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Brg1はNotch シグナルの制御を介して、十二指腸の発生および恒常性維持に必須な役割を果たす

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Academic year: 2021

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Title Brg1 plays an essential role in development and homeostasis ofthe duodenum through regulation of Notch signaling( Abstract_要旨 )

Author(s) Takada, Yutaka

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-03-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20233

Right 許諾条件により本文は2017-10-01に公開; 論文のweb siteへのlink http://dev.biologists.org/content/143/19/3532.long

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医学 ) 氏 名 髙 田 裕

論文題目

Brg1 plays an essential role in development and homeostasis of the duodenum through regulation of Notch signaling

(Brg1 は Notch シグナルの制御を介して、十二指腸の発生および恒常性維持 に必須な役割を果たす)

(論文内容の要旨)

SWI/SNF 複合体の ATPase 活性を持つコアサブユニットである Brg1 は、ATP 依存性のクロマチン構造変化を介して様々な遺伝子の発現制御に関わっており、 多くの組織や臓器の発生・恒常性維持に重要な役割を持つことが知られている。 しかしながら、腸管の発生や恒常性維持における Brg1 の役割は不明であった。 本研究では、腸管の発生と恒常性維持における Brg1 の役割を明らかにすること を目的とした。その目的のため、腸上皮特異的に Brg1 をノックアウトした Vi l l i n - C r e ; B r g 1f / f マウス(以下 VB マウス)を作成し、野生型(以下 WT)マ ウスをコントロールとして比較解析した。 VB マウスは出生直後より著明な成長障害を認め、生後早期に死亡した。生後 4 日目のマウスの腸管を解析すると、VB マウスの十二指腸において、絨毛の丈 の短縮と絨毛間隙の著明な構造異常が認められた。この形態異常は十二指腸で最 も顕著であり、遠位小腸になるにつれて減弱がみとめられた。十二指腸上皮の細 胞構成を調べた結果、VB マウスでは分泌系分化細胞(Goblet 細胞、腸管内分泌 細胞、Tuft 細胞、Paneth 細胞)の著明な増加が認められた。さらに VB マウスで はアポトーシスの著しい増加と、Ki67 陽性増殖細胞の増加が認められた。また、 着目すべきことに VB マウスの十二指腸においては Lgr5 陽性の小腸幹細胞がほ とんど認められず、小腸幹細胞の特異的なマーカー遺伝子群の発現が著明に低下 しており、小腸幹細胞が枯渇していた。 次に、腸幹細胞維持、分化などに重要な働きをする Notch シグナルについて、 VB マウスの十二指腸で解析した結果、WT マウスに比して Notch シグナルリガ ンド(Dll1、Dll4、Jag1、Jag2)、その他因子(Olfm4、Musashi1、Hes1、Hes5、 Heyl)の発現低下を認め、VB マウスの十二指腸において Notch シグナルが著明 に減弱していることが判明した。 そこで、Notch シグナルを過剰発現させることによって VB マウスの表現型 が改善されるかを検証するため、Notch1ICD 過剰発現マウスである RosaNotchIC

マウス(Cre 発現下に Notch1 細胞内ドメイン(Notch1 ICD)を恒常的に過剰発現 する)を用い、Villin-Cre; Brg1f/f; RosaNotchIC (以下 VBN)マウスを作成し、VB マ

ウスおよび WT マウスと比較解析した。VBN マウスでは VB マウスと比較して、 有意な体重増加と生存期間の改善を認めた。また VBN マウスでは絨毛・絨毛間 隙の構造異常は改善し、分泌系分化細胞への異常な分化、アポトーシスの増加は WT マウスと同程度にまで改善が認められた。しかし、VBN マウスの十二指腸 腸幹細胞の枯渇は依然改善されず、小腸幹細胞の維持には Notch シグナル以外 のメカニズムによるものが考えられた。 最後に、遠位小腸と近位小腸での比較解析を行った。VB マウス遠位小腸では ほとんど異常が認められなかったが、Notch シグナルの発現にも有意差が認めら れなかった。SWI/SNF 複合体はコアサブユニットとして Brg1 もしくは Brm の いずれかを含んでいるが、遠位小腸では WT および VB マウスのいずれも近位小 腸に比して Brm が高発現していたことから、VB マウス遠位小腸では Brm が Brg1 欠損を代償した可能性が示唆された。 以上より、本研究により、Brg1 は Notch シグナルの発現制御を介して、十二 指腸の発生および恒常性維持に必須な役割を果たしていることが明らかになっ た。 ( 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 ) S W I / S N F 複 合 体 の A T P a s e 活 性 を 持 つ コ ア サ ブ ユ ニ ッ ト B r g 1 は 、様 々 な 組 織 や 臓 器 の 発 生 、恒 常 性 維 持 に 重 要 な 役 割 を 持 つ こ と が 報 告 さ れ て い る が 、 腸 管 の 発 生 、 恒 常 性 維 持 に お け る そ の 機 能 的 役 割 は 不 明 で あ っ た 。 そ こ で 申 請 者 ら は 、 腸 管 の 発 生 、 恒 常 性 維 持 に お け る B r g 1 の 役 割 を 検 討 し た 。 申 請 者 ら は 、 腸 上 皮 特 異 的 に B r g 1 を ノ ッ ク ア ウ ト し た 遺 伝 子 改 変 マ ウ ス を 解 析 し 、B r g 1 が 十 二 指 腸 に お い て 、絨 毛 と 絨 毛 間 隙 構 造 の 構 築 、 細 胞 分 化 の 制 御 、 ア ポ ト ー シ ス お よ び 細 胞 増 殖 の 制 御 、 さ ら に 小 腸 幹 細 胞 の 発 生 お よ び 維 持 に 必 須 で あ る こ と を 示 し た 。 ま た B r g 1 欠 損 マ ウ ス の 十 二 指 腸 で は 、 N o t c h シ グ ナ ル が 著 明 に 減 弱 し て い た こ と か ら 、B r g 1 欠 損 マ ウ ス に お い て N o t c h シ グ ナ ル を 過 剰 発 現 さ せ た と こ ろ 、 B r g 1 欠 損 マ ウ ス に 比 べ て 生 存 期 間 、 十 二 指 腸 で 認 め ら れ た 絨 毛 と 絨 毛 間 隙 の 構 造 異 常 、 細 胞 分 化 異 常 、 ア ポ ト ー シ ス の 異 常 に つ い て 、 い ず れ も 改 善 が 認 め ら れ た 。 以 上 の 結 果 よ り 、 B r g 1 は N o t c h シ グ ナ ル の 制 御 を 介 し て 、 十 二 指 腸 の 発 生 お よ び 恒 常 性 維 持 に 必 須 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 以 上 の 研 究 は 、 腸 管 の 発 生 お よ び 恒 常 性 維 持 に お け る 分 子 メ カ ニ ズ ム の 解 明 に 貢 献 す る と こ ろ が 多 く 、 今 後 腸 管 の 再 生 医 療 な ど に 寄 与 す る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 し た が っ て 、 本 論 文 は 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 論 文 と し て 価 値 あ る も の と 認 め る 。 な お 、 本 学 位 授 与 申 請 者 は 、 平 成 2 9 年 1 月 1 7 日 実 施 の 論 文 内 容 と そ れ に 関 連 し た 試 問 を 受 け 、 合 格 と 認 め ら れ た も の で あ る 。

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