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特別支援コーディネーターを支えるシステムの構築に関する研究: ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コーディネーターの活用

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Ⅰ 問題と目的 1.問題 1)特別支援教育推進体制の状況  2003 年 3 月に「特別支援教育の在り方に関する調 査研究協力者会議」から「今後の特別支援教育の在り 方について(最終報告)」が出され、特別支援教育の 基本的な考え方と仕組みが示された。その後、2007 年の本格実施に向けて、体制面の整備が急速に進めら れてきた。  「平成 19 年度特別支援教育体制整備状況調査結果」 (文部科学省,2008)では、公立の小・中学校で「校 内委員会の設置」「発達障害の実態把握の実施」「特別 支援教育コーディネーターの指名」など、支援体制面 の整備はかなり進んできたことが明らかになった。し かし、「個別の指導計画の作成」「個別の教育支援計画 の策定」「巡回相談員や専門家チームの活用」という ような、個々の児童生徒の支援内容に関する面では、 さらなる充実が望まれる結果であった。つまり、特別 支援教育の推進に当たっては、体制面の整備はおおむ ね進められてきており、今後は支援体制の機能向上が 課題になってきたといえる。 2)体制整備に関する各自治体の取り組み  特別支援教育に関する学校内の支援体制整備を進め るために、「理解促進」、「研修の実施」、「リーフレッ トの作成」、「コーディネーターの育成」、「専門家チー ムの活用」、「巡回相談の活用」、「マニュアルの活用」、 「特別支援教育連携協議会の設置」、「専門家チームの 設置」、「巡回相談の運用」、「特別支援学校のセンター 的機能」、「研究・専門機関との連携」など、様々な取 り組みが各自治体で行われるようになってきた(日本 LD 学会研究委員会研究プロジェクトチーム , 2006)。  地域の特性に応じた取り組みとしては、岩手県で「地 域格差に対応するための特別支援教育コーディネー ターの研修」が実施されている。これはモデル事業の 地域とそれ以外の地域での整備状況の格差を解消し、 県全体の特別支援体制を向上させていこうとするもの

特別支援教育コーディネーターを支えるシステムの構築に関する研究

― ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コーディネーターの活用 ―

      

Research on Construction of System that Supports Special Support Education

Cordinator: Handbook, Junior High School District Block Conference, The External

Coordinator's Use

杉 本 浩 美

Hiromi Sugimoto

要旨:特別支援教育を校内の中心的立場で推進する役割を担う特別支援教育コーディネーターを支え るシステムとして、ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コーディネーターの活用の 3 つを提 案し、その有効性と必要性を検討した。経験の浅いコーディネーターに使いやすく市町村単位の地域 の情報を掲載したハンドブックは、多くの利用者が活用しやすく、校内の状況やコーディネーターの 経験に応じて様々な活用が可能であることがわかった。中学校区単位のブロック会議は、各校の取り 組みや移行支援に関する情報交換の場となるだけでなく、コーディネーターを心理面で支え、地域の リーダーとなるコーディネーターを育てることが期待できるシステムである。外部コーディネーター を、校内の課題を明らかにしながら活用することにより、各校の状況に対応しつつきめ細やかでより 焦点化した支援が可能になることが分かった。この 3 つの仕組みを、各校の状況やコーディネーター の経験に応じて組み合わせて活用することによって、より有効で効果的な支援の実現が期待される。 キーワード:特別支援教育コーディネーターを支える、ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部       コーディネーターの活用

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である。また、上松ら(2007)は、上越市における中 学校区を単位とした「地域内支援体制」の構築にむけ た実践を紹介している。 3)特別支援教育コーディネーターの役割と先行研究  こうした状況の中で、校内の「特別支援教育推進の キーパーソン」(柘植 ,2006)の役割を担っているのが、 特別支援教育コーディネーターである。  特別支援教育コーディネーターの役割は、「小・中 学校における LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多 動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体 制の整備のためのガイドライン(試案)」(文部科学省, 2004)の中で、「学校内の関係者や外部の関係機関と の連絡調整役、保護者に対する相談窓口、担任への支 援、校内委員会の運営や推進役といった役割」を担っ ていると示されている。  校内の特別支援教育の推進役であるコーディネー ターに期待される役割は、実に幅広く重要であるとい える。しかし一方で、特別支援教育コーディネーター が抱える困難な状況も明らかになってきた。  畑・小貫(2006)は「教員および特別支援教育コーディ ネーター自身のニーズ調査」の中で、「教員とコーディ ネーターのニーズは共通することが多く、教員の求め る支援を実際にコーディネーターが実行することは困 難であることが読みとれる」と述べている。柘植・宇野・ 石橋(2007)が行った「特別支援教育コーディネーター に関する全国悉皆調査」では、コーディネーターとし ての活動を魅力的だと思うかどうかの問に対して、「や やそう思う」が 59%、「全くそう思う」は 19%であっ た。コーディネーターとしての業務で成果がでている かどうかの問に対しては、「ややそう思う」が 54%、「全 くそう思う」は 7%であった。また、長谷部ら(2008) は、「小・中学校における特別支援教育コーディネー ターの役割ストレスに関する研究」の中で、「特に経 験年数の少ない若いコーディネーターは、その役割の 範囲の理解が難しく、何をしたらいいのか分からない 状態にある」こと、また「学校の規模や特別支援学級 の担任経験の有無によって役割ストレス得点に差異が 認められる」と述べている。  これらの先行研究から、特別支援教育コーディネー ターたちは、コーディネーターに求められる役割や活 動を果たそうと努めつつ、一方で、校内でのコーディ ネーター業務に困難を感じたり、達成感や充足感を得 にくかったり、何をしてよいのか分からず大きなスト レスを抱えたりする状況にあることがわかる。  以上のことから、特別支援教育の体制面の整備がほ ぼ終わり、支援体制の機能面の向上が課題となってい る現状において、各校の推進上の課題の把握と課題解 決を中心となっておこなっていく特別支援教育コー ディネーターが、よりリーダーシップを発揮できるよ うな、コーディネーターを支える仕組み作りが必要で あると考えられる。 2.目的  そこで、本研究では、特別支援教育の校内体制の充 実を図るためには、校内の特別支援教育推進上のキー パーソンであるコーディネーターを支えるシステムを 構築することが必要であると考え、その有効性と必要 性を明らかにすることを目的とした。  具体的には、筆者の勤務校のある X 市教育委員会 の協力を得て、コーディネーターが手元に置いて活用 できる地域の情報を盛り込んだハンドブックとして 「X 地域版:特別支援教育ハンドブック(試行版)」を 作成し、市内の特別支援教育コーディネーターに利用 してもらい、その内容と活用の仕方を検討する。これ を研究 1 とする。  X 市で一つの中学校区をモデルとして取り上げ、 コーディネーターブロック会議を開催し、情報交換、 事例検討、小中学校間の引き継ぎ等を行いながら、ス キルアップを行い、地域のリーダーの育成の場とす る。このブロック会議の内容と意義の検討を研究 2 と する。  小学校 2 校、中学校 2 校に協力を依頼し、筆者が外 部コーディネーターという立場でコンサルテーション を行い、各校の課題や現状に応じた外部コーディネー ターによるコーディネーター支援のあり方を検討す る。これを研究 3 とする。 Ⅱ 研究1「コーディネーターハンドブックの作成と   活用」 1.方法 1)対象   X市の小中学校(小学校 17 校、中学校 8 校)の特 別支援教育コーディネーターと校長

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2)方法   X地域版:コーディネーターハンドブック(試行版) を作成し(表 1 )、X市の小中学校のコーディネーター に活用を依頼した。 3)評価   内容、活用の仕方等について、コーディネーター、 学校にアンケートを実施し検討した。 2.結果 1)「ハンドブック」と「校内支援体制に関するチェッ  クシート」の作成  試行版の作成に当たっては、X市内の特別支援教育 研究会のメンバーにハンドブックに求められる内容 や各校の現状と課題について事前調査を行った。また、 各自治体や研究機関から出されているハンドブックや ガイドブックを収集し、参考にした。  ハンドブックは、①市内のニーズを反映させる、 ② 経験の浅いコーディネーターが活用しやすいものにす る、 ③経験に応じて利用できる資料を掲載する、 ④地 域の相談機関・専門機関および市内の実践例を掲載す る、以上の点を考慮して作成した。  また、各校のコーディネーターが、校内の状況をア セスメントするためのツールとして、「校内支援体制 に関するチェックシート」(資料 1)を作成し掲載した。 2)アンケートの結果  アンケートは 50 名に送付し、32 名より回答があっ た。(回収率 64%。コーディネーターからは 72%学校 長からは 56%。) (1)ハンドブックの使いやすさ  「知りたい内容がある程度網羅されている」「内容が 平易で分かりやすい」「内容が具体的で分かりやすい」 「文章の量が適当」「知りたい内容を見つけやすい」「資 料が活用しやすい」のすべての項目に対し 4 段階中 3 以上の評価がなされた。 (2)ハンドブックの内容  ハンドブックの内容が参考になったかという問に対 し、本文 10 章のすべてが 4 段階中 3 以上の評価を受 けた。特に「特別支援教育コーディネーターと校内の 支援体制」「校内での具体的な支援に向けて」「保護者 との連携」「関係機関との連携」を取り上げた章の評 価が高かった。  また、小学校コーディネーター、中学校コーディネー ター、小学校校長、中学校校長という校種や役職によっ て、参考になったと答えた項目が異なった。 表1 ハンドブックの内容

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小学校コーディネーター、校長では、「個別の指導計 画と個別の教育支援計画」、「校内の理解推進を進める ために」、「市内の取り組み例の紹介」の評価が高かっ たのに対し、中学校コーディネーター、校長では、「特 殊教育から特別支援教育へ」への評価が高かった。ま た、小学校、中学校ともにコーディネーターでは、「保 護者との連携」の評価が高かった。 (3)活用の仕方  回答者全体の 59%がハンドブックを活用したと答 えた(小学校コーディネーターは 92%、中学校コー ディネーターは 60%が活用したと回答。)。活用しな かったと答えた人の理由は、「利用する余裕がなかっ た。」「校内の体制が活用できるところまでいっていな い。」「コーディネーターに任せている。」などであっ た。具体的な活用方法としては、「コーディネーター 自身の資料として」「校内支援体制整備の資料として 配付」「研修会の資料として」「個別の指導計画の作成 に当たって」「関係機関への相談に際して」「具体的な 支援場面に際して」など、各校の状況やコーディネー ターの工夫による、様々な活用方法があげられた。ま た、要望としては「コーディネーターだけでなく、全 職員がハンドブックとして活用したい。」「部分的に印 刷し、全職員で研修したい。」などの意見があった。 3.考察 1)今回作成したハンドブックに対する評価と市町村 レベルの地域でのハンドブック作成の意義  今回作成したハンドブックは、特に経験の浅いコー ディネーターが活用しやすいものを目指して作成した が、その結果、おおむね使いやすく参考になったとい う結果を得た。経験の浅いコーディネーターに使いや すいハンドブックは、他の利用者にとっても使いやす いものであるということがわかる。  市町村の規模で作成するハンドブックには、その地 域内の学校の特別支援教育の推進状況を反映させるこ とができ、各校のコーディネーターにとって、ハンド ブックの内容が必要な情報と感じることになった。ま た、その地域の学校の具体的な取り組み例や関係機関 の情報を掲載することで、より身近で活用できる内容 のハンドブックだという評価を得ることができた。特 に、経験の浅いコーディネーターにとっては、手元に 置いて繰り返し必要な情報を探すことができるハンド ブックは、身近で活用しやすいシステムであるといえる。 2)ハンドブックの有効性と限界  ハンドブックは、研修会やリーフレットとならんで、 コーディネーターが必要な情報を得るために活用しや すいシステムであるといえる。一方で、校内の状況や コーディネーターの経験、置かれた立場によってはハ ンドブックを活用することが困難であった。ハンド ブックの内容はあくまで基本的な事柄であるので、そ れぞれの学校の現状や課題に応じた取り組みを進めて いくためには、筆者が行った研究 3「外部のコーディ ネーターの活用」のような、外部の専門家との連携に より、問題を解決する取り組みを進めていくことが必 要であると考えられる。 Ⅲ 研究2「中学校区を単位としたコーディネーター  ブロック会議の開催」 1.方法 1)対象  X市Y中学校区の中学校 1 校、小学校 3 校の特別支 援教育コーディネーター 表2 コーディネーターブロック会議実施経過

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2)方法   X市Y中学校区でコーディネーターブロック会議を 立ち上げ、情報交換、事例検討、小中学校間の引き継 ぎなどを行った(実施の経過は表 2 に示した)。  開催プランはあらかじめ筆者がたて、参加者に提案 し意見を求めた。毎回、約 1 時間 30 分の予定で開催し、 日程の調整と進行は筆者が行った。 3)評価   内容、ブロック会議の有用性、コーディネーターの スキルアップに対する効果等について、コーディネー ターにアンケート等を実施し検討した。 2.結果  7 回のブロック会議で話し合われた内容をまとめる と、「各校の取り組みの状況と課題について」「児童生 徒に関する情報交換」「移行支援にかかわる情報交換」 「研修計画および夏期休業中の研修について」「各校の 個別の指導計画、支援シート等の形式及び活用の仕方 について」「支援員との連携」「校内委員会、ケース会 議等の実施状況」の 7 項目になった。  それぞれの内容が「コーディネーターとして役に 立ったか」という問に対して、7 項目中 5 項目で、回 答者全員が「大変役に立った」または「役に立った」 と答えた。特に「児童生徒に関する情報交換」と「各 校の個別の指導計画、支援シート等の形式及び活用の 仕方について」は回答者全員が「大変役に立った」と 答えた。  しかし、話し合った内容が自校で活かせたかという 問に対しては、「コーディネーターとして役に立った」 と答えた項目でも、7 項目中 4 項目で、「自校の取り 組みに全く活かせなかった」という回答をよせたコー ディネーターがあった。  ブロック会議の実施の前後でコーディネーターとし ての意識に変化があったかという問に対しては全員が 変化があったと答えた。具体的には、「各校の情報を 知ることで、自校のがんばらなくてはならないところ が具体的に見え、モチベーションが上がった。」「支援 を必要とする児童に対して、担任に今まで以上に意識 を持って関わってもらえるように校内に働きかけた。」 「ブロック会議に参加するまではたいして重要な役割 ではないという気持ちがあったが、実際に精力的に動 いておられる先生方の実践をきいて、なんと大切でや れることのたくさんあるポジションであることを知っ た。」といった意見が寄せられた。 3.考察 1)中学校区ブロック会議の意義と果たす役割  本研究では、ブロック会議を開催するに当たって、 あらかじめ各校の年間の計画と照らし合わせてプラン を立てた。その時期、時期に必要な話題を取り上げた ことによって、コーディネーターのニーズにこたえる ことができたと考えられる。また、参加者は、ブロッ ク会議で他校の取り組みを詳しく知ることが、コー ディネーターとして自校の取り組みを進める上で役に 立ったと考えていることがわかった。ブロック会議で 各校の取り組み状況に関する情報交換を行うことによ り、各校の状況によってそのまま取り入れることは難 しくても、参考にしたり、他校の状況を知ることによっ て、自校の取り組みを見したりすることができるとい える。また、校内の推進役としての困難を感じていて も、ブロック会議で同じコーディネーターとして悩み を出し合いながら情報交換を進めることが、コーディ ネーターとしての意欲や意識を向上させることにつな がることがわかった。さらに、会議の中でコーディ ネーター同士でアドバイスしあうなど、リーダーとな るコーディネーター育成やネットワーク作りの場とし ても活用できる。以上のことから、ブロック会議には 次のような役割が期待できる。 ①各校の取り組みの情報交換 ②移行支援のための情報交換の場 ③コーディネーターの研修の場 ④リーダーとなるコーディネーターの育成 ⑤コーディネーターを心理面で支えるシステム 2)中学校区ブロック会議の課題  本研究では、モデルブロックとしてY中学校区でブ ロック会議を立ち上げ実施したが、今後は継続した実 施と市全体のコーディネーター担当者会中での有機的 な位置づけを検討することが必要である。  また、移行支援を考えるときには小・中だけでなく、 幼稚園、保育所との連携も欠かせない。今後は幼・保・ 小・中を含めた開催の必要性があると考えられる。

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Ⅳ 研究3「校内の実状に応じた外部コーディネー ターによる特別支援教育コーディネーターへの支 援」 1.方法  1)対象  X市立C小学校(ブロック会議・ハンドブック) X市立D小学校(ブロック会議・ハンドブック) X市立B中学校(ハンドブック) Z町立A中学校(大学連携) 2)方法   校内の実状、課題の異なる 4 校において、外部コー ディネーターとして、コーディネーターとの打ち合わ せ、校内委員会・ケース会議への参加、授業観察など を通してコンサルテーションを行った(表 3)。 3)評価   外部コーディネーターとしてのコンサルテーション の内容を整理し、学校の実状や課題に応じたコーディ ネーター支援のあり方を検討した。 2.結果  各校で行ったコンサルテーションの内容を整理する と「コーディネーターとの定期的な打ち合わせ」「年 間計画の立案」「校内委員会、ケース会議への参加」 「児童・生徒の実態把握」「個別の指導計画の様式およ び作成」「具体的な支援内容」「個別指導の内容」「研 修会の立案、実施」「授業観察とコメント」「研究授業 の実施」「個に配慮した指導案の作成」の項目に分け られた(表 4 )。 3.考察 1)外部コーディネーターの活用の有効性  表 4 のように、各校で行ったコンサルテーションの 内容をまとめてみると、課題は異なっていても、実際 にコンサルテーションを行った項目は重なるものが多 いことが分かった。課題として表に出てくることは異 なっていても、それを解決していくためには、「児童 生徒の情報を共有する」、「児童生徒の実態把握を的確 に行う」、「実態把握に基づいた課題設定や支援方法を 検討する」、「集団の中で行う指導・支援と個別に行う 指導・支援の必要性を見極め使い分ける」、「校内の支 援体制を充実させる」、「校内の理解推進を進める」といっ たことを一つずつ行っていく必要があるといえる。  特に詳しくコンサルテーションを行った項目(表4  ◎印)は、各校に介入を行うに当たってコーディネー 表3 研究 3 の対象校の介入前の状況と介入方法

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ターから出された課題に関わる内容が多いことがわ かった。このことから、外部コーディネーターが学校 にコンサルテーションを行う場合には、各校の課題を より明確にしておいて外部コーディネーターが介入を 実施することにより、より効果的なコンサルテーショ ンが行えることが期待できる。  以上のことから、外部コーディネーター活用の有効 性を次のようにまとめることができる。 ①地域の実状に応じた地域密着型の支援である ②各校の課題に対して直接支援を行える ③その学校のよさと難しさを考慮した上で支援が行 える ④学校や児童生徒に合わせたきめ細やかな支援が可 能 ⑤校内のコーディネーターと随時相談しながら調 整・修正が可能  表4 外部コーディネーターとして各校で行ったコンサルテーションの内容

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2)各校の課題に応じた介入方法の必要性  C小学校には校内委員会とケース会議、D小学校で は学年会を活用した授業研究というように、介入を 行った 4 校のうち 2 校は、焦点を絞って介入を行い、 それぞれの学校である程度の成果を得ることができ た。コーディネーターと打ち合わせを行った上でねら いを絞って介入を行うことは、目的をはっきりさせる という点からも、できるだけ少ないコストでという点 からも有効な方法であるといえる。 3)「校内支援体制に関するチェックシート」の活用  と校内体制のアセスメントの必要性  また、各校からの課題を一方的に出してもらうだけ でなく、筆者が作成した「校内支援体制に関するチェッ クシート」のようなツールを活用し、あらかじめ外部 コーディネーターがその学校の特別支援教育の体制整 備や推進状況をつかむことができれば、より効果的な アドバイスを行っていくことや、各校からあげられた 課題に加え外部コーディネーターからその学校の課題 を指摘して、コーディネーターとともに解決していく ことが可能になると考えられる。 4)外部コーディネーターを活用するシステムの課題  外部コーディネーターの活用の有効性は高いが、実 際に地域の小中学校を支える地域の特別支援学校のセ ンター部門や教育センター等の巡回相談チームといっ た小中学校が活用できる外部の専門家(外部コーディ ネーター)の人数は限られおり、支援を必要とすると きにいつも支援を受けることができるとは限らない。 また、各校に出向いて行う支援であるため、時間や労 力といったコスト面から考えると必ずしも最も有効な 支援方法であるとはいえない。  このことから、各校の課題をはっきりとしぼり込ん だ上で、外部のコーディネーターを活用していくと いったことが必要になるといえる。また、本研究の研 究 1,2 で行ったような、他のシステムと組み合わせ て活用すると行った工夫が求められる。 Ⅴ 総合考察 1.ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コー ディネーターの活用を通した特別支援教育コーディ ネーターを支えるシステム構築の展望 1)「コーディネーターを支える」システムの有効性  とシステムに求められるもの (1)コーディネーターが見通しを持って活用できる  システム  この 3 つの仕組みに共通していることの一つは 「コーディネーターが見通しを持って活用できる」シ ステムであるということである。  ハンドブックは、いつでもコーディネーターが手元 に置いて必要なときに利用できる。「必要なときには あのページを開いてみればよい」という見通しがもっ て利用することができる。ブロック会議は、あらかじ め年間予定を立て、年間予定にそって進めていく。コー ディネーターはいつ、どんな内容を話し合うか知った 上で会議に参加することができる。また、他校の情報 を得たいと思う内容については、次回のブロック会議 で話題にあげることにより、他のメンバーから情報や 意見を得ることができる。外部のコーディネーターを 活用する場合には、あらかじめ校内の課題を焦点化し、 問題を整理して相談すれば、外部のコーディネーター から、その学校の状況に応じた具体的な解決の方法に ついてアドバイスを受けることができる。  コーディネーターが見通しを持って活用できるシス テムであるということは、コーディネーターの不安を 軽減するだけでなく、コーディネーターが主体的に活 用できるシステムであるといえる。コーディネーター を支えるシステムは同時にコーディネーターの主体性 を育てるシステムとして活用していくことができる。 (2)学校の状況やコーディネーターのニーズにより  活用の仕方が工夫できる階層性のあるシステム  校内の体制や理解推進の状況、コーディネーターの 知識や経験によって、この 3 つの仕組みをどのような ウエイトで活用するかは学校によって違ってくるとい えよう。その学校の実状に合わせて活用することに よって、一つ一つの仕組みをより有効に活かすことが できるといえる。  また、ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部 コーディネーターの活用のいずれのシステムも、それ ぞれ単独で学校支援・コーディネーター支援を行って いくには限界があるが、その 3 つを組み合わせて活用 していくことによって、それぞれのメリットを最大限 にいかすことができるといえる。 (3)コーディネーターを育てるシステム  ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コーディ

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ネーターの活用の 3 つの仕組みのうち、コーディネー ターを支え育てるシステムとしての機能がより期待で きるのは、中学校区のブロック会議の開催である。ブ ロック会議の中で情報交換や意見交流をすることによ り、コーディネーターはお互いに切磋琢磨して研修を 深めることができる。  また、ブロック会議では、他校の事例に対して自分 なりの知識と経験を生かしてアドバイスしあうことが できる。その中でコーディネーターとしての役割に対 する意識を向上させ、課題に前向きに取り組む意欲を 育てていくことが期待できる。 (4)コーディネーターを心理面で支えるシステム  校内での特別支援教育推進にあたって、様々な事柄 についてコーディネーターは困難さを感じながらも、 推進役としての役割を果たそうとしている。  コーディネーターブロック会議は、各校の情報交換 や引き継ぎをするだけでなく、同じコーディネーター という立場で、相談したり悩みを打ち明けたりしなが ら各校の課題を考えることができた。校内の支援体制 が整っていない場合には、外部のコーディネーターが 校内のコーディネーターの支援者や協力者になること ができた。   コーディネーター育成のためには、特別支援教育に 関する様々な知識や情報を伝える、関係者をつなぐ技 量を育てる、など幅広い内容が必要とされるが、コー ディネーターを取り巻く現在の状況を考えると、コー ディネーターへの心理面での支援はコーディネーター を支えるシステムに欠かすことができない要素である といえる。心理的な不安やストレスが軽減されること によって、いっそう学校内でコーディネーターとして の役割を柔軟に意欲的に果たすことができるといえよ う。 2.「コーディネーターを支える」システムの構築に  関する研究の課題  本研究では、コーディネーターを支える仕組みとし て、ハンドブック、中学校区ブロック会議、外部コー ディネーターの活用という 3 つの仕組みを組み合わせ たシステムを提案したが、実際にはそれぞれを有機的 に組み合わせた効果の検証ができなかった。  その原因としては、ハンドブックの配布からアン ケート回収までが 6 ヶ月という限られた期間であった ことや、筆者の実習等の関係で研究 2 と研究 3 を行う 学校が 4 校とも同じ学校ですることが難しかった、な どのことがあげられる。  今後、さらにコーディネーターを支えるシステムに 関する研究を行うに当たっては、「有機的な活用によ る有効性」の検証が可能な研究プランを立て、検証し ていくことが必要である。 引用文献・参考文献 阿部博子,長谷部慶章,中村真理(2008):小・中学 校における特別支援教育コーディネーターのコー ディネーション行動に関する研究.日本特殊教育学 会第 46 回論文集,p 395. 長谷部慶章,阿部博子,中村真理(2008):小・中学 校における特別支援教育コーディネーターの役割ス トレスに関する研究.日本特殊教育学会第 46 回論 文集,p 396. 畑清美,小貫悟(2006):教員および特別支援教育コー ディネーター自身のニーズ調査―特別支援教育コー ディネーター導入時に求められる支援体制について ―.LD 研究,15(1),118-133. 花田裕美子,小泉令三,田中宏二,淵上克義(2008): 地域のコーディネーターによる特別支援教育体制の 構築 ―特別支援教育における校内支援体制構築プ ロセスのチェック表の活用を通して―.LD 研究, 17(2),161-170. 兵庫県立特別支援教育センターホームページ   http://www.hyogo-c.ed.jp/~shogaiji-bo/ 京都府教育委員会:LD、ADHD、高機能自閉症支 援ガイド(2003).特別支援教育推進ガイド(2004). 特別支援教育実践ガイド(2005).特別支援教育充 実ガイド(2006).特別支援教育発展ガイド(2007). 京都府教育委員会 松村勘由,横尾俊(2008):特別支援教育への理解と 対応の充実に向けた小・中学校の取り組み(1)∼ 特別支援教育の組織・運営と支援の実際∼.日本特 殊教育学会第 46 回論文集,p 397. 文部科学省(2008):平成 19 年度特別支援教育体制整 備状況調査結果.文部科学省.文部科学省(2004): 小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD(注 意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒へ の教育支援体制整備のためのガイドライン(試案).

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文部科学省. 日本 LD 学会研究委員会研究プロジェクトチーム (2006):特別支援教育の現状に関する調査―特色あ る取り組みが見られる地域の現状・方法・課題を重 点的に―.LD 研究,15(1),85-95. 大 阪 府 教 育 セ ン タ ー ホ ー ム ペ ー ジ  http://www. osaka-c.ed.jp/ 高橋保,加藤哲文(2007):個別の指導計画作成を主 体とした研修プログラムが特別支援教育コーディ ネーターの行動に及ぼす効果.LD 研究,16(2), 164-180. 寺田容子,滝口圭子,武澤友広,落合俊郎(2008): 特別支援教育のハンドブックの使いやすさを高める 要因とその充足の効果の検討.LD 研究,17(2), 191-199. 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (2003):今後の特別支援教育の在り方について(最 終報告). 栃木県総合教育センターホームページ http://www. tochigi-ed.jp/center/ 柘植雅義(2006):特別支援教育コーディネーターに 指名されたあなたへ.特別支援教育,№ 590. 柘植雅義,宇野宏幸,石橋由紀子(2007):特別支援 教育コーディネーターに関する全国悉皆調査. 上松武,廣瀬由美子,内田俊行,藤本裕人,田中良広, 藤井茂樹,滝川国芳,後上鐵夫, 小野瀧智(2007):小・中学校における障害のある子 どもへの教育支援体制に関する研究(6).日本特殊 教育学会第 45 回論文集,p 198.

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参照

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