Spot™ Vision Screener Jの瞳孔径モードの変化における明室での測定効果とKR8100PAの測定値の比較
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(2) 日本視能訓練士協会誌. KR8100PA の測定値と有意差がなかった。これらの事柄から SVS の測定時に暗室が使用できない場 合や明室において 4 mm モードで測定できない場合には、明室での 3mm モードの使用が有用である と考えられた。 Abstract 【Purpose】With the revised software in the SpotTM Vision Screener (SVS) in 2018, the minimum pupil diameter of 3 mm (the 3 mm mode) became possible with the selection of an age group between 20 and 100 years. Therefore, we investigated the usefulness of the 3 mm mode in a bright room. 【Subjects and Methods】Subjects were 56 eyes of 28 children between the age of 4 and 11 years. The SVS measurement was performed using the 4 mm mode in bright and dark rooms (in age groups between 3-19 years according to the subjectʼs age) and the 3 mm mode in a bright room. The measurement possibility rate for each test condition was obtained. In addition, the measurements were compared to the objective refraction (spherical and cylindrical powers) by a standard non-portable autorefractometer (KR8100PA). 【Results】The respective measurement possibility rates for the 4 mm and 3 mm modes were 75% and 93% in a bright room, 100 % for the 4 mm mode in a dark room, and 100% for the KR8100PA. No significant difference in the spherical and cylindrical powers was observed between the SVS and KR8100PA under any test condition. In 18% of the subjects who could not be measured with the 4 mm mode but with the 3 mm mode in a bright room, their spherical and cylindrical powers with the 3 mm and 4 mm modes did not significantly differ from those by the KR8100PA. 【Conclusion】Under a bright room condition, the measurement possibility rate using the 3 mm mode was higher than that with the 4 mm mode, and the measurements were not significantly different from those by the KR8100PA. These results suggested that the use of the 3 mm mode in a bright room could be useful when a dark room is not available or when measurements could not be obtained with the 4 mm mode in a bright room.. 4 mm 以上の瞳孔径が必要な点である。そのた. Ⅰ.緒言. め、普通瞳孔下では 4 mm 以上の瞳孔径を確保. SpotTM Vision Screener( 以 下 SVS; Welch. するために、半暗室または暗室においての使用. Allyn 社) は 各 年 齢 に 応 じ た 弱 視 起 因 素. が推奨されている 10),11)。しかしながら保健施設. (amblyopia risk factors;以下 ARF)の検出プ. や幼稚園・保育園では必ずしも暗室の備えがな. ログラムを搭載した他覚的屈折値、眼位および. く、また医療現場においても、通常の診療のお. 瞳孔径を測定することが可能な視覚スクリーニ. こなわれる明室から暗室への移動は転倒のリス. ング機器である 1)。その特長としては測定が容. ク増加や、乳幼児では恐怖から泣いて検査が滞. 易であり、弱視の検出に高感度を持っているこ. ることもしばしばである。したがって、明室に. と 2)、手持ち式であることから可搬性に優れる. おける SVS の測定が可能であれば暗室や半暗室. こと等が挙げられる。これらの長所から、既に. での測定よりも望ましいと思われる。. SVS は眼科や小児科の臨床、三歳児健康診査、. 2018 年 に SVS の 改 良 ソ フ ト ウ ェ ア. および幼稚園・保育園における視覚検診での普. 【Ver.3.1.00.00-A0004】 を 搭 載 し た 機 種 で は、. 及が進んでおり、各場面において視覚スクリー. 6-11 月 齢(ヵ 月)、12-35 月 齢(ヵ 月)、3-5 歳. ニングに有用であることが国内外で報告されて. および 6-19 歳の年齢区分(以下 4 mm モード). いる 3)~ 9)。一方、SVS の短所を挙げるとすれば、. を選択した場合には改良前と同様に 4 mm 以上. −114−.
(3) 第49巻(2020). の瞳孔径が測定に必要であるが、20-100 歳の測. で対象者の年齢に応じて 3-5 歳または 6-19 歳の. 定年齢区分(以下 3 mm モード)を選択するこ. 年齢区分(何れも明室 4 mm モード)を用いて. とで、これまでよりも 1 mm 小さい、3 mm 以. 測定した後、20-100 歳の年齢区分(明室 3 mm. 上の瞳孔径から測定可能となった 12)。即ち選択. モード)を用いて測定した。その後、暗室にお. する年齢区分によって ARF 検出のための基準. いて対象者の年齢に応じて 3-5 歳または 6-19 歳. 値こそ異なるが、実質的には測定可能な瞳孔径. の年齢区分(以下暗室 4 mm モード)で測定を. は 3 mm 以上とこれまでよりも 1 mm 引き下げ. した。KR8100PA は明室において両眼開放下で. られた。そこで我々は 3 mm モードを使用する. 片眼ずつ測定した。. ことで、明室において SVS の測定可能な対象眼. 3. 分析方法. が増加するのではないかと考えた。. 各条件で測定が可能であった割合を測定可能. 本研究では明室における SVS の 3 mm モード. 率%【測定可能対象者数 / 対象者数× 100】と. の有用性を検討するために、4 歳から 11 歳の不. して算出した。また、KR8100PA による他覚的. 同視弱視および屈折異常弱視例を対象に、明. 屈折値と SVS の各条件による他覚的屈折値の比. 室における 3 mm モードと暗室における 4 mm. 較は一元配置分散分析(SPSS Statistics Ver.26,. モードで測定可能な患者の割合を比較した。加. International Business Machine)を行い、その. えて SVS 両モードの測定値と据え置き式オー. 有意水準を 5 %未満とした。. トレフラクトメータの測定値の比較もおこなっ た。. Ⅲ.結果 測 定 可 能 率 は 明 室 4 mm モ ー ド で 75 %. Ⅱ.対象および方法. (42/56 眼)、 明 室 3 mm モ ー ド で 93 %(52/56. 1. 対象. 眼)、 暗 室 4 mm モ ー ド お よ び KR8100PA で. 対象は 2019 年 2 月 1 日から 5 月 31 日の期間に. 100 %であった。. 大垣市民病院眼科を受診し、眼科専門医によっ. 明室 4 mm モードで測定が可能であった 42 眼. て不同視弱視もしくは屈折異常弱視と診断され. の各条件による測定値を球面度数(D)と円柱. た 4 歳から 11 歳(平均年齢±標準偏差、7.7 ±. 度数(D)に分類し表 1 に示した。SVS の各測. 2.0 歳)の 28 例 56 眼とした。器質的眼疾患の有. 定条件で得られた測定値を KR8100PA で得られ. る者および顕性斜視の有る者、精神発達遅滞に. た測定値と比較すると、球面度数、円柱度数と. より固視不良な者は対象から除外した。本研究. もに差はなかった(図 1)。. は大垣市民病院倫理委員会で承認(20190926-. 次に明室 4 mm モードで測定時に「瞳孔径が. 2)を受け、対象者とその保護者に十分なイン. 小さすぎます」とのコメント表示があり測定. フォームドコンセントをおこなった上で実施し. 不能、明室 3 mm モードでは測定可能であった. た。. 10 眼の各条件による測定値を表 2 に示した。明. 2. 測定方法. 室 3 mm モードと暗室 4 mm モードの測定値を. SVS はソフトウェアを【Ver.3.1.00.00-A0004】. KR8100PA で得られた測定値と比較すると、球. にアップデートされたものを使用した。なおソ. 面度数、円柱度数ともに差はなかった(図 2)。. フトウェアのアップデート以外の仕様は 2018 年 以前のものと同様である。据え置き式オートレ. Ⅳ.考按. フラクトメータ KR8100PA(トプコン社)(以 下 KR8100PA)を用いた。両機器での測定は同. SVS の測定可能率については、対象者の年齢. 日に裸眼、普通瞳孔で実施した。. に差異があるものの 96.2 %から 100 %と報告さ. SVS の測定は、まず明室(眼科検査室の平. れている 2),13),14)。何れの報告も半暗室または暗. 均照度 650 lx:以下明室)において両眼モード. 室を使用しており、本研究における暗室 4 mm. −115−.
(4) 日本視能訓練士協会誌. 表 1. 明室 4 mm モードで測定が可能であった 42 眼の各測定条件における球面度数(D)と円柱度数(D). 図 1. 明室 4 mm モードで測定可能であった 42 眼における各測定条件で得られた他覚的屈折値の 比較 各測定条件で得られた他覚的屈折値の平均値(中央値)は球面度数において、KR8100PA で +1.866 D(+1.500 D) 、明室 4 mm モードで +1.747 D(+1.125 D)、明室 3 mm モードで +1.413 D(+1.000 D) 、 暗 室 4 mm モ ー ド で +2.084 D(+1.625 D)、 円 柱 度 数 に お い て、 KR8100PA で -1.520 D(-1.125 D) 、明室 4 mm モードで -1.506 D(-1.250 D)、明室 3 mm モ ードで -1.849 D(-1.750 D) 、暗室 4 mm モードで -1.680 D(-1.500 D)であった。球面度数、 円柱度数ともに、各測定条件間で有意差はなかった。. 表 2. 明室 4 mm モードで測定不能,明室 3 mm モードで測定可能であった 10 眼の各条件における球面度数 (D)と円柱度数(D). 図 2. 明室 4 mm モードで測定不能、明室 3 mm モードで測定可能であった 10 眼における各測定 条件で得られた他覚的屈折値の比較 各測定条件で得られた他覚的屈折値の平均値(中央値)は球面度数において、KR8100PA で +0.775 D(+0.500 D) 、明室 3 mm モードで +0.400 D(-0.250 D)、明室 4 mm モードで -1.175 D(-0.500 D)であった。球面度数、円柱度数ともに、各測定条件間で有意差はなか った。. −116−.
(5) 第49巻(2020). モードの測定可能率も 100 %であった。これら. であった 10 眼についても、KR8100PA と明室 3. の事柄から、SVS を半暗室または暗室で測定し. mm モード及び暗室 4 mm モードとの間で差が. た場合の測定可能率は非常に高いことが示唆さ. なかった。先行研究 9)において、非調節麻痺下. れた。一方で明室 4 mm モードの測定可能率は. において、据え置き式オートレフラクトメータ. 75 %であり、暗室 4 mm モードよりも 25 %低下. (RT-7000)での球面・円柱度数は暗室におけ. した。SVS の測定不能の原因としては精神発達. る SVS での球面・円柱度数と差がないことが報. 遅滞による固視不良や中間透光体の障害が報告. 告されている。本研究においてはすべての SVS. されている 15)。本研究においては予め器質的疾. の測定条件でオートレフラクトメータの測定値. 患や固視困難な者は対象から除外しており、さ. と差がなかったことから、明室、暗室、4 mm. らに暗室 4 mm モードでは測定可能率 100 %で. モード、3 mm モードの条件を問わず SVS の測. あった。岩田らは 8 ~ 15 歳の小児を対象に日常. 定値とオートレフラクトメータの測定値は近似. 瞳孔径を考慮した両眼開放視力検査の有効性を. することが示唆された。. 検討しており Occlu-pad® を用いた際の瞳孔径. ただし、本研究については 2 つの制限があり、. の平均は 5.0 ± 0.5mm と報告している 。この. 第 1 に SVS と KR8100PA 測定時の瞳孔径につい. ことから、多くの症例は明室で 4 mm 以上の瞳. て検討していない。第 2 に SVS と KR8100PA は. 孔径であったと考えられたが、岩田らの報告は. 同日に 1 回測定したのみであり、再現性につい. 検査距離 5 m、室内照度 380 lx であったのに対. て検討をおこなっていない。そのため、今後再. して、今回は検査距離 1.1 m、室内照度 650 lx. 現性を確認するとともに、症例数を増やし、瞳. のため、4 mm 以下の瞳孔径であったことが示. 孔径についても検討を続けていくことが必要で. 唆 さ れ た。 さ ら に、 明 室 4 mm で 測 定 で き な. ある。. かった症例は何れも測定時に「瞳孔径が小さす. 本研究にて明室 3 mm モードを使用すること. ぎます」とのコメントが SVS の測定モニターに. で明室 4 mm モードよりも測定可能率が上昇. 表示されたことから、明室 4 mm モードにおけ. すること、SVS のすべての条件での測定値は. る測定可能率の低下は瞳孔径が明室で 4 mm 以. KR8100PA の測定値と差がないことから、暗室. 下であったことに起因したと示唆された。明室. が怖くて測定不能だった小児や、暗室の備えが. 4 mm で 75 %であった測定可能率が明室 3 mm. ない施設では、明室 4 mm モードで測定不能の. で 93 %に向上した理由についても瞳孔径に起因. 場合に明室 3 mm モードを使用することは有用. しており、18 %の対象眼の瞳孔径が 4 mm 未満. であると考えられた。. 16). 3 mm 以上であったことによるものと推測され た。また、SVS の測定原理は内蔵された赤外線 LED から近赤外光を被検者眼に出力し、その反. 利益相反:利益相反公表基準に該当なし. 射光を利用して屈折度や眼位の状態を測定して おり、4 mm モードと 3 mm モード間での差異 はない。しかしながら 4 mm モードから 3 mm. 参考文献. モードに変えることで測定範囲が縮小し、睫毛. 佐藤司,新井田孝裕:機器・薬剤紹介 Spot 1). や瞼裂幅等のアーチファクトの影響をより受け にくくなったために測定可能率が向上した可能. Vision Screener.眼科 61:171-178,2019. 2 ) 林思音,枝松瞳,沼倉周彦,川崎良,三井哲. 性も考えられた。. 夫,山下英俊:小児屈折スクリーニングにお. 次 に KR8100PA に よ る 他 覚 的 屈 折 値 を SVS. け る Spot Vision Screener の 有 用 性. 眼 臨. の各条件で測定された値と比較すると、明室. 10:399-403,2017.. 4 mm モードで測定可能であった 42 眼において. 3) Ransbarger KM, Dunber JA, Choi SE,. は、KR8100PA と明室 4 mm モードとの間で差. Khazaeni LM: Result of a community vision. がなく、加えて、明室 4 ㎜モードで測定不能. screening program using the Spot. −117−.
(6) 日本視能訓練士協会誌. photoscreener. J AAPOS 17: 516-520, 2013.. 子,越後貫滋子,片桐聡,他:斜視を伴う小. 4 ) Silbert DI, Matta NS: Performance of the. 児 に 対 す る Spot Vision Screener の 使 用 経. Spot Vision screener for the detection of amblyopia risk factor in children. J AAPOS. 験.日視会誌 46:167-174, 2017. 林 思 音: 新 し い 検 査 機 器 の 読 み 方 SpotTM 11). 18: 169-172, 2014.. Vision Screener.IOL&RS 32:516-519,. 5 ) Peterseim MMW, Papa CE, Wilson ME,. 2018.. Davison JD, Shtessel M, Husain M, et.al: The. ウェルチ・アレン スポットビジョンスク 12). effectiveness of the Spot Vision Screener in. リ ー ナ ー の ソ フ ト ウ ェ ア 新 バ ー ジ ョ ン. detecting amblyopia risk factors. J AAPOS. (ver.3.1.00.00-A0004) の ご 案 内(internet) :. 18: 539-542, 2014.. http://welchallyn.jp/news/detail/-ver-. 6 ) Arnold RW, Armitage MD: Performance of four new photoscreeners on pediatric. 310000-a0004.html(accessed2019-12-28) 鈴木美加,比金真菜,佐藤千尋,松野希望, 13). pationts with high risk amblyopia. J pediatr. 斎藤章子,森隆史,他:3 歳児健康診査での. Ophthalmol Strabismus 51: 46-52, 2014.. SpotTM Vision Screener の使用経験.日視会. 7 ) 中川浩明,石子智士,菅原一博,間瀬智子, 吉田晃敏:3 種類の他覚的屈折検査装置.日. 誌 46:147-153,2017. 14) Tatara S, Maeda F, Mizuno N, Noguchi A,. 視会誌 43,263-268,2014.. Yaoeda K, Abe H: Refraction and pupil. 8 ) Sanchez I, Ortz-Toquera S, Martin R, Juan. diameter in 3-year and1-month-old children. V: Advantage, limitations, and diagnostic. as measured by Spot Vision Screener.. accuracy of photoscreeners in early detection of amblyopia: a rewiew. Clin. Scientific Reports 9: 15622, 2019. 15) 羅錦營,森啓太,黒崎祥平,小澤香穂,千葉. Ophthalmol 10: 1365-1373, 2016.. 美 穂: 小 児 眼 科 領 域 に お け る Spot Vision. 9 ) 藤田和也,掛上謙,三原美晴,林篤志:小児. Screener の 使 用 経 験. 眼 臨 10:476-481,. に お け る Spot vision screener と RT-7000 の 屈 折 検 査 結 果 の 比 較. 眼 臨 11:112-116,. 2017. 16) 岩田遥 , 半田知也 , 石川均 , 庄司信行:日常瞳. 2018.. 孔径を考慮した自覚的屈折検査の検討 . 眼臨 . 10) 萬束恭子,松岡真未,新保由紀子,赤池祥. −118−. 10:405 - 408, 2017..
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