央支柱 を破 損させ るとともに,擁壁コンクリ ートを 3ヶ 所でせん断破壊させ,さらに落石防止擁壁底 面と水 路コンクリートの付着部を破 断して,落石 防止擁 壁 を道 路側 に転倒 させた.岩塊 と転倒 した落石 防止擁 壁 は,道路 のガー ドレール を破 壊 して停 止 した(写真 -5)。 落 下してきた岩 塊 は,落石 防止擁壁 に衝 突した後 に 道 路を転 げたり,河川側 のガー ドレール に衝 突 した痕 跡 は認 められなかつた。したがつて,岩塊 は落石 防止擁 壁 に衝 突後,落石 防止擁壁 と共 に倒れて停止したと判 断した。 この結果
,2m前
後の岩 塊が落石防止擁壁 に衝 突し ても,落石防止加壁 の支柱 の破 損,コンクジートの破壊 や擁壁 底面 のコンクリー トの破 断は生じたものの,そ の 程度で落石 が停止したということは,設計よりかなり衝 撃 力 に対 して抵 抗 力 があり,設計 上期待 されている以 上 に実際には許容範 囲が大きいと考えられる. 4.日野郡 日野町根雨の落石状況[8]4.1地
形H地貰 落石位 置 は,江の川 関門の東側,毛無 山(12181■■Jの 西側約7kmに
位 置する宝仏 山(10051nJの西側斜面で, 北東 に流下する日野川 とその支サIIで北北西に流 下する 板井原川との合流′点にあたる。(写真‐6) また,周 辺 の標 高250m前
後 には,日野川 に沿って 平坦 ∼緩傾 斜 面が認 められ,日 野川を起源 とする河岸 段丘と推察される。この平坦面 には,集落が形成されて ヽる. 斜 面は,勾配約 40° ∼50° の急斜面で,急傾斜 地 崩壊危 険区域 に指 定されている。今回の地震で露岩部 では,緩みが生じて亀裂が開 口したり,浮石部が分離し てず り落 ちたり,転石 となって落 下している。落石 の範 囲は大きいもので約2mに
達し,落石災害が危惧 され る。 また、周 辺 を構成 す る主な地質 は,鳥取県域 に広 く 分布する中生代末期の逆入岩類=花
闘岩類からなる。 この花 闇岩類 は,鳥取花 蘭岩 と言われるものである。そ の他,千枚岩 か ら結 晶片岩(三郡 変成岩類)からなる古 生層および 中生代末期火 山岩類 が花 蘭岩類 に貫かれ て分布 す る落石発 生 地付近 には,三郡変成岩類 の分 布域 は狭 く,花陶岩 上 のル ーフペンダント状 の小岩 体 であると考えられている。これら両岩体は,西方で,日野 川沿いに識別 される北東‐南西方 向の断層(リニアメント) で接し,断層から西側(日野川上流側)には黒色千枚岩 ∼黒色片岩が認 められ,その接触面は地表踏査では 確認できず不明瞭であり,両岩体の接触面付近では, 三郡変成岩類は花 闘岩様の岩相を呈し,両者は漸移し ていると推定される。斜面では,緑色千枚岩∼緑色 写真-4日
野郡小河 内の落石発 生場所 写真‥5落
石 防止擁壁の被 災状況 (落石は防護柵 に直撃し,支柱 が破損 、擁壁コンクリート が破損 、擁壁が転落した。) 片岩が認 められる。変成岩 は面構 造 に支配 された片理 岩から剥離し易く,一般 的には片岩,千枚岩,粘板岩 の 順 に剥離性が強いものとされる. これらの基盤岩を覆う被覆層 としては,町道根 雨1号
線 沿いの集 落 にある平坦面∼緩傾斜 面部 に,更新 世 に形成された段丘堆積物,古期崖錘堆積 物 が分布 する. さらに,完新 世 に至って,谷底 平野をなす低位 段 丘 面 や崖錘堆積物が形成される。4.2被
災状況と復 旧対策エ 写真-7に示すように,根雨地 区においては径 1.0∼1.5mの
巨石が入型落石 防護柵 のネットを突き破って,斜 面下部まで落 下し,待ち受け擁壁 に当たつて停止した。写真
-6被
災地(根雨地 恥 の位置写真
-8復
旧状況写真鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 34号 61 =子;=ll手■■■二 ー =■碁上 __… 耳il■す( 一 ・ ――ヽ ヽヽ: