ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ― 保健体育科・保健分野における実践 相談とリラックスに着目して ―
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第69巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 69, No.2. 平 成 31 年 2 月 February, 2019. ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ ― 保健体育科・保健分野における実践 相談とリラックスに着目して ―. 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮* 北海道教育大学附属釧路中学校 *. 北海道教育大学釧路校. A Study of Stress Management Education ― Through Experiments in Health and Physical Education Focus on Consultation and on Relaxation ―. SHIBATA Mitsuhiro, KISU Chiaki and YASUKAWA Sadaaki* Kushiro Junior High School Attached to the Hokkaido University of Education *. Hokkaido University of Education Advanced Teacher Professional Development Program. 概 要 本稿では,文部科学省や総務省の調査結果を踏まえ,中学校1学年の夏期休業前に保健体育 科・保健分野の授業においてストレスマネジメント教育を行うことの意義について検討する。 また,ストレスマネジメント教育におけるリラクセーション技法の認知度や実施率が低いとい う先行研究から,授業の流れやリラクセーション技法の内容を詳細に記すことで,汎用性を高 めることを目的とした。実践では,生徒が援助要請行動とリラクセーション技法を身に付ける ことに重点を置き授業を構成した。1時間目は,ストレスについて正しい理解を図るために, 中学校入学を共通のテーマに入学後の心の変化について振り返り,ストレスによる心と体の関 わりについて理解を促した。2時間目は,コーピングの自己分析を行い,それぞれのコーピン グの効果や行っていない理由についてグループで交流し,「相談」と「リラックス」について は望ましいコーピングとして全体で取り上げた。3時間目は,リラクセーション技法の中から, 漸進性弛緩法や呼吸法などを実施した。これらの結果,2時間目の振り返りの記述からは,交 流を通して「相談」の点数が低い生徒の意識に変化があり,リラクセーション技法の習得に対 する意欲の高まりが見られた。実践後の調査では,99%の生徒がリラクセーション技法による リラックス効果を感じたと回答した。本実践を通して,「相談」に対する意欲の高まりを見取 ることができたが,生徒が行動に移すための手立てとしてより具体的な場面の想起や方法を扱 う必要があると考える。また,リラクセーションについても,一時的な効果を得られたとして. 329.
(3) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. も習得には至らない。そのため保健体育科・保健分野を要とし,学活や道徳などを含め系統性 のあるストレスマネジメント教育のカリキュラム開発が求められると考える。 キーワード: ストレスマネジメント コーピング 援助要請行動 相談 リラクセーション. を遂げるとしている4)。. 1.はじめに. これらのことから,中学1年生時は,環境の変. 平成26年に文部科学省から出された「不登校に. 化や,自身の心身の急激な変化など様々な要因や. 関する実態調査」において,不登校児童生徒が休. 誘因からストレスを抱え,不登校状態の生徒や,. みはじめた学年について,中学校1年生が28.6%. 自らの尊い命を絶つ生徒が増加する傾向にある。. と最も高く,次いで中学校2年生が25.3%と突出. また長期休業明け前後は,特にその傾向が強くな. している。そして,学校を休みはじめた学年と時. るといえる。. 期の相関関係については,中学校においていずれ. こういった傾向に対し,最悪の状況を回避する. の学年も7月から9月の時期に休みはじめた者が. ために,自らにあった適切なストレス対処方法や. 多く,中でも長期休業明けの9月に最も多くなる. 援助要請行動を身に付ける必要がある。. 1). のではないかと考えられるとしている 。. これまでの中学校保健体育科・保健分野の学習. また,平成30年に日本学校保健会から出された. 指導要領では,イ欲求やストレスへの対処と心の. 「保健室利用状況に関する調査報告書」によると,. 健康において,ストレスへの適切な対処について,. 義務教育期間における保健室登校の開始学年につ. 自分に合った対処法を身に付けることが大切であ. いても中学校1年生時が一番多く40%を超えてい. ることが理解できるようにするとされていた5)。. る。そして,保健室登校の開始時期についても9. しかし,新学習指導要領では,イ欲求やストレス. 月が一番多く20.8%となっている2)。. とその対処において,自分や周囲の状況に応じた. さらに, 平成27年に厚生労働省から出された「自. 対処の方法を選ぶことが大切であることを理解す. 殺対策白書」では,1972年から2013年までの18歳. ることができるようにするだけでなく,リラク. 以下の自殺者数を日別に分析し,累計自殺者は1. セーションの方法等を取り上げ,ストレスによる. 日当たり平均約50人だったのに対し,9月1日は. 心身の負担を軽くするような対処の方法ができる. 131人で年間最多であった。次いで9月2日は94. ようにするとされた6)。しかしながら,具体的な. 人,8月31日は92人で,長期休業明け前後に増え. 対処方法や内容の実施時期については明示されて. る傾向がみられた。なお,その理由としては「い. いない。また,ストレスマネジメントの授業の実. じめ」 「進路に関する悩み」など学校生活が原因. 施時期に着目した先行研究は見られない。そして,. のケースも少なくないと分析している。また,休. 「リラクセーション技法」の実施率は低く,その. み明けは生活環境が大きく変わり,大きなプレッ. 要因としては教師の認知度の低率と,講習会及び. シャーや精神的動揺が生じやすいと指摘してい. セミナーへの参加率が低いことが挙げられてい. る3)。. る。さらに,教師のストレス対処に関する情報源. 富家らは,実際小学校を卒業して中学校に入学. は「文献等で調べた」が最も多いため,必要な指. する環境移行事態において,子どもたちは,物理. 導技術の習得は困難であると考えられている7)。. 的にも精神的にも大きな変化を経験するとしてい. 前述を踏まえると,それらの習得は実際に講習会. る。また小学校から,中学校への移行期は思春期. 等に参加し行うことが望ましいが,情報源が主に. への移行期でもあり,心身共に急激な発達的変化. 文献であることから,本稿において授業の流れや. 330.
(4) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. 各リラクセーション技法の内容をより詳細に記す. グである相談とリラックスについて取り上げ,そ. ことで, 汎用性を高めることにつながると考えた。. の効果や良さについて共有し,リラクセーション. これらを踏まえ,本稿では中学校3年間でも,. への意欲を喚起した上で実践を行うこととした。. 特にストレスが高いと考えられる中学校1学年の 夏期休業を迎える前に,保健体育科・保健分野に. ⑷ 題材計画 . おいてストレスマネジメントの授業を通して援助. 表1.題材計画 学習目標. 要請行動とリラクセーションを身に付けることに 着目し実践することとした。. 2.実 践 1 学習活動. ⑴ 対象 中学校1年生3クラス(各35名) ⑵ 時期 平成30年6月〜7月 ⑶ 題材について 本題材のねらいは,生徒が自らのストレスに適. 学習目標. 切に対処することができるようになることであ る。そのためには,ストレスによる負担を軽減す る対処方法を実践しようとする意欲や態度を生む 必要がある。そこで,ストレスについて生徒がい. 2 学習活動. かに自分事として捉えるかに焦点を置き授業を構 成した。 今回は1年生の入学後3か月という時期を考慮. 学習目標. し,中学校への進学という全員が少なからず体験 したストレッサー(ストレスの原因)によるストレ ス反応(ストレスによる心身の反応)を交流する ことで,ストレスという個人差の大きい概念につ なストレスは自己を成長させるために必要なもの であることや,過度なストレスは心身に深刻な影 響を与える場合があることなど,ストレスと上手. 3. 学習活動. いて共通理解させる。また,生徒の経験から適度. ・自 己を見つめることで自己理解を深め,交 流を通して他者理解を深めることができる。 ・ス トレスによる心と体の関わりを理解し, 自分と他者のストレス反応の相違点や類似 点があることを知ることができる。 ○入学した時と最近の心身の状態を振り返る。 ○自分の取扱説明書を作成する。 ○取 扱説明書を用いて自己の心身の状態を他 者に説明する。 ○ストレスとは何か考える。 ○ス トレッサーがいくつも重なるとストレス と感じる場合や人によってストレスと感じ る程度や感じ方,ストレス反応が異なるこ とを理解する。 ・適 度なストレスは自己を成長させるために は必要なものだが過度なストレスは心身に 深刻な影響を与える場合があることやスト レスと上手く付き合っていくことの必要性 について理解できる。 ・自 分のストレス対処の特徴を分析し,スト レスへの適切な対処方法を知る。 ○ストレスの必要性について考える。 ○ス トレス対処を身につけてストレスと上手 く付き合っていくことの必要性を理解する。 ○自分のコーピングについて交流する。 ○自分に合ったコーピングを見つける。 ・リ ラクセーションの体験により,自分自身 の心身の状態の変化を体感し,自分で自分 のストレスに対処することの重要性を理解 できる。 ○リラクセーション技法の実施。 ・セルフリラクセーション ・ペアでのリラクセーション ・漸進性弛緩法 ・呼吸法. く付き合っていくことの必要性について共有する。 そして,ストレスに対処することについて自分. ⑸ 授業の流れ. 事として捉えさせるために,ストレス対処尺度の. 汎用性を考慮し,授業案という形ではなく,実. アンケート調査をもとに自己分析を行うことを手. 際の授業の様子の写真を挿入し,教師の働きかけ. 立てとした。また,実際に行っているコーピング. を詳細に明記して授業の流れを示すこととする。. (ストレス対処法)の効果や行っていない理由を 記述させ,その内容を交流した。そして全体交流 の場では,生徒に必ず身に着けて欲しいコーピン. 331.
(5) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. 表2.1時間目の授業の流れ 主な 学習活動. 教師の働きかけ. 備考. 1 入学し てから今ま での心と身 体の状態を 振り返る。. ・入 学したときと今の心と身体の 黒板 掲示 状態はどうでしたか。 ・他にもこんな状態があります。 発表 心: いらいら・不安・緊張・無. 2 自分自 身を見つ め,トリセ ツを記入す る。. ・ト リセツは自分自身のことを見 WS つめるためのものです。トリセ ツを記入しましょう。. 3 グルー プ内で発表 する。. ・1番のみグループ内で発表しま 観察 しょう。. 4 全体で 発表する。. ・1番にどんなことがでてきたか 発表 発表してください。 ・い ま発表してくれたことは何に 関わることだろうか。. 教師の働きかけ. 備考. ・ス トレスはないほうが良いだろ 発表 うか。 ・ス トレスがありすぎるとどうな るのだろう。 ・適 度なストレスは心身を成長さ せるが,過度なストレスは心身 に悪影響を及ぼすことがあるた め,ストレスに適切に対処する ことが必要です。 ・ス トレスに対処したり,自分を 楽にすることをコーピングと言 います。. 2 自分の ・あ なたのコーピングはなんです 発表 コーピング か。 を発表する。 ・音 楽を聴く・ペット・走る・ 寝 る・ ゲ ー ム・ ユ ー チ ュ ー ブ・歌う. 332. 4 グルー プ内で発表 する。. ・グ ループ内でそれぞれのコーピ 観察 ングの特徴や効果について,交 流しよう。. 5 全体で 発表する。. ・グ ループで出てきたことを発表 発表 してください。(相談・問題に対 処・リラックス). 6 相談相 手や相談で きそうな相 手を思い浮 かべる。. ・心 の中で相談する相手を思い浮 WS かべてみましょう。今相談して いなくても,あなたを助けてく れそうな人,この人なら話を聞 いてくれるかもしれないという 人を思い浮かべてみてください。 その人は,あなたが苦しい時に 必ず助けてくれる人であること を忘れないで下さい。. 7 振り返 りを記入す る。. ・こ の時間を通して,コーピング に対する思いや感じたことを振 り返りに記入してください。. ・相談すると気持ちが楽になる。 ・相談する相手がいない。 ・問 題解決したらストレスが無 くなるから良い ・解決できない問題もある ・リ ラックスすると心が落ち着 く ・リラックス方法が解らない. 表4.3時間目の授業の流れ. 表3.2時間目の授業の流れ. 1 ストレ スの必要性 について理 解する。. ・自 分のストレス対処チェックに WS はどんな特徴がありますか。 ・自 分の数値の理由やそのコーピ ングの良さや自分がしていない 理由を記入しよう。. 気力 身体:頭痛・腹痛・吐き気・ふ るえ・疲れ・食欲ない・眠れ ない. 5 ストレ ・ストレスとはなんだろう。 スとは何か ・ス トレスは,ストレッサーとス 自分の考え トレス反応に分けることができ を発表する。 ます。ストレスは荷物を持った 状態に例えることができる。 ・1つのストレッサーではストレ スと感じないが,いくつも重な るとストレスになる。. 主な 学習活動. 3 ストレ ス 対 処 チェックの 結果から, 自分のコー ピングの特 徴について 分析する。. 主な 学習活動 1 リラッ クスについ て知る。. 教師の働きかけ ・リ ラックスってどういう状態だ ろう。 ・くつろいでいる感じ ・体の力が抜けている ・気持ちが落ち着いている (緊張の反対語) ・ど んな時にリラックスが必要だ ろう。 ・緊張している時 ・ストレスがたまっている時 ・試合の前 ・テストの前 ・眠れない時. 2 セルフ リラクセー ション(肩 の動作法) を行う。. ・今 日は,どこでも何も使わなく てもできるリラックス方法を行 います。 ・ま ずは1人どこでもできるリラ クセーションです。. 備考.
(6) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. ・セ ルフリラクセーションを体験 してみよう。. 手 が手の重みを心地よく感じ るくらいの重さでおいてあげ てください。 ④少 しそのまま手を当てていて ください。じんわりあったか いのを感じてください。 ⑤後 ろの人は心のなかで「よく 頑張っているね」などとプラ スのメッセージを送ってあげ てください。 ⑥次 は首から肩にかけてさすっ てあげてください。 ⑦最 後にもう1度肩に手を当て て,またじんわりとした温か さや心地の良い重みを感じて ください。 ⑧終了です。交代してください。. ①両 肩を耳につけるように,も う上げられないところまで ぐーっとゆっくり上げましょう。 ②で は,肩の力を抜きます。ス トーン。 ③※3回程度繰り返す. 3 椅子に ・次 に呼吸法を行います。呼吸法 座って呼吸 は教室でもできるので,今日一 法を行う。 番覚えて欲しい方法です。 ・腹 式呼吸で行います。吸った ときにお腹が膨らんで吐いた ときにお腹がへこみます。吸 うときは鼻から,吐くときは 口を少しすぼめて,遠くへ, 細く長く,吐く感じです。で はやってみましょう。 ①姿 勢を整えます。イスの背も たれに軽くもたれ,足は鈍角 にし,両手は脚の上にのせ, 首は軽くうなだれる感じです。 ②静かに眼を閉じます。 ③口から全部息を吐きます ④1・2・3と鼻から息を吸っ て ⑤4で止めて ⑥5・ 6・ 7・ 8・ 9・10で 口 から吐き出します ・息 を吐くときにイライラやモ ヤモヤが身体から外に出て行 くのをイメージします。. 4 ペ ア ・次 はペアでのリラクセーション ワーク(肩 を体験してみよう。 に手を当て ①後 ろの人は自分の手をこすり る)を行う。 あわせて温めます。 ②座 っている人は目を閉じてう つむくようにしてください。 ③前 の人の肩に手をおきます。 軽すぎず,力入れすぎず,相. 5 漸進性 弛緩法を行 う。. ・い すを片付けて,好きな場所に バスタオルを敷いて,仰向けに 横になってください。 ・漸進性弛緩法を体験しよう。 ・こ のあと,動きを指示するので それに従って力を入れたり抜い たりします。 ・で は好きな場所にバスタオルを 敷いて,仰向けに横になってく ださい。隣の人とあまり近すぎ ないように間隔を空けてください。 ①腕の緊張 ・両 手首を曲げ,腕全体に力が 入っているのを感じます。 ・両手首の力を抜きます。 ②腕,足の緊張 ・両手首を曲げます。 ・両足首を曲げます。 他はリラッ クスです。 ・全部の力を抜きます。 ストーン。 ③腕,足,肩・背中の緊張 ・両 手首を曲げます,両足首も 曲げます。次に肩を開いて背 中に力を入れます。 ・全部の力を抜きます。 ストーン。 ④腕,足,肩・背中,お尻の緊張 ・両手首を曲げます,両足首を曲 げます。肩・背中に力を入れま す。腰・お尻に力を入れます。 ・全部の力を抜きます。 ストーン。 ⑤腕,足,肩・背中,お尻,顔 の緊張. 333.
(7) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. ・両 手首を曲げます,両足首も 曲げます。肩・背中に力を入 れます。腰・お尻に力を入れ ます。最後に顔に力を入れま す。 奥 歯 を 噛 み し め て 目 を ギューッとつぶります。これ で身体全部に力が入っている 状態です。 ・全部の力を抜きます。 ストーン。 ※⑤を3回繰り返す。. 6 マイン ・横 になったまま,ボディスキャ ドフルネス ンという全身へ意識を向けるこ ボディス とを行います。指示に従って, キャン瞑想 身体へ意識を向けてください。 を行う。 ①鼻 から吸って,口からゆーっ くり吐いてゆっくり呼吸を繰 り返します。 ②呼 吸を繰り返しながら,身体 のすみずみに意識を集中させ ていきます。 ③ま ず,床と身体が触れている 感覚に意識を集中させます。 息を吐くたびに,横たわって いる全身の感覚を感じ取りま す。 ④息 を吸ったときにお腹がふく らんで,吐いた時にお腹がへっ こむのを感じ取ります。 ⑤意 識を足に集中させます。両 足のつま先にどのような感覚 があるでしょうか。なにも感 じない場合は,感じないとい うことだけで大丈夫です。わ ずかに感じる場合は,そのわ ずかな感覚に意識を集中させ てください。. ⑥息 を吸ったときに,新鮮な 空気が体中に入り込み,足 のつま先まで到達するのを イメージしてください。息 を吐いたときには,逆に足 先から吹き抜けて口から外 へ出て行くのをイメージし てください。 ⑦次 に,意識をつま先から解 放し, 足の裏へとうつします。 ⑧つ ぎは,足の甲,かかとへと 移動させていきます。床とか. 334. か とが触れている部分に圧が かかっていることを感じるか もしれません。 ⑨次 に,足首,すね,ひざ,太 もも,おしり,腰,背中,お腹, 胸。 ⑩次 に両手の指先,手のひら, 手の甲,手首,肘,腕全体,肩, 首,顔。 ⑪最 後に全身の感覚を感じ取っ てください。 7 呼吸法 を行う。. ・このまま呼吸法に入ります。. 8 覚醒動 作を行う。. ・覚醒動作をします。. ①鼻 か ら 息 を 吸 っ て, 口 か ら ゆーっくりながーく吐き出し ます。 ②吐 くときイライラ,不安,緊 張が全て身体から出て行くの をイメージしましょう。. 目を開けて手をグーパーします。 次に腕を曲げたり伸ばしたりし ます。 最後に上に伸びてください。 ・体 の力を抜くことで,心が楽に なることを知って欲しいと思い ます。そうすることで,また次 頑張れる力が湧いてきます。 ・教 室に戻って,振り返りを記入 してください。. 3.結果と考察 ⑴ コーピングの自己分析について 本実践において生徒が行っているコーピングの 自己分析(別資料表1参照)について班内や全体 での交流を通し,他者の経験や見方について触れ ることで,多面的・多角的にコーピングを捉える ことができた。さらに自己分析による自分のコー ピングの方法や意識と比較することで自己理解を さらに深めることにつながったと考える。 自己分析の資料とするため,授業前に富永典子 (2000)子どものストレス対処チェックリスト8).
(8) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. を行い,相談,問題に対処,リラックス,気持ち. の良さや効果について感じられるよう他のコーピ. 押し込め,傷つけ発散の5項目を点数化した。そ. ングとの比較用いて授業を構成した。. れぞれ20点満点であり,点数が高いほどコーピン. 自分の点数を元に自己分析をしたワークシート. グを行っていることを表している。全生徒の5つ. からは,「相談」の数値が低い生徒は「気持ち押. のコーピングを点数別に4つのカテゴリーに分類. し込め」が高い傾向が見られた。「相談」の点数. したのが図1である。. が低く,「気持ち押し込め」の点数が高い生徒の 記述は表5の通りである。 このように,「相談」の点数が低い生徒と,「気 持ち押し込め」の点数が高い生徒の記述内容には 類似した傾向が見られた。どちらの記述も共通し て,自分よりも相手のことを尊重しようとする心 情を持っている生徒であることが表れていた。こ れらの生徒が,自己分析内容の交流において, 「相 談」を行っている生徒がどんな効果や気持ちに なっているのかに触れた後の授業の振り返りに. 図1.コーピング得点の分布. は,表6のような記述が見られた。今後自分で実 践しようとする意欲・態度が培われているのが読. 5つのコーピングのうち,「相談」,「問題に対. み取ることができ,自己分析をした上で他者と交. 処」 , 「リラックス」は望ましいコーピング,「気. 流したことにより,意識が変化していることがわ. 持ち押し込め」と「傷つけ発散」は望ましくない. かる。. コーピングである。望ましいコーピングとして挙 げている3つのうち, 「相談」は点数の偏りは見 している。 「問題に対処」は,点数が半分以上の. 項目. られず,どのカテゴリーにも一定数の生徒が存在. 表5. 「相談」の点数が低い生徒の記述と「気持ち 押し込め」の点数が高い生徒の自己分析の記述. 割合が高い。 「リラックス」は,点数が半分以下 の割合が高く,望ましいコーピングの3種の中で た。望ましくないコーピングについては,「傷つ. 相談. 一番生徒が実践している割合が低いことがわかっ け発散」はほとんど行っていないが, 「気持ち押 し込め」については半分より高い点数の生徒が4 割という結果となった。 ⑵ 援助要請行動について 前後に増加していることから,SOSを出すことの 必要性を中学1年生の夏休み前の段階で理解させ る必要があると考え,本題材において相談を特に 重点的に扱うこととした。「相談」については, 援助要請の意欲や態度を養うことが今後の生徒の. 気持ち押し込め. 先述したように,不登校や自殺は夏季休業明け. 生徒記述(WSより原文まま) ・自 分の苦しいこと,辛いことを相手にも感じさ せたくない。 ・周りに迷惑をかけると思ったから。 ・話をする相手がいない。 ・長い話をする時間がない。 ・あまり人に話したくない。 ・相 手が自分のために時間を使って欲しくないか ら。 ・ス トレスがあるときはあまり何もしたくないか ら。 ・人に迷惑をかけられないから。 ・相手を心配させないため。 ・自分の弱いところを見せたくない。 ・相 手にも自分の辛さを感じさせたくないから, 辛いことを押し込んで忘れる。 ・心配されたくないから。 ・気持ちを押し込める以外無いから。 ・気 持ちを押し込めないと人に当たるかもしれな いから。 ・時 には自分の気持ちを押し込めないといけない こともある。. 援助要請行動につながる基盤だと考え, 「相談」. 335.
(9) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. 表6.相談の点数が低く,気持ち押し込めの点数が 高かった生徒の振り返りの記述. 表7.相談を受ける側についての記述. 生徒記述(WSより原文まま). ・相 談したい人がいたら自ら相談する。相談を聞くと きも,自分のことのようにしっかり聞いてあげたい。 ・み んなそれぞれ発散の仕方も違うし,相談できる人 が居ない人がいるかもしれないので,そんな時気軽 に相談できる人になりたいと思う。 ・困っている人たちへの気配りに生かして互いにスト レスを少なくすることが良いことを考えることがで きた。 ・色 々な人に相談したり,もしされても,その人のた めに相談をたくさん聞いたりしていきたいです。 ・相 談は,することも大事だけれど,乗ってあげるこ とも大事だと思うから,大切にしていきたい。 ・自分のコーピング方法であまりやってはいけない方 法をしていたので,何かつらいことがあった時,友 達でも親でも誰でもいいので,相談したりリラック スをしたりしてストレスを軽くしていきたいです。 他人を心配することも大事だと思いました。. ・少 し自分でためこみすぎだと感じました。相談した り,リラックスすることで,整理できたり,頑張る ことができるという意見を聞いて,これからの自分 のために意識していきたいと思いました。 ・自分は今まで気持ちを押し込んでいることが多かっ たけど,相談やリラックスが大事だと思った。これ からは,良いコーピングをして,自分を少し楽にし て生活したい。 ・こ の授業を通して誰かに相談することや,リラック スすることは,コーピングの中でとても良い方法だ と思いました。これらをすることで心も体も落ち着 かせることができるのかもしれないので,ストレス を感じた時はぜひやってみようと思いました。 ・私は気持ちを押し込めていたからもっと周りの人に 相談したりリラックスしたいと思った。これからも 前向きに問題を解決したいし,ものには当たらない ようにしたい。. 生徒記述(WSより原文まま). かったことが記述からわかった。自殺予防の観点 また,授業において「相談」を取り扱う際には. からも,SOSの出し方を知るということは,生徒. 自らSOSを出すことのみに着目しており, 「相談. 1人1人の人生において非常に重要な意味を持つ. を受ける側」の立場には触れていなかったが,生. ため,義務教育段階において習得すべき資質能力. 徒の振り返りには複数,表7のような記述が見ら. であると考えられる。今回のように「相談」の重. れた。自ら相談することができる生徒が,相談す. 要性や良さは伝わっても,それを実行しようとす. ることができない生徒の意見を聞き, 「相談を受. るのにハードルがある生徒が少なからず存在する. ける側」の立場についても考えを巡らせていたこ. が,たとえ少数であってもこのような生徒こそ支. とが散見された。点数が高い生徒は交流により相. 援が必要であり,援助要請行動が実行できるよう. 談できない人の抱える気持ちを汲み取り,相談を. になるための対策を講じる必要があると考える。. 受けてあげたいとの思いを強めたことが伺える。 また,点数が低い生徒の一部にも同様の記述をし. 表8.相談の点数が低い生徒の一部の記述. ている生徒が居た。このような生徒は自分が相談. 生徒記述(WSより原文まま). できなくて苦しいから自分と同じような気持ちに. ・自 分にはあまり相談は向いていないので,定期的に リラックスをしたりするのが良いと思った。でも, 相手に相談できるようにしたい。 ・気持ち押し込めはダメなことはわかっているんだけ ど,クセがついて,やってしまう。でも,やっぱり 相談は少しためらってしまうから,心を落ち着かせ るリラックスをこれから実践していきたいと思った。. なる人を救いたいという気持ちがあるのではない だろうか。交流により「相談を受ける側」につい ても思考を巡らせた生徒が複数いることから, コーピングで「相談」を取り上げる際には相談す る側だけでなく受ける側の両面について扱うこと で,より相談の効果や重要性,相談相手について. 厚生労働省の自殺総合対策大綱では,地域の相. 等,多面的多角的に深めることができるのではな. 談機関や抱えた問題の解決策を知らないがゆえに. いかと考えられる。. 支援を得ることができず自殺に追い込まれる人が. 良い効果が得られた一方で, 「相談」の点数が. 少なくないことから,学校において,命や暮らし. 低い生徒のうち少数は,表8のように交流後も相. の危機に直面したとき,誰にどうやって助けを求. 談行動の実践に向かう態度の醸成まで到達できな. めればよいかの具体的かつ実践的な方法を学ぶと. 336.
(10) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. 同時に,つらいときや苦しいときには助けを求め. に,リラックス方法がわからない生徒や上手くで. てもよいということを学ぶ教育(SOSの出し方に. きない生徒が多数いることがわかった。. 9). 関する教育)を推進するとしている 。本実践で. このことから,「リラックス」については具体. はコーピングの分析から相談のよさや効果につい. 的なリラクセーション技法の実践から心身が楽に. て扱い実践意欲を高めることに焦点を置いたが,. なる状態を体感することが今後の生徒のコーピン. さらに援助要請行動に結びつくようなより具体的. グの実践につながると考えた。前時の振り返りか. なSOSの出し方も今後扱っていく必要がある。. らは,表10のような記述が見られ, 「リラックス」. また,東京都教育委員会のSOSの出し方に関す. の点数が低い生徒の実践意欲の高まりが伺えた。. る教育を推進するための指導資料では,保健体育 科以外の道徳等の学習指導要領との関連について 10). も例示されている. 。いざという時に援助要請. 行動ができるようになるためには,保健体育科以 外の学級活動や道徳等の場でも援助要請行動が育 まれるようにするための時間を設けることが必要 であると言える。また,相談行動を抑制する要因 として社会的コンピテンスの不足があるとの指摘 もある11)。生徒が主体的に相談行動を行えるよ. 表10.リラックスの意欲が見られる記述 生徒記述(WSより原文まま) ・リラックス方法がわからないから,次回の授業で知っ てみたいし学びたいと思いました。 ・友達からの意見で,リラックスの仕方がわからない, という意見に共感できました。 ・リ ラックスは大体が家でのことなので,その他でも やれることは何かないかと思った。 ・リラックスするという事だけでも自分の気持ちとい うのはとても落ち着くんじゃないのかなと思った。. うになるためには,本研究のように相談の良さに ついて理解するだけでなく,ソーシャルサポート. さらに,表8のように「相談」が苦手で,実践. の向上についても併せて実践していく必要がある. に踏みとどまってしまう生徒についても,「リ. と考える。. ラックス」に対しては意欲的であることがわかっ た。このように,「リラックス」は援助要請に課. ⑶ リラクセーションについて. 題を抱えている生徒にも取り組みやすいコーピン. ⑶-1 リラクセーションの子どもへの有効性. グであることがわかる。このことから,本実践で. 「リラックス」においては,自己分析の点数が. は様々あるリラクセーション技法の中でも,「い. 半分より低い点数の生徒が6割と,望ましいコー. つでもどこでも誰にでも実践可能なリラクセー. ピングの中で一番低い実施率となっていた。さら. ション」に焦点を当て実践した。実践後には,そ. に詳しい自己分析の内容からは,表9にあるよう. れぞれのリラクセーション技法について「リラッ クス効果を感じたか」について3段階の自己評価. 表9.リラックスの数値が低い生徒の自己分析の記述 生徒記述(WSより原文まま) ・リラックスをする時間がない。 ・常に力を入れてしまう。 ・本当に気を抜いていいのか不安。 ・怒っているとしようとしてもできない。 ・深く考えてしまいリラックスできない。 ・リラックス方法がわからない。 ・体は落ち着くけど心まで落ち着かせることができな い。 ・リラックスするよりストレスと向き合った方が良い と思う。 ・プラスに考えすぎて反省しなくなってしまうのはだ めだと思う。. アンケートを実施した。アンケート結果は表11の 通りである。すべてのリラクセーション技法にお いてリラックス効果をすごく感じた生徒が7割以 上,少し感じた生徒も合わせると9割以上の生徒 がリラックス効果を感じていることがわかる。 「1時間を通してリラックスできたか」の問いに 関しては,99%の生徒がリラックス効果を感じて いることがわかり,目的としていたリラックスの 体感が達成された。 ストレスの軽減には心に働きかける方法や身体 に働きかける方法等様々な方法が存在する。その. 337.
(11) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. 律神経症状が出やすいとされている15)。坂入の. 表11.リラクセーションの自己評価 項目. 1. 2. 3. 過緊張の自己調整の心理生理的モデル(図2)に. セルフ肩上げ. 3%. 26%. 71%. あるようにリラクセーションにより体を緩めると. 座位呼吸法. 5%. 19%. 76%. 副交感神経が優位になり,心へ影響を与えるとさ. ペアワーク. 2%. 23%. 75%. 漸進性弛緩法. 1%. 23%. 76%. れている14)。これらのことから,身体に働きか. ボディスキャン. 8%. 21%. 71%. 臥位呼吸法. 3%. 10%. 87%. 1時間を通してリラックスできた. 1%. 7%. 92%. ※1(リラックス効果を感じなかった)2(少し感じた) 3(すごく感じた) ※参加人数が100名のため,割合と人数は同値である。. 中で,認知に介入する方法が有効であるとされて. けることにより心へ影響を与えてストレス軽減を 図ることは,中学生の時期により適合していると 考えられる。ただし,一時的なリラックス効果を 得られたとしても,1時間の授業では習得にまで は至らないため,継続した実践の機会を設ける必 要があるのではないか。 ⑶-2 リラクセーション技法の発達段階に応じた. いる12)。様々ある心理療法の中でも認知行動療. 配慮について. 法は学校現場での応用をして教育活動を行ってい. 今回行ったリラクセーション技法のうち,ペア. る実践もある13)。しかし,認知というのは長い. でのワークと漸進性弛緩法については,1年生と. 年月をかけて性格や思考のくせが作られているた. いう発達段階を考慮し,より簡便な方法を選択し. め,その改善には即効性に欠けることや介入が必. た。ペアで行うリラクセーション技法には,ペア. 要であるという課題がある。中学生を対象として. リラクセーションや絆のワーク,肩の動作法等が. いることや自分自身で実践可能な方法であること. あるが,今回は肩に手を乗せるだけというワーク. を重視した時には,身体に働きかける方法である. を行った。以前3年生で実践した際に,肩を持ち. リラクセーションの実施が,効果的なのではない. 上げたり開いたりなどの動作を伴うリラクセー. だろうか。. ション技法では上手くできない生徒がいたことか. 坂入は,心身の過緊張状態をコントロールする. らの配慮である。ただし,中学生は思春期である. ためには,交感神経系の過剰興奮を抑制して副交. ため恥ずかしさから笑い声が漏れることがあっ. 感神経優位な状態に切り換えるスキルを身に付け. た。動作を入れたほうが集中して取り組むことが. 14). ることが必要と述べている. 。. できるかどうかについては今後検討が必要であ. 特に思春期である中学生の時期は心身が著しく. る。ペアでの実施の方法については,複数の手法. 発達する時期であり,起立性調節障害の増加等自. から今後選択できるよう研究の余地があると考え る。 漸進性弛緩法は力を入れて順番に抜いていく方 法と,一気に力を抜く方法がある。今回1年生と いう発達段階を考慮し,一気に力を抜く方法を選 択した。実際に実践してみて,全身に力を入れる 場面でさえ一部の生徒は上手く順番に力を入れら れない生徒も見受けられたので,順番に抜いてい くのは困難であるということが予想できたためで ある。一気に力を抜く場面では,多くの生徒が吐. 図2.過緊張の自己調整の心理生理的モデル (坂入, 2011). 338. 息をもらしており,全身の力が抜けている様子が 見て取れた。また,呼吸法については実践本時の.
(12) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. 中で2回行った。前半で座位での呼吸法を行い,. けたストレスマネジメントの授業実践を行い,そ. 最後に臥位での呼吸法を行った。座位での呼吸法. の意義について検討した。3時間の授業を通し,. では呼吸法の方法を知ることと,いつでもどこで. ストレス対処能力の低い生徒が,望ましい方法で. もできるリラクセーション技法であることを理解. ストレスに対処しようという意欲が掻き立てら. することをねらいとして行った。また,臥位での. れ,さらに99%の生徒がリラクセーション技法に. 呼吸法は,1時間のリラクセーション技法の実施. よるリラックス効果を感じることができ,本題材. を通して,より高いリラックス効果を感じること. のねらいに近接する生徒の変容が見られた。しか. をねらいとした。リラックス効果を感じたことな. し,相談については,良さは伝わっていても必要. い生徒が,リラックス効果を感じることで,今後. な時に行動へ移すことができないかもしれないと. の個人での実践に結び付くと考えたからである。. いう課題が残る。そのため,繰り返しSOSを出す ことの重要性を理解させる機会や,ソーシャルサ. ⑷ 授業実践後の生徒の変化について. ポートの充実,援助要請ができない生徒を支える. 本実践は養護教諭が行ったため,実践後,複数. 環境づくりとして相談環境の整備,誰にどのよう. の1学年の生徒が保健室へ相談に来た。援助を自. に相談すればよいのかという相談スキルについて. ら求められる生徒がいる一方で,人に助けを求め. も扱う必要があると考えられる。今後は,今回1. られないために苦しさを抱えている生徒が少なか. 学年で行ったストレスマネジメント教育を基盤と. らず存在することを常に忘れてはいけない。1人. し,3年間を見通した系統性のあるストレスマネ. でも多く,自分では乗り越えられない程苦しい時. ジメント教育のカリキュラム開発を検討していき. にSOSが出せる生徒を育てていく必要がある。そ. たい。. の点からも,相談の重要性を理解することや,保 健室や養護教諭が相談しても良い場や人であると. 【参考・引用文献】. 思ってもらうためにもストレスマネジメントの授 業を養護教諭が行うことの効果が感じられるもの となった。 また,学級担任との連携も実践している。授業 後に,1学年の学級担任が,普段は教室に置いて. 1)文部科学省(2014) .不登校に関する実態調査―平成 18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書―(概要版) 文部科学省 2)日本学校保健会(2018) .保健室利用状況に関する調 査報告書. あり必要時に自分で用紙に記入し相談したい教師. 3)厚生労働省(2015) .自殺対策白書. に渡す教育相談カードを,気軽に教育相談や教科. 4)富家 美那子・宮前 淳子(2009).教師の視点からみ. 相談に行けるようにと全員に配布した。このよう に,援助要請に関する資質能力を向上させるため の教師の働きかけには,援助要請行動を促進する ための環境づくりという点も重要となる。このよ うに,保健体育科・保健分野での養護教諭の実践 を踏まえ,学級担任と連携し,生徒支援に当たっ ている。. た中1ギャップに関する研究 香川大学教育実践総合 研究,18,89-101. 5)文部科学省(2008) .中学校学習指導要領解説保健体 育編 日本文教出版 6)文部科学省(2017) .中学校学習指導要領解説保健体 育編 日本文教出版 7)梶原 綾・藤原 有子・藤塚 千秋・小梅 節美・米谷 正 造・木村 一彦(2009) .平成10年度改訂学習指導要領 下の「保健」授業におけるストレスマネジメント教育 に関する研究 川崎医療福祉学会,18-2,415-423.. ⑸ おわりに. 8)富永典子(2000) .子どものストレス対処チェックリ スト. 本稿では,保健体育科・保健分野のストレスの. 9)厚生労働省(2017) .自殺総合対策大綱―誰も自殺に. 対処において,夏休み明けに不登校や自殺が増加. 追い込まれることのない社会の実現を目指して― 厚. するという調査結果を踏まえ,夏休み前に位置付. 生労働省. 339.
(13) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. 10)東京都教育委員会(2018) .SOSの出し方に関する教 育を推進するための指導資料 11)増田 成美(2016).中学生の援助要請行動と相談抑 制に関する研究―文献レヴューを通して― 広島大学 大学院心理臨床教育研究センター紀要,15,87-102. 12)小関 俊祐(2015).児童における認知的評価と対処 方略の関連 ストレス科学究,30,52-60. 13)髙橋 良斉・辰巳 朋子・八木 利律子(2016).学校現 場での認知行動療法 最新精神医学,21⑹,413-422. 14)坂入 洋右(2011).心身の過緊張の調整に有効なカ ウンセリング技法 バイオメカニズム学会,35,181185. 15)日本小児心身医学会.小児の心身症. . Retrieved from http://www.jisinsin.jp/outline.htm (取得日2018年8月30日). (柴田 題寛 附属釧路中学校教諭) (木須 千明 附属釧路中学校養護教諭) (安川 禎亮 釧路校教授) . 340.
(14) ストレスマネジメント教育の一考察Ⅱ. 別資料表1.コーピング自己分析内容 コーピング. 相談 問題に対処 リラックス 気持ち 押し込め 傷つけ発散. 点数 平均. このコーピングをしている理由・感想や効果. このコーピングをしていない理由. 10.25. ・共感を得られる。 ・人に話をすると落ち着く。 ・思っていることを吐き出すとスッキリする。 ・いいヒントが出てくるかもしれない。 ・人に相談することで,自分の中で整理できる。 ・誰かに話すと少し気が楽になる。 ・仲間がいることで頑張れるから。 ・気持ちが楽になるから話したくなる。. ・自分の苦しいこと,辛いことを相手にも感じさせ たくない。 ・周りに迷惑をかけると思ったから。 ・話をする相手がいない。 ・長い話をする時間がない。 ・あまり人に話したくない。 ・相手が自分のために時間を使って欲しくないから。 ・ストレスがあるときはあまり何もしたくないから。. 11.82. ・原因を無くすとストレスも無くなるから。 ・対処しないと気持ちが落ち着かない。 ・問 題が何なのか考え,これからどうすれば良 いのか考えられるから。 ・問 題と正面から向き合うことで乗り越えた後 喜びが生まれるから。 ・学 べることもあるし,解決策が増える。改善 したり反省したりできる。 ・一人でも解決しないといけない。 ・自分にも原因があるかもしれないから。 ・どうしても嫌なことを考え続けてしまう。 ・考えて納得することもある。. ・解決できないこともあるから。 ・自分で考えるのがめんどくさい。 ・考えても, ストレスがあるからよく考えられない。 ・相談するほど仲の良い友達はいないからできない。 ・考えていると嫌なことばかり出てくる。悪いこと も考えてしまう。 ・対処法が思いつかないから。 ・解決できないことがあると自分が折れるから。. 9.6. ・リ ラックスしないとずっと心がかたい状態に なってしまう。 ・気持ちがリセットされる。 ・心を整えて,新たな気持ちに切り替える。 ・リ ラックスをすることでまた次の日から頑張 ることができる。 ・気持ちが楽になりプラスのことを考えられる。 ・自 分を落ち着かせることで自分をコントロー ルできる。 ・安心して前向きになれる。 ・豊 かな曲(クラシックなど)を聴くと心が落 ち着けられる。 ・ず っとカチコチだと身体がだるくなり,具合 が悪くなるから。. ・リラックスをする時間がない。 ・常に力を入れてしまう。 ・本当に気を抜いていいのか不安。 ・怒っているとしようとしてもできない。 ・深く考えてしまいリラックスできない。 ・リラックス方法がわからない。 ・体は落ち着くけど心まで落ち着かせることができ ない。 ・リラックスするよりストレスと向き合った方が良 いと思う。 ・プラスに考えすぎて反省しなくなってしまうのは だめだと思う。. 9.19. ・人に迷惑をかけられないから。 ・相手を心配させないため。 ・自分の弱いところを見せたくない。 ・相手にも自分の辛さを感じさせたくないから, 辛いことを押し込んで忘れる。 ・心配されたくないから。 ・気持ちを押し込める以外無いから。 ・気 持ちを押し込めないと人に当たるかもしれ ないから。 ・時 には自分の気持ちを押し込めないといけな いこともある。. ・自分の思っていることを言わないと心配させて逆 に迷惑をかけてしまうから。 ・自分だけで解決できないこともあるから。 ・気持ちが押し込めないくらいストレスがたまって いるから。 ・自分がどんどん追い込まれてしまうと思う。 ・もっとストレスがたまるから。 ・押し込めるともっと辛くなるから。. ・物に当たるとスッキリする。 ・おもいっきりなことをしたくなる。 ・何 か壊したりしないと気がすまなくなってし まっているから。. ・周りに迷惑をかけるから。 ・傷つけても意味無いから。 ・自分も相手も不快になるから。 ・大切な物まで壊してしまいそう。 ・何かを壊すとそれがまたストレスになる。 ・物を壊すともっとイライラしてしまうと思う。 ・後で後悔する。 ・一瞬壊してやると思っても結局はやめている。. 2.1. 341.
(15) 柴田 題寛・木須 千明・安川 禎亮. 別資料図2.「ボディスキャン瞑想」. 別資料図1. 「呼吸法」. 別資料図3.「漸進性弛緩法」「呼吸法」. 342.
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