第2章 スイングトレード
(1)スイングトレードとは・・・?
短時間で小さな値幅を狙って少しづつ利益を積み重ねる取引手法のことを「デイトレード」と いいますが、短期間でデイトレードよりも大きな値幅を狙う取り引きのことを「スイングトレー ド」といいます。 短期間といっても人によって違いがあると思いますが、スイングトレードの指す短期間は、 「2日(受渡日)~2週間程度」が一般的かと思います。また、短期間で取引を完結させる必要 がありますので、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析(チャート)を重要視することに なります。 相場の変化をつかむ必要性はありますが、デイトレードのように日中の値動きに一喜一憂す る必要もなく、肉体的・精神的な負担も比較的小さいと思われます。 「短期投資にチャレンジしたい」という方は、まずスイングトレードに挑戦し、短期投資に慣れ ていただくのが良いと思います。スイングトレードが自身に馴染む手法であればそのまま継 続し、さらに短期間でのトレードを望むのであれば、徐々に期間を縮めていってデイトレード に切り替えるくらいの気持ちでいいのではないでしょうか? しかし、保有期間が長くなる分、「デイトレードよりも大きな損失を抱えてしまう可能性」もあり ますので、ロスカット(損切り)は必ず実行しなくてはいけません。 僕も短期投資でがんばってみよう!(2)スイングトレードのメリットとデメリット
どんなトレード手法にもメリット・デメリットは存在します。万能なものはありません。 スイングトレードの主なメリット・とデメリットを挙げてみました。【メリット】
①高度なファンダメンタルズ分析を必要としない。
②短期売買ではあるが、デイトレードのように相場に張り付く必要がない。
③短期保有であるため、地政学的リスクを軽減できる。
【デメリット】
①目先の相場観を磨く必要性があるが、意外と難しい(当たらない)。
②短期取引のため、一度に大きな利益を得るのが難しい。
③ルールを決めて機械的に行うのが好ましいが、人間は感情に左右される
ため、実践するのがなかなか難しい。
まず、メリットとして挙げられるのが「高度なファンダメンタルズ分析を必要としない」というこ とです。財務状態が極端に悪いなどの銘柄は短期投資でも選択すべきではないと思います が、「チャートを利用して値動きを分析することのほうがより重要」と考えられるためです。 次に挙げられるのが「短期売買ではあるが、デイトレードのように相場に張り付く必要がな い」ということです。基本的に「日単位」での売買となるため、1日の中での細かな動きはそこ まで気にする必要はありません。相場や銘柄は1日に1度チェックすれば良いと思います。 最後に「短期保有であるため、地政学的リスクを軽減できる」ことが挙げられます。地政学的 リスクを簡単にいうと、「戦争やテロ、財政破綻などによるリスク」で、ここには「天災」なども 含まれます。短期で取引をすることで、保有したままこれらのリスクに遭遇する可能性を低く することができます。 デメリット面では、特に①の「目先の相場観を磨く必要性があるが、意外と難しい(当たらな い)」が問題になってきます。スイングトレードに挑戦してもこの問題が解決できずに途中で 断念してしまう人も多いようです。何事も「訓練あるのみ」なのですが、ただ闇雲にやっても埒(3)目先の相場観を磨く
「NYが高かったから今日は上がる」と思っても、その通りにならない経験をしたことがあると思 います。一日の動きを予想するのも難しいわけですから、1週間先にどうなっているかを予測 するのはとても難しいものです。 しかし、スイングトレードで必要な相場観とは、「完全に相場を当てる」というものではありませ ん。1週間先の日経平均の数値を当てられなくてもOKで、まずは「少しでも自分の思ったほう に動けば良い」と考えて予想してください(勘は絶対にダメです)。そして、予想が上手くなるた めには「相場が動く兆候を掴む」ことが必要になります。 それを掴むには、「過去に相場が動いたときにチャートがどのように変化していたか」を知るこ とが重要になります。過去の動いた部分を何通りも見て「相場の起点で何が起こったのか」を 観察してください。「このロウソク足の組合せが出たら上がっている」、「○○のチャートではこ ういう変化の後に上がっている」といった傾向(兆候)が見えてくるはずですので、それをもとに 「目先の動き」を予想してください。これを反復し続けることによって、相場の感覚なども含めて、 相場観が磨かれてくると思います。 こういう部分、特に「相場の起点」を よく観察して傾向を掴んでください。①トレードに利用するチャートやシグナルな ど、売買ルールを設定する。 利用するチャート・売買シグナル・投資期 間を設定するのですが、基本的に使う チャート、売買ルールともに1つが良いと 思います。上手くいかないからといってコロ コロ変更していては上達しません。投資期 間は、「4日(受渡日まで)」、「5日(営業日 で1週間)」といったところが一般的です。
(4)スイングトレードの流れ
②チャートで全体相場(日経平均など)のトレ ンド分析をする。 全てではありませんが、全体が上昇すると きは個別でも上がるものの方が多く、下落 するときは下がるものの方が多くなります。 流れに乗る必要がありますので、全体が 上がると思ったときは「買い」、下がると 思ったときは「売り」で対処するのが基本に なります。また、銘柄探しも楽になります。 ③銘柄を選択する。 銘柄選択の仕方も色々ありますが、慣れ ないうちは「理論的かつ機械的に行ったほ うが良い」と思います。自分のお気に入り の銘柄などをトレードすると、心情的にロス カットしにくかったりするからです。ランキン グやスクリーニングといった機能で銘柄を 絞り込み、その中から選ぶのがオススメで す。また、流動性の高い(出来高の多い) 銘柄を選択するようにしてください。④ルールに従いトレードを実行する。 「ルールでは売りなんだけど明日戻るかも 知れないから様子見」などは、負けへの近 道になってしまいます。短期取引で自身の 決めたルールを守れない方は、結局「塩漬 け」の山を築きあげることになると思います。 結果はどうあれ、意志を固く持ち、「ルール に従う」ことが大切です。 悔しいけれ ど、明日の ために・・・
その他の注意点
①毎日必ずチャートを見る。 投資で失敗する人に多いのが、「相場が上がっているときは楽しいから毎日見るが、下が ると見るのが苦痛だから相場は見ないようになる」というケースです。 投資の世界は、しばらく目を離すと感覚が鈍ります。「上がるときだけやってやろう」と思って も、日頃から相場を見ていない人がその時を知ることはできません。特に短期取引では相 場の流れが重要ですので、トレードしない日でもチャートを見て感覚を養うべきです。 ②過去の値段に捉われない。 最も重要なのは自身が決めたチャートで売買シグナルが発生しているかどうかです。スイン グトレードは、「相場の流れの一部分を上手くすくい取る」ようなものですので、過去の高値 や安値はあまり重要ではありません。過去の高値や安値よりも「チャートの売買シグナル」 に強く意識をもつようにしてください。 毎日チャートを見て、過去の 高安より売買シグナルに意 識をもつ・・・か(5)売買ルール設定の一例
スイングトレードで使うチャートやルールには「絶対これを使う」というものがありません。人に よってそれぞれ違うものですが、ここでは「これからスイングトレードに挑戦したい」という方 のために、使うチャートを含めて売買ルール設定の一例をご紹介したいと思います。 利用するチャート・・・移動平均線(5日と25日) 利用するシグナル・・・ミニゴールデンクロス・ミニデッドクロス 設定期間・・・5日(ポジションを持ってから5日経ったら手仕舞う)①移動平均線の「ミニゴールデンクロスとミニデッドクロス」を利用する。
買いから入る場合は、「ミニゴールデンクロスで買い(もしくは新規買い)、ミニデッドクロスも しくは買ってから5日経過で売り(もしくは返済売り)」 売りから入る場合は、「ミニデッドクロスで新規売り、ミニゴールデンクロスもしくは売ってから 5日経過で返済買い」 となります。言うまでもないかもしれませんが、手仕舞いは反対売買のことであり、信用取引 の場合は返済売りか返済買いになります。現引や現渡を利用するのはご法度です。 なお、ミニゴールデンクロスやミニデッドクロスを実現した銘柄は、ランキングで検索すること ができます。 ミニゴールデンクロス ミニデッドクロス 5日経過で手仕舞い①画面左上の「投資情報」をクリックして ください。 ②メニューが開きますので、「ランキン グ」をクリックしてください。 ③ランキングの「一覧」画面が表示され ます。タブ「テクニカル」をクリックして ください。 ④プルダウンメニューでゴールデンクロ ス・デッドクロスを選択してクリックして ください。該当銘柄が表示されます。 市場・業種の絞り込みもできます。
ランキング:ミニゴールデンクロスとミニデッドクロスの表示方法
※表示される銘柄は前営業日終値でクロスを実現した銘柄になります。②移動平均線の「グランビルの法則」を利用する。
利用するチャート・・・移動平均線(25日) 利用するシグナル・・・グランビルの法則(下図参照) 設定期間・・・5日(ポジションを持ってから5日経ったら手仕舞う)グランビルの法則
ロウソク足と移動平均線にはいくつかの習性があります。ロウソク足が移動平均線の上にい たり(プラス乖離といいます)下にいたり(マイナス乖離といいます)、ロウソク足と移動平均 線が離れたり近づいたり(大きく離れたものを高乖離、近づくほど低乖離といいます)するの が代表的です。この習性から売買のポイントを教えてくれるのが「グランビルの法則」です。 グランビルの法則には、8つの重要な売買シグナル(買い4つ、売り4つ)があるのですが、そ の中の一つに「株価(ロウソク足)が移動平均線の上にあって、株価が移動平均線に向かっ て下落したものの、交差することなく再び上向きに転じるなら買いシグナル」というものがあり ます。下の図の矢印の部分がこれに該当します。 ここが「買い」だという ことです。 この法則に「株価が移動平均線の下に落ちたら売り」という移動平均線のオーソドックスな売 買手法をミックスすると、以下のようなルール設定をすることができます。 「上図のようなロウソク足を探して買い(もしくは新規買い)、買ってから5日経過もしくはロウ ソク足が移動平均線の下に落ちたら売り(もしくは返済売り)」 また、このときのロウソク足は、プラス乖離でかつ低乖離の状態です。この状態の銘柄は乖 離率のランキングで検索することができます。①画面左上の「投資情報」をクリックして ください。 ②メニューが開きますので、「ランキン グ」をクリックしてください。
ランキング:低乖離率(25日プラス)の表示方法
③ランキングの「一覧」画面が表示され ます。タブ「乖離率」をクリックして ください。 ④プルダウンメニューで低乖離率(25日 プラス)を選択してクリックしてください。 該当銘柄が表示されます。 市場・業種の絞り込みもできます。 ※株価と移動平均線の距離が近いものを探すもので、前ページのような形の チャートが必ず見つかるものではありません。チャートをご確認ください。③ストキャスティクスの「%Dとスロー%Dのクロス」を利用する。
利用するチャート・・・ストキャスティクス(%K=9、%D=3、スロー%D=3) 利用するシグナル・・・ 30%以下のゴールデンクロス・ 70%以上のデッドクロス 設定期間・・・4日(ポジションを持ってから4日経ったら手仕舞う) 買いから入る場合は、「%Dとスロー%Dのゴールデンクロス(30%以下)で買い(もしくは新 規買い)、デッドクロスもしくは買ってから4日経過で売り(もしくは返済売り)」 売りから入る場合は、「%Dとスロー%Dのデッドクロス(70%以上)で新規売り、ゴールデン クロスもしくは売ってから4日経過で返済買い」 となります。 ストキャスティクス自体が短期投資向きのチャートですので設定期間は短くしています。また、 比較的上手くいきやすいのですが、ランキングで検索することはできません。 ゴールデンクロス デッドクロス 4日経過で手仕舞い④CCIを利用する。
利用するチャート・・・CCI(14日) 利用するシグナル・・・CCIが100を上抜けて買い、200到達もしくは100を下回ったら売り CCIが-100を下抜けて売り、-200到達もしくは-100を下回ったら 買い 設定期間・・・3日(ポジションを持ってから3日経ったら手仕舞う) 買いから入る場合は、「CCIが100%を上抜けたら買い(もしくは新規買い)、CCIが200到達 もしくは100を下回ったら、または買ってから3日経過で売り(もしくは返済売り)」 売りから入る場合は、「CCIが-100を下抜けたら新規売り、CCIが-200到達もしくは-100 を上回ったら、または売ってから3日経過で返済買い」 となります。 CCIは超短期投資向きのチャートですので設定期間はストキャスティクスよりも短くしていま す。ランキングで検索することはできません。上級者向けの手法です。 CCIが100を上抜け CCIが100を下抜け 3日経過で手仕舞い(6)全体相場のトレンド分析
前述の通り、スイングトレードをする際に「完全に相場を当てる」必要はありません。むしろ、 完全に当てようと思うと余計なことばかり考えがちなので、基本に立ち返って気楽に分析して みてください。 まずは現在のトレンドを分析できればOKです。上昇トレンドであれば上がる確率の方が高 まりますし、下降トレンドであれば下がる確率の方が高まります。上昇トレンドか下降トレンド か分かればよいと思います。 どのチャートでトレンド分析するかは自由ですが、一目でトレンドが分かる「25日移動平均 線」を使うのが便利かと思います。 細かい分析は、経験を積み、慣れてくれば、できるようになってきます。 25日移動平均線 25日移動平均線が上向きで、25日移動平均線の上を株価(ロウソク足)が推移していたら 上昇トレンド 25日移動平均線が下向きで、25日移動平均線の下を株価が推移していたら下降トレンド 現在の状態は25日移動平均線が上向きで、株価 が移動平均線の上に位置しているので上昇トレン ドです。基本通りにいけば「買い」の銘柄を探すこ とになります。(7)銘柄選択
自分の力で銘柄を探すのも投資の楽しみの一つですが、短期投資で値幅が小さくなりやす い分、回数でカバーするということも必要になります。回数を増やすほど、銘柄探しの時間が 増えますが、大変なときはランキング機能などで、銘柄の絞り込みをすると楽になります。 ここでは、ランキングからの銘柄選択手順をご紹介しますが、寄付1時間前(朝8時頃)に行 えば十分に間に合うと思います。①ランキングで銘柄の絞り込み。
種別「日足ゴールデンクロス」/市場「東証1部」/業種「全業種」の条件で、ランキングを表 示してみたものです。 表示されている銘柄は「ミニゴールデンクロス」を実現した「買いの候補」です。この銘柄の中 には「流動性の低い銘柄」も含まれています。選ぶときには必ずチャートを確認しなければい けません。ここからは一つずつチャートを確認し、最終的に投資する銘柄を選びます。ミニゴールデンクロスしていますが、100株単位で1日 1000株程度の出来高、日によっては値付かず(出来高0) の日も見受けられます。銘柄の良し悪しは別にして、流 動性が低く、スイングトレードには向かないと思います。 対して、こちらの銘柄は100株単位で1日30~50万株程度 の出来高となっており、上の銘柄と比較して流動性が高 いのがわかります。こちらの銘柄の方がスイングトレード 向きといえます。
②HV(ヒストリカルボラティリティ)とTOPIXβを確認。
【HV(ヒストリカルボラティリティ)】 過去の株価の分散具合を表すもので、いわゆる「標準偏差」のことです。値が大きいほど株 価の変動が大きかったことを示しています。 【TOPIXβ】 市場(ここではTOPIX)に対する株価の感応度を指します。例えば「+2.09」という銘柄があっ たとします。仮にTOPIXが10%上がった場合、この銘柄は12.09%の値上がりをしていたとい うことを示します(逆にTOPIXが10%下がった場合、この銘柄は12.09%の値下りをしていた ことになります)。 1より大きくなるほどTOPIXの変動率より大きい動き、1より小さくなるほどTOPIXの変動率よ り小さい動き、マイナスの値はTOPIXと逆相関の関係(TOPIXが上がったらその銘柄は下 がり、TOPIXが下がったらその銘柄は上がる)になります。 失敗したときのこともあるので一概には言えませんが、変動が大きい銘柄の方が短期間でも それなりの値幅があり、成功したときの値幅が広がると考えられるため、短期取引の時は変 動幅が大きいほうが有利と考えられています。より大きな変動を好む方は、HVやTOPIXβ の高い銘柄を選択するのも戦略の一つです。 HVやTOPIXβは、疾風くんの「クォート(大)」で確認できます。クォート(大)の表示方法
①画面左上の「投資 情報」をクリックし てください。 ②メニューが開きますので、 「クォート(大)」をクリック してください。 ③画面が開きますので、銘柄 コードを入力してキーボードの Enterキーを押せば表示され ます。上のチャートは、2012年2月1日のランキング(日足ゴールデンクロス)6位、出来高は1日約 100万株、HVが2.22、TOPIXβが1.24の東海カーボンです。株価位置やチャートの形の好み もありますが、このような銘柄が出てきました。後はトレードを実行するだけです。