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2. 研 究 内 容 本 研 究 は 高 齢 者 施 設 に 入 所 する 高 齢 者 ( 平 均 年 齢 85 歳 )72 名 および 職 員 ( 平 均 年 齢 37 歳 )20 名 をそれぞれ 無 作 為 に2 群 に 分 け L. casei シロタ 株 を 含 むプロバイオティクス 飲 料

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Academic year: 2021

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2015年12月22日

プロバイオティクス飲料の継続摂取による

高齢者施設入所者の発熱日数の短縮と便性改善を証明

株式会社ヤクルト本社(社長 根岸 孝成)では、順天堂大学大学院プロバイオティ クス研究講座 山城雄一郎特任教授、東京女子医科大学病院小児科 永田智主任教授らと の共同研究の成果として、高齢者施設入所者にプロバイオティクス飲料を継続的に摂取 してもらうことにより発熱日数の短縮および便秘や下痢日数の減少など健康状態が改 善することを無作為化プラセボ対照二重盲検試験にて明らかにしました。さらに、プロ バイオティクス飲料の継続的な摂取が施設入所者のみならず施設職員の腸内フローラ および腸内環境を改善することも明らかとなりました。 本研究によりプロバイオティクス飲料の継続摂取が高齢者施設入所者の日常的な感 染症発症リスクの低減や生活の質の改善に役立つ可能性が示されました。

本研究成果は学術誌「Annals of Nutrition & Metabolism」に11月25日に公開さ れました。 1.背 景 高齢者は身体の諸器官の機能低下や活動量の減少などにより、感染症発症リスク の増大や生活の質の低下など健康面の様々な問題が起こりやすくなります。特に高 齢者が集団生活をする施設では感染症が集団発生しやすく、その対策は大きな課題 となっています。また、高齢者は腸の機能の衰えや運動量の減少、寝たきりの生活 などにより便秘や下痢になりやすい傾向があります。便秘や下痢による腸内細菌の バランスの乱れは有害菌や有害物質の増加を誘発し、感染症発症リスクを増大させ ることにもなります。 本研究では高齢者施設入所者の感染症発症リスクや健康管理におけるプロバイ オティクス飲料の有効性を検証するため、プロバイオティクス飲料の継続摂取が施 設入所者の健康状態、腸内フローラ、腸内環境にもたらす影響を無作為化プラセボ 対照二重盲検試験*にて検証しました。また、高齢者施設の職員にも同様の試験を実 施しました。 * 無作為化プラセボ対照二重盲検試験は、試験参加者を無作為に群分けした上、その内訳については 試験参加者だけでなく試験の実施に関わる医師や看護師などの試験実施者が知りえない状況で実施さ れます。また、色や味を似せて有効成分を含まないプラセボ飲料を比較対照として使用します。無作 為化プラセボ対照二重盲検試験により得られた成果は、より科学的信頼性の高い成果といえます。

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2.研究内容 本研究は、高齢者施設に入所する高齢者(平均年齢85歳)72名および職員 (平均年齢37歳)20名をそれぞれ無作為に2群に分け、L. casei シロタ株を 含むプロバイオティクス飲料またはそれを含まないプラセボ飲料を1日1本ず つ、6か月間飲用してもらいました。試験期間中は健康状態(体温、排便頻度、 抗菌薬や便秘薬の使用)を毎日記録してもらいました。 また、飲料飲用前、飲料飲用1か月後、3か月後、6か月後の被験者の糞便を 採取し、腸内フローラおよび腸内環境の解析を行い、プロバイオティクス飲料飲 用群とプラセボ飲料飲用群で比較を行いました。結果は以下のとおりです。 (1)プロバイオティクス飲料の継続摂取が施設入所者の健康状態に及ぼす影響 プロバイオティクス飲料飲用群ではプラセボ飲料飲用群と比較して、飲用 3か月後および6か月後における発熱日数が有意に短縮しました。さらにプロ バイオティクス飲料飲用群ではプラセボ飲料飲用群と比較して飲用3か月後に おける下痢回数および飲用6か月後における便秘回数の減少が認められました (図1)。 (2)プロバイオティクス飲料の継続摂取が施設入所者の腸内フローラおよび腸内環 境に及ぼす影響 プロバイオティクス飲料飲用群ではプラセボ飲料飲用群と比較して、飲用後 において、①有用菌であるLactobacillusおよびBifidobacteriumの有意な増 加、②有害菌であるウェルシュ菌(Clostridium perfringens)や日和見感染 菌であるEnterobacteriaceae、Stapylococcus、Pseudomonasの有意な減少、 ③日和見感染菌であるClostridium difficileの検出率の有意な減少が認めら れました。 さらに、プロバイオティクス飲料飲用群ではプラセボ飲料飲用群と比較し て、腸内環境の改善を示す、糞便中の酢酸の濃度の有意な上昇およびpHの有意 な低下が認められました(図2)。 (3)プロバイオティクス飲料の継続摂取が施設職員の腸内フローラおよび腸内環境 に及ぼす影響 プロバイオティクス飲料飲用群ではプラセボ飲料飲用群と比較して、飲用後 において、①LactobacillusおよびBifidobacteriumの菌数の有意な増加、 ②Clostridium perfringensやEnterobacteriaceaeの菌数の有意な減少、③総 有機酸の濃度の有意な上昇、④酢酸の濃度の有意な上昇、⑤pHの有意な低下が 認められました(図3)。 3.考察および今後の期待 無作為化プラセボ対照二重盲検試験により、プロバイオティクス飲料の継続的 な摂取が高齢者施設入所者(平均年齢85歳)の健康状態の改善に有効であるこ とが明らかとなりました。さらに、プロバイオティクス飲料の継続的な摂取が施 設入所者および施設職員の腸内フローラや腸内環境を改善することが明確になり ました。 高齢者施設での感染症の集団発生において施設職員を介した感染も主要な要因

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となりえるため、施設入所者だけでなく施設職員においてもプロバイオティク ス飲料の飲用により腸内フローラや腸内環境が改善されたことは、感染症の集団 発生を予防する観点において重要な意義があると考えられます。 本研究により、プロバイオティクス飲料の継続的な摂取が高齢者施設入所者の 感染症リスク低減や生活の質の向上に役立つことが期待されます。 4.ヤクルト本社にとっての本研究の意義 ヤクルト本社中央研究所長の石川 文保は、「超高齢化社会への対応として、 高齢者の健康増進と生活の質の向上は非常に重要な課題と言えます。本研究はプ ロバイオティクス飲料の継続摂取が高齢者向け施設の入所者において感染症対策 や健康管理に効果的であることを明確に示しました。過去に実施した試験におい て、本研究で使用されたプロバイオティクス飲料の継続摂取により高齢者施設入 所者における感染性胃腸炎の重症化が抑えられることが確認されています。本研 究は高齢者施設入所者によるプロバイオティクス飲料の継続摂取が感染性胃腸炎 だけでなく日常的な感染症のリスク低減や健康管理に有効であることを示すもの であり、プロバイオティクス飲料が高齢者の健康で豊かな生活づくりに役立つこ とを示す大変意義のある成果といえます。今後さらに研究を発展させ、プロバイ オティクスの摂取と健康のかかわりについて追究してまいります。」とコメント しています。 以 上

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図1 プロバイオティクス飲料飲用(黒)またはプラセボ飲料飲用(白)が高齢者施設入 所者の健康状態に及ぼす影響 A 発熱日数の変化(2週間あたりの平均日数) B 下痢回数の変化(2週間あたりの平均回数) C 便秘回数の変化(2週間あたりの平均回数) 平均±標準偏差、 *:P<0.05(群間比較) A B C 0 1 2 3 4 5 6 7

発熱日数

0 0.5 1 1.5 2 2.5

便秘回数

0 0.5 1 1.5 2

下痢回数

* * * * 【 資 料 】 (日) (回) (回)

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図2-1 プロバイオティクス飲料飲用(青)またはプラセボ飲料飲用(赤)が高齢者施設入 所者の腸内フローラに及ぼす影響 平均±標準偏差、 *:P<0.05(群間比較)、**:P<0.01(群間比較)、 †:P<0.05(飲用前後比較)‡:P<0.01(飲用前後比較) 百分率は検出率を表す。 図2-2 プロバイオティクス飲料飲用(青)またはプラセボ飲料飲用(赤)が高齢者施設入 所者の腸内環境(便中の有機酸量およびpH)に及ぼす影響 平均±標準偏差、 **:P<0.01(群間比較)、‡:P<0.01(飲用前後比較) 糞 便 1 g あ た り の 菌 数 ( 対 数 値 )  mol/ g 便 総有機酸 酢酸 pH

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図3-1 プロバイオティクス飲料飲用(青)またはプラセボ飲料飲用(赤)が施設職員の腸 内フローラに及ぼす影響 平均±標準偏差、 *:P<0.05(群間比較)、**:P<0.01(群間比較)、 †:P<0.05(飲用前後比較)‡:P<0.01(飲用前後比較) 百分率は検出率を表す。 図3-2 プロバイオティクス飲料飲用(青)またはプラセボ飲料飲用(赤)が施設職員の腸 内環境(便中の有機酸量およびpH)に及ぼす影響 平均±標準偏差、 *:P<0.05(群間比較)  mol/ g 便 総有機酸 酢酸 pH 糞 便 1 g あ た り の 菌 数 ( 対 数 値 )

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