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早出料請求権に関する諸問題(二)

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1一一『奈良法学会雑誌』第5巻1号(lωZ年6月〉 八 論 説

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早出料請求権に関する諸問題

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目 次 はじめに 第一章早出料の意義ハ以上第四巻四号) 第二章早出料の計章 第 一 節 序 説 第二節船積期間不算入日たる日曜・休日の早出日数への算入 第三節目隠・休日以外の般積期間不算入日 第三章早出料と運送品の一部不積 第 一 節 序 説 第二節運送品の一部不積に基づく船舶の発航 お わ り に ハ 本 号 ﹀

(2)

第5巻1号一一2

第二章

早出料の計算

第一節 序 説 船積期間の計算に際し、 一定の事由の日(例えば、日曜日、休日、不可抗力により船積が妨げられる日など) を船積期間に算入するか否かは、特約または船積港の慣習もしくは規則(例えば、商法七四一条三項、際海運ニ

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条 一一項)によって決まる。そのようにして決まる船積期間不算入日が船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間 ハ2 ﹀ に含まれる場合に、その日は、早出日数に算入されるべきか否か。一五来、運送人は、節約された船積期間の日数に対 してのみ早出料を支払うのが好都合であるのに対し、傭船者は、船積期間不算入日を含む、船舶の早出し時から船積 期間の終了時までの期間すなわち船舶側の節約期聞に応じた早出料の支払いを受けることを望む。それゆえ、早出料 の計算にあたっては、まず早出料の計算基準となる早出日数が決定されなければならないが、この日数の決定には、 早出料約款が重要な意義をもっ。しかし、早出料については契約当事者間の個別的な特約に委ねられているところか ら、実際界において一般に使用されている航海傭船契約書式、例えば、日本海運集会所が作成したほとんどの航海傭 船契約書式には早出料に関する約款が設けられているものの、普通約款としての早出料約款に早出日数の計算方法に 関する条項は置かれていない。 一般に、早出料約款に関する模範的な慣用文言(標準約款)は存在しないようであるが、そうした早出料約款 ではあっても、その文言に注目すると、次の三種類の約款に分けることができる。 唱 -早出料は、船積港または陸揚港において節約された全碇泊期間 守 口 同 恒 三 百 巾 曲 目 4 主 主 ︼ O 白色白ロ向。﹃門岡山田 n v R m E m

(3)

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に対してこれを支払うとする約款。この約款の場合、節約され (2) た全期間とは、船積期間の臼数が節約された場合のその節約日数をいうのか、それとも船舶が碇泊すべきであった日 数(船舶の早出し時から船積期間の終了時までの暦日数・カレンダーディl)が節約された場合のその節約日数をい う の か 、 は 明 確 で な い 。 3一一早出料請求権に関する諸問題。 ﹂ の ﹁ 曲 -仲 間 自 叩 印 国 ︿ 巾 門 ど に つ い て 、 一 九 八

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年のロンドン会議(傭船契約碇泊期間)定義集コ一。条は、 ∞ K F ︿切り﹂とは、碇泊期間に算入されない期聞を含め、船積/陸揚の完了から碇泊期間の終了までに船舶にとって節 ﹁ ﹀ 戸 戸 、 H HV 両 開 約された期聞をいう、と定義する。 (3) 早出料は、傭船者による船積の早期完了富山伺︿

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の約款にあっては、特約または船積港の慣習もしくは規則(例えば、商法七四一条三項、

(4)

第5巻 1号一一4 際海運二

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条一項)による船積期間不算入日が船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる場合、そ の日が早出日数に算入されるべきか否か、が問題となる。以下、まず、第一節で船積期間不算入日たる日躍・休日の 早出日数への算入について、次に、第二節で船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日 以外の船積期間不算入日について考察する。 ( 1 ﹀商法七四一条三項は、﹁前項ノ(船積﹀期間中ニハ不可抗力ニ因リテ船積-ヲ為スコト能ハサル日ヲ算入セス﹂と定める。 同旨として、陸揚期聞に関する商法七五二条三項参照。田中(誠)・二七四頁。 ( 2 ) この他には、早出日数の計算単位となる﹁日﹂は何をもって一日とするのか、および船積期間の開始前(任意期間中﹀の 船積の開始によって船舶が早出しとなった場合、その早出回数は、そのまま早出料計算の基準とされるべきであるか、など の問題がある。こうした問題のうち、早出日数の計算単位となる﹁日﹂については、﹁日﹂とは、特約がない限り、午前

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時から午後二一時までの全日(二四時間の期間)をいい、しかもその﹁日﹂は、船積期間や超過碇泊期間の日数の計算にお いて計算単位とされる﹁日﹂と同一意義のものであって、早出日数の計算のみに特有のものとはされていない窃ロ

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ロ 552 終 日 戸 ∞ -N U 3 0 このため、任意期間中の船積の開始は、船積の早期完了すなわち船舶の早出し時 を基準にして行われる早出日数の計算に直接影響を与えないとされる。山戸・一九九頁以下、高橋・﹁標準航海傭船契約の 研 究 ﹂ 四 七 一 一 良 以 下 参 照 。 ( 3 ﹀ の

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畏位浮呂田吋書式には普通約款としての早出料約款さえ設けられていない。 ( 4 ) ﹀ ロ 回 同 君 宮 内 民 書 式 一 三 条 は 、 可

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七条参照。高橋・﹁標準航海傭船契約の研究﹂四七三頁、山戸・一九九頁以下、谷川久﹁万国海法

(5)

会リオ会議について同﹂海法会誌復刊二二号六五頁参照。 な お 、 田 冨 。 。 ( 出

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日 ご 。 5一一早出料請求権に関する諸問題同 第二節 船積期間不算入日たる日曜・休日の早出日数への算入 序 船 積 期 聞 が 労 働 日 ︿ 君 。 岳 山 口

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第5巻 1号一一6 日曜・休日を早出日数に算入すべきであるか否か、という点について、学説は分か 日曜・休日と早出日数 れ て い る 。 具体的な事例で説明すると、 例 え ば 、 船積期間五日の特約がなされた傭船契約において、 船 積 期 聞 が 一

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月 二 日 (火曜)に開始し、船積は同月四日(木曜)に完了したため、船舶は同四日に早出し発航となった。翌五日(金曜) は祭日で、六日(土曜)は船積期間算入日であったが、七日は日曜日であったため、船積期聞は一

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月八日(月曜) に終了する予定であったとする。 小町谷教授は、早出料の計算のためにする短縮期間の計算方法は、明示または黙示の特約がない限り、超過碇泊期 間の計算と同様である、として碇泊期聞から控除される日(例えば、日曜・祭日)も早出日数に算入すべきである、 ( 2 v と解している。したがって、この見解によると、船積期間が一

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月八日に終了するのであれば、船積期間不算入日た る 一

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月五日(祭日)および七日(日曜)は早出日数に算入され、節約された船積期間の一

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月六日(土曜)および ﹁傭船者・荷受人によって使用された超過 向八日(月曜)を合わせて、早出日数は四日となる。また、山戸教授は、 碇泊期聞が本船にとって失われた時間というならば、傭船者・荷受人の力によって短縮された許容碇泊期間(船積期 間および陸揚期間)は、本船にとって節約された時間であるといいうる。早出料は、本船のための節約された全時間 ハ 3 ﹀ と 述 べ る 。 に対し支払われるべきである。 L この見解によると、船舶は一

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月八日(月曜)まで碇泊すべきであった から、船積期間不算入日たる一

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月五日(祭日)および七日(日曜)は早出日数に算入され、節約された船積期間の 一

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月六日(土曜)および八日(月曜)を合わせて早出日数は合計四日となる。したがって、小町谷説と山戸説とで は、早出日数の算出に関して差異はない。 これに対し、高橋氏は、 ﹁早出料とは日数節約割戻金とも称せられるもので、碇泊期間の定めがある場合において、

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傭船者がその契約期聞を早めて荷役を終了したとき、船主がその節約期間に対して支払う割戻金であるよと述べる。 この見解によると、日曜・休日が船積期間(碇泊期間)に算入されないのであれば、そのような日は、 間﹂や﹁その節約期間﹂にも含まれないため、早出日数にも算入されないことになり、また早出料は日数節約割戻金 ﹁ そ の 契 約 期 であると解されているため、船積期間(碇泊期間)の日数に影響を与えない船積期間(碇泊期間)不算入日たる日曜 -休日に対して支払うべき日数節約割戻金なるものは存在しえないことになるから、船積期間不算入日たる一

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月 五 日(祭日)および七日(日曜)は早出日数に算入されず、早出日数は節約された船積期間の一

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月六日(土曜)およ び八日(月曜)を合わせた合計二日となるのではないか。 私見によれば、山戸説・小町谷説が妥当である。それというのも、高橋説によると、日曜・休日が船積期聞に 算入されないのであれば、そのような日は、節約された船積期間に含まれず、 かつ早出日数にも算入されるべきでな いことになる。しかし、これでは、早出料の特約の趣旨を無視することになるのではないか。およそ、早出料の支払 いが特約されるのは傭船者のなすべき船積が船積期間の終了前に完了することすなわち船積の早期完了を奨励するこ 7一一早出料請求権に関する諸問題件 とにある、と解されているが、船積の早期完了によって船舶が早出しとなったときは、運送人は、船舶の早出し時か ら船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日についても碇泊費用その他の費用を節約することができるだけ でなく、その日数だけ船舶を次に予定する配船計画に運用できる利益を得ることができる。のみならず、早出料の額 が碇泊料の額を基準に特約される事実を考慮すれば、早出料の額は、原則として船積の促進・早期完了のために傭船 者側に生じた特別の費用(例えば、船積の早期完了により荷役人夫に支払う報奨金)とか、節約された船積期間の日 数とかを基準にして決定すべきでなく、もつばら運送人側に生ずる節約費用その他の事情を割酌して決定するのが相 当であ抗日さらにいえば、傭船契約の当事者は日曜・休日が船積期間の開始後その終了時までの期間に含まれるであ

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第5巻1号一一-8 ろうことを傭船契約の締結当時に予知することができ、しかもこれらの日数が船舶の航海期間の一部として傭船料の 額の決定に際して考慮されることは自明の理である。それゆえ、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に 含まれる日曜・休日は、これを早出日数に算入するのが合理的である。 ただ、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日を早出日数に算入する場合には、運 送人は、船積期間の日数またはそれを超える日数に応じた早出料の支払いを余儀なくされることがある。例えば、船 積期間四日の特約がなされた傭船契約において、船積が五月一日に開始し、翌二日に完了して同二日に船舶の早出し 発航となったが、五月三日・五日は休日、五月四日は日躍であったため、早出日数は、日曜の一日および休日の二日 ︿ 6 ﹀ で合計三臼と節約された船積期間の二日とを合わせて合計五日となるような場合が、それである。しかし、こうした 日曜・休日は、カレンダーによって決まり、あらかじめ予測できることであるから、日曜・休日が一定の期間内に集 中して、早出日数が船積期間の臼数と同一になったり、またはそれを超えたりするおそれがある場合に、そうした日 数に応じた早出料の支払いを回避するためには、予めその旨の特約を要すると解すべきである。 ( 1 ) ドイツでも、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日に対して早出料が支払われるべきで あるか否かに関しては、学説に争いがある。多数説は、早出料を解して、それは不使用船積期間の日数に応じて支払われる 報酬であると解するから、船積期間不算入日たる日耀・休日は、早出料の計算に際しては早出日数に算入されるべきでない と す る ( 切 。 可 叩 ロ タ ω ・ お 閉 山 門 U 3 m -F ω ・

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の不使用により節約された日数に応じて支払われる報酬が早出料であると解する立場に立って、船舶の早出し時から船積期 間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日は早出日数に算入されるべきであると解する(自己 E -ω ・ ロ N 山 富 吉 田 m v ω ・ 叶 由 一 ω n F 田 宮 ・ ﹀ σ E V 白 H F ﹀ ロ B -E N C 申 日 品 叶 図 。 切 一 台 丘 町 ロ 己 m 田 出 同 ロ 目 。 戸 の 回 目 B σ ロ 吋 阻 ﹁ 一 4 0 S A P -叶 ・ 5 N ω ・ 出 の N H 申 N ω -N g 円 一 冨 呂 町 ﹃ m h w m g E D R F h w の 0 ・ ・ 出 の N H U N N Z 円 ・ 5 0 ω ・

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もっとも、プリュスマン日ラ l ベ等は船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日についても 早出料を支払うべきだとするが、彼らによると、早出料は不使用船積期間の日数に応じて支払われる報酬であると解されて いるにもかかわらず、船積期間不算入日たる日曜・休日についても早出料が支払われるべきだとするのであって、不可解な 議論といわなければならない。なぜなら、船積期間不算入日たる日曜・休日は不使用船積期間の日数に算入されえないから で あ る 。 ( 2 ﹀ 小 町 谷 ・ ﹁ 海 商 法 研 究 第 四 巻 ﹂ 一 一 一 一 二 頁 。 ︿ 3 ) 山戸・一九八頁以下。同旨として、浜谷・一一六頁。 ( 4 ﹀高橋・﹁標準航海傭船契約の研究﹂四七

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頁 。 ( 5 ) 拙文﹁奈良法学会雑誌﹂第四巻四号一九頁参照。 ( 6 ) 関 山 口 昨 日 ♂ ∞ -H H r d 可 也 ・ ω n E E 凹 ぬ 三 曲 ロ 伊 丹

255

ロ ・ ∞ - H u s -国 問 。 N H S N ∞ - E ω 戸 山 戸 ・ 一 九 九 頁 。 9一一平出料請求権に関する諸問題同 第三節 日曜・休日以外の船積期間不算人日 日曜・休日以外の船積期間不算入目、すなわち特約または船積港の慣習もしくは規則(例えば、商法七 四一条三項、際海運二

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条一項﹀により船積期間不算入とされる日で、かっ日曜・休日でない日が船舶の早出し時か 序 ら船積期間の終了時までの期間に含まれる場合に、その船積期間不算入日は、早出日数に算入されるべきであるか否 、 刀 。 右の問題について具体的事例で説明すると、例えば、船積期間四日の特約がなされた傭船契約において、船積期間

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第5巻 1号一一ー10 が二月一五日(月曜﹀に開始し、船積が一六日(火曜)および一七日(水曜)に行われて完了し、船舶は同一七日に 早出し発航となった。しかし、翌一八日(木曜)は日曜・休日以外の船積期間不算入日となるため、船積期聞は二月 一九日(金曜)に終了する予定であった場合に、その船積期間不算入日たる二月一八日は、早出日数に算入されて早 出日数二日とされるべきであるか、それとも早出日数に算入されないで早出日数一日とされるべきであるか。 この点について、山戸教授は、﹁早出料を与える目的は、傭船契約締結のとき本船発航の予定日として決められた 日をできるだけ早めるということであり、しかも早出料期間の計算は、現実に荷役が終了した日をもって基礎とすべ き限り、節約された日が幾日であろうとも、不確実な事故によって荷役が阻止される日は、日曜日・祭日の休日の如 ハ 2 v く確定的な日以外にはありえないものとみるべきである。﹂と解している。また、ある仲裁判断は、荷役が一定の事 由により実際に妨げられたときに限り、その妨げられた日または荷役が企図されたならば、それが妨げられたであろ う日を碇泊期間(船積期間)不算入日とすべきであり、しかも荷役が妨げられたことの立証責任は、それを主張する 傭船者側にある、と判断している。これらの見解によると、右の例示の場合における二月一八日は、当該船積に関す る限り、船積が妨げられた日または船積が企図された日とは認められない。なぜなら、当該船積はすでに完了してい て二月一八日の当該船積はありえないからである。それゆえ、二月一八日は、船積期間不算入日とされるべきではな いのみならず、早出日数に算入されるべきでもない。 これに対し、早出料の計算基準とされるべき節約日数の計算は、特約がない限り、超過碇泊期間の計算におけると 同一の計算方法によるべきであると解する小町谷教授の見解によると、使用船積期聞を計算する場合には、船積が妨 げられた期聞は、これを不使用船積期間とみなすべきであり、右の例示の場合の二月一八日が船積期間不算入日とな る日であるならば、船積期聞は二月一九日までということになるから、同二月一八日は早出日数に算入されるべきこ

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とになるのであろう。 日曜・休日以外の短期の船積期間不算入日 右の例示の場合に、もし船積が船積期間の終了前に完了せず、 船舶の早出しがなかったのであれば、日曜・休日以外の船積期間不算入日たる二月一八日は船積期間に算入されない ため、船積期聞は二月一九日までとされたはずであるから、運送人は、船積が船積期聞の終了前に完了して船舶が二 月一七日に早出し発航となったことによって、当該一八日を含む二月一九日の両日数に応じた利益を受ける結果とな る。けだし、そうであるならば、利益較量の見地から、二月一八日は早出日数に算入すべきではないか。さらにいえ ば、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる日曜・休日を早出日数に算入すべきであると解する 以上、それとの権衡上も、右の例示の場合の二月一八日は早出日数に算入するのが相当ではないか。 もっとも、日曜・休日以外の船積期間不算入日が船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれ、 台、 子コ その日数が長期におよぶ場合にも、その全日数に応じて早出料が傭船者に支払われるべきであると解してはならない。 11-早出料請求権に関する諸問題同 およそ、早出日数が一日または二日といった短期の場合には、運送人は、早出日数に応じて利益を受けるのが通常で あるが、その日数が長期におよぶ場合には、その全日数に応じて早出料を計算すれば、早出料は傭船料を超えること さえもありうるが、これは早出料の支払いを特約した趣旨に反するものであり、また運送人は高額の早出料の支払い を回避するために早出料の支払いの特約をためらうことにもなるであろう。なぜなら、日曜・休日以外の船積期間不 算入日の全日数に応じて早出料が傭船者に支払われなければならないとすれば、運送人は、船積を妨げる事由すなわ ち船積期間の進行を中断する事由の発生およびその継続期間をあらかじめ予測することが通常不可能であるだけに、 予期しない高額の早出料の支払いという危険を負担せざるをえないからである。それゆえ、日曜・休日以外の船積期 間不算入日の日数が長期におよぶ場合に、その全日数に応じて早出料が傭船者に支払われるためには、その旨の別段

(12)

第5巻1号ー一一12 の特約が必要である、と解するのが相当である。 最後に、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間に含まれる船積期間不算入日(日曜・休日および日曜・ 休日以外の、短期の船積期間不算入日)が早出日数に算入されるべきであるとすることは、すでに述べたとおりであ るが、船積が運送人の責に帰すべき事由(例えば、船舶の船積準備の不整頓、運送人の使用人のストライキ等﹀によ り妨げられて船積期聞が中断したため、当初予定の船積期間の終了日が繰り下げられたものの、船積が船積期間の終 了前に完了して、船舶が早出しとなった場合に、運送人は、その早出日数に応じて早出料を支払う義務を負うか否か、 について一言する。この場合の船積期間の中断は早出日数の計算に影響を与えないと考えられる。それというのも、 まず、船積期間の中断は、結果的に船舶の碇泊日数を増加せしめるものの、船積期間の日数に影響を与えるものでは ないこと、次に、早出料の支払いは、船積の早期完了を奨励し、船積期間終了前の船舶の発航を企図して特約される にとどまり、船舶の碇泊日数の多少によって早出料の支払いやその額が決まるというものではないことにある、と解 されるからである。 ( 1 ) 運送人側の帰責事由により船積が不能となった日および不可抗力により船積が妨げられた日は、通常船積期間不算入日と なる。この点について、商法七四一条三項は、﹁前項ノ(船積﹀期間中ニハ不可抗力ニ因リテ船積ヲ為スコト能ハサル日ヲ 算 入 セ ス ﹂ と 定 め る 。 同 旨 と し て 、 商 法 七 五 二 条 三 項 参 照 。 田 中 ︿ 誠 ) ・ 二 七 四 頁 。 ま た 、 ド イ ツ 商 法 五 七 三 条 二 項 は 、 ﹁

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(13)

( 3 ﹀機船スゼリッグ号航海傭船契約紛議仲裁判断一九七九年三月二八日、日本海事仲裁判断全集第三巻九一一ニ一良。高橋正彦 ﹁ 碇 泊 期 間 の 解 釈 ﹂ 一 六 入 頁 。 ︿ 包

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ゆ 印 ミ 図 。 切 ・ ( 5 ) 例えば、船舶の早出し時から船積期間の終了時までの期間中に暴風雨または台風が発生した場合に、もし船舶の早出し発 航がなかったのであれば、船舶は、避難出港し、再度入港して船積を待ち受けなければならなかったときに、船舶の避難出 港中の日は日曜・休日以外の船積期間不算入日となるはずであり、しかもその日数は長期におよぶのが通常である。 ︿ 6 ) わ 担 問 ︼ m L - 9 ω -A F M W 叶 戸 ( 7 ﹀ ︿ 肉 ︼ ・ 岡 山 口 氏 ♂ ω ・ 己 印 U M M R R P ω -N 一 円 リ 曲 目 M m E P ω -A P 8 ・

第三章

早出料と運送品の一部不積

第一節 序 説 13一一早出料請求擦に関する諸問題白 傭船者は、船積期間(超過碇泊期間の特約があれば、その期間)中、傭船契約上の権利として船積をす ることができるのに対し、運送人は、同期間中、傭船契約上の債務の履行として船積港に船舶を碇泊させて船積を待 ち受ける義務を負う(商法七四一条一項、七四二条、際海運二

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条一項)。しかしながら、船積期間(超過碇泊期間 序 の特約があれば、その期間)が終了すれば、運送品の一部不積がある場合にも、運送人は、そうした運送品の一部不 積を傭船契約の一部解除と見倣して(商法七四五条四項、七四八条三項、 七 五

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条、際海運二

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条一項)、運送品の 一部不積のままでも船舶を直ちに発航させることができる(商法七四四条一項、七四八条三項、際海運ニ

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条 一 項 ﹀ 。 また、傭船者が都合によって運送品の一部の運送を取り止めたい場合には、傭船者は(一部傭船のときは、傭船者の

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第5巻 1号一一14 全員が共同して)、船積期間の終了前でも運送人に対し運送品の一部不積のままで船舶を発航させるように請求する ことができる一方、この請求を受けた運送人は、遅滞なく船舶を発航させなければならない(商法七四三条一項、七 四八条三項、七五

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条、際海運二

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条一項 ) 0 け ところで、船舶が運送品の一部不積のままで発航した場合には、次のような問題が存在する。 運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合に、船舶が船積期間の終了前に発航することができたと きは、傭船者は、早出料の特約に従いその節約された船積期間の日数に応じて運送人に対し早出料を請求することが で き る か 否 か 。

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運送口聞の一部不積により船舶の発航請求が行われ、船舶が船積期間の終了前に発航することができた場合、また は船積期間(超過碇泊期間の特約があれば、その期間)は終了したが、船積が完了していないときに、運送人が運送 品の一部不積のままで船舶を発航させた場合(商法七四四条第一項、七四八条三項、際海運二

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条一項)には、その 不積運送品につき陸揚港における陸揚は行われないのであるから、船積された運送品の陸揚は陸揚期間の終了前に完 了し、陸揚期聞は節約されるのが通常である。そうした場合、その節約された陸揚期間の日数に応じて、傭船者は早 出料の特約に従い運送人に対し早出料を請求することができるか否か。 同 船舶が運送口聞の一部不積のままで発航した場合に、その一部不積により節約された船積期間または船積されなか った運送品の陸揚が行われないことにより節約された陸揚期間の日数に応じて運送人が傭船者に対

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早出料の支払い 義務を負うとすれば、その額はどのようにして決定されなければならないか、 の問題がそれである。 ( 1 ﹀ ( 2 ) 田 中 ( 誠 ) ・ 二 七 八 頁 、 村 田 ・ 二 一 七 頁 参 照 。 扇 島 ・ 九 六 頁 、 村 田 ・ 一 九

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頁 、 田 中 ︿ 誠 ) ・ 二 七 八 頁 参 照 。

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第二節 運送品の一部不積と船舶の発航 運送品の一部不積による船舶の発航請求の法的性質 運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場 合に、その発航請求の法的性質については、判例・学説が分かれている。 15一一早出料請求権に関する諸問題伺 傭船者が運送人に対し運送品の一部不積のままで船舶を発航させるように請求する場合の船舶の発航請求につい て、通説は、傭船者が傭船契約上の権利として船積期間中船積をすることができることから、この発航請求は傭船契 約上の権利または船積権の一部放棄である、と解しており、村田説は、商法七四五条四項において船積遅滞による船 積権の不行使を運送(傭船﹀契約の解除とみなしている以上、船舶の発航請求もこれを積極的な意思表示による船積 ハ

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権の一部行使として傭船契約の一部解除とすべきである、と解している。また、傭船者は傭船契約上の債務として船 積義務を負うと解しな w 運送品の一部不積による船舶の発航請求が行われた場合、それは傭船契約の一部解除ではな い、と解する見解もある。 付 こうした学説によると、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われ、かつ船舶が船積期間の終了前に発航 した場合に、船積が早期完了して、船舶は早出し発航したことになり、傭船者は早出日数に応じて早出料を請求しう 亡 今 るか否か。この点につき、各学説の場合についてそれぞれ検討する。 まず、通説は、傭船者が傭船契約上の権利として船積期間中船積をすることができると解する立場から、運送 ① 品の一部不積による船舶の発航請求は傭船契約上の権利または船積権の一部放棄である、と解している。 そもそも、傭船者は、船積期間(超過碇泊期間の特約があれば、その期間﹀中、傭船契約上の権利として船積をす ることができるが、この船積権には、傭船者が約定運送品を船積する(運送品を船積場所から船舶側へ場所的移転さ

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第5巻1号一一16 せる)権利のみならず、当該運送品の船積の為に必要な処置をなすことを運送人に対し請求することができる権利も 含まれると考えられる。そうした運送人側においてなすべき処置の中に船舶の船積準備整頓や運送人が船舶を船積期 聞の終了まで碇泊させて船積を待ち受けることをも包含するのは当然のことである。したがって、傭船契約上の権利 または船積権の一部放棄は、約定運送口聞の一部の運送を取り止めることを意味するのみならず、船舶を船積期間の終 了まで碇泊させて船積を待ち受ける、運送人の待泊義務を免除するとともに、傭船者が船積されなかった運送品の船 積のために使用すべきであった船積期間つまり運送品の一部不積による不使用(残余)船積期聞に関する権利の放棄 をも意味することになるのではないか。けれども、通説は、傭船契約上の権利または船積権の一部放棄が船積期間に 関する傭船契約自体の変更すなわち不使用船積期間に関する傭船者の権利の放棄をも意味するか否かについて言及し ていないことを考えると、運送口聞の一部不積による船舶の発航請求が傭船契約上の権利または船積権の一部放棄であ るということは、単に約定運送品の一部の船積(運送委託)を取り止めることを意味するにとどまるものと考えるこ ともできる。そうだとすれば、運送品の一部不積による船舶の発航請求の場合、傭船者は不使用船積期間に関する傭 船契約上の権利を放棄したことにはならないから、不使用船積期間の日数に応じた早出料の支払いの有無の問題は存 在することになる。 ② 次に商法七四五条四項において船積遅滞による船積権の不行使を運送(傭船﹀契約の解除と見倣している以上、 船舶の発航請求もこれを積極的な意思表示による船積権の一部行使として傭船契約の一部解除とすべきである、と解 する見解によると、運送品の一部不積による船舶の発航請求は傭船契約の一部解除であるから、それは運送品の一部 不積の場合の不積運送品について傭船契約上の全ての約定が解除されたこと(例えば、約定運送品に対する不積運送 品の割合に応じた船積期間の日数の短縮)を意味するものと解される。なぜなら、運送品の一部不積による船舶の発

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航請求が単に約定運送品の一部を船積(運送委託)しないことを意味するにすぎないのであれば、通説と同様に、運 送ロ聞の一部不積による船舶の発航請求は﹁船積権の一部放棄である﹂と言えば足り、運送ロ問の一部不積による船舶の 発航請求を﹁傭船契約の一部解除とすべきである﹂と解したりする必要はないからである o それゆえ、この見解に従 えば、運送口聞の一部不積による船舶の発航請求は、単に約定運送品の一部が船積されないことを意味するだけでなく、 約定の船積期間や陸揚期間の日数が変更されたことをも意味するものと解される。それというのも、船積期間や陸揚 期間の日数は原則として運送品数量、船舶・港湾の荷役施設等に基づいて決定されるのであるから、運送品数量が減 少すれば、それに伴い船積期間や陸揚期間の日数も当然に短縮することになるからである。したがって、この見解に あっては、運送品の一部不積による船舶の発航請求が行われた場合には、その請求の時に船積は完了して、船積期間 は終了することになり、船舶の早出しなるものは存在しないことになるから、運送品の一部不積により船舶の発航請 求が行われても、早出料請求権について特別に留意すべき理由はないようである。 17一一早出料請求権に関する諸問題。 もっとも、運送口聞の一部不積による船舶の発航請求を僚船契約の一部解除とすべきであると解した場合に、船舶の 早出しなるものは存在しないとしても、運送品の一部不積により運送人側でなすべき処置が約定船積期間の終了前に 完了して、船舶が約定船積期間の終了前に発航すれば、運送人は、節約された約定船積期間の日数に応じて一定の利 益(例えば、岸壁使用料、船員の給養費等の節約﹀を得ることになるであろう。 最後に、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合に関してではないが、判例や一部の学説は、 傭船者が傭船契約上の債務として船積義務を負うと解する立場から、傭船者は船積期間内に約定運送品を船積する義 務を負い、同期間内に船積が完了しなければ、それは傭船者の債務不履行である、と解しており、また傭船者は傭船 ③ 契約上の債務として船積義務を負うと解し、運送品の一部不積による船舶の発航請求が行われた場合、それは傭船契

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第5巻l号一一18 約の一部解除ではない、と解する見解もある。 これらの見解によると、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合には、約定運送品のうち船積され なかった運送品については傭船者の船積義務の不履行である、と解されるべきであり、また船積期間は、傭船者のた ︿ 8 ﹀ めに提供せられた期間ではあっても、傭船者が傭船契約上の権利として船積のために利用することができる期間であ る、と解することはできないようである。けだし、そうであるならば、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行 われて、船舶が船積期間の終了前に発航しても、その不使用船積期間に関して傭船者は一定の権利を有しないことに なるから、船積の早出しなるものもありえず、また早出料請求権の問題も生じないことになる。 もちろん、右の見解にあっても、船積の早期完了を奨励するために早出料の支払いが特約されることは認めている ハ 9 ﹀ ものの、ここにいうところの﹁船積の早期完了﹂とは約定運送品全部の船積が船積期間の終了前に完了することをい ぃ、それは早出料請求権の発生のための要件であると解されているため、運送品の一部不積により船舶の発航請求が 行われた場合には、船積は早期完了したわけではないから、傭船者は運送人に対し運送ロ聞の一部不積に基づく不使用 船積期間の日数に応じて早出料を請求することはできないことになる。 ④ 以上に述べた如く、②において述べた見解にあっては、運送ロ聞の一部不積により船舶の発航請求が行われた場 合、船舶の早出しなるものはありえず、早出料請求権について特別に留意する必要はないようであり、また③で述べ た見解によると、傭船者は運送人に対し運送品の一部不積に基づく不使用船積期間の日数に応じて早出料を請求する ことはできないことになる。 そこで、以下では、①において述べた見解に従い、運送品の一部不積による船舶の発航請求の場合、その発航請求 は傭船契約上の権利または船積権の一部放棄であると解して、傭船者は、運送口聞の一部不積による不使用船積期聞に

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ついて傭船契約上の権利を放棄したことにならず、したがってその不使用船積期間の日数に応じて早出料の支払いを 請求することができる、と解する立場から、運送品の一部不積による船舶の発航請求の場合の早出料請求権について 若干の考察を行う。 19一一早出料請求権に関する諸問題白 ( 1 ) 竹井・二四九頁。村田・一九

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頁 、 西 島 ・ 九 六 頁 参 照 。 早 呂 田 自 ロ ¥ 岡 山 岳 町 ﹀ 口 5 ・ U H N 広 明 日 叶 ∞ 問 。 切 ・ ( 2 ) 村田・一九

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頁 。 ( 3 ) 小町谷・﹁海商法研究第四巻﹂一九九一気、小町谷・﹁海商法要義中巻一こ四三二具、五三七頁。 ( 4 ) 小町谷・﹁海商法要義中巻こ二三二頁。 ( 5 ) この見解に従えば、次のような点が問題にならないわけではない。すなわち、運送品の一部不積は、単に約定運送品の一 部が船積(運送委託)されないことを意味するだけでなく、約定運送品に対する不積運送品の割合に応じた約定の船積期間 や陸揚期間の日数も短縮されることを意味すると解される点である。船積期間や陸揚期間の日数は原則として運送品数量、 船舶・港湾の荷役施設等に基づいて決定されるのであるから、運送品数量が減少すれば、それに伴い雨期間の日数も当然に 短縮することになり、また運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合には、その請求の時に船積は完了するこ とになる。それゆえ、船積港において船舶が早出しとなるか、または超過碇泊となるかは、約定運送品(例えば、一、

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九﹀により算出した期間(九日)に基づいて船積期間を決定し、これを基準とすべきことになるのでは ないか。つまり、約定運送品、船積された運送品および約定船積期間の日数に基づいて計算した船積期間が船舶の発航請求 の当時に経過していないときは、運送品の一部不積により運送人側でなすべき処置が船積期間の終了前に完了すれば、船舶 は早出しとなり、運送人は、船舶の早出しにより節約した船積期間に応じて一定の利益(例えば、岸壁使用料、船員の給養 費等の節約﹀を得るのみならず、運送貨の全額、運送品の一部不積により﹁生ジタル費用﹂(商法七四三条二項)等を取得 して傭船契約上の利益を得ることになるから、早出料の問題は存在するようにも考えられる。なお、陸揚の場合には、約定 運送品に対する不積運送品の割合に応じて約定の陸揚期闘が短縮することになるから、その短縮された陸揚期聞が陸揚港に

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第5巻 l号一一20 お け る 陸 揚 期 間 と な る の で あ ろ う 。 ︿ 6 ) 小町谷・﹁海商法研究第四巻﹂一九九頁、小町谷・﹁海商法要義中巻二﹂四一一一一頁、五三七頁、西島・九五頁、東地判昭 和 四 三 年 七 月 一 一 一 一 日 ・ 判 例 タ イ ム ズ 二 二 七 号 一 九 三 頁 参 照 。 石 井 ・ 二 二 人 頁 参 照 。 ( 7 ) 小 町 谷 ・ ﹁ 海 商 山 法 研 究 第 四 巻 ﹂ 一 九 九 頁 、 小 町 谷 ・ ﹁ 海 商 法 要 義 中 巻 二 ﹂ 四 一 一 一 一 頁 、 五 三 七 頁 、 小 町 谷 ・ ﹁ 海 商 法 要 義 中 巻 一 ﹂ 二 三 二 頁 。 ( 8 ) 小町谷・﹁海商法研究第四巻﹂一六九頁。 ( 9 ﹀小町谷・﹁海商法研究第四巻﹂一七

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頁 。 船積期間終了前の船舶の発航請求 かつ運送品の一部不積に基づく船舶の発航請求が行 早 出 料 が 特 約 さ れ 、 われて、船舶が船積期間の終了前に発航した場合に、傭船者は、その節約された船積期間の日数に応じて早出料の特 約に従い運送人に対し早出料を請求することができるか否か。 この点について、通説によると、早出料請求権の発生には約定数量の運送品の船積が船積期間の終了前に完了する ことを一つの要件としているため、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合には、約定数量の運送品 の船積は完了していないのであるから、船舶の早出しなるものは存在しえない、と解されている。しかしながら、通 説のように、船舶の早出しすなわち早出料請求権の発生のためには常に約定数量の運送品の船積が船積期間の終了前 に完了しなければならない、と解することは妥当なものであろうか。なぜなら、 一の向の①において述べたように、 運送品の一部不積による船舶の発航請求が傭船契約上の権利または船積権の一部放棄であるということは単に約定運 送品の一部の船積(運送委託)を取り止めることを意味するにとどまり、運送品の一部不積による船舶の発航請求の 場合に、傭船者は、不使用船積期間に関する傭船契約上の権利をも放棄したことにはならず、同期間の日数に応じた 早出料の支払いを運送人に対し請求することができる、と解されうるからである。

(21)

ところで、運送品の一部不積のままで船舶の発航請求が行われた場合には、傭船者が任意にする船舶の発航請求に よって運送人が不利益を被るべき理由はないことから、運送人は、運送賃の全額を請求することができるほか、運送 ( 2 v 品の一部不積によって生じた費用(例えば、船積された運送口聞の積付変更費用、船舶の安定性維持のために行った処 置に要した費用等)の支払いをも請求することができるとともに(商法七四三条二項、七四八条三項、七五

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条、際 海 運 二

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条一項)、それらの担保供与請求権をも取得し(商法七四三条二項)、しかもその担保の供与がない限り、運 送給付の履行を拒絶することができる。また、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合に、船舶は、 常に船積期間の終了前に発航することができるわけではなく、例えば、船積された運送品の積付変更、船舶の安定性 維持のための処置等が船積期間内に完了しないときは、船積期間の終了後もさらに碇泊しなければならなくなる。も ちろん、この場合にも、船積期間終了後の船舶の碇泊は超過碇泊であり、運送人は、傭船者に対しその超過碇泊日数 に応じて碇泊料を請求することができるのみならず(商法七回一条二項、 際海運二

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条 一 項 参 照 ) 、 船舶が船積期間 21一一早出料請求権に関する諸問題同 (超過碇泊期間の特約があれば、その期間)の終了後さらに碇泊したことにより運送人に生じた損害が碇泊料では填 補されないときは、傭船者に対し碇泊料では填補されない損害についてその賠償を請求することもできるのである。 このような点を踏まえると、運送品の一部不積のままで船舶の発航請求が行われた場合には、それによって行うべ き処置(例えば、船積された運送品の積付変更、船舶の安定性維持のために行う処置等)が完了した後、なお未使用 の船積期聞があれば、その期間だけ運送人は、岸壁使用料等の碇泊費用やその他の費用を節約できるだけでなく、次 に予定する配船計画の早期実施に着手できるのであるから、その未使用の船積期間を節約された船積期間と見倣し、 傭船者はその節約された船積期間の日数に応じて運送人に対し早出料を請求することができる、と解することは衡平 の原則に一致するのではないか。

(22)

第5巻1号 22 ハl ) 拙文﹁奈良法学会雑誌﹂第四巻四号八頁参照。 ( 2 ) 商法七四三条二項によると、運送品の一部不積により船舶の発航請求がなされても(商法七四三条一項﹀、運送人は、運 送賃の全額を請求することができるほか、運送品の一部不積によって﹁生シタル費用'一をも請求することができるが(商 七四八条三項、七五

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条、際海運二

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条一項参照﹀、その﹁生シタル費用﹂とは、運送人が実際に支払う費用(例えば、運 送ロ聞の一部不積により運送人が支払うことになった積付変更費用、船舶の安定性維持のために行った処置に要する費用等) をいうのか、またはその実際に支払う費用から支払いを免れた費用(例えば、運送品の一部不積により支払いを免れた港湾 施設使用料やその他の費用、商法八四二条三号、八号参照)等を差引いた費用をいうのか、は問題である。 さて、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合に、法が運送賃全額の請求権、その他の費用請求権および その担保供与請求権を運送人に認めているのはハ商法七四三条二項、七四八条三項、七五

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条 一 項 ﹀ 、 僚 船 者が任意に行う船舶の発航請求によって運送人が不利益を被るべき理由はないことにその根拠があるとされている。そうで あるならば、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われた場合には、運送人は、それによって生じた費用を請求する ことができ、かつ運送賃をも全額取得すれば、傭船契約上の利益を得たことになるから、運送ロ聞の一部不積により支払いを 免れた費用等を利得すべき根拠はないことになるのではないか。このように解することに合理性があるのであれば、運送人 は運送品の一部不積により支払いを要する費用と支払いを免れた費用との清算義務を負うことになる。それは衡平の原則に も一致する。したがって、商法七四三条二項に定める﹁運送品ノ全部ヲ船積セサルニ因リテ生シタル費用﹂とは、運送品の 一部不積により支払いを要する費用から運送品の一部不積により支払いを免れた費用を控除した費用をいう、と解すべきで あ る 。 小町谷教授(﹁海商法要義中巻一﹂二三四頁)は、﹁運送品の全部を船積ぜざるによって生じた費用とは、底荷の船積又は 積付の愛吏等に関聯して生じた費用及び運送品の減少による海上運送人の共同海損分携額の増加等を云う。﹂と述べる。 ( 3 ) 村田・一九一一具、小町谷・﹁海商法要義中巻ご二三四頁。 ハ4 ) 汽船マリア・ロセロ号航海傭船契約紛議仲裁判断(昭和三七年二一月一一二日裁定・東京)日本海事仲裁判断全集(続﹀一一 七六頁、二八二具、拙文﹁奈良法学会雑誌﹂第四巻四号四頁脚注 ( 1 ﹀ 参 照 。 ( 5 ) なぜなら、碇泊料は、船積のために船舶の提供を延長した期聞に対して支払われる報酬であるから、船舶が船積以外の、

(23)

傭 船 者 の 責 に 帰 す べ き 事 由 ( 例 え ば 、 発 航 前 の 契 約 解 除 に よ り 船 積 さ れ て い た 運 送 品 の 、 船 舶 か ら の 搬 出 作 業 ﹀ に よ り 超 過 碇 泊 し 、 か つ 碇 泊 料 で は 運 送 人 の 損 害 を 填 補 で き な い 場 合 に は 、 運 送 人 は 、 傭 船 者 に 対 し 碇 泊 料 で は 填 補 さ れ な い 損 害 に つ い て 、 そ の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る 、 と 解 さ れ て い る 。 高 橋 ・ ﹁ 標 準 航 海 傭 船 契 約 の 研 究 ﹂ 四 五 三 頁 以 下 、 山 戸 ・ ニ

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八 頁 以 下 、 日 本 海 運 集 会 所 ﹁ レ イ タ イ ム ﹂ 二 九 五 頁 以 下 、 田 中 ( 誠 ) ・ 三 三 八 頁 、 ド イ ツ 商 法 五 八 一 条 二 項 参 照 。 司 ﹃ 由 民 自 由 ロ ロ ¥ 何 回

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-﹀ ロ 戸 巴 σ N 信 仰 勾 ∞ 国 の 回 ・ ﹀ ロ 5 ・ 切 臼 N C ゆ 回 虫 図 。 切 一 4 拘 ﹁ ω n 町 田 匂 中 ﹀ ぴ 司 担 げ 白

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-﹀ ロ 5 ・ 印 N E 申 印 吋 ∞ 国 の 切 ・ ﹀ ロ 自 ・ ω N ロ ゆ 閉 ∞ H 因 。 切 ・ 陸揚期間終了前の陸揚完了 船舶が運送品の一部不積のままで船積港を発航する場合には、次の場合が考え られる。すなわち、運送品の一部不積により船舶の発航請求が行われる場合ハ商法七四三条一項)、 船積期間 ハ 超 過 碇泊期聞の特約があれば、その期間)の終了後まだ船積が完了していないときに、運送人が運送品の一部不積のまま 23一一早出料請求権に関する諸問題同 で船舶を発航させる場合(商法七四四条一項、 ( 例 え ば 、 七四八条三項、際海運二

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条 一 項 ) 、 および運送品の一部が運送不能 一部運送品の輸出禁止または目的港への入港禁止による運送不能﹀になり、船舶が運送品の一部不積のま まで発航しなければならない場合(商法七六一条一項、七六二条一項参照﹀が、それである。そうした場合に、その 不積運送品につき陸揚港における陸揚は行われないのであるから、船積された運送品の陸揚が陸揚期間の終了前に完 了するのは通常である。この場合、傭船者は、早出料の特約に従い運送人に対し節約された陸揚期間の回数に応じて 早出料の支払いを請求することができるであろうか。 ところで、船舶が運送品の一部不積のままで船積港を発航し、船積された運送品の陸揚が陸揚期間の終了前に完了 しても、運送人は、運送品の陸揚完了後直ちに当該船舶を次の航海に就航させることができるとはかぎらない。それ というのも、運送人は、運送品の一部不積により船積港において船舶の安定性維持のために行った処置等があれば、

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第5巻1号一一24 それを陸揚港において除去しなければならなくなるが、その除去作業と運送品の一部不積との聞には因果関係がある と解されるから、傭船契約上、航海期間の一部を構成する陸揚期聞はその除去作業の完了時に終了する、と解するの が相当である。けだし、そうだとすれば、運送人が船積港において船舶の安定性の維持のために行った処置等を陸揚 港において除去するために、船舶が陸揚期間の終了後さらに碇泊すれば、それは超過碇泊であり、運送人は、傭船者 に対しその超過碇泊日数に応じて碇泊料を請求することができるのみならず(商法七五二条二項、際海運ニ

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条一項 参照)、船舶が陸揚期間(超過碇泊期間の特約があれば、その期間) の終了後さらに碇泊したことにより運送人に生 じた損害が碇泊料では填補されないときは、運送人は、傭船者に対し碇泊料では填補されない損害について、その賠 償を請求することもできる。他方、運送品の陸揚が陸揚期間の終了前に完了し、そして運送人が船積港において船舶 の安定性維持のために行った処置等の除去を完了した後、なお未使用の陸揚期聞がある場合には、運送人はその未使 用の陸揚期間の日数に応じて一定の利益(例えば、岸壁使用料、船員の給養費等の節約)を得るのであるから、その 未使用の陸揚期聞を節約された陸揚期間と見倣し、傭船者はその節約された陸揚期間の日数に応じて運送人に対し早 出料を請求することができる、と解すべきであり、このように解することは、運送品の一部不積の場合に、船舶が陸 揚港において超過碇泊すれば、碇泊料が支払われることと対比してもあながち不合理であるともいえない。 ( 1 ﹀ こ の 点 に 関 し て は 、 船 積 期 間 の 場 合 と 同 様 、 碇 泊 料 は 、 陸 揚 の た め に 船 舶 の 提 供 を 延 長 し た 期 間 に 対 L て 支 払 わ れ る 報 酬 で あ る か ら 、 船 舶 が 陸 揚 以 外 の 、 僚 船 者 の 責 に 帰 す べ き 事 由 ( 例 え ば 、 運 送 人 に よ る 運 送 品 の 供 託 ( 商 法 七 五 四 条 ) や 傭 船 者 側 の 陸 揚 準 備 の 不 備 ) に よ り 超 過 碇 泊 し 、 か つ 碇 泊 料 で は 運 送 人 の 損 害 を 填 補 で き な い 場 合 に は 、 運 送 人 は 、 僚 船 者 に 対 し 碇 泊 料 で は 填 補 さ れ な い 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る 、 と 解 さ れ て い る 。 高 橋 ・ ﹁ 標 準 航 海 傭 船 契 約 の 研 究 ﹂ 四 五 三 頁 以 下 、 山 戸 ・ 二

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入 頁 以 下 、 日 本 海 運 集 会 所 ﹁ レ イ タ イ ム ﹂ 二 九 五 頁 以 下 、

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田 中 ( 誠 ) ・ 三 三 八 買 、 ド イ ツ 商 法 六

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一 条 、 六

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二 条 参 照 。 すでに述べたように、運送品の一部不積により船舶の発航請 求が行われた場合に、運送人が運送品の一部不積によって行うべき処置(例えば、船積された運送品の積付変更、船 舶の安定性維持のために行った処置等)が完了した後、なお未使用の船積期聞があれば、それを節約された船積期間 四 運送口聞の一部不積の場合における早出料の額 と見倣し、また陸揚や船舶の安定性維持のために行った処置の除去作業等が完了した後、なお未使用の陸揚期聞があ れば、それを節約された陸揚期間と見倣して、傭船者はその節約された船積期間および陸揚期間の日数に応じて運送 人に対し早出料を請求することができる、と解すべきであるとした。しかし、この場合、約定の早出料の額が節約さ れた船積期間および陸揚期間の日数に応じて傭船者に対し支払われなければならないとするならば、運送人は、事情 によっては高額の早出料の支払いを余儀なくされることがある。つまり、運送を取り止めた運送品の数量が多ければ 25一一早出料請求権に関する諸問題同 おおいほど、節約される船積期間および陸揚期間の日数は増えるのが通常であるから、その節約された船積期間およ び陸揚期間に応じて約定の早出料が支払われなければならないとすれば、運送人は、予測しえない高額の早出料の支 払い義務を負うことにもなりかねないが、これでは運送人が高額の早出料を支払わなければならない危険を負担する ことになる。また、法が傭船者に運送品の一部不積に基づく船舶の発航請求権を認めている以上(商法七四三条一項、 傭船者はこの権利を任意に行使することができるのであるから、 際海運二

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条 一 項 ) 、 運送品の一部不積により船舶 の発航請求が行われた場合に、それにより節約された船積期間および船積されなかった運送品の陸揚が実施されない ことにより節約された陸揚期間の日数に応じて約定の早出料が傭船者に対し支払われなければならないとすれば、運 送人は、早出料の特約を回避することにもなるであろう。

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第5巻 1号一一.26 このような点を考慮すると、運送品の一部不積により船舶が発航した場合の早出料の額は、約定の額ではなく、そ の額について特約がない場合に準じて決定される、と解することが契約当事者の意思に合致するように考えられる。 なぜなら、早出料の額は、通常これを傭船契約で具体的に定め、一般に碇泊料の半額とされ、まれには碇泊料の一一一分 の一とする約款も見うけられるものの、早出料の支払い自体の特約は存在するが、その額についての特約がない場合 には、早出料の額は、船舶の早出しにより運送人が節約した費用(例えば、支払いを免れた岸壁使用料、船員の給養 費等﹀、次に予定する配船計画の早期実施により運送人が取得する運送賃などを劃酌して決定される、と解されてい るので、運送品の一部不積の場合における早出料の額は、約定の額ではなく、運送品の一部不積により運送人が支払 ハ 2 ﹀ う費用、支払いを免れた費用等をも考慮しながら、その額について特約がない場合に準じて決定されるとしておけば、 早出料の額は合理的に決定されると考えられるからである。 ハ 1 ) ︿ 2 ) 拙文﹁奈良法学会雑誌﹂第四巻四号一九頁参照。 拙文本号二二頁脚注 ( 2 ) 参 照 。

以上、早出料請求権に関する諸問題について考察した。それを要約すれば、次のようになる。 一まず、早出料請求権が発生する法的根拠は、商法上の規定にあるのではなく、むしろ実際的要請という法律的 現実が認容されているところにあり、早出料の法定は必ずしも海運実務の要請に合致するとはいえず、実際には具体 的場合に応じて契約当事者間で個々に早出料の支払いが特約されるのが通常であるから、早出料に関する権利・義務 は、それに関する特約によることになる旨を述べた。

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また、船荷証券が発行されない場合には、荷受人は、運送品が陸揚港に到達した時から傭船契約上の権利を取得す るので、傭船契約上の権利である早出料請求権をも取得するのに対し、船荷証券が発行された場合には、陸揚の完了 後に生ずる早出料請求権は船荷証券によって表彰される傭船契約上の権利である運送品引渡請求権または運送給付請 求権の中に包含されず、船荷証券の正当な所持人は早出料請求権を取得していない、と解した。しかし、船荷証券が 発行された場合の同証券の正当な所持人は、運送品を受け取れば、商法五八三条一項にいう荷受人として﹁運送契約 ニ 因 リ テ 生 シ タ ル 権 利 ﹂ (商法五八三条一項﹀である早出料請求権を取得することができるとした。つまり、船荷証 券の正当な所持人が荷受人として運送品を受け取った後にも、陸揚の完了後に生ずる早出料請求権が船荷証券によっ て表彰される傭船契約上の権利である運送品引渡請求権または運送給付請求権の中に包含されていないことを根拠に 27一一早出料請求権に関する諸問題白 して、なお早出料請求権については、傭船者だけがこれを取得できると解することは、早出料を与えて陸揚の早期完 了を奨励する特約の趣旨および商法における筒易迅速主義の原則に合致しないから、船荷証券が発行された場合にも、 陸揚の早期完了により生ずる早出料請求権については、別段の定めがない限り、船荷証券が発行されない場合の荷受 人と同様に、船荷証券の正当な所持人である荷受人が早出料請求権を取得する、と解すべきであると結論した。 二次に、船積期間、陸揚期間および超過碇泊期間の計算方法については、傭船契約書に詳細な条項が設けられる のが通常であるが、普通約款としての、ほとんどの早出料約款に早出日数の計算方法に関する条項は置かれていない。 早出日数の計算に際して、問題となる船積期間不算入日の取扱について争いのある場合には、節約期聞に含まれる船 積期間不算入日たる日曜・休日については、これを早出日数に算入することが合理的であると解する一方、節約期間 に含まれる日曜・休日以外の船積期間不算入日については、その日数が一日または二日といった短期の場合にのみこ れを早出日数に算入することが合理的であるのに対し、その日数が長期におよぶ場合に、その全日数に応じて早出料

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