風化作用による斜長石の変質 : 人形峠地域の花こう岩の例
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(2) 108. 図1人形峠付近の地質略図(岡山県地質図の一部を簡略化)および試料採敢地点. 実験方法 採取した新鮮な花こう岩,風化花こう岩,およびマサのかさ密度を測定し,それぞれか ら拾い出した斜長石粒子については, X線粉末回折分析を行い,さらに化学組成を求めた。 岩石試料のかさ密度(pb)は,乾燥重量(Wd),水中重量(Wi),および含水重量(Ww) を測定し, pb-水の密度× 表1かさ密度 Wd/(Ww-Wi)により求め s a m p le b u lk た。風化花こう岩およびマサに n u m b er d en s ity ついては,充分に風乾してコー. m asa. w e a th e r e d g r a n ite. fr e s h g r a n ite. W. 5. 1. 3 4. W. 4. 1. 5 7. W. 3. 1. 4 8. W. 2. 1. 5 6. W. l. 1.8 1. R l. 2.5 3. R 2. 2.5 5. R 3. 2.6 0. R 4. 2 .6 5. R 5. 2.6 3. g / cd. ティングした後に測定した。結 果を表1に示す。 続いて,新鮮な花こう岩,風 化花こう岩,およびマサのそれ ぞれの試料から,実体鏡下で斜 長石粒子を20数粒ずつ拾い出し, 極細粒の石英・黒雲母などの不 純物を,可能な限り取り除き, Ⅹ線粉末回折分析を行って, Ⅹ 線的に純粋な斜長石(アルバイ.
(3) 表2 EDXによる分析結果と湿式分析(CA)による結果の比較 R ED Ⅹ. 5. W CA. ED Ⅹ. l. W CA. ED Ⅹ. 2 …. W CA. EDⅩ. 3 …. W CA. E DⅩ. W. 4 …. CA. ED Ⅹ. 5 …. CA. ,. T. i O ,. A. l2 0 3. F. e 0. 6 1 .5 7 0 2 2 .7 8. 5 8 .4 7. 6 1 .7 7. 5 9 .3 9. 5 7 .0 5. 0 .2 1. 0 .0 3. 0 .1 6. 0 .2 1. 5 7 .7 8 0 .0 6. 2 6 .2 9. 2 4 ー5 6. 2 6 .9 0. 2 8 .1 2. 3 0 .0 1. 0 .5 7. 0 .2 9. 1 .0 3. 0 .6 5. 2 .0 8. 1 .8 1. 0 .0 6. 0 .0 1. 0. 0 .0 2. 0 .1 5. 0 .0 2. 0 .5 1. 0. 0 .0 5. 0. 0 .1 4. 0 .0 7. 0 .5 3. 3 .3 0. 1 .8 7. 4 .2 7. 4 .4 1. 2 .5 5. 1 .6 6. 0 .1 3. 0.15. 0 .6 6. 0 .2 6. 0 .9 9. 0 .4 4. 0 .3 5. M. n 0. 0. 0 .0 1. 0. 0 .0 1. 0 .2 8. M. g 0. 0. 0 .0 9. 0. 0 .1 0. 0. 5 .7 0. 6 .0 2. 0 .4 3. C. a O. 5 .8 8. 3 .6 5. N. a 2 0. 7 .3 8. 7 .4 6. 6 .9 4. 7 .8 5. 6 .9 2. 6 .8 5. 6 .8 0. 7 .2 2. 4 .7 7. 3 .2 4. 2 .3 3. 3 .8 2. K. 2 0. 0 .8 7. 0 .8 9. 0 .5 3. 0 .6. 1 .0 5. 1 .3 5. 0 .7 1. 0 .7 1. 1 .5 4. 1 .4 6. 3 .3 1. 3 .5 6. H. , 0 (士 ). T o tal. 1 .7 5. 9 9 .1 4. 3 .4 0. 9 9 .1 3. 6 .4 2. 9 8 .2 6. 5 .8 2. 9 8 .8 6. 8 .0 6. 9 5 .2 7. 囲ttftJBInhか聖和剖㊦相場. w t. : S .i O. 9 .7 6. 9 5 .9 2. n開.
(4) 110. トーアンデシン)であることを確認した。使用した機器は, Shimadzu XD- 5型回折装 置であり,分析条件は30KV, 20mA,使用Ⅹ線CuKcx,フィルターNi,時定数2秒, スケール1000cpsである。また, 105℃, 4時間の加熱処理を行って, W3-W5の斜長 石には-ロイサイトが少量含まれていることを確認した。 さらに,粉末にした斜長石をイリジウム箔上で溶融してガラス化し, EDXにより分析 して化学組成を求めたO使用した機器は,走査型電子顕微鏡(Hitachi, S-450型)と エネルギー分散型Ⅹ線マイクロアナライザー(Horiba, Emax2000)である。電子線の 加速電圧は15KV,照射電流は0.03nA,測定時間は100秒, Ⅹ線取出角は52.5。である。 補正計算の方法はBence and Albee (1968)によった。 一部の試料については,湿式分析をも行い,鉄・マンガン・アルカリ・アルカリ土類の 濃度について, EDXによる分析結果と比較検討した(表2)。表2には, Shimadzu D T-30型熱分析装置を用いて測定したH20 (土)の量も示してある。尚, EDXを用い て分析してH20 (±)の量以外の9成分の合計が100^となるように再計算した結果 を表3に示す。 結果と考察 表1から,肉眼的に区分した風化程度の順に,すなわちR5-Rl-Wl-W5の順に, おおまかな傾向として,花こう岩試料のかさ密度が小さくなることが認められる。すでに 述べたように,これら10個の試料はいずれも,カリ長石を多く含む赤味がかった花こう岩 で,ホルンブレンドや黒雲母などの有色鉱物の量に大きな差はないので,ほぼ同じような モードを示すものと思ってもよいだろう。そこで, W3-W5に認められるハロイサイト のような風化によって生じた鉱物の量がそれほど多くはなく,さらに風化変質によって生 じる鉱物の体積や質量の変化がきわめて小さいと仮定することが許されるならば,当地域 の新鮮な花こう岩がマサにまで風化した際,約半分の量が,溶脱してしまったということ が言える。 次に, EDXによる分析結果と湿式分析結果とを比較してみると(表2),重量パーセ ントの数値そのものには,いくらかのちがいはあるものの,傾向としてはよく一致してい るとみることができよう。またH20(±)の量は,風化が進行するにつれて増加して いる。 そこで,風化の進行に従って各成分の量がどのように変化するかについて, EDXによ る分析結果で検討してみよう。表3と図2から,シリカの量は,約60-63wtjという幅 はあるものの著しい変化はないと言えるであろう。一方,アルミナの量は,風化が進行す るにつれて増加している。ナトリウム・カルシウムの量に関しては,カルシウムの量に若 干の変動が認められるものの,両者とも,風化の後期の段階で急に減少する。これとは逆 に,鉄・カリウムの量は,後期の段階で,相対的にやや増加する。 以上の結果は, 9成分の合計が100%になるように計算した数値にもとづいているので, 風化の進行によってある元素が溶脱すれば,他のある元素の量が実際には変わらなくても 相対的に増加することになる。そこで,通常よく行われるように,最も移動しにくいとさ れているアルミナの量が不変であると仮定して,さらに計算し直して作成したのが表4お よび図3・図4である。 これらの表や図から,風化が進行するに従って,ナトリウム・カルシウムの量が,最初.
(5) 風化作用による斜長石の変質. rFl円. 表3 EDXによる斜長石の分析結果(総計100 wt.&) R. 5. R. 4. R. 3. R. 2. R. l. W. l. W. 2. W. 3. W. 4. W. 5. w t. 6 1 .1 2. 6 0 .0 9. 0 .08. 0 .0 9. 2 2 .9 8. 2 3 .8 1. 2 4 .6 8. F e 0. 0 .6 7. 0 .3 0. 1 .3 5. 0 .7 0. 0 .6 0. 1 .0 0. 0 .36. 0 .58. 1.0 9. 2 .1 7. M. n 0. 0. 0 .1 0. 0 .2 2. 0 .1 3. 0. 0. 0 .2 9. 0 .0 6. 0. 0 .1 5. M. g 0. S i O ,. 6 2 .10 0. T i O 2 A. l, 0 3. 6 2 .3 5. 6 1.37. 5 8 .9 9. 6 2 .8 6. 6 0 .0 9. 59 .9 5. 0 .10. 0 .2 1. 0 .0 3. 0 .16. 0 .2 1. 0 .0 6. 2 4 .1 5. 2 6 .5 2. 2 5 .00. 2 7 .2 1. 2 9 .4 6. 3 1 .2 2. 0 2 4 .0 3. 6 0 .2 9. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0 .0 7. C a 0. 5 .9 3. 5 .9 4. 4 .8 5. 3 .7 6. 5 .5 7. 5 .7 5. 3 .3 5. 4 .3 2. 2. 6 6. 0 .1 4. N. 7 .4 4. 7 .2 5. 7 .9 2. 7 .9 2. 7 .26. 7 .0 1. 7 .0 4. 6 .8 8. 5 .0 3. 2 .4 3. 0 .8 8. 1 .4 1. 0 .8 0. 1 .13. 0 .96. 0 .5 3. 1 .0 7. 0 .72. 1.6 2. 3 .4 6. a 2 0. K 2 0. 表4アルミナの量が不変であると仮定した時の計算結果 R. 5. R. 4. R. 3. R. 2. R. l. W. l. W. 2. W. 3. W. 4. W. 5. w t. S iO ,. 6 2 .10. T i O ,. 0. 5 8 .9 9. 5 5 .9 5. 0 .0 8. 0 .0 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. F e 0. 0 .6 7. 0 .2 9. 1 .2 6. 0 .6 7. M. n 0. 0. 0 .1 0. 0 .2 0. 0 .1 2. M. g 0. A. 1, 0 ,. 5 9 .6 3 0. 5 8 .40. 5 1 .12. 5 7 .7 8. 5 0 .7 5. 4 6 .7 6. 0 .10. 0 .18. 0 .0 3. 0 .14. 0 .16. 4 4 .3 8 0 .0 4. 2 2.98. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 2 2 .9 8. 0 .5 7. 0 .8 7. 0 .3 3. 0 .4 9. 0 .8 5. 1.6 0. 0. 0. 0 .2 7. 0 .0 5. 0. 0 .l l. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0 .0 5. C a 0. 5 .9 3. 5 .7 3. 4 .5 2. 3 .6 0. 5 .3 0. 4 .9 8. 3 .08. 3 .6 5. 2 .0 7. 0 .10. N a , 0. 7 .4 4. 7 .0 0. 7 .3 7. 7 .5 7. 6 .9 1. 6 .0 7. 6 .4 7. 5 .8 1. 3 .9 2. 1.7 9. K 2 0. 0 .8 8. 1 .3 6. 0 .7 4. 1 .0 8. 0 .9 1. 0 .4 6. 0 .9 8. 0 .6 1. 1 .2 6. 2 .5 5. 1 0 0 .0 0. 9 6 .5 3. 9 3 .10. 9 5 .6 5. 9 5 .1 7. 8 6 .6 6. 9 1 .9 2. 8 4 .4 8. 7 8 .00. T o ta l. 7 3 .6 0. は徐々に,後期の段階で急に減少すること,シリカの量は多少の変動があるものの,風化 の進行に伴って減少することが明きらかに認められる。さらに,今回の試料中では最も新 鮮な花こう岩中の斜長石(R5)の各成分の合計を100とした場合,最も風化したW5で は約74であり,斜長石の約4分の1の量が溶脱していることが分る。 岩石試料のかさ密度の減少から,当地域の花こう岩は風化により,その約半分が溶脱し ていることはすでに述べたが,その溶脱量の約半分は斜長石の風化溶脱に帰因し,残りの 半分は,おそらく,黒雲母,ホルンブレンド,および石英の溶脱によるものと思われる。 しかしながら,そのことを明きらかにするためには,黒雲母・ホルンブレンドについても 同様の実験を行い,さらに,岩石試料総体としての化学分析も必要である。 今回は,アルミナの量が不変であると仮定して検討を行ったが,すでに述べたように, マサ中の斜長石には-ロイサイトが生じており,実際の溶脱量は,もっと多いことが予想 される。.
(6) 112. weat轟erad. 図2風化の進行に伴う主要6成分の変化.
(7) 113. 風化作用による斜長石の変質. 〝Gathered. 図3アルミナの量が不変であると仮定した時の, 5成分の変化.
(8) HE!. RI R2 :!3. ォ ■ ● l■ 、t.. TL). IE. 図4風化の進行に伴う斜長石の溶脱畳の変化. 文献 Bence, A. E. and Albee, A. L., 1968: Empirical correction factors for the electron microanalysis of silicates and oxides. Jour. Geol. 76, 382-403. 木宮-邦, 1975a :花こう岩類の物理的風化指標としての引張強度-花こう岩の風化・第1報地質雑, 81, 349-364. , 1975b :三河・寓草地域の花こう岩礫の風化速度-花こう岩の風化・第2報-地質 I, 81, 683-696.. , 1981 :三河高原の風化殻とその形成時期-花こう岩の風化・第3報-地質経, 87, 91-102.. ・国分直子, 1982 :美濃高原に分布する赤色風化殻の化学的性質,静大教育研報(自然科 学), (33), 31-46. ・滝川英彦・井谷浩子, 1982 :愛知県東加茂郡下山村の赤色マサの産状とその鉱物学的・化 学的性質-花こう岩の風化・第4報-.静大地球科学研報, (7), 1-8. 岡山県, 1979:岡山県地質図(1/100,000) 徳山明・湊秀雄, 1986 :古期深層風化殻の形成と後期第三紀以降の地形化作用( I )風化殻形成の機 棉.地学雑, 95, 114-125..
(9) 風化作用による斜長石の変質. 115. Decomposition of plagioclase by weathering -An example of granite distributed to the south of Ningyo-toge Pass-. Toshiharu Nishimura. Decomposition of plagioclase in granite distributed to the south of Ningyotoge Pass, Okayama Prefecture, was investigated preliminarily. Bulk density decreases gradually from 2.6 g/cm3 0f fresh granite to 1.3 g/ cm3 of "masa" through weathered granite. Chemical composition of plagiclase was obtained by the use of energy dispersive X-ray microanalyser. As weathering preceded, Si02 shows the trend to decrease. Both of Na20 and CaO decrease gradually at initial stage of weathering and rapidly at masa stage. On the assumption that A1203 has not been removed during weathering, it can be said that about a quarter of plagioclase has leached out..
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