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「個人実施型」家庭的保育施設の戸外活動と地域資源の関係に関する研究

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「個人実施型」家庭的保育施設の戸外活動と地域資源の関係に関する研究

A Study on the outdoor activities of private family day care facilities

and the regional resources

辻川ひとみ

**

・中野 明

Hitomi Tsujikawa Akira Nakano

This paper attempts to elucidate the use of surrounding space and regional resources for outdoor activities at private family day care facilities. As a result, we clarified the following points: 1) The region around the private family day care facilities are classified under one of the following 6 types: “high density residential area”, “downtown area”, “new residential area”, “mature residential area”, “residential area under development” and “industrial area”. 2) The outdoor activities tend to be taken inside a radius of 1,200m from the facility. 3) The regional resources inside 1,200m within from the facilities are classified in 3 types from the point of view of purpose: ① physical fitness and get close to nature, ② communication with other people and ③ learn about culture and society. 4) The facilities have many routes for outdoor activities (average is 12.9 routes). 5) Every facility carry out frequent outdoor activities for physical fitness and get close to nature. The frequency of carrying out the activities for communication and learn about culture and society differ widely between facilities.

1.はじめに

 平成27年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」で、家庭的保育制度が地域型保育事 業の一つとして児童福祉法に位置づけられた事に伴い、家庭的保育施設の量的な拡大と共に、家 庭的保育施設における保育の質の向上と均一性が求められている。既報1)では、全国の家庭的保 育事業を実施している自治体を対象としたアンケート調査から、制度の概要と現状を把握し、前 報2)では、「個人実施型」の家庭的保育施設に対する施設内容のアンケート調査から、施設の建 築内容と保育室の概況を明らかにした。続いて本報では、「個人実施型」家庭的保育施設が、居 宅の一部を開放して保育活動を行っており、十分な広さの園庭を持つ事が極めて困難で、施設周 辺の公園や広場等の地域資源を利用して戸外活動を行っている事を鑑み、当施設における、戸外 活動の状況と施設周辺の地域資源の利用実態について明らかにする事を目的とした。

2.研究方法

 研究目的を達成するために次の2つの調査を行った。調査の概要を表1に示す。 (1)第1次調査  第1次調査では、既報1)で行った自治体に 対するアンケート調査において、有効回答を 得た72件(有効回答回収率85.7%)の自治体 のホームページに住所を公開していた「個人 実施型」施設(183件)、および先進的に本事 業を行っている横浜市(57件)、札幌市(13 件)の施設、合計253件を対象に、戸外活動 の活動時間と活動圏域、および利用資源の種 類と数について、アンケート調査を行い、有 帝塚山大学現代生活学部紀要 第 12 号 49 ~ 56(2016) 表1. 調査概要

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効回答が得られた132件(有効回答回収率52.2%)の「個人実施型」施設を分析対象とした。 (2)第2次調査  第2次調査では、第1次調査で有効回答が得られた施設のうち、周辺に戸外活動に利用できる 地域資源を多く保有し、かつそれらを戸外活動に利用している割合が高い10件の施設を調査対象 とし、各施設の施設長に対し、戸外活動の種類と実施条件、利用地域資源の利用内容、利用して いない地域資源の理由等についてヒアリングを行うとともに、各施設が行った戸外活動に調査員 が同行し、予め用意した施設周辺の地図に、移動経路や児童の行為が発生した場所と時刻、その 行為内容等を記録しながら、カメラ撮影を行った。尚、調査対象施設選定の詳細については、後 述する。

3.戸外活動状況と地域資源(第1次調査)

(1)地域特性  分析対象施設が立地している周辺環境の地域特性を、利用者の徒歩圏内と考えられる、施設 を中心とした半径1,200mの範囲で、インターネットによる航空写真(Google earth)と都市地図 (Mapple:ZENRIN縮尺:1/3,000)を利用して、①住宅の密集度合い、②公共施設・商業施設の 種類と有無、③交通機関の有無、④農地や空地の有無と面積、⑤道路網の状況、を分析軸として 分析したところ、表2に示す6つのタイプに分類された。「密集住宅地」は、街路があまり整備さ れていないまま住宅が建込み、空閑地が少なく、主として長屋等小規模な住宅が多く、近隣には 商店街等の商業施設も確認できる。「市街地」は、近隣商業地域で住宅地と商業施設が混在し、 駅や公共施設も近くに立地している。「新興住宅地」は、戸建て住宅を主とした住宅地で、大半が 第一種住居専用地域である。「開発完了住宅地」は、農地などが住宅地として開発され、ほとん ど空閑地や農地がなくなった状態の地域である。「開発新興住宅地」は、部分的に農地が残ってお り、住宅地が散在している地域である。「工業地」は、周辺に大規模な工場や小中規模の工場が 多くみられる地域である。本分析対象施設においては、「密集住宅地」に立地した施設が29.5%と 最も多く、次に多かったのが「開発完了住宅地」(22.7% )と「開発新興住宅地」(22.0% )であった。 これらは、人が多く集まって暮らしてい る地域であるため、乳幼児を持つ共働き 夫婦の居住率も高いと考えられ、保育施 設需要の多い事が関係していると思われ る。 (2)戸外活動の状況  分析対象施設における戸外活動の状況 を表2に示す。①戸外活動時間:全体 で戸外活動時間が最も多く見られたの は、60分以上90分未満で全施設の43.9% に見られた。次に多く見られたのは90 分以上120分未満で、33.3%の施設に見 られた。②戸外活動圏域:戸外活動圏 域は800m以上1,200m未満の施設が最も 多く、全施設の43.2%に見られた。次に 多かったのが400m以上800m未満の圏域 表2. 戸外活動の状況

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で、28.8%の施設に見られた。③利用地域資源数:保育上戸外活動の際に利用している地域資源 数は、1施設あたり5件以上10件未満が最も多く、全施設の47.7%に見られた。次に多く見られた のは10件以上15件未満(28.8% )であった。また、利用されている地域資源の数は、地域特性によ る差があまり見られなかった。 (3)地域タイプ別の保有地域資源とその利用  分析対象施設が立地している周辺地域が、保育上戸外活動に利用できる資源として、どのよう なものを保有しているかを、都市地図(Mapple:ZENRIN縮尺:1/3,000)を用いて、施設を中心 とした半径1,200mの範囲で抽出した結果と、その保有資源の内、分対象施設が利用していた地 域資源を表3に示す。これらの資源がどのような保育目的で利用され得るかを検討した結果、① 公園や寺、森といった「体力作りや自然に触れる」事のできる(以下「体」と示す)資源、②他 の保育所や児童会館、老人ホーム、市民センターなど、「人と触れあう、または集団体験ができ る」(以下「人」と示す)資源、③図書館・博物館・美術館や商業施設など、「教養・文化・社会 の事象を学ぶ」(以下「教」と示す)資源の3種類の保育資源タイプに分けられた。 表3. 保有している地域資源と利用されている地域資源

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(4)地域資源の保育目的と地域特性  分析対象施設で利用されていた全て の地域資源を、前述の3種類の保育資 源タイプ別に分類整理し、その割合を 示したものが図1である。3種類の保 育資源タイプがバランスよく見られた のは、「市街地」に立地していた施設 で、「市街地」では「体」資源が全体 の42.7%、「人」資源が31.6%、「教」 資源が23.1%であった。一方、保育資 源の種類の割合に偏りが見られた地域 は、「新興住宅地」や「開発完了住宅 地」、「開発新興住宅地」などで、公園 や広場などの「体」資源が7割程度と大半を占め、他の種類の保育資源の割合が低い事が分かった。

4.戸外活動の実態(第2次調査)

(1)調査対象施設の概要  戸外活動の調査対象施設の概要を表4に示す。第1次調査で分析対象とした132件の「個人実 施型」家庭的保育施設で、施設周辺1,200m圏内に、「体」、「人」、「教」の3つの保育資源タイプ のうち、全てのタイプの資源を周辺 地域に保有し、かつ2タイプ以上の 保育資源タイプの地域資源におい て、利用地域資源割合が25%以上の 施設を利用地域資源が多い施設と考 え、5つの地域特性タイプにおいて2 件ずつを調査対象とした。 (2)戸外活動タイプ別戸外活動内容  「個人実施型」家庭的保育施設が行っている戸外活動は、保育資源タイ プの組み合わせから、表5に示すA ~ Gの7種類のタイプが考えられた。 また、戸外活動において、施設を出発し、利用する地域資源を目的地、あ るいは立ち寄り先とした一連の戸外活動経路を戸外活動のルートとし、ヒ アリング調査から得た各施設の戸外活動の各ルートの内容について、戸 外活動タイプ別に整理分類したものを図2に示す。本調査対象施設において、それぞれの施設 が行っている戸外活動は、平均12.9ルートあり、最も少ない施設[NZ]で8ルート、最も多い施設 [OP]で21ルート準備していたが、地域特性によるルート数の差は見られなかった。一方、戸外 活動タイプを見てみると、全調査対象施設において公園や神社、遊歩道等の「体」資源を利用し たAタイプの戸外活動が最も多く、全体の49.6%であった。次に多く見られたのは、鉄道駅や電 車が見える陸橋、図書館や商店等の「教」資源を利用したCタイプで、全体の17.8%であった。 次に多かったのは、「体」資源と「教」資源を組み合わせたEタイプ(14.7%)で、他の保育所や 市民センターといった「人」資源を利用したBタイプは、全体の13.2%であった。施設別に見て みると、ほとんどの施設が、戸外活動ルートに「体」、「人」、「教」の3つの保育資源タイプを利 図1. 地域資源の保育目的と地域特性 表4. 調査対象施設の概要 表5. 戸外活動タイプ

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用していたが、「人」資源を利用した活動が全くない施設が2件([OO]、[MO])、「教」資源を利用 したルートのない施設が1件([NZ])見られた。いずれも地域特性による差ではないと考えられ た。また、実施頻度から見ると、施設間で大きな差が見られ、「体」、「人」、「教」資源の全てを 利用した戸外活動ルートを、1/週~ 1/月単位で行っている施設([NO]、[OP]、[YN]、[HT])があ る一方、「人」資源を利用した戸外活動に関しては、年に数回程度と積極的に利用していない施 設([BS]、[MN]、[NM])も見られた。「人」資源を積極的に利用する事の重要性は、保育者も 認識しているが、実際の利用には地域の特性とは別の課題があると思われる。

5.地域特性と利用地域資源

 戸外活動の調査対象施設の周辺地域が保有している地域資源と戸外活動に利用されている地 図2. 戸外活動タイプ別戸外活動ルートの内容

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域資源を図3に示す。まず、利用されている地域資源の圏域の大きさを見てみると、「密集住宅 地」、「市街地」、「開発完了住宅地」は、利用地域資源の範囲が狭い傾向が見られた。これらの地 域は幹線道路や鉄道が多く整備されており、保育者は児童を連れて車の通行量が多い道路や線 路を渡る事を避けていた。しかし、「体」、「人」、「教」3種類の保育資源タイプ全てが密集して 数多く存在するため、800m程度の狭い圏域でも十分に活用できていた。一方、「新興住宅地」で . 0 400m [NZ] 開発完了住宅地 注)追跡調査は雨天の為中止 0 400m 0 400m 0 400m 0 400m 公園大 b 公園 公園 公園 公園大 a 公園 公園小 d 公園小 g 公園小 f 公園小 e 公園小 c 消防署 スーパー 公園 公園 公園小 a 公園小 b 鉄道駅 線路 寺 神社 神社 神社 神社 神社 神社 寺 寺 寺 寺 寺 寺 自治会館 自治会館 自治会館 自治会館 自治会館 神社 神社 寺 寺 保育園 保育園 保育園 幼稚園砂場 公園大 b 神社 公園大 c 踏切 公園小 d 公園 公園小 b 公園小 b 公園 こども園 保育園 幼稚園 幼稚園 保育園 保育園 保育園 保育園 保育園 保育園 鉄道駅 鉄道駅 鉄道駅 鉄道駅 商店街 商店街 商店街 商店街 図書館 商店街 陸橋 自治会館 公園小 b 公園 公園大 美術館 歴史博物館 公園中 公園 寺 寺 寺 寺 寺 寺 寺 神社 県庁広場 幼稚園 神社 神社 神社 神社 神社 公園小 a 市民センター 公園 港の広場 公園小 c 寺 自治会館 公園大 a 図書館 寺 神社 商店街 商店街 鉄道駅 商店街 町づくり館 おまんじゅう屋 商店街 池 寺 自治会館 老人ホーム 商業施設 保育園 保育園 商業施設 公園大 b 公園小 f 公園 公園 保育園 保育園 公園 公園大 a 公園小 b 公園小 d 公園 図書館 スーパー スーパー 公園小 c 公園小 e 寺 寺 公園小 a 地区センター 公園 公園 公園 ケアプラザ 商店街 鉄道駅 鉄道駅 スーパー 商店街 公園小 d 商店 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 老人ホーム 公園小 c 公園中 a 公園小 b 公園中 b 公園小 a ( × 2) 子育て支援センター 老人ホーム ( ×7) 0 400m コミュニティハウス 野外活動センター 公園 公園 公園 公園 公園小 c 公園 公園 公園 公園 公園 寺 商店街 公園小 a 公園小 b 公園中 a 公園 神社 商店街 スーパー 病院の畑 神社 0 400m 公園 公園 保育園 公園 公園大 公園 公園 公園 公園 スタジアム 広場 公園小 保育園 保育園 オフィス広場 オフィス広場 車会社 オフィス広場自治会館 公園 公園 寺 寺 鉄道駅 鉄道駅 鉄道駅 鉄道駅 橋 鉄道駅 森 小学校 図書館 大学の校庭 図書館 博物館 鉄道駅 鉄道駅 0 400m 寺 公園大 c 公園中 b 保育園 保育園 公園 公園 公園 公園 公園 公園小 a 公園中 a 公園中 c 自然環境センター 公園 公園 公園 公園 公園大 a 公園 公園 図書館 商店街 商店街 商業施設 鉄道 公園 公園大 b 0 400m 公園小 c 公園小 b 公園小 d ふれあいセンター 公園小 e 公園小 f 公園小 h 公園小 b 公園小 i 公園小 a 寺 公園大 a 公園 保育園 保育園 老人ホーム 老人ホーム 保育園 児童館 畑 図書館 大型商業施設 大型商業施設 踏切 商店 商業施設 児童館 保育園 《凡例》 ○ …体力作り・自然にと触れあうことのできる地域資源 △ …人と触れ合う、集団体験をすることのできる地域資源   □(鉄道駅)…教養・文化・社会の事象を学ぶことの できる地域資源   …家庭的保育施設   ● ▲   ■…利用されている   ○ △   □…利用されていない    公園 400m 0 400m 公園 森 商店街 商店街 橋 商店 商店 商店 保育園 掘削現場 保育園 保育園 自治会館 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園小 a 公園小 b 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園 公園大 a 神社 神社 寺 公園 公園小 c 鉄道駅 :調査当日の戸外活動移動経路 :利用地域資源の圏域 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 800m圏内 400m圏内 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 1200m圏内 [MO]  開発完了住宅地 [OO] 市街地 [OP] 市街地 [YN] 新興住宅地 [MN]  新興住宅地 [HT] 開発新興住宅地 [NM] 開発新興住宅地 [BS]  密集住宅地 [NO] 密集住宅地 図3. 保有地域資源と利用地域資源

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は、保有している地域資源数が少ないものの、比較的狭い範囲で多種の地域資源が設置されてい るため、利用圏域も狭くなっていた。これらに対して、「開発新興住宅地」では、地域資源が拡 散しているため、利用資源圏域が広くなっていた。

6.利用されていない地域資源

 施設長へのヒアリング調査から得た、施設周辺1,200m圏域内に地域資源を保有しているにも かかわらず、利用されていない主な理由を 整理したものを表6に示す。  「体」資源において、利用されていない 理由は、<アクセス> <環境> <苦情> <利用 手続> <不必要>に関する事項が挙げられ た。<アクセス>については、前述の幹線 道路や線路を渡る際の危険性に加え、近距 離でも経路に急勾配の坂道が存在する為に 上り下りが大変である等、地図上では現れ てこない理由が挙げられた。<環境>に関 する理由は、公園に対して挙げられたもの で、駅前にある公園は、喫煙者が多く利用 している場合があり、児童の利用に不向き な環境であるといったケースも見られた。 また、住宅に囲まれた小規模公園では、近隣住民から騒がしい等の苦情が出る場合もあり、実際 には利用が出来ない状況も見られた。<利用手続>については、神社や寺に関して、鍵がかかっ ており自由に入る事ができない、利用の許可をもらえないと思う、等の理由が挙げられた。  「人」資源においては、<連携性> <非認知> <保育者の方針> <利用手続>に関する事項が理由 として挙げられた。<連携性>については、保育施設や老人福祉施設について挙げられ、近隣の 保育所であっても面識が無い事や、連携保育所については、以前利用した際に迷惑がられた等、 連携の不十分さが理由として挙げられた。老人福祉施設においては、コネクションが無い、訪問 の事前準備が大変である等が見られた一方、存在を知らなかった、利用を考えない、等の理由も 見られた。<利用手続>に関しては、自治会館や市民センター等の地域サービス施設について、 鍵が閉まっている、予約の必要がある、等の理由が見られた。   「教」資源においては、<トラブル> <保育者の方針> <不適合> <アクセス> <環境>に関する事 項が理由として挙げられた。<トラブル>に関しては、図書館について多く挙げられ、他の利用 者へ迷惑がかかるので行かない、等といった理由であった。一方、<保育者の方針>として、図 書館を利用する必要性を感じない等の消極的理由も挙げられた。<不適合>に関する理由は、博 物館や美術館等に対して見られ、対象が受託児童の年齢と合わない等であった。<アクセス>に 関しては、買い物体験等で利用される事の多い商業施設に関して見られ、坂道や人混み等が理由 として挙げられた。又、商業施設においては、児童が商品に壊す恐れがある等、トラブルを想定 した理由も挙げられた。

7.まとめ

 本研究は、全国の「個人実施型」家庭的保育施設に対するアンケート調査と、施設訪問による 表6. 保有地域資源の非利用理由

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施設長へのヒアリング調査及び戸外活動の追跡観察調査を行う事で、戸外活動の概要と地域資源 の利用について明らかにする事ができた。結果は、以下に示す通りである。 1)「個人実施型」家庭的保育施設が立地している周辺環境の地域は、「密集住宅地」、「市街 地」、「新興住宅地」、「開発完了住宅地」、「開発新興住宅地」、「工業地」の6つの地 域特性タイプに分類される。 2)戸外活動は施設から1,200mの圏域内で行われている事が多い。 3)施設の周辺地域が1,200m圏域に保有している地域資源は、①「体力作りや自然に触れる」 事のできる資源、②「人と触れあう、または集団体験ができる」資源、③「教養・文化・社 会の事象を学ぶ」事のできる資源の3種類の保育資源タイプに分けられる。 4)3種類の保育資源タイプがバランスよく保有されていたのは「市街地」で、それに対し、地 域資源の大半が「体」資源であり、保育資源の種類の割合に偏りがみられたのは、「新興住 宅地」、「開発完了住宅地」、「開発新興住宅地」であった。 5)周辺に戸外活動に利用できる地域資源を多く保有し、かつそれらを戸外活動に利用している 割合が高い施設では、周辺の多様な地域資源を活用した数多くの戸外活動ルート(平均12.9 ルート)を用意していた。 6)「体」資源や「教」資源を活用した戸外活動は、児童の年齢構成や体調等に適したルートが 選択され、1/週~1/月単位で計画的に実施されている。しかし、「人」資源を活用した戸 外活動に関しては、年に数回程度の実施で、積極的に利用されているとは言えない状況が見 られた。 7)施設が利用している地域資源の圏域は、地域特性により違いが見られ、「密集住宅地」、 「市街地」、「開発完了住宅地」では、800m程度の狭い範囲で十分に戸外活動を実施する 事ができるが、「開発新興住宅地」では戸外活動圏域が1,200m以上になってしまう可能性 がある。 8)施設周辺に戸外活動に利用可能と思われる地域資源が存在していても、 地図上には出てこ ないアクセスの困難さや、環境の問題、利用に際しての連携面での不十分さ、近隣住民との トラブル等の様々な理由から、実際には利用困難な資源が存在する事が明らかになった。  以上、本研究では戸外活動追跡観察調査で、図2および図3に示しているように、Aタイプと Eタイプの戸外活動ルートにおける、公園や教養施設の具体的な活用内容を把握できた。児童ら は公園でメダカや池の亀を観察したり、小石やドングリを集めたりと、施設内では経験できない 様々な遊びを展開していた。これら追跡調査の分析結果は、 他のタイプの戸外活動ルートを対象 とした追加調査を行い、次報以下に述べる事としたい。 謝辞  本研究の一部は、平成27年度古川医療福祉設備振興財団研究助成による。また、調査を行う 上で貴重なご意見をいただいたNPO法人家庭的保育全国連絡協議会の鈴木道子氏を始め、アン ケート調査にご協力いただいた各施設の方々、研究に参加した帝塚山大学卒業生の黄瀬綾さん、 金本琴巳さんに厚く謝意を表したい。 参考文献 1)辻川ひとみ・中野明:全国の自治体における家庭的保育制度の実態 , 家庭的保育施設の計画と運営に関する建築計画的研究 その1, 日本建築学会学術講演梗概集 , pp.321-322,2013 年 9 月 2)辻川ひとみ・中野明:家庭的保育施設の平面構成と保育室の使い方に関する研究 , 帝塚山大学現代生活学部紀要 11, pp.45-54, 2015 年 2 月

参照

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