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参 考 図 書 紹 介
養蜂 と-チ ミツ狩 りの世界の歴史
Cl・ane,E:TlleWorld Histol・y OfBeekeeping
andHoneyHunting.GeraldDuckworth&Co.
Ltd.,London.682pp.1999.ISBN:0715628275
巻頭 に 「この本を ミツバチの研究 を続 けてき
た人 々とその記録 に捧 げたい」で始 まるCrane
博士の 「養蜂 とハチ ミツ狩 りの世界の歴史」 と
題す る10部, 54章 と 2編の付録, 53の表 と
525の図,多数 の精選 された引用文献で構成 さ
れた大著が出版 された.
Crane博士 は,1983年 に実際に見聞 した,あ
るいは収集 した資料か ら人間 と ミツバチの関わ
り合 い,養蜂の歴史を紹介 した 「古代養蜂」を出
版 した.さらに35年間の国際 ミツバチ研究協会
(IBRA)会長 としての経験 を もとに,1990年 に
発行 した「ミツバチと養蜂-基礎 と応用 ・世界の
資源-」は,ミツバチ科学,養蜂 に関す るデータ
を分か りやす く提示 した名著 となっている.本
書 はその続編 と言え るもので
,
「古代養蜂」発行
後 に集 め られたデータを取 り入れ,生活の糧 と
しての ミツバチの飼育や, その成功 した飼育方
法について,世界の歴史 について紹介 している
第1部 は2章か ら5章で,世界中の蜜を貯蔵す
る昆虫の生態 と習性 に関す る基本的な情報 を扱
っている.第2部 は6章か ら13章で,人類の 日和
見的なハチ ミツ狩 りに関す る古代狩猟民族 の内
容である.第3部 は 14章か ら17章で,所有 して
いた り,手 をかけて守 って いた巣か らハチ ミツ
を採集す る歴史 についてふれている.第 4部 は
18章か ら19章で,アジアの開放空間 にある蜂群
の管理 と飼育 についてであ る. 第5部 は 20章
か ら32章 で,巣箱 を使 った養蜂発展 の歴史 を
解説 している.おそ らく飼 う目的を持 って巣箱
が造 られたのは,紀元前5000年 か ら3000年
の問のエジプ トで,使用 された固定巣板式巣箱
による伝統養蜂の歴史を詳 しく述べている,第
6部 は 33章か ら37章で,伝統的養蜂 と可動巣
枠式養蜂 による養蜂実践の歴史を追 っている.
セイ ヨウ ミツバチが土着種 と して発見 されてか
ら現在 まで, どの
よ うな巣箱であろ
うと養蜂 は常 に行
われて きた.33章,
34章 は養 蜂 家 が
ハチに刺 され るの
を 防 ぐた め の 面
布,燥煙器の変遷
について述べ られ
て い る.36章 で
は,1600年代 にセ
イ ヨウ ミツバチが南北 アメ リカ大陸に導入 され
た時の運搬方法, さらにセイ ヨウ ミツパテが世
界中に持 ち込 まれた詳 しい年代が まとめ られて
お り,興味深 い.第7部 は 38章か ら40葦で,
1851年 に ラングス トロスが最初 に可動式巣枠
を使 った実用的で,近代的な巣箱 を考案 した歴
史を踏 まえ,巣箱 を用 いた養蜂の発展 を解説 し
ている.第8部 は 41章か ら45章で,可動巣枠
式巣箱 による養蜂で,世界中でのセイ ヨウ ミツ
バチの管理方法 について述べている.第9部 は
46章か ら51章で, ミツバチ生産物の歴史 につ
いてである.-チ ミツは常 に第-の ミツバチか
らの生産物であ り,食糧 としてまた薬用 として
用 い られ,多 くの地域ではハチ ミツ酒が生産 さ
れた ことなどにつ いて解説 して いる.第10部
は52章 か ら54章 で, ミツバ チが何 を集 め何
を生産 しているか, また ミツバチの生態 につい
ての科学的研究の発展 を追 っている. また世界
中の宗教で, ミツバチ,-チ ミツ,ハチロウが
果たす信仰上の役割 に関す ることが述べ られて
い る.付 録1で は,紀 元 前 2000年 か ら紀 元
1600年 までの中国 にお ける ミツパ テ,養蜂,
ハチ ミツ,-チ ロウに関す る文献,付録2では
29かEgの歴史的 な内容 を含 む養蜂博物館 の リ
ス トが掲載 されている.
ミツパテがいかに,人類 と密着 して きたかを
感 じさせ る一冊である. (吉 田 忠晴)
待 ちに待 った日本蜜蜂飼育法の書
吉 田忠晴▲ニホンミツバチの飼育法と生態.玉川大
学 出版部 ,東京 135pp.2000,ISBN4-472-40081-2.
定価2000円.
長年,玉川大学でニホ
ンミツバチの研究を して
きた著者が 日本全国 とア
ジアの伝統的な養蜂を参 ・',''FI.・-1'Jrn J
考に,著者 自身 も試行錯
誤 と失敗を繰 り返 しなが
ら得た貴重 な経験 に基づ
いて書かれた本である.
内容 は, 10章 に分 け られ付録 にセイ ヨウ ミ
ツバチの飼育法が付いている. Ⅰ章のニホンミ
ツパテの魅力では,「ニホ ンミツバチ」って ?に
答え る形で この蜂 を紹介 し,「人間 との知恵 の
駆 け引 き」 として, 日本の四季に適応 している
が この蜂を飼 うことの難 しさを説 いている.Ⅱ
章の養蜂の歴史では, 日本書記 の時代か らの技
術が現在 まで引 き継がれ,アジア各地に共通性
があるという驚 くべき事実が語 られている. Ⅲ
章の生態,Ⅳ章の飼育法 と採蜜では,写真 と図
が多用 されどんな初心者 にも充分理解できる内
養蜂 ・来 た道への郷愁
中村源次郎 :養蜂 来た道への郷愁.(樵)秋 田屋,岐
早.205pp.(自家版)
私が,秋田屋本店に初めて伺 ったのは,昭和
26年8月だ った.岡田一次先生が 「卒業論文を
纏める前 に, 日本近代養蜂の先駆者の方 々のお
話を,岐阜へ行 って聞いてきなさい」 とのご指
示 によるものである.
戦災を免れた秋 田屋本店 は,木造の立派な旧
家だ ったことを鮮明に記憶 している.源次郎氏
は私 より3歳年上で,同志社高等商業学校在学
中に学徒動員で中国に渡 られ,終戦後,新制の
同志社大学 に復学 されていた.しか し,22年お
父様のご逝去 により同志社を中退 して,秋田屋
本店の代表に就任 されていたので,お父様が 日
本の養蜂産業発展のためにご苦労 されたこと,
その遺志を継 ぎ頑張 る覚悟を,顔を紅潮 させな
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容 となっている.また,著者 らが中心 になって
考案 し,すでに多数の飼育者のいる AY巣箱 と
可動式巣枠での飼育 と遠心分離器を用いての採
蜜方法が紹介 されているが, これは,一匹の ミ
ツバチを殺致することを も嫌 った著者の恩師で
ある故岡田先生のお教え と推測 される.Ⅴ章の
野生の営巣場所,Ⅵ章の各地での伝統的な飼育
と採蜜では, 日本各地でた くましく生 き抜 く彼
らと,特色を持 った飼育 と採蜜の中か ら,特 に
紀伊 と対馬での蜂を殺 さない方法が紹介 されて
いるが, これが著者の研究の出発点かと思われ
た.Ⅶ章のニホンミツバチの新たな利用では,
セイヨウ ミツバチと比 して低温での訪花性 と長
時間採餌活動を生か してのハ ウスへの導入につ
いて語 られている.Ⅷ,Ⅸ章では,世界中の ミ
ツバチとアジアの養蜂を紹介 し, 自宅の壁 に空
洞を作 り,内側か ら巣蜜の一部をいただ くのを
羨 ま しく思 ったのは私一人だろうか.X章 は,
ニホンミツバチとセイヨウ ミツパテの相違点を
述べてお り,大敵のオオスズメバチとの戦いに
勝利する日本丸に拍手を送 りた くなる.
付録セイヨウ ミツバチの飼育法を見て, これ
か ら養蜂を始める蜂友の来た らんことを願 うフ
リッシュ博士の弟子の一人である.(人見 吉昭)
が ら話 していただいたことを思い出 し,感慨無
量で本書を一気 に読 ませて もらった.
本書 は,波潤万丈の半世紀を養蜂一筋に生 き
た源次郎氏の 「自分史」であり 「日本養蜂の戦
後史」 とも言える貴重な ものである.正確で,
詳細 な記録をもとに, 日本養蜂の歩み,次々注
目されてきた ミツバチ生産物 (本書では,伝統
的に蜂産品)の様子,新 しい病害虫に苦 しみそ
の対策への苦労,数多 くの国際会議への出席 と
国際交流,新養蜂器具の開発, ミツバチとその
産物 の PR,そ して最後 にこれか らの 日本養蜂
について述べ られている.
常 に 「ミツパテへの感謝」の気持 ちを持 って
書 き続 けられた本書の後半 は, 平成 10年 1月
手術の後,体力の衰えを気力で支えなが ら年末
までに書 き上 げ られた由である.平成11年3
月2日他界 された著者 に心か ら敬意を表 し,ど
冥福をお祈 り申 し上げたい. (酒井 哲夫)