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胎児期の記憶及び出生直後の学習が親への初期愛着形成にいかに関わるか

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胎児期の記憶及び出生直後の学習が

親への初期愛着形成にいかに関わるか

(研究課題番号 12610078) 平成12年度 平成14年度科学研究費補助金(基盤研究

(

c

)

(2))研究成果報告書 恥川町山町 伽 剛 山 剛剛剛剛 4 岨咽問団四四四,,. 川 川 川

酬 山

岡山川口 平成15年5月 研究代表者 児 玉 典 子 (滋賀大学教育学部教授)

(2)

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-胎児期の記憶及び出生直後の学習が

親への初期愛着形成にいかに関わるか

(研究課題番号 12610078) 平 成12年 度 平 成14年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 ( 基 盤 研 究 (C) (2))研 究 成 果 報 告 書 平 成15年5月 研 究 代 表 者 児 玉 典 子 ( 滋 賀 大 学 教 育 学 部 教 授 )

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目 次

I 研究の構成 1

E 研究の背景と目的 2

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I 研究の構成 1.研究組織 研 究 代 表 者 : 児玉典子(滋賀大学教育学部教授) 2.交付決定額(配分額) (金額単枕:千円) 直接経費 間接経費 合 計 平成12年度 2 300 O 2300 平成, 3年度 700

700 平成14年度 500 O 500 3.研究発表 (]) 学会誌等 Noriko Kodama Effects of odor and taste of amnioticf1uid and mother's milk on body movements in newborn mice.

Developmental Psychobiology, 2002, 41(3), 3 J O. (2) 口頭発表 児玉典子 母親の体毛刺激に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第 64回大会発表, 2000年 11月6日 児玉典子 母親の羊水・母乳・体毛に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第65回大会発表, 2001年 11月9日 児玉典子 羊水と 2種類の母乳に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第 66回大会発表,2002年 9月26日 Noriko Kodama The role of mother's白人amnioticf1uid and mother's milk in nipple attachment in mice. 17th Biennial Meeting of Intemational Society for the Study of Behavioural Development, 2002 August 6. NorikoKodama Effects of odor and taste ofamnioticf1uid and mother's miJk on body movements in newborn mice.

AnnualMeeting of lnternational Society of Developmental Psychobiology, 2002 October 31.

(5)

E 研究の背景と目的 現在の胎児・新生児の研究は、胎児期と新生児期の記憶と学習可能性を指摘する段階か ら、それらに基づいた初期愛着メカニズムを検討する段階へとすすんできた。なぜ新生児 が母親への愛着を出生直後から示すのかという問題について、これまでは新生児が生得的 に持つ単純な反射の組み合わせとして説明されてきた。例えば、ルーティング反射によっ て新生児は母親の乳首を定位し、乳首を反射的にくわえ、吸綴反射によって母乳を吸うと されている。これによって、母乳を与える母親・乳首への愛着 (Nipple Attachment)が形 成されるというわけである。しかし、ルーティング反射の表出はそもそも不安定であり、 ノレーティング反射の後に新生児が乳首を必ずくわえるとは限らず、吸綴反射が常に続いて 現れるわけでもない。従って、反射の組み合わせという自動的な仕組みで初期の愛着が形 成されるという考え方では、説明に矛盾が生じる。むしろ、最近の考え方では、胎児期の 記憶に基づいて新生児が学習していくという能動的な仕組みが初期愛着形成の中で働いて いるという可能性が指摘されるようになってきた。 その背景には、出生直前の胎児が羊水中の味覚/嘆覚刺激の記憶に基づく選好と学習を 行うことがラット ・マウスの実験で確かめられ、胎児はかつて考えられていたほど無能な 存在ではなく、かなりの能力を持つことが明らかとなったことがある。さらに、新生児が ミノレクを飲む時に脳内でκオピオイド受容体が活性化すること、古典的条件づけの手続き に従ってミルクが人工ニップノレとペアにされて反復提示されると μオピオイド受容体が活 性化されることも、初期愛着形成の学習可能性を示唆している。したがって、胎児の発達 した能力が出生直後の母子聞の愛着形成に大きな役割を果たしているのではないかと考え るのは、当然の帰結であろう。このようなことによって、これまでの出生直後の母子聞の 愛着形成の研究が母親から子への愛着に焦点を当てていたのに対し、子から母への能動的 愛着形成を検討する必要性も生じてきた。 本研究では、出生直後の愛着形成の基礎となる母乳への選好に焦点を当て、なぜ出生直 後の新生児が母乳及び母親への強し1選好を持つのか、それは胎児の記憶・学習能力に基づ いて開始されることにより母親への愛着の第一歩となるのか、その鍵となるものが羊水か ら母乳への速やかな選好の移行にあるのかを、マウスの帝王切開胎児を用いて検討し、母 親への愛着形成の開始メカニズムを明らかにすることを大きな目的としている。

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E 研究成果と報告 1.羊水と母乳に対する帝王切開された胎児の反応 2.報告資料 児玉典子 母親の体毛刺激に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第64回大会発表, 2000年 11月 6日 児玉典子 母親の羊水・母乳・体毛に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第65回大会発表, 2001年 11月9日 児玉典子 羊水と 2種類の母乳に対する帝王切開された胎児の反応 日本心理学会第66回大会発表, 2002年9月 26日 Noriko Kodama The role of mother's fur, amniotic fluid and mother's milk in nipple attachment凶mice. 17th Biennial Meeting of Intemational Society for the Study of Behavioural Development, 2002 August 6. Noriko Kodama E首ectsof odor and taste of amniotic fluid and mother's milk on body movements in newbom mice.

Annual Meeting of Intemational Society of Developmental Psychobiology, 2002 October 31.

(7)

3-羊水と母乳に対する帝王切開された胎児の反応

児 玉 典 子 出生直後の母親への愛着は、 NippleAttachmentによって形成される。その第 1段階とし て重要な刺激は、母親の体毛と羊水のにおいで、あった(児玉, 1998)。 体 毛 の に お い は 特 に頭部の上下・伸展運動を、羊水のにおいは開口運動を増加させた。これらのにおいに引 きつけられて新生児が母親に接近する時、次の段階として重要となるのは母乳のにおいと 母親との接触である。そして、これらを経て最後にNippleGr出pingが生じる。 そこで本研究では、 3つの実験によって、母親への愛着形成の開始メカニズムを、母親 の体毛・羊水・母乳の接触刺激とにおいの複合効果として検討し、 NippleGr出pingに至る プロセスを明らかにすることとした。 実験1 母親の体毛刺激に対する帝王切開された胎児の反応 授乳の姿勢をする時、母親の体毛は新生児の頭部、顔面、背部、腹部など、さまざまな 部位を刺激する。本実験では、 Nipple Attachment形成の第2段階として、最初の Nipple Graspingが生じる直前に新生児の皮膚を刺激する母親の体毛の役割を明らかにすること、 そしてそれが新生児のどの部位を刺激した時もっとも新生児の反応を活性化するのかを検 討することを目的とした。 方 法 被験体:クローズド・コロニー系 S¥c:ICRマウス 56匹を用いた。母親との接触経験の ない被験体を得るため、妊娠 18日(満期出産 1日前)の妊娠雌を帝王切開した。群構成 は、母親の体毛で口とその周辺部を刺激される Perioral(PO)群、鼻と noose pad周辺部を 刺激される Nose群、背中を刺激される Back群、何も刺激されないNo Stimulation (NS) 群の4群である。 体毛ブラシの作成:出産した母親の脇腹の体毛を採取し、その根元を絹糸で結んだ。そ れをマイクロピペットのチップに挿入し、さらにステンレスチューブに挿入して固定し、 ブラシを作成した。 帝王切開:妊娠 18日の雌を頚椎離断し、正中線切開を行い、子宮を摘出した。子宮と 羊膜を切開し、胎児を取り出した後、その口を開けて羊水を吸い取った。初呼吸を確認し、 実験開始まで320 Cで3時間保温した。 テス ト:帝王切開された胎児の活動性が安定し始めた、蘇生後3時間から5時間でテス トを行った。32oCに保温したプラスチック容器(直径5cm、高さ 1cm)の中に胎児を 置き、テストを行った。テス ト時間は、刺激を何も提示せず自発的身体運動を観察するべ

(8)

ースライン・セッション3分間と体毛ブラシによる perioral、nose、backへの刺激セッシ ョン3分間の計6分間である。ブラシが胎児の皮膚表面に直角に当たるように刺激を行っ た。なお、 NS群に関しては、ベースライン・セッションの後引き続き 3分間自発的身体 運動を観察した。 6分間の胎児の身体運動は、ビデオに録画し、テスト終了後、ビデオテ ープを再生し、頭部の運動(上下・伸展運動、回転運動)、前肢の運動、後肢の運動、総 活動性の持続時間と、開口運動、 licking、facial wipingの頻度を測定した。また、刺激セ ッションでは、刺激開始からの反応潜時を記録した。 結果と考察 総活動性では、ベースラインと刺激セッションとを比較すると、 NS群は変化を示さな いのに対し、 PO群、 Nose群、 Back群はいずれも刺激セッションで増加した。群とセッ ションの2要因の分散分析を行ったところ、セッションの主効果が認められた (F=37.47, df=1I52, p<.OOI)。すなわち、母親の休毛による皮膚刺激は、帝王切開された胎児の運動を 全体的に活発化させる。 頭部の上下・伸展運動の持続時間は、 NS群と Back群ではほとんどセッション聞での 変化がなかったのに対し、 PO群と Nose群では刺激セッションで 10秒以上増加した (Fig. 1 )。分散分析の結果、セッションの主効果 (F=23.32,d

1/52, p<.Ol)と交互作用 (F=4.31, df=3/52, Pく.05)が認められた。交互作用に関して単純主効果の検定を行ったところ、セッ ションにおける群の単純主効果が認められた (F=5.3, df弓/104,Pく.05)0HSD検定により、 刺激セッションにおいてPO群と Nose群がともに Back群と NS群とは有意に異なってい た。母親の体毛が胎児の頭部を上下に動かして伸展させるという定位運動につながる運動 を引き起こすのは、鼻と口の周辺部への刺激に限られることは明らかである。潜時につい ては、刺激セッションでPO群が他の3群に比較しでもっとも短かった (Fig.2)。分散分 析の結果、群差が認められた (F=4.05

df=3/52

Pく.05)。口とその周辺部への刺激は、きわ めて速い反応を胎児に引き起こすようである。 .r-、. 40

g

30 (J)

5

20 +' P目 当10 0

NS 8ack Nose Groups Fig. 1頭部の上下・伸展運動の持続時間 -5 -• Baseline 口Stimulation PO

(9)

また、開口運動の頻度は、 PO群と Nose群が刺激セッションで増加したのに対し、 Back NS群では減少した (Fig. 3)。分散分析の結果、交互作用が認められた (F=3.23, df=3/52, p(.05)。潜時については、刺激セッションでPO群がもっとも潜時が短く、次にNose 群、 Back群、 NS群の順で長くなった (Fig.4) 0 H検定で群差が認められたため (H=8.64, df=3, p(.05) U検定を行ったところ、PO群と NS群、 PO群と Back群との聞に 10%レベ ルで有意な傾向が認められた。 群と 50 40 〆園、 U ~ 30 h o ~ 20 +' 悶 ー」 10 PO Nose Back Groups NS

.8aseline 口Stimulation Fig. 2頭部の上下・伸展運動の潜時 10 4 2 8 6 k F O C U コσω ﹄ 比 PO Nose Back Groups NS O Fie:.3関 口 運動の頻度 150 r、、 ~ 100 師 、ー" h O C 由 +' ro ....J 50

PO NOS9 8ack Groups NS Fig.4 刺 激セッションでのMouthの潜 時

(10)

これらのことから、母親の体毛による新生児の顔への皮膚刺激は、定位運動につながる 頭部の運動を活発化させ、同時に Nipple Graspingにつながる開口運動を引き起こし始め ると考えられる。 実験2 母親の羊水・母乳・体毛に対する帝王切開された胎児の反応 実験 1では、帝王切開された胎児の口周辺部を母親の体毛で刺激すると、頭部の運動を いっそう活発化し、同時に開口運動を引き起こすことが明らかになった。しかし、そもそ も新生児の口周辺部が母親の体毛で刺激される際には、体毛に付着した羊水と体毛のにお いが、また体毛に母乳が付着していれば母乳のにおいが、開口運動が起これば羊水と母乳 の味が同時提示されることになる。このように、出生直後の Nipple Attachment形成の際 には、さまざまな刺激の効果が複合的に働くと考えねばならない。 そこで、実験2では最初の Nipple Graspingが生じる直前に新生児を刺激する羊水・母 乳・体毛の複合的効果を、帝王切開された胎児を用いて検討することを目的とした。 方 法 被験体:帝王切開によって得られた妊娠 18日の SIc:ICRマウス 80匹で、あった。群構成 は、羊水に浸した体毛ブラシで口とその周辺部を刺激される AF群、母乳に浸した体毛ブ ラシで口とその周辺部を刺激される MTLK群、生理食塩水に浸したブラシで刺激される SAL群、蒸留水に浸したブラシで刺激される D W群の4群であった。 羊水の採取:妊娠 17日の雌の腹部を正中線切開し、子宮を摘出した。子宮に付着した 血液を落とした後、注射針で羊膜を破り、流れ出た羊水をシャーレに受け、それを注射針 で吸い上げた。変質を防ぐため、採取した羊水を-800C で冷凍保存した。 母乳の採取:分娩当日あるいは2日目の雌にオキシトシン200ngを腹腔内投与し、乳首 から分泌された母乳をマイクロピペットで採取した。それを蒸留水で、 2倍に希釈し、変質 を 防 ぐ た め -800Cで冷凍保存した。 帝王切開と体毛ブラシの作成:実験1と同様で、あった。 テスト:蘇生後3時間から 5時間でテス トを行った。テスト時間は、刺激を何も提示せ ず自発的身体運動を観察するベースライン ・セッション3分間と、羊水 ・母乳・生理食塩 水・蒸留水に浸した体毛ブラシで胎児の口周辺部を刺激する刺激セッション3分間であ る。実験1と同様、 6分間の胎児の身体運動をビデオに録画し、テスト終了後それを再生 して身体各部の運動を記録した。 結果と考察 総活動性では、全群で刺激セッションでの増加が認められた。分散分析の結果、セッシ ョンの効果が認められた (F=19.06,df斗/76,Pく.01)。 頭部の上下 ・伸展運動の持続時間は、刺激セッションでの AF群の増加が他の3群と比 較して 14.7秒と最も著しかった (Fig.5)。分散分析の結果、群 (F=5.75,df=3/76, pく.01)、 -7

(11)

-セッション (F=I1.38,df=3/76, Pく.01)、交互作用 (F=11.03, df弓/76,Pく.01)が有意で、あっ

た。群の主効果について HSD検定を行ったところ、 AF群と SAL群に 1 %水準で、 AF群 と MILK群、 AF群と D W群に5 %水準で差が認められた。次に交互作用については、刺 激セッションにおける群の単純主効果が有意で、あったので (F=15.00,dト3/152,p<.OI)、 さ

らに HSD検定を行った。その結果、 AF群と MILK群、 AF群と SAL群、 AF群と D W群 に1 %水準で差が認められた。頭部の上下・伸展運動の潜時については、 AF群がもっと も短く、 MILK群が最も長かった (Fig.6)。分散分析の結果、群差が認められた (F=5.10, df=3/76, p<.OI)0 HSD検定の結果、 AF群と MILK群の聞にのみ1%水準で差が認められ た。このことは、羊水が胎児を強く引きつけるのに対し、母乳はそれほど胎児を引きつけ ないという、両者の対照的な特徴を示すものである。 30 O ~ 20 c o +-' ~ 10 コ

• Baseline 口Stimulation

AF

MILK

SAL

DW Groups Fig.5頭部の上下・伸展運動の持続時間 15 〆 -、 ~ 10 (/) 、 ‘・ー" p h u k 片 O C ω μ 伺 ﹂

AF MILK SAL DW Groups Fig.6頭部の上下・伸展運動の潜時

(12)

また、開口運動の頻度は、刺激セッションでの AF群の増加が他の3群と比較してきわ めて多かった (Fig.7)。分散分析の結果、群 (F=3.89,df=3/76, p<.05)、セッション (F=40.80, df=3/76, pく.01)、交互作用 (F=4.39,df=3/76, pく.01)が有意であった。群の主効果について HSD検定を行ったところ、 AF群と D W群の聞に

5%

水準で差が認められた。次に交互作 用については、刺激セッションにおける群の単純主効果が有意であったので (F=8.23, df=3/152, Pく.01)、さらにHSD検定を行った。その結果、 M 群と SAL群、 AF群と D W群 の聞に

1%

水準で差が認められた。潜時については、刺激セッションで AF群がもっとも 短く、 SAL群、 MILK群、 D W群の順に長くなった。分散分析の結果、群差が認められた (F=4.64, df=3/76, p<.O1) 0 HSD検定を行ったところ、 AF群と D W群の聞に

1%

水準で差 が認められた。 .Baseline 口Stimulation 15

10 c ω

σ

ω 」 lL.

5

DW SAL

MILK

Groups AF

Fig.7開口運動の頻度 100 80 60 40 20 ( ・ 0 ω 切 ) K A O C ω リ 干 の ﹂ O DW SAL MILK AF Groups 刺激セッションで、のMouthの潜時 -9 -Fig.8

(13)

これらのことから、体毛に付着した羊水のもつ刺激特性が胎児を最も強く引きつけるこ とは明らかである。同時に、栄養源として必要不可欠な母乳がそれほど胎児を引きつける わけではないことも明らかとなった。自然分娩1日前の胎児は、新生児同様にミノレクを飲 むことが知られているにもかかわらず、なぜ本実験で用いた母乳が有効で、はなかったのか については、さらに検討必要がある。 実験3 羊水と 2種類の母乳に対する帝王切開された胎児の反応 実験2では分娩2日までの母乳を用いたが、母乳が新生児の生命維持に必須のものであ るにもかかわらず、強い効果は認められなかった。その原因のーっとして、初乳を用いな かったことが考えられる。母乳は、出産後離乳までの聞に成分が変化する。初乳とそれ以 後の母乳が新生児の Nipple Attachment形成に異なる効果を及ぼす可能性があるかもしれ ない。そこで実験3では、羊水の効果と 2種類の母乳(初乳と分娩3日目の母乳)の効果 を、帝王切開された胎児を用いて検討することを目的とした。 方 法 被験体:帝王切開によって得られた妊娠 18日の Slc:ICRマウス 80匹で、あった。群構成 は、羊水に浸した体毛ブラシで口とその周辺部を刺激される AF群、初乳に浸した体毛ブ ラシで口とその周辺部を刺激される MO群、分娩3日目の母乳に浸したブラシで刺激され るM3群、蒸留水に浸したブラシで刺激される D W群の4群で、あった。 羊水の採取、母乳の採取、帝王切開、体毛ブラシの作成:実験2と同様で、あった。 テスト:蘇生後 3時間から 5時間でテストを行った。テスト時間は、刺激を何も提示せ ず自発的身体運動を観察するベースライン・セッション3分間、羊水・初乳・分娩 3日目 の母乳・蒸留水に浸した体毛ブ、ラシを胎児の鼻先に提示してにおいをかがせる提示セッシ ョン3分間、これらの体毛ブラシで胎児の口周辺部を刺激する刺激セッション 3分間であ る。 9分間の胎児の身体運動をビデオに録画し、テスト終了後それを再生して身体各部の 運動を記録した。 結果と考察 頭部の上下・伸展運動の持続時間は、刺激セッションでの M 群、 MO群、 M3群がD W 群と比較して長くなった (Fig.9)。分散分析の結果、セッション (F=56.34,df弓1152,Pくβ1) と交互作用 (F=2.63,df=6/152, p<.05)に差が認められた。セッションについて HSD検定 を行ったところ、ベースラインセッションと刺激セッション、提示セッションと刺激セッ ションの聞に

5%

水準で差が認められた。交互作用については、群におけるセッションの 単純主効果が AF群 (F=21.93,d

21152, Pく.01)、 MO群 (F=35.70,df=2/l52, Pく.01)、 M3群 (F=23.89, df=21152, p<.o1)、

DW

群 (F=7.67,df

1152,p<.ol)で、有意で、あったので、さら に HSD検定を行った。その結果、 AF群、 MO群、 M3群でベースラインセッションと刺 激セッション、提示セッションと刺激セッションの聞に

1%

水準で有意差が認められた。

(14)

100 80 〆ー、. O ω ω 60 、、./ c

争」J 偲 40 コ

20

Baseline Presentation Stimulation Sessions Fig.9頭部の上下・伸展運動の持続時間 20 ハ 15 O ω ω 、../

10 c ω +-' 句 ....J 5

Presentation Sessions Stimulation Fig. 10刺激セッションでの頭部の上下・伸展運動の潜時 20 15 〉、 O C ~ 10 r:::r ω 」 l.L 5

Baseline Fig. 11開口運動の頻度 Presentation Sessions ー 11-Stimulation

.AF

MO 白M3

口DW

.AF

MO DM3

口DW

.

AF

MO 臼M3 口

DW

(15)

.AF

MO 臼M3

DW

-・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ -a ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •••••• ••••••••••••• ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 80 ~ 60 O ω ω

40 c ω +-' 伺 ..J20

Presentation Stimulation Sessions Fig. 12提示セッションと刺激セッションで、の開口運動の潜時 潜時については、提示セッションから刺激セッションにかけて、全ての群で短くなった。 Fig. 10に示したように、特に M3群では急速に短くなっている。 分散分析の結果、セッ ション (F=21.11,df=21152,

p

<

.

o

l)と交互作用 (F=4.79,df=6/152,

p

<

.

o

l)に差が認められ た。セッションにつて HSD検定を行ったところ、ベースラインセッションと刺激セッシ ョン、提示セッションと刺激セッションの聞にfJ%水準で有意差が認められた。交互作用 については、セッションにおける群の単純主効果が提示セッションで有意であったので (F=20.19, df=3/228, pく.01)、さらにHSD検定を行った。その結果、提示セッションでは、 AF 群と M3群、 MO群と M3群、 M3群と D W群の聞に 1 %水準で有意差が認められた。 また、開口運動の頻度は、 AF群が提示セッションで著しく増加を示しそれを刺激セッ ションでも維持したのに対し、MO群は刺激セッションで初めて増加し、 M3群と D W群 は全セッションを通じてほとんど増加しなかった (Fig. 11)。分散分析の結果、セッショ ン (F=5.04,df=21152, Pく.01)と交互作用 (F=2.67,df=6/l52, Pく.01)に差が認められた。セ ッションについて HSD検定を行ったところ、ベースラインセッションと刺激セッション の聞に5 %水準で、有意差が認められた。交互作用については、セッションにおける群の単 純主効果が提示セッション (F=5.49,df=3/228, pく.01)と刺激セッション (F=364.20,df=3/228,

p

<

β

1)で有意であったので、さらに HSD検定を行ったが、有意差は認められなかった。 潜時については、 AF群が提示セッションと刺激セッションで短くなったのに対し、他の 3群は刺激セッションで短くなった (Fig. 12}。分散分析の結果、セッショ ン (F=1O.50, df=2/152, Pく.01)と交互作用 (F=3.11,d

6/152, Pく.01)に差が認められた。セッションに ついて HSD検定を行ったところ、ベースラインセッションと刺激セッション、提示セッ ションと刺激セッションの聞に 5 %水準で有意差が認められた。交互作用については、セ ッションにおける群の単純主効果に有意差は認められなかった。 これらの結果は、におい提示効果と口周辺部への刺激効果については、羊水が最も大き な効果を持つことを明示している。初乳は羊水と同様の刺激効果を持つが、におい提示に 対する反応が羊水に比較して遅い。また、出産3日の母乳の刺激効果は開口運動の頻度で

(16)

351/ 初乳に劣る。母乳に関しては、初乳の持つ刺激効果が最も大きいことは明らかである。 ψ士 雪δ、 耳、ロ 日間 出生直後の母親への愛着形成は、 NippleAttachmentとして現れる。本研究では、そのメ カニズムを、羊水に対する胎児の記憶と選好を中心として明らかにすることを試みた。す でに、第1段階としての重要な刺激は、母親の体毛と羊水のにおいであることが見いださ れている(児玉J 1998)。体毛と羊水のにおいは、 出生直後の新生児の頭部運動と開口運 動を活発化させる。つまり、これらのにおいに引きつけられて、においの源である母親に 接近する。 母親へ接近すると、必然的に母親の体毛が胎児の皮膚を直接刺激する。実験1の結果は、 母親の体毛が新生児の身体を刺激すると、全体的に身体運動を活発化させること、特に口 周辺部の刺激は、頭部の上下・伸展運動と開口運動の活発化に効果的であることを示した。 つまり、体毛と羊水のにおいによって母親へと接近した新生児は、母親の体毛に接触する と、さらに頭部の運動上下・伸展運動を活発化させて母親を定位し、同時に NippleGrasping につながる開口運動を行いながら母親の乳首を捜し始めると考えられる。 母親の腹部の体毛には、出産時の血液、羊水、母親の唾j夜、乳首から分泌される母乳な どが付着している。羊水は、新生児にとって胎児期からの慣れた刺激であり、母乳は新規 刺激である。晴乳類にとって、母乳が新生児の生命維持に必要不可欠なものであるため、 われわれは新生児が自動的に吸乳し始めると考えがちである。しかし、実験2の結果は、 羊水こそが新生児を最も引きつける刺激であることを明らかにした。母乳は、羊水に比較 して頭部の上下・伸展運動も開口運動も活発化させない。さらに実験3では、羊水・初乳 ・出産3日目の母乳の効果を比較し、初乳が羊水と同様の刺激効果をもつこと、出産3日 目の母乳の効果は両者の効果に劣ることを明らかにした。 しかし、羊水と初乳の効果が細部に至るまで全く同じという訳ではない。初乳のにおい に対する反応は、羊水に比較しでかなり遅い。このことから、慣れた刺激である羊水のに おいがまず新生児を母親へと引きつけ、その後で新規刺激である初乳への継時的暴露が一 種の連合学習を引き起こし、口を開け、乳首をくわえ、母乳を飲むという行動までの連鎖 を最終的に形成すると考えた方が適切であろう。連合学習がどの程度のスピードで形成さ れるのかは現段階では不明であるが、晴乳類にとっての Nipple Attachmentの重要性から 判断して、かなりの速さで形成されると考えられる。 開

(17)

13-第64回日心大会 (2000) 行 動

4

-

2

母親の体毛刺激に対する帝王切開された胎児の反応

児 玉 典 子 (滋賀大学教育学部) key words: 日lother's fur, caesarean deli vary, perioral stimulation 出生直後の NippleAttachmerit形成の第 1段階として重要 同l激は、母親の体毛と羊水のにおいであった(児玉, 1998)。 体毛のにおいは特に頭部百上下・伸展運動を、羊水のにおい は関口運動を増加させた。これらのにおいに引きつけられて 踊生児が母親に接近する時、次の段階として重要となるのは 母親との接触である。なぜなら、母親の胸部と腹部への頭部 接触が第3段階としてのNippleGraspingへ導くからである。 本研究では、 NippleAttachment形成の第 2段階として、 最初のNlppleGraspingが生じる直前に新生児の皮膚を刺激 する母親の体毛の役割を明らかにすること、そしてそれが新 生児のどの部位を刺激したとき最も新生児の反応を活性化す 6のかを検討することを目的とした。 方 法 被験体と群構成:妊娠18日(満期出産 1目前)の Slc:lCR 7ウス56匹である。母親との接触経験のない被験体を得るた め、妊娠18日の妊娠雌を帝王切開した。群構成は、母親の体 毛で口とその周辺部を刺激されるPerioral(PO)群、鼻と Nose 阿周辺部を刺激されるNose群、背中を刺激される Back群、 何も刺激されないNoStimulation(NS)群の 4群である。 体毛ブラシの作成:母親の脇腹の体毛を採取し、それをマイ ドt'ヘ,トの""7'に挿入し、 さらにステンレスチュー7+に挿入して固定 し、ブラシを作成した。 帝王切開:妊娠18日の雌の子宮を摘出し、羊膜を切開して 始児を取り出した。胎児の口を聞けて羊水を吸い取り、初呼 吸を確認した後、実験開始まで320 Cで3時間保温した。 テスト:帝王切開された胎児の活動性が安定し始めた、蘇 生後3時聞から 5時間でテストを行った。 320CIこ温めた7'7 7 -M容器(直径5cm、高さ 1cm) の中に胎児を置き、その自発的 身体運動をビデオに録画した。テスト時間は、刺激を何も提 示せず自発的身体運動を観察するベースライン・セッション 3分間と、ブラシによるperioral、nose、backへの刺激セッ ション3分間の計 6分間であるb ブラシが皮膚表面に対して 直角にあたるように刺激を行った。なお、 NS群に関しては、 ペ}スライン・セッションの後引き続き3分間自発的身体運 動を観察した。実験終了後ビデオテープを再生し、頭部の運 動(上下・伸展運動、回転運動)、前肢の運動、後肢の運動、 総活動性の持続時間と、開口運動、 licking、facialwiping の頻度を測定した。また、刺激セッションでは、刺激開始か らの反応浴時を記録した。 結 果 総活動性は、身体運動の総持続時間を測定したもので ある。ベースラインと刺激セッションとを比較すると、 NS群は変化を示さないのに対し、 PO群、 Nose群、 Back群 はいずれも刺激セッションで摺加した。分散分析の結果、 セッションの主効果が認められた (F=37.47,df=1/52, p<.001)0 HSD検定により、 NS群と PO群 お よ びNose群 と の 間に5 %レベルで差が認められた。すなわち、母親の体 毛による皮膚刺激は新生児の運動を活発化させる。 頭部の上下・伸展運動の持続時聞は、 NS群と 8ack群でほと んどセッション間での変化がなかったのに対し、 PO群とNose 群では刺激セッションで10秒以上増加した (Fig.1) 。分散 分析の結果、セッションの主効果(F=23.32, df=1/52, p<. 01) と交互作用 (F=4.31,df=3/52, p<.05) が有意であった。こ のことは、母親の体毛が新生児に頭部を上下に動かして伸展 させるという定位運動につながる運動を引き起こすのは、鼻 と口の周辺部への刺激に限られることを示している。潜時に ついては、刺激セッションでPO群が他の3群に比較して最も 短かった (Fig. 2) 。分散分析の結果、群差が認められた( F=4.05, df=3/52, p<.05) 。口とその周辺部への刺激は、き わめて速い反応を引き起こすようである。 また、開口運動の頻度は、 PO群とNose群が刺激セッション で場加したのに対し、 8ack群と NS群では減少した。分散分析 の結果、交互作用が認められた(F=3.23,df=3/52, p<.05) 。 潜時については、刺激セッションでPO群が最も潜時が短く、 Nose群、 Back群、 NS群のl頓に長くなった。 H検定で群差が認 められたため (H=8.64,df=3, p(.05) 、U検定を行ったとこ ろ、 PO群とNS群、 PO群と Back群との聞に10%レベルで有意な 傾向が認められた。 これらのことから、母親の体毛による新生児の顔への皮膚 刺激は、定位運動につながる頭部の運動を活発化させ、同時 に NippleGrasping につながる開口運動を引き起こし始める と考えられる。 40 U ) ωBaseline

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NS 8<lck Nose P O Groups Fig. 1 頭部の上下・伸展運動の持続時間 NS 8ack Nose P O Groups Fig. 2 刺激提示セッションにおける頭部の 上下・伸展運動の潜時 (KODAMA Noriko)

(18)

日心第65回大会 (2001) 行 動 3PM132

母親の羊水・母乳・体毛に対する帝王切開された胎児の反応

児 玉 典 子 (滋賀大学教育学部) key words: nippleattachment, amniotic fluid, mother' s milk 出生直後の NippleAttachment形成の第1段階として重要 な刺激は、母親の体毛と羊水のにおいである(児玉, 1998)。 体毛のにおいは特に頭部め上下・伸展運動を、羊水のにおい は開口運動を増加させる。これらのにおいに引きつけられて 新生児が母親に接近する時、第2段階として重要となるのは 口周辺部を母親の体毛が刺激することである。この刺激は、 頭部運動をいっそう活発化させ、同時に関口運動を引きおこ す(児玉, 2000)。しかし、そもそも新生児の口周辺部が母親 の体毛で刺激される際には体毛に付着した羊水と体毛のにお いが、また体毛に母乳が付着していれば母乳のにおいが、開 口運動が起これば羊水と母乳の味が同時提示されることにな る。このように、出生直後のNippleAttachment形成の際に は、様々な刺激の効果が複合的に働くと考えねばならない。 そこで、本研究では最初JのNippleGraspingが生じる直前 に新生児を刺激する羊水・母乳・体毛の複合的効果を、帝主 切開された胎児を用いて検討することを目的とした。 方 法 被験体と群構成:妊娠18日(満期出産1目前)の Slc:ICR マウス80匹である。母親との接触経験のない被験体を得るた め、妊娠18日の妊娠雌を情王切開した。群構成は、羊水に浸 した体毛ブラシで口とその周辺部を刺激されるAF群、母乳に 浸した体毛ブラシで刺激されるMILK群、生理食温水に浸した ブラシで刺激されるSAL群、蒸留水に浸したブラシで刺激さ れるDW群の4群である。 3群に比較して著しく短かった。分散分析の結果、群の主効 果が認められた(F=6,95, df=1/76, p<,01)。 頭部の上下・伸展運動の持続時間は、刺激t?~3 ンでのAF群の 増加が他の3群と比較して14.7秒と是も著しかった(Fig.1)。 分散分析の結果、群(F=5.75,df=3/76. p<.Ol)、セッション (F= 11. 38, df=1/76, p<. 01)、交互作用 (F=11.03,df=3/76, p <.01)が有意であった。潜時については、 AF群が最も短く、 MILK群が最も長かった。分散分析の結果、群差が認められた (F=5.10, df=3/76, p<.01)。このことは、羊水が胎児を強く 引きつけるのに対し、母乳はそれほど胎児を引きつけないと いう、両者の対照的な特徴を示すものである。 また、開口運動の頻度は、刺激セッションでのAF詳の増加が他の 3群と比較してきわめて多かった (Fig. 2)。分散分析の結 果、 群(F=3.89,df=3/76, p<.05)、セッション(F=40.80, df=3/76, pく.01)、交互作用(F=4.39,df=3/76, p<.OI)が有意であった。 潜時については、刺激t7~ 3!Iで AF群が最も短く、 SAL群、 MILK 群、 DW群の順に長くなった。分散分析の結果、群差が認めら れた(F=4.64,df=3/76, pく.01)。 これらのことから、羊水の持つ刺激特性が胎児を最も強く 引きつけることは明らかである。同時に、栄養源として必要 不可欠な母乳がそれほど胎児を引きつけるわけではないこと も明らかになった。次には、なぜ母乳が有効ではなかったの かの検討が、 NippleAttachment形成の解明には必要である。 25 体毛ブラシの作成:母親の脇腹の体毛を採取し、それをマイ υ 20 Fロt・へ・けの'h7・に挿入し、 さらにステンレスチュープに挿入して固定 的 し 、 ブ ラ シ を 作 成 し た 。 " - - ' 15 羊水の採取:妊娠17日の雌の腹部を切開し、子宮を摘出し、 ロ 羊水を吸い上げ、変質を防ぐため-800 Cで冷凍保存した。

7

10 母乳の採取:分娩当日あるいは2日目の雌にオキシトシン200ng .,... を腹腔内投与し、乳首から分泌された母乳を採取した。それ 国 5 を蒸留水で2倍に希釈し、 -800 Cで冷凍保存した。 1.< 帝王切開:妊娠18日の雌の子宮を摘出し、羊膜を切開して ;::l 0 胎児を取り出した。胎児の口を開けて羊水を吸い取り、初呼 H 吸を確認した後、実験開始まで32"Cで3時間保温した。 テスト:蘇生後3時聞から5時間でテストを行った。 320 C に温めた7'7スチック容器(直径5cm、高さ1cm)の中に胎児を置き、 その身体運動をビデオに録画した。テスト時間は、自発的身 体運動を観察する川ライン,t~~3 ン 3 分間と、羊水・母乳・生

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15 理食塩水・蒸留水に浸したブラシで胎児の口周辺部を刺激す ロ10 る刺激セッション3分間である。実験終了後、t'γォテ-7'を再 ω 生し、頭部の運動(上下・伸展運動、回転運動)、前肢の運動、 ロ 後肢の運動、総活動性、開口運動の持続時間と頻度を記録し : 5 た。また、刺激セフションでは刺激開始からの反応潜時を記録した。 い 結 果 と 考 察 総活動性は、身体運動の総持続時間を測定したものである。 へ 巧インと刺激セッションとを比較すると、全群に刺激セッションでの増 加が認められた。分散分析の結果、セッションの効果が有意で、あっ た(F=19.06,df=1/76, p<.Ol)。潜時については、AF群が他の r.r... -15 -O 邸調Baseline C

Stimulation AF MI LK SAL D W Groups Fig. 1 頭部の上下・伸展運動の持続時間 画週Baseline 仁コStimulation AF MILK SAL D W Groups Fig.2開口運動の頻度 (KODAMA Noriko)

(19)

日心第66回大会 (2002)

1

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2AM166

羊水と 2

種類の母乳に対する帝王切開された胎児の反応

児 玉 典 子 (滋賀大学教育学部) key words: nipple attachment, amniotic fluid, mother' s milk 出生直後の新生児は、まず、母親の体毛と羊水のにおいに 自〈引きつけられる(児玉, 1998)。体毛のにおいは頭部の 上下・伸展運動を、羊水のにおいは開口運動を滑加させる。 これらのにおいに引きつけられて母親に接近したとき、次に 閥の{本毛が新生児の口周辺部を刺激する。この刺激は、頭 目の上下・伸展運動をいっそう活発化させ、同時に開口運動 t引き起こす(児玉, 2000)。体毛に付者した羊水は、この 糊覚刺激/味覚刺激として複合的に新生児を刺激する。加 灯、分泌された母乳も体毛に付着し、新規刺激として新生 児の喋覚と味覚を刺激する。ところが、出産後 2日目までの 母乳を用いた実験では、それが新生児の生命維持に必須のも のであるにもかかわらず、新生児をそれほど強く引きつけな かった(児玉, 2001)。このことは、初乳とそれ以後の母乳 が新生児のNippleAttachment形成に異なる効果を及ぼす可 能性を示唆している。 そこで本研究では、最初]のNippleGraspingが生じる直前 に新生児を刺激する羊水の効果と、 2種類の母乳(初乳と 3 日目の母乳)の効果を、帝王切開された胎児を用いて比較す ることを目的とした。 方 法 被験体と群構成:妊娠18日(満期出産1目前)の Slc:ICR 7ウス80匹である。母親との接触経験のない被験体を得るた め、妊娠18日の妊娠雌を帝王切開した。群構成は、羊水に浸 した体毛ブラシで口とその周辺部を刺激されるAF群、初乳に 置した体毛ブラシで刺激されるMO群、 3日目の母乳に浸した 体毛ブラシで刺激されるM3群、蒸留水に浸したブラシで刺激 自れるDW群の 4群である。 体毛ブラシの作成:母親の脇腹の体毛を採取し、それを7イ lot'ヘ'Jトの'fe;7'に挿入し、 さらにステンレスチ,,-7'に挿入して固定 し、ブラシを作成した。 羊水の採取:妊娠17日の雌の腹部を切開し、子宮を摘出し、 平水を吸い上げ、変質を防ぐため-800 Cで冷凍保存した。 母乳の採取:分娩当日あるいは3日目の雌にオキシトシン200ng を腹腔内投与し、手し首から分泌された母乳を採取した。それ を蒸留水で2倍に希釈し、 -800 Cで冷凍保存した。 帝王切開:妊娠18日の雌の子宮を摘出し、羊膜を切開して I~児を取り出した。胎児の口を開けて羊水を吸い取り、初呼 吸を確認した後、実験開始まで320C で3時間保温した。 テスト:蘇生後3時聞から5時間でテストを行った。 320 C に温めた7'7スチリ容器(直径5cm、高さlcm)の中に胎児を置き、 その身体運動をビデオに録画した。テスト時間は、自発的身 体運動を観察するぷースライン・セッション 3分、羊水・母乳・蒸留水 に浸したアラシを)1台児の鼻先に提示してにおいをかがせる提示 t

1lt:3分、そのプラシで口周辺部を刺激する刺激セッション3分で ある。実験終了後ビデオテー7'を再生し、身体運動の持続時間と 頻度および反応潜時を記録した。 結 果 と 考 察 頭部の上下・進展運動の持続時間は、刺激セッションでのAF 群-110群・M3群がDW群と比較して長くなった (Fig.1)。分散分 析の結果、 t

V3/(F=56.34, df=2/152, p<.01)と群Xt,;V3ン (F=2.63, df=6/152, p<.05)が有意であった。潜時について は、提示セッションから刺激tッションにかけて、すべての群で短くな った。特にM3群の潜時は急速に短くなった.分散分析の結果、 t

lt3ン(F=21.11,df=2/152, p<.OI)と群×セ'Jlt3/(F=4.79,df= 6/152, p<.01)が有意であった。 また、関口運動の頻度は、AF群が提示t;.rlt3ンで増加したレベ ルを刺激旬ションでも維持したのに対し、 MO群は刺激セッションで初 めて増加し、M3群とDW群は 3セッションを通じてほとんど増加しな かった(Fig. 2)。分散分析の結果、幻lt3/(F=5,04, df=2/152, p<.OI)と群×セッション (F=2.67,df=6/152, p<.05)が有意であ った。潜時については、 AF群が提示セフションと刺激幻ションで短く なったのに対し、他の3群は刺激t7lt3ンで短くなった。分散分 析の結果、 t

lt3ン(F=10.50,df=2/152, p<01)と群×セッション (F=3. 11, df=6/152, pく.01)が有意であった。 これらのことから、におい提示効果と口周辺部への刺激効 果については、羊7.l<がもっとも大きな効果を持つこと、初乳 は羊水と問機の刺激効果を持つが、におい提示に対する反応 が羊水に比較して遅いこと、出産3日の母乳の刺激効果は関 口運動の頻度で初乳に劣り、母乳に関しては初乳の持つ刺激 効果がもっとも大きいことが分かる。新生児は、胎児期から familiarな羊水のにおいに対してまず強く引きつけられ、次 に羊水・初乳の付着した体毛による口周辺部の刺激によって 頻繁に関口し、乳首に到達して吸乳を開始しするのであろう。 それがNippleAttachmentにつながっていくと考えられる。 ( 0

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8aeline Presentation Stimulation Sessions Fig. 2 開 口 運 動 の 頻 度 (KODAMA Noriko)

(20)

POSTER 727 The role of mother's fur, amniotic

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uid, and mother's milk in nipple attachment in mlce Noriko Kodama (Department ofPsychology, Shiga University, Otsu), Japan Email: [email protected] Mother's ventral fur

wet with amniotic

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1

uid and ejected milk

stimulates the oral area of the newbom pup before the initial nipple grasp response in many mammals. The newbom pup receives these stimuli, probes the mother's fur, opens its mouth,

searches the nipple, and grasps i.tItis hypothesized that mother's fur activates nipple searching by stimulating the perioral area ofthe newbom pup

that the odor and taste of amniotic

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1

uid familiar to the fetus in prenatal period elicit oral grasping of the nipple

and that the amniotic

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1

uid plays some role to facilitate this response which results in the intake of milk

a novel stimulus. The aim of this study was to investigate the relationship between these stimuli and body movements in the newbom mouse pup.

Subjects were cesarean-delivered SIC:ICR pups. The amniotic

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1

uid obtained from pregnant females and mother's milk from the naturally parturient mothers were kept at -70 until the experiment. The fur brush was made of fur collected from around the nipple area of a donor female. Three hours after delivery, each pup was placed in an plastic container warmed at 32 and tested for 6 minutes, 3 minutes baseline session and 3 minutes stimulation session. In the baseline session, spontaneous body

movements of pups were observed. In the stimulation session, the perioral area of pups was stimulated with the brush wet with the amniotic

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1

uid, mother's rnilk, saline, or distilled water.

When the perioral area was stimulated with the fur brush and amniotic

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uid, head

extension and up-down movements, mouth movement, and rearlimb movement increased,

while head tum movement decreased. Mother's milk had no specific effects on these movements. These results indicate that the amniotic

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1

uid familiar in prenatal period plays an important role for newboms to orient and locate the mother

and to activate the nipple probing and grasping. This stimulus-response relationship would leads to the preference for mother's milk, novel stimulus for the newboms immediately after birth. The transition from the amniotic

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1

uid to the mother' s milk would be connected to the onset of nipple attachment. -17

(21)

-310

ISDP 3

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AnnualMeeting

54

EFFECTS OF

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