最近、いじめによる若者の自殺のニュースがしばしば聞かれます。こうした事件を防ぐた めにも、いじめをなくしていくことは喫緊の課題です。果たして、いじめをなくすことは可 能なのでしょうか。そのためには、学校関係者だけでなく周りの大人も含めて皆でいじめ問 題に関わっていくことが重要です。では、なくすためにどのように取り組むべきなのでしょ うか。また、知っておくべきことは何なのでしょうか。 まず、いじめとはどんな行為をさすのでしょうか。実は、いじめの定義は決まったものが あるわけではなく、様々な定義が存在します。また時代とともに何度も変わっています。講 演では何がいじめであるのかを、具体例を踏まえながら考えてみることから始めましょう。 いじめと聞くと、自分はそんなことをしたことがない、するのはよっぽど問題のある子ど もに違いないと思われるかもしれません。しかし、いじめられたことが全くない方や、いじ めを見たことすらない方はいないのではないでしょうか。それだけ、いじめはありふれたも のでありますし、また知らず知らずのうちに自分がいじめている側の加担者になっている かもしれません。またそうでなくても、いじめられた側を助けることができず、傷つけてし まっていることは決して少なくありません。 いじめの構造や事例について知ることで、どんな対応をすべきでどんな対応が間違って いるのか、どういったことをすべきでないのかを学ぶことができます。また同時に、いじめ による精神医学的な影響について知っておくことも必要です。いじめは将来の精神的な健 康にも影響を及ぼします。若年者の抑うつについて調ベると、過去にいじめを受けていた体 験があるという報告があります。 いじめをなくすには、たゆまない努力が必要です。でも自分だけが頑張ろうと思ったり、 闇雲に注意したりしていてもうまくはいきません。それには理論的できちんとした体制作 りが必要です。いじめは、他人事としてとらえていては解決につながりにくく、積極的な関 与が必要なことが理解して頂けると思います。 いじめを防ぐために知っておくべきこと 名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野 講師山田敦朗
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