• 検索結果がありません。

竹崎孜著『生活保障の政治学 スウェーデン国民の選択』青木書店,1991

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "竹崎孜著『生活保障の政治学 スウェーデン国民の選択』青木書店,1991"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

長 野大学紀要 第13巻 第2・3号合併号 22ト224頁 1991

書 評〕

竹崎 孜著『生活保障の政治学―スウェーデン国民の選択―』

青木書店

,1

9

9

1

.1

7

3p

p.

資本主義社会 におけ る社会福祉 は基本 的 には 「慈善事業」である。 その基本性格の範囲で経済 が豊になれば福祉の量 と質に変化が生 じ、経済の 悪化 と共に福祉 も縮小す る。 これが歴史的にみた 一般法則 といえる。 ところが、生産部 門は極めて 資本主義の原則に則 りなが ら、分配領域 には社会 主義的政策 を取 り入れて きた国々がある。 それ ら がスウェーデ ンであ り、デン マー クである。 それ だけに、スウェーデ ンやデンマー クの高齢者福祉 政策はまぶ しいほ どの姿 をもってわれわれの前に 現れている。 なかで もスウェーデ ンは、福祉 国家 モデルの代表 として、 また、 ノーマライゼー ショ ンの考 え方 を早 くか ら取 り入れている国 として、 われ われが 目指すべ き指針 を組 み取 って久 しい。 た とえば 、わが 国 におけ る昨今 の高齢者対策に 掲 げ られ てい る 「ね た き り老 人ゼ ロ作戟」や 、 保健 ・医療 と福祉サー ビスの連携問題、訪問看護 とホーム-ルパーに支 えられ る在宅ケア重視 の方 向、福祉関係8法の改正 による在宅 と施設福祉サ ー ビスの市町村-の一元化、従来の依存的な老人 ホームか ら自立生活 を確保す る高齢者の住宅 とし ての 「ケア付住宅 (ケア- ウス)」等々の動 きは、 まさにスウェーデンやデンマー クの先進事例か ら ヒン トを得 て導入に至 ったもの といえる。 そ もそ もスウェーデンの社会福祉の特徴 とは何 か ? 一言で云 えば、 それは税金によって高齢者 や障害者、子供 のい る家庭-の援助や医療、教育 を広 く、国民一般 を対象に高めてい くとい うもの である。そのために、高福祉、高負担 (重税) ち 特徴 に指摘 されている。周知の ように従来、社会 保障のタイプには民間保険中心、 自助努力、 自己 責任 を志向す る 「ア メ リカ型」 と、税金中心、社 会構成員による共同、連帯責任 による生活防衛方 式 を公的制度 に代用 させ る 「イギ リス ・北欧型」

Kiyoko Hagiwara

の二種類があるといわれて きた。 この ような通説 か らす ると、スウェーデンは後者の 「イギ リス ・ 北欧型」に入 るのは当然である。 しか し、イギ リ スでは、サ ッチャー政権以来、福祉政策の民営化 が進め られてお り、その意味では 「イギ リス ・北 欧型」 として一括 りす るには無理が生 じて来てい る。 では、 イギ リス とスウェーデンの福祉 を比較 し た場合、決定的な違いはどこか ? また、世界で 最 も税金の重い国スウェーデンでは、国民が どう 重税 を納得 し、なぜ政権党である社民党の福祉政 策が国民か ら支持 されて きたのか ? これ らに対 す る答 えは朝 日新聞 ・週間 『アエラ』

(

1

9

8

9・1

1

7

号)に掲載 されたウー メオ大学講師 (社会学)、 ステファン ・スヴァルフォシュ氏のインタビュー 記事か ら読み取 ることがで きる。 それによると、 「英国の福祉 は、 どちらか といえば貧乏層のため の福祉、貧 しい人々-のチャ リティーです。 とく に近年はその傾 向を強めて米国型に近づ いていま す。 どこの国に も行政の非能率や官僚主義 を非難 す る声はあるのですが、スウェーデンはそれの改 善 を求め るのに対 して、英匡=まその不満 を福祉削 減支持票に結 びつけた点に特徴があ ります

「見 逃せ ないのは、英国には経済的に も社会的に も底 辺に沈んで政治に興味 を示 さない層がで きている こ と。 それは投票率の低 さに表れ ます。結果 とし て減税 とか福祉の民営化 とかの政策が支持 され ま す。持て る者のエ ゴイズムをテコに して政治が動 いているといえます。スウェーデンは歴史的に労 働組合が強 く、連帯が強調 されて きました。 どん な社会 も、エ ゴイズムの道、連帯の道の どちらへ も進む可能性があるし、行政への不満 を政治家が 利用す る余地 もあるとい うことが、私の調査 で も よ く分か ります」 と。 イギ リスの福祉 とスウェー - 1 6 9

(2)

-2

2

2

長野大学紀要 第13巻 第2・3号合併号 1991 デンの福祉 の違 いが明瞭に語 られていると同時に、 スウェーデン では、問題が生 じた場合、連帯の道 を選択す るこ とによって克服 して きた とい う。 もう一つの疑問である、国民が重税 をどう納得 しているか、 とい う点。一般的にスウェーデンの 国民は、重税 は厳 しいが、支払 った税金 と同程度 かそれ以上の見返 りが具体的に、見える形である ので 「ま-、 よしとす るか」 とい うのが大方の意 見のようである。問題は、裕福層が高福祉、高負 担に賛成す るか どうかであるO この点について上 記のスヴァルフォシュ講師は次のように述べてい る。「金持 ちであろ うとも福祉 の恩典 にはあずか る、 ということを忘れないで ください。高い給与 を貰って る人が病気 で倒れた として も、その高い 給与がほぼ保障 されるのです。 この国の福祉は、 F助けが必要』 とお上が判断す る限 られた人々に のみ行 われ るのではない。 もし裕福層に恩典がな い とす ると、妬みの構造がで きて、貧乏層の貰い 分 も一層少 な くなって しまいます」 と.引用がや や長 くな りす ぎたが、アメ l)カ型 と福祉輯家型の 違い、同 じ福祉 国家型 といわれて きたイギ リス と スウェーデンの違い、高福祉、高負担型 を選択 し てきたスウェーデン国民の理由がそれ らのインタ ビューか ら明 らかにされた と思 う。 この ような特徴 を持つスウェーデンの社会福祉 が一体、いつか らどのように造 られて きたのか ? 現状 は どうなってい るのか ? 今後 の課題 は何 か ? といった諸点 を分か りやす くまとめた書物 が本書 F生活保 障の政治学- スウェーデン国民の 選択-』である。著者はス トックホルム大学院修 了後、現在 は同大学客貞講師、鹿児島経済大学教 授であ り、 スウェーデン研究者 としてこれ までに も数多 くの著書、論文 を発表 してこられた。私が 著者の書物に初めて出会 ったのは、Fスウェーデン の実験』 (講談社

、1

9

8

1

年)である。新書判に収め られていたスウェーデンの福祉の現状 と男女平等 政策の実施、国民の高い政治参加状況 とそれを促 す社会 システムの構築等々、当時の私 には驚 きが 先にたち、わが国 と重ねあわせて読むほ どの知識 も余裕 もなか った記憶がある。 ただ、国が進む方 向を意識的に 「実験」 してい く姿に 「す ごい」 と 思 った。やや大げさにいえば、人類 として、人間 としていかなる人 も幸せ に、安心 して生 きてい く - 17 0-には社会 として、国家 と して ど うあ るべ きなの か ?を社会 システムや政策 を通 じて骨 に 「実験

している国 としてスウェーデンが映 った。 それ以 降、わが国では思い もつかない生活上の 「実験

が次々 と紹介 され るにつれ、 冒頭に記 したように、 福祉 を進めてい くうえでの一つのモチリレ、比較対 照の姿 として国民は もとよ り、私 自身 も大 いに気 に掛か る国 として現在に至 っている。 しか し、 スウェーデン 等の福祉先進情報や研究 成果が紹介 されなが ら、なぜ わが国の福祉状況は 「実験的」 な変化 を遂げないのか ?超高齢化社会 や長寿社会が 目前に迫 っているとい うのに、なぜ 国民の福祉が緊急の政治課題にならないのか ?こ の ような疑問は、そ もそもわが国で通常使 われて いる福祉概念では解けない問題 なのだろ うか ?そ れな ら、逆 に、スウェーテ㌧′ではなぜ世 界の国々 か らモデル とされ るような 「実験」が可能になっ ているか を学びたい と思 ったのが本書 を取 り上げ たきっかけである。読み終 えた感想 を一言でい う な ら、私 の疑問に十分答 えて くれたばか りでな く、 わが国において もぶつかっている福祉課題 に対 し て、考 え方の方向が きちん と示 されていたこ とは 今後の研究に とっそ参考 になる点である. ここで簡単に本書の構成 を目次にそって示 して お こう。 まえが き、序章につづ いて第

1

章 生活 安定 と向上の仕組み (1 スウェーデ ン社会 と家 族

、2

社会政策 とはなにか

、3

生活保障の歴 良) 第2章 保障の法律 と制度 (1 保障制度 の特色、 2 法律、 3 保 障の実際、 4 高齢 と 生活維持

、 5

親族介護に対す る社会的再評価、 6 財政 と所得再分配) 第3章 政治 と行政の 役割 (1 国民の政治理解力 と参加、 2 ヨコ割 の政治 ・行政責任

、3

税金 をどう負担す るか、 4 ノーマ ライゼー シ ョン、 インテグレー ション とは

、 5

民間活力 とその範囲

、 6

国際化す る 社会保障) 第

4

章 将来への展望 (1 「量

の社会政策か ら 「質」の社会政策へ、 2 職月 を どう確保す るか

、3

六時間労働 と社会サー ビス 参加義務制 の構想) 終章および資料 (スウェー デ ン社会保 障の概要) 目次 を見れば分か るように、本書は社会保障や 社会福祉制度の単 なる現状分析 ではな く、国民の 生活が政治 との関わ りで どのように保障 されて き

(3)

萩 原清子 (書 評)竹崎 孜著 『生活保 障の政 治学- スウェー デ ン国民の選択Ii 223 たか を記 した ものである。 しか も、そのような政 治はひ とえに国民 自らが選択 してい る点が強調 さ れている。以下 では、各章 ごとに順 を追 って論点 を紹介 しなが ら随時 コメン トを付 してみたい。 まず 「まえが き」では、 なぜ本書がスウェーデ ン社会の メカニズムの紹介 を行 ったかが述べ られ る。人々の生活の向上や安定 を保障す る対策に年 金や社会保険の重要性は言 をまたないが、「根底か らの改善への近道がなん といって も社会機構の リ フォームであるだけに、社会のあ りかたや社会 と はなんぞやが常に問われているのであって、社会 保障制度や形式などはむ しろ二の次で しかない

「とくに社会 目標 に したが う計画 と実施の立て役 者が政治であるだけに、国民の政治判断 と政治行 動が妥当か をい まいちど考 え直すのが先決 となっ てこよう」。では、政治に対す る国民の妥当な判断 と行動 はどのように して得 られ るか ?著者はその 決め手 となるは 「社会教育の徹底」に奉るとい う。 そ して個人 と社会 とのつ なが りをあらわす一人ひ とりの社会意識 を疑 ってみ るこ とが まず必要 だ と い う。 したが って、個々の施策 を問題 にす るよ り 個 人生活 と政治が直結 しているか どうかのほ うが 生活保障 を豊かにす る鍵 であるとい うのが著者の 見方であるO スウェーデンと日本は 「違 う」 とし て切 り捨てるにはあま りに基本的な視点である。 序章では、いまや福祉先進国はイギ リスか らス ウェーデンへ移 りつつある背景が述べ られてい る。 高度の社会保障が成立す るには、厚い中間所得層 の形成が不可欠であ り、所得格差が開いたままで は国民全体 の生活保 障は維持で きな くなるのに、 イギ リスは経済政策の不調に加 え所得再分配 を怠 ったため、 多数の失業者や貧 困者が続出す るとと もに社会保障の後退が 目立 ち、 もはや社会保障先 進国 とは見 られていない。 それに引 き替 え、 スウ ェーデンは、社会保障で公共財が重荷 であ りなが ら経済発展 に成功 し、失業率 も他 国よ り低 い点等 か らヨー ロッパ諸国やアフ リカ、中南米諸国の開 発途上諸国か ら関心が寄せ られているとい う。 第

1

章 では、現代 のスウェーデン社会 は 「大衆 運動

「資本主義経済

「公的消費政策

「国民 コン センサス」によって経済政策 と社会政策のバ ラン スを巧妙 に とりなが ら国民の生活安定 と向上の仕 組み をつ くって きたことが述べ られてい る。 しか し、 ここで注 目され ることは、スウェーデンでは 社会政策 ない しは社会保障制度 とい う言葉は使 わ れ るが、「福祉社会 ない し福祉 国家が 日常用語 とし てな らば見受け られ るものの、福祉政策 と呼ばれ るものは政治用語 として も社会用語 として も存在 が見 られない」 とい うことである。では、なぜ福 祉政策がな くて、社会政策や社会保障制度の用語 が使 われ るのか。それは 「スウェーデン国民は政 治 を具体的対策の手法 とみて、非現実性や抽象論 を嫌 うところか ら、具体性のない難解 な概念 とみ なす福祉 と政治 ・政策 を最初か ら分馳 させ ている か らである」 と。つ ま り、生活問題の根源か らの 対策 (健康 であ りうる条件の整備 と労働 -所得へ の機会確保) さえ持てば一応の生活維持が出来 る のであ り、それには社会政策 とい う総合名称が与 えられている。社会 をまとめて動かすのは政治で あるだけに、対策が急務 な諸問題 に国民がば らば らな捉 え方 をしていては、 コンセンサス としての 意見統一が難 しく、結局は生活改善 とはほ ど遠い ところで足踏みす ることになって しまう。 したが って、定義や概 念が不鮮明な福祉政策 とい う用語 は使 われない とい うのである。 なるほ ど、スウェーデンの政治スタイルは 「妥 協の政治

「コンセンサス ・ポ リティクス」 (岡沢 憲芙著 『スウェーデンの挑

』1

9

9

1

年岩波書店) といわれ るように、極めてプ ラグマティックを伝 統 を持 ち、故に結果志向が強 く、「空虚 な神話や具 体性 を欠いたロ役束などが入 り込む余地はい」(同 上)。 ただ し、 『スウェーデンの挑戦』には 「福祉 政策」 とい う用語が使 われているところか ら、や や問題が残 る記述 とも思 える。 第2章 は、社会政策の基本理念 として民主主義、 平等、連帯、安定が掲げ られ、社会政策の機能 を 保障す る制度の特徴 として、一般的方式、個人主 義、制度の統合性、制度構造が簡単、ニー ド中心、 公的サー ビス主義、地方分権、効率性指向が挙げ られている。 これ らの特徴が 「普遍的」な社会保 障制度 を形づ (っているといえる。 なお、公的サー ビス主義 を採 っているスウェー テ㌧/にあ りなが ら、親族介護、私的介護が社会的 に再評価 され始めているが、 これは、あ くまで も 公的サー ビスの 「バ リエー ション化のひ とつ」で あって、家族介護が当然 とす るわが国の風潮 とは -

(4)

171-224 長野大学紀要 第13巻 第2・3号合併号 1991 根本的に異なることに注 目してお きたい。 第3章では、政治 と行政の役割 とい うことで、 社会民主党の長期政権 の秘密、国 と地方 自治体 の 関係が ヨコ割の政治 ・行政責任の組織 で出来てい ること、国民貯蓄率 は低 く、社会保険料は雇用主 負担であること、税金は名 目税率 で支払 うのでは な く、実質税率 で支払 うこと等が分か りやす く説 明されている。 日本の福祉状況 との関係 で特に気 付 いたテーマに 「民間活力」の問題がある。 スウ ェーデ ンには、 ボランティア活動はほ とん ど皆無 の状況にあ り、 また期待 もされていない。 それは 人材不足に加 え、「国民の生活向上 ・安定の基本が ボランティア活動 であってはな らぬ との社会原則 を厳然 と貫いているか らである」。ただ し、近年、 小規模 なが ら続 出 しつつある生活保障分野-の民 間企業や組織の参入は、「計画、実施、財政にかん す る公的責任の切 り捨てや他への責任転嫁ではな くして、あ くまで も民間-の業務委託」であると いう。 この点 も誤解 した り、早合点 してはならな い動 きであろう。 第4章、「将来への展望」では 「量」の社会政策 か ら 「質」の社会政策- とい うことで、社会保障 がいまや第三段階に入 ったことが記されている。 第一段階は貧窮者救済に 目標が置かれた段階、第 二段階は国民の生活総体 を均等水準に まで向上 さ せ る段階、そ して第三段階は、「量」か ら 「質」の 社会政策への移行期。つ ま り、「今後はどれほど資 金 と人月 を増や した として も政策効用のほぼ限界 線 を突破 して しまった以上、 これか ら伝統に拘束 されない斬新 な発想が新次元への移行 に とって重 要になって きた」時期 とい うのである。 しか し、 「質」の政策 を実施す るには 「生活の質」 (クオ リ ティー ・オブ ・ライフ) とは何かの定義づけが困 難であるだけに暗中模索 を繰 り返 してい るとい う。 わが国の場合、第一段階、第二段階いずれ も達成 途中にあ りなが ら第三段階の社会的要望 も取 り入 れなければならないだけに、 どうして も目先の対 応に追われ る傾 向は否めない。問題になる点であ る。その他、職月の確保問題 もスウェーデンにお いて深刻 である。社会保障関係 に働 く職員はすべ て公務員 なのになぜ不足す るのか。その理由 とし て、公共職員の社会的ステー タスが これ まで低 く、 まわ りか らの理解 もさほど無かったか らとい う。 - 1 72-ステー タスを左右す るのは賃金 よ りも働 きやすい 職場づ くりが大切 とい うことが明 らかになった。 つ ま り、責任のない仕事のさせかた、頭 ごな しの 決定、他人に指図 され るばか りの職場環境 に不満 が集 まった とい う。 最後に終章。著者はつ ぎの結論で締め括 る。「サ ー ビスを要求す る住民 とサー ビスを用意す る行政 体 のあいだに介在す るのは政治であるだけに、サ ー ビス形成についての最終責任は両者にあるとい えるであろ う。 とくに、政治や行政の水準 を決め るのは、住民みずか らの 自覚 と選択にほかならな い」 と。 まさに指摘の通 りである。 日本の福祉はやや もす ると狭義の制度 ・政策や 技術的改善 に終始 しがちであるが、 もっと政治や 行政のあ り方に住民みずか らコッ ミッ トしてい く 意識変革 こそ問われている。 その意味で本書か ら 学ぶ点は多々あ り、わが国の福祉が直面 している 課題 に適切 な指針 を与えて くれた良書であ る。 なお、周知の ように去 る

9

1

5

日のスウェーデ ン総選挙 で、ほ

ぼ6

0

年に もわた り指導的役割 を占 めて きた社民党政権が敗北 した。 これは、スウェ ーデン型の 「高福祉、高負担」に国民が ノーのサ インを送 った出来事 として各マスコ ミの話題 を呼 んだが、わが国のスウェーデ ン研究者 をは じめ竹 崎氏 も指摘 しているように、 この政権交代 は 「社 会保障の縮小や無益 をとなえて保守陣営が人気 と りをした と考 えるのはまった くのお門違 いであ」 り、た とえ保守、中道四党連合 に政権の座が移 っ た として も 「国民全体 の生活向上 と安定 を意味す る固有の社会保障を根底か ら覆す政治が行 われ る 土壌は もはや 〔スウェーデンには〕存在 しない」 (10月17日日本経済新聞)。この点か らも、スウェ ーデン型福祉 は世界的な改革の嵐の中で挫折 した と即断す ることは危険であると同時にこの事態変 化 によ り本書の価値が下が ることは些か もないこ とを書 き添 えてお きたい。 (はぎわ ら きよこ 教授) (1991.10. 9受理)

参照

関連したドキュメント

国民の「知る自由」を保障し、

第四。政治上の民本主義。自己が自己を統治することは、すべての人の権利である

はさほど気に留めることはない。②は,制度化が低 水準にあることは政治指導者や政策当局者が意識的

Ⅲ期はいずれも従来の政治体制や経済政策を大きく転

[r]

 過去の民主党系の政権と比較すれば,アルタンホヤグ政権は国民からの支持も

学的方法と︑政治的体験と国家思考の関連から︑ディルタイ哲学への突破口を探し当てた︵二︶︒今や︑その次に︑

供することを任務とすべきであろ㌔そして,ウェイトの選択は,例えば政治