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Vol.7 , No.2(1959)030田崎 正浩「根本佛教を基盤とする新國法學」

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Academic year: 2021

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根 本 佛 教 を 基 盤 と す る 薪 國 法 學 ( 田 崎 ) 一 六 二

今 日 の 社 會 科 學 は す べ て 自 己 本 位 に 見 た 世 界 翻 の 上 に 立 つ も の で あ る こ と を 前 に 述 べ た が 、 法 學 も 同 様 で あ り 、 そ の た め 多 く の 誤 り を も つ 。 人 の 社 會 の あ り 方 を 設 計 す る た め の 基 本 的 知 識 は 人 及 び 自 然 の 基 本 的 認 識 の 知 識 で あ ら .ね ば な ら ぬ が 、 西 洋 哲 學 、 社 會 科 學 め 誤 り は 認 識 の 形 式 態 度 方 法 の 缺 陥 に 本 源 的 原 因 が あ る 。 西 洋 哲 學 及 び 自 然 科 學 に 於 け る 認 識 は 檢 證 に 於 て 、 前 者 は 論 證 を 主 と し 、 後 者 は 實 證 を 主 と す る が 、 共 に 認 識 形 式 分 析 と 認 識 態 度 の 問 題 を 等 閑 に 附 し て い る 。 こ の 貼 に 於 て 精 細 を 墨 し た も の が 佛 教 で あ る 。 臨 濟 の 四 料 簡 は よ く そ れ を 示 す 。 認 識 の 形 式 は 西 洋 で は 主 觀 と 客 觀 に 分 析 さ れ て い る が 、 客 觀 が 佛 教 に 於 け る よ う な 徹 底 し た 客 觀 で な く 、 い は ば 主 觀 の 多 數 決 に す ぎ な い の で あ る 。 そ れ は 坐 暉 が 西 洋 に な い こ と に 麟 因 す る 。 坐 輝 に よ つ て こ そ 二 念 不 起 の 境 地 に 立 つ こ と が 出 來 、 無 我 を 覺 る こ と が 出 來 る 。 無 我 を は つ き り 知 る こ と が 自 然 の 基 本 的 認 識 た る 正 畳 の 入 口 で あ る 。 そ れ か ら 自 然 の 本 質 た る 億 爆 智 認 識 し 、 無 常 性 恒 常 性 差 別 性 平 等 性 因 果 性 自 由 性 等 の 基 本 的 性 質 を 認 識 す る こ と に よ っ て 、 人 間 及 び 自 然 の 眞 實 の 基 本 的 概 念 が 得 ら れ る 。 臨 濟 宗 で は そ の 檢 證 の た め 今 日 二 千 絵 の 公 案 に よ り 試 験 し て 佛 性 の 認 識 を 確 立 す る 。 か く し て 法 燈 を 今 日 に 傳 え て 來 た 繹 で あ る 。 西 洋 で は 坐 輝 が な い た め 我 れ 本 位 に 封 象 を 見 る 形 式 を 脱 し 得 ず 、 我 れ あ り の 世 界 観 か ら 出 る こ と が 出 來 な い の で あ る 。 我 れ あ り の 世 界 は 意 思 の 世 界 で あ り 、 目 的 行 爲 の 世 界 で あ る 。 然 し そ れ が そ の ま ゝ 眞 實 は 我 れ な し の 世 界 、 無 意 思 の 世 界 、 因 果 現 象 の 世 界 で あ る こ と を 認 識 せ ね ば な ら ぬ 。 そ の 認 識 が 出 來 る か 否 か は 一 つ に か か つ て 坐 輝 と 云 う 認 識 態 度 の 如 何 に あ る 。 さ て 我 れ あ り の 世 界 は 自 己 本 位 に 見 た 世 界 で あ り 即 ち 此 岸 の 世 界 で あ り 、 眞 實 を 見 て い な い 世 界 で あ り 、 夢 を 見 て い る 世 界 で あ る が 、 そ れ が 生 身 の 人 間 社 會 で あ る 。 そ し て 社 會 科 學 は こ の 此 岸 の 世 界 の 我 れ の 行 動 、 生 き 方 を 示 す 設 計 書 で あ る 。 こ の 世 界 は 目 的 を 立 て て 行 動 す る 世 界 で あ っ て 、 設 計 書 は 目 的 を 定 立 し 、 目 的 を 達 す る 手 毅 を 教 え る も の で あ る 。 そ れ を 書 く に つ い て は こ の 身 、 こ の 身 の 行 動 は 、 我 れ で あ り 、 我 れ の 行 動 で あ る と 思 つ て い て も 、 眞 實 は そ の ま ま 眞 理 の 活 動 に 外 な ら ぬ も の で あ る か ら 、 彼 岸 即 ち 眞 理 の 世 界 觀 に 立 脚 し た も の で な け れ ば 、 此 岸 に 見 た 妄 想 は う そ で あ る の で 、 そ れ に 立 脚 す れ ば 間 違 つ た 設 計 と な り 、 誤 つ た 目 的 や 手 段 を 示 す 社 會 科 學 と な る 繹 で あ る 。 即 ち 社 會 科 學 は 彼 岸 此 岸 の 學 、 自 然 と 人 の 統 一 の 上 の 學 で あ ら ね ば な ら ぬ 。 是 に 反 し 西 洋 社 會 學 は 此 岸 二 世 界 観 の 上 に 立 つ 妄 想 の 學 で あ る 。 幸 福 や 便 値 等 樹 象 に な い も の を 樹 象 に 追 求 し て い る 所 の 鱒 倒 の 學 で あ る 。 又 自 己 本 位 に 見 た 誤 れ る 自 由 性 平 等 性 差 別 性 進 化 論 唯 物 辮 證 法 等 の 妄 想 の 上 に 立 つ 學 で あ つ て 誤 れ る 社 會 を 招 來 し て い る も の で あ る 。 今 自 然 と 人 の 統 一 の 學 と し て の 、 彼 岸 を 本 と し た 此 岸 設 計 圖 と し て の 國 法 學 を 示 し て 見 よ う 。 國 家 は 彼 岸 に 見 れ ば 人 類 小 自 然 が 法 則 性 を 以 つ て 統 一 的 に 地 上 に 成 立 し て い る 。 此 岸 に 見 る 時 は 一 定 の 國 民 が 一 定 の 領 土 に 國 法 を 以 つ て 統 一 人 格 と し て 目 的 的 生 存 活 動 を な し て い る 生 存 協 同 睦 で あ る 。 此 岸 の 世 界 は す べ て 目 的 行 爲 の 世 界 で

(2)

-557-あ る か ら 第 三 に 國 法 は 人 類 が 地 上 に 永 く 統 二 的 に 成 立 し て い る 彼 岸 事 實 に 随 う べ く 全 人 類 永 久 に 平 和 共 存 す る こ と を 目 的 と し て き め ね ば な ら ぬ 。 次 に 目 的 達 成 に 必 要 な 手 段 と し て 國 家 組 織 、 運 螢 の 道 を 彼 岸 の 世 界 觀 に 随 つ て 立 て ね ば な ら ぬ 。 國 家 組 織 を 如 何 に す べ き か に つ い て は 、 人 は 彼 岸 に 見 れ ば 無 我 で あ り 命 令 者 は な く 諸 法 則 を 以 て 統 一 的 に 成 立 し 、 そ の 統 一 制 は 有 機 謄 全 一 性 と 云 う 生 物 の 特 性 に な つ て い る 。 こ れ を 此 岸 に 見 た 場 合 我 れ と 云 う 統 一 人 格 で あ る 。 其 故 に 國 家 は 有 機 磯 全 一 的 行 政 組 織 と し 、 其 他 統 一 的 成 立 に 必 要 な 國 法 を 作 り 國 家 我 を 成 立 せ し め ね ば な ら ぬ そ の 組 織 に 於 け る 政 府 は 人 に 於 け る 頭 脳 に 相 當 し 主 宰 者 で は な く 機 關 に 過 ぎ ず 、 國 家 我 を 代 表 す る が 國 家 我 は 國 法 に よ り 統 一 的 に 成 立 す る も の で あ る 。 國 家 我 、 國 法 は 國 民 全 部 從 わ ね ば な ら ぬ 國 民 総 意 思 で あ る 。 そ し て 國 家 我 は 國 家 主 権 に 外 な ら ぬ も の で あ る か ら 國 民 の 総 意 が 主 灌 で あ り 、 こ れ が 民 主 主 義 で あ る 。 こ れ に 反 し 此 岸 の 世 界 を 眞 實 と 思 う 世 界 觀 に 立 つ 時 は 主 宰 者 を 認 め る 故 に 國 家 に 於 て も 君 主 を 當 然 と し て 定 立 す る 。 然 し そ れ は 誤 り で あ る こ と は 明 か で あ る 。 又 民 主 主 義 と 構 し て 囑 裁 政 治 を な す ソ 連 や 中 共 の 制 證 も 君 主 制 と 同 一 で あ つ て 誤 り で あ る 。 其 他 行 政 組 織 は 有 機 膿 全 一 的 に 定 め 、 國 家 の 國 民 に 樹 す る 責 任 と 國 民 の 灌 利 義 務 を 明 か に し 、 國 民 共 存 の 道 を 立 て ね ば な ら ぬ 。 れ の 主 な る も の を 云 せ ば 、 (一) 國 家 は 國 家 目 的 に 從 つ て 國 民 を し て 平 和 的 に 分 業 協 同 生 存 せ し む る こ と が 基 本 的 責 任 で あ り 、 こ れ を 國 民 の 側 か ら 云 え ば 國 民 は 基 本 的 に 生 存 権 を 有 す る と い う こ と で あ る 。 而 し て 生 存 と は 食 う て 働 く こ と で あ る か ら 生 存 灌 は 食 う て 働 く 権 利 義 務 で あ り 、 國 家 は 國 民 を し て 食 わ し め 働 か し む る 責 任 が あ る 。 從 つ て 資 本 主 義 の 生 存 の 個 人 責 任 國 家 不 干 渉 は 誤 り で あ り 又 不 笏 所 得 ( 資 本 の 利 潤 ) と ス ト は 誤 り で あ る 。 (二) 彼 岸 差 別 世 界 は 銘 々 勝 手 な 差 別 で な く 諸 法 則 に 随 い 因 果 必 然 の 非 軍 立 統 一 の 差 別 で あ る 。 こ れ は 此 岸 に 於 て は 濁 自 性 で あ り 、 各 自 一 人 格 を も ち 濁 自 的 に 生 存 活 動 を な す と 見 る 。 よ つ て 自 然 の 差 別 性 を 認 め る こ と は 、 各 人 は 人 格 を 尊 重 さ れ ね ば な ら ぬ こ と と な り そ れ が 國 法 に よ つ て 保 證 さ れ ね ば な ら ぬ こ と に な る 。 然 し 統 一 を 破 り 不 合 理 差 別 を 作 る よ う な 無 制 限 な 利 己 心 を も つ 猫 自 は 差 別 性 の 本 性 に 反 す る が 故 に 許 さ れ な い 。 今 日 の 個 人 主 義 の 誤 り は そ の こ と に ある。(三)無常性は無法則の無常では な い 。 合 理 的 統 一 差 別 を 生 ず る 因 果 必 然 の 無 常 で あ る 。 こ れ に 随 つ て 國 家 は そ の あ ら ゆ る 部 門 が 常 に 流 れ て 合 理 的 差 別 的 社 會 を 作 る よ う に せ ね ば な ら ぬ 。 灌 力 財 力 の 固 定 も 許 さ れ な い。(四)從つて國民は 機 會 均 等 の 橿 利 と 公 平 な 差 別 生 存 の 擢 利 が あ る。(五)平等性は差別そ の ま ま が 本 質 的 に 平 等 で あ る こ と で あ り 、 差 別 の 外 に 平 等 は な い 。 た だ 法 則 は 平 等 に 支 配 す る 。 從 つ て 社 會 で も 國 法 の 前 に は 國 民 は 灌 利 平 等 で あ る 。 が 然 し 其 他 一 切 に 平 等 の 灌 利 は な く た だ 合 理 的 差 別 即 ち 公 平 生 存 の 権 利 が あ る 。 因 自 由 性 も 本 質 佛 性 が 無 數 の 差 別 を 生 ず る 自 由 を も つ こ と で あ り 、 一 切 差 別 は 因 果 必 然 に 生 ず る 故 に 因 果 必 然 そ の ま ま が 本 質 的 に 自 由 で あ り 、 必 然 の 外 に 自 由 は な い 。 例 え 此 岸 に 於 て 我 れ が 意 思 の 自 由 を も つ 如 く 見 え て も 、 眞 實 は 因 果 必 然 現 象 で あ る が 故 に 、 自 然 が 合 理 統 一 差 別 を 作 る 如 く 統 一 平 和 共 榮 社 會 を 作 る 國 家 目 的 の た め の 道 徳 法 律 に 從 う こ と が そ の ま ま 自 由 で あ る 。 言 論 思 想 生 存 の 自 由 は 眞 理 探 求 と 社 會 設 計 圖 の よ り よ き も の を 作 り 、 即 ち 眞 理 と 道 を 明 か に し 道 を 踏 む 内 に 於 て の み 許 さ れ る 。 (七) 統 一 性 に 随 い 國 民 は 協 同 和 合 平 和 共 榮 の 義 務 が あ り 統 一 の 破 壊 を 許 さ ぬ 。 根 本 佛 教 を 基 盤 と す る 新 國 法 學 ( 田 崎 ) 一 六 三

参照

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