京都精華大学多読プログラム実践報告(2)
── 2010年度多読プログラムの指導方法とその成果について ──
宮 下 亜矢子
MIYASHITA Ayako
はじめに
京都精華大学では、2005年度から人文学部一年次必修科目「英語Ⅰ・Ⅱ」の一環として多読 プログラムを取り入れている。多読開始当初から2009年度前期まで、本を一冊読むごとに内容 を日本語で要約するという課題Quick Book Reportを学生に課していたが、2009年度後期にこ の要約課題を廃止した。その結果、語数累計、すなわち学生の読書量が大幅に増加し、英語で の読書に対する肯定的な態度や自信が観察されるようになった1。 2010年度は、多読教材を指定シリーズと自由シリーズに分ける、主な指定シリーズに朗読 CDをつけ、音声を聴きながら読書をするという「聴き読み」の導入を行うなど、多読プロ グラムの運営方法に更なる変更を加えた。本稿では、これら2010年度の改善点を説明すると ともに、学生の具体的な取り組みの様子を紹介する。そして、学生の語数累計と実力テスト G-TELP2 のスコアの伸び、多読終了時に実施したアンケートの結果をもとに、2010年度の多 読プログラムの成果を報告する。1.多読プログラムの概要
多読とは、簡単な英語で書かれた比較的長い文章を、辞書を引かずに素早く大量に読みこな すことによって、従来の精読中心の英語教育では絶対的に足りないとされる英語でのインプッ トを増やし、英語の読解力を身につけるという学習方法である。「辞書は引かない」「わからな いところは飛ばす」「つまらなければやめる」という多読三原則3 のもとに、本の内容を楽し みながら読み、英語を英語のまま理解することによって、英語の語彙や文法が自然に身につき、 読書スピードが向上するとされる。 人文学部一年次必修科目「英語Ⅰ・Ⅱ」は、週に2回、45分間、クラスごとに担当教員が共 通テキストを用いて授業を行う「総合英語プログラム」と、「多読プログラム」で構成されている。多読プログラムでは、1回につき45分間の英語の読書を週に2回、多読ライブラリーにて 行う。 多読ライブラリーは、月曜日から金曜日までの2時限から4時限まで、昼休みを含めて1コマ 45分ごとに開室している。受講生は、クラスごとに指定された時間帯である「指定クラス」と、 学期の初めに学生が希望の時間帯を登録する「選択クラス」の週2回、多読を行う。学生はラ イブラリーに入室すると、読書記録である「多読累計表」を挟んだ個人ファイルをとり、学生 自身が多読教材の中から自由に本を選んで読書を開始する。助手は学生の出欠の管理をし、ラ イブラリーを巡回しながら、学生が適切なペースで読書を進めているか観察し、多読教材の選 択に際しての助言を行う。また、必要に応じて英語の質問に答え、内容が理解できているか確 認を行う。多読時間終了後は、多読累計表のチェックを行う。
2.2010年度の指導方法
2.1. 使用教材 2010年度時点で多読ライブラリーに設置してある多読教材は以下の通りである4。現在日本 では各国の出版社が出版する多読用図書が数多く販売されている。本学多読ライブラリーでは 「読みやすさレベル(YL:日本人学習者にとっての本の読みやすさを示したレベル)」にした がって、YL0.1から5.0までの本を揃えてある。このうち、学生が読むのはYL0から2.5程度まで の本が中心である。本学のように一年間という比較的短期間の多読プログラム5 では、無理に レベルの高い本に進むように指導するのではなく、YL1前後の本を数多く揃え、学生が無理な く語数を増やせるようにすることが重要である。そういった意味では、今後もこのレベルを中 心とした蔵書の拡充が必要であると感じている。 表1:多読ライブラリー所蔵シリーズ(2010年度)2.2. 課題 多読時間中に学生に課せられた課題は、「多読累計表」と、月に一度の「Book Review」である。 多読累計表は、本の通し番号、日付、本のタイトル、シリーズとレベル、本の総語数、それま でに読んだ本の語数累計、感想やメモを記入する形式の読書記録用紙である。感想・メモの欄 には、物語や登場人物、挿絵、CDの音声に関する感想から、日本との文化的相違を指摘する コメント、英語特有の表現に関する質問まで、多岐にわたる記述がみられる。ある男子学生の 累計表(図1)からは、物語の内容を楽しんでいることに加えて、類義語であるangryとcross の関係に気づき、spring cleaningという欧米特有の文化的習慣を指摘するなど、多読教材から 様々なことを学んでいることがうかがえる。 図1:多読累計表の一例 2009年度後期に引き続き実施したBook Reviewは、月に一度、お薦めの本を他の学生に紹介 するという形式の課題である。提出されたBook Reviewのうち、優秀なものはライブラリー内 に掲示したところ、学生同士がお互いのレビューを参考にして本を選ぶ姿が見受けられた。図 2は実際に学生が提出したBook Reviewの例である。「他の学生がその本を読みたくなるよう な、映画の予告編のようなレビューを書いてみよう」といったかたちで指導した結果、本に対 する親近感や他の学生への気遣いを感じさせる、こういったBook Reviewが数多く寄せられた。 Book Reviewの利点は、英語力とは関係なく、その学生の個性が発揮でき、指導者の側にも学 生の読書への取り組みの姿勢がよく見えるという点である。また、別のクラスの学生のBook Reviewを読むことで、受講生全体に一種の連帯感が生まれるという効果も大きかった。
図2:Book Reviewの一例 2.3. 本の選択 クラスで一斉に行う精読の授業と多読の大きな違いは、後者では学習者が自分の英語力と興 味に応じて、自ら読む本を選ぶことができるという点である。しかしながら、「読ませっぱな しでは効果がない」「指導者がいかに適切な本を学生に勧め、読書へのモチベーションを維持 させていくかが多読指導の成功にかかっている」とは、多読指導関連の研究会等でよく耳にす る声である。日本における多読指導の第一人者である古川昭夫氏は、自身の著書(古川2010: 142)で、「生徒に多読を続けさせるには、教師には大変な努力が必要になります。英語の本を 読む習慣のない生徒1人1人に適切なレベル・内容の本を紹介し、励ましながら「自発的に読 む」ところまでもっていくことが「多読指導」なのです」と述べている。 要約課題の廃止は、語数累計を大幅に増加させ、学生の読書に対するモチベーションを向上 させるという大きな効果があったものの、多読累計表への読書記録の記入のみを課題とし、本 の選択を完全に学生の自由に任せたまま、週2回の多読授業を1年間継続するということは、難 しい点も多い。まず、学生が読書への関心や意欲を喪失して飽きるのが早いという点、そして 自らの英語力に適さない本(往々にして難しすぎる本)を選んでしまうという点である。この ような問題に対処するために、2010年度は、多読教材を「指定シリーズ」と「自由シリーズ」 に分け、指定クラスでは指定シリーズを、選択クラスでは自由シリーズを読むという指導を行 った。 指定シリーズとして設定したのは、細かく段階別にレベル分けされ、レベルごとに語彙や 構文が制限されているORT(Oxford Reading Tree)とFRL(Foundations Reading Library)、 PGR(Penguin Readers)である。このうちORTは母語話者の子ども向けに書かれたLeveled Readers、FRLとPGRは外国人の英語学習者向けに書かれたGraded Readersである。特に前者 二つのシリーズは、すべての本にわたって共通のキャラクターが使用されており、前年度の学 生にも読みやすく面白いと好評だったものである。シリーズごとにタイトルを一覧にしたリス
トを渡し、読んだ本のタイトルにはチェックを入れさせるようにした。この三つのシリーズ以 外を自由シリーズとして設定した。
多読指導の基本は、SSS(Start with Simple Stories)と言われるように、辞書なしでもす らすらと内容が理解できる程度の非常に簡単な本から読ませるということである(高瀬 2010)。 多読プログラム開始時点では、まずYL0.2から始まるORTを読ませた。ORT5まで読んだ学生 には、YL0.6以上のFRLシリーズに進んでもよいと指導し、これらのシリーズによってある程 度多読に慣れた時点で、同等あるいはやや下のYLの自由シリーズの中から、助手が個々の学 生の希望を聞きながら本を勧めて読ませるようにした。自由シリーズとして設定してある本の 中には、物語やジョークが英語圏の文化的背景を知らないと理解できなかったり、母語話者が 使用する幼児語が数多く用いられているなど、日本人学習者には読みにくいものも含まれてい るため、助手が本を選んで勧めることが必要不可欠だった。 2.4. 聴き読み(多聴)の導入 多読ライブラリーには、学生の人数分のポータブルCDプレイヤーを設置している。指定シ リーズであるORTとFRL、自由シリーズではICRの一部、MMR、NTGの一部、UYRには、本 に音声CDを付属させ、ヘッドフォンで聴きながら本を読ませた。これは「聴き読み」という 学習法で、多読だけでなく「多聴」の活動も行った。2009年度にもCDプレイヤーを設置して いたものの、希望者は聴きながら読んでもよいという指導にとどめていたため、実際に聴き読 みを行う学生はほとんどいなかった。そのため、2010年度は多読開始当初に聴き読みを義務化 し、クラスのレベルに応じて、指定クラスのみの聴き読み、希望者のみの聴き読みへと変更し ていった。これは、CDを聴きながら読むと読書スピードが若干低下するため、より多くの本 を読んで語数を増やしたいという学生の声に応えるためである。実際には多くの学生がそれま でに聴き読みの効果を実感しており、また、特にORTのCDは、単なる朗読ではなく複数の声 優が声を吹き込んでいる非常に充実した内容の音源だったため、大半の学生が最後まで聴き読 みを継続した。また、イギリス英語、アメリカ英語の両方で吹き込まれているものは、両者を 聴き比べ、感じた違いを累計表のコメント欄に書く学生も多く見られた。このように繰り返し 音声を聴くことで、読書スピードは音声なしで読むときよりも落ちることになったが、読書の 質を高め、多くの聴覚インプットを与えることができるようになった。 聴き読みは、リスニング力の向上ばかりではなく、英語力のきわめて低い学生に対しては内 容理解の大きな助けとなり、絵ばかりを見て英文の飛ばし読みをする学生にはそれに歯止めを かける役割を果たした。また、私語を防止して読書に集中させる効果も非常に大きかった。
2.5. 取り組みの様子 ここでは、学生の取り組みの様子を紹介する。前期の間はほとんどの学生がORTを読んで いたが、stage 4までしか読めない学生もいれば、stage 9まで読破する学生もいるという進度 の差が見られた。一部の学生は、ORT特有の母語話者の子供向きの語彙や文法を難しいと感 じていたため、ORTをstage 6まで読んだところで、外国人英語学習者向けに書かれたGraded ReadersであるFRLを勧めたところ、ORTよりも読みやすいと感じたらしく、滑らかに多読を 継続することができるようになった。 読み方に違いが現れたのは、後期に入ってからである。女子学生Aは、前期はORT stage 2 からORT stage 7までの約4万語を、聴き読みをしながら読み切った。後期に入ると、指定ク ラスではFRLのlevel1から各レベル一日3冊ずつ、選択クラスではNTGやCG、ICRやPERとい ったキャラクターものを、その日ごとにシリーズを変えて読んでいた。YLは0.8から1.5程度を 中心に、「今日はどの本を読もう」と選択クラスのたびに楽しんで本を選んでいた。このよう にして、後期では6万語を読み、通年語数は10万語を突破した。 男子学生Bは、前期にORT8まで6万語あまりを読み、後期はORT9までを読破した。その後、 指定クラスではFRLとPGR0を読んでいたが、自由シリーズではサスペンスやミステリーに定 評のあるCER(Cambridge English Readers)が気に入り、選択クラスでは毎回このシリーズ のレベル0と1を読んでいた。こうして後期終了時までに7万5千語を読み、通年語数累計は13万 5千語となった。ちなみに、この学生は後期末のG-TELPで大きくスコアを伸ばしている。気に 入ったシリーズを見つけて継続して読み続けることで英語力を伸ばしたという例である。 学生によって本の好みは多種多様であるが、自らのレベルを認識し、その範囲のYLの中から、 かわいらしいキャラクターが登場する絵本やミステリー、ノンフィクションなど、気に入った ジャンルを見つけ、それを継続して読んでいくことが、多読で英語力を伸ばす秘訣のようであ る。逆に、語数累計は増やしたものの英語力が伸び悩んだ学生は、往々にして難しすぎる本を 選択しているか、本を選ぶことを楽しめていない場合が多かった。
3.2010年度の成果
3.1. 語数累計 2007年度から2010年度までの受講生の平均語数累計の推移を、表3にまとめてある。要約課 題を廃止した2009年度後期から、語数累計は大幅な増加を見せた。2010年度前期は、聴き読み をしながら総語数の少ない本を読んでいたため、語数累計は大きくは伸びなかったが、後期に 入って読書スピードが上昇し、総語数の多い本を読むようになったため、通年では平均語数累計は9万語を超えるに至った。 表2:平均語数累計(年度別) 前期 後期 通年 2007年度 15440語 20275語 35715語 2008年度 16803語 20307語 37110語 2009年度 11008語 61958語 72966語 2010年度 36126語 57139語 93265語 表3は、2009年度と2010年度の通年語数累計に関するデータである。 表3:通年語数累計 最高語数累計 10万語を超えた人数 2009年度 224200語 47人 2010年度 218600語 73人 2009年度、2010年度ともに、通年の最高語数累計は約22万語である。しかし、通年の語数 累計が10万語を超えた学生の数は、2009年度には受講生の4分の1程度の47人だったのに対し、 2010年度は73人となった。2009年度は一部の学生のみが大きく語数を伸ばしていたが、2010年 度は多くの学生が平均的に読書量を増やしたということである。これは、シリーズを指定し、 個々の学生に合わせた本を勧めるという指導方法の効果だと考えられる。 3.2. G-TELPスコア この語数累計の大幅な増加は、受講生の英語力の向上にどの程度影響を与えたのだろうか。 ここでは、通年語数累計の平均が4万語に満たなかった2008年度と、9万語を突破した2010年 度について、多読プログラム受講前(4月)と受講後(1月)のG-TELPのスコアを比較する。
以下の表とグラフは、文法(GRM)、リスニング(LST)、リーディング(RDG)、合計(TTL) の各項目のスコアと、それぞれのスコアの伸びを示したものである。この数値は、受講生のうち、 4月と1月両方のG-TELPを受験した学生のデータから算出されたものである。2008年度は受講 生329人中205人(62%)、2010年度は249人中110人(44%)が対象となった。 表4:G-TELPスコアの比較 受講生のスコアの伸びは、2008年度では合計で14.2点、2010年度は24.4点である。各項目に おいて、2010年度のスコアの伸びは2008年度の2倍程度と、大きな増加が見られた。これは、 前節で述べた要約課題廃止による語数累計の大幅な伸びが影響しているといえる。大量に英語 で読書を行うことによってリーディング力が向上したのはもちろんのこと、リスニング力には それ以上の伸びが観察された。これは、精読に比べて速いスピードで英文を読むという経験を 重ねることによって、英語の処理能力が高まり、視覚だけでなく聴覚による英語の理解度も向 上したためだと考えられる。それに加えて、2010年度はORT、FRLを中心とするシリーズの多 聴を行ったことが、リスニング力の大幅な向上の要因となったと思われる。 3.3. アンケート 後期の最終週に、多読ライブラリーで多読プログラムに関するアンケートを実施した。各質 問に4「はい」から1「いいえ」までの4段階で回答を行うという形式で、182人から回答が得ら れた。ここではその結果を報告するとともに、2010年度の多読プログラムについて考察を行う。 以下の表は、質問項目と得られた回答の平均値、4「はい」から1「いいえ」までの各値の回 答数を示したものである。
表5:2010年度多読プログラム アンケート結果 1.1から1.4の質問は、多読を行う上で何を目標にしたかを尋ねたものである。4分の3の学生 が語数を増やすことを目標にしたと答え、内容を楽しむことを目標にしたかという質問には半 数の学生が最高値の4と答えた。学生は精読型の英語授業と多読の違いをはっきりと認識して、 多読に取り組んでいたといえる。 2.1から2.8の質問は、多読の効果についての意識を尋ねたものである。2.2「多読を通じて英 語を読むのが得意になったと思いますか」という質問では肯定的な回答は得られなかったが、
2.1の「英語で読書をすることへの抵抗がなくなりましたか」という質問には半数以上が肯定的 な回答をしている。まだ自らの英語力に自信は持てないものの、多読は英語で読書を行うとい うことに対する心理的な壁を低くする効果はあったようである。また、65%の学生が「辞書な しで読書を行うことに慣れた」、59%の学生が「多読によって語彙が増えた」、65%の学生が「多 聴によってリスニング力が向上した」と答えているように、様々な側面において多読・多聴に よる効果は現れているが、文法の定着を実感している学生は少なかった。 最後に、多読プログラムの満足度を尋ねた質問では、実に90%の学生が4または3と答えてい ることから、今年度の多読プログラムは学生に広く受け入れられたといえる。2または1と答え た学生の多くは、入学時のG-TELPのスコアが非常に低く、基礎的な語彙を身につけていなか った。そのためORTのような非常に易しい本を読むことも困難に感じ、多読で読書の楽しさや 達成感を味わえなかったようである。このような学生に対しては、多読を開始するために必要 となる、最低限の語彙力を身につけさせるための個別指導を行う必要があるだろう。 以下に、学生から寄せられた多読プログラムに対する意見・感想を挙げる。これらのコメン トからは、多くの学生が一年間の多読を通じて、何らかの形で自らの力の伸びを実感している ことがうかがえる。単なる英語力の向上というだけではなく、多読教材を通じて読書の楽しさ を感じているといえる。 ◦最初はめんどうに思っていたけど、語数累計がどんどん増えていくことが今の達成感と満足 度につながってきていると思います。 ◦物語から本当の話まで、自分の興味を持ったものを読めておもしろかった。辞書を使って英 文を読むくせがついていたけど、なくても読み進められるようになったので良かった。1年 で終わるのは、もったいないと思う。 ◦はじめのうちは単語の意味がわからないと止まってしまうことが多かったけれど、多読によ って、文章全体で意味をつかむことを学べたと思う。 ◦多読という勉強方法は初めてで、慣れるまでは大変でしたが、慣れてくるといろいろな種類 の話を読むのが楽しかったです。特に日本語で読んだことのある話を英語で読むのは新鮮で おもしろかったです。
◦英語の授業で長文を読むときとは違った感覚で読むことができたから、楽しかった。 ◦最初は、簡単で短いやつが良いと思っていたけど、読んでいくうちにレベルの高い長いやつ を読みたいと思うようになった。 ◦面白かったです!英語の普通の授業より断然。日本語に訳さず原文まま頭に入れて読む、と いう行為は新鮮でした。読んだ本をチェックしていくシートも、うまっていくチェックボッ クスが嬉しかったなあ。2年からも出来たら良いのにー。 ◦英文で何が書かれているのか本の内容を理解しながら読むことができた。英文に触れる機会 が増えた。 ◦今思えば、自分が200語とか300語からのスタートだったことが驚きです。いつのまにか 2000語程度の本を読むようになっていて、英文を読むスピードが上がったことが実感できま した。 ◦私は英語が苦手で、英語の本を読むなんて、絶対できないと思っていました。でも、かんた んなものだとスラスラ読めて、内容も分かるし、驚きでした。 ◦英語で本を読んでいると自然に文法も分かっていけたのでよかったです。いろいろシリーズ があって自分のレベルに合った本を読めたので多読の内容は全体的に良かったと思います。 ◦私は英語が好きでいつか話せたらと思っていた。けど現実は全くできてなくて、多読が始ま った時も自分だけ全くダメなんじゃないだろうかと思っていた。けど、いざ読んでみると簡 単なものなら私でもいちいち訳さなくても意味が分かったし読めることが分かった。 ◦わからない単語があってもなんとなくで読めば十分楽しめるということが分かった。 ◦以前より英語で書かれた本を読むことに抵抗は減りました。 ◦多読で単語がわかるようになったし、わからなくても前後の文と絵で推理するくらいには力 がついたと思います。 ◦多読は英語の本を読むのにちょうどいいと思ったし、正直いままで英語の本は読みたくない と思っていましたが、多読では絵本を読む感覚で楽しく読むことができ、少し英語に対する 価値観が変わったと思います。 ◦CDを聴きながら多読をしていたのでリスニング力が上がったと思う。 ◦英語の大まかな内容をつかむという点で多読はとても良かったと思います。 ◦英語を聞く力が身についたと思う。最初に比べて本を読むスムーズさも良くなった。 ◦色々なジャンルの本が沢山読めて、中には実話もあるので、勉強にもなったし、多くのこと が学べたと思う。
4.おわりに
本稿では、2010年度多読プログラムの改善点とその成果について報告した。2009年度の要約 課題廃止に加えて、2010年度は「聴き読み」を導入し、指定シリーズ・自由シリーズ制などを 取り入れることで、個々の学生に合わせてきめ細かく読書の様子の観察と指導を行った結果、 語数累計が大幅に増加することとなった。また、それによってG-TELPのスコアが大幅に上昇 するなど、多読によって実際に英語力が向上することが証明された。アンケートの結果からも、 学生は多読の効果を様々な側面から実感していることがうかがえる。 2011年度の課題としては、より易しい本のシリーズを増やすことで学生がスムーズに読書を 行えるようにすること、多読と多聴のバランスを考えながら、読書スピードを向上し、さらに 読書語数を増やすための読書指導を行っていくこと、そして、多読プログラムを難しいと感じ る英語力の学生には、より基礎的な語彙や文法に関する個別指導を考案していくことなどが挙 げられる。 脚注 1 「京都精華大学多読プログラム実践報告(1)」(宮下 2010)参照。2 G-TELPとは、General Tests of English Language Proficiencyの略で、(株)大栄総合教育システムが 実施している、英語力を診断するためのテストである。日本ではレベル1からレベル4が設定されてお り、各レベルの試験項目は「グラマー」「リスニング」「リーディング&ボキャブラリー」のセクショ ンから成る。本学ではレベル4(英検3級程度)を採用している。入学時にプレースメントテストとし て実施し、前期終了時、後期終了時を合わせて年3回実施している。 3 SSS英語学習法研究会が提唱した、多読学習法を行う上で守るべきだとされる原則である。 4 シリーズ名の略名、YLは『英語多読完全ブックガイド改定第3版』に準ずる。 5 日本では中学校や高等学校、高専、学習塾等、数年にわたって多読指導が行われている機関が多い。 参考文献
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