つちだ小児科 土田 晋也
第89回東京小児科医会学術講演会
2012年3月18日
こどもの中耳炎
私の中耳炎診療歴
1986年 福井医大卒
以降、17年間勤務医
2003年 「つちだ小児科」開業
2004年 近畿外来小児科で中耳炎発表
2005年 中耳炎WS(大阪)
2007年 中耳炎と副鼻腔炎WS(熊本)
2008年 中耳炎WS(名古屋)
2009年
中耳炎共同研究
を開始
2010年 中耳炎WS(福岡)
2011年 シンポ・中耳炎診療コツ(岐阜)
教育セミナー・鼓膜所見(神戸)
(日本最古の天守閣 丸岡城)
「全身をみれる小児科医」
になりたいという夢をもって開業
小児科外来において
中耳炎はCommon diseaseというけれど
本当なのか?
小児科中耳炎調査グループ
土田晋也
(つちだ小児科、福井県)、草刈 章(くさかり小児科、埼玉県)、
小林 謙(こばやし小児科、兵庫県)、中村英夫(中村小児科医院、石川県)、
西村 龍夫(にしむら小児科、大阪府)、深澤 満(ふかざわ小児科、福岡県)、
松井祐治(松井小児科、大分県)、矢嶋 茂裕(矢嶋小児科小児循環器クリ
ニック、岐阜県)、吉田 均(よしだ小児科クリニック、石川県)、渡辺 正博(す
ずかこどもクリニック、三重県)
中耳炎はCommon disease
というけれど本当なのか?
10.6% 89.4% 3.0% 97.0% 5.1% 94.9% 4.1% 95.9% 9.0% 91.0% 5.2% 94.8% 6.0% 94.0% 7.4% 92.6% 3.9% 96.1% 4.4% 95.6% 2.6% 97.4% 4.1% 95.9% 9.2% 90.8% 11月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 11月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008 ~2009年 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 23.2% 76.8% 9.5% 90.5% 13.3% 86.7% 13.4% 86.6% 25.0% 75.0% 23.2% 76.8% 20.8% 79.2% 18.0% 82.0% 11.7% 88.3% 12.8% 87.2% 6.7% 93.3% 11.7% 88.3% 19.5% 80.5%鼓膜有所見者(%)
急性中耳炎(%)
外来患者の5人に1人には
何らかの鼓膜所見
外来患者の15人に1人は
急性中耳炎
中耳炎はまさしく小児科外来のCommon disease
もっと小児科医がみましょうよ!
急性中耳炎患者数は
溶連菌患者数×6.7倍
インフルエンザ患者数×0.33倍
1. 拡大耳鏡の使い方と鼓膜所見のと
りかた
2. 小児科医でも使える中耳炎の診断
基準と診療指針
3. 耳垢除去のコツ
すべて明日からの外来診療に即役立つ内容です
本日の内容
まず1点目
拡大耳鏡の使い方と鼓膜所見のとり
かた
マクロビュー
観察視野は2倍
拡大倍率は1.3倍
光源がより明るい
焦点調節が手元でできる
ニューマティック・オトスコピー
マクロビューに送気球を装着し
てプカプカするだけで得られる
情報が飛躍的に多くなる
R
(Case7) 1才8ヶ月、女児、園児
朝から発熱38.3℃ 活気なし、咳、鼻水、昨夜夜泣
L
12月21日
①
②
③
④
⑤
スペキュラ 2.5mm スペキュラ・ディ スポ 2.75mm スペキュラ・ディ スポ 4.25mm スペキュラ+ソフ トシール 処置用スペキュ ラ直径
2.5mm
2.75mm
4.25mm
4.25mm
視野
狭い
①より広い 広い
①に装着
用途
視野は狭いが径 が細い。耳垢の 片隅から覗く時 や乳児用 乳児から小学生 まで使える汎用 スペキュラ 外耳道が広く耳 垢がなければ、 これが一番みや すい Pneumatic otoscopy用 鼓膜穿刺用スペキュラ
2.5mm
ディスポ
2.75mm
ディスポ
4.25mm
ソフトシール
処置用
ディスポ
拡大耳鏡の持ち方
まず1点目
拡大耳鏡の使い方と鼓膜所見のとり
かた
正常鼓膜(右)
鼓室内(右)
(森山寛他 中耳・外耳 メディカルビュー社)耳管開口部
岬角 正円窓(蝸牛窓) 鼓索神経光錐
正常鼓膜(右)
鼓室内(右)
(森山寛他 中耳・外耳 メディカルビュー社) 耳管開口部 岬角 正円窓(蝸牛窓) 鼓索神経 0 ビデオシステム光源
正常鼓膜(右)
鼓室内(右)
(森山寛他 中耳・外耳 メディカルビュー社) 耳管開口部 岬角 正円窓(蝸牛窓) 鼓索神経 0 ビデオシステム正常鼓膜(右)
鼓室内(右)
(森山寛他 中耳・外耳 メディカルビュー社) 耳管開口部 岬角 正円窓(蝸牛窓) 鼓索神経 0 ビデオシステム正常鼓膜(右)
鼓室内(右)
(森山寛他 中耳・外耳 メディカルビュー社) 耳管開口部 岬角 正円窓(蝸牛窓) 鼓索神経 0 ビデオシステムここで実例
(マクロビューによる
鼓膜観察法)
マクロビューによ
る鼓膜観察法
欠点:視野が狭い
みえているのは鼓膜か?
ツチ骨、光錐、鼓膜可動性
耳垢除去
NO
YES
中耳貯留液あるか?
ツチ骨形状から判断
膨隆(無、軽、強)
発赤(無、軽、強)
YES
2点目
小児科医でも使える中耳炎の診断基
準と診療指針
忙しい日本の小児科医には、
米国の診断基準がおすすめです
中耳に
炎症
を認めた時にのみ
Acute otitis media (AOM)
と診断
します
急性中耳炎の定義:
Nelson Textbook of Pediatrics 18
thed. p.2636 改編
2項目以上
鼓膜所見 色: 白、黄、琥珀、青
混濁(瘢痕でない)
可動性低下や膨隆
鼓膜背面水泡、
液面
中耳貯留液
を示す
鼓膜所見
Or
中耳貯留液
Yes Yes膿性耳漏
急性中耳炎
1項目以上
耳痛、または耳痛徴候
強い
鼓膜の発赤
強い
鼓膜膨隆、または
水
疱形成
Yes Yes非炎症性中耳炎
NoAOM
OME
中耳の炎症
に伴う症状または
鼓膜所見
米国の診断基準を紹介しましたが
「
炎症
」の概念について今一度
補足説明します
この傷は炎症おこしている?
発赤・疼痛・腫脹あり
⇒炎症あり
発赤・疼痛・腫脹なし
⇒炎症なし
傷がある
炎症あり
YES
炎症なし
NO
発赤・疼痛・腫脹あり?
感染している
感染していない
炎症なし
創面に細菌はいても
感染していない
(=
感染してい
ない
)
炎症あり
創面の細菌が
感染している
(=
感染
)
≠
★
炎症あり
→治療対象
★
炎症なし
→経過観察
炎症あり
は治療対象
炎症なし
は経過観察
水で洗ってラップして患者自身で経過観察できる。
赤くなったり腫れたり痛がったら再診。
この中耳は炎症おこしている?
発赤・疼痛・腫脹あり
⇒炎症あり
(急性中耳炎、
AOM)
発赤・疼痛・腫脹なし
⇒炎症なし
(非炎症性中耳炎、
OME)
中耳貯留液がある
炎症あり
YES
炎症なし
NO
急性中耳炎、
AOM
非炎症性中耳炎、
OME
発赤・疼痛・腫脹あり?
急性中耳炎の定義:
Nelson Textbook of Pediatrics 18
thed. p.2636 改編
2項目以上
鼓膜所見 色: 白、黄、琥珀、青
混濁(瘢痕でない)
可動性低下や膨隆
鼓膜背面水泡、
液面
中耳貯留液
を示す
鼓膜所見
Or
中耳貯留液
Yes Yes膿性耳漏
急性中耳炎
1項目以上
耳痛、または耳痛徴候
強い
鼓膜の発赤
強い
鼓膜膨隆、または
水
疱形成
中耳の炎症
に伴う症状または
鼓膜所見
Yes Yes非炎症性中耳炎
NoAOM
OME
中耳貯留液あるが炎症なし
OME
中耳貯留液と炎症ある
AOM
≠
★
AOM (炎症ある)
→治療対象
★
OME(炎症ない)
→経過観察
AOM
は治療対象
ただし、ウイルス性なら経過観察でよい。
OME
は経過観察
ただし、傷と違い鼓膜所見は患者自身で経過観察できない。
所見でなく症状(発熱、耳痛、機嫌)があれば再診。
長期間、難聴を伴う場合は耳鼻科紹介。
AOM、炎症あり
OME、炎症なし
ところで、日本の耳鼻科の診断基
準はどうなっているか?
上出洋介 「内視鏡画像による急性中耳炎・鼓膜アトラス」 メディカルビュー社
急性中耳炎の発症から治癒まで
日本では
この経過すべてを
急性中耳炎と分類
米国では
この部分だけを
急性中耳炎(炎
症性中耳炎、
AOM)と分類
治療対象はこの
部分のみ
実用的分類法
耳痛や発熱が抗菌薬終了後も持続, あるい は抗菌薬投与中に増悪するとき 菌血症の疑い