The positive correlation between bad breath and subgigival microflora OTakafumi Department of Periodontics, Tokyo Dental College MORIYAMA, Masatake TS

演 題B-23-1020

超 音 波 ス ケ ー リング に関 す る研 究 ― と くに歯 周 ポケ ッ ト内細 菌 の 動 態 を中 心 と して― 大 阪 歯科 大 学 歯 周 病学 講 座*大 阪歯 科 大 学 口腔 衛 生 学講 座**大 阪 歯科 大 学 細 菌 学 教室 上 田 雅俊 ・林 和 夫 ・○寺 西 義 浩 ・山本 真 ・大 野修 一 郎 ・緒方 智 寿 子 ・小 林 律 子 ・福 井 幹 夫 ・

田中 佐 和子 ・山 岡 昭 ・小 西浩 二*・ 井 上 純 一**・ 尾 上 孝 利**・ 福 島 久典**・ 佐 川 寛典** A study of ultrasonic scaling with regard to the changes of bacterial phase in the periodontal pocket Department of Periodontology, *Preventive Dentistry, **Bacteriology, Osaka Dental University

Masatoshi UEDA, Kazuo HAYASHI, Yoshihiro TERANISHI, Makoto YAMAMOTO, Shuichiro OHNO, Chizuko OGATA, Ritsuko KOBAYASHI, Mikio FUKUI, Sawako TANAKA, Akira YAMAOKA, Koji KONISHI*, Jun-ichi INOUE**, Takatoshi ONOUE**, Hisanori FUKUSHIMA**, Hirosuke SAGAWA**

キ ー ワ ー ド: 超 音 波 ス ケ ー ラ ー 、 ポ ビ ド ン ヨ ー ド剤 、 歯 周 ポ ケ ッ ト内 細 菌 口 腔 内 を 清 潔 に す る 手 段 と して は 、 患 者 自 身 が 家 庭 内 で 行 う セ ル フ コ ン ト ロ ー ル と 術 者 (歯 科 医 師 や 歯 科 衛 生 士) が 実 施 す る プ ロ フ ェ シ ョ ナ ル ク リ ー ニ ン グ と が あ る。 す な わ ち 、 前 者 は 歯 ブ ラ シ や そ の 他 の 隣 接 歯 間 部 清 掃 用 具 を 用 い て 患 者 自身 の 意 志 に よ っ て 行 う プ ラ ー ク コ ン ト ロ ー ル で あ り 、 後 者 は セ ル フ コ ン ト ロ ー ル だ け で は 対 処 で き な い 部 分 、 主 と し て 歯 周 ポ ケ ッ ト 内 を 専 門 的 な 手 段 を 用 い て 清 掃 す る 方 法 で あ る。 こ の プ ロ フ ェ シ ョナ ル ク リー ニ ン グ の 手 段 と して は 、 手 用 ス ケ ー ラ ー や 超 音 波 ス ケ ー ラ ー に よ るscalingやroot planingで あ り 、 そ れ は歯 根 面 に付 着 した プ ラ ー ク、 歯 石 、 他 の 沈 着 物 、 壊 死 あ る い は 汚 染 セ メ ン ト質 の 除 去 に と ど ま らず 、 プ ラ ー クの 再 沈 着 を 助 長 す る 粗 造 な 根 面 の 平 滑 化 を は か る と い う一 連 の 操 作 で あ る と定 義 づ け られ て い る 。 な か で も と く に 、 超 音 波 ス ケ ー ラ ー は ス ケ ー リ ン グ 後 の 根 面 が 手 用 ス ケ ー ラ ー と比 較 して 粗 造 と な る と さ れ て い る が 、 歯 石 除 去 効 率 お よ び 操 作 時 の 術 者 疲 労 度 の 軽 減 な ど の 観 点 か ら、 超 音 波 ス ケ ー ラ ー が 広 く臨 床 に 応 用 さ れ て い る_。 超 音 波 ス ケ ー ラー は 多 くの 機 種 が 市 販 さ れ て い る が 歯 石 除 去 効 率 の 面 か ら、 発 振 周 波 数 の 高 い 機 種 が 多 く な り 、 ま た 、 超 音 波 ス ケ ー リ ン グ の 際 、 水 の か わ り に 圧 力 式 タ ン ク が 付 属 して お り 、 そ れ に 薬 剤 を 入 れ 、 歯 周 ポ ケ ッ トを 洗 浄 し な が らス ケ ー リ ン グ の で き る 機 種 も発 売 さ れ て い る 。 そ こで 今 回 、 私 達 は 、 薬 剤 を 使 用 し 、 ポ ケ ッ ト内 の 洗 浄 も併 用 可 能 な 超 音 波 ス ケ ー ラ ー (Odontoson 4N Special (RE) ) 、 と くに 、 薬 剤 と して は 、 水 に 可 溶 性 で 生 体 親 和 性 の あ る ポ リ ビニ ル ピ ロ ド リ ン と ヨ ー ドの 複 合 体 で あ り 、 複 合 体 の た め に 刺 激 性 や 毒 性 が 最 小 限 抑 制 さ れ 、 ま た 、 歯 周 病 原 性 グ ラ ム 陰 性 菌 殺 菌 能 が 高 い と さ れ て い る ポ ビ ド ン ヨー ドを 使 用 し、 そ の 有 効 性 を 臨 床 的 お よ び 細 菌 学 的 に 検 討 し た 。 被 験 者: 大 阪 歯 科 大 学 付 属 病 院 歯 周 病 科 外 来 を 訪 れ 成 人 性 歯 周 炎 と 診 断 さ れ た 患 者10名 と し た 。 群 構 成: 1口 腔 の な か で 、 下 顎 に1歯 、 上 顎 に2歯 (出 来 る 限 り離 れ た 部 位) を 選 び 被 験 歯 と した 。 下 顎 の 被 験 歯 と そ の 両 隣 在 歯 は0.02%ポ ビ ド ン ヨ ー ド水 溶 液 を 併 用 した 超 音 波 ス ケ ー リ ン グ (以 下 、A群 と す る) を 、 上 顎 の1歯 と そ の 両 隣在 歯 は 蒸 留 水 を 用 い た 超 音 波 ス ケ ー リ ン グ (以 下 、B群 と す る) を 、 上 顎 の 他 の1歯 と そ の 両 隣 在 歯 は グ レ ー シ ー キ ュ レ ッ トを 使 用 しroot planing (以 下 、C群 と す る) を 行 っ た 。

臨 床 観 察 項 目: Plaque index, Gingival crevicular fluid, Gingival index, Pocket depthお よ びBleeding on probingの5項 目 と した 。

位 相 差 顕 微 鏡 に よ る 観 察: 歯 周 ポ ケ ッ トか ら ペ ーパ ー ポ イ ン ト法 に よ り 採 取 した プ ラ ー ク をReduced transport fluid (RTF) へ 投 入 、 撹 拌 後 、Petroff-Hausser counting chamberに1滴 と り 、 位 相 差 顕 微 鏡 下 で 総 微 生 物 数 お よ び 総 微 生 物 に 占 め る 運 動 性 微 生 物 、 す な わ ち 、M & S (運 動 性 桿 状 菌 と ス ピ ロヘ ー タ) の 構 成 率 を 検 索 した 。 観 察 時 期: 臨 床 観 察 お よ び歯 周 ポ ケ ッ ト内 微 生 物 の 位 相 差 顕 微 鏡 に よ る 観 察 は 、0週 (instrumentation前) とinstrumentation後4週 目 ま で 経 週 的 に 観 察 し た 。 結 果: 臨 床 所 見 の う ち 、Plaque index以 外 の4項 目 お よ び 位 相 差 顕 微 鏡 に よ る歯 周 ポ ケ ッ ト内 総 微 生 物 数 、 総 微 生 物 数 に 占 め る 運 動 性 微 生 物 の 構 成 率 は 、 各 実 験 群 と も にinstrumentation後 、経 週 的 に低 下 傾 向 が 認 め ら れ 、 しか も 、 群 間 、 す な わ ち 、A群 、B群 お よ びC 群 間 に 多 少 の 差 異 が 観 察 で き た 。

演 題B-24-1030

口臭 と歯齦 縁 下細菌 叢 との 関係 につ い て

東京歯 科 大学 歯科 保存 学第II講 座 ○森 山貴 史、 角 田正健 、 大串 勉 、松 原 茂 、

穂 坂康 朗 、守 谷豪 人、 佐藤 徹 一郎

The positive correlation between bad breath and subgigival microflora

Department of Periodontics, Tokyo Dental College

OTakafumi MORIYAMA, Masatake TSUNODA, Tsutomu OHKUSHI, Shigeru MATSUBARA Yasuo HOSAKA, Hideto MORIYA and Tetsuichiro SATO

キ ー ワ ー ド: 口 臭 、 歯 齦 縁 下 細 菌 叢 ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ 目 的 口臭 発 生 の メ カ ニ ズ ム に お け る 歯 齦 縁 下 細 菌 の 果 た す 役 割 に つ い て 究 明 す る た め 、 暗 視 野 顕 微 鏡 に よ る 歯 齦 縁 下 細 菌 叢 の 検 索 な らび にガ ス ク ロ マ トグ ラ フ を 用 い た 呼 気 中 揮 発 性 硫 化 物 の 分 析 を 行 っ た 。 材 料 お よび 方 法 1.被 検 者 の 構 成 東 京 歯 科 大 学 千 葉 病 院 保 存 科 外 来 患 者 お よ び 保 存 科 医 局 員 の う ち 、 全 身 的 疾 患 を 有 さ な い 男 性13名 、 女 性11名 の 計24名 (年 齢24才 ∼61才) を 被 検 者 と し た 。 な お 、 口 臭 官 能 試 験 に よ り他 覚 的 口臭 を 認 め た も の を 口臭 群 (n=13) 、 口 臭 を 認 め な か っ た も の を 非 口 臭 群 (n=11) と し た 。 2.歯 齦 縁 下 細 菌 叢 の 検 索 被 験 者 の 最 深 部 ポ ケ ッ トか らペ ー パ ー ポ イ ン トに よ り歯 齦 縁 下 プ ラ ー ク を 採 取 し 、 暗 視 野 顕 微 鏡 に よ る 歯 齦 縁 下 細 菌 叢 の 観 察 を 行 っ た 。 観 察 さ れ た 各 菌 はListgarten and Helldenの 分 類 に 準 じ 菌 の 形 状 お よ び 運 動 性 に よ っ て 以 下 の6種 の 形 状 菌 に 分 け た 。 ( 1) spirochetes (Sp) ( 2) motile rods (MR) ( 3) filaments (Fi) ( 4) fusiforms (Fu) ( 5) straight rods (SR) ( 6) coccid cells (CC) な お 各 形 状 菌 が 歯 齦 縁 下 細 菌 叢 中 で 占 め る 割 合 は 、 無 作 為 に 選 択 し た10視 野 に 対 し そ の 個 数 を カ ウ ン ト、 そ れ ぞ れ 合 計 し て 算 定 総 菌 数 中 で 占 め る パ ー セ ン テ ー ジ を 求 め て 表 し た 。 ま た_{、1mlあ た り の 総 菌 数 を計} 算 式 に よ っ て 算 出 し た 。 3.呼 気 中 揮 発 性 硫 化 物 の 分 析 被 験 者 に は 起 床 時 以 降 の 飲 食 ・喫 煙 お よ び 口 腔 清 掃 を 禁 じ て 来 院 させ 、 直 接 呼 気 導 入 法 に よ り 口 腔 内 気 体5mlを 採 取 し ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ に 導 入 、 揮 発 性 硫 化 物 の 定 量 分 析 を 行 っ た 。 な お 、 口 臭 の 強 さ を 表 す 指 標 に はmethyl mercaptan (CH3SH) を 用 い 、 得 られ た 定 量 値 をng単 位 で 表 わ し た 。 4.統 計 学 的 分 析 歯 齪 縁 下 細 菌 叢 の 検 索 結 果 に つ い て 、Wilcoxonの 順 位 和 検 定 を 用 い 口 臭 群 と非 口 臭 群 の2群 間 の 差 の 検 定 を 行 っ た 。 ま た 、 縁 下 細 菌 叢 と 呼 気 中CH3SH定 量 値 と の 相 関 に つ い て はSpeamanの 相 関 係 数 を 求 め て 検 定 し 、 統 計 学 的 に 分 析 し た 。 結 果 1.暗 視 野 顕 微 鏡 に よ る歯 齦 縁 下 細 菌 叢 の 検 索 の 結 果 両 群 の 細 菌 叢 に は 明 ら か な 相 違 が あ り、 口 臭 群 で は spirochetesお よ びmotile rodsが 、 一 方 非 口 臭 群 で はcococid cellsが 有 意 に 高 い 割 合 を 占 め て い た 。 ま た 、 総 菌 数 に お い て 口 臭 群 は 非 口 臭 群 と 比 較 し て 有 意 に 高 い 値 を 示 し て い た。 (Table 1) 。 Table 1. 2.呼 気 中CH3SH値 と縁 下 細 菌 叢 中 でspirochetes あ る い はmotile rodsが 占 め る割 合 な らび に 総 菌 数 との 間 に 正 の 相 関 (P<0.01) が 認 め ら れ た (Table 2) 。 Table 2. 考 察 お よび結 論 以 上の 結果 よ り、 口臭 を有 す る被験 者 の歯齦 縁 下細 菌 叢 は非 口臭 群 と比較 して明 らか に相 違が あ り、 口臭 発 生過 程 にお い て歯齦 縁 下細菌 が な ん らかの役 割 を果 た してい る こ とが 確認 され た。 また、 歯齦 縁 下細 菌叢 中でspirochetesお よびmotile rodsが 占め る割 合 と呼 気中CH3SHに 正 の 相関が 認 め られ た ことか ら、 特 にこの 両形 状菌 が 口臭 発生 機構 に関 与 してい る ことが 示唆 され た。

演 題B-25-1050

ゴールデ ンハ ムス ターの実験 的歯 肉炎誘発 にお け る塩 酸 テ トラサ イ ク リン 経 口投 与 の影 響 につ いて (3報)

鶴見 大学歯学 部 第2歯 科保存学 教室 ○野 村典生 、新 井高、 中村治 郎

Effect of Oral Administration of Tetracycline on Experimental Gingivitis in Golden Hamsters. (3)

Department of Periodontics and Endodontics, Tsurumi University, School of Dental Medicine.

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Tsuneo NOMURA, Takashi ARAI, Jiro NAKAMURA

キ ー ワ ー ド: テ トラ サ イ ク リ ン、 実 験 的 歯 肉 炎 、 ゴ ー ル デ ンハ ム ス ター ( 目 的) 演 者 ら は、 第31回 春 期 、 第32回 春 期 歯 周 病 学 会 に お い て 、 ゴ ー ル デ ン ハ ム ス タ ー の 実 験 的 歯 肉 炎 に 対 す る 塩 酸 テ トラ サ イ ク リ ン投 与 の 有 効 性 に つ い て 発 表 した 。 そ こで 今 回 の 実 験 で は 、 高 庶 糖 飼 料 飼 育 ゴ ー ル デ ン ハ ム ス ター に 塩 酸 テ トラ サ イ ク リ ン を経 口 投 与 し、 歯 槽 骨 吸 収 度 及 び 、 プ ラ ー ク堆 積 度 を 指 標 と し て 、 歯 肉 縁 下 細 菌 層 の 検 索 を 経 時 的 に行 っ た 。 さ ら に ハ ム ス タ ー 由 来 Bacteroides asaccharolyticusに 対 す る 各 実 験 群 ハ ム ス タ ーIgG抗 体 価 を計 測 し た 。 ( 材 料 と方 法) 動 物 及 び 飼 育: ゴ ー ル デ ン ハ ム ス タ ー (〓3週 齢) 75 匹 を 購 入 し、 以 下 の3群 に 分 け 各25匹 ず つ 飼 育 し た。

I群: Diet-2000及 び 水 道 水 で 飼 育 し 、25mg/kg/day塩 酸 テ トラ サ イ ク リ ン滅 菌 蒸 留 水 溶 液 を 経 口 投 与 。 II群: Diet-2000及 び 水 道 水 で 飼 育 し、 滅 菌 蒸 留 水 を1 日1回 経 口 投 与 。 III 群: CE-2及 び 水 道 水 で 飼 育 し、 滅 菌 蒸 留 水 を1日1 回 経 口 投 与 。 各 群 と も 各 々 飼 育15日 目 、29日 目、43日 目、5 7日 目 、71日 目 に 各 々5匹 ず つ エ ー テ ル 麻 酔 下 で 心 臓 採 血 に よ り失 血 死 させ た 後 に、 速 や か に 下 顎 を取 り 出 し 左 右 に 分 離 し た。 また 、 採 取 した 血 液 は 、 遠 心 分 離 後 、 血 清 の み を-20℃ に 保 存 し た. ま た、10匹 (〓3週 齢) を購 入 時 に 屠 殺 し、 同 様 の 処 理 を 行 っ た 。 (以 降0週 屠 殺 群 とす る 。) 歯 肉 縁 下 細 菌 叢 の 検 索: 第32回 春 期 歯 周 病 学 会 で 演 者 ら が 発 表 し た方 法 に準 じ、 第III群 を 除 き 検 索 した 。 歯 槽 骨 吸 収: 第32回 春 期 歯 周 病 学 会 で 演 者 らが 発 表 し た 方 法 に 準 じ た 。 歯 肉 縁 上 プ ラ ー ク堆 積 度: 第32回 春 期 歯 周 病 学 会 で 演 者 らが 発 表 し た 方 法 に 準 じ た 。 歯 肉 縁 上 細 菌 叢 の 検 索: 71日 間Diet-2000で 飼 育 し た ハ ム ス タ ー5匹 を 屠 殺 後 、 下 顎 を 摘 出 し 、 左 側 第1臼 歯 歯 肉 縁 上 プ ラ ー ク を18G注 射 針 に よ り可 及 的 に採 取 、 計 量 後 、GAMブ イ ヨ ン に よ り10倍 連 続 希 釈 後 、 Trypticase soy agarに よ り2日 間 好 気 培 養 し 、 ヒ ツ ジ 血 液 加 ブル セ ラHK寒 天 培 地 で5日 間 嫌 気 培 養 した 。 各 培 養 に お い て コ ロ ニ ー の 適 度 に 発 育 した 平 板 を選 択 し グ

ラ ム染 色 性 と形 態 を 観 察 し た。

Bacteroides asaccharolyticusに 対 す る 血 清IgG抗 体 価 の 計 測: ゴ ー ル デ ン ハ ム ス タ ー 由 来Bacteroides asaccharolyticusを 培 養 、 集 菌 後 、 粉 砕 、 凍 結 乾 燥 した も の を抗 原 と し、 そ れ に 対 す る ハ ム ス タ ーIgG抗 体 価 を ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ 標 識 抗 ハ ム ス タ ーIgG抗 体 に よ り450nmに お け る 吸 光 度 を マ ル チ ス キ ャナ ー に よ り計 測 し て 得 た。 ( 結 果) (1) 歯 肉 縁 上 プ ラ ー ク 堆 積 度 は、I群 で は71日 目 ま で ー 完 し て0週 群 と ほ ぼ 同 様 の 値 を 示 した が 、II群 で は、 堆 積 面 積 の 経 時 的 増 加 量 も 多 く、 最 終 的 に は 歯 冠 の ほ ぼ 全 域 に 渡 る堆 積 を 示 した 。III群 で は経 時 的 に 堆 積 量 が 増 加 す る 傾 向 を示 す も の の10%程 度 に 過 ぎ な か っ た 。 (2) 歯 肉 縁 下 プ ラ ー クか ら分 離 され た コ ロ ニ ー形 成 数 で は 、 1群 は 、 一 時 的 な 増 加 を 示 す も の の0週 群 と同 様 の総 菌 数 を 示 した 。 し か し、Actinomyces, Bacteroidesは 減 少 傾 向 に あ った 。II群 で は経 時 的 に 総 菌 数 が 増 加 し、 ま た 、 Actinomyces, Bacteroidesの 増 加 傾 向 が み られ た。 (3) Bacteroides選 択 培 地 上 で の コ ロ ニ ー形 成 数 で も 、 非 選 択 培 地 で のBacteroidesと 同 様 の傾 向 が み られ た 。 (4) 歯 槽 骨 吸 収 度 は 、I群 とIII群は 類 似 し た 吸 収 を示 し、 緩 慢 な 吸 収 を示 し た が 、II群 で は 、 強 度 の 吸 収 傾 向 が 、 見 られ た 。 マ イ ク ロ ラ ジ オ グ ラ フ に よ る歯 槽 骨 吸 収 度 で は 、I群 に対 しII群 で は 、 飼 育6週 よ り有 意 な 吸 収 を 示 し た。 (5)

Bacteroides asaccharolyticusに 対 す る 血 清IgG坑 体 価 の 上 昇 した 所 見 はI、II、III群 と も 得 られ な か っ た。 ( 考 察) 以 上 の成 績 か らI群 で は 、 塩 酸 テ トラ サ イ ク リ ン投 与 に よ り、 歯 肉 縁 上 プ ラ ー ク 堆 積 も抑 制 さ れ 、 総 菌 数 が 離 乳 直 後 の 状 態 と ほ ぼ 同 様 に な る よ う コ ン トロ ー ル さ れ 、 そ れ に 伴 い 歯 槽 骨 吸 収 度 も 少 量 で あ る の で は な い だ ろ う か 。 そ の 中 で も 特 にBacteroides, Actinomycesに 効 果 が 、 強 く現 れ て い る よ う で あ る。 また 、Diet-2000で 飼 育 し た ハ ム ス タ ー の 縁 上 プ ラ ー ク よ り多 くの 腸 内 細 菌 や 、 Clostridium, Bacteroides fragilisな どが 分 離 され た が 、

I群 で は 分 離 され ず 菌 交 代 現 象 も 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、ELISA法 の結 果 よ り ヒ ト歯 周 疾 患 原 因 菌 と 考 え ら れ て い る黒 色 色 素 産 生 性Bacteroidesと ハ ム ス タ ー の 歯 周 疾 患 との 間 連 性 が 少 な い の で は な い か と 考 え ら れ る。

演 題B-26-1100

Actinobacillus actinomycetemcomitans 血清 型aお よびcの 型 特異 抗原 の構造解 析 1) 予 研 ・歯 科 衛 生 部 、2) 愛 院 大 ・歯 ・歯 周 病

○ 天 埜 克 彦1) 2) 、 西 原 達 次1) 、 野 口 俊 英2) 、 古 賀 敏 比 古1)

Structural Characterization of Serotype-specific Antigen from Actinobacillus actinomycetemcomitans ATCC 29523 (Serotype a) and NCTC 9710 (Serotype c) 1) Department of Dental Research, National Institute of Health

2) Department of Periodontology, School of Dentistry, Aichigakuin University

C) Katsuhiko AMAN01) 2) , Tatsuji NISHIHARA1) , Toshihide NOGUCHI2) , Toshihiko KOGA1)

キ ー ワー ド: A.actinomycetemcomitans, 型 特 異 抗 原 目 的 限 局 型 若 年 性 歯 周 炎 の 原 因 菌 の1つ と 考 え ら れ て い る 、Actinobacillus actinomycetemcomitansは 、 Zambonら に よ り血 清 型a, bお よ びcに 分 類 さ れ て い る 。 こ の う ち 、b型 特 異 抗 原 に 関 し て は 第32回 春 季 歯 周 病 学 会 に お い て 報 告 し た 。 そ こ で 今 回 我 々 は 、 血 清 型aお よ びcの 型 特 異 抗 原 を 抽 出 ・精 製 し そ の 化 学 組 成 な ら び に 構 造 に つ い て 調 べ た 。 材 料 お よ び 方 法 本 研 究 で は 、ATCC 29523株 (血 清 型a) お よ び NCTC 9710株 (血 清 型c) を 用 い た 。 抗aお よ びc 血 清 は 、 そ れ ぞ れ29523株 、9710株 全 菌 体 を 家 兎 に 静 注 し て 得 た 。 全 菌 体 か らの 抗 原 の 抽 出 に は 、 オ ー ト ク レ ー プ 法 を 用 い た 。 抗 原 精 製 の た め に 、 生 理 食 塩 水 で 懸 濁 し た 全 菌 体 を3回 オ ー トク レ ー ブ (12 1℃ 、30分 間) して 、 粗 抗 原 を 調 製 し た 。 同 標 品 に つ い てDEAE-Sephadex A-25イ オ ン 交 換 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー 、Sephacryl S-300ゲ ル 濾 過 で 精 製 を 行 っ た 。 精 製 型 特 異 抗 原 の 構 成 成 分 は 、 高 速 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー (HPLC) 、 お よ び ア ル ジ ト ー ル ア セ テ ー ト化 し た 後 ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー (GLC) に よ り分 析 し た 。 構 造 様 式 は 、 メ チ ル 化 、 ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー ・質 量 分 析 法 (GLC-MS) 、13C-NMR、1H-NMR等 に よ り解 析 し た 。 抗 血 清 と抗 原 と の 反 応 は 、 寒 天 ゲ ル 内 沈 降 反 応 で 調 べ た 。 結 果 お よ び 考 察 全 菌 体 か ら の オ ー ト ク レ ー ブ 抽 出 抗 原 に つ い て DEAE-Sephadex A-25イ オ ン交 換 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー を 行 っ た と こ ろ 、 型 特 異 抗 原 は 開 始 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 さ れ た 。 こ の 画 分 をSephacryl S-300で ゲ ル 濾 過 し た と こ ろ 、 分 子 量150kDa付 近 に 型 特 異 抗 原 が 溶 出 さ れ た 。 こ の 画 分 を 集 め 凍 結 乾 燥 し た も の を 精 製 型 特 異 抗 原 と し て 以 下 の 分 析 を 行 な っ た 。 血 清 型aお よびcの 精 製 抗 原 は い ず れ も 、 そ の 90%以 上 が 中 性 糖 か ら な っ て お り、 タ ン パ ク 、 リ ン 、 ア ミ ノ 糖 は 検 出 さ れ な か っ た 。 主 要 構 成 糖 は HPLC, GLCに よ りい ず れ も6-Deoxy-Taloseで あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 さ ら に こ の 標 品 を メ チ ル 化 し た 後 、GLC-MSで 分 析 し た と こ ろ 、 両 血 清 型 と も1、2-結 合 と1、3-も1、2-結 合 の6-Deoxy Taloseが 約1: 1 (モ ル 比) で 存 在 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 以 上 の 結 果 は13C-NMRの 分 析 か ら も 支 持 さ れ た 。 ま た 、 13C-NMRよ り ア セ チ ル 基 の 存 在 が 認 め ら れ た た め_、 1H-NMRに よ る を行 な っ た と こ ろ_{、 両 血 清 型 と も糖 残} 基2個 当 た り ア セ チ ル 基1個 が 存 在 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 次 に こ の 構 成 糖 の 絶 対 配 置 を キ ラ ー ル な 誘 導 体 と し てGLCで 調 べ た と こ ろ 、a型 特 異 抗 原 はD, c型 特 異 抗 原 はLで あ る こ とが 明 ら か と な っ た 。 さ ら に こ の 標 品 の 比 旋 光 度 を 調 べ た と こ ろ 、 血 清 型a型 は+135° 、 血 清 型c型 は-151° で あ る こ と か ら 両 血 清 型 と も α結 合 を し て い る と 考 え ら れ た 。 結 論 精 製a型 特 異 抗 原 は 、 -3) -α-D-Talp- 2) -α-D-Talp- (1-精 製c型 特 異 抗 原 は 、 -3) -α-L-Talp- 2) -α-L-Talp- (1-の 繰 り返 し 構 造 を持 つ と 考 え ら れ た 。 本 研 究 は 農 林 水 産 省 食 品 総 合 研 究 所 資 源 特 性 研 究 室 の 渋 谷 直 人 博 士 と共 同 で 行 わ れ た も の で あ る 。 ―134―

演 題B-27-1110

歯 周 病 患 者 体 液 性 免 疫 応 答 性 か ら特 定 した Bacteroides gingivalis 381 岡 山 大 学 歯 学 部 歯 科 保 存 学 第 二 講 座、 口 腔 細 菌 学 講 座*

○ 栗 原 英 見、 西 村 英 紀、 中 川 政 嗣、 谷 本 一 郎、 宮 本 学、 野 村 慶 雄、 村 山 洋 二 苔 口 進*、 加 藤 慶 二 郎*

A Specific Antigen from Bacteroides Ringivalis 381 Characterized by Humoral Responsivility in Patients with Periodontitis

Okayama University Dental School, Department of Periodontology and Endodontology

aild Department of Oral Microbiology*

H. Kurihara, F. Nishimura, M. Naagawa, I. Tanimoto, M. Miyamoto, Y. Nomura, Y. Murayama, S. Kokeguchi*, and K. Kato*

キ ー ワ ー ド: Bacteroides gingivalis、 体 液 性 免 疫 応 答 、 た ん 白 抗 原 、 単 ク ロ ー ン 抗 体 [研 究 目 的] Bacteroides gingivalisは 歯 周 ポ ケ ッ トか ら 高 頻 度 に 分 離 さ れ 、 種 々 の 病 原 性 を 有 す る 最 も 有 力 な 歯 周 病 原 性 細 菌 の 一 つ で あ る。 歯 周 病 は 細 菌 の 感 染 に よ っ て 惹 起 さ れ る が 、 そ の 臨 床 症 状 は 感 染 細 菌 と 宿 主 の 応 答 と の 関 わ り に よ っ て 様 々 な 形 と な っ て 現 れ る。 歯 周 病 原 性 細 菌 に 対 す る 歯 周 病 患 者 の 抗 体 産 生 は 宿 主 の 応 答 の 結 果 の 一 つ と し て 捉 え る こ と が で き る。 歯 周 病 と 関 連 す る と し たB. gingivalis 特 異 抗 原 に つ い て の 報 告 が い く つ か み ら れ る が 、 こ れ ら は 細 菌 構 築 成 分 と し て 、 あ る い は 生 物 学 的 活 性 で 特 徴 づ け ら れ る も の か 、 特 殊 な 調 製 法 の 応 用 と し て 特 徴 づ け る れ る も の で あ り、 付 加 価 値 的 に 歯 周 病 患 者 の 免 疫 応 答 と の 関 連 を 調 べ た に と ど ま る。 歯 周 病 患 者 の 免 疫 応 答 を 意 識 し た 上 で 歯 周 病 の 病 態 とB.gingivalisと の 関 係 を 明 確 に す る に は、 こ れ ら の 抗 原 が 適 し て い る と は い え な い。 本 研 究 で は 歯 周 病 の 病 態 を 規 定 す る 宿 主 応 答 と い う 視 点 か ら 特 定 で き るB.gingivalis 特 異 抗 原 を 分 離 し、 そ の も の の 性 状 を 明 ら か に し た。 [材 料 と 方 法] 1.供 試 菌 お よ び 被 験 血 清: B.gingivalis 381株 の 全 菌 体 を 超 音 波 処 理 し た 後 の100, 000x g遠 沈 上 清 (SE) を 出 発 材 料 と し た。 被 験 血 清 は、 歯 周 病 を 有 しSEに 対 す る 血 清IgG抗 体 価 の 高 い 患 者62名 、 お よ び 健 常 者10名 の 末 梢 血 血 清 を 用 い た。2.歯 周 病 患 者 特 異 抗 原 の 検 出: SEをTOYO PEARL HW60お よ び、DEAE-SePharose CL-6Bに よ っ て 分 画 し た。 分 画 し た 抗 原 に つ い てELISAお よ びWestern blo t法 に よ っ て、 歯 周 病 患 者 血 清 と の 反 応 を 調 べ た。 3.抗 原 の 精 製: 目 的 と す る 抗 原 に 対 す る 単 ク ロ ー ン 抗 体 を 調 製 し_{、 そ れ を 利 用 し た ア フ ィ ニ テ ィ} ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ っ て 抗 原 を 精 製 し た。 4.精 製 抗 原 の 性 状: 1) 精 製 抗 原 に 対 す る 歯 周 病 患 者 の 免 疫 応 答 と 歯 周 病 と の 病 態 と の 関 わ り は 歯 周 病 の 病 型 、 お よ び 臨 床 所 見 に つ い て 検 討 し た。 2) 精 製 抗 原 のB.gingivalisに お け る 局 在 を 単 ク ロ ー ン 抗 体 を 用 い た 免 疫 電 子 顕 微 鏡 法 に よ っ て 調 べ た。3) 精 製 抗 原 の 菌 種 お よ び 菌 株 特 異 性 を 単 ク ロ ー ン抗 体 を 用 い たWestern blot法 に よ り調 べ た。 [研 究 結 果] 1.SEを 歯 周 病 患 者 血 清IgG抗 体 と の 反 応 の 状 態 を 指 標 に 分 画 し た と こ ろ、SEに 対 し て 同 じ よ う に 高 い 抗 体 価 を 示 す 患 者 の 中 で も 患 者 ご と に 明 ら か に 異 な る 免 疫 応 答 を 示 し て い る53kdた ん 白 抗 原 (Ag 53) を 検 出 した 。2.単 ク ロ ー ン 抗 体 (MABgE) を 用 い た ア フ ィ ニ テ ィ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー で 精 製 し たAg53の 性 状 は 以 下 の よ う で あ っ た。1) Ag53に 対 す る 血 清IgG抗 体 が 検 出 さ れ る 患 者 (Anti53 (+) ) と 検 出 さ れ な い 患 者 (Anti53 (一) ) が あ っ た。 し か し、 そ の 検 出 頻 度 は 歯 周 病 の 病 型 に 関 わ る も の で な か っ た 。2) Ag53に 対 す る 反 応 と 臨 床 所 見 と の 関 連 は、Anti53 () 群 はAnti53 (1) 群 に 比 べ 若 く、 歯 を 示 し た。3) MABgEを 用 い た 免 疫 電 子 顕 微 鏡 で は Ag53はB.gingivalis 381の 小 包 表 層 に 観 察 さ れ た。 4) Ag53はB.gingivalisお よ びB.endodontalisに 共 通 す る 抗 原 決 定 基 を 有 し て い た。 [考 察 と 結 論] 分 離 し たAg53の 特 徴 は、 こ の 抗 原 に 対 す る 歯 周 病 患 者 の 体 液 性 免 疫 応 答 が 多 様 で あ る と い う こ と で あ る。 す な わ ち 、SEに 対 し て 同 じ よ う に 高 い 抗 体 価 を 有 す る 患 者 で あ っ て もAg53に 対 す る 反 応 は、 応 答 の あ る 患 者 と、 応 答 の な い 患 者 と に 明 確 に 区 別 さ れ た。Ag53は 特 殊 な 抗 原 で は な く、Ag53と 共 通 す る 構 造 を 持 つ 抗 原 を 有 す る 細 菌 が 歯 周 ポ ケ ッ ト に 一 般 的 に 存 在 す る と 考 え ら れ る。Ag53は 小 胞 の 表 層 に 存 在 す る 抗 原 で あ り、Ag53に 対 す る 歯 周 病 患 者 の 応 答 の 多 様 性 は、 小 胞 の 生 物 学 的 活 性 の 発 現 に 関 し て 意 味 の あ る こ と な の か も し れ な い。 Ag53に 対 す る 歯 周 病 患 者 の 免 疫 応 答 は 単 純 に 臨 床 所 見 と の 関 連 で 捉 え る べ き も の で は な く、 細 菌 の 感 染 と 複 雑 な 宿 主 応 答 に よ っ て 成 立 す る 歯 周 病 の 病 態 の 一 つ を 示 す 指 標 と 考 え て い る。

演 題B-28-1120

ヒ ト多 形核 白血球 の 活性 酸 素生 成 に関 与す るB.gingivalis超 音 波抽 出成 分 の解 析 明海 大 学歯 学 部歯 周病 学 講座

○下 島 孝裕, 辰 巳順一, 曲 建 香, 保 母清 彦, 佐 藤巌 雄, 池 田 克 已

Partial Identification

of B.gingivalis

Factor Involved in Human

Polymorphonucle-ar Leukocytes Oxygen Radical Activation

Department of Periodontology,

Meikai University School of Dentistry

OTakahiro SHIMOJIMA,

Junichi TATSUMI,

Kenka KYOKU,

Kiyohiko HOBO, Iwao SATO and

Katsumi IKEDA

【キ ー ワ ー ド】: 多 形 核 白 血 球, ス ー パ ー オ キ シ ド 産 生, Bacteroides gingivalis

【目 的 】

我 々 は 従 来 か らBacteroides gingivalis (B.gin-givalis) と多 形 核 白 血 球 の 活 性 酸 素 産 生 能 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 し 、B.gingivalisの 可 溶 性 超 音 波 抽 出 物 に ス ー パ ー オ キ シ ド (O2-) 産 生 促 進 作 用 の あ る こ と を 報 告 し て き た 。 そ こ で 今 回 は 、 こ のO2-産 生 に 関 与 す る 物 質 の 性 状 に つ い て 解 析 を 行 っ た の で 報 告 す る 。 【材 料 お よ び 方 法 】 1.可 溶 性 超 音 波 抽 出 物 の 調 製 可 溶 性 超 音 波 抽 出 物 (SE) は 、 凍 結 乾 燥 し たB. gingivalis 381菌 体 を 超 音 波 破 砕 し 、 超 遠 心 (100, 000×g, 120min) に よ り得 た 。SE中 の タ ンパ ク 質 含 量 は 、 ウ シ 血 清 γ グ ロ ブ リ ン を 標 準 と し たBradf-ordの 方 法 で 、 ま た 内 毒 素 量 は パ イ ロ デ ィ ッ ク (R) を 用 い て 定 量 した 。 2.末 梢 血 多 形 核 白 血 球 (PMNs) の 分 離 お よ び 調 製 健 常 ヒ トヘ パ リ ン 加 末 梢 血 を 重 層 比 重 遠 心 法 に て 分 離 し、 洗 浄 後 ハ ン ク ス 液 に て2×106cells/mlに 調 製 し た 。 3.O2-産 生 の 測 定 O2-産 生 の 測 定 は 、 ス ー パ ー オ キ シ ドデ ィ ス ム タ ー ゼ に よ り阻 害 さ れ る チ トク ロ ー ムC還 元 法 で 行 っ た 。 4.SE中 の 物 質 性 状 の 検 討 ( 1) 加 熱 処 理 お よ び プ ロ テ ア ー ゼ 処 理 加 熱 処 理 は 、56℃ お よ び98℃ で そ れ ぞ れ30分 間 行 っ た 。 ま た 、 プ ロ テ ァ ー ゼ 処 理 は 、 ト リプ シ ン お よ び プ ロ ナ ー ゼ を 用 い て 行 っ た 。 (2) ゲ ル 濾 過 お よ びSDS-PAGEに よ る 分 析 ゲ ル 濾 過 はSephadexG-200に て 分 離 し 、 分 画 画 分 を 得 た 。SDS-PAGEは 、 試 料 溶 液 に2%SDSお よ び5%メ ル カ プ トエ タ ノ ー ル を含 む ト リス 塩 酸 緩 衝 溶 液 (pH6.8) 中 で 、100℃ 、5分 間 加 熱 処 理 し 、 Laemliの 方 法 に 従 い ポ リ ア ク リル ア ミ ドゲ ル (分 離 ゲ ル12%, 濃 縮 ゲ ル3%) を 用 い て20mAの 定 電 流 で 泳 動 した 。 泳 動 後 の ゲ ル は ク マ シ ー ブ リ リ ア ン トブ ル ーR250で 染 色 した 。 【結 果 お よ び 考 察 】 1.凍 結 乾 燥 菌 体100mgか ら得 ら れ るSEの 回 収 率 は25%お よ び そ の タ ン パ ク 質 含 量 は0.9mg/mlで あ っ た 。 ま た 、 得 られ たSE中 の 内 毒 素 量 は 極 め て 低 い 値 を 示 し た 。 2.SEは 、O2-産 生 を 上 昇 さ せ 、 そ の 上 昇 効 果 は SEの 凍 結 乾 燥 重 量50μg/mlの 濃 度 か ら認 め ら れ た 。 さ ら に 、SE前 処 理PMNsのFMLPお よ びPM Aに よ り誘 導 さ れ るO2-産 生 は 、 い ず れ も 増 強 し た 。 3.加 熱 処 理 お よ び プ ロ テ ア ー ゼ 処 理 したSEの O2-産 生 は 未 処 理 に 比 し て 明 ら か な 抑 制 を示 し た 。 4.ゲ ル 濾 過 に よ っ て 得 た 分 画 のO2一 活 性 は 、46 KDa付 近 に ピ ー ク を も つ 分 画 に 強 く認 め ら れ た 。 こ の 分 画 を さ ら にSDS-PAGEに よ っ て 分 析 した 結 果 、 タ ン パ ク 性 成 分 は67∼38KDaの 範 囲 に 多 数 の バ ン ドが 認 め られ 、 そ の 主 要 バ ン ド は67, 57, 56お よ び46KDa で あ っ た 。 以 上 の こ とか らB.gingivalisの 可 溶 性 超 音 波 抽 出 物 に よ るO2-産 生 誘 起 活 性 は 分 子 量67∼46KDaを 主 と し た タ ンパ ク性 成 分 に よ る 関 与 が 推 察 さ れ 、 こ の 活 性 物 質 は 、PMNsに 直 接 的 に 作 用 し てO2-産 生 を 上 昇 さ せ る 効 果 を 有 す る と と も に 、PMNsと の 前 処 理 に お い て も02-産 生 を 増 強 さ せ る 作 用 の あ る こ とが 示 唆 さ れ た 。 ―136―

演 題B-29-1130

B.gingivalisの 細 胞 付着 性 と抗 捕 食 性 につ いて 神 奈 川 歯科 大学 口腔 細 菌 学 教 室

○ 渡 辺 清子 、 能勢 誠 、 山地 矢 須 子 、梅 本 俊 夫

B.ginzivalis: Cell Adhesion and Resistance to Phagocytosis Department of Oral Microbiology, Kanagawa Dental College

C) Kiyoko WATANABE, Makoto NOSE, Yasuko YAMAJI and Toshio UMEMOTO

<キ ー ワ ー ド>B.gingivalis、 細 胞 付 着 性 、 抗 捕 食 性 く 目 的>歯 周 病 関 連 細 菌 で あ るB.gingivalis の 病 原 因 子 と し て 、 線 毛 、LPS、Adhesinな ど に よ る 細 胞 付 着 性 、 あ る い は 莢 膜 保 有 に 起 因 す る 宿 主 細 胞 の 食 作 用 や 殺 菌 作 用 に 対 す る 抵 抗 性 な ど が 示 唆 さ れ て い る 。 最 近 、 膿 瘍 形 成 能 を 指 標 と し た 病 原 性 や 血 清 型 に 関 し て 、 菌 株 間 のheteroge-neityが 報 告 さ れ て お り 、 本 研 究 で は 、 病 原 性 が 強 い と さ れ るW50, W83を 含 むB.gingivalis 6菌 株 を 用 い て 、 ヒ ト歯 周 組 織 細 胞 へ の 付 着 性 お よ び マ ウ ス 腹 腔 マ ク ロ フ ァ ー ジ に 対 す る 抗 捕 食 性 に つ い て 検 討 し た 。 <材 料 お よ び 方 法> 1, 供 試 菌 株: 表 層 多 糖 の 抗 原 性 に よ り3血 清 型 に 分 類 さ れ るB.9ingivalis 6菌 株 (381, ATCC 33277, Su63, KD-1, W50お よ びW83) をYeast ex-tract, Heminお よ びVitamin K 1を 添 加 し たBHI brothで24h嫌 気 培 養 し 実 験 に 供 試 し た 。 2, 供 試 細 胞: 付 着 性 の 検 討 に は ヒ ト歯 周 組 織 細 胞 と し てGin 1細 胞 お よ び ヒ ト歯 根 膜 線 維 芽 細 胞 ( HPLF) を 使 用 し 、 培 養 は10% FCS添 加DMEMに て 行 な っ た 。 抗 捕 食 性 の 検 討 に は 、BALB/cマ ウ ス ( ♀ 、7-12週 令) のTGC刺 激 腹 腔 マ ク ロ フ ァ ー ジ を 用 い た 。 3, 細 胞 付 着 性 の 検 討: Gin 1お よ びHPLFをKOKEN-CELLGENミ ク ロ ス フ ェ ア (高 研) 表 面 にcon-fluentな 状 態 に な る ま で 培 養 後 、KCl bufferに 浮 遊 さ せ て 被 付 着 細 胞 と し た 。B.g.6株 は 、10μC i/mlの 割 合 で [3H] -TdRを 添 加 し たBHI brothで 培 養 後 、KCl bufferでO.D.1.00 (550nm) に 調 製 し た 。 細 胞 付 着 性 の 検 討 は 、 細 胞 浮 遊 液0.25mlと 細 菌 浮 遊 液0.5mlを 混 和 し 、90分 間 振 蕩 後 、buffer で 洗 浄 す る 事 に よ り非 付 着 細 菌 を 除 去 し 、 付 着 し た 細 菌 量 を 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー で 測 定 し た 。 ま た 、100℃10分 間 加 熱 し た 死 菌 に 関 し て も 同 様 に 行 な っ た 。 4, ア ル ギ ニ ン に よ る 付 着 阻 害: 細 菌 を1μM-10mMのL-ア ル ギ ニ ン溶 液 で30分 処 理 し た 後 、Gin 1細 胞 を 用 い て 付着 性 を 検討 した 。 5, 抗 捕 食 性 の 検 討: 96穴 マ イ ク ロプ レー トに preincubateし た マ ウ ス マ ク ロ フ ァ ー ジ にO.D. 1.00に 調 製 し たB.g.381, Su63お よびW83の 菌 液 を添 加 し 、経 時 的 に捕 食 さ れ た細 菌 量 をRIの 取 り込 み 量 、 お よ び 生 菌 数 を算 定 す る こ とに よ り 測 定 し た 。 6、 オ プ ソニ ン効 果: 各B.g.全 菌 体 で 免 疫 し た ウ サ ギ 血 清 を30分 間 作 用 させ 、オ プ ソニ ン化 し た菌 体 に 対 す る捕 食 性 を 上 記 の 方 法 で 検 討 し、未 処理 の もの と比 較 し た 。 <結 果> 1, 細 胞 付 着 性: ミ クロ ス フ ェ ア ー (コ ラ ーゲ ン ビ ー ズ) 表 面 上 のGin 1お よ びHPLFに 対 し てB. gingivalis 38 1, ATCC 33277お よびSu63は 何 れ も 付 着 性 を示 し 、そ の 程 度 はSu63が 最 も強 か っ た。 ま た10分 間 の 加 熱 処 理 で 付 着 性 は減 少 す る傾 向が 認 め られ た 。一 方 、W50, W83お よ びKD-1の3株 は ほ と ん ど付 着 性 を 示 さな か っ た 。 尚 こ の ヒ ト細 胞 へ の 付 着 性 は ア ル ギ ニ ン によ り阻 害 され た 。 2, 抗 捕 食 性: マ クロ フ ァー ジ へ の 取 り込み は 、 Su63が 最 も 高 く 、8h以 降 は 減 少 した 。381株 の 取 り込 み は 中程 度 で あ っ たが24h迄 そ の 価 は持 続 し た 。W83株 で は 全 く取 り込 み が 認 め られ な か っ た 。 ま た 、そ れ ぞ れ の 抗血 清 で処 理 した 菌体 は 、 W83株 を 除 き取 り込 み 量 の 増 加 が 認 め られ た 。 <結 論 と考 察> 以 上 の 結果 か ら、B.gingivalisの 細 胞 付 着 性 お よび 抗 捕 食 性 に於 て もheterogeneityの 存 在 が 示 唆 され た。 ま た、 病 原 性 が強 い と さ れ て い るW50 の 付 着 性 が 他 の 菌 株 よ り低 い こ とか ら考 えて 付 着 性 を 阻 害 す る 細 菌 表層 構 造 と病 原 性 の 関 係 に つ い て検 討 す る 必 要 が あ る と考 え られ る 。

演 題B-30-1140

Lgingivalis‚Ìserogroup お よびin vitro virulence の 比 較

神 奈 川 歯 科 大学 口腔 細 菌 学 教 室

○浜 田信 城 、石 川 恵 里 子 、渡 辺 清 子 、梅 本 俊 夫

Serogroup of B.gingivalis and comparison of virulence in vitro

Department of Oral Microbiology, Kanagava Dental College

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Nobushiro HAMADA, Eriko ISHIKAWA, Kiyoko WATANABE and Toshio UMEMOTO

キ ー ワ ー ド: Bacteroides gingivalis, Serogroup, 血 球 凝 集 活 性, ト リ プ シ ン 様 活 性, コ ラ ゲ ナ ー ゼ 活 性 【目 的 】 近 年 、B.gingivalisの 病 原 性 (膿 瘍 形 成 能1) ) や 血 清 型2) に 関 し てheterogeneityの 存 在 が 報 告 さ れ て お り 、 我 々 もB.gingivalisの 全 菌 体 か ら オ ー ト ク レ ー ブ 抽 出 し た 多 糖 抗 原 を 用 い た ゲ ル 内 沈 降 反 応 に よ り2つ の 異 な るserogroupに 分 類 で き る こ と を 報 告 し て い る3) 。 今 回 は 、 膿 瘍 形 成 能 が 強 い と 報 告 さ れ て い るW50お よ びW83に 関 し て そ の serogroupに つ い て 検 討 す る と 共 に 、 血 清 型 と 病 原 性 と の 関 連 性 を 検 討 す る 目 的 で 各serogroupか ら2 菌 株 を 選 ん で 血 球 凝 集 性 、 ト リ プ シ ン 様 活 性 お よ び コ ラ ゲ ナ ー ゼ 活 性 に つ い て 比 較 し た 。 【材 料 お よ び 方 法 】 1.供 試 菌 株: ATCC33277, 381, Su63, KD-1, W50お よ びW83株 、 計6菌 株 を 用 い た 。

2.B.gの 血 清 型 分 類: B.gATCC33277 (A型) , Su63 ( B型) お よ びW83の 全 菌 体 で 家 兎 を 免 疫 し た 抗 血 清 と 各 菌 株 の オ ー ト ク レ ー ブ 抽 出 抗 原 と の 間 で ゲ ル 内 沈 降 反 応 を 行 っ て 検 討 し た. 3. In vitro virulenceの 比 較: 1) 試 料 の 調 製: そ れ ぞ れ の 菌 株 をYeast extract , Heminお よ びVitamin K1を 添 加 し たHI broth を 用 い て 嫌 気 的 条 件 下 で 培 養 し 、 経 時 的 に 採 取 し た 培 養 液 の 遠 心 上 清 (8, 000rpm, 20分) を 用 い た 。 2) 血 球 凝 集 活 性 の 測 定: ヒ トAB型 お よ び0型 、 ウ サ ギ 、 ヒ ツ ジ 、 ウ マ の2%赤 血 球 浮 遊 液50 μ1とPBSで2倍 階 段 希 釈 し た 各B.gの 培 養 上 清50μlを 混 合 し 室 温 で90分 間 静 置 し た 後 、 凝 集 を 認 め た 最 大 希 釈 倍 率 か ら 判 定 し た 。 3) ト リ プ シ ン 様 活 性 の 測 定: Nα-BENZOYL-DL-ARGININE-p-NITROANILIDE (BAPNA) を 基 質 と し て 発 色 の 程 度 に よ り 判 定 し た 。 4) コ ラ ゲ ナ ー ゼ 活 性 の 測 定: 蛍 光 標 識 コ ラ ー ゲ ン を 用 い て 測 定 し た 。 【結 果 】 1.W50お よ びW83株 の オ ー ト ク レ ー ブ 抽 出 多 糖 抗 原 は 、 抗ATCC33277血 清 あ る い は 抗Su63血 清 と は 反 応 せ ず 、 抗W83血 清 と の み 沈 降 線 を 形 成 し た 。 ま た 、ATCC33277お よ びSu63の グ ル ー プ 特 異 抗 原 と 抗W83血 清 と の 間 に は 沈 降 線 は 認 め ら れ な か っ た 。 2.ト リ プ シ ン 様 活 性 お よ び コ ラ ゲ ナ ー ゼ 活 性 に つ い て は 血 清 型 に よ る 顕 著 な 相 違 は 認 め ら れ な か っ た が 、 血 球 凝 集 性 はA型 に 比 較 し てB型 に 強 い 活 性 が 認 め ら れ た 。 【結 論 】 以 上 の 実 験 結 果 か ら 、B.gingivalisに は 血 清 学 的 に 少 な く と も3つ のSerogroupの 存 在 が 考 え ら れ る 。 ま た 、in vitro virulenceに 関 し て 、 ト リ プ シ ン 様 活 性 お よ び コ ラ ゲ ナ ー ゼ 活 性 は 菌 株 間 で 差 が 認 め ら れ る も の の 血 清 型 に よ る 相 違 は 認 め ら れ な い 。 し か し 、 血 球 凝 集 性 に つ い て は 、 血 清 型 に よ る 相 違 が 示 唆 さ れ た 。

文 献

1) Van Steenbergen, et al., J.Periodont.Res. 17: 41-49, 1982.

2) Fisher, et al., J.Dent.Res.65: 817, 1986. 3) 石 川 恵 里 子 他, 歯基 礎 誌 投 稿 中