● 発電プラントでは,復水器からの海水リーク発生を酸電気伝導率測定により常時監視している。 しかし,復水器真空破壊を伴う一時停止後のプラント起動時には,妨害成分の影響で酸電気伝導率 が上昇して海水リークを検出できないため,化学員の手分析による塩化物イオン濃度などの確認が 必要となっている。そこで,我々はプラント起動時を対象に,試料水中の塩化物イオンを選択的に 除去して除去前後の酸電気伝導率の差分から海水リーク発生を連続監視する新技術を開発した。
In power plants, seawater leakage from the condenser are continuously monitored by measuring acid electrical conductivity. However, at the time of starting up the power plants after a temporary stop with vacuum break of condenser, the acid electrical conductivity increases due to the influence of disturbing components, and seawater leakage cannot be detected. So, it is necessary to confirm the chloride ion concentration by manual analysis of chemical engineers. Therefore, we have developed a new technology for monitoring the seawater leakage from the difference in acid electrical conductivity before and after removal by selectively removing chloride ions in the sample water at the time of starting up of the plants.
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1.はじめに
復水器の冷却水として海水を使用する発電プラントに おいて,復水器からの海水リークが発生した場合に迅速 な措置を講じなければ,給・復水,蒸気,減温器スプレー 系統を通じてボイラ・タービンに重大なトラブルが生じ る。そのため,発電プラントでは復水器からの海水リー ク発生を復水検塩装置等の酸電気伝導率測定により常時 監視しており,通常運転時には的確に海水リークを検出 できる。しかし,復水器の真空破壊を伴う一時停止後の プラント起動時には,復水への大気中の二酸化炭素の溶 解や系内の汚れの影響により酸電気伝導率が上昇し,海 水リークが判定できない。そのため,現在は塩化物イオ ン濃度0.1mg/L 程度を判定基準値として,化学員が復 水を適宜採取してイオンクロマトグラフ分析等の手分析 により間欠的に海水リークの有無を確認している。 プラント起動は,人手が不足する休日・深夜等に実施 することが多いため,プラント起動時における万一の海 水リーク発生を的確に連続監視可能で,かつ,発電当直 員でも判定可能となる技術が求められている。 そこで,我々はプラント起動時を対象に,簡便な装置 で海水リーク発生を連続監視可能となる技術を開発した ので,以下にその検討結果を記す。2.新たな連続監視手法の検討
2.1 従来の海水リーク監視技術の概要 給・復水系に関係する代表的な陽イオン及び陰イオン の極限モル伝導率を表1に示した(1)。 表1 代表的な各イオンの極限モル伝導率λ∞(25℃)(1) 陽イオン λ+∞ 10-4S・m2/mol 陰イオン λ- ∞ 10-4S・m2/mol H+ 350.1 OH- 198 NH4+ 73.7 HCO3- 44.5 N2H5+ 59 1/2CO32- 69.3 Na+ 50.11 Cl- 76.31 K+ 73.5 1/2SO 42- 80.0 1/2Ca2+ 59.5 H 2PO4- 33 1/2Fe2+ 53.5 1/2HPO 42- 33 1/3Fe3+ 69 1/3PO 43- 69.0 種々のイオンを含む希薄溶液では加成性が成立し,電 気伝導率は溶液中に含まれる各イオン成分の濃度と極限 モル伝導率との積の総和となる。従って,電気伝導率に *1株式会社四国総合研究所(Shikoku Research Institute INC.)
*2四国電力株式会社
(Shikoku Electric Power Company, Incorporated) 原稿受付 令和元年12月20日
プラント起動時における海水リーク連続監視技術の開発
(Development of Continuous Monitoring Technology for Seawater Leakage from Condensers at Starting up the Power Plants)
山 地 豪
*1・秋 山 博
*2・難 波 正 徳
*1より給水純度や薬品注入濃度が把握可能であり,発電プ ラントの水質管理に広く用いられている。 従来の海水リーク監視技術の概要とその課題点を図1 に示した。従来の海水リーク監視は,復水の一部を採取 し,陽イオン交換樹脂を通して酸電気伝導率を常時監視 する簡便な装置である。発電プラントの給・復水系では, 防錆剤としてアンモニア等が添加されるが NH4+等の陽 イオンは H+にイオン交換される。通常運転時では防錆 剤以外のイオンは殆ど含まないため,酸電気伝導率は純 水相当となる。万一の海水リークにより復水に NaCl が 混入した場合には,NaCl が HCl にイオン交換され,酸 電気伝導率は式1に示すように通常の電気伝導率に比べ て検出感度が3倍程度増幅され,酸電気伝導率の上昇に より微少な海水リークでも的確に検知できる。 酸電気伝導率/電気伝導率 =α(λH+∞+ λCl -∞)/α(λNa+∞+λCl -∞) (α : モル濃度) =(350.1+76.31)/(50.11+76.31)≒3.37 …式1 図1 従来の海水リーク監視技術の概要とその課題点 酸電気伝導率 0.05mS/m 海水リーク 海水リーク 警報点 時刻 プラント起動時には、炭酸水素イオン(大気中CO2)や硫酸イオン等(系内の汚れ) の影響で酸電気伝導率が警報点を超えるため、海水リークが判定できない。 復 水 通常運転時 真空破壊後の プラント起動時 NH4+,OH-, N2H5+,OH-, H2O, (Na+, Cl-) NH4+,OH-, N2H5+,OH-, H+,HCO 3-, 2H+,SO4 2-H2O, (Na+, Cl-) 陽イオン交換樹脂 (R-H) R-H + NH4OH → R-NH4 + H2O R-H + N2H5OH → R-N2H5 + H2O R-H + NaCl→ R-Na+ HCl 4 H+,HCO 3-, 2H+,SO2-, H2O, (H+, Cl-) H2O, (H+, Cl-) 酸電気伝導率測定 しかし,復水器の真空破壊を伴う一時停止時には,大 気中の二酸化炭素が復水に溶解し,炭酸水素イオンとし て酸電気伝導率が上昇する。極限モル伝導率から計算す ると炭酸水素イオン濃度0.1mg/L 程度でも酸電気伝導 率が0.05mS/m を超えるため,その影響を除去する脱 ガス酸電気伝導率計が開発・市販されている(2),(3)。一方, 発電プラントでは,純水装置や復水脱塩装置にイオン交 換樹脂が使用され,樹脂の劣化や再生に伴って極めて微 量ながら硫酸イオン等のイオン成分が経年的に給・復水 系機器の保護皮膜中に取り込まれ,起動時の非定常状態 では鉄を主体とした系内の汚れと共に排出される。同様 に計算すると,復水中に0.06mg/L 程度の硫酸イオンが 混入しても酸電気伝導率は更に0.05mS/m 以上上昇す る。 従って,復水器の真空破壊を伴う一時停止後のプラン ト起動時には,系統水のブロー等によりこれら妨害成分 が排出されるまで海水リークが判定できない状態が継続 するため,各種水質監視計器の状態監視に加え,化学員 が間欠的に塩化物イオン濃度を測定して海水リーク有無 を判定する必要がある(4)。 2.2 新たな海水リーク連続監視方法の検討 2.2.1 検討概要と測定原理 プラント起動時における新たな海水リーク連続監視方 法の検討概要を表2に示した。海水リーク監視方法とし て,イオンクロマトグラフやイオン電極等が知られてい るが,間欠測定のイオンクロマトグラフでは連続監視は できず,イオン電極では微少な海水リーク検出は困難で ある(5),(6)。これに対し,通常運転時の酸電気伝導率測 定は,信頼性の高い優れた海水リーク連続監視方法であ る。 そこで,我々は電気伝導率に加成性が成立する原理を 応用した新たな海水リーク検出方法を検討した。 各種イオンの混合溶液から塩化物イオンが選択的に除 去できれば,溶液からは塩酸が除去される(式2,3)。 H ――――――― ++Cl-+R-OH → R-Cl+H 2O(イオン交換) …式2 H ――――――― ++Cl-+M+・OH-→ M ――――――― +・Cl-+H 2O(沈降分離) …式3 従って,塩化物イオン除去前後の酸電気伝導率 A と酸 電気伝導率 B の差分(A-B)は,塩酸の電気伝導率に相 当し,海水リーク検出の妨害成分を含んでいても,通常 運転時の酸電気伝導率測定と同様に原理的には塩化物イ オン濃度が演算可能と考えられる。 表2 新たな海水リーク連続監視方法の検討概要 区分 検出方法 検出器 感度 検出成分 間接法 連続測定 酸電気伝導率 (通常運転時) 電気伝導率計 〇 H +,Cl- 酸電気伝導率 (起動時) × H +,Cl-,H+,HCO 3-, 2H+,SO 42-他 新たな 連続監視技術 (本研究) 電気伝導率計A H+,Cl-,H+,HCO3-, 2H+,SO 42-他
↓
↓
塩化物イオンを 選択的に除去 電気伝導率計B H+,Cl-,H+,HCO3-, 2H+,SO 42-他 電気伝導率の 差分(A-B) 〇 H+,Cl- 直接法 間欠測定イオンクロマトグラフ 電気伝導率計 ◎ 任意の海水成分(Na+ or Cl-) 直接法 連続測定 イオン電極 ガラス電極 × 任意の海水成分(Na+ or Cl-)本研究では,塩化物イオンの選択的な除去方法として, イオンクロマトグラフ分析の前処理として妨害成分除去 に使用される固相抽出カラム(樹脂)に着目した。固相 抽出カラムは交換容量に制限はあるが,除去対象となる イオン種に応じた樹脂を少量充填した数千円 / 個のパッ ケージが市販されており,塩化物イオンを塩化銀として 選択的に沈降分離する銀イオン型強酸性陽イオン交換樹 脂(以下,銀型樹脂と称す)が知られている。 一般的に,銀型樹脂は海水等高濃度溶液の前処理に使 用されるが,今回は,低濃度塩化物イオン除去が目的と なる。強酸性陽イオン交換樹脂における銀イオンの選択 係数は大きいため,R-Ag+は NH 4+や Na+等の陽イオン とはイオン交換せず,銀型樹脂では R-Ag+・Cl-として 塩化物イオンを樹脂内に選択的に捕捉することが期待で きる。 塩化物イオン濃度1 mg/L の NaCl 溶液を用いた基礎 試験結果を図2に示した。その結果,銀型樹脂は1mg/ L の塩化物イオンでも高効率に除去でき,pH 9以上の アルカリ側で処理すればほぼ完全除去できることを確認 した。 図2 銀型樹脂による微量塩化物イオン除去試験結果 2.2.2 新たな海水リーク連続監視装置の開発 プラント起動時を対象とした,新たな海水リーク連続 監視装置の概要を図3に示した(7)。本装置(特許取得 済(8))は,ポンプ類と樹脂類や電気伝導率計等,簡便な 機器から構成されている。AVT に用いるヒドラジンが 銀型樹脂を劣化させたため,本装置では陽イオン交換樹 脂を通過した酸電気伝導率測定後の復水を用いて pH 調 整後,その一部を2~10ml/ 分程度で定量供給して銀型 樹脂の有無による酸電気伝導率を連続計測し,その差分 から塩化物イオン濃度を算出する。なお,共存する炭酸 水素イオンは銀型樹脂で除去されず,酸電気伝導率測定 に脱ガス処理は必ずしも必須ではなかったが,pH によ る炭酸水素イオンの濃度変化が知られており(9),本装置 には電気伝導率測定の精度向上のために脱気膜による脱 ガス処理を付与することとした。 プラント起動は人手が不足する休日・深夜等に実施す ることが多く,海水リーク監視対象となる起動時は数十 時間であるため,本装置は起動ユニットに都度設置する 可搬型(約600W ×1150H ×500D)として,プラント 起動に併せてタイマー制御により稼働させる。なお,プ ラント停止中に本装置をあらかじめ酸電気伝導率測定ラ インに接続し,必要量の銀型樹脂と陽イオン交換樹脂を 取り付けて純水を連続通水して待機状態としておく。 図3 新たな海水リーク連続監視装置の概要 本装置における塩化物イオン濃度換算値の表示例を図 4に示した。本装置では,酸電気伝導率や流量を連続計 測するとともに,塩化物イオン濃度換算値を自動計算し てノートパソコンに連続表示する。設定した警報値を超 過すると警報発信し,発電当直員でも起動時における海 水リークが連続監視できるようなシステムとした。 図4 塩化物イオン濃度換算値の表示例
3.発電所での実機試験
3.1 実機試験方法 AVT 運用中貫流プラントでの起動時における実機試 験の概要を図5に示した。実機試験は,比較的系内の汚 れが多い定検試運転時に行うこととし,本装置を試料採 取装置の分析計ラック周辺に設置し,復水ポンプ出口水 の酸電気伝導率測定ラインに接続した。 実機試験では,まず,復水ポンプ出口水の酸電気伝導 率の推移を調査するとともに,適宜試料採取してイオン クロマトグラフ分析を行い,起動時の復水中に含まれる 塩化物イオン濃度や硫酸イオン濃度の実態調査を行っ た。 次に,起動時の微少な海水リークを模擬するため,酸 電気伝導率測定後の復水に,塩化物イオン濃度が概ね 0.05~0.2mg/L となるよう本装置内で希薄な NaCl 溶 液を微量定量ポンプで適宜添加した後,銀型樹脂が塩化 物イオンを高効率に保持するよう,試料水を pH 9以上 に調整した。実機試験では銀型樹脂通水前後の酸電気伝 導率を連続計測するとともに試料水を採取して同様にイ オンクロマトグラフ分析を行い,銀型樹脂による塩化物 イオン除去効果を評価した。また,銀型樹脂通水前後の 酸電気伝導率の差分と塩化物イオン濃度との関係を調査 して,プラント起動時における微少な海水リークに対す る本装置の検出性能を評価した。 図5 AVT運用中貫流プラントでの実機試験の概要 3.2 実機試験結果 3.2.1 起動時における復水の水質状況 今回の実機試験時における復水ポンプ出口水の酸電気 伝導率の推移を図6に示した。復水ポンプ出口水の酸電 気伝導率は,復水再循環工程開始時から警報レベルの 0.05mS/m を大きく超過しており,真空上昇時には 0.5mS/m 付近まで上昇し,デミ通水後の復水再循環工 程完了直前まで警報発信が継続した。また,低圧クリー ンアップ工程からボイラクリーンアップ工程までの酸電 気伝導率は0.05mS/m 前後で推移しており,警報解除 後も水質変動によって再度警報発信する状況が見られ た。 従って,従来の酸電気伝導率監視のみでは,起動時に おける海水リークの有無が判定できないことが確認され た。 図6 貫流ユニット定検試運転時の酸電気伝導率の推移 今回の実機試験における復水ポンプ出口水(酸電気伝 導率計出口水)の水質分析結果を表3に示した。なお, 試料採取時の酸電気伝導率の平均値を併せて示した。 水質分析の結果,塩化物イオン濃度は0.01mg/L 未満 であり,今回の起動時に海水リークは発生していないが, 系内の汚れと共に排出された保護皮膜中の硫酸イオンが 復水再循環開始初期には0.3mg/L 程度含まれていた。 極限モル伝導率から計算すると硫酸による酸電気伝導率 は0.27mS/m 程度と見積もられ,硫酸イオンも従来の 酸電気伝導率計の警報誤発信の一因であることが確認さ れた。表3 実機試験時における復水の水質分析結果 起動工程 採取時刻 復水ポンプ出口水(酸電気伝導率計出口水)塩化物イオン (mg/L) 硫酸イオン(mg/L) 酸電気伝導率(mS/m) 復水 再循環 11/30 10:45~11:00 <0.001 0.31 0.319 12:00~12:17 0.003 0.37 0.409 13:30~13:45 <0.001 0.18 0.268 14:30~14:45 <0.001 0.12 0.221 15:15~15:30 <0.001 0.07 0.184 17:23~17:37 0.004 0.02 0.091 18:00~18:14 0.001 0.02 0.087 18:42~18:59 0.001 0.02 0.087 19:40~20:00 0.001 0.02 0.077 20:40~21:05 0.001 0.01 0.070 高圧 クリーンアップ 12/1 5:40~ 5:55 <0.001 0.01 0.051 ボイラ クリーンアップ 11:40~11:5520:48~21:03 <0.0010.003 <0.010.04 0.0380.061 3.2.2 銀型樹脂による塩化物イオン除去効果 プラント起動時の微少な海水リークを模擬するため NaCl 溶液を適宜添加し,銀型樹脂における塩化物イオ ン除去効果を調査した。銀型樹脂への通水前後の水質分 析結果を表4に示した。なお,試料採取時の酸電気伝導 率の平均値を併せて示した。 NaCl溶液の添加により,銀型樹脂通水前の塩化物イオ ン濃度は最大0.2mg/L程度を示したが,通水後はいずれ も0.01mg/L未満に低減し,銀型樹脂により塩化物イオ ンがほぼ完全に選択除去できた。なお,塩化物イオン濃 度測定に影響しないレベルだが,銀型樹脂通水後に硫酸 イオン濃度が平均0.05mg/L程度上昇した。これは銀型 樹脂の基材がスチレン系スルホン酸樹脂であり,官能基 スルホン酸(-SO3H)からの微量溶出と考えられる。なお, NaCl溶液を添加しない場合に,微量硫酸イオンの影響で 銀型樹脂通水後の酸電気伝導率が逆に上昇したが,NaCl 溶液添加時には銀型樹脂による塩化物イオン除去に伴っ て概ね酸電気伝導率が低減することを確認した。 3.2.3 開発技術による海水リーク連続監視結果 前述した銀型樹脂への通水前後における酸電気伝導率 の差分と塩化物イオン濃度の手分析値との関係を図7に 示した。酸電気伝導率はイオン成分の濃度と極限モル伝 導率との積の総和となるため,塩化物イオン濃度と酸電 気伝導率の差分は理論的には一次式で表される。 前述のとおり,塩化物イオン濃度が低い場合に銀型樹 脂から溶出した硫酸イオンの影響によって切片部分が存 在するが,今回のプラント起動時における実機試験デー タにおいて両者は理論どおり一次式で表され,決定係数 R2=0.95と高い相関関係が確認された。従って,本技術 により塩化物イオン濃度が酸電気伝導率測定値を元に直 線近似式で演算できることが判った。 図7 酸電気伝導率の差分と塩化物イオン濃度との関係 そこで,今回の実機試験で得られた近似式を用い,酸 電気伝導率の差分から塩化物イオン濃度換算値を求め, イオンクロマトグラフ分析による手分析値との関係を図 8に示した。その結果,本技術により高精度なイオンク ロマトグラフ分析による手分析値に対して標準偏差 σ =0.014程度の塩化物イオン濃度換算値が得られた。 今回の試験結果から,本技術は現在の手分析による塩 化物イオン濃度測定に代替可能な簡易手法となり得るこ とが判った。 表4 銀型樹脂への通水前後の水質分析結果 採取時刻 塩化物イオン (mg/L) 硫酸イオン(mg/L) 酸電気伝導率(mS/m) 銀型樹脂 通水前 銀型樹脂通水後 銀型樹脂通水前 銀型樹脂通水後 銀型樹脂通水前 銀型樹脂通水後 11/30 10:45~11:00 0.003 <0.001 0.25 0.35 0.238 0.271 12:00~12:17 0.062 0.003 0.36 0.45 0.460 0.473 13:30~13:45 0.129 <0.001 0.22 0.25 0.390 0.299 14:30~14:45 0.215 <0.001 0.15 0.16 0.474 0.251 15:15~15:30 0.006 <0.001 0.09 0.11 0.183 0.227 17:23~17:37 0.055 0.006 0.03 0.09 0.107 0.078 18:00~18:14 0.107 0.005 0.03 0.09 0.160 0.079 18:42~18:59 0.187 0.003 0.03 0.09 0.274 0.081 19:40~20:00 0.003 0.005 0.02 0.09 0.044 0.074 20:40~21:05 0.117 0.009 0.02 0.08 0.160 0.083 12/1 5:40~ 5:55 0.116 0.004 0.01 0.05 0.133 0.052 11:40~11:55 0.116 0.006 0.01 0.05 0.124 0.050 20:48~21:03 0.113 0.005 0.03 0.07 0.130 0.075 :NaCl添加時
図8 塩化物イオン濃度の手分析値と換算値との関係 また,酸電気伝導率は連続計測が可能であるため,本 技術により海水リークの連続監視が可能である。そこで, 実機試験により連続計測した酸電気伝導率と近似式から 塩化物イオン濃度換算値を求め,その推移を図9に示し た。今回の実機試験では NaCl 溶液を適宜添加して微少 な海水リークを模擬しており,本技術による塩化物イオ ン濃度換算値は NaCl 溶液の添加に応じて迅速に変化し ていることが判る。 従って,本技術により連続的に塩化物イオン濃度換算 値を自動計算し,判定基準として0.1mg/L 程度の警報 点を設定するシステムを構築すれば,イオンクロマトグ ラフ分析を行わずにプラント起動時の微少な海水リーク 発生を的確に連続検出できる見通しが得られた。