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腰椎手術における脊髄造影および脊髄造影後CTの有用性についての検討

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原 著

第 49 回日本脊椎脊髄病学会優秀論文 J. Spine Res. 12: 751-758, 2021

腰椎手術における脊髄造影および

脊髄造影後 CT の有用性についての検討

矢倉 一道1 石原 陽平1 神 浩二2 豊根 知明3 森下 益多朗1 要 旨 はじめに:腰椎疾患に対し術前に施行した脊髄造影/脊髄造影後 CT(CTM)と MRI 所見を評価し,病態 把握や術式選択における脊髄造影/CTM の有用性を検討した. 対象と方法:当院で脊髄造影を施行した腰椎疾患 106 例を対象とし,A 群:MRI で把握できなかった所 見を認め,手術に至った症例・術式の再検討を要した症例群,B 群:MRI で把握できなかった所見を認め たが,術式変更を要さなかった症例群,C 群:MRI に対し新たな所見を認めなかった症例群に分類し検討 した. 結果:A 群:7 例(動的狭窄を認め除圧高位を追加した症例:3 例,不安定性を認め除圧固定術に変更した 症例:3 例,CTM で上関節突起症候群と診断がつき手術に至った症例:1 例),B 群:5 例(黄色靭帯の骨 化巣を認めた症例:3 例,X 線と MRI で確認できなかった腰椎分離症を認めた症例:1 例,神経根奇形の 合併を確認できた症例:1 例),C 群:94 例であった.合併症は頭痛を 4 例,皮膚症状を 1 例認めたが重篤 な合併症は認めなかった. 結語:脊髄造影/CTM は動的因子や骨性成分による神経圧迫の把握に優れ,腰椎疾患の術式立案に際し有 用な検査であると考えられた. キーワード:腰椎手術,脊髄造影,脊髄造影後CT

はじめに

脊髄造影,脊髄造影後 CT(CTM)は従来より脊 椎疾患に対し一般的に施行されている画像検査で, 骨成分と神経の詳細な描出が可能なため,正確に病 態を把握し,特に手術方法の立案に非常に有用と考 えられている.その一方,入院が必要な事や合併症 の報告も認められており,近年,MRI の普及により 必要性を疑問視する報告もあり,脊髄造影を行わず 手術を施行する施設も増加している1).我々の施設で は可能な限り術前に脊髄造影を行っており,MRI だけでは病態が把握できず脊髄造影で初めて病変が 確認できた症例,脊髄造影の所見をもとに術式を再 検討した症例を数多く経験してきた.今回我々は, 腰椎疾患に対し術前に施行した脊髄造影/CTM と MRI 所見を評価し病態把握や術式選択における脊 髄造影/CTM の有用性を検討したので報告する.

対象と方法

2018 年 9 月から 2019 年 8 月に当院で腰椎手術を 施行した 136 例について,後ろ向きに診療記録の記 載に基づいて検討した.予定された腰椎手術は 135 連絡先:矢倉 一道([email protected]) 1麻生総合病院脊椎脊髄病センター 2昭和大学藤が丘病院整形外科 3昭和大学医学部整形外科学講座 受付日:2020 年 12 月 29 日,採用日:2021 年 2 月 22 日 Copyright Ⓒ Journal of Spine Research

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表 1 各群の内訳 A 群(n=7) B 群(n=5) C 群(n=94) total(n=106) 手術時年齢(歳) 69.6±11.9 55.0±19.1 70.6±10.4 69.8±11.3 観察期間(月) 15.1±6.7 14.6±7.0 14.2±5.6 14.3±5.7 術前 JOA 10.9±2.9 11.2±3.3 13.8±4.1 13.5±4.0 術後 JOA 22.7±2.5 22.8±5.8 24.6±2.6 24.3±2.8 改善率(%) 64.5±15.1 68.1±25.8 69.5±17.6 69.1±17.8 症例内訳(例) LSS 3 4 64 71 変性すべり症 2 19 21 椎間板ヘルニア 1 5 6 分離すべり症 1 3 4 その他 1 3 4 最終的に選択した術式(例) 内視鏡下除圧術 1 2 41 44 直視下除圧術 3 2 38 43 除圧固定術 3 8 11 内視鏡下ヘルニア摘出術 1 5 6 その他 2 2 脊髄造影時合併症(例) 頭痛 1 1 2 4 皮膚症状 1 1 周術期合併症(例) 硬膜損傷 2 2 術後硬膜外血腫 1 1 例であり,全例に対し初めに術前単純 X 線写真, MRI 画像等の所見をもとに大まかな術式を検討し た.その結果,29 例(MRI で狭窄を伴わない椎間板 ヘルニア 23 例,神経症状のない破裂骨折 3 例,感染 を伴う 2 例,ヨードアレルギー合併 1 例)では脊髄 造影は不要と判断した.また,高度変形のため手技 的に 刺困難であった症例を 1 例認めた.最終的に 脊髄造影/CTM 施行後に詳細な術式を立案し手術 を行った 105 例および脊髄造影により初めて病態が 解明し手術に至った 1 例,合計 106 例を対象とした. それら症例を A 群:脊髄造影/CTM により MRI で は把握できなかった所見を認め,病態を解明し手術 に至った症例および術式の再検討を要した症例群, B 群:MRI では把握できなかった所見を認めたが 術式変更までは必要なかった症例群,C 群:MRI に対し新たな所見を認めなかった症例群,に分類し 検討した.統計学的検討は Mann-Whitney s U test, Fisher s exact test を用いて行い,p<0.05 を有意と した.

結 果

男 性 55 例,女 性 51 例,手 術 時 平 均 年 齢:69.8 (24∼88)歳,平均経過観察期間:14.3(3∼24)ヶ月 で症例内訳は脊柱管狭窄症(LSS)71 例,変性すべ り症 21 例,椎間板ヘルニア 6 例,分離すべり症 4 例,その他 4 例であった(表 1).脊髄造影後合併症 は頭痛 4 例,皮膚症状 1 例を認めたが重篤化する事 なく,検査後入院を継続し手術を施行した 26 例を除 く全例において,翌日退院可能であった.A 群:7 例(6.6%),B 群:5 例(4.7%),C 群:94 例(88.7%) に分類され,A 群は脊髄造影後動態撮影において後 屈時に明らかな造影剤の通過障害を認め動的狭窄と 判断し,除圧高位を追加した症例が 3 例,後方開大 10̊ 以上,Meyerding 分類 grade 2 以上の不安定性を 伴う狭窄を認め除圧固定術に変更した症例が 3 例, MRI で有意な所見がなく CTM で上関節突起症候 群(SFS)と診断でき手術に至った症例が 1 例であっ た.B 群は CTM で黄色靭帯の骨化巣を認めた症例 が 3 例,単 純 X 線 写 真 と MRI 画 像 で 確 認 で き な かった腰椎分離症を認めたものが 1 例,神経根奇形 の合併を確認できた症例が 1 例であった(表 2).最 終的に選択した術式は内視鏡下除圧術 44 例,直視下 除圧術 43 例,除圧固定術 11 例,内視鏡下ヘルニア 摘出術 6 例,その他 2 例であった.C 群で硬膜損傷を

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図 1 A 群 症例 1

a.MRI T2 矢状断,b.MRI T2 水平断(L1/2),c.MRI T2 水平断(L2/3),d.脊髄造影前屈位 X 線側面 像,e.脊髄造影後屈位 X 線側面像(矢印:動的狭窄部) 表 2 脊髄造影所見と手術への影響 脊髄造影所見 手術への影響 A 群(7 例) 動的狭窄(3 例) 除圧範囲の拡大(2 椎間追加 1 例,1 椎間追加 2 例) 不安定性(3 例) 除圧固定術に変更 上関節突起症候群(1 例) 内視鏡下除圧術を施行 B 群(5 例) 黄色靭帯骨化(3 例) 硬膜の癒着,硬膜損傷に注意を要した. 腰椎分離(1 例) 分離部の癒着に注意を要した. 神経根奇形(1 例) 除圧不足,神経損傷に注意を要した. 2 例,術後硬膜外血腫を 1 例認めたが,その他特に重 篤な合併症は認めなかった.JOA スコアは A 群: 術前平均 10.9±2.9 点,最終観察時平均 22.7±2.5 点 (改善率 64.5±15.1%),B 群:術前 11.2±3.3 点,最終 観察時 22.8±5.8 点(68.1±25.8%),C 群:術前 13.8 ±4.1 点,最終観察時 24.6±2.6 点(69.5±17.6%)であ り,いずれも ABC 群間で有意差は認めなかった(表 1).

症例供覧

A 群 症例 1:79 歳,男性.主訴:腰痛,両下肢 痛,間欠性跛行.MRI で L3/4,4/5,5/S に高度の狭窄 を認め,L3/4∼5/S を除圧術の適応と考えた.しか し,脊髄造影後動態撮影で後屈時に L1/2,2/3 の動 的狭窄を認め, L1/2,2/3 の除圧を追加した(図 1). JOA ス コ ア:術 前 9 点→術 後 24 点(改 善 率 75.0%). A 群 症例 2:50 歳,女性.主訴:右下肢痛,筋 力低下(右 L5 領域),SLR test は 20̊(+)で歩行困 難な状態であった.MRI では明らかな異常所見は認 めず,病態把握が困難であった.脊髄造影にて右 L 5 神経根描出が不良,CTM でも右 L5 上関節突起内 側部の骨突出を認め,SFS と診断した(図 2a∼e). 手術は内視鏡下除圧を施行したが,術前の評価通り 上関節突起部での神経根の骨性圧排を認めた(図 2 f,g).JOA スコア:術前 7 点→術後 24 点(改善率 77.3%),症状の著しい改善を認めた. B 群 症例 3:74 歳,女性.主訴:腰痛,両下肢痛, 知覚障害,間欠性跛行.MRI で L4/5 に高度の狭窄を 認め,L4/5 の除圧を計画した.CTM では L4/5 に黄 色靭帯の骨化と,それに伴う著しい硬膜囊の圧排を 認めた(図 3a∼d).術前に骨化巣の詳細が把握でき ていたため,十分注意を払ったうえで術中トラブル を起こすことなく手術を施行することができた(図 3e,f).JOA スコア:術前 13 点→術後 29 点(改善

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図 2 A 群 症例 2

a.MRI T2 矢状断,b.MRI T2 水平断(L4/5),c.脊髄造影 X 線正面像(矢印:右 L5 神経根の描出不良),d.CTM 水平断(L4/5)(矢印:右 L5 神経根の造影不良),e.3D-CT(破線:右 L5 上関節突起の内側への突出を認める),f. 除圧前内視鏡所見(矢印:右 L5 上関節突起の内側への突出),g.除圧後内視鏡所見(矢印:除圧された L5 神経根)

図 3 B 群 症例 3

a.MRI T2 矢状断,b.MRI T2 水平断(L4/5),c.CTM 矢状断,d.CTM 水平断(L4/5),e,f. 術中内視鏡所見(矢印:骨化した黄色靭帯)

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率 100%).

考 察

MRI は被曝や侵襲がなく比較的安価であり,神経 や軟部組織が明瞭に描出でき術前評価に広く用いら れている.特に近年の画像技術の向上により,MRI のみでも手術施行に際し十分な情報を得る事ができ るため脊髄造影は省略可能とする報告も散見され る2).一方,脊髄造影/CTM は動的因子や骨性成分に よる圧迫の描出に優れており,CT 撮影後,保存され た 3 次元ボリュームデータを任意の条件で再構成 し,より病巣部に焦点をあてた詳細な画像を作成す る事も容易に可能である3).また,脊椎の再手術症例 や instrumentation を併用した症例においては,周 辺組織との癒着やアーチファクトなどにより MRI での病態評価は困難であり,CTM が絶対適応とす る報告も認める4).我々の研究でも 12 例(11.3%)で MRI では把握できなかった新たな所見が脊髄造影/ CTM により判明し,中でも脊髄造影の結果をもと に術式を再検討した症例,MRI では不明だった病態 が判明し手術に至った症例を経験しており,脊髄造 影/CTM は術前評価の一つとして有用だと考えら れた.しかし,脊髄造影は侵襲を伴う検査であり, イオン性造影剤の誤投与による死亡事故や硬膜外血 腫を引き起こし手術に至った症例など重篤合併症の 報告もあり1),5),脊髄造影施行を躊躇させる要因と なっている.本研究では重篤合併症は認めなかった が,硬膜 刺後頭痛(PDPH)を 4 例(3.8%)に認め た. PDPH の発生因子として 刺針の太さや形状, 刺入角度などが報告されている6).また,PDPH の予 防や治療に安静臥床が有効との明確なエビデンスは ないとされている一方で,PDPH の特徴として頭痛 が体位変換により増悪し 仰 臥 位 で 軽 減 す る た め 85% 以上の施設がベッド上安静と補液にて対応し ていると報告されている6).当院でもできる限り 23 G の 刺針を使用し,検査後も補液を行いベッド上 安静とする事で PDPH の予防に努めており,全例特 に重篤化することなく,検査翌日に退院可能であっ た. LSS の術式を検討する際,手術範囲や固定術を併 用するかどうか決定する明確な画像評価の基準はな く,術者の裁量により大きく左右される.森田ら7) 脊髄造影と CTM から決定した除圧範囲と,MRI から決定した除圧範囲とで一致したものは約半数に すぎず, 一致しなかった症例の約 80% は脊髄造影, CTM により除圧範囲が拡大したと報告している. その理由として脊髄造影/CTM が MRI に対し動的 因子や骨性要素の評価に優れ,かつ細かいスライス 幅での撮影が可能であり,MRI より詳細な情報を得 られるためと考察している.中井ら8)もまた狭窄症の 術前評価における脊髄造影の重要性について述べ, 手術の際は脊髄造影後屈位で造影剤の途絶を認めた 全椎間を除圧対象としている.我々の施設でも同様 に,MRI で狭窄が軽度であっても脊髄造影後屈位 X 線側面像で明らかに高度な造影剤の通過障害を呈し た際に,動的狭窄と判断し除圧範囲を拡大する方針 としている.また,不安定性を伴う症例についても 施設により方針が異なっている.当院では後方開大 10̊ 未満,Meyerding 分類 grade I のすべり症では内 視鏡下除圧術を第一選択としているが9),高度すべり においては除圧固定術が必須となってくる10).通常 の単純 X 線動態撮影の場合,疼痛のため患者自身で 体位を保持するのが困難なことも多く,前後屈が不 十分となり,すべりや不安定性が過小評価される可 能性がある11).本研究でも脊髄造影検査時に医師立 ち合いの下,骨盤を支えながら前後屈させることで 動態不安定性が厳密に評価され,すべりや不安定性 がより顕在化した.また,背臥位の MRI ではすべり が整復されて狭窄が見逃される可能性もあり8),造影 により MRI で把握できない不安定性に伴う著しい 狭窄を明確化することができた.術前脊髄造影を施 行することで症例毎に最も適切な術式が選択でき, 除圧不足や不安定性の見逃しによる成績不良例を減 らす事ができると考えている. また,本研究では MRI で狭窄症と考えていた症例 の中で 3 例に高度な黄色靭帯骨化症(OYL)の合併 を認めた.MRI で骨化巣は T1,T2 強調像で低信号 となるため椎間板,骨棘,肥厚した靭帯などとの見 分けが困難であり,OYL の評価および除圧範囲の決 定には CTM が MRI よりも優れている12).また, OYL 症例に手術を施行する際は硬膜損傷,硬膜欠損 などのリスクが高く,通常の除圧術に比べ非常に注 意を要する.Sun ら13)は OYL の手術症例の 32% で 硬膜損傷を生じたと報告し,勢理客ら14)は腰椎手術 中に硬膜損傷を生じた症例を後ろ向きに検討し, OYL の症例が有意に多かったと報告している.我々 の症例でも CTM で骨化巣による神経圧迫の範囲や 狭窄の程度をあらかじめ確認したうえで手術に臨む ことができ,術中トラブルを起こすことなく良好な 術後成績を得る事ができた.

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さらに我々が報告した症例の中に MRI では症状 の原因が把握できず,脊髄造影/CTM により病態解 明できた SFS の症例を認めた.SFS は神経根が外側 陥凹で上関節突起内側の骨突出により圧迫され生じ る神経根絞扼障害であり,強い腰痛,下肢痛を伴う 一方,画像所見が乏しく診断は容易ではなく,治療 に難渋することも多い.久保ら15)は SFS の診断につ いて CTM で①狭窄部の神経根 が lateral recess で 造影されない,②CTM 水平断で facet 内側に前後方 向に垂線をひき,上関節突起がこの垂線よりも内側 に突出していたら lateral recess を狭小化している と定義している.一方,診察では椎間関節に圧痛が あり,SLR test が高率で陽性となるなどの特徴が報 告されている16).我々の症例では SLR test 陽性,脊 髄造影での神経根の描出不良,さらに CTM の外側 陥凹部で神経根が造影されず上関節突起による圧迫 を認めたため,SFS と診断し手術に至り,術中所見 も CTM と一致していた.今回の経験からも MRI で所見が乏しく病態把握が困難な症例においても, 脊髄造影,CTM により新たな所見を認め診断に至 るケースもあり,術前評価目的だけでなく,病態の 詳細な分析が必要な時は脊髄造影を積極的に検討す べきであると考えられた. 本研究は対象症例を腰椎疾患に限定して行ってい るが,OYL が胸椎に好発する事,頚椎は腰椎に比べ 可動域が広いため,頚椎 MRI では髄液拍動による アーチファクトが大きくなる事,などの理由から頚 胸椎部疾患に対する脊髄造影/CTM の有用性を指 摘 す る 報 告 も 散 見 さ れ る4),12).ま た,今 回 94 例 (88.7%)においては MRI に対し新たな所見を認め ず,術式変更の必要はないという結果となった.特 に C 群の大部分は LSS と変性すべり症の症例であ り,神経症状が単根性で単純 X 線写真,MRI 画像で 責任病巣が明らかな場合には脊髄造影は省略可能で あると考えられた.昨今の画像技術の向上を考える と脊髄造影が必要とされる症例は今後も少なくなる ことが予測されるが,本研究で示したように脊髄造 影が必要不可欠な症例も少なからず存在する.今後 は頚椎・胸椎疾患に対してもさらに対象を広げ, MRI および脊髄造影/CTM 所見のより詳細な解析 を行う事で,術前に脊髄造影を施行すべき症例と不 要な症例をさらに明確化できるよう検討を続ける必 要があると考える.

まとめ

1)腰椎手術の術前に脊髄造影/CTM を行なった 106 例を検討した. 2)脊髄造影による合併症は頭痛を 4 例,皮膚症状 を 1 例に認めたが,その他重篤な合併症は認めな かった. 3)12 例(11.3%)で MRI では把握できなかった新 たな所見が脊髄造影/CTM により判明し,それによ り病態が判明し手術に至った症例は 1 例,術式の再 検討を要した症例は 6 例であった. 4)脊髄造影/CTM は腰椎疾患の詳細な病態把握, 術式立案に際し有用な検査であると考えた. 利益相反 本論文に関連し開示すべき利益相反はなし. 文 献 1)山崎隆志,原 慶宏,松谷 暁:問題点の検討 脊髄造影の 適応.整形外科.2020;71:779-785 2)糸岐一茂,金 彪,新郷哲郎,他:腰椎変性疾患における MRI curved-MPR 画像の有用性.脊髄外科.2013;27:74-76 3)間井良将,重松英樹,岩田栄一朗,他:画像診断 三次元融 合画像を用いて術前の手術計画を行った胸椎黄色 帯骨化 症.整形外科.2018;69:49-52 4)金 景成,井須豊彦,菅原 淳,他:脊椎・脊髄疾患におけ る脊髄造影後 CT の必要性に関する検討.脊髄外科.2008; 22:10-16 5)由布竜矢,泊 真二,伊藤康正,他:脊髄造影検査後,遅発 性に腰椎硬膜外血腫による下肢麻痺を生じた長期透析患者 の一例.整外と災外.2017;66:917-920 6)竹中元康:PDPH の診断と治療.分 と麻酔.2016;98:76-82 7)森田雅博,宮内 晃,岩崎幹季,他:腰部脊柱管狭窄症にお けるミエログラフィーの有用性.日脊椎脊髄病会誌.2004; 15:280 8)中井 修:【腰部脊柱管狭窄症 私の治療戦略】放射線学的 多椎間狭窄病変に対する術式選択(多椎間除圧派).MB Or-thop.2019;32:9-18 9)森下益多朗,石原陽平:【腰部脊柱管狭窄症 私の治療戦 略】腰痛を伴う腰椎変性すべり症に対する治療戦略(除圧 派).MB Orthop.2019;32:19-30 10)酒井大輔:【腰椎すべり症診療マニュアル】腰椎変性すべり 症の手術治療.MB Orthop.2018;31:13-20 11)藤本秀太郎,森田智慶,吉本三徳,他:腰椎変性すべり症に おける単純 X 線機能撮影の信頼性 十分な前屈-後屈は得 られているか? J Spine Res.2019;10:564 12)山崎正志:【脊椎・脊髄画像診断】胸椎部疾患 胸椎後縦 帯骨化症,黄色 帯骨化症.MB Orthop.2011;24:53-59 13)Sun X, Sun C, Liu X, et al: The frequency and treatment of dural tears and cerebrospinal fluid leakage in 266 patients with thoracic myelopathy caused by ossification of the

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liga-mentum flavum. Spine (Phila Pa 1976). 2012; 37: E702-707 14)勢理客ひさし,屋良哲也:腰椎後方手術における術中硬膜

損傷および術後臨床症状の検討.整形外科.2019;70:301-304

15)久保和親,五十嵐正至,小山素麿:Superior facet syndrome

特にそのメトリザマイド CT 所見について.Neurol Surg. 1985;13:145-150

16)徳橋泰明,今村安秀,平良勝成,他:superior facet syndrome について.臨整外.1993;28:673-683

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Original Article

J. Spine Res. 12: 751-758, 2021

Usefulness of Myelography and Computed Tomographic Myelography

in Planning for Lumbar Surgery

Kazumichi Yagura1 Yohei Ishihara1 Koji Kanzaki2 Tomoaki Toyone3 Masutaro Morishita1 1

Asao General Hospital Spine Center 2

Department of Orthopedic Surgery, Showa University Fujigaoka Hospital 3

Department of Orthopedic Surgery, Showa University School of Medicine

Abstract

Introduction: Myelography and computed tomographic myelography (CTM) are widely used before spinal surgery.

Find-ings that cannot be detected on magnetic resonance imaging (MRI) can sometimes be observed using myelography/CTM, which may result in changes in the surgery plans. In this study, we examined the usefulness of myelography/CTM in plan-ning for lumbar surgery.

Methods: A total of 106 patients who underwent preoperative myelography were categorized into three groups: Group A,

operation plans were changed or the decision to operate was taken after myelography/CTM; Group B, although new findings were observed on myelography/CTM, operation plans were not changed; and Group C, there were no new findings compared with MRI.

Results: Seven (6.6%) patients were classified into Group A: dynamic stenosis and increased decompression levels detected

in three cases using myelography; lumbar spinal instability and presence of interbody fusions in three cases using myelogra-phy; and superior facet syndrome using CTM, leading to surgery in one case. Five cases (4.7%) were classified into Group B: ossification of the yellow ligament was detected on CTM in three cases; lumbar spondylosis, which was not identified on X-ray or MRI, was detected on CTM in one case; and a nerve root anomaly that could not be recognized on MRI was detected on CTM in one case. Ninety-four (88.7%) cases were classified into Group C.

Conclusions: Myelography/CTM aids in the recognition of the dynamic factors and understanding the pathophysiology of

nerve root compression. It is a useful radiographic modality in planning for lumbar surgery.

参照

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