C A N C E R 6
(1
997) , p, 3 - 73
カニ類幼生が食べた微細藻類の量を推定する試み
小西光一 ・坂見知子 ・藤浪併
i
一郎
は じめに カニ類幼生 と微 細藻 魚介類の種苗生産の現場で、は浮遊幼生の餌とし て,微細藻類が広く用いられており,甲殻類でも 動物性のワムシやアルテミアの他 に,植物性の初 期餌料とし て利用されている. たと えばカニ類(広 義の) ではタラバガニ (Paralithodes cωntschaticus ) の天然、幼生の肖 内存物に詩藻が含まれることが報 告 さ れ (丸)11. 1933).その活用 がj : i : 目されて来た . 当初J
は タ ラ パ ガ ニ の 幼 生 飼 育 に 対 し て , Skeletonem a腐 の 時 藻 類 の 添 加 が 試 み ら れ た が有 効ではなかった. しかしその後の,iA
験研究により Thalassiosira属のfhjむのf有効 で、あることが, ケガ ニ ( Erimacrus isenbeckii ) も合めた冷水'1;[ーカニ頒 のyJJ
生において 確 認さ れている(fi
凹. 19 5 9 ; 山 本ら, 1982 ; 長合ら ,1983 ; 日本.1:)(1:;"; 漁業協 会, 1983) , この様な中で,よ り効率 的 な税市生政技 術への恭礎的知比として,これらの糾料の有効性 の量的な把躍が必要である . しかしながら, 幼生 がどれだけの微細藻の細胞を11"
依時間内に摂食す るかについて量的に言│る実際的な方法はない ところで,球藻をはじめとする微細泌類に含ま れ る色素クロロフィルa
は特定の波長光 に対して 赤色の自主主蛍光を発するので( 同 1 ), この光量 の訟を鉱 山することがW
,来 る (Jeffery ,1980 など を参HH)
. この技 法を幼生に1,[ : ,用すれば,休 │付に 入っているクロロフィルa
誌を折僚にして ,摂食 い また,クロロフィルaは不安定な物質で、必細 胞が峡れればす ぐに分解 されてフェオ 色素に変わ るので, クロロフィ ルa とフェオ 色素との 比を制lくooich i K O N I SIII, T o m o k o and YlIichi ro
A n attcm p t to estim ate the amoll llt of m icroalgae ingestion by crab lan 'ac
図1 餌料珪藻 (Thalassiosira sp ,) の顕微鏡写真. 上が通常光で, 下が蛍光 ( 6励起光) による同 ーのものの生体写真: 生 きている 細胞 はあざや かな赤信色に光っている . べ れ ば,取り込まれたJ 1ニ泳ーがと苧の程度分解 されて
1t
についてこのアイデアカf使えるかどうか,いく4 カニi'l'!幼'1が食べた 微細謀類の
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を-11主1とする試み 取 り込んだク ロロフ ィル は 一 部 が 分解 して フ ェ オ 色 素 に 色棄を蛍光光度計 で定量 珪藻の細胞はクロロ フィjレa とc を含む (ただしcは非常に少ない) 図2 スワイガ ニ幼生による珪藻摂取量の測定 (概念 図) 探 って みた . 実験のあらまし 今 回は, ゾエア幻)1'1にf七泌を与えた後に生体 と りJ:l'
I
,した糞塊 を 観娯し , 問 と時 泳一常 ! 立 についての 予備的実 験 を 行 っ た . 材料には冷水性のカニであり,かっJ t ; 渠の摂食 にPJ,Jして 知 凡 の 少 な いスワ イガ ニ (Chiunoecetes otilio ) を 選 ん だ . 幼 生 は 日 本 松 崎 漁 業 協 会 宮 津 事業場の抱月トl雌 か ら卵:
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した第1 ゾ エ ア お よ び, 使用海水はイL
佳0.4511m までのメンブランフィ ル ターにより1()1[次 ろ 過 し た も の で,水jRはU .C.
明1百1周Jt!Jは12 L : 12 0 とした. 給仰の手111((として は. H泌 を 伶 む ろj位iiザ!}く200m lの 人 っ た ビ ー カ ー に15 - 2 0例 体の ズ ワ イ ガ ニ 第1又は第2ゾエアを 人 れ,一定 時 間 静l有 した . そ の 後 , ゾ エ ア を ピ ペ ッ トでナイロンメ y シュ上に移し , ろ過海水で、洗 浄して体表I ( !Iに付者 し た 余 分 な 球 藻 を 落 と し , ク ロロフィルのJ
山出 をお こな った .クロロフィル
J
由出 はSuzuki and lshim aru (1991) に従い,ゾエア15 - 2 01国体 を容量 1.5 m lの遠心チュ ーブに入れて 全 体 を 氷 冷 下 で ホ モ ジ ナ イ ス し , こ れに 1.0 1日m川11川1叶lの ジ メ チ ル ホ ル ム ア ミ ド (例N. N一寸di川川m e引t hylf“
orm a この後にチューブを10.000rpmで5 分 間遠 心 し た 後 ,上澄み液をi
J!lJ定 府 の ガ ラ ス 試 験 管 に0 .6ml取 り , こ れ ら にD M F
を3.4 mlず つ 加 えて合体 を4.0ml にしてiJ1lJ定 ,iA料 とした . クロロフィル測定はターナー: 1t光光度iil
(ター ナーデザイン1 '1モ デ ル10-005 R J を肘 い, スピ ル リナの精製クロロフィルa
(キru
'e純茨 ,::t(株)製) を株N;
品 として 用 いた . ルa
の前k *
を測定後 1規定の塩円安を 1 - 2;向 加 えてこれをフェオ 色素 に 分 解 し て -,JIひ:
-
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J!l])'e し, 浴媒中のクロロフィルa
及びフェオ色素地肢を 求 めた . ゾエア 抽,
'1¥f,J¥料 の ク ロ ロ フ ィ ルa
およびフ ェオ 色素のid-は古谷 (1996) の方 法 に し た が って 算 出 し,これらからゾエア l倒{ 本当たりに換 $*:し 一部は 養 嫡研 究 所で 飼 育 し て 得 た 第2 ゾエアを 用 た. いた. 餌 と な る 珪 藻 は │司l
票岸事業場の地 先 海 水 に 栄養塩を 加 えて 珪謀類をI同町i'iさせ, そ こから分離 ・府 益 し た Thalassiosirasp を使用 した . また実 験 に │努しては対 数I目前向後期! の細 胞 を用い た. 県 食1I.'t 問 については6 U.HIIJ, 12川11¥1.
21-111問, 48川一間 の4 つ の │足 を 設 定 し .fh
Xi裕 度 は 海 水 1 ml 当たり1,100細 胞 とした , は, 治 水 1 ml 当 た り ゼ ロU J!I!q)(] .
100*1l11]包, 560純11胞. 1.1-00細胞. 5 .600キ111胞 の5尖 験 区 を 設 定し. 2-1 f1;¥ 間収 食させたH
必術肢は. IfllJ:R計計ー ーにろ 過 矧us
し,語、) ' e 顕微鏡ドでクロロフィ ル白 系蛍 光 を指 標 に細 胞 を日 │一数して 求めた. 今 回 分 か ったこと1
本の ,}j; 色に発光し て い る の で 確 認 ,'1'
,;fくたが,11
のrj'に ついては 不明 であった またゾエアか ら円の自1¥分'
1
時く 羽JlL
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して 検 鋭 したところ ,政 泌が維i認された. その 色 な って いた .Ufi
め, これら を検鋭すると,ほとんとごがJ1:泌殻で、あった . また I七ii'i'i投
Ijヒ
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後,清浄ろ j邑iirj:;j(中に放出 し. 48叫5 ゼロでもわずかながら蛍光が出ているのは,珪藻 の色素とは無関係な蛍光物質に よるものと 推定さ れる. これについては ,他の実験値から見れば実 際上は無視して良い値である. また飼育海水にお いてクロロフィル
a
だけでなくフェオ色素がほぼ 半分量 出ているのは細胞の死亡等で分解したこと によるものである . こればゾエアの側で見ると, クロロフィルa
の半分以上の値になっているの で,体外で自然に行われるよりも有意に分解が進 んだことを示唆している. これらの数値をゾエア 1個体当たりに換算すれば, f圭藻街度が100-500 細 胞 までは地加するが, 1,000細胞を超えるあた りから頭打 ちとな った. なお ,第2
ゾエアを用い た実験では,第lゾエアのおよそ4倍 以上の量を 取り込んでいた . 小西光一 ・坂見知l子 ・藤浪祐一郎 閉経過した時点での糞を採取して検鏡した所,蛍: 光は発しなか った( 図4). 今回 ,糞の大きさ ・ 数 ・含有I
圭藻殻につい ては, これらの関係を調べ るだけのデータ数は得られなか った. 時間 別の実験では ,24
時間までゾエアによる珪 藻 の 取 り 込 み は ほ ぼ 直 線 的 に 増 加 し て い た ( 図 3 ) . これより,次の珪藻密度による摂食実験の 摂食時間を24
時間と設定した . 次に密度別の結果について表 1 に示す. この表 でいくつか解説を加えると,海水中の時泌街! 支が 14 12 (附 @ O N b c ) 創 世 前 川 相 川 K J 1 司 d E 困 問 、担 詮 恩 F A H h 図3 10 日 問題点と今後の見通し 今回はゾエアが取り込んだ色素量を測定するに 官まり,まだ限られたデータではある. しかし摂 餅時間および1士
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楽評i
肢とゾエア体内のクロロフィ ル話ーに相聞が認められたことから,相対 前 として の照食量 :tf:
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定に L七、用が可能であることが示唆され た. ゾエアは1回に15-20個体を用いたが, ill
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J定 感度的にはこの数で充分であ った. またクロロフ ィル測定試料は,速やかに凍結するか,あるいは ズ ワ イ ガ ニ の 第 1 ソエ ア幼生による 珪藻 (Thalassiosira sp .) の色素 の時間別の 平均取 り込み量 4 8 4 2 36 18 2 4 3 0 4要取時間 12 6 6。
。
4 2、
J1 0 0 μm
1 0 0 μm
ズワイガ二 (Chionoecetes opilio )のソ エア幼生が排出 した業塊の顕微鏡写真. 左は高倍率のもの で, 珪藻の殻がはっきりと認めら れる . 右上 は排出直後の全体像で, 右下 は同じものの 蛍光写真: 糞の先端部で赤 く光っているのは ,排出 されてから付着した生の珪藻 図46 表1 ズワイガニ幼生の密度別の珪藻摂取実験 (値はすべ て平均値で, N Dは測定限界以下 であ ったことを示 す) iftil定1rl( (n g / m 1 ) I主謀W .'I支* クロロフィルa フェオ色ぷ ゾエア
。
1.15* * N D ゾエア 100 N D 24.11 ゾエア 560 23 .35 73 .61 ゾエア 1400 11. 76 78 .30 ソエア 5600 N D 99 .64 制I'tii,正水。
N D N D 飼育海水 100 7.71 N D 飼育海水 560 12.46 15.28 飼育i毎氷 1400 32.44 24.55 飼育海水 5600 94.7 1 91. 35 * * クロ ロフィルとは11A,関係な蛍光物' Cf
の ,,]"能性がある 溶 媒抽 出 後 に 冷ii A すれば:長WJIJ¥H栄作詞が可 能 な の で(Shimi zu and Ishim aru . 199 1), この点に関しては 尖用
ffri
でも 問 題 は な い と考えられる . ると ,l
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i ( り込んだIt藻 数 掃 の 絶I
・J
1f!(を$1;1¥
するこ とについては まだ多く のi課題 があると思われる. 今1
1 } ] の結果では,ゾエアにll
¥ i . り込まれた昨泌はほ とんどがフェオ 色 素に分解しており ,ま たj)I,','1,さ れた9 i ; 沈はほとんど蛍光を発しなか った . これら の結 呆からは,fl
泌 の ク ロ ロ フ ィ ル が ゾ エ ア に 取 り込まれた後, ゾエアの消化 力 によって急速に自 家蛍 光 を出 さなし、段│ 術ま で 分解 されてしまい ,検11¥
が 出来 な く な っ て い るUJ 能性も 再 め な い . こ の 点は プランク 卜ン中の泌頒の測定 において も, カ イアシ類による 消 化 分 解 に 関 連 して 指 摘 されて い る (鮎 只 ・石 川, 1989 ; H ead and lI arri s. 1992 ; 鈴 木 ・半 田, 1996). したが って , 消 化 系 (胃) に取り込まれた 昨i*の色 素 が ど の 似 のU:i問 でどの 伎 の 段 階 ま で 分 解 さ れ る か と い う 点 に つ い て , 可 能 な ら ば In 袋があ る. また ,こ の 方 法 の 妥 当 性 を 形 態 的M[(li
か ら 検A
す る た め に , のfl
二泌 殻 数 を 計 数 し て み ることも 必 要 で あ ろう. ゾエアの 推 定 珪藻県食以 にJ,YJして , 時I
¥IJ別 と街 !支別 の 結果の聞には,I
,;Jじ条件 にも かかわらず, 絶 刈 仰 が 大 き く 異 な っ て い た が, こ れ については 使用 した幼生 の側 の生哩条件なども 加 味 して検討 ゾエアでの換tHr
(I (n g / zoca ) ノ1、1、,¥1' クロロフィ ルa フェオ色ぷ {r ;j -j-1.15** 0 .38 * * N D 0.38 * * 24.11 0.54 8 .50 9.04 96 .96 7.78 24.54 32.32 90 .07 3.92 26 .1 0 30.02 99.64 N D 33 .21 33 .21 N D 7.71 27 .74 56.99 186 .06 さ れ な け れ ば な ら な い . 餌II
の 与 え)j に つ い て 見 る と , ノト1111
) 日いた Thalassiosira sp は す ぐ に 飼 育 谷 慌 の 氏 に 沈下 し, 厳筒、には海 水中 の細 胞 密 度 を 表 していない可能性 があ っ た. よ ってM
らかの方法で海水をかく件し, 細 胞 が均等にi ' { . 遊している状態で投'j実験をする 必 要 があると 思 われる . た だ し ズ ワ イ ガ ニ の ゾ エ アは概し て氏出;
1
にとどまる{ 頃li'Jが 強 い の で , こ の ようにするとJ
呉食揺は少なく11'
,ると1
1.'. 像される . 以卜 の線 に,It
藻色素の蛍x . を利用したカニナR
題 点 が ク リ ア;1¥
来 る な ら ば よ 際的 な技 法へ の 発 )J<':がJUH
午IIU
とると ,iえよう . な お , こ こ で は'J
只
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む との汀栄を 用 い た が, パ うまでもなく11
の ", に取 り込んで分解されたことがそのまま.YJJ!
Iの栄 主と 成 長 に 結 びつ く か ど う か は , また日IJ なn来日u
で ある . 参考文献弘i ll ;だ志 ・イi' Jl".I,I';人 ,1989. カイアシ1 ' i [ の烈I t . '1物 ilIu f .ド足利fTl'l 1住J.
,1,谷 liJf, 1996.
校正 ・検,id のためのトルースデータ JI¥i.j ;マニュアル , 宇'rii1m ')C 'Ji .11 地球観ifllj データW
f.f
li 側先センター , pp . 10-25.Hcad. E. J. H. & l1arris. L. R.. 1992. M ar. Eじ0.1Prog. Scr ..
86.229-238
Pjl 1982. ハ ナ サ キ ガ ニ
のH(I'i'i'Is . %JU M/(!ijf, 11: 21-27.
小川光 ・坂見知子 ・藤 浪 祐 自
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