水月湖湖底・年縞堆積物のAMS14C年代
北川浩之(国際日本文化研究センター)
中村俊夫(名古屋大学年代資料研究センター)
福沢仁之(東京都立大学・理学部)
I.はじめに
1991年度から1993年度にかけて,文部省jfll・学研究費重点領域「地球環境の変動と文明の盛衰・
新たなる文明のパラダイスを求めて」(文明と環境)の計画研究『気候・植生の変遷と文明の盛
衰』(代表:国際日本文化研究センター・安田喜憲)の一環として,三方五湖周辺の数地点で
ボーリン調査・試料採収カ舛予われた.採収されたボーリング試料について各種の研究(火山灰分
析・年代測定・古地磁気分析,花粉・珪藻などの微化;fEf分析,地球化fljl=分析など)が実施されて
いる.これらのliJf究成果を総括的に解釈することで,最終間氷期以降の気候・環境変動史カ湖ら
かにされつつある.本稿では,水月湖の湖
の地点(図1(・)SG4の地点)で採取されたピストン・コア(SG4)の,加速器質量:分析計を用いた
炭素14年代測定の結果について報告する.
II.三方五湖周辺の掘削試料の概要
本プロジェクトで実施された三方五湖周辺のコア試料採取は,三方湖湖底(面積j3.6k❹,最大
水1果3.7mの淡水湖)と水タミI湖湖底(面積4.3km2,最大7KI;1133.7mの てヌM胡),および黒田低地であ
る(図1八これらはすべて堆積盆地中央部でのオール・コア|武料採取である.三方湖・水月
湖・黒田低地から採取されたコア試料の層序と火山灰対比について図2に示した.さらに,神戸
大学グループ・高知大学グループの協力のもとに水月湖の湖心部において言t4地点においてピス
トン・コアラーを使った連続試料の採取を実施した.
III.水月湖・年縞堆積物
水月湖湖底堆積物には,1mmスケールの明暗の層が繰り返す縞状ラミナが観察される(福沢・
北川,1993).1991年に採取されたピストンコア・SG2の年縞堆積物の最上部lmについての研究
は,正確な年代編年にもっづいた歴史時代の地震,洪水,噴火のイベントについて明かにされて
いる(福沢ほか,1994).水月湖の湖心部で1采取した75mのコア(g:l)の大部分の層序で縞状ラ
ミナ構造が認められる.このコアの最深部は,90kaの阿蘇4火山灰伍so4:48jm),95kaの喜界
原火山灰(KTz:50.3)や901(X)kaの阿多火山灰(Ata:51.8)が発見され(竹村ほか,1994),
また花粉分析学的な研究(安田・私信)から,最終間氷期以前であると推定されている.このコ
本報告は,15thIIltxnalionalRxbcaltx)rl(;onfilln(x5,Glasgow(1;(;()tland):ICitagawa,H.Jukuzawa.H.,Nilka111unl,T.,Okal11回, M,jlakelnm,K・,Hayashida,A.alxlYasuda,Y.AMSI℃daing()fthevarv❼sedmentslixMILalceSuigetsu,centralJ叩anand alom()sphericl4Cchangesd岫lgt11(511uePleistoceneで報告した内容に新たに測定したデータを加えまとめた. 連絡先:北川浩之(〒61011京都市西京区御陵大枝山町32TEL:()乃3352100/FAX:07533j52090/E,mail: Mtagi@nichibun.acjp) 2 7 3530 ゜゛N゛ ① 若 狭 湾 ゛ ・ 水 月 湖 ‥ ‥ 。 S G I ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ O a ・ J ・ ‥ ゜ S G 2 0 ・ O S G 3 , ・ ‥ O S G ● ● ● ● ● ● ● 2 8
,三:;ちiilJ]湖心(MK),黒田
[竹;t引まか,1994より]
勿
笏
で
ド 沖 積 層
1?;ミ2S崖錐堆積物
E亡ZZ2段丘堆積物
日三三能登野層
E:yrこ1花尚岩類
臣ZJ古生層
〃 活 断 層
+ + + + 十 + + + + + + 十 十 十 十 十 十 り 十 十 十 十 十 + 十 + + + + + 十 十 十 / つ 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 ? + + + ぶ + + + + + 十 十 十 十十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 ば + + + + + + + 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 + 4 雲 谷 山 ・ i + + + + + + + + + + 十 十 十 + + + + 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 4 ・ + + + + + 十 十 十  ̄ + + 十十十十4・&十十十十y++ 十 十 十 矢 筈 岳 f 十 十 十 十 十 ゛トヽ士・ヒぶtTT十十十 十十 々 子 湖 1 1 1 1 ● ● ● ● ‥ / ‥ ‥ . . 0 1 2 k l y : : 四 : 気山 135551 日向湖 + ・ ・ ○ ・ M K 方 湖 ‥ . . . . . _ Q Y K R O 心 / ,OT/曹
湖
++` 十 十図 1 . 三 方 五 湖 周 辺 の ボ ー リ ン グ 調 査 地 点 . 水 月 湖 湖 心 ( S G )
低地(KR)及び水月湖ピストンコア(S(31,SG2,SG3&SG4)
[yillingdepth(m) 0
1
0
20 30 405
0
607
0
80 90 100 Kah AT・ Aso4 KTz Ata LakeSui{Jetsu(1993)LakeMikata(1991)KurotalowlElnd(1991) U七)KI SG | MK| MKVII MKVI MKV(
U I I I I M)
)
KR| KR|| KR||| KRIV KR,Vs5ぽ
KRVI
KRVII皿 1
冒 ・
□ ,
麟 ・
❼ i
■ 6
汗 7
図 2 . 三 方 湖 ・ 水 月 湖 ・ 黒 田 低 地 の ボ ー リ ン グ 試 料 の 層 相 と 火 山 灰 対 比 [ 竹 村 ほ か ( 1 9 9 4 )
よ り ] 1 : 粘 土 , 2 : シ ル ト , 3 : 砂 , 4 : 泥 岩 質 粘 土 , 5 : 泥 炭 , 6 : 火 山 灰 .
2 9|
(
L
)
(U) MKVIII(M〉 (L) MKIV MK|||( MK||アのj努析は最終間氷期から現在に至る環境変動についての情報を得ることが可能である. 現段階
゛(゛`は縞状ラミナ数の計数による年縞編年が一部でしか完了していないが,今後の年縞水月湖の年
縞堆積物の詳細な研究は正確な年代編年にもとづいた最終間氷期以降の高い時『1111分解能をもった
気候・環境復元を可能にすると考えられる.
IV.AMSj4C測定方法
水刑胡の湖心部において採取されたピストン・コア試料(SG4)の炭素14年代測定は,加速器
質:量分析計を用い実施した.このコア試料の記載・年縞構造の観察後,生物遺体化石(葉,枝お
よび昆虫)および土壌試料を採集して炭素14年代測定を行なった.土壌試料は炭酸塩・可溶性物
質を除くために塩酸処理(1N)を施し(以後,この化学処理を行なった試料を土壌中有機態全炭
素と記す),生物遺体化石は超音波洗浄を十分に行・/ヽ酸処理・アルカリ処理・酸処理を施した.
このような処理を行った土壌中有機態全炭素および生物遺体化石試料は十分に蒸留水で洗浄,乾
燥後,あらかじめ850(CでJJEI熱処理を施したバイコールガラス燃焼管に酸化銅とともに真空封入,
850℃で加熱・燃焼して二酸化炭素にした.試料の二酸化炭素は,北川ほか(1991);Ki咤awaetal.
(1993)の方法を用いグラファイトに還元して,加速器質で量:で分析に用いた.炭素14年代測定は名古
屋大学年代資料研究センターに設置されているタンデトロン加速器質1lt分析計を用いた.
V.AMS14C測定の精度と測定限界
土壌中有機態全炭素と生物遺体化石試料あわせて約 7()試料について炭素14年代測定を実施し
た.図3には試料の炭素量と測定年代誤差(1標準偏差)の関係について,また図4には試料の炭
素14年代とその測定誤差の関係について示した.土壌中有機態全炭素試料の炭素14年代測定は,
約2o5omg程度の十分な量の試料(1から1.5mg炭素)からグラファイトターゲットを作成し,年
代誤差士a)年(統計誤差1%)の測定を行なうこと;うi可能であった.生物遺体化石試料について
250 200 ? ) J o 』 』 山 150 100 50 0 ●●●● E o c 冒II ● I ● I I I習 I暉 車 種 ● 署 ●● ●習 - ● ・ I ・ ・ : く 6 ・ 八 八 ・ ・ ㎜彫 し
八 ㎜ ㎜ ㎜ ・iigg
9&MS
皿
`・8ヤヤ
叫
ミ ・ 幽 幽 回 ・ ㎜ 0 0.5 1 1 . 5 2 Samplecarbon(mg) 2.5 3 3.5図3.試料量の変化に伴うAMS一炭素14年代測定の誤差(1(y)
30y ‰ = 目 L 1 」 250 200 150 100 50 0 ● l ● ● ● 喝 ● ● I I ● ●
〕 I I I
● ● ● 個 -仙 ● 勝 ● 暉 暉 ( てS)() ○○
:
● ■ 幽 ● ○ C 〉 ○DO
十 申
゛lj讐
詣 詣
C ) ( 汐 yZS糞琵l舘霖耀窟励磁 ● ● ● ● ● ● ● ● I ● ● ● ● ● ● ● ● ● 1 ● ● 仙 ● ● l 40006000800010000120001400016000 C14age(yrBP) 図 4 . 年 代 変 化 に 伴 う A M S 一 炭 素 1 4 測 定 の 誤 差 ( 1 ( y )は,炭素14年代測定に用いることができる試料の量が限られ年代測定(7)誤差が大きくなる傾向が
ある.特に試料の炭素量がlmg以下になると,統計誤差1%の精度で測定を行うことが困難で,
2から3%の測定誤差を伴った.年代測定試料からのターゲット作成,またタンデトロン加速器質
:|;1:分析計のイオン源の状態が良い場合には,炭素量が02mg程度の微量試料についても,統計誤
差1%程度の測定;う゛i可能であった.今後,試料からターゲット作成方法の改善および,タンデト
ロン加速器質量分析計のイオン源の安定した調整が望まれる.
VI.生物遺体と土壌中有機体炭素の14C濃度
図5には水月湖で採取されたピストンコア(SG4)の炭素14年代の深度変化を示した.生物遺
体と土壌中有機態全炭素14年代には明確な年代差カ可忍められる.土壌中有機態全炭素の年代が古
い年代を示す.土壌に含まれる炭素の起源は,湖中で生産される生物の有機物や陸源から供給さ
れた有機物であると考えられる.生物遺体と土壌中有機体全炭素の炭素14年代の年代差は,堆積
物中の起源物質の質的な変化や,その各々の成分の炭素lz1濃度の違いと解釈できる.
土壌中有機態全炭素の炭素141g胞斐(Å)は,次式を用いて表すことができる.
/1=ぐ
台
/7jx/1j(
1
)
Σ
三
=
1
(
2
)
ここで月は,Ai(1=1,2,‥n)の炭素lzt濃度をもつ土壌中有機態炭素の割合を示す.この式で最
も 簡 単 な 場 合 と して . = 2 ( 2 成 分 ) の 場 合 は 次 式 で 現 わす こ と が で き る .
/
4
=
石
X
A
I
十
八
十
恚
(
3
)
3 1 100
0
100
0 0 0 0 0 0 八 / 』 q ) 4 ( E m l m j l 1 0 1 1 1 1 1 1 1 W 一 里 £a Q ( )500
600
700
500070009000110001300015000
AMS14CaSJe(yrBP)
図5.水月湖ピストンコアSG4のAMS14C測定
石
+
弓
=
1
(
4
)
AI麓大こ気二酸化炭素と炭素141111度と同位体的に平衡(堆積年代)と考えると(例えば,湖表層で
光合成を行う植物プランクトンなど),べは堆積物に二次的に加わったさまざまな有機物(例え
ば,陸上の土壌中の有機態炭素など)の炭素14濃度の平均値を表す.このモデルを用い土壌中有
3 2 三 W m H コ 」 ト
5000
4000
3000
0 0 0 2 で Φ 」 コ 司 Φ 一 21000
0
0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 1 . 0
f
図 6 . 堆 積 物 の 炭 素 1 4 年 代 に 及 ぼ す 二 次 的 な 炭 素 の 混 入 の 影 響
機態全炭素の炭素14年代に及ぼす影響を推定した(図6).堆積物に二次的に加わった炭素の割
合(f)が非常に小さいとき,また二次的に堆積物に加わった有機物の炭素lz1濃度が大気二酸化炭
素の炭素1zt濃度と等しいときは,土壌中有機態全炭素の炭素14年代値は堆積年代と非常に近い値
をとる.一方,陸からの有機物供給物の増加などfが非常に大きい値をとるか,あるいは堆積物
に加わった有機物の炭素lz1濃度が大気二酸化炭素と炭素14濃度と著しく異なる場合に年代差が拡
大することを示している.
水月湖のSG4コアの炭素14年代測定の結果(図5)には,炭素14年代でおよそ9kaからHkaの
期間に生物遺体化石と土壌中有機体全炭素の炭素14年代の差が大きくなる傾向がある.この期間
にfが非常に大きい値をとるか,あるいは堆積物に加わった有機物の炭素lzt濃1度が大気二酸化炭
素と炭素lzt濃度と大きく異なることを示している.つまり,非常に炭素lzt濃度の低い(年代の古
い)炭素が堆積物に加わったか,あるいは,堆積物の炭素陸源の有機物などの(炭素14濃度の低
い)供給量の増加があったことが推定される.この時期は年代的に最終氷期の最末期のヤンガー
ドリアス期と時代がほぼ一致し,最終氷期一完新世の地球規模の環境変動期に,降水量の増加な
どによる陸上有機物の供給量の増加などが引き起こされた可能性がある.生物遺体化石と土壌中
有機体炭素の炭素14年代の差が千年以上の場合も認められ,堆積物中の有機物に供給される有機
物の平均年代は1(XX)年以上古い年代を持っている.堆積年代の決定に土壌中有機態炭素の炭素14
年代を採用する場合,これらの影響にっても考慮する必要があると考えられる.
3 3 VII.KAhおよびU.0kiテフラの14C年代と暦年代
水月湖からのピストンコ`フls(34には多数の火l.LI灰層が発見されている.ここでは,完新世の環
境変動を考えるうえで,また考古学的にも重要なアカホヤ火山灰(KAh)と陵KUI岐火山灰(U
Oki:町田ほか,1981)の炭素14年代と暦年代につて考えてみる.
生育年代が年輪年代学的な手法を用いて決定された樹木年輪の炭素lz1濃度の高精度測定によっ
て,現在から過去8(XX)年の期間について炭素14年代と暦年代の関係(炭素14キャリブレーション
カーブ)が明かにされている(図7).このカーブは過去にさかのぽると大気中の炭素lz1濃度が
一定でなく時代とともに変化していることを示している.言い換えれば,暦年代と炭素14年代が
一致していない.この変化は主に太陽活動やj4気球磁気強度の変化に伴う地球高層大気の宇宙線強
度の変化に影響する炭素14の生成率に変化によると考えられている侈U,とばStuiwrc,tal.,1991).
本研究においては,この炭素14キャリブレーションカーブと年縞編年(暦編年)と生物遺体化
石の炭素14年代から得られた炭素1・t濃度の変化パターンを比較することで2層の火山灰の降下年
代につての炭素14年代と暦年代を推定した.土壌中有機物態全炭素の炭素14年代は,すでに述べ
たように二次的な炭素の混入により影響され正確な堆積年代を示さない可能性がある.従って,
生物遺体化石の炭素14年代測定の結果だけを用い火山灰の降下年代の推定を行った(図8,図
9ハ
樹木年輪から推定された炭素14キャリブレーションカーブと年縞編年(暦年代スケール)と生
物遺体化石の炭素14年代から得られた炭素14濃度の変化パターンを比較にはカイニ乗検定を行
い,もっとも2つのカーブが一致する年代を求め,火山灰降下年代の推定を行った.
(
ぷ
)
P
ht
tp
:/
/w
w
w
.
120
0
0
0
0
0
0
0
8
6
4
2
1
20 40 8 0 0 0 6 0 0 0 4 0 0 0 2 0 0 0 0
CALENDERAGE(AD/BC)
図 7 . 樹 木 年 輪 か ら 推 定 さ れ た 炭 素 1 4 キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン カ ーブ
(StuiverandRdTler,1993より)
3 4 2000
¥
廿
寸
{
機
糾
似
朴
々
{
鮪
靫
7550
7300
7050
6800
6550
6300
6050
5800
10200
10000
9800
9600
9400
9200
9000
8800
6 0 0 0 5 8 0 0 5 6 0 0 5 4 0 0 5 2 0 0
暦年代(yearBC)
図 8 . K A h テ フ ラ の 炭 素 1 4 年 代 と 暦 年 代
960094009200900088008600840082008000 暦年代(yearBC)図 9 . U O k i テ フ ラ の 炭 素 1 4 年 代 と 暦 年 代
3 5水月湖のピストンコ`アSG4の生物遺体化石の炭素14年代から推定されたKAh火山灰の降下の炭
素14年代は,約(5r750yrBPで暦年代では約紀元iilf56(X)年である.この年代は従来言われてきたKAh
の炭素14年代より3(X)年ほど古い.
同様にIJLOki火山灰の降下の炭素年代を求めると,約S)6(X)yrBPで暦年代は紀元前88(X)年である.
現段階では測定可能な(炭素量で02mg以上)の生物遺体化石試料の数が限られ,不確かさが残
されているが,すでに報告されているUOki火山灰の降下年代と誤差内で一致している(町田・
新井,1992).ULOki火山灰降下年代は,最終氷期から完新世への変化期と時代がほぼ一致してい
ることから,氷期・間氷期のダイナミックな環境変動;を理解するうえで重要な年代マーカーにな
ると考えられる.
本研究で行なった火山灰降下年代の決定法は,遺跡などの高精度年代測定で行なわれているウ
イグル・マッチング法の応用である.この方法を用い高精度年代決定を行なうためには,炭素14
年代と暦年代の二つの年代軸が必要である.通常,樹木年輪から暦年代を推定するが,本研究で
は堆積物に記録された年縞から暦年代を推定している.したがって,年縞編年が暦年代と完全に
一致してい名)前提に基づいている.今後の年縞堆積物の詳細な研究の進展は,より正確なKAhお
よびUOKi火山灰の降下年代の炭素14年代および暦年代の推定のためにも必要不可欠である.
I I X . 最 終 氷 期 へ の 炭 素 1 4 キ ャ リ ブ レ シ ョ ン 年 代 域 の 拡 大
炭素14キャリブレーション(Radi(:)caltx)n(;antk)n)は,年輪年代学手法を用いて,各年輪の形
成 さ れ た 年 代 ( 暦 年 代 ) が 調 べ ら れて い る 樹 木 年 輪 の 高 精 度 炭 素 1 4 年 代 測 定 ( 2 0 年 ) を 行 う こ
とで,過去習誤)年間までは詳細に調べられている(StuiveretaU986).したがって,この時代に
つ い て は , 炭 素 1 4 年 代 か ら 暦 年 代 に 変 換 す る こ と が 正 確 に で き , 自 然 ・ 人 間 の 歴 史 を 同 じ 年 代 編
年にもとに論じることが可能となっている.炭素14キャリブレーション年代域は,若干(;「:」不確か
さ が 残 さ れて い る が, 1 1 ぶ O ❼ y B P ( 暦 年 代 を 示 すと き ❼ y B P と 記 し た ) ま で 拡 大 さ れつ つ あ
る(Kromelr,mdBecker,1993).しかし,その年代域をさらに拡大するには,年輪年代学手法カ坪』
用できる樹木試料の欠如から困難であるとされている(&cker(,tal.,1991ハ
現 在 , 最 終 氷 期 へ の 炭 素 1 4 キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン 年 代 域 の 拡 大 は , ウ ラ ン ・ ト リ ウ ム 年 代 が 暦 年
代と等しいものであると仮定し,サンゴイヒ石(Ba❹etal.,1990;I=咄1:,ank5ら1990;Edwafljsetal.,1993),
蒸発岩㈲ngetal.,1978),およびスペレオゼム(例えば,vogel,1983;HoknFen,1994)などの
炭 素 1 4 年 代 と , ウ ラ ン ・ ト リ ウ ム 年 代 を 比 較 す る こ と で 推 定 さ れ て き た . さ ら に , 特 定 の 環 境 の
湖沼の堆積物に認められる年縞堆積物(valvedsdment)に含まれる陸上植物遺体の炭素14年代測
定と,その年縞編年(暦年代)を比較することで明かにされつつある(Zbi滋,11etal.,198S);I{adjas,
199:3Jadjasaal・,1993;Bjolx;1(eti・,1994;Wohb・thetal.,1994;a;b投稿中;Kitagawaetal,投稿中)
図 1 0 に は , 水 月 湖 ピ ス トン コ ア S G 4 の 年 縞 編 年 と 植 物 遺 体 化 石 の 炭 素 1 4 年 代 測 定 か ら 得 ら れ た
炭 素 1 4 キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン を 示 す. ま た , 今 ま で に 報 告 さ れ て き た 各 種 の 方 法 ・ 地 域 か ら 研 究 さ
れ7tニ8(XX)calyBPからlj5(X)O❼yBPの炭素14キャリブレーションを比較のために示した.
現時点では,UOki火山灰の降下年代ま で 完全な年縞編年が咋成されていないため,UOki火山
灰の降下年代を,樹木年輪の炭素14年代から推定された炭素14キャリブレーション(:Kn:nerand
3 6 3 2 2 U f j ht tp :/ /w w w .. co m o i l .o l .l .o Z O m f 』 く ○ ○ 一 「 」 く r 一 ○ ○ ○ f ○ ○ ○ 寸 f ○ ○ ○ の f ○ O O N y ○ ○ ○ こ ○ ○ O O f
8
呂
S
8000 9000 10000 11000 12000 CALENDERYEARSBP 13000 14000 15000図10.最終氷期一退氷期の炭素14キャリブレーションの比較.
1:年輪年代学的に年代決定された樹木の炭素14年代測定(Kromerand
Be(jkelsj993),2:スイス・スペンジー湖(L嶺泰盛opl:x,ns,i,e)の湖底年縞
堆積物の生物遺体化石の炭素14年代測定(H司adas,1993;H函das(・tal・,1993;未
公 表 デ ー タ ) , 3 : ス エー デ ン ・ 氷 縞 粘 土 の 陸 上 生 物 遺 体 の 炭 素 1 4 年 代 測
定(w(:)111知也etal.,1993;a;b(投稿中),4:水JIJ湖湖底の年縞堆積物の陸上
生 物 遺 体 化 石 の 炭 素 1 4 年 代 測 定 , 5 . バ ル バ ド ス , ム ル ロ ア, ガ ラ パ ゴ ス
のサンゴ化石のウラン・トリウム年代と炭素14年代の比較(Bardetal.,
1 9 9 3 ) , 6 : パ プ ア ニュ ー ギ ニ ア ・ ヒ ュ ー オ ン 半 島 の サ ン ゴ 化 石 の ウ ラ
ン・トリウム年代と炭素14年代の比較(Edwdsetal.,1993)
B&ker,1993)を用い推定し,その年代,10750yrcalBP(=BC8800勁を基準に炭素14キャリブレー
シ ョ ン の 拡 大 を 行 な っ た .
本 研 究 で 得 ら れ た 炭 素 1 4 キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン は スイ ス ・ ス ペ ン ジ ー 湖 の 年 縞 堆 積 物 や ス エ ー デ
ン の 氷 縞 粘 土 の 年 縞 編 年 の 植 物 遺 体 化 石 の 炭 素 1 4 年 代 測 定 か ら 推 定 さ れ た 炭 素 1 4 キ ャ リ プ レ ー
3 7ションと良く一致しているる.約12.51(yll;alBPに急激に炭素14年代と暦年代が一致(炭素14濃度
の低下)する傾向が認められる.しかし,サン渕ヒ石ウラン・トリウム年代と炭素14年代の比較
から推定された炭素14キャリブレーションは,炭素14年代と暦年代の年代差が時代をさかのぼる
につれて拡大する傾向カ可忍められる.堆積物の年縞編年とその堆積物に含まれる陸上生物遺体化
石の炭素14年代の比較による方法とサンゴfヒ石のウラン・トリウム年代と炭素14年代の比較によ
る方法から推定された炭素14キャリブレーションは一致していない.現段階ではこの違いについ
て明確な説明を与えることができない.今後,明らかにしていかなければならない重要な問題で
ある.この問題を解決することができれば,炭素14キャリブレーション年代域は,樹木年輪によ
る炭素14キャリブレーションが作成がされていない最終氷期に拡大できると考えられる.水月湖
からは最終間氷期以降の堆積物がすでに採取されている.この堆積物の年縞編年の作成は,炭素
14キャリブレーションカーブの年代域を過去5万年程度まで拡大できるものと考えられる.
謝 辞
本研究は文部省5f4・学研究費重点領域「Jtk球環境の変動
スを求めて」(文明と環境)の計画研究『気候・植生の変遷と文明の盛衰』(代表:国際日本文
化研究センター・安田喜憲)の研究グループの多くの方々の協力のもとに行われた.特に,国際
日本文化研究センター・安田喜憲教授,京都大学・竹村恵二助教授,同志社大学・林田明助教
授,名古屋大学年代資料研究センター・池田晃子氏には多大なるご協力をいただいた.高知大
学・岡村真教授研究室のメンバーの高い水準の不撹乱ピストンコアの採取によってこの研究を行
なうことが可能となった.また,スエーデンリレンド大学のDr.B.Wohlfllnh,スイスETH研究所
のDr.LIkljdasには多くの有益な助言していただき,また未公表の貴重なデータをいただいた.こ
この記して深い感謝の意を示します.
引 用 文 献
Bard,E・,Fhlmelin,IES,Fairbanks,R.G.andZindler,A.(1990)Cllhbぼion()ftl・le14Ctimescaleoverthepast 30,000yearsusingmas5;spectrometricUThagesnomBafbadoscorals.Nature,34f私405410. Bard,E・,Filjfbanks,I!£。Amold,M.aJld}{amelin,B.(1991);130Th戸4UaJld14Cagedobtainedmassspec trometryoncoralsfromBarbados(WeMlndies),lsabela(Galal)agos)andMururoa(French l!olyrlesia).ln:E.BardandW.S.Bro盛大(eds)771ej・lstdel出(ja汝)fl;als❶uleand岱(がocarbon c11ronoj顛es.NATOASISeri(5s.Seriesl,Globalenx́konmentalchElnge,2,Springer,Bernn,103110. Bard,E・,Arnold,M・,Faibranks,R.G.andll皿lelin,B.(1993戸3oTh戸4Uand14C容莽obtajnedbymass spectromellyoncorals.Radjocarbon,3j5,191199. Becker,B・,Klx)mer,B.andTrimbom,P.(1991)AbsoluteminimumageoftheLate(la(こialHolocene transitionbyradi(》carbonc油brationandstab16sotopeanalysesofa1477yrGelmajlpinedendlx) chronology.Radjocarbofl,33,174175. 13jorck,S。Cato,I・,Brunnberg,L.andStombel11,B.(1992)The(hyvarvebasedSwedishTimeScaleand 38itsrelationtotheLateWeichselianradi(》cafbonchronology.ln:Bard,E.andBIoecker,W.S.(eds), 771ejastdelJja(jatjon;al)s()ju把andradjocarbonChron❶oがes,NATOASISeries.Seriesl,Global environmentalchange,2,2544.Springerverlag,Berlin,2544.. Bjorck,S.(1994)AmviewofthehistolyoftheBalticSea13.0to8.0kaBP.Quatemalyjjllemaljonaj,in pless. BulT,G.S。Edwards,R.L・,Donahue,D.JJ:)ruff(・1,E.R.M.andTaylor,FM/,(1992)Massspe(;trometric14C andUThmeasurementsincoral.Radj()(;arbofl,34,611618. Edwards,R.L.,Chc,n,J.H.andWasserbu参(3.J.(1987)238U234tト230T1ジ32ThsystemaUcandtheprecise mellsullmentoftimeoverthepast釦0,000y塑詣.Ealt11Plajler&j.L4ft・,81,175192. Edwards,R.L・,Beck,J.XV・,Berr,(l.S.,Donahue,D.J.,ChapPell,J.M.A.,Bloom,A.L.汪)rufkl,E.R.M.and I`a)・1or,F.W.(1993)Alargedropinatngspheric14(712CalldreducedmeltingintheYoungel・1ニ)ryas, docunlentedwith23()rhagesofcorals.j;dence,2(又),962967. 17血banks,R.G.(1990)TheageandoriginofthrYoungerDryasClimateEventinGreenicecores. 11jeoocejlfl(:)graμly,5,937948. 福 沢 仁 之 ・ 北 川 浩 之 ( 1 9 9 3 ) 水 月 湖 の 縞 状 堆 積 部 に 記 録 さ れ た 完 新 世 海 水 準 ・ 乾 湿 変 動 と そ の 周 丿 掲 性 。 日 本 第 四 紀 学 会 1 9 9 3 年 大 会 講 演 要 旨 集 , 1 体 1 4 5 . 福 沢 仁 之 ・ 小 泉 格 ・ 岡 村 真 ・ 安 田 喜 憲 ( 1 9 9 4 ) 福 井 県 水 J ; J 湖 完 新 世 堆 積 物 に 記 録 さ れ た 歴 史 時 代 の地震・洪水・人間活動イベント。地学雑誌,la3,127139.. H4jd・ls,L(1993)Extensionoftheradio(2rboncalibraUoncurvebyAMSdaringoflalMnati5dsedimentsof LakSoppenseeandLake}lolzmaar.Dis;1;.ET}(Nr.,101j57j47pp. H4jdas,I。lv)らS.D.,Beer,JJlonani,G。lmboden,D.,Lotter,A.F.,Sturm,M.andSuter,M.(1993)AMS 盛垂急ocarbondatingandvarvechronologyofLakeSoppens(う(5:6000to1200014CyeafsBP.Cimale Dynam治,9,107116. ){olmgren,K・,Lauritzen,S.andPo・;snerねG.(199z1)230Th戸4Uand14Cdatirlg()falatePleh直)venestalgmite inLonatseII(2ave,Botswana.QualemalyGeojlfonojogy,13,111119. 北 川 浩 之 ・ 増 滓 敏 行 ・ 松 本 英 二 ・ 山 口 和 典 ・ 中 村 俊 夫 ( 1 9 9 1 ) 水 素 還 元 法 に よ , る A M S 法 炭 素 1 4 測 定 の た め の グ ラ フ ァ イ ト タ ー ゲ ッ ト 作 成 法 。 名 古 屋 大 学 加 速 器 質 量 分 析 計 業 績 報 告 書 (n),113121. Kitagawa,H・,Masuzawa,T・,Nakamura,T.andMatsumoto,E.(1993)Abatchpreparationmethodof glphitetargetswithlowbackgroundR)rAMS14Cnleasulllnents.Radjocarboflβ5(S!),295300. Ki咤awa,H.丿ukuzawa,H.,Nakamura,TJ)kamura,M.,Takemura,K,Hayashida,A.andYasuda,Y. AMS14Cdalingofthevarved皿dimentsf1・olnLakeSuigetsu,central.lapanandatmospheric14C changeduringthelatePleistoceneJしdjocarbon,37(投稿中) Kromer,B.andBerkel`,B.(1993)Germanoakandpine14Calibration,7200BCto9400BC.Radjocarl)on, :35,125135. Lotter,A.F・,Eicher,U・,Sk・genthaler,U.andBitks,H.J.Bべ1992)Laぼglacialclimaticoscillationsasre cordedinSwisslakesedim(・nts.J.QualjllnalyS(jencej7(3)j87204. 3 9
町田洋・新井房夫・百瀬貢(1981)日本海を渡ってきたテフラ.科学51,jS(5C2569. 町 田 洋 ・ 新 井 房 夫 ( 1 9 9 2 ) 火 山 灰 ア ト ラ ス ー 日 本 列 島 と そ の 周 辺 . 東 京 大 学 出 版 会 , 2 7 6 p . Pe1111jrH・,Goddard,J.G.andBroecker,WX(1978)Ad而ctcpmparisonof14Can(1230TIlatSearle・・;Lake, C・111fomia.(2uatemaJ)/jlt・st・arcjり.319329. SulivelJ/1・,Krolner,B。Becker,B.andFc・rgusonC.Wべ198(5)Radi()cafbonagecalibllltionbackto13,000 yearsB.P.andthe14Cagematchil111oftheGemlanoakandUSBIisUeconepinechronologi(i11Radjo carl)on,28丿69979. Stuiver,?vl。Braziunajs,T.F.,13ecker,B.andKfomeらB.(1991)C血n面(い;olar,oceanicaJldgeomagnetic influenceonLateGkialandHOloceneatmo5;plleric14C/12Cch飢gej2ualemajyRese,111cjl.,35よ24. 1;tuiver,M.andReim呪P.J.(賢三)RadiocarbonC21nbrationProgamm1993.Rad沁carbon,3jロ15230. 竹 村 恵 二 ・ 北 川 浩 之 ・ 林 田 明 ・ 安 田 喜 憲 ( 1 聊 誤 ) 三 方 湖 ・ 水 月 湖 ・ 黒 田 低 地 の 堆 積 物 の 層 相 と 年 代 一 三 方 低 地 の 最 終 間 氷 期 以 降 の 堆 積 環 境 . 地 学 雑 誌 , l a 3 , s ! 3 3 2 4 2 . X乙ogel,,1.S.(1983)14Cvariationsd面ng山eupperPleist()(;ene.Radjocarbon,S!j5,213218. vogel,J.11Briskin,MJJelson,D.E.andSouthon,J.R.(1989)l.Jltrasmallcarbonsamplesandt11(・datingof sed㎞lents.Radj()carbon,31,601609. Wdlfal・th,B.,Bjorck,S.,Possnert,G.,Lemd幽,G.,Brunnberg,I。Jsing,J‥01sson,S.and5;vensson,N. Oべ1993)ProblemsofAM5;datingtheSwedishverveddaysofthelas印acialimaがacialtransition andthel)()妃ntialanddim❼ti(うsofcaljbrat泊11LakeWc5凶selianllbs()lu❶chronologiesd3ofras,22, 113128. Wohlfarth,13.Bj()rck,S.,Possnert,G.TheSwedishtimescaleApotentialc£1nbrationtoolforthemdiocar bontimescaleduringthelateMQ5icllsellan.RaJ()carbon,37(投稿中) Wo111farth,B,Bjorck,S・,I如ssnert,G.andBI゛unnberg,L.(19S)5b)Acomparisonbetweenradiocalbondated La ・Wei(;hsenancaknderyearchronologies.iofCoas❶Res.(投稿中) Zbinden,H.,Andree,M。0eschger,I{.,Ammann,13.L,()tter,A.,Bonani,G.andxVOlmjV.(1989)Almo sPhericradiocarbonattheendoftheLastGlacial:anestimatebasedonAMSradiocafbondateson terrestrialmacrofosilsfn:)mlakesedimentRadj()carbon,31,794804. 4 0
HighresolutionANISradiocarbonmeasurements
ofthelaminatedsedimentslromLakeSuigetsuμ;entraIJapan
HiroyukiKitagawa lntemationalReserachCenterforJaPaneseStudies ToshioNilkamura DatingandMat❶alsResearchCenter,Nagoyauniversity IEntoshiFukuzawa DePilrtmentofGeography,Fucultyofl;(;ience・TokyoMetrol)ontanuiliwlsity AMSradioQut)onmeasurementsofthelaminatedsedimentsfionlLakeSuigetsu,cen t:1alJapan(3535N,123j553E,maimumwaterdepthof34m)isideaUysuitedforaddress ingthreeimportan吋)roblems:thea゛11anksupplytolakesediments,theabsoluteage(ktermi nationsofiml:・ortantTephr・Ilayers(KAhandUOki)andthec・)ctensionofradiocarbon ❼ibrationtothelastglacialperiod. The16mlongPistoncoreweretakenl¥omthecenterofLakeSuigetsuin1993(colr No.SG4).rhelithologic・sofnearlyanthecorearedominatedbygrayanddarkgrayclay withwhitelaminawhichconsistsofdiatomassemblage.XVehavecarriedouttheAMS radiocarbonmeasurementsofmorethan701;amplesofthebulksedimentsandtheterrestrial maclx)fossnsintheintt・rvalofthc・latestPleist()(;(Sne/HOlo(;ene(615kyr.BP) Fromthehighl・c5solutionAMSradioc町bonmeasurements,wecanconcludethefol lowings; 1.RadiocarbonaFoflhedeepestpartoftheSG4Col(うisca・,15kyrBP(14C),en(;()mpassing thelateglacialperiodasweUastheHolocen(う.Theradiocarbonagevs.depthpromeexhib itedanapp170ximatelycontinuousfeaturethatrePresentstheabsenceoflong一紀rmsedimen talybreaks. 2.Thelargedinヲerencesofradiocarbonagebetweenthebulksedimentandte汀estrialmacro fossilintheintervalof1011Ky.BP,seemstocoincidewithhighdynamicPhaseof environmentalchangesduringthelastdeglaciation. 3.Theabsolute昭es(flayersoftheK/xhTePhraandtheUOkiTePhraw皆皿datedbythe AMSra(liocarbonme2lsultmentsofthemacrofossnsand血evarvechl()nologyoftheLake Suillc5tsu.TheK:AhTephraandtheUOkiTephraweredatedattheca.BC5,600yr・,andat 41theca.BC8800yr・,I菰ご1spectively・ 4.TheradiocmbonmeasulementsoftelTestrialmacrofossilsobtainedn・omthe弛min崔奪d l;(?dimentsofLakeSuigetsusupportthedendrochronologicalandthecoralsUThradiocar bonc1111brationunti112jka.Thedほerc5ncebetweencalendarandradi()(2111t)ontimescales estim追誰dbycomP訂ingtheAMSradiocarbondatesoftelTestrialllmcrofossilswithvarved chronology,graduaUydiminishbefore12.5ka・,whilethedifferencebetweenUThandra diocarbonofcoralincreasesteadny.The(liscrepanciesoftheradiocarboncalibrationcannot yetexplain.N4oredetailedchronologicalstudiesofvarvecountingandhigh皿1solutionradio carbonmeasurementsofthelaminatedsedimentsfiomtheLakeSuigetsu,whichareat presentinprogress,areneedtoresolvetheradiocarbonc面brationproblemsduringthelatest lF)leistocene. 4 2