• 検索結果がありません。

「インクルーシブ体育」の展望と課題に関する一考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「インクルーシブ体育」の展望と課題に関する一考察"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)rインクルーシブ体育」の展望と課題に関する一考察 専攻 コース. 教科・領域教育学 生活・健康・総合内容系. 学籍番号. M08234D. 氏名. 水田 修. (1)インクルージョンの根本理念として目指す. I.背景及ぴ目的.  rインクルーシブ教育」は,学校を社会の縮図. べき社会は「互いの違いを認め合い尊重し合える. と捉え,いろいろな子どもが同一校,同一学級に. (共生)社会」であり,その方策として,まずイ. 在籍していることが自然という考えに立脚してお. ンテグレート教育が行われたが,以下のインテグ. り,r他者理解からの共生の考え方の創造,人権配. レート教育は,子ども同士の共生の意識も薄く,. 慮の態度を身に付けさせることができる」など多. 将来的な共生社会の実現も困難であることが指摘. くの教育的可能性が期待されている。とりわけ,. され(下記の2点),インクルーシブ教育に取って. 体育・スポーツにおけるインクルーシブ教育(以. 代わられるようになった。. 下、インクルーシブ体育)は身体を介したコミュ.  ①障がい児を健常児に取り入れる統合では,障. ニケーションや活動を行うため,障がい児,健常. がいの度合いなど子どもの二一ズによっては統合. 児の両者に信頼感,お互いを尊重し合う態度など. される者とそうでない者を二極化してしまう場合. が生まれ,障がい理解に関してもポジティブな役. がある。②障がいのある子どもにとって障がいの. 割を果たすと報告されている。. ない子どもとただ一緒にいれば良いという意味の.  ところが,rインクルーシブ体育」の実践や研究. 統合では,お互いに十分な教育効果が得られない。. は,これまで主に,障がい死体育・スポーツの研.  すなわち,インクルーシブ教育はインテグレー. 究者ある一いは実践者によってしか取り組まれてい. ト教育の見直しを含め,一人ひとりの特徴を考慮. ない。さらに,その殆どの研究が方法や効果の検. したr特別な二一ズ教育」から,障がいなどを含. 討を中心とした体育におけるインクルーシブ教育. む様々な二一ズに関わらず互いの違いや価値観を. の有効性が示されているものの,それぞれの研究. 尊重し認め合える社会の実現を目指す点に,その. においてインクルーシブ体育をどう捉えているか. 特徴があることが明らかとなった。. が十分に記されていない。.  また,インクルーシブ教育において重要なこと.  そこで本研究は,体育という教育的営みの中に,. は,様々な特徴を持っ子どもをただ一緒に活動さ. インクルーシブ体育をどのように位置づけて実践. せるのではなく,特別な二一ズ教育の実践から「共. すべきかについて,その展望と課題を明らかにす. に社会を構成する仲間という意識を芽生えさせ. ることを目的とした。. る」ことであると導かれた。そのためには,「自分. II.研究方法. と他者の違いに気づき,一人ひとりが社会を構成. 上記の目標を達成するために次の手順で考察した。. する一員であることを知る」「どのように工夫すれ. (1)「インクルージョン」の明確化. ば活動を共にできるかを試行錯誤する」r自ら行動. (2)体育の課題と学校体育の現代的方向性の確認. を通して共に活動が楽しめる」といった3つの目. (3)インクルーシブ体育の展望と課題の考察. 標を設定し目標に応じた教育内容を個々の実態に. 皿.研究結果及び考察. 応じて用意する必要があることも明らかとなった。. 一458一.

(2) (2)佐藤は我々が体育と呼ぶ事象を次の3つの. 科で目指す「生涯スポーツ社会」をより具体的に. 位相から理解すべきとした。すなわち,ヒトが人. 示したものとも言える。この2点においてインク. 間になるためには身体面からの教育(実存的体育). ルーシブ体育は今後学校体育の中で積極的に展開. が必要とされるが,現実には我々は特定の生活世. されうると同時に,展開されなければならない。. 界の中に生れ落ち,その中で生活していくことを.  しかし一方で,「全ての人がスポーツや運動を共. 余儀なくされている。従って,当該生活世界の中. に楽しんで活動できる社会」という理念だけでは. で必要とされる身体性を身に付けていく(制度体. その実現は難しい。共に運動を楽しめる社会の実. 育)べく,一つひとつの実践が個別に様々なねら. 現には,体育の中でただ一緒に運動を行うのでは. いを持って取り組まれている(体育実践)のであ. なく,体育を通じて子ども一人ひとりがそうした. る。なお,この制度体育の中で身体性として身に. 社会を作る「主体者」であることを自覚する必要. 付けるべき運動様式は,4つの運動形式に分類さ. がある。共に運動を楽しめる社会を作る主体者と. れることから,字の如く体育をr身体教育」と捉. なるために,次の3つのねらいを示した。. えると,スポーツ的技術の獲得に限らず広義の身. 一.運動を通して自分と他者の身体の違いに気づ. 体づくりをする必要性が示唆された。.   いた上で,全ての人によってスポーツ社会が.  また,この制度体育は学習指導要領の変遷から.   構成されることを知る。. も明らかなように,その時代によって異なること. 二.共に運動を楽しめる社会に関心を持ち,どの. が示された。現在の我が国の体育科では「楽しい.   ように工夫すれば運動を共にできるかを試行. 体育」と表現されるように、スポーツを「楽しむ.   錯誤する。. 能力(身体技能)を育む」ことと,体ほぐしの運. 三.運動を通じた具体的な共生のイメージを持ち. 動のように自分の身体や他者の体に気づいたり感.   白ら行動することで共に運動を楽しめる。. じたりすること,つながること,をねらいとした.  以上のことから,インクルーシブ体育では,「全. r身体をつくる」ことの2つの視点をもって取り. ての人がスポーツや運動を共に楽しんで活動でき る社会」という理念の実現に向けて,学校体育の. 組まれていることが明らかとなった。. (3)インクルーシブ体育がインクルーシブ教育. 目標・教育内容・教育活動を一人ひとりの二一ズ. の1つとして,インクルージョンの理念を推進す. に応じて設定することで,体育を通じて子ども一. るもので柱けれぱならないとするならば,インク. 人ひとりがそうした社会を作る主体者であること. ルーシブ体育の目指すべき共生社会の理念は,「全. を自覚させる必要があると考えた。. ての人がスポーツや運動を共に楽しんで活動でき. IV.総括. る社会」となる。ここには,社会の中で障がいな.  本研究ではインクルーシブ体育の展望,並びに. ど様々な二一ズに関わらずスポーツや運動などの. 課題を書き出したものの,具体的なプログラムの. 身体活動を共に楽しむことができる状態が意味さ. 提示やそれを踏まえた実践までは至っていない。. れる。また,「運動を通じて互いの逢いを認め合い. そのため今後の課題は,具体的なプログラムを提. 尊重できる態度を育む」というインクルーシブ体. 示し,実践から検証を行うことを含めたインクル. 育と,「気づきや繋がりを重視した体づくり」を目. ーシブ体育の推進を図る必要がある。. 指す現在の体育科の方向性は合致している。さら.          主任指導教員  荒木  勉. に,インクルージョンが目指す共生社会は,体育.          指導教員  森口ヨ啓之. 一459一.

(3)

参照

関連したドキュメント

第1款 手続開始前債権と手続開始後債権の区別 第2款 債権の移転と倒産手続との関係 第3款 第2節の小括(以上、本誌89巻1号)..

[r]

わが国において1999年に制定されたいわゆる児童ポルノ法 1) は、対償を供 与する等して行う児童

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を

((.; ders, Meinungsverschiedenheiten zwischen minderjähriger Mutter und Vormund, JAmt

Zeuner, Wolf-Rainer, Die Höhe des Schadensersatzes bei schuldhafter Nichtverzinsung der vom Mieter gezahlten Kaution, ZMR, 1((0,

[r]

[r]