斜方輝石-高温型斜方輝石相転移の
高温その場観察
大井修吾
*・三宅 亮・下林典正・北村雅夫(京大・理)
In-situ X-ray observation of high-low orthopyroxene inversion
Shugo OHI*, Akira MIYAKE, Norimasa SHIMOBAYASHI, Masao KITAMURA (Sci,. Kyoto Univ.)
【目的】Foster and Rin(1975)は、1400 度付近 にも斜方輝石(OPx)の安定領域があることを 報告した。当初この相は、低温型の OPx と 同一の相として扱われていたが、1980 年代 の論争の中、Carlson(1988)により OPx とは異 なる高温型斜方輝石(HT-OPx)の相であるこ とが示唆された。しかし現在までのところ、 実際に HT-OPx≠OPx を示した研究は行われ ていない。近年、Miyake et al.(2004)は分子動 力学シミュレーション上で、斜方エンスタタ イト(OEn)と同じ空間群 Pbca を持つ高温型 斜 方 エ ン ス タ タ イ ト (HT-OEn) を 発 見 し 、 HT-OPxがこれと同じ構造をもつことを示唆 した。また、HT-OEn は OEn にはない特別な 消滅則(h/2 + k ± l/2 = odd)を持つことを示し た。本研究はこの消滅則を利用し、高温その 場 X 線装置により HT-OPx の正体を明らかに することを目的としている。 【出発物質】過去の研究から HT-OPx は Mg端成分ではなく、Ca がわずかに固溶した 領域を持つことがわかっている。そのため本 研究では、Mg 端成分の OEn ではなく、Ca がわずかに固溶した OPx を出発物質に用い て分析を行っている。 出発物質はモル比で CaCO3 : Mg : SiO2 = 0.08 : 1.92 : 2の組成を持つゲルを、1425 度 で一週間保持して得た。その条件で作った出 発物質は OPx の他に、わずかにフォルステ ライトやガラスを含んでいる。 【高温その場 X 線分析】 本研究は(121)の回 折ピークに注目して、高温その場 X 線分析 を行った。(121)の回折ピークは、h/2 + k + l/2 = odd・h/2 + k - l/2 = even となるため完全に は消滅しないが、片方の条件を満足している ため、ピークが弱くなることが予想される。 測定の結果、1400 度付近の温度で、(121) の回折ピークの強度が明らかに弱くなるこ とが確認できた。このことは、OPx から HT-OPxへの相転移が起きたためであると考 えられる。そのため本研究で HT-OPx≠OPx であることを初めて示した。また、Miyake et al.(2004)の示した HT-OEn と HT-OPx は同じ 結晶構造であるという可能性を肯定する結 果となった。
Keyword: orthopyroxene, high temperature, phase, phase transition, in-situ x-ray experiments Corresponding author: [email protected]