中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究
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(2) 北海道教育人学紀要(教育科学編)第56巻 第1弓一 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.56,No.1. 平成17年8月 August,2005. 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究. 村田 芳久・小柳 文彦*. 北海道教育人学旭川校 健康スポーツ方法学研究室 串京都教育人学附属桃山中学校. AStudyonNutritionalEducationforSportsPlayersatJuniorHighSchooIs MURATAYoshihisaandKOYANAGIFumihiko* DepartmentofHealthSportsMethodology,AsahikawaCampus,HokkaidoUniversityofEducation, Asahikawa O70−8621. *MomoyamaJuniorHighSchooIAttachedtoKyotoUniversityofEducation61Z−0071. 概 要 ジュニア期のスポーツ選手にとって,望ましい食習慣を身につけることは将来への充実したスポーツライ フの形成に重要と考えられる.しかしながら,時間的・人事的・財政的などの問題から一連の栄養教育を実 施出来るのは一部のチームに限られているのが現状である.本研究では,北海道上川管内の中学校運動部活 動参加者を対象に,より簡便で広く実施可能なスポーツ栄養指導法開発のための基礎資料を得ることを臼的 に,短時間で実施が容易なスポーツ栄養授業を実施し,中学生選手の栄養に対する授業後の意識変化を調べ た結果,理解度および活用度ともに高い値を示し,一回のスポーツ栄養授業が中学校運動部活動参加者の意 識の向上及び知識の啓発に役立つ可能性が示された.. 思春期を食習慣の自立期と位置づけており,中学 1.目的. スポーツ選手のジュニア期は,身体的発達が著. 生期にスポーツ選手として望ましい食習慣を身に つけることは,有益なスポーツライフの形成に有. しく,遊びの要素が高かったスポーツを競技とし. 効であると考えられる.したがって,中学生期の. て捉えるようになる大切な時期である.この時期. スポーツ選手に栄養指導を実施することは非常に. は基礎体力の向上を第一に考え,トレーニング・. 重要であると言える.中学生がより望ましいス. 栄養・休養の3要素を合理的なタイミングで日常. ポーツライフを送るためには,トレーニングや食. 生活に組み込むことにより,スポーツライフをよ. 事を管理・指導する大人が,食事についてどのよ. り良いものにする必要がある(高戸・富松,1999).. うなことに注意を払う必要があるかを知ることが. 特に栄養に関して,厚生労働省は対象特性別健康. 重要である.また,競技力向上のためには,中学. づくりのための食生活指針の中で,中学生を含む. 生選手自身が,トレーニングとともに毎日の食事. 193.
(3) 村田 芳久・小柳 文彦. が大切であることを常に意識するように指導する. る.この意識の啓発については,より早期の段階. 必要がある(鈴木,1997;樋口,1997).しかし,. で行うことが,将来に渡るスポーツライフでの競. ジュニア指導者のほとんどがトレーニングと同様. 技力向上や健康的生活へと繋がると考えられる.. に食事の重要性を認識しているにもかかわらず,. 中学期のスポーツ活動は,体づくりを中心とした. 実際に食事に関する指導をしている者は半数で. 基礎体力づくりを重視しながら,スポーツ技術を. あったと報告されている(樋口,1994).また.. 発達させていくことが大切と言われており,基礎. スポーツライフ改善を目的とした栄養・食事指導. 体力向上にはトレーニング・栄養・休養のバラン. の実践的報告(鈴木ほか,1995;殖田ほか,1996). スが重要と考えられている.これらのことから,. は多数認められるが,これらは専門家がチーム全. 授業内容はスポーツ選手の立場から食事・栄養の. 体,さらには選手個々の競技力やコンディション. 必要性について認識してもらうことに主眼を置. を把握したうえで詳細に行われるものであり,時. き,「運動・栄養・休養のバランスについて」,「1. 間的,人材的あるいは財政的などの問題から一般. 日の食事のとり方について(朝食・昼食・夕食・. 的であるとは言い難く(樋口,2001),多人数の. 間食のポイント)」,「中学スポーツ遣手によくあ. 中学校運動部活動参加者に広く実施することが可. る質問について(成長について,体重調節,筋力. 能な栄養指導方法とは言えない.よって,より簡. アップ,水分の摂取法,試合前の食事について)」. 便で多人数の中学校運動部活動参加者に広く実施. の3点で構成した.授業は,「MicrosoftPower−. することが可能な栄養指導法の開発が望まれる.. PointforWindows2000」(マイクロソフト株式会. そこで本研究では,中学校運動部活動参加者を. 社)にて作成したスライドを用いて,液晶プロジュ. 対象に,より簡潔な30分間のスポーツ栄養授業を. クターよる映写により行った.授業終了後,生徒. 試作・実施し,その授業評価から今後の中学校運. に参考資料として同じ内容のプリントを配付し. 動部活動参加者に対して容易に実施できるスポー. た.. ツ栄養指導法を開発するための基礎資料を得るこ とを目的とした.. なお,本授業は,本調査時期と同時期に日本体. 育協会が作製・発表したビデオ「ジュニア選手の 食事と栄養」とほぼ同様の内容構成になっている.. 2.方法 3)授業評価および授業前の知識・関心 1)調査対象者. 対象者に対して運動部の活動時間帯に行った30. 本研究の対象者は,北海道上川管内の中学校(5. 分間のスポーツ栄養授業前および授業後にスポー. 校)に在籍し,運動部に所属している中学生208. ツ栄養授業の評価に関する調査を無記名自記選択. 名(男子119名,女子89名)であった.. 式によるアンケート調査法を用いて実施した.調 査項目は,日本体育協会スポーツ医科学研究班が. 2)授業内容. 実施した「ジュニア期のスポーツライフに関する. 本来,栄養教育は選手が栄養や食生活に対する. 研究」の健康生活に関する調査(西鴫・岡田,1994). 正しい知識を持ち(知識の啓発),栄養改善に向. を参考に,「スポーツ栄養授業内容に対する知識」,. けた実践活動が行われ(行動の変容),行動の結. 「スポーツ栄養授業内容に対する理解度」および. 果として選手の健康の保持増進につながる(ベス. 「スポーツ栄養授業内容に対する活用度」の3つ. トコンディション維持)ことが目的となり,この. の柱から成り,運動・栄養・休養のバランス,1. すべてが継続的に行われなければならない(樋口,. 日の食事のとり方,中学スポーツ選手によくある. 20日).したがって,まず選手がトレーニングだ. 質問の3視点で,それぞれ計10項目を設定した.. けでなく,栄養への意識を高めることが重要とな. さらに,対象者の授業前のスポーツ栄養に対する. 194.
(4) 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究. 知識・関心についてのデータも回収し,比較検討. いた」および「少し知っていた」を「知っていた」. した.また,授業評価は,対象者の食事・栄養の. に,「全く知らなかった」および「あまり知らなかっ. 必要性および栄養学習の必要性についての意識変. た」を「知らなかった」とし,3段階にて比較検. 化も調べることにより検討した.回収した調査用. 討した.. 紙の分類・集計及び統計処理は「MicrosoftlミⅩ−. ① 運動,栄養,休養のバランス. 授業内容1「運動・栄養・休養のバランスの重. celforWindows2000」(マイクロソフト株式会社) を用いておこなった.有意差の検定にはズ2検定. 要性」について,52.8%(男子59.1%,女子44.2%). を用い,有意な関係が認められたものに関して属. のものが知っていたと回答した.一方,26.9%(男. 性相関係数を示した.. 子22.6%,女子32.6%)のものが知らなかったと 回答した.スポーツ栄養授業前の調査において,. 栄養や休養の重要性について理解していると回答 3.結果と考察. したものは8割前後であった(表2,質問1). しかし,連動・栄養・休養のバランスを教授した. 1)スポーツ栄養授業の内容に対する知識. 表1は,スポーツ栄養授業の内容について,す. 上で授業後にその内容に対して確認したところ,. でに知っていたかを聞いた結果を示している.な. 知っていたものは約5割に下がってしまった.重. お,回答者数が少数であったため,「よく知って. 要性は理解しているものの,その内容や関係まで. 表1 スポーツ栄養授業内容に対する知識. 人数(%). 全く知ら あまり知ら どちらとも 少し知っ よく知っ ズ2検定(3段階) なかった なかった 言えない ていた ていた (クラメール係数) 内達劫・栄養・休養全体(n=201)8(4・0)46(22・9)41(20・4)92(45・8)14(7・0) 容 のバランスの重要 男子(11=115) 2(1.7)24(20.9)21(18.3)55(47.8)13(11.3) 1性 女子(n=86)6(7.0)22(25.6)20(23.3)37(43.0)1(1.2) 全体(n=201)10(5.0)59(29.4)35(17.4)76(37.8)21(10.4) 容 朝食のポイント 男子(n=114) 7(6.1) 31(27.2) 20(17.5) 40(35.1)16(14.0) 女子(n=87) 3(3.4)28(32.2)15(17.2)36(41.4) 5(5.7) 全体(n=203)13(6.4)72(35.5)52(25.6)57(28.1) 9(4.4) 容 昼食のポイント 男子(n=116) 7(6.0)36(31.0)30(25.9)35(30.2) 8(6.9) 女子(n= 87) 6(6.9) 36(41.4) 22(25.3) 22(25.3)1(1.1) 全体(n=203)17(8.4)78(38.4)49(24.1)49(24.1)10(4.9) 容 夕食のポイント 男子(n=116)10(8.6)39(33.6)28(24.1)29(25.0)10(8.6) 女子(n=87) 7(8.0)39(44.8)21(24.1)20(23.0) 0(0.0) 全体(n=200) 54(27.0) 78(39.0) 40(20.0)19(9.5) 9(4.5) 谷 間食のポイント 男子(n=114) 28(24.6)41(36.0)28(24.6) 9(7.9) 8(7.0) **. 女子(n=86)26(30.2)37(43.0)12(14.0)10(11.6)1(1.2)(Ⅴ−0・34) ばし こ. 全体(n=201) 8(4.0)48(23.9)49(24.4)71(35.3)25(12.4) 男子(n=114) 4(3.5)26(22.8)24(21.1)41(36.0)19(16.7) 女子(n=87) 4(4.6)22(25.3)25(28.7)30(34.5) 6(6.9). らしたい. 全体(n=203)13(6.4)52(25.6)70(34.5)53(26.1)15(7.4) 男子(n=116) 8(6.9)32(27.6)39(33.6)26(22.4)11(9.5) 女子(n=87) 5(5.7)20(23.0)31(35.6)27(31.0) 4(4.6). つけたいの. 全体(n=202)10(5.0) 66(32.7) 59(29.2) 47(23.3) 20(9.9) 男子(n=115) 5(4.3)37(32.3)31(27.0)28(24.3)14(12.2) 女子(n=87) 5(5.7)29(33.3)28(32.2)19(21.8) 6(6.9). 内練習巾に水を飲ん全体(n=201)21(10・4)48(23・9)44(21・9)48(23・9)40(19・9) * 芥 ではいけないので 男子(n=115)11(9.6) 20(17.4) 28(24.3) 27(23.5) 29(25.2) 9 すか 女子(n=86)10(11.6)28(32.6)16(18.6)21(24.4)11(12.8)(Ⅴ=0・18). 全体(n=202) 40(19.8)62(30.7)43(21.3)34(16.8)23(11.4). Ⅰ 男子(n=115)15(13.0)29(25.2)28(24.3)24(20.9)19(16.5) ** 三 女子(n=87)25(28.7)33(37.9)15(17.2)10(11.5) 4(4.6)(Ⅴ=0.29) **:P<0,01 *:P<0,05. N,S,:NoSignificant. 195.
(5) 村田 芳久・小柳 文彦 表2 スポーツ栄養に対する授業前の知識・関心. 人数(%) ズ2検定 そう思う そう思わない わからない (クラメール係数). 宗妄あ. 墓ぁ. レーニング. レーニング. 全体(n=208)167(80.3). 8(3.8) 33(15.9). 男子(n=119) 95(79.8). 6(5.0)18(15.1). 女子(n=89) 72(80.9). 2(2.2)15(16.9). 全体(n=207)182(87.9). 7(3.4)18(8.7). 男子(n=119)106(89.1). 6(5.0) 7(5.9). 女子(n=88) 76(86.4). 1(1.1)11(12.5). 質運動選手は運動をしない人よりたくさ全体(n=207)104(50・2)62(30・0)41(19・8). 問 んエネルギーを使うので,たくさん食 男子(n=119) 65(54.6) 40(33.6)14(11.8) ** 3 事を食べなければならない 女子(n=88)39(44.3)22(25.0)27(30.7)(Ⅴ=0・24) 質練習前には何も食べない方が良いの全体(n=200)15(7・5)138(69・0)47(23・5) 問 で,朝練習を行う時は何も食べたり飲 男子(n=115)14(12.2) 70(60.9) 31(27.0) **. 4 んだりせずに練習する方が良い. 女子(n=85)1(1.2)68(80.0)16(18.8)(Ⅴ=0・24) 全体(n=208) 58(27.9) 83(39.9) 67(32.2). 新 なるべく早く食事を食べたほ. 男子(11=119) 35(29.4) 53(44.5) 31(26.1) 女子(n=89) 23(25.8) 30(33.7) 36(40.4). 新. 全体(n=208) 76(36.5)101(48.6) 31(14.9). rl 問 牛乳を飲めば背が伸びる. 男子(n=119) 46(38.7) 58(48.7)15(12.6). 6. 女子(n=89) 30(33.7) 43(48.3)16(18.0) 全体(n=208)13(6.3)162(77.9) 33(15.9). 新 はなるべく食べ 言三吉とミ. 男子(n=119) 8(6.7) 93(78.2)18(15.1) 女子(n= 89) 5(5.6) 69(77.5)15(16.9). 質筋力トレーニングを行ったRはいつも 全体(n=208)29(13・9)78(37・5)101(48・6) 間 食事の他にプロテイン等のサブリメン 男子(n=119) 21(17.6) 43(36.1) 55(46.2) 8ト針路取した方がよい 女子(n=89)8(9.0)35(39.3)46(51.7). N・S. 質運動巾に水などの飲み物を飲むのは,全体(n=207)13(6・3)151(72・9)43(2=). 問 余計に汁をか いたり,疲れたりするの 男子(n=118)11(9.3) 86(72.9) 21(17.8) 9でよくない 女子(n=89)2(2.2)65(73.0)22(24.7). N・S・. 質 スポーツ選手が食事だけで栄養を十分に全体(n=206)72(35・0)54(26・2)80(38・8) 問 満たすのは無理なのでサプリメントなど 男子(n=118) 47(39.8) 30(25.4) 41(34.7). 10栄養補助食ぶを積極的にとるべきである 女子(n=88)25(28.4)24(27.3)39(44.3). N・S・. 質 R本では試合前に,相手に勝つという 全体(n=208)46(22・1)105(50・5)57(27・4) 問 意味を含めて「トンカツ」などを食べ 男子(n=119) 30(25.2) 63(52.9) 26(21.8) 11る習慣があり,実に有効である 女子(n=89)16(18.0)42(47.2)31(34.8) **:Pく0,01. N・S・. N,S,:NoSignificant. は知らないものが存在していることが推測され,. 知らなかったと回答した.授業内容5「間食のポ. 知識として正確に紹介することが非常に重要な内. イント」については,14.0%(男子14.9%,女子. 容であると考えられる.. 12.8%)のものが知っていたと回答した.一方,. ②1日の食事のとり方. 66.0%(男子60.6%,女子73.2%)のものが知ら. 授業内容2「朝食のポイント」について,48.2%. なかったと回答した.また,「間食のポイント」. (男子49.1%,女子47.1%)のものが知っていた. に関しては男女間に統計学的有意差が認められた. と回答した.一方,34.4%(男子33.3%,女子. (P<0.01).具体的な内容としての食事のポイ. 35.6%)のものが知らなかったと回答した.授業. ントについては,知っていたと回答した割合より,. 内容3「昼食のポイント」については,32.5%(男. 知らなかったと回答した割合の方がすべての食事. 子37.1%,女子26.4%)のものが知っていたと回. で高かった.食事の重要性を認識(表2,質問1). 答した.一方,41.9%(男子37.0%,女子48.3%). していても,その中身まで考えている生徒の割合. のものが知らなかったと回答した.授業内容4「夕. は低いことが推察できる.特に間食の内容に関し. 食のポイント」について,29.0%(男子33.6%,. ては,知っていると回答した割合が低かった.本. 女子23.0%)のものが知っていたと回答した.一. 調査結果表14に示した通り,間食と聞けば,先に. 方,46.8%(男子42.2%,女子52.8%)のものが. お菓子・ジュースなどが浮かぶようである.特に. 196.
(6) 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究. 女子において,間食についての知識が低い傾向が. 望ましい.情報が氾濫する時代であることから,. みられた.間食(補食)についての正しい理解と. その情報に流されないために,まず食事が基本と. 有効利用は,三食の説明とともに知識として紹介. なることを理解させる必要があり,これを踏まえ. することが非常に重要な内容と言える.. た上で,トレーニング効果を十分に発揮するため. ⑨ 中学スポーツ選手によくある質問. の食事内容や摂取タイミングを紹介する必要があ. 授業内容6「もっと背を伸ばしたいのですが」 について,47.7%(男子52.7%,女子41.4%)の. ると考えられる.. 授業内容9「練習中に水を飲んではいけないの. ものが知っていたと回答した.一方,27.9%(男. ですか」について,43.8%(男子48.7%,女子. 子26.3%,女子29.9%)のものが知らなかったと. 37.2%)のものが知っていた回答した.一方,. 回答した.成長期である中学生期には多くの栄養. 34.3%(男子27.0%,女子44.2%)のものが知ら. 素が必要となり,その必要性を理解することは非. なかったと回答した.どの種目のスポーツ選手で. 常に大切である.特にカルシウム摂取は成長期で. も,脱水症状にならないように練習中はこまめに. は体を作る上で非常に大切である.身長を伸ばす. 水分補給を行わなければならない.水分補給につ. ための栄養摂取の必要性について,知らないとす. いては命にも関わる非常に大切な内容であり,す. るものが3割もいることは,知識として紹介する. べての生徒が確実に水分補給の必要性を理解する. 必要があると考えられる.. 必要がある.また,水分補給の項目に関しては,. 授業内容7「体重を減らしたいのですが」につ. 女子において知らなかったと回答する割合が有意. いて,33.5%(男子31.9%,女子35.6%)のもの. に高かった(P<0.05).知らなかったと回答す. が知っていたと回答した.一方,32.0%(男子. るものが3割を越える状態は問題であり,水分補. 34.5%,女子28.7%)のものが知らなかったと回. 給の必要性を紹介することは非常に大切であると. 答した.中学生期では減量をする必要は殆どない. 考えられる.. が,スポーツによっては体重別限がある種目もあ. 授業内容10「試合前の食事の仕方を教えて下さ. り,将来的に体重別限が必要となる可能性もあり. い」について,28.2%(男子37.4%,女子16.1%). うる.その時に間違った減量を行い,ケガや故障. のものが知っていたと回答した.一方,50.5%(男. に繋がる可能性も考えられるため,正しい知識を. 子28.2%,女子66.6%)のものが知らなかったと. 得ることは非常に大切であると言える.. 回答した.また質問10に関しては男女間に統計学. 授業内容8「筋肉をつけたいのですが」につい. 的有意差が認められた(P<0.01).本調査対象. て,33.2%(男子36.5%,女子28.7%)のものが. 者の部活動における活動日的は,競技を目的とし. 知っていたと回答した.一方,37.7%(男子36.6%,. ている割合は女子の方が低く(未発表),そのこ. 女子39.0%)のものが知らなかったと回答した.. とが競技に対する情事則文集の差としてあらわれて. 筋肉を効果的に身につける為には,運動後速やか. いる可能性も否定できない.試合前にはすべての. なタンパク質摂取が有効である(Okamuraetal.,. スポーツに共通して,エネルギー源となる筋肉と. 1997).しかしながら,近年そのような情報が先. 肝臓のグリコーゲンを充分に回復させるために,. 行し,プロテインなどのサプリメントに頼る傾向. 炭水化物中心で脂質を控えめにした食事をするこ. にあり,安易なサプリメント摂取への警告もなさ. とが基本となっている.将来のスポーツライフを. れている(石井,2002).必要な栄養素は食事で. 考えてもこの内容を紹介することは大切であると. とるという基本的な点をまず抑えることが重要で. 考える.今回のスポーツ栄養授業は,早い段階で. あり,トレーニング効果を最大限に引き出すため. 知識として一度でも触れておきたい内容で構成さ. にも放課後のトレーニング終了後,速やかに帰宅. れていると考えられる.スポーツ栄養授業の前後. してタンパク質を多く含んだ夕食を食べることが. に本授業で取り扱ったスポーツ栄養の知識を確認. 197.
(7) 村田 芳久・小柳 文彦. したが,本調査対象者はスポーツ栄養の知識が不. かったと回答したものはおらず,あまりわからな. 十分であった(表1).このことからも,スポー. かったと回答したものも男子において1.7%見ら. ツ栄養教育を行う必要性が更に確認されたと言え. れたのみであった.「運動・栄養・休養のバラン. る.. スの重要性」については,大半のものが理解出来 たと回答したことから,運動・栄養・休養のバラ. 2)スポーツ栄養授業の内容に対する理解度. ンスの重要性は説明出来たものと考えている.. 表3はスポーツ栄養授業の理解度を示したもの. ②1日の食事のとり方. である.質問項目は授業内容に即して設定してい. 授業内容2「朝食のポイント」について,90.2%. る.なお,回答者数が少数であるため,「よくわかっ. (男子89.7%,女子90.8%)のものが理解出来た. た」および「少しわかった」を「理解できた」に,. と回答した.全くわからなかったと回答したもの. 「全くわからなかった」および「あまりわからな. はおらず,あまりわからなかったと回答したもの. かった」を「わからない」とし3段階にて比較検. も男子において1.7%認められたのみであった.. 討した.. 授業内容3「昼食のポイント」については,91.1%. ① 運動,栄養,休養のバランス. (男子89.7%,女子93.0%)のものが理解出来た. 授業内容1「運動・栄養・休養のバランスの重. と回答した.全くわからなかったと回答したもの. 要性」について,94.5%(男子94.8%,女子94.3%). はおらず,あまりわからなかったと回答したもの. のものが理解出来たと回答した.全くわからな. も1.5%(男子1.7%,女子1.2%)みられたのみ. 表3 スポーツ栄養授業内容に対する理解度 全くわから あまF)わか どちらとも 少し なかった らなかった 言えない. 人数(%) よく わかった わかった. 内達劫・栄養・休養全体(n=203)0(0・0)2(1・0)9(4・4)62(30・5)130(64・0) 容 のバランスの重要 男子(n=116) 0(0.0) 2(1.7) 4(3.4) 36(31.0) 74(63.8). 1性. 女子(n=87)0(0.0)0(0.0)5(5.7)26(29.9)56(64.4) 全体(n=203) 0(0.0) 2(1.0)18(8.9) 70(34.5)113(55.7). 容 朝食のポイント 男子(n=116) 0(0.0) 2(1.7)10(8.6) 37(31.9) 67(57.8) 女子(n= 87) 0(0.0) 0(0.0) 8(9.2) 33(37.9) 46(52.9) 全体(n=202) 0(0.0) 3(1.5)15(7.4) 77(38.1)107(53.0) 容 昼食のポイント 男子(n=116) 0(0.0) 2(1.7)10(8.6) 38(32.8) 66(56.9) 女子(n=86) 0(0.0)1(1.2) 5(5.8) 39(45.3) 41(47.7) 全体(n=202) 0(0.0) 4(2.0)17(8.4) 62(30.7)119(58.9) 容 夕食のポイント 男子(n=116) 0(0.0) 2(1.7)13(11.2) 32(27.6) 69(59.5) 女子(n=86) 0(0.0) 2(2.3) 4(4.7) 30(34.9) 50(58.1) 全体(n=203) 0(0.0)1(0.5)13(6.4) 61(30.0)128(63.1) 谷 間食のポイント 男子(n−116) 0(0.0) 1(0.9) 8(6.9) 38(32.8) 69(59.5) 女子(n=87) 0(0.0) 0(0.0) 5(5.7) 23(26.4) 59(67.8) ばし こ. らしたい. つけたいの. 全体(n=203). 1(0.5) 3(1.5) 23(11.3) 66(32.5)110(54.2). 男子(n=116). 0(0.0) 3(2.6)15(12.9) 32(27.6) 66(56.9). 女子(n= 87). 1(1.1) 0(0.0) 8(9.2) 34(39.1) 44(50.6). 全体(n=203). 1(0.5) 4(2.0) 29(14.3) 72(35.5) 97(47.8). 男子(n=116). 0(0.0) 3(2.6)18(15.5) 41(35.3) 54(46.6). 女子(n= 87). 1(1.1)1(1.1)11(12.6) 31(35.6) 43(49. 全体(n=202). 1(0.5) 5(2.5) 27(13.4) 56(27.7)113(55._′. 男子(n=115). 0(0.0) 4(3.5)12(10.4) 29(25.2) 70(60.9). 女子(n= 87). 1(1.1)1(1.1)15(17.2) 27(31.0) 43(49.4). 内練習巾に水を飲ん全体(n=203)1(0・5)3(1・5)11(5・4)57(28・1)131(64・5) 答 ではいけないので 男子(n=116) 0(0.0) 1(0.9) 7(6.0) 31(26.7) 77(66.4) 9 すか 女子(n=87)1(1.1)2(2.3)4(4.6)26(29.9)54(62.1) 全体(n=203). Ⅰ 男子(n=116) ミ 女子(n= 87). 198. 3(1.5) 3(1.5)14(6.9) 67(33.0)116(57.1) 0(0.0) 2(1.7) 7(6.0) 37(31.9) 70(60.3) 3(3.4)1(1.1) 7(8.0) 30(34.5) 46(52.9).
(8) 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究 であった.. か」について,92.6%(男子92.8%,女子92.0%). 授業内容4「夕食のポイント」について,89.6%. のものが理解出来たと回答した.一方,全くわか. (男子87.1%,女子93.0%)のものが理解出来た. らなかったと回答したものは女子において1.1%. と回答した.全くわからなかったと回答したもの. みられ,あまりわからなかったと回答したものは. はおらず,あまりわからなかったと回答したもの. 1.5%(男子0.9%,女子2.3%)みられた.授業. は2.0%(男子1.7%,女子2.3%)存在した.授. 内容10「試合前の食事の仕方を教えて下さい」に. 業内容5「間食のポイント」について,93.1%(男. ついて,90.1%(男子92.2%,女子87.4%)のも. 子92.3%,女子94.2%)のものが理解出来たと回. のが理解出来たと回答した.一方,全くわからな. 答した.全くわからなかったと回答したものはお. かったと回答したものは女子において3.4%認め. らず,あまりわからなかったと回答したものも男. られ,あまりわからなかったと回答したものは. 子において0.9%認められたのみであった.すべ. 1.5%(男子1.7%,女子1.1%)存在した.. ての食事ポイントにおいて,大半のものが理解で. すべての質問項目について,大半のものが理解. きたと回答したことから,各食事の内容について. 出来たと回答したことから,中学スポーツ遣手に. 教授できていると考えられる.各食事の理解度を. よくある質問についての解説と,そこから伝えた. 比較すると,夕食の理解度が最も低い結果であっ. いスポーツ栄養の基礎知識について説明出来たも. た.夕食はスポーツ選手にとってはトレーニング. のと考えられる.各項目の理解度を比較すると,. や試合で消耗した体を修復する大切な食事であ. 「背を伸ばしたい」,「体重を減らしたい」および. り,望ましいスポーツライフを築く為には非常に. 「筋肉をつけたい」の質問項目で理解度がやや低. 重要なポイントとなる.理解度を深めるためにも,. い結果であった.特に「体重を減らしたい」に関. さらなる工夫とともに部活動終了時の指導が必要. しては,よくわかったと回答した割合が半数以下. となると考える.. であった.過度のダイエットを否定する内容と. ⑨ 中学スポーツ選手によくある質問. なっているため,やせたいという意思と反する内. 授業内容6「もっと背を伸ばしたいのですが」. 容が,理解度を下げた可能性があると推察できる.. について,86.7%(男子83.5%,女子89.7%)の. 理解度の低い項巨=こ関しては,繰り返し説明が必. ものが理解出来たと回答した.一方,全くわから. 要になると考える.一方,全くわからなかったと. なかったと回答したものは女子において1.1%認. 回答するものも少数ではあるが見られた.これら. められ,あまりわからなかったと回答したものは. の項目は授業の後半で説明した内容であり,集中. 男子において2.6%みられた.授業内容7「体重. 度を保つことが出来なかった可能性がある.今回. を減らしたいのですが」について,83.3%(男子. の授業は,学校間で内容に差が出ないようにする. 81.9%,女子85.0%)のものが理解出来たと回答. ため,一方的な授業スタイルで行った.一方的な. した.一方,全くわからなかったと回答したもの. 授業では集中度を保つことが出来なかった可能性. は女子において1.1%みられ,あまりわからなかっ. がある.教育的手法をより深めていくことは,今. たと回答したものは2.0%(男子2.6%,女子1.1%). 後の課題と言える.スポーツ栄養授業に対する理. 存在した.授業内容8「筋肉をつけたいのですが」. 解度は,全般に高い値が得られた.この結果から,. について,83.6%(男子86.1%,女子80.4%)の. 中学生期のような早い段階でのスポーツ栄養の教. ものが理解出来たと回答した.一方,全くわから. 育を行っても,内容を吟味すれば理解されること. なかったと回答したものは女子において1.1%み. が示された.. られ,あまりわからなかったと回答したものは 2.5%(男子3.5%,女子1.1%)認められた.授 業内容9「練習中に水を飲んでは行けないのです. 3)スポーツ栄養授業の内容に対する活用度 表4はスポーツ栄養授業の内容が役に立つと感. 199.
(9) 村田 芳久・小柳 文彦. じたか(活用度)を示したものである.なお,回. 養のバランスを保つことは,スポーツライフを望. 答者数が少数であったため,「非常に役に立つ」. ましい形にすることに繋がるため,日頃の指導が. および「少し役に立つ」を「役に立つに」,「全く. 大切である.. 役に立たない」および「あまり役に立たない」を. ②1日の食事のとり方 授業内容2「朝食のポイント」について,87.2%. 「役に立たない」とし,3段階にて比較検討した. ① 運動,栄養,休養のバランス. (男子87.9%,女子86.2%)のものが役に立つと. 授業内容1「運動・栄養・休養のバランスの重. 回答した.一方,全く役に立たない・あまり役に. 要性」について,93.1%(男子94.8%,女子90.8%). 立たないを合わせて見ると,1.5%(男子1.8%,. のものが役に立つと回答した.逆に,全く役に立. 女子1.1%)のものが役に立たないと回答した.. たないと回答したものは男子において0.9%みら. 授業内容3「昼食のポイント」について,83.1%. れ,あまり役に立たないと回答したものは女子に. (男子83.6%,女子82.8%)のものが役に立つと. おいて1.1%みられたのみであった.「運動・栄. 回答した.一方,全く役に立たない・あまり役に. 養・休養のバランスの重要性」については,大半. 立たないを合わせて見ると,2.5%(男子2.6%,. のものが役に立つ内容であると回答したことか. 女子2.2%)のものが役に立たないと回答した.. ら,運動・栄養・休養のバランスの重要性を対象. 授業内容4「夕食のポイント」について,87.2%. 者が感じてくれたと推察できる.運動・栄養・休. (男子87.0%,女子87.2%)のものが役に立つと. 表4 スポーツ栄養授業内容に対する活用度. 人数(%). 全く榔こ あまり榔こ どちらとも 少し 非常に ズ2検定(3段階) 立たない 立たか、 言えない 役に立つ 役に立つ(クラメール係数) 内達劫・栄養・休養全体(n=202)1(0・5)1(0・5)12(5・9)64(31・7)124(61・4). 容 のバランスの重要 男子(11=115)1(0.9) 0(0.0) 5(4.3)33(28.7)76(66.1). 1性. 女子(n=87)0(0.0)1(1.1)7(8.0)31(35.6)48(55.2) 全体(n=203) 2(1.0)1(0.5)23(11.3)76(37.4)101(49.8). 容 朝食のポイント 男子(n=116) 1(0.9)1(0.9)12(10.3) 41(35.3) 61(52.6) 女子(n=87)1(1.1) 0(0.0)11(12.6)35(40.2)40(46.0) 全体(n=203) 3(1.5) 2(1.0)29(14.3)75(36.9)94(46.3) 容 昼食のポイント 男子(n=116) 2(1.7)1(0.9)16(13.8)37(31.9)60(51.7) 女子(n= 87) 1(1.1)1(1.1)13(14.9) 38(43.7) 34(39.1) 全体(n=202) 3(1.5) 5(2.5)18(8.9)66(32.7)110(54.5) 容 夕食のポイント 男子(n=116) 2(1.7)1(0.9)12(10.3)33(28.4)68(58.6) 女子(n=86)1(1.2) 4(4.7) 6(7.0)33(38.4)42(48.8) 全体(n=203) 1(0.5) 3(1.5) 25(12.3) 54(26.6)120(59.1) 谷 間食のポイント 男子(n=116)1(0.9) 2(1.7)14(12.1)27(23.3)72(62.1) 女子(n=87) 0(0.0)1(1.1)11(12.6)27(31.0)48(55.2) ばし こ. 全体(n=203)1(0.5) 9(4.4)34(16.7)67(33.0)92(45.3) 男子(n=116)1(0.9) 7(6.0)13(11.2)38(32.8)57(49.1) *. 女子(n=87) 0(0.0) 2(2.3)21(24.1)29(33.3)35(40.2)(Ⅴ=0・19) らしたい. 全体(n=203) 8(3.9). 23(11.3)43(21.2)66(32.5)63(31.0). 男子(n=116) 7(6.0). 15(12.9)28(24.1)33(28.4)33(28.4). 女子(n=87)1(1.1) つけたいの. 8(9.2)15(17.2)33(37.9)30(34.5). 全体(n=203) 1(0.5). 5(2.5) 32(15.8) 66(32.5) 99(48.8). 男子(n=116) 0(0.0). 2(1.7)14(12.1)34(29.3)66(56.9). 女子(n=87)1(1.1). 3(3.4)18(20.7)32(36.8)33(37.9). 内練習巾に水を飲ん全体(n=202)2(1・0)3(1・5)32(15・8)57(28・2)108(53・5) 芥 ではいけないので 男子(n=115) 0(0.0) 3(2.6) 21(18.3) 26(22.6) 65(56.5) 9 すか. 女子(n=87)2(2.3)0(0.0)11(12.6)31(35.6)43(49.4) 全体(n=201) 4(2.0). 4(2.0)19(9.5)58(28.9)116(57.7). 女子(n= 87) 3(3.4). 3(3.4) 8(9.2) 26(29.9) 47(54.0). Ⅰ 男子(n=114)1(0.9) 三 *:P<0,05. 200. 1(0.9)11(9.6)32(28.1)69(60.5). N,S,:NoSignificant.
(10) 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究. 回答した.一方,全く役に立たない・あまり役に. 全く役に立たない・あまり役に立たないを合わせ. 立たないを合わせて見ると,4.0%(男子2.6%,. て見ると,15.2%(男子18.9%,女子10.3%)の. 女子5.9%)のものが役に立たないと回答した.. ものが役に立たないと回答した.授業内容8「筋. 授業内容5「間食のポイント」について,85.7%. 肉をつけたいのですが」について,81.3%(男子. (男子87.0%,女子86.2%)のものが役に立つと. 86.2%,女子74.7%)のものが役に立つと回答し. 回答した.一方,全く役に立たない・あまり役に. た.一方,全く役に立たない・あまり役に立たな. 立たないを合わせて見ると,2.0%(男子2.6%,. いを合わせて見ると,3.0%(男子1.7%,女子. 女子1.1%)のものが役に立たないと回答した.. 4.5%)のものが役に立たないと回答した.授業. すべての食事ポイントにおいて,大半のものが. 内容9「練習中に水を飲んではいけないのですか」. 役に立つ内容であると回答したことから,対象者. について,81.7%(男子79.1%,女子85.0%)の. は各食事の内容について,重要性を感じたと考え. ものが役に立つと回答した.一方,全く役に立た. る,各食事の理解度を比較すると,昼食の活用度. ない・あまり役に立たないを合わせて見ると,. が最も低い結果であった.昼食は学校給食及び弁. 2.5%(男子2.6%,女子2.3%)のものが役に立. 当であるので,融通は利きにくい.しかし,食べ. たないと回答した.授業内容10「試合前の食事の. る量などの工夫は出来るので,昼食指導で引き続. 仕方を教えて下さい」について,86.6%(男子. き理解を深めていくことが必要と考える.一方,. 88.6%,女子83.9%)のものが役に立つと回答し. 夕食のポイントにおいて「役に立たない」と回答. た.一方,全く役に立たない・あまり役に立たな. するものが最も多かった.放課後の練習後に,直. いを合わせて見ると,4.0%(男子1.8%,女子. ちに帰宅し,食事(場合によっては補食)を摂る. 6.8%)のものが役に立たないと回答した.. ことが理想であると説いたが,部活動終了後はす. 大半の質問項目において,活用度は高い割合を. ぐに塾に行くので夕食を食べるのが遅くなる,練. 示したことから,中学スポーツ選手によくある質. 習直後の間食は校則で禁止されている,などが原. 問についての解説が出来,利用価値のあるものと. 因として考えられる(鈴木,1994).様々な理由. して捉えられたと考える.各項目の活用度を比較. から,今すぐ活用することができなくても,将来. すると,「体重を減らしたいのですが」の質問項. にわたるスポーツライフの中で,知識として備え. 目でやや低い結果であった.現状として,痩せた. ていれば有益と考えられる.今すぐ活用できない. いと思わないものにとっては,すぐに役に立つ内. 場合もあることを念頭においた上で,理解を深め. 容ではないが,知識として理解しておくことは大. ていくことが大切であると考える.. 切である.スポーツ栄養の授業内容について,そ. ⑨ 中学スポーツ選手によくある質問. の内容が自分にとって使えるものかどうかを確認. 授業内容6「もっと背を伸ばしたいのですが」. したところ,高い割合で役に立つと回答した.こ. について,78.3%(男子81.9%,女子73.5%)の. のことからもスポーツ栄養授業の内容は伝わった. ものが役に立つと回答した.一方,全く役に立た. と考えられる.実際の活用となると,個人により. ない・あまり役に立たないを合わせて見ると,. その必要度が変わるため,項目によっては自分に. 4.9%(男子6.9%,女子2.3%)のものが役に立. とって必要のない内容と捉えられた可能性は否定. たないと回答した.また,この項目に関しては男. 出来ない.しかしながら,将来のためには知識と. 女間に有意な差が認められた(P<0.05).男子. して理解しておくことが重要であり,その点にお. において役に立つと回答した割合が多く,関心が. いて,強調して説明すべきであったと考えられる.. 高いことが見受けられた.授業内容7「体重を減 らしたいのですが」について,63.5%(男子56.8%, 女子72.2%)のものが役に立つと回答した.一方,. 4)スポーツ栄養授業前後の意識変化. 表5はスポーツ栄養授業前後の,対象者の食. 201.
(11) 村田 芳久・小柳 文彦. 事・栄養への意識を示したものである.回答者数. において1.7%認められ,また,「あまり役に立た. が少数であるため,「非常に重要である」および「ま. ないので行う必要はない」と回答した割合は2.0%. (男子2.6%,女子1.2%)であり,食事・栄養へ. あ重要である」を「重要である」に,「全く重要 でない」および「あまり重要でない」を「重要で. の意識同様,栄養学習を行う必要がないと回答す. ない」とし,3段階にて比較検討した.授業前に. る割合もわずかながら見られた.少数でも認識が. 食事・栄養について,重要であると回答した割合. 不足しているものがいるならば,その必要性を伝. は91.3%(男子92.4%,女子89.9%)であった.. え続ける必要性があると考える.. 以上のことから,今回実施した短時間で実施が. 一方,授業後に食事・栄養について,重要である. と回答した割合は95.6%(男子95.7%,女子. 容易なスポーツ栄養授業の内容が,中学生選手の. 95.4%)であり,重要であると回答した割合は授. 授業への理解度および活用度において高い値を示. 業後で有意に上昇した(P<0.05).さらに,重. したことから,短時間のスポーツ栄養授業が中学. 要であると回答した割合を細かく見ると,非常に. 校運動部活動参加者の意識の向上及び知識の啓発. 重要であると回答した割合が51.9%から82.7%へ. に役立つ可能性が示された.今後,さらに授業内. と上昇しており,重要度の度合いも高くなる結果. 容を改善し,継続的な実施を試み,栄養改善に向. となった.一方で,重要でないと回答した割合は. けた行動の変容を促すことができ,より簡便なス. 3.3%から4.0%になり,ほぼ横ばいの状態であっ. ポーツ栄養指導法の開発に努めたい.. た.. 表6は栄養学習の必要性についての意識を示し 4.謝辞. たものである.「非常に必要でこれからも続けて. 本研究の実施にあたり,ご協力頂きました各中. いくべき」と回答した割合は50.2%(男子56.5%, 女子41.9%),「必要なので時々行うべき」と回答. 学校の生徒の皆さん,並びに,ご助言およびご協. した割合は36.8%(男子30.4%,女子45.3%)で. 力を賜りました福島康文教諭,大西有教諭,入谷. あり大半のものが学習の必要性を感じていると回. 淑彦校長,並河秀幸教頭,遠藤敦士教諭,北村裕. 答した,しかしながら,「練習時間がなくなるだ. 美教諭,虻川光司校長,高山徹教諭および大熊修. けなのでやらなくていい」と回答した割合は男子. 一教諭に深く感謝致します.. 表5 食事・栄養の必要性. 人数(%) 全く重要 あまり重要 どちらとも まあ重要 でない でない 言えない である. 全体(n=208). 3(1.4). 4(1.9) 11(5.3). 男子(n=119). 2(1.7). 2(1.7). 女子(n= 89) 1(1.1). 2(2.2). 5(4.2) 6(6.7). 非常に重要 である. 82(39.4) 108(51.9) 43(36.1) 39(43.8). 67(56.3) 41(46.1\. 全体(n=202). 6(3.0). 2(1.0). 1(0.5). 男子(n=115). 3(2.6). 1(0.9). 1(0.9) 14(12.2). 26(12.9) 167(82. 96(83.5). 女子(n= 87). 3(3.4). 1(1.1). 0(0.0) 12(13.8). 71(81.6). ほ業前×ほ業後 (全休・3段階) フィツシ1・−の直ヨ妾確率法 P=0,012. 表6 栄養学習の必要件. 人数(%) 全 体 男 子 女 子 (n=201) (n=115) (n= 86). 非常に必要でこれからも続けていくべき. 202. 101(50.2) 65(56.5) 36(41.9). 必要なので時々行うべき. 74(36.8) 35(30.4) 39(45.3). 何とも言えない. 20(10.0) 10(8.7) 10(11.6). あまり役に立たないので行う必要はない. 4(2.0). 3(2.6). 1(1.2). 練習時間がなくなるだけなのでやらなくていい. 2(1.0). 2(1.7). 0(0.0).
(12) 中学校運動部活動参加者の栄養教育に関する研究 平成6年度日本体育協会スポーツ医・科学研究報告No. 参考文献 石井恵子・田口素子・古旗照美・樋口満(1999)ジュニ アアスリートの食事と栄養.ベースボールマガジン朴, pp.14−17 石井好二郎(2002)女子長距離学生アスリートにおける サプリメントの使用状況と諸問題.陸上競技研究第51 号(4):33−3臥. 殖田友子・足達勇輔・古旗照美・金哲彦・金子ひろみ (1996)特集 スポーツ栄養への取り組み.コーチン グクリニック(4):5−18.. Okamurakoji,Doitatsuya,Hamadakoichiro,Sakurai. Ⅳ:3 −23.. 樋口満(1994)スポーツライフ実態調査一食行動・栄養 知識−.ジュニア期のスポーツライフに関する研究(第 1報),平成6年度日本体育協会スポーツ医・科学研究 報告NoⅣ:43−50. 樋口満(1997)ジュニア期のスポーツライフマネジメント. 財団法人 日本体育協会:東京,54−72. 樋口満・石井忠子・田口素子(2000)小・中学生のスポー ツ栄養ガイドブック.女子栄養大学山版部. 樋口満(2001)コンディショニングとパフォーマンス向 上のスポーツ栄養学,市村山版. masao,Matsumotokeitaro,Imaizumikiyoko,Yoshioka. yasuyuki,ShimizuseiichiandSuzukimasashige (1997)Effectofaminoacidandglucoseadministra−. tion dtlringpostexerciserecoveryon protein kinetics. (村田 芳久 旭川校助教授) (′ト柳 文彦 京都教育大学附属桃山中学校). indogs.Am.].Physiol.272:ElO23ElO30. 小沢治夫(1994)スポーツライフ実態調査一勉学とスポー ツ活動の関係について一.ジュニア期のスポーツライ フに関する研究(第1報),平成6年度日本体育協会ス ポーツ医・科学研究報告NoⅣ:66−70. 笠井直美(1994)スポーツライフ実態調査一トレーニン グー.ジュニア期のスポーツライフに関する研究(第 1報),平成6年度日本体育協会スポーツ医・科学研究 報告NoⅣ:60−65. 坂本静男(2002)オーバートレーニング症候群とスポー ツ貧血を知ろう.コーチングクリニック(2):9−15. 杉浦智子(1994)スポーツライフ実態調査一ジュニア期 余生括の実態−.ジュニア期のスポーツライフに関す る研究(第1報),平成6年度日本体育協会スポーツ医・ 科学研究報告NoⅣ:51−65. 鈴木正成(1994)スポーツライフ実態調査一生括リズム からみたジュニア期のスポーツライフー.ジュニア期 のスポーツライフに関する研究(第1報),平成6年度. 日本体育協会スポーツ医・科学研究報告NoⅣ:24− 35.. 鈴木正成・樋口満・小沢治夫・西嶋尚彦・笠井直美・岡 田純一・和久貴洋(1995)スポーツライフマネジメン トに関するサポート活動報告,ジュニア期のスポーツ ライフに関する研究(第2報),平成7年虔R本体育協 会スポーツ医・科学研究報告NoⅥ:2−108. 鈴木正成(1997)ガイドブック ジュニア期のスポーツ ライフマネジメント.財団法人日本体育協会 高戸良之・富松理恵子(1999)中学生のスポーツ選手の 食習慣.体育の科学(1):47−52. 成田和子(2000)小・中学生のためのスポーツ栄養学. 日本文芸社:東京. 西嶋尚彦・岡田純一(1994)スポーツライフ実態調査概要. ジュニア期のスポーツライフに関する研究(第1報),. 203.
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