Title
主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践
Author(s)
上地, 幸市
Citation
教職実践研究(6): 1-8
Issue Date
2016-03
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/21830
Rights
沖縄大学教職支援センター
1 研究ノート
教職科目「教育相談の理論と方法」における「多様な性」に関する授業実践 ―性への確かな理解とDiversity の視点―
吉川 麻衣子 沖縄大学人文学部福祉文化学科 A Teaching Practice on “the Diversity of Sexuality“ Conducted in the Teacher Training
Course, “Theory and methods of Educational Counseling”: Viewpoints of Right Understanding and the Diversity of Sexuality
Maiko YOSHIKAWA(Faculty of Humanities, Okinawa University)
本稿は,教職志望学生を対象にした「多様な性」を主題とする授業実践の記録である.現職教員 への調査では,児童・生徒の性への対応に難しさを感じていることが示された.その結果と当事者 学生の意見を基に,性の正しい知識,性別違和を抱く児童・生徒の心理と実際,身近な問題として 取り組むべきことを中心に授業を展開した.性の多様性,学校現場の現状と課題に関して,受講生 の理解が深まったという点において本実践は評価できるが,授業法や内容等の更なる検討点も明ら かになった. キーワード:多様な性,セクシャル・マイノリティ,教育相談,教職志望学生,児童・生徒 はじめに 「多様な性」がメディア等でも盛んに取り上 げられている昨今,学校現場においても適切な 理解と対応が求められている.しかし,この分 野に関して,文部科学省が全国の学校を対象に 実態調査を始めたのは2014 年 1 月である.教 員養成機関でも体系的な教育はほとんど行われ ていない.本稿の目的は,教職科目「教育相談 の理論と方法」において,「多様な性」を主題と した授業実践を行い,その内容を検証すること である. 1.学校現場における「多様な性」を巡る現状 2014 年 6 月,文部科学省は「学校における 性同一性障害に係る対応に関する状況調査」の 結果を公表した(文部科学省,2014).国公私 立の小学校,中学校,高等学校,中等教育学校 及び特別支援学校を対象に行ったこの調査は, 「性同一性障害に関する教育相談等」の有無を 問うものである.つまり,児童・生徒本人が性 別違和感を持ち,かつ児童・生徒本人又は保護 者が性別違和(旧:性同一性障害)であると認 識しており,児童生徒又は保護者がその児童生 徒本人の自己認識を学校の教職員に開示してい る場合のみの件数なのである.よって,児童・ 生徒自身が違和感を持ちながらも,誰にも相談 できていない場合,本人又は保護者が学校に報 告していない場合は,この調査結果には反映さ れていない.結果として,606 件(戸籍上男・ 女の両方を含む)が報告された.内訳は,小学 校低学年4.3%(26 件),小学校中学年 4.5%(27 件),小学校高学年6.6%(40 件),中学校 18.2% (110 件),高等学校 66.5%(403 件)であっ た. 配慮事例として,表1 に示す項目が挙げられ ている.配慮有の事例は約6 割であり,配慮無 <実践報告>
主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践
上地 幸市 人文学部国際コミュニケーション学科A Teaching Practice for developing of Active Learning
Koichi UECHI (Faculty of Humanites, Department of International Communication) 本実践は、教職科目・「特別活動の理論と方法」の授業において、講義や演習及び学校現場でのフィー ルドワークの実践を通して、主体的・協働に学ぶ力を育むことを目指した。 その結果、次のような学びの成果が得られた。 1)能動的に学ぶ力の育成を目指して,様々な自己紹介や集団づくりワークショップを行い,豊かな人間性 を育み,より良い学級集団をつくる指導技術を学んだ. 2)主体的に学ぶ力の育成を目指した個人課題探究学習・発表を通して,自ら課題を見つけ・追究し・発表 する力がついた. 3)協働的に学ぶ力の育成を目指して,グループで学級活動指導案づくりに取り組み,話し合い活動の行い 方や教師の支援の在り方を学んだ. 4)発展的に学ぶ力の育成を目指した学校現場でのフィールドワークの実践を通して,学級経営の重要性を 学んだ. キーワード:主体的・協働的に学び力,アクティブ・ラーニング,シラバス,フィールドワーク,振り返 り活動 1.実践の背景と目的 学校教育法第30 条,第 2 項に示されてい るいわゆる学力の3 要素の「①基礎的な知識 及び技能」,「②これらを活用して課題を解決 するために必要な思考力,判断力,表現力そ の他の能力」,「③主体的に学習に取り組む態 度」をバランスよく育むことは,学校教育に 課せられた課題である.そのため,学校現場 では,各教科等の指導において習得した知識 ・ 技能を活用し,観察,実験やレポート作成 に取り組んだり,問題を発見し追究する探究 学習への取組が行われている.また,多様な 学習形態による話し合い活動等の言語活動や 社会人 ・ 職業人さらには自然や環境等と直接 関わる体験活動も充実してきた.なかでも, 「主体的・協働的に学習に取り組む態度」を 育成することは,学習意欲を向上させ,知識・ 技能の習得や思考力・判断力等を活用して学 びに向かう姿勢を育むことにつながることか ら学力を高める重要な要素であるといえる. そこで,本実践は,受動的な学びの姿勢か ら,学ぶことを自分ごととして受けとめ,能動 的に学ぶ態度を育むことを目指して教職を目指 す学生の履修科目である「特別活動の理論と 方法」の授業において,主体的・協働的に学 ぶ集団を育成する内容・方法を検証していく. 2.主体的 ・ 協働的に学ぶ集団づくり 主体的に学習に取り組む態度を育成するた めには,主体的に学ぶ個と協働的に学ぶ集団 を育成することである. (1) 主体的に学ぶ子供の姿 主体的に学ぶ子供の姿を筆者は次のように 捉える.○「わかる・できるようになりたい」 という思いや願いを持つ子供,○生活の中で 自ら問題を見いだす力を持つ子供,○自らの 問いを自らの方法で解決する力を持つ子供, ○根拠や理由を示して説明したり発表する力 を持つ子供等である.
3 2 -主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践 上地 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 (2) 協働的に学ぶ集団の姿 また,他者との交流を通して,個々の考え を述べ合い,違いを認め学びを深めていく集 団づくりが重要である.そこで,協働的に学 ぶ学習集団について,東海林 (2013) の「協 働的な学習の可能性」を参考にして,筆者の 考える協働的な学びに向かう集団づくりを次 の5 点に再構成した. 表1 「集団における協働的な学習の可能性」 ① みんなで目的を達成させる満足感, 充実感を味わい,主体的に取り組 む意欲を持つ集団 ② 学び方,解決の方法,活用の仕方 がわかり,新たな問いを追究する 姿勢を持つ集団 ③ 幅広い知識の習得と思考の深化, 定着を図ることができる集団 ④ 自分と友達の考えをすり合わせな がら,互いを理解し合うコミュニ ケーション能力を高める集団 ⑤ 自分や友達の成長を感じながら, 人としての在り方・生き方を考え ることができる集団 3.特別活動で育む主体的・協働的な学び 特別活動の目標は,望ましい集団活動を通 して,個人的資質や社会的資質を育み,より 良い生活や人間関係を築こうとする自主的・ 実践的態度を育てるとともに,人間としての 生き方を考え,自己を生かす能力を養うこと にある.具体的には,学級生活や話し合い活 動等の場面において,自らの問題や学級集団 の問題に気付き ( 事実認識 ),確かめ ( 自己 確認・内省、集団思考・討議 ),わかる・で きる・行動する ( 実践・評価・改善 ) 過程の 中で、主体的に学ぶ子供,協働的に学ぶ集団 が形成されていくものである. また,その主体的な学びを通して,子供自 ら自他のよさや可能性を拓き,豊かな人間関 係を構築し,集団に貢献することの大切さを 体感することになる. さらに,他者との交流・協働的な学びを通 して,考えを述べ合い,伝え合う力を身につ け,問題を解決する方法を探究し行動する力 が育まれていくことになる. しかし,現実的には学級活動上,次のよう な課題が報告されている. 平成9 年度に教育課程審議会が実施した教 育課程実施状況調査によると,「児童生徒に 十分活動させるための時間確保ができない」. 70.4%,「指導計画が十分でなく,計画的に 指導ができにくい」.17.2%,「指導にあたる 教員が学級活動の展開方法について自信がな い」.7.8%となっている. また,平成26(2014) 年 1 月,日本特別活 動学会研究開発委員会の「特別活動の実施状 況分析と改善に関する研究」報告によると, 学級活動の実施について,①時間不足で十 分に課題を深めることができないが72.6%, あれもこれもと課題が多すぎるが57.6%, 教科の時間が重要と考え軽視してしまうが 57.6%,以下,「教科書がなく指導内容が明 確でないのでやりにくい」,「子供が自分から 積極的に参加しない」,などが課題となって いる.以上のことから,「学級・ホームルー ム活動」が児童会・生徒会活動や学校行事等 と比べて,低調であるとの指摘がある. そのような状況を改善していく上で重要な ことは,特別活動の重要性を認識することで ある.体験的な学びの中で主体的・協働的 に学ぶ力を育むことにより,言語活動の充実や 豊かな人間関係づくり,より良い学級集団がで き,ひいては,学力向上にもつながると考える. 4.教職科目「特別活動の理論と方法」の ねらい・内容・方法 教職を目指す学生にとって将来,学級担任 として特別活動の授業実践に取り組むことに なる.その際,自主的・実践的な態度や主体 的・自治的に活動する生徒を育成することが 求められる.そこで,学生の主体的・協働 的な学びの力量を形成するために,ワーク ショップやポスターセッション,フィールド ワーク等のアクティブラーニングの手法を取 り入れた授業を実施した.
表2 アクティブ・ラーニングを導入した シラバスのねらい,内容,方法 5.実践の概要 5.1 能動的に学ぶ集団の育成 (1) 集団づくりワークショップ ①ねらい・自己表現や自己開示しあい,コ ミュニケーションを図り,豊かな人間関係 を築く. ②内容・・折り句自己紹介や得意なこと・好 きな言葉による自己紹介ゲームを行う. ③方法・・自己紹介の内容を書いたワークシー トを持って制限時間内にできるだけ多くの 人と自己紹介しあう.その後,今後の活動 のためのグループ編成を行う. ※ビンゴゲームとして実施することも可能 今日の講義では,特別活動のガイダンスと学 級づくり,人間関係づくりについて行いまし た.まず,最初の講義ということで自己紹介 をしたが,普通の自己紹介とは違って自分の モットーや好きな一文字で自己紹介をしまし た.初めて会話をする人もいたが楽しく挨拶 することもできたし,自分の名前を覚えても らうこともできたのでいい方法だと思いまし た.-後略- ( T・G ) ねらい 内容 方法 導入 人間関係・学習集団づくりを通して学ぶ 意欲を高める . <能動的に学ぶ力の育成> ①自己紹介 ②ゲーム ③学級目標、学習 の ル ー ル づ く り ワークショップ ○アクロスティック 自己紹介法 ○集団づくりワーク ショップ ○全体発表会 展開① 学級生活における問題を見つけ,解決策 を追究する . <主体的に学ぶ力の育成> ①想定される問題 を抜き出す活動 ②問題を整理し共 有する活動 ③個人課題を決定 し追究する活動 ○個人課題探究学習 ○レポート作成 ○ペアによる学びあ い学習 展開② 学級の問題を解決す るための学級活動指 導案を作成し,模擬 授業につなげる . <協働的に学ぶ力の育成> ① 同 じ 課 題 で グ ループ編成し、課 題共有のための話 し合い活動の実施 ②グループによる 学習指導案作成 ③学級通信作成 ○課題を共有するた めのワークショップ ○グループワークと ポスターによる報告 会 ○学級通信展示会 まとめ 学級経営案の資料収集とインタビューを 通して学びを深める . <発展的に学ぶ力の育成> ①学級経営案資料 収集 ②インタビュー内 容の検討 ③学級担任へのイ ンタビュー ○資料(学級経営案) 提出 ●インタビュー結果 の報告会及び学習の 振り返り 授業後の学生の感想 授業後の学生の感想 (2) 学級目標・規律づくりワークショップ ①ねらい・集団目標や学習規律・生活規律を 決めて,教え合い,学び合う集団づくりを 目指す. ②内容・・自立的に学ぶ集団としての目標や 学びの主体者としての学習規律や,より良 い学級生活を送るための生活規律を自分た ちで決める. ③方法・・個々で考えた内容をグループで発 表しあい,グループの意見をまとめ,ポス ターセッションによる全体発表会で発表し 決定する. ※実際の学級活動では,全体で発表したあ と学級委員で整理し,再度提案して決定する という流れになる. ( 前略 ) グループワークでは,他のメンバー の意見を聞いて自分の考えなかったことが聞 けたので,目標やルールづくりなどについて とてもいい話し合いができた. 5 人の考えを 述べあい,まとめることでどんどん良い言葉 になっていくのが楽しかった. ( H・T ) 5.2 主体的に学ぶ力の育成 (1) 個人課題探究学習 ①ねらい・学級生活における問題を見つけ, 解決策を追究する学習を通して,主体的に 学ぶ力を育む. ②内容・・特別活動の領域や学級経営上の課 題の中から,個別に探究したい課題に取り 組む.( 課題例・・朝読書,アイスブレイク, いじめ,学級行事,係活動,清掃活動,家 庭学習,挨拶運動,不登校,話し合い活動 等 ) ③方法・・個人課題探究学習プロセス,テー マ設定の留意点,レポート形式 ( 例 ) を踏 まえて学習を進める.
5 4 -主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践 上地 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 ア.課題を見つける段階→ イ.課題を決定す る段階→ ウ.課題を追究する段階 → エ.課 題をまとめる段階→ オ.成果を発表・共有す る段階→ カ.新たな課題を見つける段階 テーマは,目標,内容,方法がわかるよう, 次のことに留意して決定する. ・何を明らかにしたいか ( 明確性 ) ・学年の発達段階に応じたテーマか ( 適切性 ) ・学級の実態に応じたテーマか ( 適時性 ) ア.研究テーマ→イ.テーマ設定の理由→ウ. 実施計画 ( ①目標,②内容,③研究方法,④タ イムスケジュール,⑤期待される成果,⑥アウ トプット )→ エ.インセンティブ ( 特別報酬 ) 課題探究学習ということで,個人テーマを選 びレポートを作成して発表することになりま した.私は,「いじめ」のテーマで設定の理 由などを計画書に書き調べていく予定です. 最近,世の中では,いじめが原因で死人が出 たり,自殺する人がいて問題になっていま す.どうすればいじめを防ぐことができる か,その原因を調べ解決策を見つけていきた いと思います. ( S・Y ) (2) ペア学習発表会 ①ねらい・探究成果を共有し,特別活動学習 指導案作成に役立てる. ②内容・・探究成果や探究方法等について発 表する. ③方法・・2.3 人組で交互に発表し意見交 換を行う 発表会では,他の人と似たような内容になる かと思ったが,同じような情報はなく,同じ テーマなのにまったく違う意見をたくさん聞 くことができたので良かった.図や表,アン ケート結果なども調べて発表していた.参考 になることがたくさんあったので,自分のレ ポートに生かしていきたい. ( Y・Y ) 5.3 協働的に学ぶ力の育成 (1) 学級活動指導案作成ワークショップ ①ねらい・学級の問題を解決するための学習 指導案を作成し,3 年次の模擬授業につな げる. ②内容・・課題を共有するためのワークショッ プや指導案作成のためのグループワーク, 及びポスターによる発表会を行う. ③方法・・同じ課題を持つ者同士のグループで 課題共有のための話し合いを行い,指導案 ( 例 ) を参考にグループで指導案の作成を 行う ア.題材→ イ.題材設定の理由 → ウ.指導 計画 ( ①テーマ,②ねらい,③評価基準 ④指導の展開〈活動経過と計画,事前の活 動,本時の指導と活動,生徒の活動に対する 教師の支援,事後の生徒の活動と教師の支援 (2) ポスターによる発表会 ①ねらい・成果を発表しあい,3 年次の模擬 授業指導案作成の参考にする. ②内容・・各グループのポスターを参観し, 指導案ナンバーワンを選出する. ③方法・・発表グループと参観グループに分 けて交互に発表しあう. ナンバーワングループへのコメント 題材「進路決定の準備~自分を見つめ直そう~」 ○堂々と発表していて,内容も良かった. ○原稿を見ないで発表し,質問にもしっかり 答えていた. テーマ設定の留意点 研究レポート形式(例 ) 授業後の学生の感想 個人課題探求プロセス 教職実践研究 第6 号 ア.課題を見つける段階→イ.課題を決定す る段階→ウ.課題を追究する段階→エ.課題 をまとめる段階→オ.成果を発表・共有する 段階→カ.新たな課題を見つける段階 テーマは,目標,内容,方法がわかるよう, 次のことに留意して決定する. ・何を明らかにしたいか(明確性) ・学年の発達段階に応じたテーマか(適切性) ・学級の実態に応じたテーマか(適時性) ア.研究テーマ→イ.テーマ設定の理由→ウ. 実施計画(①目標,②内容,③研究方法,④タ イムスケジュール,⑤期待される成果,⑥ア ウトプット)→エ.インセンティブ(特別報酬) 課題選択学習ということで,個人テーマ を選びレポートを作成して発表することにな りました.私は,「いじめ」のテーマで設定 の理由などを計画書に書き調べていく予定で す.最近,世の中では,いじめが原因で死人 が出たり,自殺する人がいて問題になってい ます.どうすればいじめを防ぐことができる か,その原因を調べ解決策を見つけていきた いと思います. (S・Y) (2) ペア学習発表会 ①ねらい・探究成果を共有し,特別活動学習 指導案作成に役立てる. ②内容・・探究成果や探究方法等について発 表する. ③方法・・2.3 人組で交互に発表し意見交換 を行う 発表会では,他の人と似たような内容になる かと思ったが,同じような情報はなく,同じ テーマなのにまったく違う意見をたくさん聞 くことができたので良かった.図や表,アン ケート結果なども調べて発表していた.参考 になることがたくさんあったので,自分のレ ポートに生かしていきたい. (Y・Y) 5.3 協働的に学ぶ力の育成 (1) 学級活動指導案作成ワークショップ ①ねらい・学級の問題を解決するための学習 指導案を作成し,3 年次の模擬授業につな げる. ②内容・・課題を共有するためのワークショ ッ プ や 指 導 案 作 成 の た め の グ ル ー プ ワ ー ク,及びポスターによる発表会を行う. ③方法・・同じ課題を持つ者同士のグループ で課題共有のための話し合いを行い,指導 案(例)を踏まえた指導案の作成を行う ア.題材→イ.題材設定の理由→ウ.指導計 画(①テーマ,②ねらい,③評価基準 ④指導の展開〈活動経過と計画,事前の活動, 本時の指導と活動,生徒の活動に対する教師 の支援,事後の生徒の活動と教師の支援 (2) ポスターによる発表会 ①ねらい・成果を発表しあい,3 年次の模擬 授業指導案作成の参考にする. ②内容・・各グループのポスターを参観し, 指導案ナンバーワンを選出する. ③方法・・発表グループと参観グループに分 けて交互に発表しあう. ナンバーワングループへのコメント 題材「進路決定の準備~自分を見つめ直そう ~」 ○堂々と発表していて,内容も良かった. ○原稿を見ないで発表し,質問にもしっかり 答えていた. 個人課題探求プロセス テーマ設定の留意点 研究レポート形式(例) 授業後の学生の感想 授業後の学生の感想 学級活動指導案形式(例) 授業後の学生の感想 ペア学習の様子 授業後の学生の感想 学級活動指導案形式(例 ) 授業後の学生の感想
5.4 発展的に学ぶ力の育成 (1) 学級経営案の収集~フィールドワークに よる ①ねらい・学級担任の学級経営案の収集を行 い,担任の仕事内容を理解する. ②内容・・学級の実態や教師の願い等を踏ま えた学級経営案の作成の仕方 ③方法・・資料提供について関わりのある教 師へ依頼する. (2) 学級経営等についてのインタビュー ①ねらい・学級活動や学級経営等についてイ ンタビューを行い,生徒との関わり方や規 律の徹底等について学ぶとともに質問力の 向上を目指す. ②内容・・共通質問と学生個々が考えた質問 によるインタビュー ③方法・・現場教師への聞き取り調査のまと めを行う. 共通質問・フィールドワークについて ○学校の状況がわかるので,実践的な取組で 良いと思う.また,教師になった時必ず役に 立つと思う. ○こういう取組は,沖大しかやっていないと 思うがとても良いと思う.学生はとても勉強 していてすごい. ○実際の学校現場での取組をフィールドワー クさせ,直に教師のアドバイスをもらうこと は,学生の意欲をかきたて実践的な指導力を つける上で良いと思う.学生自身,大学での 講義と現場のギャップを感じ取れるし,教育 について学ぶ機会となる. ●生徒がフィールドワークの意味がわかって いないのに,なぜするのか?私 ( 教師 ) 自身 も何に使うのか理解できていない.また,経 営案などに個人情報もあるので困る. ●簡単に学級経営案がもらえるとは思わない でほしい.担任は,生徒の気持ちを大事にし て作成している.だから,このような宿題は 自分で解決してほしい. ●経営案を提供することは抵抗ないが,理解 することができるか? 今日の講義は前回作成したポスターによる発 表会でした.全員が協力的で作業もとてもス ムーズに進み,発表会に向けても役割分担を 行い,全員が自分の力を発揮し,よい発表が できたと思います.このように協力し合い個 性を生かして課題を追究することは学校内に とどまらず社会に出ても必要なものだと思い ます。 ( S・M ) (3) 個人課題・学級通信づくり ①ねらい・個人課題探究学習やグループワー クで学んだことを生かして,自力解決の力 を育む. ②内容・・学級通信づくりに取り組む. ③方法・・対象学年,記事の内容等を決定し 制作する. 私は,学級通信を作成する上でオリジナリ ティを出すことにとても悩みました.文章を 工夫したり,絵を入れたりと色々工夫して完 成させましたが,納得できていません.展示 会で他の学生の作品を見て,自分の足りない ところ,良い所,工夫が必要な点などを知る ことができてとても良かった. ( T・M ) 授業後の学生の感想 今日の講義は前回作成したポスターによる発 表会でした.全員が協力的で作業もとてもス ムーズに進み,発表会に向けても役割分担を 行い,全員が自分の力を発揮し,よい発表が できたと思います.このように協力し合い個 性を生かして課題を追究することは学校内に とどまらず社会に出ても必要なものだと思い ます。 (S・M) 3) 個人課題・学級通信づくり ①ねらい・個人課題探求学習やグループワー クで学んだことを生かして,自力解決の力 を育む. ②内容・・学級通信づくりに取り組む. ③方法・・対象学年,記事の内容等を決定し 制 作する. 私は,学級通信を作成する上でオリジナリテ ィを出すことにとても悩みました.文章を工 夫したり,絵を入れたりと色々工夫して完成 させましたが,納得できていません.展示会 で他の学生の作品を見て,自分の足りないと ころ,良い所,工夫が必要な点などを知るこ とができてとても良かった. (T・M) 5.4 発展的に学ぶ力の育成 (1) 学級経営案の収集 ①ねらい・学級担任の学級経営案の収集を行 い,担任の仕事内容を理解する. ②内容・・学級の実態や教師の願い等を踏ま えた学級経営案の作成の仕方 ③方法・・資料提供について関わりのある教 師へ依頼する. (2) 学級経営等についてのインタビュー ①ねらい・学級活動や学級経営等に係るイン タビューを通して,生徒との関わり方や規 律の徹底等について学ぶとともに質問力の 向上を目指す. ②内容・・共通質問と学生個々が考えた質問 によるインタビュー ③方法・・現場教師への聞き取り調査のまと めを行う. 共通質問・フィールドワークについて ○学校の状況がわかるので,実践的な取組で 良いと思う.また,教師になった時必ず役に 立つと思う. ○こういう取組は,沖大しかやっていないと 思うがとても良いと思う.学生はとても勉強 していてすごい. ○実際の学校現場での取組をフィールドワー クさせ,直に教師のアドバイスをもらうこと は,学生の意欲をかきたて実践的な指導力を つける上で良いと思う.学生自身大学での講 義と現場のギャップを感じ取れるし,教育に ついて学ぶ機会となる. ●生徒がフィールドワークの意味がわかって いないのに,なぜするのか?私(教師)自身も 何に使うのか理解できていない.また,経営 案などに個人情報もあるので困る. ●簡単に学級経営案がもらえるとは思わない でほしい.担任は,生徒の気持ちを大事にし て作成している.だから,このような宿題は 自分で解決してほしい. ●経営案を提供することとは抵抗ないが,理 解することができるか? 授業後の学生の感想 展示会後の学生の感想 教師の感想等 ポスターセ ッションの 様子 「学級通信」の鑑賞・評価の様子 展示会後の学生の感想 上地幸市:第6 号 今日の講義は前回作成したポスターによる発 表会でした.全員が協力的で作業もとてもス ムーズに進み,発表会に向けても役割分担を 行い,全員が自分の力を発揮し,よい発表が できたと思います.このように協力し合い個 性を生かして課題を追究することは学校内に とどまらず社会に出ても必要なものだと思い ます。 (S・M) 3) 個人課題・学級通信づくり ①ねらい・個人課題探求学習やグループワー クで学んだことを生かして,自力解決の力 を育む. ②内容・・学級通信づくりに取り組む. ③方法・・対象学年,記事の内容等を決定し 制 作する. 私は,学級通信を作成する上でオリジナリテ ィを出すことにとても悩みました.文章を工 夫したり,絵を入れたりと色々工夫して完成 させましたが,納得できていません.展示会 で他の学生の作品を見て,自分の足りないと ころ,良い所,工夫が必要な点などを知るこ とができてとても良かった. (T・M) 5.4 発展的に学ぶ力の育成 (1) 学級経営案の収集 ①ねらい・学級担任の学級経営案の収集を行 い,担任の仕事内容を理解する. ②内容・・学級の実態や教師の願い等を踏ま えた学級経営案の作成の仕方 ③方法・・資料提供について関わりのある教 師へ依頼する. (2) 学級経営等についてのインタビュー ①ねらい・学級活動や学級経営等に係るイン タビューを通して,生徒との関わり方や規 律の徹底等について学ぶとともに質問力の 向上を目指す. ②内容・・共通質問と学生個々が考えた質問 によるインタビュー ③方法・・現場教師への聞き取り調査のまと めを行う. 共通質問・フィールドワークについて ○学校の状況がわかるので,実践的な取組で 良いと思う.また,教師になった時必ず役に 立つと思う. ○こういう取組は,沖大しかやっていないと 思うがとても良いと思う.学生はとても勉強 していてすごい. ○実際の学校現場での取組をフィールドワー クさせ,直に教師のアドバイスをもらうこと は,学生の意欲をかきたて実践的な指導力を つける上で良いと思う.学生自身大学での講 義と現場のギャップを感じ取れるし,教育に ついて学ぶ機会となる. ●生徒がフィールドワークの意味がわかって いないのに,なぜするのか?私(教師)自身も 何に使うのか理解できていない.また,経営 案などに個人情報もあるので困る. ●簡単に学級経営案がもらえるとは思わない でほしい.担任は,生徒の気持ちを大事にし て作成している.だから,このような宿題は 自分で解決してほしい. ●経営案を提供することとは抵抗ないが,理 解することができるか? 授業後の学生の感想 展示会後の学生の感想 教師の感想等 ポスターセ ッションの 様子 「学級通信」の鑑賞・評価の様子 教師の感想等
7 6 -主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践 上地 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 教師の回答内容 <学級づくりで工夫していることは?> ○最初にルールを作りしっかりと伝える.で きそうなものはやらせてみる.そこでもし失 敗したら何でだと思う?と問いかけ,できた ら褒める.教師がいいなと思うことは何でも 取り組んでみる.例えば,朝の会・帰りの会 で新聞記事を読ませる. <学年の違いで指導に違いはあるか> ○ 1 年は、中一ギャップを意識して丁寧に細 かい指導,2 年は,中だるみがあるので,3 年になるまでの進路の意識づけ,3 年は,進 学だけじゃなく進路を意識させ,学年の和を 大切に.( 後略 ) ( K・S ) ○学級目標を決めるとき,数値目標を立てる ことが難しい. (S・T ) ③教職について・・・20 項目 質問の要旨 ○教師を目指すきっかけ・覚悟は ○担任の 難しさは ○教師のやりがい・楽しさは ○ 教師の心構えは ○やめたいと思ったこと は? ○授業づくりで留意していることは ○教員採用試験について○大学生が今やるべ き事は 教師の回答内容 <大学生が今やるべき事は> ○講義の課題を出す,単位を取ることはもち ろんだが,いろんな資格にも目を向け取り組 んだ方がいい.一番大切なことは,観察実習 やインターンシップなど,実際に教育現場に 行ける機会に教師や生徒の様子や情報,特徴 を覚えることが大切.教育実習や将来教師に なった時に生かしていけるようにする. <教師になって良かったことは何?> ○生徒たちの成長を間近でみることができ, 自分もその手伝いができることが教師にとっ てなによりも嬉しいことである <教師の認識> ア.良いと思う・・87.2% (34 名 ) イ.課題がある・・ 4.4% ( 3 名 ) ウ.無回答・・・・ 5.1% ( 2 名 ) 学生個別の質問のまとめ ①学級経営について・・・26 項目 質問の要旨 ○経営案をつくるポイントは,大切なこと は,注意することは ○生徒の実態把握の仕 方は ○校区外の生徒がいるが?○テレビ視 聴時間や家庭学習などが書かれているがねら いは? ○インクルーシブ教育について ○ 経営案はどの学校へ行っても変わらないか? 教師の回答内容 <経営案を作るポイントは?> ○子どもたちの実態,前年度の情報を収集し てどんな子に育てようか目標を立てる.学校 目標に近づくように,先生方との横の連携を 図りながら,子どもたちを見て途中の修正も ある. ○常に心がけているのは,指示的風土づく り.生徒一人一人が自信を持って発言し,み んなが認め合う学級作りに努めている. ( S・M ) ②学級運営について・・・24 項目 質問の要旨 ○運営で注意していることは ○いじめへの 対応は ○学級づくりで工夫していることは ○清掃活動の指導は ○学級開きの工夫は ○家庭学習を定着させるには ○進路指導で 大切にしていることは ○特別活動で工夫し ていることは ○生徒への接し方で注意して いることは○最近の生徒の実態は ○障がい を持つ生徒への対応は ○生徒への注意の仕 方は ○学級開きの時の教師の話は
以外の仕事の方がよっぽど大変だと思った. 学級経営もそのうちの一つ,もしかしたら一 番やりがいを感じるものではないかとインタ ビューを通して感じることができた.自分の 色を出せるし,生徒にとっては一生恩師であ り続けるので,人との繋がりの深さを改めて 思い知ることができた.向上心をもち行動す ることが,年齢に関係なく必要だし,教師は なおさらだと思う。 ( S・K ) ○今回初めてフィールドワークをした.実際 の教育現場で働く先生たちに質問すること で,教師の仕事や役割,何に配慮して学級経 営を行っているかなど知ることができた.質 問した際,一人の先生だけでなく,「たくさ んの先生に意見を聞けたらいいと思うよ」と いう意見を聞いて,本当にそうだと思った. もっとフィールドワークの機会があるといい と思う. ( M・T ) (2) インタビュー調査報告会 ※当初の指導計画になかったため,実施で きず今後の課題とする. 6.まとめと今後の課題 本実践は、昨年度後期と今年度前期に実施 した授業実践をまとめたものである. 特別活動の特性は,「体験を通して学ぶ」 ことである.様々な体験を通して自他のよさ や可能性を育み,自主的・実践的態度や人間 としての生き方について自覚し,自己を生か す能力が身についていくものである. 今回は,特別活動の内容が多岐にわたるた め,学級活動に特化して主体的・協働的に学 ぶ力を育むための内容を取り上げた。以下は その成果と課題のまとめである. ○能動的に学ぶ力の育成を目指して,様々な 自己紹介や集団づくりワークショップを行 い豊かな人間性を育み,より良い学級集団 をつくる指導技術を学んだ. ○主体的に学ぶ力の育成を目指した個人課題 探究学習・発表を通して,自ら課題を見つ ④生徒指導について・・・6 項目 質問の要旨 ○親離れできていない生徒への対応は ○生 徒との関わりで大切なことは ○生徒との距 離感は ○発達段階の違いによって大切にし ていることは 教師の回答内容 <いじめへの対応について> ○未然の対策→ふざけ度合いが過ぎていると 感じたら,その都度注意する.自分の目でよ く見る.いじめは教師のいない隙に起こる. 授業開始前から教室に行く.( 給食、掃除時 間も同様である.) ○早期発見→毎月アンケートを取る. ○対応→両者の意見を聞く.保護者と相談 ( 電話ではなく、家庭訪問 ),クラスでも取 り上げてみんなで改善していく. ○日頃から生徒指導,生徒の情報に耳を傾け ている.同学年の生徒でも、性格 ・ 体格の違 いや力関係があります.力加減がわからず, 相手に嫌な思いをさせたり,いつもの言葉遣 いで相手を傷つけたり,生徒はまだまだ未熟 で経験不足.わからずにやってしまうことも あり,その都度,行動を振り返らせ考えさせ ている.それをくり返すことで 「 いじめ」を 回避している.教科担任から情報を得たり, 同僚の協力を得たり・・・( 後略 ) ( M・K ) インタビュー後の学生の感想 ○実際に学校現場の声を聞けて良かったと思 う.自分がわからない多くのことを先生から 聴き学ぶことができた.生徒との接し方や保 護者との関わり方,採用試験のこと,教師に とって必要な力など,改めて教師になること は簡単なことではない.だからこそ,日々の 努力を忘れず教師になる夢を叶えたい. ( Y・N ) ○「先生=授業」というイメージがずっと あって,教職の授業を履修していくとそのイ メージがなくなった.授業だけでなく,それ
8 -主体的・協働的に学ぶ力を育む授業実践 上地 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 教職実践研究, 2016, 3, pp.1-8 け・追究し・発表する力がついた. ○協働的に学ぶ力の育成を目指して,グルー プで学級活動指導案づくりに取り組み,話 し合い活動の行い方や教師の支援の在り方 を学んだ. ○発展的に学ぶ力の育成を目指した学校現場 でのフィールドワークの実践を通して,学 級経営の重要性を学んだ. また,今後の課題として以下の 4 点を挙 げる. ① 特 別 活 動 の 内 容 領 域 で あ る「 生 徒 会 活 動」,「学校行事」についての指導内容の 検討 ②協働学習の進め方やパワーポイント,ポス ターの作り方等のついての指導 ③個人課題,グループ課題に係る効果的な宿 題の提示 ④フィールドワーク後の報告会と振り返り学 習の実施のあり方 <引用・参考文献> 1) 文部科学省 ・ 中学校学習指導要領解説 ・ 特別活動編 ぎょうせい 2018 2) 中央教育審議会教員の資質能力向上特別 部会 審議のまとめ 平成 24 年 5 月 15 日 3) 中央教区審議会教育課程企画特別部会 ・ 論点整理 ( 案 ) 平成27 年 8 月 20 日 4) 有村久春 (2015) 日本特別活動学会紀要 第22 号 特集論文・特別活動がはぐくむ 能力態度とは何かー教科教育の視点からー 1-5 5) 北村文夫 (2015) 日本特別活動学会分科 会資料「学級活動活性化について考えるー その (1) 話し合い活動の充実」1-3 6) 東海林一善 (2013) 山形大学大学院教育実 践研究科年報 「学力向上につながる協働 的な学習の在り方」248-251 7) 金子元久 (2012) 基調講演 VIEW21 大学 版特別号「主体的な学びへの転換を図る ために」 8) 上地幸市 (2014) 沖縄大学人文学部紀要第 16 号 実践報告「教職を目指す学生ととも に創る特別活動の授業実践ー学びあい 高め合う学級集団のづくりの一提案ー」 9) 上地・嘉数 (2015) 沖縄大学教職支援セン ター紀要第5 号 実践報告「大学における アクティブラーニングを導入した授業の 工夫ー「教職実践演習」におけるワーク ショップ型授業を通してー」